( ^ω^)ブーンが戦い、川 ゚ -゚)クーが護るようです

798: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 21:55:08.72 ID:/Qnd2oRj0
  
そんな和やかな空気の中――

「ウゥ……ゥゥ……」

ミ;,,"Д゚彡「……誰ですか? 変な呻き声を上げるのは?」

(´・ω・`)「ジョルジュ、緊張に耐えられなかったのは解るけど
      あまり周囲を脅かしたら駄目だよ?」

(;゚∀゚)「何で俺が犯人なんだよ……」

「ウ……ォ……ォァ……」

( ・∀・)「……はて? 水を差す様で悪いが、私達は何か大事な事を忘れていないかね?」

(;'A`)「そ、そういえば、あまりに信じたくないから思考の隅に押しやっていた事が――」

「オオオォォォォォ!!」

叫び声。
先ほどとはうって変わって、地獄の底から響いてくるような雄叫びだ。



803: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 21:57:12.73 ID:/Qnd2oRj0
  
(;゚∀゚)「ぬがー! やっぱ生きてやがったか!!」

全員が一斉に背後を見る。
屋上の淵付近――そこに黒焦げたモノが落ちているのを。

ハインリッヒ。

白かったコートや髪の毛、そして皮膚は所々が黒々と焦げている。
しかしその目は爛々と輝きを増しており、軽い現実逃避をしていたブーン達を睨みつける。

从 ゚∀从「オォ……オォァァァァァ!!」

フラリ、とよろめきながらも立ち上がる。
その背には

('A`)「翼が無いぞ!」

だが安心は出来ない。
ハインリッヒが空を飛ぶ意志を持っている限り、きっと翼はまた生え変わり――

从 ゚∀从「――――ッ」

息を詰めたような声。
夜空を見上げたハイリッヒは、しかしそのまま動くことは無かった



807: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 21:59:06.23 ID:/Qnd2oRj0
  
