( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

33: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:21:46.03 ID:e5u5I1QA0
  
ドクオは焦った。

こいつは狂っている。
このままでは殺される。

(;'A`)「う、うわぁぁぁ!」

四つん這いで逃げ出す。
が、一瞬で女が行く手を塞いでしまった。
まるで瞬間移動だ。

(*゚∀゚)「根性ないなぁ。
     まぁ、私としては悲鳴はどんと来いって感じだけど」

ケラケラ笑いながら、ナイフを巧みに操り回す。

(*゚∀゚)「で、最期に何か言いたいことは?
     別に誰かに伝える気も、叶える気もないけど、聞くだけ聞いてあげるよー。
     私って優しくてたまんないね、こりゃ! 惚れたら駄目だよ!」

(;'A`)「な、な、なんで俺が……」

(*゚∀゚)「それが最期の言葉? もっと命乞いしなよー。
     そうじゃないと、殺す楽しみ半減じゃーん」



34: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:24:09.97 ID:e5u5I1QA0
  
ケラケラ、ケラケラ。

なんでこいつはこんなに笑っていられるんだ?
これから人を殺そうというのに。
もしかしたら警察に捕まって、人生が閉ざされるかもしれないのに。
家族や友達が、悲しむかもしれないのに。

(;'A`)「な、なんでだよ……なんでだよ!!」

(*゚∀゚)「はぁ? 頭だいじょーぶ?」

女の笑いがピタリと止まった。
その身から、得体の知れない気――殺気――が噴き出す。

(*゚∀゚)「もう飽きちゃった。
     そろそろごーとぅーへるの時間だよ」

(;'A`)「う、う、うあぁぁ……」

ガクガクと足が、手が、全身が震える。



36: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:26:31.42 ID:e5u5I1QA0
  
これから、俺は死ぬんだ。
これから、俺は生を失うんだ。
これから、俺はアイツらに会えなくなるんだ。
ブーン……そして、ツン……。

彼女の笑顔が過ぎった時。
ドクオの中に襲われて以来、初めて怒りという感情が湧き上がった。

なんで、俺が殺されなきゃならない?
なんで、コイツが勝手に生き死にを決定する?
なんで――

なんで、俺は何もしないんだ……!?

(;'A`)「う、うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

咄嗟に震える足に鞭打ち、低い姿勢で女に突っ込んだ。
要はラグビーの突進だ。
狙うはあの赤いブーツ。
相手を倒しさえすれば、逃げ切れるかもしれない。

生きたい。

それが彼を突き動かした。



37: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:28:53.43 ID:e5u5I1QA0
  
(*゚∀゚)「は?」

赤い足が消える。
ドクオは勢い余って、強かに顎を地面に打ちつけてしまった。

(;'A`)「い、いない……!?」

一瞬前まであったはずの足が消えている。

(*゚∀゚)「最期の足掻きってやつだねぇ……醜いねぇ……」

女の声が背後から聞こえた。
振り向く。
女がナイフを振り上げた瞬間だった。

(;'A`)「ッ!?」

激痛。
身体が無意識に跳ねる。
見れば、右足の腿にナイフが深々と刺さっていた。

(;'A`)「ああああぁぁぁぁぁ!?!?」



38: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:30:49.63 ID:e5u5I1QA0
  
初めて経験する痛み。
ある意味、産声とも言える声に女は過剰に反応する。

(*゚∀゚)「そう! その声!
     その声が聞きたかった!
     苦悶に満ちた声! 効く効くぅー!」

またもや親指をビッと勢い良く立て、笑顔で喋る。

(*゚∀゚)「意外と良い声してんじゃん!
     もっと聞かせてよ!」

彼女が二撃目を振り上げる。

死ぬ。
もう駄目だ。

ドクオは遂に生を諦める。

('A`)(…………)



