( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

5: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:26:09.49 ID:gGzEicxW0
  
第十四話 『愛のために』

戦場は、今や三つに分断されている。

一つは敷地内。
一つは玄関前。
一つは屋敷内。

その内の一つ、屋敷内。

ドクオは階段を駆け上がっていた。
は、と息を短続に吐きながら、銃を抱えたまま上っていく。
休む余裕も暇もない。
ブーンが、屋敷内をこちらに任せてくれたのだ。
彼は恐らくこう言いたかったのだろう。

好きな人は自分で護れ、と。

ドクオは言葉を聞かずとも、それを理解した。
だからこそジョルジュのいる戦場をブーンに任せ、今自分は屋敷の中に入っている。

それだけのことだ。



6: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:29:46.71 ID:gGzEicxW0
  
そこまで考え、改めて思考を切り替える。

クックルは2階から突入した。
この屋敷は4階建て。
ツンはおそらく、最上階にいるはず。
そこにクックルが辿り着くまでに、奴を倒さなければ。

(;'A`)「くそっ、どこだよ!?」

窓ガラスが割られているのは発見したものの、クックルの姿は無い。
とりあえずがむしゃらに走る。

(;'A`)「何でこの屋敷、階段が全階繋がってねぇんだ!?」

いちいち上への階段を探さなければならない。
しかも広く、その捜索に時間は掛かる一方だ。
しかし――

(;'A`)(妙に静かだな……)

思う。
いくら非戦闘員だけだといっても、少しは護衛兵みたいな人材を残していないのだろうか。
もしいれば、戦闘音などで場所が解るというのだが――



9: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:32:55.08 ID:gGzEicxW0
  
(;'A`)「!?」

廊下を曲がったところで、半分納得し半分絶望した。

死体だ。
ドクオの前方、幅五メートルほどの廊下に死体が散らばっている。
腕を引き千切られているのもあれば、足が無い死体もあり
更には頭が無く、赤黒い何かが漏れ出しているのさえある。

