( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

412: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 22:49:29.32 ID:rXaM+gIN0
  
第十三話 『集え力よ、抗え戦士』

玄関前。
ドクオとジョルジュは依然、膠着状態のままだった。

( ゚∀゚)「あーのさ……暇なんだけど?」

ジョルジュが少し両手を上げたまま呟く。

(;'A`)「う、うるせぇ!」

対してドクオは、彼の喉元に銃口を突きつけているままの姿勢だ。

( ゚∀゚)「ったく……どうせ、強い奴が来てくれるまで待ってるんだろ?
     情けねぇなぁ、お前」

(;'A`)「ッ……!」

図星だ。
自分の力で殺せるものの、それをしていいのかが解らないのだ。
こういうことに慣れていそうなギコあたりに意見を聞きたいのだが、彼はまだ帰ってこない。



416: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 22:52:22.66 ID:rXaM+gIN0
  
ふと、半分破壊された扉の付近に視線を向ける。
未だブーンが、うずくまって泣いていた。

ジョルジュはその視線に気付いたのか

( ゚∀゚)「おいおーい、なんでアイツあんなに泣いてるわけ?
     誰かにイジメられたんじゃねぇの?」

(;'A`)「…………」

ブーンがあのような状態になっている理由は、ドクオにも解らない。
ただ、ギコが外に連れ出した後にそうなったことは確実だ。
その点も含めて、早くギコに帰ってきてもらいたいのだが……。

( ゚∀゚)「暇だー」

(;'A`)「…………」

まだまだこの状況は続きそうだった。



421: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 22:55:24.72 ID:rXaM+gIN0
  
ブーンは絶望の底にいた。

クーが敵に?
あの凛々しくて、クールで、でも優しい彼女が?
自分に力を与え、そして共に戦ってくれた彼女が?

信じられなかった。
有り得ないと思った。

でも

( ,,゚Д゚)「『自発的』に向こうに残ったそうだ。
     彼女は……俺達の『敵』になったのかもしれん」

その言葉が、ブーンの心を貫いた。

何故、こうなった?
何故、止められなかった?
何故、向こうに行ってしまった?

あらゆる疑問と、そして湧き上がる怒りと絶望がブーンの心を侵していく。

(  ω )「……もう、嫌だお」

呟く。

思ってもみなかった。
自分の心がこんなにも脆く、そして彼女がいつの間にか自分の中で大きな存在になっていたことに。
もしかすると一目惚れをしていたのかもしれない。
今になっては解らぬ疑問だが。



425: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 22:57:57.39 ID:rXaM+gIN0
  
彼女に感謝したい。
彼女と共に戦いたい。
彼女と一緒に――

(  ω )「もう、それは叶わないのかお……?」

(  )「そう思うのか――?」

それは突然聞こえてきた声。
頭の中に響くような、自分で発したような、しかし自分とは違う声と口調。

(;´ω`)「だ、誰だお?」

(  )「お前は、ただ望むだけなのか?」

( ´ω`)「え……?」

(  )「望んで、願って、祈って、悔やんで――それで全てが上手くいくのか? 救われるのか?」

( ´ω`)「……でも、クーは望んで向こうに残ったんだお」

(  )「それを知りたいとは思わない、と?」

( ´ω`)「……?」



431: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:00:35.99 ID:rXaM+gIN0
  
(  )「何故、彼女が向こうへ残ったという理由を……お前は知らないでいいのか?」

( ´ω`)「…………」

(  )「知りたくないならば、それも一つの選択なのだろう。
    しかし、現実くらいは……目を背けずにいれはしないのだろうか?」

( ´ω`)「現実……?」

(  )「7thの主が、9thの主と戦っている。
    1stの主が、6thの主と戦っている。
    他の者も、己の敵と戦っている。
    8thの主よ――お前は何をしているんだ?」

( ´ω`)「僕は――」

(  )「お前はこのまま現実から逃避し、更に大事なものを失いたいというのか?」

( ´ω`)「……それは」



439: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:04:40.13 ID:rXaM+gIN0
  
(  )「抗えよ、内藤ホライゾン。
    それがお前の今やるべきことではないのか。
    それがお前の唯一の自己表現ではないのか。
    それがお前のただただ信じることではないのか」

( ´ω`)「…………」

(  )「抗え……お前にはまだ可能性が残されている。
    お前を待ち望み、頼りにし、しかし支えようとしている者がいる」

ふと頭に浮かぶは、各人の顔。
頼りにならないが、しかし支えてくれるドクオ。
まるで兄貴分のように自分達に接し、そして率先して戦うギコ。
気配りが上手な、優しいしぃ。
そして――

