( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです
- 47: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:02:09.16 ID:nxWBhSLN0
- 両者、構える。
もはや二人の間に遠慮は無くなる。
いつか紡いだ絆は消え去り、ただあるのは闘争心。
互いの、互いが選んだモノを、互いから抗うために。
理由は言わない。
言っても言わなくても結果は変わらないのだから。
疾駆。
クーが巨剣を構えたまま、こちらに走ってくる。
( ^ω^)「十三の能力を持ったウェポン――」
確かにそれは反則といえる能力だろう。
しかし彼は抵抗の意思を収めようとはしない。
何故なら――
( ^ω^)「僕はほとんどの能力をこの目で見て、聞いてきたんだお!」
1st−W『グラニード』の能力は『刀身に対する引力操作』。
一撃の重さを数倍にまで膨らませることも
逆に、刀身を軽くさせて移動や防御速度を上げるという使い方も可能だ。
攻撃にも防御にも使える、まさに1stの名に相応しい性能を誇るウェポン。
しかし欠点もある
攻撃時と防御時の能力がはっきりとしているという点だ。
※以前ギコが『制限や弱点を排除したのがウェポン』と言っていたが
それは彼なりの判断であり、これもブーンなりの判断である。
- 50: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:04:33.93 ID:nxWBhSLN0
- 攻撃接触時に軽くするわけがないし、移動・防御時に重くするわけがない。
今、彼女はそのグラニードを振りかぶって攻撃を仕掛けている。
つまり攻撃を受け止めれば、数倍に跳ね上がった一撃によって確実に潰されるのだ。
よって選択すべき行動は自ずと弾き出される。
( ^ω^)(回避!)
向かってくる攻撃軌道上から身を避けるように、身体の重心をズラす。
自分の身体が元あった空間を巨剣が切り裂いていった。
次の瞬間に変化が来る。
一瞬の光の後に来るのは――
( ^ω^)「3rd−W『ウィレフェル』かお!」
クリアカラーの大鎌。
能力は、開戦当初に見た『柄の伸縮自在』だったはず。
遠距離にも対応可能……という能力に見えがちだが、実はもう一つの可能性を持っている。
柄を伸ばした状態での遠心力を利用した一撃だ。
刃も強力だが横に薙いだ場合、腕と刃を繋ぐ柄も攻撃の一部に入る。
つまり全距離同時対応な武器。
その欠点は――
( ^ω^)(柄を伸ばしたら接近、伸ばさなかったら退けばいんだお!)
今、自分のいる場所は、彼女に対して近過ぎず遠過ぎずの場所。
その場で動かず、回避姿勢をとりながら大鎌を見つめる。
タイミングは攻撃する瞬間だ。
- 54: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:06:49.92 ID:nxWBhSLN0
- 彼女が大鎌を振りかぶった。
柄を伸ばした攻撃――
川 ゚ -゚)「ッ!」
フェイント。
攻撃すると見せかけて接近を開始される。
(;^ω^)「けど――!」
回避姿勢はとってある。
大鎌は通常、薙いで攻撃するものではない。
刃を敵の背後まで持っていき、そのまま首や胴体を狙って引くのが本来の使い方である。
ならば背後を取らせなければ良い。
判断するや否や、バックステップで跳躍。
川 ゚ -゚)「甘いな」
呟きと同時。
振りかぶった大鎌の柄が一瞬で数メートル伸びる。
そのまま、バットを振るような姿勢で――
(;^ω^)「やばっ!? マトリーックス!!」
着地した時に発生する後ろへ流れる慣性エネルギーをそのまま放棄。
身を限界まで背後に逸らす。
背中から倒れこむように身を投げ出した。
次の瞬間、目の前を刃が上から下へ鋭く通過していく。
- 58: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:09:35.39 ID:nxWBhSLN0
- (;^ω^)「何とか避けられた――いてッ」
後頭部を地面に打ちつける。
立ち上がろうとした瞬間。
(;^ω^)「うわっ!?」
左足に締め付けるような感覚が襲い掛かる。
慌てて視線を向ける。
クリアカラーの鎖だ。
川 ゚ -゚)「9th−W『ユストーン』」
(;^ω^)「ッ!!」
足元から一気に引っ張られる。
身体が地から浮き――
(;^ω^)「うわぁぁぁぁ!?」
モーニングスターの如く振り回され、そのまま壁に叩き込まれた。
白い壁はブーンの身体を衝撃と共に受け止め、しかし砕けない。
バウンドするように今度は地面に叩きつけられる。
