( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

58: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:36:08.80 ID:gGzEicxW0
  
ξ;゚听)ξ「え? え? え?」

ミ,,゚Д゚彡「お嬢様!」

フサギコが走り出す。
しかし間に合うか。
そのためにも、ガロンで動きを――

(;'A`)「くそっ! 止まれ! 止まれよ!」

しかし止まらない。
光弾は当たるものの、それがクックルの気を引きつけるどころか止めることさえ出来ない。

ξ゚听)ξ「きゃ!?」

ようやくクックルの接近に気付いたのか、ツンが小さな悲鳴を上げる。
その間にもクックルは右腕を振り上げ、緑色の斧を――

ミ,,゚Д゚彡「おぉぉぉ!!」

間一髪、フサギコが早かった。
振り下ろされる斧に対し、大型ナイフで防御するかのように振り上げた。
接触。
そして――

ミ;,,゚Д゚彡「ば――」

(;'A`)「爆発ッ!?」

見ればフサギコの持つナイフが、爆撃によって完全に砕け散っていた。



61: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:39:18.20 ID:gGzEicxW0
  
その衝撃はナイフを持つ手にも及ぶ。

ミ;,,゚Д゚彡「う……!」

血が流れる右手を痛そうに押さえるフサギコ。
至近距離で爆風を食らった結果、その右手の各部が裂けたのだ。

ξ;゚听)ξ「フ、フサギコ!?」

慌てて駈け寄るツン。

ミ,,゚Д゚彡「お、お嬢様! 早くお逃げ下さい!」

ξ゚听)ξ「で、でも――」

途端、衝撃。
クックルの横殴り気味の殴打が、フサギコの頭部を捉えた。

ミ;,,゚Д゚彡「ッ!?」

吹っ飛び、壁に激突し――そのままグッタリと動かなくなった。

ξ;゚听)ξ「フサギコ!!」

(゜∈゜)「…………」

ξ;゚听)ξ「ひっ……」

大男が彼女の目の前にいた。
あの怪力ならば、ツンの華奢な身体はさほど苦労も無くバラバラにされるだろう。



65: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:41:29.30 ID:gGzEicxW0
  
(;'A`)「やめろっ!!」

ドクオが思わず走り出す。
もはやトリガーは引かず、しかし構えたまま走った。
光弾が駄目ならば銃身で殴るまでだ。
接近。
しかし――

(゜∈゜)「…………」

(;'A`)「!?」

首がこちらを向いた。
まさか――

(;'A`)(待ち構えられて――!?)

思う間もなく衝撃。
クックルの背面蹴りがドクオの腹に直撃していた。

(;'A`)「ぐほっ――!!」

身を折り吹き飛ぶ。

ξ;゚听)ξ「ド、ドクオ!?」

ツンの声が、少し遠くで聞こえた。



67: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:44:02.20 ID:gGzEicxW0
  
(;'A`)(情けねぇ……)

壁に身を預けながら、ズキズキと痛む頭で思う。

情けないな、と。
根性無しだ、と。
弱者だ、と。

自分は弱い。
ブーンのように戦う勇気も無く、ギコのように愛する者を命懸けで護るような度胸もない。
更に言えばジョルジュのように戦闘に執着することは出来ないし
フサギコのように一途に護り続けることも出来ないだろう。


('A`)(何なんだよ、俺……)

解らない。
ただ、悔しさが心を満たしている。

('A`)(何が……悔しいんだろうか)

思う。
諦めかけている自分が悔しいのか?
不甲斐ない自分が悔しいのか?
戦力にならない自分が悔しいのか?

全てだ。
己の全てが許せなかった。
理想とはかけ離れた自分の姿に落胆していた。



72: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:46:31.11 ID:gGzEicxW0
  
('A`)(でも……)

それでも。
そうだとしても。
たとえそうなんだとしても。

('A`)(それで諦めて、何になるってんだよ……!?)

足腰に力を入れる。
しかし起き上がれない。
そうしている間にも、ツンが危ないというのに。

('A`)(俺は――)

強く思う。

('A`)(俺は、ツンを護りたい……!!)

