( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

252: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 21:57:06.09 ID:Wlz6hZt60
  
(*゚ー゚)「……お願い、10th−W『レードラーク』」

呟く。

(*゚ー゚)「――行って!」

言葉と同時に全てが動き出す。
広がった橙色の翼から、無数ともいえる小さな、しかし鋭い破片のようなものが連続発射された。

(*゚∀゚)「!?」

広範囲の攻撃に危機を察知し、一瞬で後方まで回避する。
しかし羽の欠片ともいえるそれはツーを逃さない。
カカ、という鋭く硬い音が地面に響き、しかし執拗に彼女を追う。

(*゚∀゚)「ったく、ウザったいたらありゃしないね!」

跳躍。
橙色の嵐ともいえる羽片を一瞬で潜り抜ける。
上空に浮かぶしぃに接近、刃を喉目掛けて――

しかし、それは甲高い音と共に阻まれた。

(*゚∀゚)「なぁるほど……防御にも使えるってのかい」

地面に降り立ちながら呟く。
視線の先には、橙色の翼を身に纏うように包ませたしぃの姿。



254: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 21:59:57.30 ID:Wlz6hZt60
  
(*゚ー゚)「貴女の攻撃は効かないわ」

音を立てながら翼を展開させる。

(*゚∀゚)「攻撃に決定力があまり無い代わりに、防御にも使える……ジョルジュのと同じタイプか」

(*゚ー゚)「貴女の攻撃力程度なら充分に防御可能な性能よ。
     相性が悪いみたいだから降伏でもしてほしいところ……なんだけど」

(*゚∀゚)「はっ、何言ってんだい、小娘が!
     これからがワクワクするってんだろうに!」

(*゚ー゚)「そう……なら、私もとことん付き合ってあげるわ。
     そして後悔させてあげる……ギコ君を傷付けた罪を、嫌ってほどに」

しぃの目つきが変わる。
今まで見せたことが無い、ある種『狂気』を孕んだ視線だ。
愛する者が傷付けられたという緊急事態によって生まれてしまった感情か
はたまた彼女自身の底にある本当の感情か……。
それは誰にも解らぬが、しかしツーとの戦いは互角に展開されそうだ。

そしてその言葉は真実となる。
動きは同時。
ツーが再度上空へ飛び、しぃが翼――片方は防御、片方は攻撃――を展開する。
連続した金属音。
空を制す女神が羽片を撒き散らし、地を這う女豹のナイフと赤い刃がそれを叩き落していく。



257: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:02:13.83 ID:Wlz6hZt60
  
そしてそれを傍観する三人の姿。

(;,,゚Д゚)「ちっ……」

立ち上がろうとするギコを、弟者が慌てて押さえる。

(´<_`;)「無茶はするな……普通、腕が飛んだ時点でショック死か失神ものだぞ」

(;,,゚Д゚)「だが、しかし――」

( ´_ゝ`)「しかしまぁ……アレだよな」

(´<_` )「何がだ、兄者?」

ギコの肩を押さえながら、弟者は兄者に問いかけた。
兄者の珍妙発言の連発にめげること無いその姿は、ある意味兄弟愛を深く感じさせる。
それを知ってか知らずか、兄者はポケットから桃色の指輪を取り出した。

( ´_ゝ`)「この指輪……一体、誰が使うことになるのだろうな」

(´<_` )「どういう意味だ」

( ´_ゝ`)「いや、だって桃色だぞ?
      これは明らかに女性に使って欲しいと言っているようなものだろう」

(´<_`;)「そういうモノか?」

(#´_ゝ`)「絶対に女性だ! おい、予想するからまだ使われてない女性AAの一覧持ってこい!」

(´<_`;)「OK、兄者、落ち着け」



261: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:04:30.29 ID:Wlz6hZt60
  
バタバタと暴れる兄者を、弟者が押さえようとする。
その瞬間だ。

( ´_ゝ`)「「あ」」(´<_` )

