( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです
- 82: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:56:39.74 ID:tleOweXb0
- ミ,,"Д゚彡「私の限界突破ならば、あの甲冑を何とか出来そうです」
( ゚∀゚)「マージかよ! それならさっさとやれよ、馬鹿!
お前、どうせ怪我人で役立ちそうに無いっ――げふぁ!」
ベラベラと喋るジョルジュの頬に鉄拳が炸裂した。
( ,,゚Д゚)「フサギコも俺達の仲間だ、足手まといなどいない」
(#)∀゚)「な、殴るこたぁねぇだろうよ……」
ギコは無視。
フサギコに向き直り
( ,,゚Д゚)「で、俺達はどうすればいい?」
ミ,,"Д゚彡「形は出来てるんですが、もう少し指輪と会話をする必要があります。
故に少々の時間稼ぎをお願いしたいのですが――」
( ・∀・)「任せたまえ」
即答し、モララーが駆け出す。
それを追うように、フサギコを除くメンバーも走った。
- 89: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 21:58:49.62 ID:tleOweXb0
- しかし残る者もいた。
(;'A`)「…………」
ドクオ。
ミ,,"Д゚彡「どうしたんですか?」
(;'A`)「は、はは……やべぇよな……怖くて震えてんだぜ、俺」
ミ,,"Д゚彡「……それは」
(;'A`)「今まで頑張ってきたけど……ちょっと今回は無理っぽいかも」
ミ,,"Д゚彡「ならば、戦い以外のことで役に立てば良いのでは?
ほら、しぃさんや兄者さんの介抱という仕事もありますよ」
('A`)「……そ、そうだな……俺、そっちの方やっておくよ」
駆け出す。
その後姿を見ながらフサギコは思う。
ミ,,"Д゚彡(ガロンは彼のどこを見て、力を託したんでしょうか……)
いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
とりあえず指輪との会話を――
そう思い直し、フサギコは目を瞑った。
- 100: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:01:29.12 ID:tleOweXb0
- ( ゚∀゚)「この阿修羅野郎がぁぁぁぁ!!」
声と共に飛び出すは鎖だ。
それは地を這うように一直線にジェイルの元へ向かう。
爪゚ -゚)「無駄だ」
剣を鎖の延長線上の地面に突き立てる。
タイミングを計り、そのまま刀身に蹴りを入れる。
鋭い剣線が鎖を弾いた。
その弾かれ飛んだ鎖と入れ替わるように飛び込むのはギコ。
( ,,゚Д゚)「ッ!」
上方から叩き落すような一撃。
しかしそれは回避される。
後方へ飛んだジェイルを捉えたのはショボンだ。
(´・ω・`)「はっ!」
気合の声と共に刺突を繰り出す。
しかし、高速のそれは彼女の腕がガシリと掴み込む。
そのまま槍ごとショボンを投げ飛ばす動作。
(;´・ω・`)「う、うわぁ!?」
宙を飛び、地面に叩きつけられる。
続いてショボンの首を狙うはトマホークだ。
だが彼はそれを一瞬で察知し、横転して回避する。
- 105: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:03:39.47 ID:tleOweXb0
- 今やジェイルの意識は完全にショボンへ向けられていた。
それを彼が逃すわけがない。
( ・∀・)「もらったッ!!」
背後。
下から掬い上げるよう、ゴルフのスイングのように叩き上げる動作。
鉄槌の頭部部分が下方から迫り――
硬質な音。
爪゚ -゚)「私は戦闘人形……ただの人間に劣りはしない」
足で踏みつけるように鉄槌が受け止められていた。
ギリギリと押し合うが、しかし動くことは無い。
( ・∀・)「何という馬鹿力かね……女性ならもっとお淑やかに頼むよ」
押し切るのは不可能と判断したのか後退する。
しかし安心は出来なかった。
その背後に飛んだモララーに追従するように、ジェイルが迫ったのだ。
揺れる金髪を目に入れ、一瞬呆気にとられるモララー。
まさか追われるとは思っていなかったのだろうか。
- 109: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:05:47.35 ID:tleOweXb0
- ( ・∀・)「ッ!」
ロステックを盾代わりに構える。
そこにぶつかったのは、横から薙ぐように迫った長い棒だ。