その光景と死臭に、ついドクオはその場で嘔吐してしまった。

(;'A`)「げほっ、げほっ……くそっ……!」

垂れた涎と胃液の混合物を拭いながら悪態を吐く。

こんなことをしている場合ではない。
クックルがツンの元へ確実に近付いている証拠だ。

急げ。
脳が命じ、身体が動く。

赤に染まったメイド服を着て死んでいる女を飛び越え
首が無い男の脇を通り、ドクオは3階への階段を目指した。
皮肉にも、死体が道を教えてくれる。



11: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:35:33.94 ID:gGzEicxW0
  
('A`)「あった!」

階段を見つけた。
血が滴りながらも点々と続いているのを見ると、クックルもここを上ったのだろう。

その時だ。

(;'A`)「!」

銃声。
断続的に、火薬が弾ける音が上から響いてくる。

(;'A`)「上ってことは3階……まだ最上階じゃない!」

ドクオは慌てて走り出す。
間に合え、間に合えと心に願いながら。



13: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:43:37.26 ID:gGzEicxW0
  
ミ;,,゚Д゚彡「くっ!」

トリガーを引く。
弾が高速で飛び出し、対象に命中。
しかし弾かれる。

フサギコは先ほどからこの動作の繰り返しだった。
原因は目の前の大男。

(゜∈゜)「…………」

ミ;,,゚Д゚彡「銃弾が効かないなんて……!」

屋敷の3階。
4階への階段へ通じる廊下に、フサギコは立ちはだかるかのように立っている。
その手には拳銃。
狙いは、ゆっくりと確実に近付いてくるクックルだ。

ミ;,,゚Д゚彡「!」

射撃。
火薬の爆発する音と衝撃はあるのだが、クックルはまったく動じない。
まるで鋼鉄の身体を持っているかのようだ。

このまったく歯が立たない状況に、フサギコは歯噛みする。



15: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:46:51.23 ID:gGzEicxW0
  
今、自分が立っている場所が最終ラインだ。
あとは生き残った非戦闘員とツンが、最上階の部屋に避難している。

他の護衛兵はほぼ全て殺されてしまった。
そして自分の手には通用しない銃。

(゜∈゜)「…………」

クックルが腕を伸ばしてくる。
フサギコはバックステップでそれから逃れた。

奴の腕に捕まっては駄目だ。
捕まった者や物は例外なく全てへし折られ、引き千切られる。
強固、かつ強力。

ミ,,゚Д゚彡「こうなったら――」

銃を懐へしまい、ナイフを取り出す。
点の攻撃が無効化されるならば、線の攻撃はどうだろうか。

あまり期待は持てないが、やってみるしかあるまい。
しかしどうやって攻撃を仕掛けるか。
接近戦が出来るような雰囲気ではないのだ。

誰か――
誰かサポート役がいれば――



17: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:50:20.25 ID:gGzEicxW0
  
(゜∈゜)「!」

瞬間、爆音。
背後からの衝撃によってクックルが仰け反る。

('A`)「おい、無事か!?」

ドクオだ。
先ほどまでは持っていなかった、巨大な銃を脇に抱えている。
彼は廊下の奥で片膝立ちになり射撃を開始した。

光弾、光弾、そして光弾。

その全てがクックルの背を直撃。
閃光と共にバシュンと聞きなれない音、そして仰け反るクックル。
しかし――

ミ;,,゚Д゚彡「ちょ、ちょっと待ってください!」

('A`)「え?」

ミ;,,゚Д゚彡「貴方が撃てば撃つほど、この大男がこちらに来るんですよ!」

(;'A`)「あ、悪ぃ……そっちに行けないのか?」

ミ,,゚Д゚彡「無理ですね……大男の懐を掻い潜ってこちらに来る、というのは?」

(;'A`)「お前、俺を殺したい?」

ミ;,,゚Д゚彡「ですよねー……」



20: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:53:20.58 ID:gGzEicxW0
  
途端、動きが起こる。
撃たれたクックルが背後を向き、ドクオの方へ向かって走り出したのだ。

(;'A`)「うぉ!?」

足は遅い。
が、その迫力は異常だ。
一瞬、腰を抜かしそうになるが堪え、ドクオは元来た道を引き返し始めた。

とりあえずこちらに来るならばラッキーだ。
その分、ツン達の安全性が上がる。

ドクオは己の身を囮に走り始めた。

('A`)「だが、逃げてばかりってのもアレだしな!」

背後を振り向き、射撃。
光弾が次々とクックルを直撃する。
しかし意に介さないといわんばかりに、発生した煙の中からクックルが飛び出してくる。
その現状を見て

(;'A`)「ねぇ、俺のウェポンって役立ってなくね?」

己のウェポン――7th−W『ガロン』――に語りかけるドクオ。
対するガロンは何も反応を寄越さず、ただただ茶色に鈍く輝くだけであった。



25: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:55:48.72 ID:gGzEicxW0
  
敷地内。
そこでは二対一の攻防が展開していた。

(*゚∀゚)「イィィィヤッホォォォ!!」

ツーのカマイタチが唸りをあげつつ迫り

(´<_` )「甘いぞ!」

弟者の金色の盾がそれを防ぎ

( ,,゚Д゚)「つぁっ!」

その隙にギコがツーに突進し

(*゚∀゚)「ひょいさ!」

そしてそれをツーが回避する――その繰り返しだ。

( ,,゚Д゚)「ちっ……戦力が増えても、捉え切れなければ戦いにならん」

(´<_` )「俺は防御専門で、アンタは接近戦……遠距離攻撃が欲しいところだな」

敵の攻撃を防ぎつつ、遠距離攻撃で敵の動きを制限すればギコの攻撃も当たりやすくなるだろう。
しかし今の状況では無理な話だ。
しぃが拳銃を持っているのは知っていたが、その彼女は今ここにはいない。
どうするか――



28: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 21:58:35.53 ID:gGzEicxW0
  