暴れた拍子に、桃色の指輪が空を飛んだ。
兄弟二人して呆然とそれを見上げる。

(*´_ゝ`)「見ろ、弟者……も、桃色の指輪が空を飛んだぞ……ハァハァ」

(´<_`;)「兄者……悪いが流石に賛同出来ない。
      それの一体どこが興奮対象になるのだ?」

会話をしている間にも、指輪は放物線を描きながら地に落ちていく。

( ´_ゝ`)「む、落ちたら傷がつく。 優しい俺がナイスキャッチだ」

(´<_` )「そこは流石だな、兄者」

( ´_ゝ`)「とう」

言葉と同時に事は起きた。
スポッ、と軽い音を立てながら、指輪が兄者の指にしっかりとはまったのだ。

( ´_ゝ`)「…………」

d(´<_`;)「ナ、ナイスフィット!」

( ´_ゝ`)b「OK、ナイスフォローだ、弟者」



267: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:06:23.99 ID:Wlz6hZt60
  
その瞬間。
キィィンと甲高い音が響き、兄者が桃色の光に包まれていく。

(;´_ゝ`)「な、何だ、これは!
      はっ……まさかとうとう俺も魔法使いに!?」

(´<_`;)「魔法少女兄者か!!」

(;,,゚Д゚)「お前ら……実は楽しんでやってるだろう?」

ギコの疑問は無視される。

赤と橙の戦いが行われている横で、珍妙が桃色の光に包まれていく。
それはある意味、とてもシュールな光景だった。

それが数秒続き、そして終わりを告げる。
桃色の光から生還した兄者の姿は――



272: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:09:12.74 ID:Wlz6hZt60
  
(´<_`;)「おぉ!」

( ´_ゝ`)「これが……私?」

兄者の右手には、分厚い書物が握られていた。
桃色のハードカバー……古そうで、しかし傷一つ無い代物だ。

( ´_ゝ`)「私……どうしちゃったの?」

兄者が己の姿――まったく変わっていない――を見つつ、口を開く。

(´<_` )「とりあえず女言葉はいらないのでは?」

( ´_ゝ`)「いえ、私はとうとう魔法少女の仲間入りを果たしたのよ。
      これが女言葉にならずにどうしろっていうの!」

(´<_` )「OK、もう何も言わないでおこう。
      そのまま突っ走れ、兄者」

( ´_ゝ`)「言われずもがな!」

駆け出す兄者。
走る後姿は間違っても魔法少女を彷彿とさせない。

しかし今、最も援軍として来てほしくないbPの男が走り出したのだ!



279: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:11:38.67 ID:Wlz6hZt60
  
その要らない男が走り出した先にある戦場。
そこでは空と地の激戦が繰り広げられていた。
数では圧倒的に空が勝り、しかし威力と速度は地が制している。

まったくの互角。

空の天使は舞いつつ大地を崩壊させんという勢いで、橙色の羽片を撒き散らしていく。
対する地の戦神は手と足に持つ刃で防御しつつ、合間を縫って攻撃を仕掛ける。

動きはあるが、しかし膠着した状況。
そこに『異物』が飛び込んできたのは間もなくのことだった。

「待てぃ!」

(*゚ー゚)「「!?」」(゚∀゚*)

男らしい声が場を一瞬で制した。
二人の女はその声にビクリと身を反応させる。
そして見た。
声の主を。

( ´_ゝ`)ノシ「ここからは私が仕切らせてもらうわ!」

現われたのは珍妙だった。
ピンク色の本を片手に、手を振りながらこちらに走ってきている。
その背後ではギコと弟者が顔に手を当て、絶望的な状況を視界に収めないようにしているのが見える。
どう見ても変態です、本当に(ry