爪゚ -゚)「長棒というのは扱いにくいが――」
ぐん、とモララーの身体が押された。
爪゚ -゚)「その長さゆえの遠心力を使えば、とんでもない武器になり得る」
( ・∀・)「ぬ……!!」
左方に身体が吹き飛ばされる。
高く、そして鋭く滑空する身体は――
(´・ω・`)「モララーさん!?」
背中から白い壁に激突した。
ズルズルと壁に身を滑らせ、しかし何とか着地をする。
( ・∀・)「げほっ……ふふ、今のは効いたよ……やるではないかね」
言葉と同時、走り出す。
それを合図としたかのようにジョルジュ、ショボン、ギコも走った。
個別順次攻撃が駄目なら、四人同時攻撃で――
- 118: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:08:00.95 ID:tleOweXb0
- 鉄槌が唸り
巨剣が迫り
槍が風を切り
鎖が地を這い
しかし
銀剣が跳ね返し
銀槍が往なし
トマホークが飛び
長棒が受け止め
全ての攻撃が通じない。
( ,,゚Д゚)「くそっ……!」
強い。
遠距離攻撃が出来るしぃと兄者、ドクオがいないものの
残ったギコ、モララー、ショボン、ジョルジュの強さは並ではないはずだ。
それに完全防御出来る弟者もサポートしている。
しかし相手はそれを全て往なし、回避し、更には反撃さえしてくる。
- 121: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:10:10.68 ID:tleOweXb0
- 手に持つ四つの武器を巧みに、そして最も有効な場面で使い分け
そして、強靭な足が生み出す速度がそれを更に強化させる。
これほどまでの敵が用意されているとは。
今まで相手をしてきた黒い兵などは、雑魚以下だ。
一気に進ませ高まったテンションを、強敵を出すことによってギャップ効果を生み出し
ここで叩き折る、というのが敵側の策だろう。
正直、かなりこれは効いた。
テンションを折り、精神的に弱った獲物を片付けるのがジェイルの仕事。
黒い兵はそのための前座。
つまりテンションを高めるための餌に過ぎない。
ここまで簡単に進めた理由がやっと解った。
今までの快進撃が幻だというように、ここにきてウェポンの使い手達は阻まれる。
もはや先ほどまでのようなテンションは生み出せない。
つまり、それは集中力や抵抗力、そして攻撃力の欠如に繋がる。
- 123: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:12:43.46 ID:tleOweXb0
- やられたな。
ギコは内心歯噛みする。
折られたテンションは、やはり似たようなことをしなければ再び宿ることはない。
しかし黒い兵はここにはおらず、そして今も数を減らしている状況だ。
この消沈した精神状態で戦いを強要されるわけだ。
特に気絶させられたしぃや兄者のダメージ、そしてそれを目の当たりにしたドクオ辺りは
もはや戦力になるかどうか解らない。
( ,,゚Д゚)「ちっ……厄介なことを」
厄介だ。
本当に厄介なことをしてくれた。
- 127: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:15:27.73 ID:tleOweXb0
- 爪゚ -゚)「どうした……もう誰もかかってこないのか?」
軽く槍を振り回し、前方で構えるギコ達に問いかける。
しかし相手に動きは無い。
ジェイルはその高度な思考回路で思う。
弱い、と。
心も、頭も、身体も、技能も、武器も――己の前には適わない。
たとえ数を増やしたとしても結果は変わらないだろう。
限界突破という妙な技を持ち合わせているらしいが、それも己ならば回避も防御も容易いだろう。
己の身体と甲冑、そして武器は対ウェポン用に改造されている。
そして装備されている人工知能は『戦闘行為』に特化している。
実質、奴らの武器は己の身に届くことはないのだ。
勝ちは見えた。
否。
勝ちは最初から見えていた。
爪゚ -゚)「……来ないのか?」
再び問う。
しかし相手は来ない。
その表情に焦りと恐怖、そして憤りが見える。
己の武器が通じず、そして押されているのが信じられないのだろう。
当然の結果だというのに。
- 131: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:17:55.16 ID:tleOweXb0
- 己という相手と対峙した時に気付くべきだったのだ。
勝てないのだ、と。