その瞬間だ。
意思と思える何かがドクオに介入してくる。



74: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:48:41.85 ID:gGzEicxW0
  
ドクオもそれに気付き、そして戸惑いながらも言葉を交わす。

数分とも一時間とも感じられた時間。
しかしそれは一瞬の出来事。

はっ、と顔を上げるドクオ。

('A`)(今のは――)

解らない。

しかし解った。
己のやるべきことが。

('A`)(やってやる……!)

震える足に鞭を打って立ち上がる。
クックルを見れば、ツンに向かって歩いているところだった。

これでは間に合わない。
誰か、誰か時間稼ぎをしてくれなければ――



77: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:50:54.92 ID:gGzEicxW0
  
フサギコもドクオと同じく、壁に身を預けていた。
そして彼と同じく、己の無力に歯噛みしていた。

ミ;,,゚Д゚彡「お、お嬢様……」

全身に力を入れ、立ち上がる。
しかし右腕は痛むだけで、もはや自由には動かない。
左手に予備のナイフを持ち歩き出そうとする。

ミ,,゚Д゚彡「くっ……」

頭がクラクラする。
眼前で爆撃を喰らったことにより、脳が揺さぶられたのだろうか。
しかし足を止めている場合ではない。
ツンを護れねば。
フサギコはその一心で足を動かす。

ミ,,゚Д゚彡「ミーディ様から頼まれたんです……!
      お嬢様は私が護らねば……!」

元々はツンの父親であるミーディの、執事兼ボディガードだったフサギコ。
彼が病死する寸前の自分への遺言が『娘はお前が護れ』だった。
あれから五年。
何事も無くいっていたはずなのに、その安全はたった一人の男によって揺るがされた。

やらせてたまるか。
殺されたまるか。
護れずに死んでたまるか。



80: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:53:03.69 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「私が……護る……!!」

言葉と同時に事が動いた。
キィィン、という甲高い音と共に、胸の内ポケットが振動を始める。

ミ,,゚Д゚彡「これ、は……」

内ポケットから取り出したのは黒い指輪だ。
ギコ達が回収したいと言っていた危険な指輪。
それが今、音を発し振動している。

ミ,,゚Д゚彡「ミーディ様がかつて付けていた指輪……これが、私の意志に反応した?」

何という奇跡だろうか。
死してなお、彼は自分を、ツンを見守っていたのだ。
これは呪われた危険な指輪などではない。
これは――

指輪を咄嗟に左手指にはめながら、走り出す。
彼が、ミーディが、ツンの父親が自分に力を貸そうとしているのだ。
ツンを……娘を護れ、と。
フサギコはそう思い、そして願ってやまなかった。

ミ,,゚Д゚彡「ならばその期待に応えるのが我が務め!」

もはや右手の痛みなど感じない。
脳の揺さぶりも、身体のだるさも全て吹き飛んだ。

ミ,,゚Д゚彡「おぉぉぉぉ!!」



82: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:55:39.92 ID:gGzEicxW0
  
ドクオは見た。
彼が、フサギコがクックルへ向かって走っているのを。
それを見た彼は自然と叫ぶ。

('A`)「おい! 何でもいいから奴の動きを止めろ!」

ミ,,゚Д゚彡「解りました!」

もはや二人に痛みも疲れも無い。
ツンを護る、という共通の目的が全てを忘れさせた。

(゜∈゜)「……!」

向かってくるフサギコに気付いたのか、クックルがその巨体を方向転換させる。
右手を振りかぶり、フサギコに狙いを――

ミ,,゚Д゚彡「っ!!」

交差は一瞬。
次の瞬間には、クックルの右腕が宙に浮いていた。

(゜∈゜)「……!?」

ξ;゚听)ξ「フサギコ……それは……?」



88: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 22:58:04.33 ID:gGzEicxW0
  