( ´ω`)「僕は……」

(  )「戦いを望むか、諦めを望むか、逃げを望むか、現状の維持を望むか……。
    それは全てお前の意思一つに任されている」

だが

(  )「だがしかし、君が抗いを望むというのならば――」

(;´ω`)「え……?」

声は途中で掻き消え、そして――



444: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:07:22.02 ID:rXaM+gIN0
  
ガラスの割れる音が響いた。

(;*゚ー゚)「な、何!?」

(;'A`)「あれは――!?」

( ゚∀゚)「おーおー、派手なこって」

見上げれば、2階部分にある窓が防護シャッターごと割られてる。
破片がパラパラと落ちてくる瞬間であった。

(;'A`)「な、何かが侵入した……!?」

( ゚∀゚)「クックルの野郎だな。
     馬鹿に見えるが、なかなか面白いことやるじゃねぇか」

今、屋敷内には非戦闘員と少しの護衛兵しかおらず、しかもツンまでいる。
あの中に指輪持ちで、しかも凶暴なクックルが入ったとなると――

(;*゚ー゚)「まずいわ!」

(;'A`)「くそぉ!!」

( ゚∀゚)「ほれほれ、さっさと俺を解放したらどうよ?
     じゃねぇと……中は悲惨なことになっちまうぜ?」

挑発するような口調。



448: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:10:27.38 ID:rXaM+gIN0
  
ドクオは、駆け出したい気持ちでいっぱいになる。

あのツンが、彼女が殺されるかもしれない。
それは絶対に許せない。

( ゚∀゚)「ほれほれぇ、正義の味方ぶって突入ってのはオツじゃねぇか。
     まるで映画の主人公だな、ひゃははははは! うらやましいぜ!」

(;'A`)「くっ……!!」

その時だ。
彼の声は唐突に発せられた。

(;^ω^)「……行くお、ドクオ」

見ればあれだけ落ち込み、そして泣いていたブーンが立ち上がっている。
だがしかし……その目に浮かぶ意思は弱く、必死に立つことを望んでいるかのような表情だ。

(;'A`)「ブ、ブーン!?」

( ゚∀゚)「よぉ、お目覚めかい?」

(;^ω^)「コ、コイツは僕に任せて……ドクオはツン達の所へ行くんだお」

(;'A`)「お、お前……大丈夫なのか? 顔色が――」

(#^ω^)「早くッ!!」

(;'A`)「わ、解った!」



455: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:13:27.97 ID:rXaM+gIN0
  
恐る恐る銃口を下げ、走り出すドクオ。
その隙をジョルジュは見逃さなかった。

( ゚∀゚)「よくも今まで退屈与えてくれたなぁ!
     行く前にこれでも喰らって逝きやがれ!!」

走るドクオの背中目掛けて鎖を投げた。
鋭く走る威力の線は、ドクオの背中を捉えて――

( ゚∀゚)「!?」

ガクン、とその動きが封じられる。

(;^ω^)「…………」

ブーンだ。
ブーンの拳が、ドクオの背中に伸びた鎖を止めている。
その手には、8th−W『クレティウス』。
ジョルジュが呆けている隙に、ドクオは屋敷の内部に入っていった。

( ゚∀゚)「テメェ……」

(;^ω^)「……お前の相手は僕だお」

微かに腕を、足を、全身を、更には声を震わせながら言葉を紡いでいく。



463: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:16:00.95 ID:rXaM+gIN0
  
( ゚∀゚)「はっ、望むところだクソガキが。
     あの時の屈辱……お前の死を以って晴らさせて――」

言葉が終わらぬ内に、ブーンが走る。
鎖をあの時のように御しつつ、あの時と同じような接近だ。

( ゚∀゚)「最後まで話を聞きやがれってんだ!」

しかしこの瞬間からは、あの時とは違う道を刻むこととなった。
ジョルジュが思い切り鎖を引っ張ったのだ。

(;^ω^)「!」

強烈な力。
それによって、ブーンの身が浮く。

( ゚∀゚)「潰れて死ねやぁぁぁ!!」

反対方向を向き、鎖を地面に叩きつけるかのような勢いで振り下ろす。
しかし――

( ゚∀゚)「!?」

手ごたえが無くなった。
次の瞬間、放られた鎖が地面に激突する。
そこにはブーンの姿は無い。



466: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:19:52.27 ID:rXaM+gIN0
  
( ゚∀゚)「どこに――」

(;^ω^)「ここだお!!」

真上からの声。

( ゚∀゚)「!」

慌てて見れば、ブーンがこちらに向かって拳を突き出しながら落下中だ。
投げられた時、放物線上の最頂点で手を離したのだろう。
それによって起きる事象はジョルジュの頭上への飛翔。