282: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:14:45.63 ID:Wlz6hZt60
  
状況を瞬時に理解した二人の女は、アイコンタクトだけで協力するように珍妙に攻撃を仕掛けた。
飛ぶ羽片と、這うカマイタチ。
それが兄者の足元に直撃する。

(;´_ゝ`)「な、何てことすんのよ! 特にしぃさん、アンタ味方でしょう!?」

(*゚ー゚)「ごめん……味方とは思いたくないの」

(*゚∀゚)「とりあえず死んだ方がいいよ」

煤i;´_ゝ`)「まだ何もしてないのに!」

叫んだ兄者は、しかし諦めることなくピンク色の本を掲げた。

( ´_ゝ`)「そう、これは私の試練……!
      魔法少女兄者・第一話『兄者ピンチ! しかし負けぬよ、ふはははは!』ね」

パラパラと書物をめくる。
そこには如何わしい絵や文章は無く――妙な魔方陣が描かれていた。

(;´_ゝ`)(やば……使い方わかんね)

とりあえず読む。
しかし妙な言語で構成された文章を兄者が読めるわけが無かった。
その時。

煤i ´_ゝ`)「はっ――使い方が頭の中に入ってくる!」

無論、己の発した電波だということに兄者は気付かない。
その御告げじみた電波を頭に叩きこんだ兄者は一つの行動に出た。



288: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:17:20.12 ID:Wlz6hZt60
  
( ´_ゝ`)「ヘイッ!」

声と共に発せられるは動きだ。
そして書物は脇に挟み、空いた手を叩きながら一定の音を刻み
足はがむしゃらに動いているようで、しかし正確なリズムを地に叩き込む。
人はそれを――『踊り(ダンス)』と呼ぶ。

(*゚ー゚)*゚∀゚)「「「「…………」」」」(゚Д゚,,(´<_` )

四人はそれを呆然と見つめていた。
まるで悪魔を召喚しそうな勢いで狂ったように踊る兄者。
闇夜に浮かぶ珍妙。
もはや世界はここまで堕ちたかと思わせる説得力がそこには在った。
後に弟者は語る。

「もう、この世の終わりかと思いましたよ……でもまさか、あんな事になるなんて――」

( ´_ゝ`)「そぉい!」

兄者の気合の声と共にダンスが終わる。
最後は、両手両足を開くように展開するポーズだ。
その動作と共に、桃色の書物の1ページがベリッと破られる。



291: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:19:22.58 ID:Wlz6hZt60
  
瞬間。
兄者の足元に、一瞬で赤い巨大な魔方陣が生成された。
下方から来る光と風に煽られ、彼は口元に笑みを浮かべる。

( ´,_ゝ`)「成功……!」

言葉と同時。
魔方陣の各部から、ドン、というくぐもった音と共に――

(*゚∀゚)「炎!?」

小さな炎の塊が、魔方陣の各部から飛び出したのだ。
それらは一旦兄者の周りを浮遊し――

( ´_ゝ`)「いけぃ!」

兄者の声と指を指す動作と共に発射される。
連続した発射音。
そしてツーの元へ向かう、多量の炎の弾。

(*゚∀゚)「チッ!」

兄者の奇行に意識を奪われかけたか、その回避動作は一瞬遅い。
しかし彼女はそれをチャラにするほどの速度を持つ。
一瞬で移動。
そして数瞬後、元いた位置に炎が直撃する。



294: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:21:23.94 ID:Wlz6hZt60
  
( ´_ゝ`)「うむ、使い方が解ってきたわ!」

またもやベリッとページを破る。
っていうか、ダンスはどうした、ダンスは。
一瞬でまたもや、しかし絵柄の違う魔方陣が生成される。

( ´_ゝ`)「いけぃ!」

今度は水だ。
水の柱とも言えるそれが魔方陣から幾つもの塔を作るように立ち上った。
それは上空で頭を垂れ、鎌首をツーのいる方向へ傾ける。
途端、発射。
幾つもの水の槍がツー目掛けて突っ込んでいく。