着地したフサギコは、交差する前のフサギコとは違った。
左手に――

ξ;゚听)ξ「鎌……!?」

ミ,,゚Д゚彡「これは……貴女の父君が私に託した力なのでしょう」

巨大な漆黒の、死神が持っていそうな鎌。
それがフサギコの左手に握られていた。
鋭利な刃には、先ほどクックルの右手を切り落とした時の血が付着している。
フサギコはそれを薙ぎ払うかのように振りつつ

ミ,,゚Д゚彡「形勢逆転、ですね」

少し荒い息をつきながら、背後の大男に宣言する。
対するクックルは

(゜∈゜)「…………」

無言。
痛がりもせず、そして傷口も飛んだ右腕さえも見ない。
何かしたか、とでも言いたげな表情をしている。

ミ;,,゚Д゚彡「ど、どういう――」

言いかけて気付く。
クックルの切断された右腕からの出血がほとんど無いことに。
すぐに傷口が塞がったとでもいうのだろうか。
ありえない。
ならば、何故――



93: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:00:32.26 ID:gGzEicxW0
  
(゜∈゜)「…………」

疑問に思うが、時間は止まってはくれない。
左腕に持った斧を振りかぶりながらクックルが迫ってきた。

ミ,,゚Д゚彡「くっ……!」

バックステップ。
あの斧に触れては駄目だ。
理屈は解らないが、触れたもの全てを爆破するらしい。
防御は出来ない。
しかし

ミ,,゚Д゚彡「回避なら容易い……!」

だが、それでは全ての解決には繋がらない。
先ほどのドクオの言葉。
彼は『動きを止めろ』と言った。
何か策があるのだろう。
しかしそれは回避運動だけでは不可能で、どうしても接近する必要がある。

ミ,,゚Д゚彡「どうするか……」

向かい来る斧を回避しながら思考する。
ドクオの案を放棄し、己の鎌のみで倒すか。
しかし、先ほどの一撃は奇襲じみた攻撃なので上手くいったが、次はどうなるか解らない。
どちらにせよ、あまり良い状況ではないようだ。



98: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:03:00.81 ID:gGzEicxW0
  
ドクオは壁から身を剥がし、クックルに狙いを付けていた。
しかし定まらない。

('A`)「くそっ……」

痛む身体を無視し様子を見る。
クックルが斧を振り、それをフサギコが回避する。
その繰り返しだ。

せっかく奴を倒す方法を得たというのに使えないとは。
これほどもどかしいことはない。
しかし待つしかないのも事実。

('A`)「早く、早く動きを止めろよ……!」

照準を忙しなく動かしながら、ドクオは呟いた。
その思いが届いたのか

ミ,,゚Д゚彡「一か八か、行くしか――!」

フサギコが大鎌を構え、走る。
対しクックルも斧をフサギコ目掛けて振り下ろした。
二人の中間地点で二つの武器がぶつかり合う。

衝撃、そして金属音。
少し遅れて爆発。



102: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:06:22.60 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「くぅ……!」

いくらウェポン同士のぶつかり合いは無意味だとしても、やはり爆発の衝撃は受け流せない。
仰け反るように後退するフサギコ。
それを追うクックル。
身を後ろに流しながらも、鎌を振る。
それはクックルの左肩に食い込むが、しかし切り裂くことは出来なかった。
瞬間。

ミ;,,゚Д゚彡「がっ!?」

クックルの鋼鉄のような頭部が、フサギコの額に直撃した。
今度こそ身を後ろへ倒してしまう。

ミ,,゚Д゚彡「!?」

視線を上げれば、トドメを刺すための一撃を振り上げたクックル。
慌てて横転。
一瞬後に、己がいた空間を斧と爆発が直撃。
フサギコは身を爆風に焼かれ、吹き飛ばされながら転がった。
うつ伏せの状態で回転が止まる。
起き上がろうと手をついたときに、己の額から決して少なくない量の血が流れているのが解った。

ミ,,゚Д゚彡「っ……」

起き上がる。
身体中が痛みと軋みに悲鳴を上げるが全て無視。
左手を見れば、未だ武器を持っている。
その事実にフサギコは安堵の吐息を漏らした。



105: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:08:30.83 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「こうなったら――」