(;^ω^)「うわぁぁぁぁ!!」

( ゚∀゚)「阿呆が!」

ジョルジュは素早くバックステップをとりつつ、回避。
直後、その場にブーンが落ち、そしてフラつきながらも姿勢を整える。

(;^ω^)「は、外したお……」

(;゚∀゚)「奇襲に声かけてどうすんだよ……漫画の見すぎだ、クソガキ」

ジャラリ、と鎖を纏い始めるジョルジュ。
いつでも掛かって来いと言わんばかりの表情だ。

(;^ω^)「…………」

対するブーンは右手を眼前、左手を腰だめに構える。
どちらも『待ち』に入った。



471: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:22:11.66 ID:rXaM+gIN0
  
忍耐力の勝負だが――

( ゚∀゚)「オラオラオラァァ!!」

ジョルジュにそんなものが存在するわけがなかった。
身に纏わせた、あの時と比べて更に長くなった鎖を振り回す。
カーブを描きながらブーンへ飛ぶ、蛇のような鎖。

(:^ω^)「!」

右手で往なす。
しかしそれだけでは終わらない。
鎖の腹ともいえる部分が、弾かれた頭の代わりに牙を剥く。
ブーンは一歩引きながら回避。
しかし次々と襲い掛かってくる鎖。

(;^ω^)「ジョルジュ……!」

強くなっている。
あの時よりも確実に、そして凶悪に。

( ゚∀゚)「ヒャハハハハハハ!!」

もはやブーンの周囲360度、どこから攻撃が入るか解らない状況だ。
縦横無尽に絶え間なく襲ってくる鎖は高速。
その全て……とまではいかないが、致命傷をもらわない程度にブーンは往なし、そして回避する。
しかしこのままではジリ貧だ。
身体の各部分に微かな擦り傷や切り傷が増えていく。



475: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:26:02.87 ID:rXaM+gIN0
  
(;^ω^)「くっ……!」

集中。
集中しろ。
一瞬でも途切れれば、己の身体はバラバラに引き裂かれる。
怖い、怖すぎる。
だが――己の心のどこかが『抗え』と叫ぶのだ。

( ゚∀゚)「ヒャハハ! さて、どこまで持つかなぁ!?」

攻撃が更に激しくなる。
もはや奴は9th−W『ユストーン』を完璧に使いこなしているようだ。

(;^ω^)「このッ、ままではッ……!」

上下左右、全ての方向からの攻撃を防御しながら呟く。
言葉を放つのも煩わしい。
それほどまでにジョルジュの攻撃はしつこく、そして高速だ。

( ゚∀゚)「どうしたどうした、クソガキ!
     そろそろフィニッシュ、いっちゃうぜ!?」

ジョルジュが勢いよく右手を上げた。
瞬間、ブーンを襲っていた鎖が上空へ打ち上げられるように飛ぶ。

(;^ω^)「落下速度を付加した、直下攻撃かお!?」

これならば回避可能だ。
おそらく奴が狙う範囲は一点。
その一点から身を外せば、それは回避に繋がる。



480: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:29:45.73 ID:rXaM+gIN0
  
( ゚∀゚)「死ね!」

上げていた右手を下げる。
上空でうねるように浮かんでいた鎖は、その頭を下にしてブーンの脳天へ突っ込んでいく。

(;^ω^)(ここで回避!)