そこへ飛んできたのは光弾だ。
幾つもの光の弾が倒れこんだブーンの位置へ飛び掛っていく。
連続した光爆。
そして弾ける砂塵。
- 62: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:11:59.35 ID:nxWBhSLN0
- 川 ゚ -゚)「この程度か」
クリアカラーの巨大な銃器を構えたまま、クーは静かに呟く。
だが、油断は出来ない。
未だ砂煙が濛濛と視界の中に、次々と光弾を連射していく。
連続した爆発音。
そして更に増え続ける爆煙。
その中から、突如として人影が飛び出してくる。
(#^ω^)「くぅぅぅ!!」
自身へ飛来する光弾を両拳で叩き落しながら、クーの元へ走りこむが――
川 ゚ -゚)「やはり油断ならないな……」
ウェポンを変更する。
発光の次に現われたのは、クリアカラーのロングブーツだ。
(;^ω^)「ギルミルk――」
言葉が終わらない内に高速接近。
真横に姿を現したクーの視線の先には、未だに彼女の姿を捉えていないブーンの横顔。
その隙だらけの顔面に、一瞬で変更したクリアカラーのグローブを装着した拳を叩き込み――
(;^ω^)「ぐっ……!」
身体強化された身体と、身体強化された拳がぶつかり合う。
結果はプラスマイナスゼロだ。
- 64: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:14:53.78 ID:nxWBhSLN0
- 衝撃に耐えるブーンを見ながら
川 ゚ -゚)「前々から思ってはいたが、随分と諦めが悪い」
(;^ω^)「根性がある、とか言ってほしいもんだお……!」
吹き飛びそうになる身体を、踏み込むことで留まらせる。
その反動を利用して目の前にいる彼女の腹部目掛け、右拳を突き出した。
川 ゚ -゚)「ッ……!」
それは捌かれる。
しかし格闘戦に持ち込めばブーンの方が有利だ。
捌かれるのは予想済みだと言わんばかりに、更なる攻撃を繰り出す。
( ^ω^)「ふっ!!」
回し蹴りが彼女の脇腹を捉えた。
衝撃に揺れる彼女の身体に更なる連撃を浴びせる。
しかし偽クレティウスを装備している相手も身体強化されている故に、ダメージはあまり無さそうだ。
心の中で舌打ちをしつつ、背後へ退く彼女を追うように走り出す。
川 ゚ -゚)「追撃だと思ったよ!」
突如、目の前に透明色が広がり――巨大な盾だと判断した時には遅かった。
(;^ω^)「わっ!?」
強力な斥力によって身体が背後へと弾き飛ばされる。
空中で姿勢を正そうにも、斥力が一方向に向けられているのでそうもいかない。
- 69: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:17:20.86 ID:nxWBhSLN0
- そこへ接近するはギルミルキルの能力を得たクーだ。
ブーンの真上に姿を現した彼女は、すぐさま能力変更する。
その手に握られるはクリアカラーの鉄槌。
(;^ω^)(まずいお!)
ブーンは2nd−W『ロステック』の能力の正体を知らない。
しかし近接用の武器は、総じて触れることが危険だというのは理解している。
(;^ω^)(くっ――!!)
ジゴミルが無いので、斥力は既に効果を失っている。
しかし未だ身は宙だ。
防御しか選択肢が残されていない。
川 ゚ -゚)「はっ!」
鉄槌が振り下ろされた。
対しブーンは両拳をクロスさせ、身体へのダメージを薄めようとする。
瞬間、衝撃。
(;^ω^)「ぐぅぅぅぅ!!」
ロステックを受け止めた拳に、異常な振動と痺れが襲い掛かった。
そのまま地面に叩きつけられる。
- 71: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:20:18.83 ID:nxWBhSLN0
- (;^ω^)「な、何だったんだお、今n――」
ジンジンと痛む拳を見て、言葉が途中で止まってしまう。
(;^ω^)「そんな……!?」
グローブがボロボロに裂かれていた。
それを見届けた途端、身体から微かに力が抜けるような感覚を憶える。
川 ゚ -゚)「どうやら粉砕力が耐久度を超えたらしいな。
もはやクレティウスは本来の力を出せなくなった」
今度は右手にクリアカラーの巨大トマホークが握られる。
川 ゚ -゚)「これで終わりだな」
振りかぶり、鋭く投擲。
それは回転しながら、未だ呆然としているブーン目掛けて飛んでいく。
(;^ω^)「!?」
気付くが、もう目の前だ。
慌てて身体を投げ出そうとするも、その身体を重く感じてしまう。
(;^ω^)(これがクレティウスを使用した後の副作用……!)
