( ・∀・)モララーのクリスマスはとんでもないようです

21: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:09:14.73 ID:rBNb9hRU0
  
( ・∀・)「次はここかね」

爪゚ -゚)「はい」

逃亡した二人は違うアパートの前にいた。
先ほどとは違い、小奇麗な建物だ。
どうやら築数年ほどの新しいアパートらしい。

爪゚ -゚)「情報によれば、このアパートの201号室にギコ様としぃ様が……」

( ・∀・)「いつの間に同棲していたのかね、あの男は。
      この調子ならすぐにでも籍を入れそうで困る」

爪゚ -゚)(何故に困る?)

( ・∀・)「さぁて、例外に漏れずここにも嫌がらせ――いや、プレゼントを配らねば」

爪゚ -゚)「今回はどうやって?」

( ・∀・)「正面から堂々と行こうか。 ギコ君相手にコソコソする必要もあるまい」



22: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:10:30.82 ID:rBNb9hRU0
  
歩き出す。
階段を上り、201号室の扉の前へ。
インターホンをポチッとな。

ぴんぽーん

間抜けな音が響く。
そして間も無く扉が開いた。

( ,,゚Д゚)「はい、どちら様――」

( ・∀・)「サンタクロースだよ!!」

ばたん

( ・∀・)「あ、あぁ! 何故に扉を閉めるのだね!? 私だよ、わ・た・し!!」

『帰れ』

( ・∀・)「ふふふ、私は生憎放置プレイは好きではないのでね?」

『何故、貴様がここにいる?』

( ・∀・)「そこに夢があるからさ」

『聞いた俺が馬鹿だった。 さっさと帰れ』



23: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:11:41.58 ID:rBNb9hRU0
  
( ・∀・)「釣れないね……ならば私にも策があるよ!」

ごそごそ
じゃじゃーん

( ・∀・)「ピッキングセットー」

『犯罪はやめろ』

( ・∀・)「もはや合意の上だよ?
      開けられるものなら開けてみろ……君は私に挑戦しているのだね?」

『頼むから病院逝け』

( ・∀・)「ははは、私は子供の頃から風邪知らずでね?」

『精神病院だ』

( ・∀・)「もどかしい、もどかしいよ君は! だから私はテンションアップ!」

がちゃがちゃ
きゅりきゅり
きゅい――――ん!!
ががががががぎぎぎががががぎぎぎぎ!