もはや体力も限界だと判断。
爆風や緊張、そして衝撃のせいでジリジリと削られている結果だ。
全力で、あと数分戦えるかどうか。

(゜∈゜)「…………」

奴が向かってくる。
もはや考えている時間は無い。
あとはあのドクオという少年に任せよう。

そう決意したフサギコは、鎌を両手で構えながら地を蹴った。

ミ,,゚Д゚彡「おぉぉぉぉ!!」

右手は柄を、左手は刃の頭を握りつつ迫る。
狙うは奴の腹。
そしてその向こうにある壁だ。
身を捻り、全体重をかけながら上半身を振った。
刃の先端がクックルの胸部に刺さり――

(゜∈゜)「……!」

しかし相手は同時に斧を振りかぶる。
間に合うか。
いや、間に合え。



107: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:11:09.96 ID:gGzEicxW0
  
ミ,,゚Д゚彡「おぁぁぁぁぁ!!」

ズブズブと刃がクックルの胸部に差し込まれていく。
ただの筋肉の壁ではないのか、抵抗が思ったより強い。
全力で刃を押すが、しかしそれは何か軟質なモノによって阻まれる。
見れば斧が振り下ろされる瞬間。
間に合わない――

ミ,,゚Д゚彡「くそおぉぉぉ!!」

押せ。
押すんだ。
押し込め。

己の身体がたとえ砕かれようとも破壊されようとも、間に合わせろ。

それが己の望む心。
それだけが己が願う事象。

全ては護るために――!

(゜∈゜)「!」

抵抗が無くなった。
刃がクックルの背中を突き抜けたのだ。
あとは背後の壁に突き刺すだけ――



109: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:13:39.32 ID:gGzEicxW0
  
ミ;,,゚Д゚彡「ッ!?」

右肩に衝撃。
見るまでもなく解ってしまった。
緑色の斧がフサギコの右肩に突き立っている。
その後にやってくるのは

ミ;,,゚Д゚彡「ぐぁぁぁぁ!?」

衝撃と爆風。
それが右肩を蹂躙し、更にはフサギコの右顔面に襲い掛かった。
首が折れそうな衝撃。

しかしフサギコの腕はまだ諦めてはいなかった。
ガン、と硬質な音が響く。
背中を突き抜けた大鎌の刃が、壁を貫通したのだ。
それを確認したフサギコは

ミ;,,"Д゚彡「くっ……」

よろめきながらも後退する。
もはや右腕は動かず、右耳は聞こえず、右目は見えない。

しかしやることはやった。
満足するように微笑んだフサギコは
壁に張り付けにされて動けないクックルから少し離れた場所で遂に倒れた。



113: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:16:02.16 ID:gGzEicxW0
  
ξ;゚听)ξ「フ、フサギコ!?」

慌ててツンが駈け寄る。

ミ,,"Д゚彡「お、お嬢様……」

ξ;゚听)ξ「そんな……フサギコ……」

右肩が裂け、右顔面が血だらけな状態を見てツンは絶句する。
そんなショックを受けたような顔を見ながら、フサギコの意識は途絶えた。

ドクオはその様子を少し遠くで見届ける。

('A`)「よくやってくれたぜ……!」

改めてガロンを構える。
狙うは、壁に張り付けにされもがいているクックル。
照準を合わせ、ドクオは一言。

('A`)「『OVER ZENITH』……グランドバレルオープン!」



117: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:19:34.75 ID:gGzEicxW0
  
途端、ガロンに眩い光を発し――

だが、それだけに留まらない。
銃口が開き、ガコンという音と共に中から新たな銃身が伸び出てくる。
それは伸びきった後で更なる巨大な銃口を作り出した。

続いて後部が展開。
内部から四つのミラーのような細長い板が出現する。
それは四方向に展開し、十字架のような形を作り出した。

更に銃身の中間部分が開く。
そこから出てきたのは三つの球状の物体だ。
それがフワフワと浮いたかと思えば、銃口の周りで輪を描くように回転を始める。
速度は高速。

もはや一つ一つの球が判別出来なくなるほどの速度に達した時――

ガロンの銃身の各部から光が漏れ出してくる。
続いて高音。
何かを充電するような、力を蓄えていくような音が響き始める。
音はどんどん高くなっていき――共に銃身がガタガタと振るえ、ドクオはそれを全身で押さえつけた。