水泳後に身体を重く感じてしまう原理と似たようなものだ。
足腰、そして肩や首が特に重く感じる。
しかし
避けねば――
- 73: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:22:47.62 ID:nxWBhSLN0
- 身を投げた直後。
ラクハーツが背後の壁に激突した。
そこから引き出される事象は一つ。
(;^ω^)「ぐあぁぁぁ!?」
爆発。
背中からモロに爆風を浴びたブーンは顔面から地に叩きつけられ、更に身を転がせていく。
そのまま数回転し、ようやく動きが止まった頃には意識というモノが奪われかけていた。
頭は朦朧とし、体の節々が強制的な駆動に悲鳴を上げ、呼吸も上手く出来ない。
(;´ω`)「ゲホッ、ゲホッ……」
クレティウスの効果が薄くなった途端にこのザマだ。
依存はただの停滞だと誰かが言っていたが、まさに自分のことだと思う。
しかし、諦めない。
しかし、抗いをやめない。
しかし、己は戦いを放棄しない。
(;^ω^)「ぬぐっ……!」
両腕に力を入れ、立ち上がる。
視界が少し霞んで見えるが、すぐに慣れるだろうと判断。
自分はまだ戦える。
まだ両腕があり、両足があり、頭だって意識だってある。
諦めの要素は一つたりとも見当たらない。
- 76: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:25:54.87 ID:nxWBhSLN0
- 勝たねばならないのだ。
勝たねば彼女はこちらを見てはくれないのだ。
目的が目の前にある。
そんな状態で倒れてなんていられない。
そのために自分はここへ来たのだから。
クレティウスの力が半分近くにまで落ちても、残りは自分の力で何とかしてみせる。
川 ゚ -゚)「まだ来るか」
(;^ω^)「当たり前だお……僕は抗いのための『戦い』を選んだのだから!」
川 ゚ -゚)「私は『護る』よ……君がどんなに抗っても、な」
クーが腕を振った。
その腕の先に、クリアカラーの刀が握られている。
川 ゚ -゚)「これが14th−W『ハンレ』の基本形態だ。
特に能力は無い」
- 79: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:28:27.88 ID:nxWBhSLN0
- 両者、格好は違うがそれぞれ構える。
川 ゚ -゚)「能力ばかりに頼るわけにもいくまい……。
それに反則的な能力だったから、負けて当たり前などと言われたくないしな」
( ^ω^)「もはや特殊な能力など要らない――」
川 ゚ -゚)「己の力のみで勝負だ――!」
疾駆は同時。
二匹の獣は雄叫びを上げながら互いの敵に向かって走る。
片方は刀。
片方は拳。
二人の戦いは、遂に最終局面を迎えようとしていた。
- 84: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:31:09.33 ID:nxWBhSLN0
- (;゚∀゚)「ヒャハハハハハハ……ハハハハ……ハァ、ハァ……」
(´・ω・`)「どうしたのさ、気でも狂ったのかい?」
(;゚∀゚)「いや、このクソみてぇに長ぇ階段がムカつくから、とりあえず笑ってみた」
(´・ω・`)「僕には君のような馬鹿のすることが理解出来ないよ……」
ジェイルとの戦いを終えた彼らは、ブーンの後を追うために塔内に入っていた。
隠し通路が開いているのを見て、この先に彼がいるのを確信する。
今はぞろぞろと螺旋階段を上っている状態だ。
( ´_ゝ`)「…………」
(´<_` )「どうした、兄者。 さっきから黙ってるなんてらしくないぞ」
( ´_ゝ`)「いや……気にしないでくれ」
(´<_` )「?」
( ´_ゝ`)(キーとなる日記が無くなっていた……。
まさかとは思うが、内藤よ……アレに何か書いてあったのか?
そうなるとリトガーが放置していた意味が解らないが……何か考えがあったのか?)