『お、おい! ピッキングの音ではないぞ!?』

( ・∀・)「当然だ。 ドリルで破壊しようとしているのだから」



24: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:12:40.49 ID:rBNb9hRU0
  
『しぃ! しぃ! 警察を呼べ!!』

( ・∀・)「はは、それは困るね。
     仕方ない……プレゼントはここに置いておくから、後から回収したまえよ?」

流石に会社の社長がお縄になるわけにはいかない。
モララーはプレゼントの箱を置いて、さっさと逃亡することにした。

爪゚ -゚)「どうでした?」

( ・∀・)「あの男め……どうしても私を犯罪者にしたいらしい。
      いくら私が素晴らし過ぎて嫉妬していたとしても、犯罪者扱いはひどいと思わないかね?」

爪゚ -゚)「はぁ……」

( ・∀・)「では行こう。 次はもっと難易度が高いよ」

シャンシャン、ズリズリ
ズリズリ、シャンシャン

……

…………

………………



26: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:13:56.33 ID:rBNb9hRU0
  
( ,,゚Д゚)「……行ったか」

慎重に扉を開く。
よく見れば、外側のノブが外されかけていた。
その周囲には削ったような傷跡がたっぷりこってり。

( ,,゚Д゚)「……弁償してもらうぞ、モララー」

憎々しげに呟く。
その脇からしぃが顔を出した。

(*゚ー゚)「あれ? ギコ君、プレゼントがあるよ?」

( ,,゚Д゚)「気をつけろ、しぃ……爆弾が入っているかもしれん」

(*゚ー゚)「流石にそれはないと思うけど……」

持ち上げる。
大きさの割りには意外と軽かった。

(*゚ー゚)「何が入ってるのかな?」

( ,,゚Д゚)「慎重に開けるんだ……もしかしたらダイナマイトが敷き詰められているかもしれん」

(;*゚ー゚)「小説の読みすぎじゃないかな……?」



27: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:15:17.43 ID:rBNb9hRU0
  
開く。
中からは――

(;,,゚Д゚)「……花火?」

(;*゚ー゚)「どう見ても今年の夏の余り物だね……」

どうする? と二人で顔を見合わせた。

(*゚ー゚)「勿体ないし、やっちゃう?」

( ,,゚Д゚)「ベランダでか? 寒いぞ?」

(*゚ー゚)「大丈夫だよ、花火が暖かいだろうし……ギコ君が隣にいれば大丈夫」

(*,,゚Д゚)「む……わ、解った」

(*゚ー゚)「あー、顔が赤いよ? 照れてる? 可愛いなぁ、もう」

(*,,゚Д゚)「ち、違う! これは、その――寒いからだ!」

二人は花火を片手に、仲良く部屋へと入っていった。



29: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:16:36.84 ID:rBNb9hRU0
  
爪゚ -゚)「次はここですか」

( ・∀・)「ふふ、腕が鳴るね?」

二人は巨大な門の目の前にいた。
その奥には巨大な屋敷。
アストクルフ家だ。
ツンとフサギコがここに住んでいるはずである。

爪゚ -゚)「では、インターホンを――」

( ・∀・)「待ちたまえ!」

ばしっ

爪゚ -゚)「……何ですか」

( ・∀・)「サンタクロースが堂々とインターホンを押すわけが無いだろう?」

さっきアンタ思い切り押してただろ。



30: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:17:41.86 ID:rBNb9hRU0
  
( ・∀・)「サンタとはクリスマスの到来を告げる者として神話にも残っている。
     だから私もそれに習いたいと思っていてね」

ここまでくると、この男の虚言癖も犯罪である。

( ・∀・)「というわけで、ソリに備え付けた装備が役立つ時が来たようだ」

ごそごそ
かちっ、かちっ
うぃーん

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ――





33: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:19:04.59 ID:rBNb9hRU0
  
ξ゚听)ξ「〜♪」

ツンは広大なリビングで紅茶を飲んでいた。
片手には雑誌、目の前には適当に集めた菓子類。

ドクオの誘いを断り、彼女は悠々とクリスマスを楽しんでいた。

ξ゚听)ξ(まぁ、それほど仲良くないしねぇ……もうちょっと先の話だわ、デートなんて)