40: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:32:54.69 ID:e5u5I1QA0
  
その時だ。

(*゚∀゚)「!?」

女が飛ぶようにその場を退避した。
続いて女がいた空間を、銀光がかすめていく。
そして、聞き覚えのある声。

(;^ω^)「ドクオー!!」

(;'A`)「っ……!?」

見れば、校門の方からブーンと女性が走ってきている。
現われた意外な人物にドクオは驚きを隠せない。

(;'A`)「ブ、ブーン……!?」

(;^ω^)「ドクオ、大丈夫かお!?」

川 ゚ -゚)「私に任せろ」

黒いコートを着た女性が、ドクオの止血に取り掛かる。



42: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:35:09.86 ID:e5u5I1QA0
  
川 ゚ -゚)「内藤、奴はどこへ行った? 警戒しておいてくれ」

( ^ω^)「把握したお」

言われたブーンが、拳を構えて周囲を警戒し始めた。
その彼に、ドクオは話しかける。

(;'A`)「ブーン……お前……」

( ^ω^)「話は後だお。 ここは僕に任せるお」

川 ゚ -゚)「校内に人は?」

(;'A`)「い、いや、もう皆帰っちまった……」

川 ゚ -゚)「よし、内藤……ウェポンを使うんだ」

(;^ω^)「え、でも……ドクオが……」

川 ゚ -゚)「君は意外と抜けているな。
     7th−Wの持ち主は、彼だぞ。
     もはや彼は我々の戦いに巻き込まれた」

(;^ω^)「え……mjd?」



43: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:37:20.32 ID:e5u5I1QA0
  
クーがドクオの左手を取る。
その指には茶色の、ブーンと同じ形状の指輪がはめられていた。

(;'A`)「え、え、え?」

(;^ω^)「そんな、ドクオ……」

混乱するドクオと、ショックを受けるブーン。

(;^ω^)「で、でも、今はこの場を切り抜けるが先だお!
       生き残れば、話はいくらでも出来るんだお!」

川 ゚ -゚)「あぁ、そうだな」

クーがドクオの側を離れ、先ほど投げた刀の回収に向かう。
その時だ。

(*゚∀゚)「あんたら、何?」

(;^ω^)「!?」

ブーンの背後の女がいた。
近付かれた気配など、微塵も感じてはいない。
まるで最初からいたとでも言いたげな表情で、彼女はそこにいた。



44: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:39:37.25 ID:e5u5I1QA0
  
(;^ω^)「な、何だお……!?」

(*゚∀゚)「何、って聞いてるのさ」

瞬間、女が腕を振るい、ブーンは反射的に身を屈する。
彼の喉があった場所を、ナイフが切り裂いた。

(*゚∀゚)「やるじゃん♪」

(;'A`)「き、気をつけろ、ブーン!
    そいつは瞬間移動するんだ!」

(;^ω^)「しゅ、瞬間移動!?
      んなファンタジックな!」

川 ゚ -゚)「その赤いブーツがウェポンのようだな」

刀を回収したクーが戻ってきた。
冷静な彼女がいれば、相手の能力分析は確実に行われるだろう。



48: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:41:48.57 ID:e5u5I1QA0
  
対する女は、ナイフを回転させながら

(*゚∀゚)「私の名前は『ツー』。
     ウェポンは、6th−W『ギルミルキル』。
     これが可愛くて可愛くて、仕方の無いヤツでねー。
     能力は――」

瞬間、ツーが消える。

川 ゚ -゚)「!」

今度はクーの背後にいた。

(*゚∀゚)「ってわけさぁ」

(;^ω^)「意味が解んないお……」

しかし確実な点がある。
彼女は自分の名とウェポン名をベラベラと喋った。
つまりは相当の自信があるということだ。
そして、その狂気とも言える自信と戦闘に対する姿勢には、見覚えがあった。



49: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:43:52.64 ID:e5u5I1QA0
  
( ^ω^)「もしかして、アンタは……」

(*゚∀゚)「VIPって言えば解るかなー?」

(;^ω^)「やっぱりジョルジュの……!」

(*゚∀゚)「ジョルジュ知ってるんだ。
     あんな奴は、同僚とは思いたくないけどねー。
     だって――」

彼女は、歯を剥いて笑った。

(*゚∀゚)「私 の 方 が 強 い し」

瞬間、消滅。
ツーの姿が掻き消える。

川;゚ -゚)「気をつけろ、内藤!」

( ^ω^)「合点承知!」



51: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:46:02.28 ID:e5u5I1QA0
  
指輪をはめた拳に力を篭める。
発光。

( ^ω^)「8th−W『クレティウス』――発動!!」

川;゚ -゚)(そんな掛け声はいらないのだがな……)

白いグローブがブーンの両拳に装着される。

(;'A`)「ブ、ブーン……」

親友の見たことの無い姿に困惑するドクオ。

( ^ω^)「ドクオは安全な場所に逃げるお!
       ここは僕達が何とかするお!」

(;'A`)「わ、解った……!」

痛む足を引きずりながら、その場を退避するドクオ。
しかし、それを阻む風があった。

(*゚∀゚)「逃ーがさないよー」

(;'A`)「う、うわ!?」



52: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:48:32.09 ID:e5u5I1QA0
  
突如、ドクオの眼前に現われるツー。
まさに瞬間移動といえる動作だ。

(;^ω^)「くっ!」

駈け寄り、拳を突き出す。
が、それが届く前に相手が消える。

(;^ω^)「このままじゃまずいお……」

相手の能力が瞬間移動であればと、相当に厄介だ。
自分の位置を自由に変更可能だとすれば、どんな死角からも攻撃出来ることを示す。
自らは攻撃は受けず、そして自由に攻撃が可能。
いくらブーンの身体能力が高くなっていようとも、移動時間がゼロの相手ではどうしようもない。