(*゚∀゚)「魔法使いのつもりかい!」

更に回避。
水の槍がツーに襲い掛かるが、しかし身を貫くことは無い。
次々と地面に穴を開けていく。
そこでやっと我に返ったしぃも攻撃に加わった。

(*゚ー゚)「行って!」

金属を打ち鳴らす音。
それと共に発せられる小さな鋭い橙色の羽片。
兄者の出した水の槍と共に、それはツーに襲い掛かる。



297: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:23:39.77 ID:Wlz6hZt60
  
(*゚∀゚)「ちぃ……!」

回避。
高速の回避だ。

しかしそれに負けず劣らず、二人の男(?)女の攻撃がそれを追う。
もはやツーに攻撃の余裕は無い。
逃げ場が無いように見え、しかし彼女にしか回避出来ない空間を縫うように走る。
限界を迎えた攻撃と、限界を超えた回避が展開される。

(*゚∀゚)「面倒なことだね……なら、先にアイツを殺すか」

狙うは珍妙――もとい、兄者。
しぃだけならば己にも勝ち目があるが
あの魔法じみた攻撃が入ると範囲が範囲だけに、己の回避運動先が制限される。
それだけは避けたいところだ。

足に力を入れ、一瞬で兄者の元へ走る。

(;´_ゝ`)「!」

気付かれた。
しかし遅い。
もはやこちらは攻撃態勢に――

( ´_ゝ`)「甘いな、ツーとやら……こちらには頼れる味方がいるんだわよ?」



300: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:26:05.19 ID:Wlz6hZt60
  
もはや女言葉でさえない兄者の言葉。
その言の葉と共に現われるは金色だ。
金属音。

(´<_` )「信頼されるのは構わんが、少しはこちらも頼らせて欲しいところだな」

弟者。
兄者の弟である彼が、盾を構えてツーの斬撃を受け止めている。
まさに危機一髪のタイミングだが、この兄弟は互いがどう動くか解っているかのように笑みを浮かべた。

( ´_ゝ`)「「流石だな、俺達」」(´<_` )

(*゚∀゚)「!?」

口から放たれた言葉に押されるように、身が背後へ引っ張られた。
いや、引っ張られたのではなく――

(´<_` )「俺のウェポン、12th−W『ジゴミル』は盾表面に対する斥力操作を能力とする。
      つまり攻撃を単に受け止めるのではなく
      攻撃の方向性を変えて威力を減らすのが本来の使い方だが――」

(*゚∀゚)「まさか――」

(´<_` )「そう……お前の身をこの斥力で反発させたのさ、今もな」

動きが取れない。
まるで弟者に押されるように、背後へ引っ張られるように、仰向けの状態で彼女の身体が飛ぶ。



304: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:28:05.79 ID:Wlz6hZt60
  
そこに襲い掛かるのは、しぃの攻撃である橙色の羽片。

仰向けの姿勢でツーは見る。
空から星が落ちてくるような美しい光景を。
しかし悠長にそれを見ている場合ではない。

瞬時に姿勢を戻そうとするが、斥力に阻まれて上手くいかない。

(*゚∀゚)「ちぃ……!」

諦め、その状態のままナイフと足の刃を構える。

来る。
カカ、という硬質な音が彼女の周囲に響き、そして身体を貫かんという勢いで雨のように降ってくる羽片。
それをナイフと刃で往なす。

速度は高速だ。
身を丸めるように、しかし回避と防御は忘れずに降り注ぐ羽片を叩き弾いていく。


まだ身は宙に浮いている。
弟者の発した斥力はかなり効果が強いらしい。
接近したのが間違いだったか。



307: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:30:23.51 ID:Wlz6hZt60
  
そこまで思った時だ。
ふと、空に違和感を感じた。
降り注ぐ橙色の雨の中――しかし違う色が混ざっている。

茶――そして、青。

夜の闇と明るい橙色に阻まれて見え辛いが、確かに何かが存在した。

(*゚∀゚)(あれは――!)