そして
( ´_ゝ`)(内藤よ……お前はクーの真実を知ってしまったのか……?)
疑問はこの先にあるはずだ。
今は階段を上ることしか出来ないのが歯痒い。
- 88: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:33:50.32 ID:nxWBhSLN0
- ( ・∀・)「ふぅ……やれやれ、傷に響くねこれは」
(*゚ー゚)「大丈夫ですか?」
( ・∀・)「君の応急手当のお陰で出血は無いようだ。 しかし如何せん傷が痛むのは否めないね」
( ,,゚Д゚)「そのくらい我慢しろ」
( ・∀・)「ははは、私は生憎ドSなのでね。
はっ、もしかしたら逆に潜在的Mなのかも……いやいや、しかしだね……」
(;'A`)(思いっきりぶっちゃけちゃったよ、この人……)
モララーの発言に対し、各人は思い思いに無視。
その最後尾には壁に手をつきながら階段を必死に上るフサギコ。
('A`)「大丈夫ッスか? 何なら肩を貸し――」
ミ,,"Д゚彡「……いえ、大丈夫です。 仲間である貴方達の手を煩わせるわけにはいきません」
そう言う彼の姿は痛々しい。
それを見たドクオは、黙ってフサギコの腕を掴んで肩に乗せた。
頭に『?』を乗せたフサギコに向かって
('A`)「俺は皆と違って援護役ッスから。
走り回ったり飛んだり跳ねたりしないんで、体力少なくても戦えるッス。
それに、遠慮無く頼るってのも仲間らしくて良いと思うッスよ」
ミ,,"Д゚彡「は、はぁ……ありがとうございます」
- 92: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:36:11.67 ID:nxWBhSLN0
- そんなこんなで黙々と階段を上る。
未だ出口らしきモノは見えてこないが――
( ゚∀゚)「なぁ、上るにつれて何か聞こえてこねぇか?」
(*゚ー゚)「……そういえば、確かに」
地響きのような、しかし違うような音だ。
地獄の底から響いてきそうな重々しい音が微かに聞こえる。
足を止めていれば解るレベルだが、振動も同時に響いている。
(´<_` )「これは……」
( ・∀・)「何かが起きていることは確実だね……早く上ってしまおう。
そして問いださねばね……。
クルト博士はともかく、リトガーが何に『完成品』を利用しようとしているのかを」
前進あるのみ。
それが彼らに出来る唯一のことだった。
- 94: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:38:27.28 ID:nxWBhSLN0
- 白い空間。
そこでは二つの人影が交差し、激突し、弾き飛ばされていた。
( ゚ω゚)「おぉぉぉぉぉ!!」
川 ゚ -゚)「はぁぁぁぁぁ!!」
声と同時にぶつかるのは金属の音。
刀と拳。
それらが互いを破壊せんという勢いでぶつかり合う。
ぶつかった瞬間に衝撃波が吹き荒び、白い空間を揺らす。
川 ゚ -゚)「君に――!!」
上方からの斬撃。
川 ゚ -゚)「君に解るというのか!
記憶の中で生きていた人が、思い出せば居なかったという悲しさが!!」
それを往なすのは拳。
( ゚ω゚)「解るわけないお!!
ただ自分の殻に閉じ篭もって出した結論なんて、解ってたまるかお!!」
高速で交差する武器。
互いの頭部を、胸部を、腹部を、腕部を、脚部を狙った攻撃が交差する。
- 98: ◆BYUt189CYA :2006/11/29(水) 21:41:24.97 ID:nxWBhSLN0
- 往なし
防御し
弾き
ぶつかり
回避し
外し
交差し
歪曲する。
力を半分失ったクレティウスと、能力が無いハンレが高速の攻防を繰り返す。
( ゚ω゚)「君はぁぁぁぁ!!」
防御に使われた刀を叩き折るかのような一撃。
( ゚ω゚)「君はッ! 『失敗作』なんかじゃないんだおっ!!」
響く振動を無視し、反撃に移る刀。
川 ゚ -゚)「ならば――ならば何だと言うのだ!?」
強力無比な一撃を逸らす。
( ゚ω゚)「君は『シッパイサク』なんだお!!」
川 ゚ -゚)「聞いた私が馬鹿だったよッ!!」
鼓膜を劈く甲高い金属音。
アッパー気味の拳と、全てを両断する勢いの刀がぶつかり合う。
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