( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

43: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:40:07.74 ID:BnDT+RQJ0
  
ガンッという硬質な音と、そして脳を揺さぶる衝撃。
クーはあっと言う間に、巨剣と共に壁に叩きつけられた。

川;゚ -゚)「がっ……あぁ……!」

( ,,゚Д゚)「言っただろう。
     お前の刀とは比べ物にならん、とな」

ギリギリと巨剣を押し付けながら淡々と語るギコ。
対するクーは、その身を圧迫する力に圧倒される。

川;゚ -゚)(な、なんだ、この威力は……!?
      腕の力だけでは、こんな力など……)

おそらく、ウェポンの能力だろう。
だが単に攻撃力上昇ではないはずだ。
クーはそう判断する。
それで片付けるには、妙な点があるのだ。

だが、今はそんなことを考えている場合ではない。
このままでは――



45: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:42:40.43 ID:BnDT+RQJ0
  
川;゚ -゚)「くそッ……!!」

全身の力を振り絞り、巨剣を押し返そうとする。
だが動かない。

( ,,゚Д゚)「無駄だ」

ギコが両手に力を篭める。
メリメリという音を立て、クーの背後のコンクリート壁にヒビが入っていく。

川;゚ -゚)「ッ……ああぁ……ッ!?」

己の刀が、腕が、圧力が身体に食い込む。
口からは処理しきれない涎が流れ、目には自然と涙が浮かぶ。

( ,,゚Д゚)「…………」

ギコはその力を止めることなく巨剣を押し付ける。
メリという音と同時に、ゴキリという嫌な音が混じり始めた。

川;゚ -゚)「あぁぁ……うあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

壁のヒビが広がり、クーの叫び声も大きくなる。



46: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:45:19.83 ID:BnDT+RQJ0
  
( ,,゚Д゚)「よく耐えたな……終わりだ」

ふと、巨剣から力が抜ける。
思わず膝を折るクー。
ハ、ともヒ、とも聞こえる短い呼吸をしながら、刀を支えに倒れぬよう身体を支える。

( ,,゚Д゚)「そう、これで、終わりだ」

その言葉に、クーは顔を上げる。
ギコが、その青い巨剣を振りかぶっていた。

川;゚ -゚)「なっ……!?」

( ,,゚Д゚)「じゃあな」

バットのように振る。
襲い掛かるは刃ではない。
刀身の腹の部分だ、
高速とも言える速度で、巨剣はクーの顔から胸元を捉えた。

轟音。
割れやすくなった壁をぶち破り、クーはその奥にある教室へ吹き飛んだ。
机と椅子を派手に倒しながら、教室の奥へ身を飛ばし、ロッカーにぶつかる。



48: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:48:36.28 ID:BnDT+RQJ0
  
川;- -)「ぁ……ぅ……」

小さい呻き声を漏らしながら、しかしその身は動くことはなかった。
パラパラと、破片が落ちる音。
振り終わったギコは巨剣を指輪に戻す。

( ,,゚Д゚)「失敗作は失敗作、か……」

呟き、背を向ける。
その目線の先は昇降口だ。
向かう先は逃げたブーンの元。
奴から『8th』を回収しなければ、今回出てきた意味が無い。

歩き出す。
ふと、その昇降口に人影があるのが見えた。
一瞬、しぃだと判断。

( ,,゚Д゚)「?」

違う。
男だ。

( ^ω^)「…………」



49: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:51:51.41 ID:BnDT+RQJ0
  
先ほど逃げたはずのブーンだった。
彼は肩を上下させ、荒い息を吐いている。

( ,,゚Д゚)「どうした……何しにここに戻ってきた?」

( ^ω^)「今のは、アンタがやったのかお……?」

無視し、ブーンは問う。

( ,,゚Д゚)「あの女のことか……見ていただろう?
     俺がやった。」

( ^ω^)「何故だお……?」

( ,,゚Д゚)「お前が素直に指輪を渡さなかったからだ。
     だが安心しろ、殺してはいない」

( ^ω^)「そういう問題じゃないお……」

( ,,゚Д゚)「じゃあ、どういう問題だ?」

(#^ω^)「そういう問題なんかじゃないお……!!」