( ,,゚Д゚)「チェックメイトだ……!!」

ギコ――巨剣の剣士。
左手を失い、なお戦意を喪失しなかった彼は
いつの間にか高く跳躍し、今まさにツーに斬りかからんと身を落としてくる。

(*゚∀゚)「アンタ……!」

もはや声が互いに届く距離だ。
ツーは足の刃を、降ってくる青い巨剣へ向けながら声を発した。

( ,,゚Д゚)「悪いが――借りは返す性質でな――!!」

言葉と共に巨剣が――



314: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:35:53.46 ID:Wlz6hZt60
  
(*゚∀゚)「ガッ――アァ――ッ!!」

彼女の身に刺さる。
青い巨剣の刀身が、ツーの右肩から右胸にかけてを貫いた。
皮膚と筋肉と骨を断ち貫いた巨剣は、更に勢いを抑えずに地面に突き立つ。
ガクン、とツーの身が強制的に止められ――しかし身は止まらなかった。
そのままの姿勢と勢いで、巨剣がツーの右半身を蹂躙するように切り裂いていく。

(;*゚∀゚)「うあぁぁぁぁぁ!!?」

ブツン、という繊維が切れるような音と共に、ツーの身が飛んだ。
彼女の右腕、右脇腹、右足の外側は切り取られたままだ。
そのままの状態で彼女は速度を緩め、遂には地面に身を滑らせた。

(;*゚∀゚)「ぐっ……アァ……!」

激痛。
左半身ならば心臓を断ち切られ即死に至っただろうが、今斬られたのは右半身だ。
痛みと共に血が流れ、急速に身が冷えていくのを感じる。

これが、死か。
彼女の頭にその一文字が浮かんだ。



319: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:38:37.04 ID:Wlz6hZt60
  
( ,,゚Д゚)「……終わりだな」

もがき苦しむ彼女の傍らに、ギコが歩いてくる。

(;*゚∀゚)「がふっ……こ、殺せよ……ッ!」

血の塊を吐き出しながら、半ば懇願するようにギコへ視線を向けた。
しかし返ってきた答えは――

( ,,゚Д゚)「断る……そのまま苦しみ抜いて死ね」

(;*゚∀゚)「ハッ……ハハハハハ」

笑い。

(;*゚∀゚)「これが……私の最期ってわけ、かい……」

( ,,゚Д゚)「お似合いだな」

(;*゚∀゚)「情け……ないねぇ……」

まるでこの世に自分という存在を刻むかのように、彼女は言葉を吐いていく。

(;*゚∀゚)「もう、目が見えないや……死ぬって、いうのは……案外怖いもんだ、ねぇ」

( ,,゚Д゚)「それを貴様は人々に与えてきた……最期にそれを知れて満足だろう?」

(;*゚∀゚)「さぁ、どうか、ね……私には解んないよ」



320: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:40:58.88 ID:Wlz6hZt60
  
多量の血がその場に染み出て、大地に吸い取られていく。
その量に比例するかのように彼女の身体から力が徐々に抜けていった。

(;*゚∀゚)「あーあ……一瞬の隙が、この結果かい……」

( ,,゚Д゚)「一瞬一瞬の間に生きてきたお前にしては、良い結果だ」

(;*゚∀゚)「え……なに? 聞こえ……ないよ……」

急速に声が小さくなっていく。
彼女がこの世に別れを告げる時間が近付いているのだ。

( ,,゚Д゚)「…………」

それを睥睨するように見下すギコ。
その視線を身に受けながら、彼女は――

(;*゚∀゚)「つg――う――るな――」

途切れ途切れに声を発し――

(*-∀)「人間が――いい、なぁ――」

言葉が、切れる。

( ,,゚Д゚)「……だと良いがな」



325: ◆BYUt189CYA :2006/11/20(月) 22:42:56.09 ID:Wlz6hZt60
  
月下。
彼女の最期を見届けたギコは、彼女の言葉に対してそう返した。
それは伝わったのか――

解らぬが、しかし彼女の口元には笑みが浮かんでいた。

まるで満足したかのように。
まるで嬉しさを隠せないかのように。

果たして彼女は何を見、何を感じ、何を聞いて、このような人生を歩むこととなったのか。
答えを聞こうにも彼女の口が二度と動くことは無い。

もはや理解する手段は無い。
もはや彼女は誰からも理解されることは無い。

それが哀しいことなのかも解らない。
しかし事実は残酷だった。

誰からも理解されることなく――彼女は生き、そして――



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