足を引き、身体を下げるように――

(;^ω^)「!?」

ガクン、と体勢が崩れた。

それは一瞬の油断か、はたまた安堵の故の隙か。
絶望に支配されていたブーンの弱った心が
無理に戦闘をしてしまった代償か、ここにきて遂に折れかけたのだ。
その結果が、今、この状況で足に――

まずい。
右足に力が入らないことにより、咄嗟に左足に重心がかかる。
それを切り替えるのには時間が必要だった。
迫る鎖。
間に合わない。

(;^ω^)「う、うわぁ!?」

手を頭にかざし防御体勢をとるが鎖は確実に、腕を砕き脳を貫くだろう。

( ゚∀゚)「あばよ、クソガキィィィ!!」



484: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:32:31.81 ID:rXaM+gIN0
  
言葉と同時に、鎖がブーンの位置に落ちた。
直撃。
轟音、衝撃と共に大規模な砂煙が爆炎のように舞い上がった。

(;*゚ー゚)「内藤君!?」

音に気付いたしぃが叫ぶ。

( ゚∀゚)「ヒャハハハハハハハハハハハハハ!!
     やっちまったぜクソガキがぁぁ!
     地獄の閻魔様によろしくなぁ!!」

狂気を纏ったジョルジュの叫び声が、夜の空に響いた。



486: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:35:03.17 ID:rXaM+gIN0
  
( ,,゚Д゚)「っつぁッ!!」

(*゚∀゚)「ほいさぁ!!」

金属が激しくぶつかる音が響く。
巨剣と赤いブーツ。
ギコとツーだ。
二人は鍔迫り合いをしながら、口を開く。

( ,,゚Д゚)「攻撃面が強化されたせいで、速度が落ちたらしいな……!」

(*゚∀゚)「だから何だってのさ……!」

ギリギリと押し合う刃。

(*゚∀゚)「隙だらけだよ!」

ツーが懐から投げナイフを取り出し、目の前のギコに向かって投げる。

( ,,゚Д゚)「ッ!」

回避。
鋭利な刃はギコの耳をかするに留まる。
しかしそのせいでバランスが崩れた。



490: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:37:50.53 ID:rXaM+gIN0
  
(*゚∀゚)「ヒャホゥ!」

刃に当てている右足をそのままに、低く跳ぶ。
その宙に浮いた時間と空間を用いギコに左足で攻撃を仕掛けた。

(;,,゚Д゚)「くっ!」

間一髪、攻撃の気配に気付いたギコは後退する。
その一瞬後を、赤い禍々しい刃が通過。
ツーと距離をとりながら

( ,,゚Д゚)「趣味が悪い上に厄介だな……」

(*゚∀゚)「最高の褒め言葉だよん♪ そしてアンタは馬鹿さ」

( ,,゚Д゚)「何だ、と――!?」

鋭い痛みが走った。
見れば、右足の太腿がサックリと裂けている。
一瞬遅れて出血。

(;,,゚Д゚)「これは――」

傷口を押さえながら呟くギコに

(*゚∀゚)「あはははははは!!
    私の足は振れば大気の刃を撃てるんだよ?
    ただの後方回避で逃げられるわけ無いじゃん!」



492: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:40:40.28 ID:rXaM+gIN0
  
ツーの両足には刃が生えた赤色のブーツ。
もはや二刀流といっても差し支えなく、攻撃の際に大気の刃が発生する。
しかも両手は自由。
必然、攻撃の手数はどうしてもツーの方が多くなる。

対し、こちらの強みは攻撃力のみだ。
『OVER ZENITH』を使うことも考えられるが、相手は無限刃を回避する可能性がある。

( ,,゚Д゚)「ちっ……」

舌打ち。
珍しくギコは、攻めあぐねていた。
もしかすると『6th』に対する『1st』の相性は最悪に近いかもしれない。

(*゚∀゚)「さぁ、これで終わり!」

ツーが足を振りかぶる。
あの見えない刃を放つつもりだ。

(*゚∀゚)「ヒャッホォォォ!!」

振る。
その軌道は見えず、そして鋭く、しかし見えない刃が発射された。
狙いはギコ。
彼は咄嗟に巨剣を盾にし、防ごうとする。
この足では回避は難しい。
グッ、と身体全体に力をいれ、吹き飛ばされないように――