もはや諦めの意思と共に向かってくれば、精神的ダメージも減らすことも可能だったはずだ。
しかし彼らはテンションに身を任せ、意気揚々と戦闘を開始した。
馬鹿だと思う。
人間には感情があると聞いている。
それが素晴らしいことであるとも聞いている。
しかし、それは戦場において最も邪魔なモノだとも聞いている。
それを戦場で発揮してしまった愚かしい生物が……奴らだ。
ふぅ、と溜息――ただの排熱行為だが――が漏れ出る。
つまらない。
私は奴らを殺すために作られたというのに。
その役目は果たされようとしているのに。
何故か、嫌だと感じる。
- 135: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:20:03.63 ID:tleOweXb0
- 足りないのか。
まだ、戦い足りないのか。
爪゚ -゚)(私は戦いのための人形――その絶頂を一度は味わってみたいものだ)
思うが、しかしそれは果たされないのだろう。
強すぎるが故に。
爪゚ -゚)「来ないのか?」
もう一度問いかける。
今度は、少しの願望を籠めて。
来てほしい。
そして、己と戦ってほしい。
- 140: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:22:07.08 ID:tleOweXb0
- ( ゚∀゚)「おい……で、どうするよ」
(´・ω・`)「君が犠牲になって、その隙に僕らがやればいいと思うよ」
(;゚∀゚)「仮にも味方に言う言葉じゃねぇな」
そうかなぁ、と首を傾げるショボンの隣で弟者が
(´<_` )「しかし……本当にどうする?」
と、ギコに問いかける。
( ,,゚Д゚)「フサギコに何か策があるらしいが……そればかりを頼りにするわけにもいくまい」
( ゚∀゚)「っつーか時間稼ぎが目的なんだろ?
んじゃあ、一人ずつ掛かっていくっつーのはどうよ?
やられたら交代ーって感じで」
(´・ω・`)「僕ら四人が一人ずついったとして……瞬殺、まぁ頑張る、防御して時間稼げる、ちょっと稼げる
っていう結果しか見えないや」
(;゚∀゚)「なぁ、その最初の『瞬殺』って誰のことだ?」
ショボンは無視。
先ほどから黙っているモララーに目を向けた。
(´・ω・`)「モララーさんは、何か考えがありますか?」
- 142: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:24:28.76 ID:tleOweXb0
- ( ・∀・)「……いや、特にないね。
とりあえず時間を稼ぐ、という方法をとった方が良い。
フサギコ君の限界突破が駄目ならば
それまでにとった戦闘データから弾き出される弱点を突けば、あるいは――」
( ,,゚Д゚)「弱点などあるのか?」
( ・∀・)「彼女は、何故今……攻撃してこないと思う?」
( ゚∀゚)「あ? 塔の入り口を守ってっからじゃねぇか?
アイツがあっこから離れたら、俺達が侵入出来ちゃったりするだろ?」
( ・∀・)「正解だ。
それは私達が彼女の立ち位置を固定する必要が無いという意味に繋がる。
そして更には、あの強靭な脚部から発動される速度は頻繁には使われないのだよ」
その言葉に弟者が首を傾げた。
(´<_` )「いや、しかし……先ほど、兄者はその高速移動故にぶっ飛ばされたぞ?」
( ・∀・)「そう、攻撃挙動のための移動ならば、ね……」
( ,,゚Д゚)「単に回避挙動や移動挙動には使われない、ということか」
( ・∀・)「小さな、本当に小さな情報だ。
しかし……彼女相手にそれを使わずして勝てる道理は無い」
- 145: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:26:53.43 ID:tleOweXb0
- そして、と彼は付け加える。
( ・∀・)「彼女が今攻撃してこない理由がもう一つある」
(´・ω・`)「それは?」
答えず、モララーはジェイルの元へと歩き出した。
それを目で追う四人。
少し歩いた先で、モララーが首だけをこちらに向けた。
( ・∀・)「慢心故の停滞……ギコ君ならば、覚えがあるのではないのかね?」
( ,,゚Д゚)「……まさか」
( ・∀・)「そのまさかだ。 案外この戦闘――すぐに終わるかもしれないね」
走り出す。
フサギコの限界突破を待つだけならば、もはや自分達は攻撃を仕掛けなくても良い。
何故なら彼女はその場を動かないのだから。
しかし、彼らは攻撃をする必要があった。
彼女が、その速度を移動・回避挙動に使わないが故に。
彼女を、『その時』までに動かさないために。