52: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:54:20.45 ID:BnDT+RQJ0
  
稚拙な殺気。
荒削りなそれは、ギコの汗一つ流すことは出来なかった。
だが――

( ,,゚Д゚)「……あの女が俺にやられたから、どうする気だ?」

(#^ω^)「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

指輪を取り出し、しっかりと指にはめる。
瞬間、発光。

( ,,゚Д゚)「馬鹿が……」

光が止む。
そこには、先ほどまでと同じ格好のブーンがおり、その両手には白いグローブ。

(#^ω^)「…………」

( ,,゚Д゚)「格闘戦仕様のウェポン、か。
     さて……お前はどうだろう? 失敗作のようにすぐに倒れるのだろうか?」

ギコもウェポンを解放する。

青い巨剣と白いグローブ。
『1st』と『8th』が対峙する。



54: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:56:33.33 ID:BnDT+RQJ0
  
( ,,゚Д゚)「始める前に言っておく」

(#^ω^)「……何だお」

( ,,゚Д゚)「死んでも恨むなよ」

瞬間、ギコが動いた。
巨剣を肩に担いだまま、ブーンの元へ突進する。

(#^ω^)「……!」

ブーンは動かない。
右手を眼前に、左手を腰だめに構えたまま、ギコを待ち受ける。

( ,,゚Д゚)「ッ!」

ブーンから見て、左上から巨剣が迫る。
高速、そして高威力。
武器としては性質の悪いそれが、ブーンに迫った。



55: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 22:59:02.86 ID:BnDT+RQJ0
  
(#^ω^)「ふっ!」

重心を左に。
正中線から身をズラし、迫る巨剣を回避する。
己の右耳、そして右肩を、巨剣が鋭く通過していく。

それを見届けたブーンは、身を前に投げ出した。
握った右拳で、隙だらけのギコの顔面を殴り飛ばし――

(#^ω^)「!?」

が、受け止められる。
ギコが咄嗟に離した左手によって、ブーンの攻撃は顔面に届くことは無かった。

( ,,゚Д゚)「格闘技経験者か……面白い」

ギリッとブーンの手を握る。
一瞬うろたえたブーンだが、気を取り直し距離をとるために地を蹴った。
それを逃がすギコではない。
腰だめに構えた巨剣を持ち、後退するブーンを追撃する。

(#^ω^)「!?」

( ,,゚Д゚)「格闘経験者に接近戦は禁物、故に接近はしてこない……。
     勝手にそう考えていたお前のミスだ」



56: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:01:30.58 ID:BnDT+RQJ0
  
今度は下方から剣が迫る。
つい慌てたブーンは、左手で右下方から迫る刃を押さえてしまう。
衝撃。
が、痛みはあまりない。

(;^ω^)「あ、あれ?」

衝撃こそあったものの、自分の手が裂けるようなことはなかった。

( ,,゚Д゚)「ウェポン同士の接触は、ほぼダメージにならない。
     特に接近戦用のウェポンを使う身なら、それくらい憶えておけ」

(;^ω^)「……!?」

一瞬、ブーンは呆けてしまう。
何故、彼は敵に塩を送るような情報を伝えてきたのか。
が、考える間もなくギコの猛撃が始まる。



57: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:03:51.93 ID:BnDT+RQJ0
  
( ,,゚Д゚)「これは、どうかな?」

足を引き、巨剣を水平に構える。
刺突。
直感したブーンは、重心をズラした。
轟、と風を貫く音と共に巨剣がブーンの顔をかする。
隙が出来た。
判断は一瞬。
ブーンは先ほどのように身を前に出し、今度は腹目掛けて蹴りを放った。

( ,,゚Д゚)「馬鹿の一つ覚えだな」

またもや防がれる。
しかし――

(#^ω^)「これでいいんだお!」

グン、と、ギコの身が背後に押された。

(;,,゚Д゚)「!?」

自分は確かに蹴りを受け止めたはずだ。
何故だ?
思うと同時に、その身は弾かれ吹き飛ばされた。
バク転するように空中で身を回し、着地。
巨剣を肩に担ぎ、今の現象を冷静に分析する。



60: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:06:39.75 ID:BnDT+RQJ0
  
( ^ω^)(成功したお……!)