(;^ω^)「ど、どうするお……」

こうしている間にも、相手は何処から攻撃してくるか解らない。

川 ゚ -゚)「…………」

クーは、何かを考えるように黙考していた。

(;^ω^)「クー……?」



53: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:50:54.47 ID:e5u5I1QA0
  
(*゚∀゚)「いいのかなー?
     そんなボーッとしててさー」

風を切る音と共に、ツーが姿を現す。
場所は完全にブーンの死角となる背後だ。

(;^ω^)「!?」

慌てて防御体勢に持っていくが、間に合わない。
鋭い痛み。
咄嗟に振ったブーンの右肘に、赤い線が走った。

(*゚∀゚)「いいねいいねぇ……。
     その抗おうっていう心意気、嫌いじゃないよ。
     もちろん、それを叩き潰すのが一番好きなんだけどねー」

砂埃を残し、またツーの姿が消える。

(;^ω^)「反則だお……!」

悔しそうに歯噛みする。
その右肘からは、僅かだが血が流れ出ていた。



55: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:53:04.24 ID:e5u5I1QA0
  
(;'A`)「ブーン!」

川 ゚ -゚)「死角から狙う、か……」

クーが呟くのをドクオは聞いた。
彼女は刀を一振りし、ブーンに告げる。

川 ゚ -゚)「内藤、私と背中合わせになるんだ。
     少なくとも背後の死角は消せる」

( ^ω^)「解ったお!」

背中合わせになり、互いの武器を構える。
静寂。
その音が消えかかった空間で、ブーンは異音を聞いた。

( ^ω^)「……お?」

微かな音。
硬質な音。
単調な音。



56: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:55:23.79 ID:e5u5I1QA0
  
川 ゚ -゚)「この音……」

クーも気付いた。
ブーン達の周りに、同じ音が小さくだが響いているのだ。
先ほどは騒がしかったため気付かなかったが、おそらく最初から響いていたのだろう。

( ^ω^)「何の音だお……」

聞き覚えがあるような。
日常でも聞く音だ。
これは――

その時だ。
ドクオが、ブーン達に向かって叫んだ。

('A`)「蹴る音だ!
   砂地を、草を、コンクリートを蹴る音だ!!」

(;^ω^)「……!」

蹴る音。
つまり、ツーの能力は――



57: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 22:59:02.21 ID:e5u5I1QA0
  
(*゚∀゚)「ほいさぁ!!」

瞬間、頭上からツーが現われた。
いち早く反応したのはクーだ。
おそらく限られた死角の中、頭上に注意を払っていたのだろう。
突き下ろされる刃を、刀で受け止める。

(*゚∀゚)「ははぁ、すっごいねぇ! 失敗作のくせによくやるよ!」

川 ゚ -゚)「貴様の能力……瞬間移動に見せかけた、超高速移動か!」

(*゚∀゚)「あったりぃ! でも解ったからってどうしようも無いよねぇ!」

クーの刀を弾き返し、着地する。

( ^ω^)「高速移動だと解ったら、後は簡単だお!」

(*゚∀゚)「へぇ、どうするのかなー?」

(;^ω^)「……スマソ、こういうセリフ言ってみたかっただけだお」

川;゚ -゚)「君は……」

味方であるクーにさえ呆れられるブーン。
戦闘中だというのに、こののん気さはどうにかならないのか。



59: ◆BYUt189CYA :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 23:01:19.10 ID:e5u5I1QA0
  
(*゚∀゚)「んじゃ、続きといきましょかー」

音も立たせずに消えるツー。
後には砂埃が残るだけだ。

(;^ω^)「ど、どうするんだお……。
      このままだと攻撃出来ないんだお」

川 ゚ -゚)「……手はある」

(;^ω^)「え?」

クーが耳元に口を寄せる。
ボソボソと、ブーンの耳にそれを伝えた。

( ^ω^)「な、なるほど!」

川 ゚ -゚)「勝負は一瞬……気を抜くな」

( ^ω^)「把握だお!」



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