彼女に、そのことを気付かせないために。
そして何よりも――彼女が自分達よりも強いと思わせるために。
- 148: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:29:02.53 ID:tleOweXb0
- 爪゚ -゚)「来るか……さぁ、貴様らの本気を見せてみろ!」
攻撃の意思を感じ取り、その場で構えるジェイル。
( ・∀・)「ははは、ボッコボコにしてあげるよ!」
( ゚∀゚)「何か台詞がアレだが、概ね同意だぜ!」
モララーのロステックが唸りをあげつつ迫り、その背後からユストーンが援護攻撃を仕掛ける。
しかしそれは剣と槍に阻まれた。
剣線が鎖を叩き落し、そして槍がロステックの軌道を歪曲させる。
反撃は長棒だ。
長さ4、5メートルはありそうなそれは、横薙ぎに五人の脇腹辺りを狙う。
( ,,゚Д゚)「伏せろッ!」
声と同時。
五人が一斉にその場に伏せる。
一瞬後に長棒が風を切り裂きながら通過していった。
立ち上がり、まず接近したのはショボン。
長いリーチを利用した中距離からの刺突を繰り出そうと――
(;´・ω・`)「!?」
目の前に回転刃。
慌てて首を逸らすが、その回転したトマホークはショボンの左耳を少し切り裂いた。
- 154: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:31:28.55 ID:tleOweXb0
- 出血する耳を押さえるショボンの側をギコが駆け抜ける。
( ,,゚Д゚)「つぁッ!!」
上段からの渾身の一撃。
金属音。
見れば、細身の銀剣が青色の巨剣を軽々と支えている。
鍔迫り合い以前の問題だ。
ギコは全身の力と体重をかけて攻めているのだというのに
ジェイルの方は片手の剣のみ、しかも腕の力だけで防いでいる。
爪゚ -゚)「力任せで我に一撃を入れることなど不可能だ」
ギコの身体がグン、と押される。
右腕の力だけで巨剣+ギコの体重を吹き飛ばしたのだ。
(;,,゚Д゚)「ちぃ……!」
砂煙を上げながら後退するギコ。
殺気を感じ視線を上げれば、目の前に白銀の槍が迫っていた。
(´<_` )「おおっと!」
間一髪。
弟者が滑り込みながら槍を弾き飛ばす。
- 157: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:34:05.32 ID:tleOweXb0
- それを見届けたジェイルは、余裕を持って新たな白銀の槍を取り出しながら
疾駆。
狙われたのはジョルジュだ。
(;゚∀゚)「げげっ! 選りによって俺かよ!」
一瞬で状況を判断した彼は、鎖を身体に纏わせて防御体勢に入る。
直後。
神速に近い槍の一撃がジョルジュに直撃した。
耐える間もなく吹き飛ばされる。
(;゚∀゚)「あ痛ってぇぇぇぇぇ!?」
ズザザ、と背を地面に擦りながら滑る。
その慣性運動が終わる前に、ジェイルはジョルジュの真上へと跳躍していた。
迫る銀剣。
( ・∀・)「カモォン♪」
仰向けのジョルジュの傍らにモララーが走りこむ。
まるで落ちてくるジェイルを野球のボールに見立てたかのように、彼はバット代わりにロステックを構えた。
思い切り振る。
風を切る音が来る前に鉄槌と剣が激突。
甲高い音が響き、互いの武器が振動する。
結果、劣ったのは剣だった。
みるみるうちにヒビが入り――金属が割れる音と共に銀剣が砕けた。
- 160: ◆BYUt189CYA :2006/11/26(日) 22:36:35.34 ID:tleOweXb0
- ( ・∀・)「ふぅむ……もっと一瞬でパリーンと割りたいのだが。
いやはや、非常に興味深いね」
爪゚ -゚)「だが、いくら武器を叩き砕こうとも無駄だ」
またもや彼女は背から銀剣を取り出す。
どうやら無尽蔵、もしくはかなりの数を保有しているらしい。
というか何処から出しているのか。
爪゚ -゚)「先ほどからの攻防……貴様らの本気はその程度か」
( ゚∀゚)「阿修羅野郎とマトモに戦う方がおかし――」
声が終わる前に、風切音。
ジョルジュの頬をトマホークが掠っていった。
(;゚∀゚)「…………」
爪゚ -゚)「我はただ貴様らと戦いたいのだ。 我はただ己の力の限りを見たいのだ」
( ・∀・)「限界を知りたいわけだね? それは何故かな?」
爪゚ -゚)「解らぬ……しかし、知りたいのだよ。
我が力の、限られた界の――その淵を見たいのだ」
( ・∀・)「そうかね」
興味なさ気に呟く。
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