ずずーっと紅茶を飲みながら考える。
きっとドクオは寂しくクリスマスを過ごしている頃だろう。
しかしこっちも似たようなものである。

バレンタインくらいまでには、もう少し近付いていると良いのだが。

と、そんなことを考えていた時だ。

突如としてリビングの巨大な扉が開かれた。
駆け込んで来るのはフサギコ。

ミ;,,"Д゚彡「も、申し訳ございません、お嬢様!
       敵襲なので少々騒がしくなると思います!」

ξ;゚听)ξ「え? 敵襲?」



36: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:19:54.38 ID:rBNb9hRU0
  
脳裏に浮かぶは、一ヶ月ほど前の事だ。
あの時は自分の命も危うかった記憶がある。

ξ゚听)ξ「で、敵って……どんな奴ら?」

またアイツらのような残忍な者達だろうか。
ツンはそれを恐れていた。

ミ;,,"Д゚彡「な、何というか……」

珍しくフサギコが言いよどんでいた。

ξ゚听)ξ「?」

そしてフサギコは意を決したように言い放つ。

ミ;,,"Д゚彡「えっと……敷地内に侵入して暴れているのは――サンタクロース、です」



39: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:21:08.76 ID:rBNb9hRU0
  
轟音と共に、それはアストクルフ家の敷地内を暴走する。

ソリだ。
そして上半身人間・下半身獣の半獣っぽい物体。
それを巧みに操るのはソリに乗った――

( ・∀・)「ははははははは! いやいや、快なりっ!」

サンタクロース。
赤い衣装に身を包んだ男が、敷地内を爆走する。
ソリの背後からは炎が噴き出していた。
ロケットみたいな感じ。

「と、止まれ貴様!」

警備兵が慌てて止めようと走ってくる。

( ・∀・)「やらせぬよ!」

ぽちっ
うぃー、がっしゃん

ソリから銃口が生える。
そしてスイッチを押した途端、火を噴いた。



41: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:22:11.29 ID:rBNb9hRU0
  
ががががががががが

連続した銃声。
それらは一気に警備兵に向かって突撃し――

「ぐあぁぁぁ!!」

命中。
銃弾を受けた警備兵は、やたら格好良い断末魔を上げながら吹き飛ぶ。スローで。

しかし死んではいなかった。
というか、出血さえなかった。

( ・∀・)「やはりゴム弾と言えど、銃でぶっ放したらああなるのだね」

爪゚ -゚)「試し撃ちをしないでぶっつけ本番はどうかと思います」

会話を続けながらもソリは走る。
地を削り、たまにある石像を破壊しながらも。

ミ;,,"Д゚彡「モ、モララーさん!?」

玄関から出てきたフサギコが、サンタクロースの正体に気付いて声を上げる。
何という男だろうか。
あの神秘のベールに包まれたサンタの正体を一目見ただけで見破ってしまうとは。

ミ;,,"Д゚彡「いえ、あんなことをするのはモララーさんしかいないでしょう……常識的に考えて」

それもそうか。



42: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:23:21.56 ID:rBNb9hRU0
  
( ・∀・)「やぁやぁフサギコ君! メリー!?」

ミ;,,"Д゚彡「え? ク、クリスマス?」

( ・∀・)b ビシッ

ミ;,,"Д゚彡「は?」

気づけ、フサギコ。
理解しようとしても無駄だということに。

気を取り直して、フサギコは更に声を上げた。

ミ;,,"Д゚彡「あ、あの! 一体何をしているんですか!?
       っていうか敷地内の破壊した物、ちゃんと弁償して下さいよ!?」

( ・∀・)「全てはサンタクロースがやったのだ! モララーがやったのではないっ!」

ミ;,,"Д゚彡「最悪だー!!」

どうやら話すだけ無駄らしい。
ようやくそのことに気付いたフサギコは、懐からハンドガンを取り出す。

ミ,,"Д゚彡「止まらないと撃ちますよ!」

( ・∀・)「ははは、ではその前に用事を済ますとするかね」

手綱を巧みに操作し、フサギコの元へとソリを走らせる。



43: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:24:39.41 ID:rBNb9hRU0
  
ミ,,"Д゚彡「え? え?」

( ・∀・)「あれ、ブレーキは無いのかね?」

爪゚ -゚)「車じゃあるまいし」

そのままソリは一直線にフサギコに元へ――

ミ,,"Д゚彡「う、うわぁ!?」

慌てて回避するフサギコ。
ターゲットを見失ったソリはそのまま玄関へと突っ込んでいった。

がっしゃーん
どどどどどど

ごしかぁん

ξ;゚听)ξ「な、何!? 何なの!? ドーピングコンソメスープ!?」

突如として屋敷内に突っ込んできたソリを目の当たりにし、ツンは混乱した。

( ・∀・)「やぁ、メリークリスマス」

鼻血をダラダラと流しながら起き上がるモララー。
その手にはプレゼントが入った箱だ。



46: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:25:48.02 ID:rBNb9hRU0
  
ξ;゚听)ξ「あ、え、えと……どうも」

何気にしっかりと受け取る。
それを満足そうに見て頷いたモララーは

( ・∀・)「さて、次へ行こうか」

爪゚ -゚)「御主人様、上半身と下半身の接続が外れました。
     早急に再接続を希望します」

( ・∀・)「はは、世話が掛かるトナカイだね? だがそれがいい」

かちかち……がしーん!

( ・∀・)「では、また会おう!」

シャンシャン、ズリズリ
ズリズリ、シャンシャン

来た時より比べて随分とのんびりした調子で玄関から出て行くソリ。
そして呆然としているフサギコの隣を通り過ぎる時に

( ・∀・)「メリークリスマス」

と、プレゼントを放って寄越す。



47: ◆BYUt189CYA :2006/12/25(月) 21:26:43.65 ID:rBNb9hRU0
  
ミ;,,"Д゚彡「は、はぁ……どうもです」

何が何だか解っていない様子のフサギコは、警戒する様子も無く素直に受け取った。

( ・∀・)「では、次は『バーボンハウス』かね。
      ジェイル君、全速前進!」

爪゚ -゚)「把握」

シャンシャン、ズリズリ
ズリズリ、シャンシャン

そのままサンタクロースは夜道に消えていった。

数分後。
呆然と固まっていたフサギコとツンが、はっ、と目を覚ました。

ミ;,,"Д゚彡「っていうか――」

#゚听)ξ「敷地内の破壊物、弁償しなさいよぉぉぉぉ!!?」



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