( ´,_ゝ`)「ふっ……ふっふっふ……」

笑い声。
見れば、背後の安全な位置にいたはずの兄者が、弟者とギコの付近で腕を組んで笑っている。

(´<_` )「どうした、兄者……どこか具合が悪いのか?」

(;´_ゝ`)「いや、具合が悪かったら笑わないだろ、常識的に考えて……」

(´<_` )「何と、兄者が常識を!」

煤i;´_ゝ`)「え、俺ってそんな風に思われてたの!?」

( ,,゚Д゚)「兄弟漫才は他でやれ。
     で、兄者……何か策があるのか?」

( ´_ゝ`)「よくぞ聞いてくれた」

兄者は、ゴソゴソと懐から――

( ,,゚Д゚)「指輪!?」

それは橙色の指輪だった。
形状はギコやブーン達のものと同じ。
ということは――



32: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:00:42.60 ID:gGzEicxW0
  
(´<_` )「いつの間にウェポンを?」

( ´_ゝ`)「いや、『VIP』に入った後で渡されてたの忘れてた」

( ,,゚Д゚)「もはやツッコミはせん。
     で、それをお前は使いこなせ、しかも今役立つのか?」

( ´_ゝ`)「役に立たんのなら笑いはせんよ」

指輪をおもむろに右手に装着する。
そして構え、口を開いた。

( ´_ゝ`)「発動!」

ハツドウ――
ツドゥ――
ドゥ――

木霊の後に残るは、風の吹く音。

( ,,゚Д゚)「…………」

(´<_` )「…………」

(*゚∀゚)「…………」

さんにんは そのばで うごけなくなってしまった!