対するブーンは、自分の思惑通りに事が運んだことに内心喜んでいた。

少林寺拳法の蹴りとは、蹴り上げることではない。
言うなれば、それは蹴り押すという方法だ。

膝から先をを畳んだ状態で膝を上げる。
そして膝から先を上げ蹴り込むのだ。

相手に当たった状態では、まだ足は完全に伸び切ってはいない。
そのまま全体重をかけて、畳まれていた足を完全に伸ばし、相手を蹴り押すのだ。

そこに相手の頑丈さなどは関係無い。
全体重と足の力を篭められたそれは、圧倒的な体重差が無い限りは、ほぼ確実に対象を吹き飛ばす。

反撃を食らわないように考えられた、防御を兼ね備えた蹴りが少林寺拳法の基本なのだ。

( ,,゚Д゚)(妙な足技を使う……慣れていなければ厄介だな)



61: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:09:31.96 ID:BnDT+RQJ0
  
( ^ω^)「行くお!」

調子に乗ったブーンは、ギコの元へ駆け出す。
拳を握っていないところを見れば、次もまた蹴りを繰り出すつもりなのだろう。

( ,,゚Д゚)「技は妙だが……オツムはまだまだのようだな」

思惑を読み取り、防御体勢に入るギコ。
ブーンの右足に力が入った。
来る。
右膝が上がり、迫ってくる。

( ,,゚Д゚)(馬鹿が……!)

巨剣を地面に突き立てる。
この巨剣に蹴りを入れれば、おそらくブーンの足はただでは済まないだろう。
ウェポンの攻撃が防げるのはウェポンだけだ。
拳にしかウェポンを装着していないブーンの足は、防御力0のような状態。

しかし、ギコは気付いていなかった。
膝を上げた右足とは逆の左足。
その足先が外側を、踵が内側を向いていることに。



63: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:11:49.67 ID:BnDT+RQJ0
  
( ^ω^)「ッ!」

高速でブーンの身が回る。

(;,,゚Д゚)「!?」

膝から先が、一瞬で地面と並行になったのだ。

(;,,゚Д゚)(これは……!)

地と平行となったブーンの足は、ギコの真横から鋭く迫ってくる。
想定外の出来事に、ギコは対処し切れなかった。

(;,,゚Д゚)「つぁッ……!?」

脇腹に衝撃。
モロに喰らったギコは、吹き飛ぶように身を宙へ飛ばす。
バランスを崩しながらも着地。
砂煙の中、またもや妙な足技を喰らったギコは歯噛みする。

( ,,゚Д゚)(面倒な相手だ……)

ウェポンで動きが強化されているとはいえ、その速度と正確さは素人のそれとは段違いだ。
そしてあのフェイントを含んだ攻撃。
初めて戦闘するにあたって、あれほど面倒な相手はいないだろう。



66: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:14:32.43 ID:BnDT+RQJ0
  
( ^ω^)「なんか結構イケそうな予感がするお……」

相変わらずすぐに調子に乗るブーン。

先ほどの蹴りの正体は、回し蹴りだ。
通常の蹴りとは違い、踏み込んだ足の先を外側に向ける。
これはやってみればすぐに解るが、そのまま蹴ると尻の右部分が上がり、蹴りが地面と平行になるのだ。

つまり蹴る直前まで、通常の蹴りと回し蹴りと判別がつかない。

通常の蹴りの後にやると、実は意外と効果抜群で、ほぼ確実に一撃を入れられる。
ブーンはそれを利用したのだ。
まさかあのギコ相手にもそれが通用するとは思わなかったが。

( ^ω^)(きっと身体能力が上がっているからだお……!)