(*゚ー゚)「空を、諦めた……?」

( ・∀・)「そのようだね」

状況を判断したモララーがウェポンを解放させる。

( ・∀・)「構えたまえよ、皆。
     二人の天使とその支援者達が化け物の翼を奪ってくれた。
     後は我々の出せる限りの力をぶつけよう」

( ,,゚Д゚)「これで終わりにする!
     塵に還すまで攻撃を止めるなよ……!」

( ^ω^)「言われなくてもッ!」

( ´_ゝ`)「塵どころか、存在すらも消えるまでぶつけまくってやる」

( ・∀・)「とは言え、未だハインリッヒは移動を可能としているようだ。
     完全に動きが止まるまで――限界突破は控えたまえよ」

全員が一斉に各々の武器を構えた。
相対するは、ダメージの片鱗が見え始めたハインリッヒ。
怪我が目立つとはいえ、未だ油断は出来ない敵だ。



810: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:01:13.18 ID:/Qnd2oRj0
  
しかし――

しかし、彼らの心で吠え続ける抗いの声は咆哮を止めない。

負けぬ。
負けられない。
負けてたまるものか。

不負の精神が全員に宿っている。

勝つ。
勝とう。
勝ってみせる。

必勝の意思が全員に宿っている。

――そこから導き出される結論はたった一つ。

川 ゚ -゚)「私達の勝利、揺るがせはしない……!!」

( ,,゚Д゚)「これで最後だ! 皆、行くぞッ!!」

全員が一斉に駆け出した。



811: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:03:18.58 ID:/Qnd2oRj0
  
決着がつこうとしている白い巨塔。
その屋上を、一つの『眼』が監視していた。

『眼』の正体とは、監視という機能のみに特化した小さな機械だった。

それは遥か上。
もはや地上からは視認出来ないほどの上空で、監視の『眼』を巨塔へ向けていた。

『眼』に映るは、屋上で繰り広げられる最終決戦。

そしてその映像が送られる先には――



814: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:05:32.67 ID:/Qnd2oRj0
  
(;'A`)「あー、クソ! しぶとい!」

ガロンを構え、後方から射撃を続けるドクオが悪態を吐く。

( ・∀・)「流石は最強生物。
     その薄汚い姿は最強に相応しく無いが、ただ生物としてなら賞賛に値するね」

ミ;,,"Д゚彡「とは言え、その相手をするのは苦労という言葉では片付けられませんよ……」

高速で移動するハインリッヒを追いつつ、フサギコが溜息。
その影にはショボン。

(´・ω・`)「ふぅ……刺しても刺しても終わりが見えない」

( ´_ゝ`)「文句を言っている暇があるのなら、その間に一撃でも傷を負わせろ。
      口を開くだけ体力の無駄だろう」

(´・ω・`)「兄者さんにそんなコト言われるなんて予想GUYだよ……。
      何でこういう時に限って真面目モードなのさ」

(´<_` )「とりあえず兄者は死亡フラグの回避に専念してくれ」



818: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:07:39.83 ID:/Qnd2oRj0
  
从 ゚∀从「オォォォ!!」

一瞬の隙を縫うようにハインリッヒの腕が伸びる。
その先にはしぃが――

(;,,゚Д゚)「くッ――!!」

腕が届く前に飛び出したギコによってその攻撃は阻まれる。
だが巨剣を盾にするタイミングが遅れたため、その肩に一筋の血線が描かれた。

(;*゚ー゚)「ギコ君!? 私を庇って……!?」

( ,,゚Д゚)「俺はお前に依存していたからな。
     今まで支えてもらった分、大量に返さなきゃならないものがある」

(*゚ー゚)「ギコ君……」

そんな幸せオーラ満開の二人を横目に、鎖を振り回すジョルジュが

(#゚∀゚)「こんな時にじゃれ合う暇があんのかよ!?
     これ何て能天気な馬鹿共ですかよ!? あぁ!?」

(#^ω^)「ってか、攻撃してるのに倒しきれないってのはストレスが溜まるお!」

川 ゚ -゚)「溜め込むのは構わんが、たまには吐き出さないと勝利の二文字は手に入らないぞ」

無鉄砲に立ち向かっていくブーンを、クーが自然な動きでサポートする。
いつしか攻撃の要は二人が担う状況に移行していき、他の者達はその援護に集中し始める。



822: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:09:47.39 ID:/Qnd2oRj0
  
ブーンの拳が風を切り
 クーの剣撃がすかさず一閃し
  ギコの巨剣が愛する人を護り
   モララーの鉄槌が敵の防御力を削り
    フサギコの大鎌が敵の動きを阻害し
     兄者の魔法が夢を生み出し
      ショボンの長槍が距離を無にし
       ドクオの長銃が光弾を連射し
        ジョルジュの鉄鎖が地を這い回り
         しぃの羽片が敵の目を眩ませ
          弟者の大盾が的確に攻撃を防ぎ――

だがハインリッヒも負けてはいない。
襲い掛かってくる攻撃を避け、防御し、反撃さえしてくる。



826: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:11:31.42 ID:/Qnd2oRj0
  
十一対一の攻防。
互角に見えたその戦いだが――

从 ゚∀从「ッ!?」

ショボンとフサギコの、距離を開けたコンビネーション攻撃が炸裂した。
両足を引っ掛けられたハインリッヒは尻餅をつくような格好になり

( ,,゚Д゚)「もらった――!!」

真上へ飛んだギコが巨剣を振りかぶる。
しかしハインリッヒも黙ってはいない。
刀身に対する引力を最大に設定した巨剣の剣士に向かって、十の細い白槍を発射する。

己の身を貫かんと迫ってくる白槍を見たギコは、一言こう言った。

( ,,゚Д゚)「頼り甲斐が無くて悪いが……任せたぞ」

小さな呟きだ。
しかし、了承したかのようにそれが来た。



832: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:13:41.73 ID:/Qnd2oRj0
  
一本目の白槍を破壊するのは光弾だ。
ドクオが逸早く気付き、ギコのために道を開く。

二本目の白槍を阻害したのはジョルジュ。
味方の援護を自ら進んで行うとは驚きだが、鉄鎖はしっかりと道を作る。

三、四本目の白槍を焼き払ったのは兄者。
タイミングが少々ズレたため炎は二本だけしか消せなかったが、道は開かれる。

五本目の白槍を粉砕したのはモララーの鉄槌だ。
一度はギコの寸前まで身を伸ばした白槍だが、根元を失ったことにより失速、墜落する。

六、七本目の白槍を掴んだのはブーン。
その身体強化を受けた身体で、自ら壁となり道を切り開く。

最後の八、九、十本目をぶち抜いたのはしぃ。
鋭く、そして無数の羽片が最後の三本を粉々に砕いた。

そして彼女は彼に向かって叫ぶ。

(*゚ー゚)「――ギコ君ッ!!」

( ,,゚Д゚)「任せろッ――!!」

巨剣を振りかぶったまま落下運動。
皆が切り開いた道をそのまま進み、下で防御手段を失ったハインリッヒに向かって――



840: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:15:25.55 ID:/Qnd2oRj0
  
ズン、という重々しい音が響いた。

从 ゚∀从「――オ、オォォォォウゥゥゥァァァァアアァア!!?」

戦いが始まって以来、初の悲鳴ともいえる声。
その両足が脛部分から一気に切り落とされていた。

( ,,゚Д゚)(やはり、今の状態での身体硬化は薄くなっている――!)

しかも相手の移動のための足は失われた。
最初で最後のチャンスが到来する。

( ,,゚Д゚)「――よし、やるぞ!
     皆、己が持つ最強の一撃を叩き込め!
     これで本当に終わらせる!!」

ギコの叫びに、モララーが続いた。

( ・∀・)「遠距離攻撃の後に、近接を順次ぶち込め!
     それぞれ己の適正を考え、躊躇うこと無く最大の力を籠めたまえ!
     弱ったハインリッヒに、クー君が最後の一撃を加える!
     その一撃で――」

声が重なる。

( ,,゚Д゚)「「現状を打ち砕くッ!!」」(・∀・ )



844: ◆BYUt189CYA :2006/12/04(月) 22:18:03.07 ID:/Qnd2oRj0
  
川 ゚ -゚)「それでこそ私達の勝利は揺ぎなく、か?」

( ・∀・)「そうだとも!
     例え相手が最強だろうと私達は諦めない!
     故に勝利は揺るがない!!」

バッ、と音を立てながらモララーは声を発した。

( ・∀・)「総員! 限界突破構えッ!!」

皆が一斉に音を立てながら、それぞれの思惑を秘めつつ武器を構える。
足を無くしたハインリッヒを中心に、円の形をした陣形だ。

川 ゚ -゚)「終わらせよう
     この狂ってしまった矛盾を。
     そして、この矛盾だらけの戦いを――!」

( ^ω^)「クルト博士の思い――リトガーの野望――指輪という呪縛――
      ここで全てを断ち切るんだおッ!!」

最終決戦開始から八時間二十四分。

決戦の時計を止めるための一斉攻撃が始まる――



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