122: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:21:41.30 ID:gGzEicxW0
  
もはや照準は動かない……というか動かしようがない。
フサギコに動きを止めろ、と言ったのはこれが原因だ。

('A`)「いくぜ……!」

未だもがいているクックルに最終的な狙いを付ける。

高音が響き、そして一定の音階へ達した。
全ての準備が整った証拠。

トリガーに指を当て――

('A`)「くたばれッ!!」

思い切り引いた。



126: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:24:05.62 ID:gGzEicxW0
  
外で戦っていたギコ達は、その衝撃と光と轟音に一瞬意識を奪われた。

(´<_`;)「な、なんだ!?」

見上げれば、屋敷の三階部分の壁を吹き飛ばしながら
幅数メートルはありそうな極太のレーザーが光の筋を作り上げていた。
それは高音と共に、夜空に一筋の光を描く。

(;´_ゝ`)「あわわわわ……」

(´<_`;)「兄者、その驚き方は流石に無いだろ……」

( ,,゚Д゚)「この光……まさか、ドクオか?」

だとすれば、おそらく限界突破を――
ふと口に笑みが浮かぶ。

( ,,゚Д゚)「どうやら、アイツも『答え』を出したようだな」

夜空に光る一筋の線を見ながら、ギコは呟いた。



130: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:26:08.77 ID:gGzEicxW0
  
空気が流れる音。
そしてパラパラと何かの破片が落ちていく音。
それらがしばらくの間、屋敷の三階大広間を支配していた。

(;'A`)「ハァ、ハァ……」

ガロンを指輪に戻す。
疲労。

(;'A`)(何だか、体力を全て吸い尽くされた気分だ……)

とりあえず足は動くので、クックルの元へ歩き出す。
前方は砂煙で何も見えない。
が、それらはすぐに晴れていく。

(;'A`)「うわ……なんじゃこりゃ」

壁に穴が空いていた。
直径三メートルほどの巨大な穴だ。
その先に見えるのは外と夜空。

('A`)「あの野郎は――」

いた。
穴の淵に、手足の先だけが残っている。
他は全てあのレーザーに抉り取られたのだろうか。
その不気味な光景に、ドクオは顔をしかめる。



135: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:28:11.78 ID:gGzEicxW0
  
(;'A`)「ちょっと威力が強すぎたか……。
    とは言え、加減なんて解るわけねぇし……」

ふと、足元に何か硬質な物が当たる。
緑色に輝く指輪と、漆黒の色をした指輪。

('A`)「お、ラッキー。
   レーザーに巻き込まれなくてよかったぜ」

拾い上げる。
それの輝きを目に入れながら

('A`)「しかしまぁ……俺もとうとう人殺しちまったなぁ」

呟く。
案外、あっけないものだった。
もっと頭が混乱して発狂でもするのかと思っていたが、そうでもない。
意外にスッキリしている。
それは相手があの大男だったからだろうか。
よく解らない。



139: ◆BYUt189CYA :2006/11/19(日) 23:29:57.72 ID:gGzEicxW0
  
('A`)「ツン……」

とりあえずあの二人に目を向ける。
フサギコはグッタリとして倒れており、その傍らでツンが泣きじゃくっていた。

ξ;凵G)ξ「フサギコ……起きてよ、ねぇ!」

('A`)「ツン、とりあえず医療室みてぇな所に運ぶぞ」

ξ;凵G)ξ「ドクオ……フサギコが!」

('A`)「解ってるよ、死なすつもりはねぇ」

残り僅かな体力を振り絞り、フサギコを肩に担ぐ。

死なせてたまるか。
フサギコは
俺の戦友だ。
ツンを護るという共通目的を以って戦ったんだ。
死なせてたまるかよ。

その気持ちのみで、ドクオは重い身体を運んでいった。



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