イケそうだ、と思う。
何とかなりそうだ、とも思う。
この8th−W・クレティウスはブーンにとってかなり相性が良いらしい。



68: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:16:57.07 ID:BnDT+RQJ0
  
先ほどから沈黙を保つギコを正面に見据え、ブーンは構えをとった。
今度は何をしてやろうか。
ブーンは少しずつ、この戦闘が楽しくなっていく気がしていた。
先ほどまでの怒りは既にほぼ失せている。

無論、それは戦闘狂への第一歩であるのだが、本人は気付かない。

しかし――

ふと、前方のギコがウェポンを消してしまった。
巨剣から指輪に戻り、それはギコの中指に収まる。

(;^ω^)「……どうしたんだお?」

( ,,゚Д゚)「やめだ」

ギコはコートについた埃をはたく。

(#^ω^)「まだ決着がついてないお!
       それに、ここでウェポンを奪っておかないと、また襲ってくるんだお!」

( ,,゚Д゚)「襲わんよ。
     お前は充分に強いことが解ったからな」

(;^ω^)「……どういうことだお?」



70: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:21:07.86 ID:BnDT+RQJ0
  
( ,,゚Д゚)「お前は自分でウェポンを護れるほどの力を持っている。
     だから俺が預かる必要はないってことだ」

(;^ω^)「アンタ……あのジョルジュとかいう奴の仲間じゃないお?」

( ,,゚Д゚)「なんだ、勘違いしていたのか」

呆れるように吐息する。

( ,,゚Д゚)「アイツらは、俺にとっても敵だ」

(;^ω^)「え……!?」

( ,,゚Д゚)「まさか何も知らずに俺と戦ったのか……って、そういえば説明していなかったな」

(;^ω^)「ど、どういうことか説明して欲しいお」

その時、校舎の方から女性の声が響く。

(*゚ー゚)「ギコ君! もう終わった?」

( ,,゚Д゚)「あぁ、終わったぞ」

(*゚ー゚)「あれ? まだ彼、ほとんど無傷だよ?」

( ,,゚Д゚)「殺す必要はない。 アイツはやっていけるさ」



71: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:23:37.77 ID:BnDT+RQJ0
  
ギコは背を向け歩き出す。
それにしぃが追従するように駈け寄っていく。

(;^ω^)「ま、待つお! まだ何も聞いてないお!」

その声に振り向いたギコは、口元に笑みを浮かべ

( ,,゚Д゚)「その指輪は奪われるな、自力で護れ。 俺から言えるのはそれだけだ。
     あとはあの失敗作に聞くんだな」

そして

( ,,゚Д゚)「俺の名はギコ。
     『牙猫』といったら、おそらく俺のことだろう。
     この異名に不満はありまくるけどな」

あと、と彼は付け足す。

( ,,゚Д゚)「失敗作にも伝えておけ、『試して悪かった』と」

と言い残し、歩いていった。
ブーンはその後姿を呆けて見ていたが

(;^ω^)「あ! クーさん!」

と、慌てて校舎に走っていくのだった。



72: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:26:15.89 ID:BnDT+RQJ0
  
彼女は、未だボロボロになった教室の奥に倒れていた。
それを見つけたブーンが慌てて駈け寄る。

(;^ω^)「クーさん!!」

抱き起こす。
息はあるようだ。
クーの目が薄く開かれる。

川;゚ -゚)「無事、だったか……」

(;^ω^)「ギコってヤツは僕がやっつけたお!
       だからもう安心していいお!」

それを聞いたクーは、安心したように吐息する。
だが、その表情は少し悲しそうだ。

川;゚ -゚)「すまない、な……君を護ると約束したのに……」

( ^ω^)「そんなのいいお!
      二人とも無事だったんだから、万事OKだお!」



74: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:28:37.33 ID:BnDT+RQJ0
  
クーは口元に、微かに笑みを浮かべる。

川:゚ー゚)「君は、優しいな……」

( ^ω^)「普通だお!」

出来るだけ元気なように見せるブーン。
だが、その実は体力が限界を迎えつつあった。

( ^ω^)「早く病院に行くお!
      こんな怪我、すぐに治っちゃうお!」

川;゚ -゚)「いや……病院は必要ない。
     保健室のベッドか何かで……休ませてくれ……」

(;^ω^)「そ、そんな……」