36: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:03:58.15 ID:gGzEicxW0
  
(;´_ゝ`)「……あれ、おかしいな」

右手をブンブンと振りながら、納得がいかないように呟く。

( ,,゚Д゚)「期待した俺が馬鹿だった」

(´<_` )「流石だな、兄者……空気嫁」

二人の冷たいリアクションを見て、兄者は焦る。

(;´_ゝ`)「ま、待て! 今日は調子が悪かっただけだ!
      ウェポン発動ってレベルじゃねぇぞ!? ふはははははは!」

(´<_` )「兄者、途中から台詞が妙な方向へ曲がっているぞ」

( ,,゚Д゚)「お前……まさか、指輪に認められていないのか?」

ふと出た疑問に、兄者は過敏に反応した。
手足をバタバタと振りながら、という世にも奇妙な動作で

(;´_ゝ`)「い、い、いや、そういうわけじゃないぞ!?
      こ、ここで使えるようになれば格好いいなぁ、とかそんなこと思ってないぞ!?」

( ,,゚Д゚)「……認められんわけだ」

(´<_` )「むしろ認めたくないものだな、指輪側としては」

(*゚∀゚)「そろそろ攻撃していい?」

戦いはまだまだ長引きそうだ。



37: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:07:18.27 ID:gGzEicxW0
  
玄関前。
その場では高速ともいえる攻防が展開されていた。

(´・ω・`)「っ!」

( ゚∀゚)「うぉらっ!」

紫色の槍と、灰色の鎖が絡み合う。
槍は刺突。
鎖は宙を這う。

戦況としてはジョルジュが少し押され気味だ。
斬撃などとは違い、ショボンの槍を用いた攻撃方法は突きが主流。
ゆえに鎖で絡め取るには少しコツが必要なのだ。

(;゚∀゚)「ちっ、やっぱ槍はヤリずれぇ……何つって」

(´・ω・`)「悪いね……どうやら僕の方が有利みたいだ。
      あとそのつまらないギャグ、もう言えないようにしてあげるね」

高速の刺突を放ちながらショボンが踏み込んでくる。
途端、石突でジョルジュの顎をかちあげた。

(;゚∀゚)「ごがっ!?」

(´・ω・`)「余所見は禁物だよ」

余所見をさせたショボンが、シラっと言いつつ連撃を開始する。



40: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:10:54.25 ID:gGzEicxW0
  
( ゚∀゚)「ちっくしょっ……!」

対するジョルジュは鎖を纏い、防御体勢に入った。
次々を襲い掛かる穂先を防ぐ。

(´・ω・`)「今だよ、ブーン」

呟いた瞬間、ジョルジュの右頬に死角からのブーンの一撃がめり込んだ。

(#)∀゚)「て、てめぇらぁ……!」

( ^ω^)「おっおっ」

一旦、距離をとる。
二人で並んで各々の武器を構えながら

( ^ω^)「ショボン……僕は嬉しいお」

(´・ω・`)「何がだい?」

( ^ω^)「君と共に戦えることが、だお」

(´・ω・`)「それは期待されていると判断していいのかな?」

( ^ω^)「もちろんだお!
      ショボンは昔から頼りになるんだお!」

(´・ω・`)「……ありがとう」

少し照れながらうつむくショボンを、本当に嬉しそうな顔で見るブーン。



41: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:15:08.74 ID:gGzEicxW0
  
それに対し、ジョルジュは牙を剥いて唸る。

(#゚∀゚)「ちーっとキレちまったぜ……!」

(´・ω・`)「最近の若者はすぐにキレるね。
      カルシウム不足? 牛乳飲めないタイプ?」

(#゚∀゚)「殺すッ!」

鎖を手に持ち、彼はかつても叫んだ言葉を口にした。

(#゚∀゚)「『OVER ZENITH』!!」

(;^ω^)「!」

瞬間、大気が震え光が発せられた。
風が、空気が、大気が、ショボンとブーンの立つ位置にまで吹き込んでくる。
腕で風を防ぎながら

(´・ω・`)「ブーン、これからが本番だよ」

( ^ω^)「解ってるお!」

二人で油断無く構え、相手を見据える。
未だジョルジュは光の中だ。
発光時間が長い。
それはつまり、強力なモノが出てくるという事だろうか。
ブーンは少し緊張した面持ちでそれを待ち受ける。
果たして、鬼が出るか蛇が出るか――



43: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:17:15.32 ID:gGzEicxW0
  
屋敷内。
3階に存在する大広間の最奥にドクオはいた。

正面にはクックル。
追いかけてくるクックルから逃げ続け、辿り着いた部屋がここだった。

('A`)「やべぇな……」

周りを見ながらつぶやく。
出口がなく、そして窓もない。
唯一の出入り口はクックルの巨体が阻んでいる。
部屋の広さは20メートル四方。
数台の長机と椅子があるだけで、障害物はほぼ無いといってもいいだろう。
こんな状況で銃を用い、あの巨体をしとめるのは難しい。

(゜∈゜)「…………」

そんなことを考えている内にも、奴はドスドスと近付いてくる。
射撃。
しかし効いているように見えない。

(;'A`)「おいおい……これってマジやばくね?」

ミ,,゚Д゚彡「ドクオさん!」

大広間の入り口からフサギコが姿を現した。
その手には大型のナイフと、黒い光を鈍く放つマシンガンらしき銃器だ。



45: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:19:44.08 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「とりあえず挟み撃ちしましょう!
      いくら防御力が高くとも、攻撃を重ねれば――」