495: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:44:18.52 ID:rXaM+gIN0
  
衝撃が目の前で爆発した。
刃が落ちた先は、巨剣の直前の地面。
地面を削った時に生じた砂煙によって、ギコの視界が封じられた。

(;,,゚Д゚)「これは――」

砂煙から腕で目を庇いながら、予想外の出来事に焦る。
一瞬にして茶色に染まった周囲を見る。

「あははははははは!」

ツーの笑い声だけが聞こえた。
どうやら周囲を走り回り、奇襲を仕掛けてくるつもりのようだ。

( ,,゚Д゚)「だが、策としては甘い――!」

真上へ跳躍し、砂煙を突き抜けたギコは地上で走るツーを視認――

(*゚∀゚)「わかってるんだなぁ、これが」

(;,,゚Д゚)「なっ――」

前方にツー。 見抜かれていた。
剣を構えようとするも、彼女は既に攻撃姿勢に入っており――間に合わない。

(*゚∀゚)「ごーとぅーへる!!」

見えぬ斬撃がギコのいる空間を直撃した。
空中で大気が弾け、地表へも風という影響を与える。
その中心点に、直撃を受けた何かが落下した。



499: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:47:09.33 ID:rXaM+gIN0
  
(*゚∀゚)「あはははははは! やった、やっちゃった!」

笑いながら地上へ降り立ち、死体を確認するために歩く。
目の前、濛濛と煙る茶の色から出てきたのは――

(´<_` )「ふぅ、間一髪だったな」

(*゚∀゚)「!?」

金色の巨大な盾を持った弟者だった。
ギコはその背後で呆然としている。

(´<_` )「友のため、そしてお前達のために助太刀に来た」

( ,,゚Д゚)「何……?」

( ´_ゝ`)ノシ「うおーい」

その時、手を振りながら今度は兄者が走ってくる。

(*゚∀゚)「兄者!? アンタ、何で――」

( ´_ゝ`)「俺と『VIP』は所詮、相成れないということだ。
      やはり弟者の側が俺の居場所だというわけだな」

(´<_`*)「何と、兄者……照れるではないか」

(*´_ゝ`)「ふっ、可愛い奴め」

(;,,゚Д゚);*゚∀゚)「気持ち悪ッ!!」



506: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:50:12.90 ID:rXaM+gIN0
  
( ゚∀゚)「ヒャハハハ……さぁて、グッチャグチャの死体でも拝むか」

未だ晴れぬ砂煙を身ながら、ジョルジュがようやく笑うのをやめた。
ブーンの脳から首、そして上半身を貫いたはずの鎖を引く。
この時、鎖の節々が身体の内部を通るのだが、その抵抗感がジョルジュは大好きだった。
そして段々と出てくる真っ赤に染まった鎖。
それを見るのも戦ったのだと実感出来て、見るのが心地よかった。

( ゚∀゚)「……あ?」

しかし、それらは感じることも見ることも無かった。
引き寄せられる鎖が、途中で動きを止めたのだ。
骨か何かに引っかかったのか?
ぐいぐいと引っ張るが、動きは無い。

( ゚∀゚)「……?」

ジョルジュは見る。
薄くなっていく砂煙の中に、人影が立っているのを。

(;゚∀゚)「なっ……回避した!?」

晴れていく砂煙。
そして更に気付く。
人影が二つだということに。

(;゚∀゚)「お、お前、誰だ!?」



515: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:52:52.60 ID:rXaM+gIN0
  
(´・ω・`)「悪いけど、君に名乗るほど腐った名前じゃないんだ」

現われたのはショボン。
両手に握るは紫色の槍。
鎖はその槍に絡め取られている。
彼はブーンを護るように、しかし存在を無視しているかの如く仁王立ちしていた。

その背後では、ブーンが尻餅をついていた。
かつての友の後姿を見ながら

(;^ω^)「き、き、君は……!」

(´・ω・`)「悪いけど、話は後にしよう。
      それに行動で君の味方だと証明しなければならないしね」

身の前で槍を回し、鎖を振りほどく。

(´・ω・`)「まずは事を終わらせることが大事だよ。
      後でいくらでも話せるし……話したいしね」

(;^ω^)「ショ、ショボン……」



532: ◆BYUt189CYA :2006/11/16(木) 23:56:11.53 ID:rXaM+gIN0
  
(;゚∀゚)「なんだなんだ、テメェら!? くそみそか!? くそみそなのか!?」

(´・ω・`)「黙れ、ぶち殺すぞ」

瞬間、ショボンの身体から殺気が溢れる。
轟、と音が聞こえる錯覚と共に、空気の流れが強制的に変更される。
それを間近に感じたブーンが

(;^ω^)「き、君は今まで――」

(´・ω・`)「話は後にしよう、って言ったよ」

(;^ω^)「おっおっ……わ、解ったお」

(´・ω・`)「ただ――」

(;^ω^)「?」

(´・ω・`)「……ごめんね」

ブーンが疑問に思う前に、ショボンは駆け出す。

かつての、偽りの友を護るために。
かつての、偽りの友を支えるために。
かつての、偽りの友と共に戦うために。

この瞬間、ショボンは本当の意味で走り出した。



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