川;゚ -゚)「理由はいつか話す……。
     だから、私の言う通りに……してくれないか」

(;^ω^)「わ、解ったお……」

クーを背負い、学校を後にするブーン。
保健室では心配だったので、自宅の布団に寝せることにした。



75: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:31:17.16 ID:BnDT+RQJ0
  
夜。
寂れたバーの扉が開かれる。
暗がりの奥で、若い主が客にお決まりの台詞をかける。

(´・ω・`)「ようこそ、バーボンハウスへ……って、君達か」

( ,,゚Д゚)「昨日は世話になった」

(*゚ー゚)「どうも〜」

二人は昨日と同じ椅子に座り、同じ注文をする。
若い主は昨日と同じ動作を取りながら

(´・ω・`)「結果はどうなったんだい?」

( ,,゚Д゚)「俺が回収するまでも無かった。
     荒削りだが、アイツは努力すれば強くなるだろう。
     それに、良いパートナーが側にいるしな」

(´・ω・`)「そう、それは良かった」

二人に酒を出す。
片方はしばらくそれを見つめ
片方はすぐさまそれを飲み始める。



77: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:33:57.22 ID:BnDT+RQJ0
  
( ,,゚Д゚)「殺すな、と言われたが……あの少年とは知り合いか?」

(´・ω・`)「うん……まぁね」

一杯目を飲み終えたしぃが、口を開く。

(*゚ー゚)「へぇ、そうなんだ……どんな関係?」

( ,,゚Д゚)「しぃ、あまりそういう事に突っ込み過ぎるな」

(´・ω・`)「いや、少しくらいなら語るよ。
       彼を生かしてくれた恩人だからね」

ギコは酒を一口飲んで黙った。
代わりに、とでもいうように隣のしぃが問う。

(*゚ー゚)「その少年とは……良い関係だったの?」

(´・ω・`)「どうだろうね。
       彼のせいでこの店の主になったようなものだし
       彼のお陰でこの店の主になったようなものだよ」

( ,,゚Д゚)「何やら深い因縁がありそうだな」



79: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:36:11.28 ID:BnDT+RQJ0
  
(´・ω・`)「そんな大層なものじゃないよ。
       ただの子供の純真さが生んだ悲劇、というには稚拙なものだけど」

(*゚ー゚)「子供の純真さ……?
     貴方、若く見えるけど歳は?」

(´・ω・`)「18」

(;,,゚Д゚)「おいおい……昨日、思い切り酒を飲んでたな、アンタ」

(;*゚ー゚)「しかも私達より年下……」

(´・ω・`)「気にしないでよ。
      一応、僕は大人だよ」

少し悲しそうに、若い主は背を向けた。
もう語る気は無いらしい。
話す気がないなら、こちらからも無理に問い出すことは無い。
ギコは静かに酒を口に入れた。



82: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:39:01.13 ID:BnDT+RQJ0
  
ドクオが見たものは、奇妙な風景だった。
買い物帰りに彼は歩いていた先で、ブーンを見つける。

('A`)「あれ、ブーンか?」

が、その背には黒いコートの女性が担がれていた。
ヨタヨタとふらつきながらも、彼は一生懸命歩いていく。

('A`)「なんだ、ありゃ……?」

ある考えへ行き着いた。

(;'A`)「まさか……彼女か!?」

拳を握り、怒りに悶える。

(;'A`)「ちくしょぉぉぉ! くやしぃぃぃぃ!!」

道のど真ん中で叫ぶ彼の姿は、もはや滑稽としか言い様がない。
だから女が近寄ってこないのだ、とツッコむ者は残念ながら彼の側にはいなかった。
普通にしていれば、ちょっと不良風の格好に、陸上部のエースとモテ要素はあるだろうに。



84: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/05(佐賀県庁) 23:41:11.71 ID:BnDT+RQJ0
  
ふと、ドクオは自分の手に異変が発生したのに気付く。

('A`)「あ……?」

彼の左手にはめてある茶色の指輪。
それが、僅かに振動しているのだ。

('A`)「なんじゃこりゃ……気味悪ぃ」

しばらくすると、その振動は無くなった。

('A`)「意味ワカンネ」

そう呟きながら、ドクオは帰り道を急ぐのだった。



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