('A`)「解った!」

二人同時に得物を構える。

('A`),,゚Д゚彡「おぉぉぉぉぉ!!」

そして同時に攻撃を開始した。

クックルの前方からは高速の光弾。
クックルの後方からは銃弾の嵐。
それらがクックルの巨体に襲い掛かる。

(゜∈゜)「……!」

動きがあった。
クックルが両腕を上げ、防御にまわしたのだ。
それはつまり――

('A`)「少しは効いてるってことだよな……ってことは無敵じゃねぇ!」

ミ,,゚Д゚彡「私が接近戦を仕掛けます! ドクオさんは援護を!」

('A`)b「把握した!」



46: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:22:28.51 ID:gGzEicxW0
  
フサギコがナイフを片手に走り出す。
クックルが気付いた。

しかし方向転換をする前に、ドクオの射撃が頭部を捉える。
その隙にフサギコのナイフがクックルの巨体を切り裂いた。
脇腹から、少量の血が噴き出す。

('A`)「おっしゃ!」

初めて与えたダメージらしきものに、ついドクオはガッツポーズをとる。

ミ,,゚Д゚彡「しかし何て防御力なんでしょうか……普通なら致命傷モノですよ、今のは」

('A`)「今はそんなこと考えてる場合じゃねぇだろ。
    とにかく動きを止めるぞ!」

ミ,,゚Д゚彡「はい、いきます!」

再度、フサギコが接近を試みる。

それを見つつ、大した度胸だ、とドクオは思う。
あんな怪物じみた大男にひるみもせず立ち向かっていく。
もしかしたら、そういう類の訓練でも受けているのかもしれない……というか受けているのだろう。



49: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:24:29.97 ID:gGzEicxW0
  
('A`)(俺とは大違いだ……)

しかし、自分だって負けてはいない。
ついこの前まで高校生をしていた自分が、今やあんな怪物としっかり戦えている。

ジョルジュ戦ではあまりに情けない事態に陥りかけたが
フサギコという男のおかげで何とかなりそうに思える。

やはり自分はサポート役だな、と改めてドクオは思う。
ガロンは前線に突撃して敵を一掃するタイプではなく、味方を背後から援護する武器だ、とも思う。

('A`)(まさに俺向き、だな)

少し諦めたような、しかし納得した吐息。
自分はブーンやギコのようには戦えない。

怖いから。
恐ろしいから。
度胸が無いから。

しかし、代わりに援護という彼らに出来ないことが可能なのだ。

それは誇れることだろう。
それは誇っても良いことだろう。

ならばやることは一つ。



51: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:27:21.24 ID:gGzEicxW0
  
('A`)「行くぜ、ガロン!」

フサギコの動きを阻害しないよう、慎重に狙いを付けて撃つ。
それにより、クックルの動きが鈍る。
そして出来た隙をフサギコが的確に突いていく。
ドクオの素人目から見ても、それは割と良いコンビネーションに見えた。

(゜∈゜)「……!」

次々と傷が増えていくクックル。
その鈍い動きでは、フサギコを捉えることが出来ない。

ミ,,゚Д゚彡「いけます!」

('A`)「やっちまえ!」

その時だ。
クックルが懐を探る動作をとる。
取り出したのは――

ミ,,゚Д゚彡「……指輪?」

(;'A`)「ま、まずい!」

しかし遅い。
ドクオが叫んだと同時に、クックルはウェポンを発動した。
緑色の発光が周囲を包む。



52: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:29:59.98 ID:gGzEicxW0
  
ミ;,,゚Д゚彡「これは……?」

(;'A`)「離れろ! 何の武器が来るか解らねぇぞ!?」

ミ;,,゚Д゚彡「は、はい!」

バックステップで距離をとる。
戦闘経験などはフサギコが上だが、指輪戦闘ではドクオの方が詳しい。
それを察してか、フサギコはドクオの忠告を素直に聞き入れた。

発光が止む。
その中から出てきたのは――

('A`)「斧……!?」

クックルの右手に握られていたのは斧。
緑色の巨大な両刃があり、しかし柄は短い。
巨大なトマホーク、と表現した方が早いか。

ミ;,,゚Д゚彡「な、何なんですか、アレ!」

('A`)「説明は後でする!
   とりあえず普通の斧じゃねぇのは確かだ!」



54: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:33:11.88 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「わ、解りまし――」

言いかけたその時。

「フサギコ……?」

声。
女性の声だ。
二人は一斉に声のした方向――大広間の入り口――を向いた。

ξ゚听)ξ「……どうなってるの、これ?」

ツンだ。
彼女が入り口のドアに隠れるようにして、こちらの様子を伺っていた。
どうやら静かになったのを不審に思い階下に降りてきたのだろう。

ミ;,,゚Д゚彡「お、お嬢様!? こちらに来ては駄目です!」

ξ゚听)ξ「え? え?」

(゜∈゜)「…………」

その声にクックルが気付いた。
ツンの方を向く。
まずい。

(;'A`)「やめろ!!」

ガロンから光弾が放たれる。
が、クックルは意に介さない。



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