( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 2: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:15:48.58 ID:ObkGOkKd0
- 第九話 『自立的戦闘行為』
その装甲列車は高速で走っていた。
重さにも関わらず、速度を叩き出せる理由の一つに強力なエンジンがある。
理由の一つに車輪がある。
理由の一つに構造がある。
贅沢過ぎるといえるほどの装備を積んだ列車は、ひたすら逃げるように走り続けた。
一瞬で景色を吹き飛ばしながらだ。
そんな速度で走る列車に一台の車両が追従している。
進行方向から見て左側を走るのはFC製の装甲車両。
爪゚ -゚)「舌を噛まないよう、御願い致します」
(;^ω^)「揺れるお揺れるお! シェイクだお!」
ガクガクと揺れる車内では、阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されている。
今、ブーン達が走っているのは戦跡荒野のど真ん中。
荒野の名に相応しいほどの荒れ具合だ。
大小様々な石が車両を跳ねさせ、内部の者達を掻き混ぜる。
(;'A`)「いてぇぇぇ!! 誰が足踏んだ!?」
川 ゚ -゚)「む、すまない」
('A`)b「なら許す!」
- 4: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:17:08.28 ID:ObkGOkKd0
- <_プー゚)フ「ギャーギャー騒ぐなよ……これくらい、どうってことねぇだろが」
(`・д・')「前から言っているが、お前は自分の価値観でモノを語る癖がある。
彼らは軍人ではない……少し騒がしくなるのは仕方ない」
<_プー゚)フ「随分と余裕だな。
今から愛しの愛機に会えるってのに」
(`・д・')「……別に、愛機なんかじゃない」
そっぽ向くラミュタスに、エクストは小さな違和感を覚える。
GDFのことよりも懸念している事がある。
そんな雰囲気なのだが
川;゚ -゚)「――おい! 背後からもう一台来てるぞ!」
爪゚ -゚)「我々以外の車両は敵と認識して頂いて結構です。
出来れば排除を御願いします」
(;^ω^)「んなこと言われてもうひゃひゃひゃwwwwwwwwくすぐるなおwwwwww」
- 7: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:18:10.37 ID:ObkGOkKd0
- 川 ゚ -゚)「……何だ?」
クーが背後を見ながら呟く。
視線の先、ジープのような車両に一人の中年男が立っていた。
その肩には
川;゚ -゚)「ミサイルか!?」
声と共に白い煙が上がる。
直後、猛スピードで爆発兵器が接近を始めた。
爪゚ -゚)「迎撃御願いします」
(;'A`)「こんな状態で出来るかバーロー!」
川;゚ -゚)「あっ――」
- 9: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:19:40.50 ID:ObkGOkKd0
- 前方で爆発。
その光景をデフラグは満足気に見つめながら。
[゚д゚]「大当たりだ」
空となった鉄筒を投げ捨て、己の席に座る。
その横では貞子がハンドルを操っており、背後には双眼鏡を片手に持っている渡辺。
从'ー'从「残念、はずれ」
[;゚д゚]「な、何ぃ?」
慌てて前方を見れば、爆発の直撃を受けたのが金属の板だということが解った。
<ヽ`∀´>「天井部を外して、身代わりとして直撃させたニダね。
咄嗟の判断にしては合格ニダ」
[゚д゚]「ちっ、次は当ててやる」
- 11: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:21:14.31 ID:ObkGOkKd0
- 新たなミサイルを取り出そうとしたデフラグを、ヘリカルが止める。
*(‘‘)*「もう間に合わないです。
そろそろレール越えて向こう側に行かないと、こっちも大変です」
从'ー'从「そういうこと。
んじゃ、貞子……御願いねー」
川 -川「イェス、マスター」
言葉と共にハンドルを切る。
そのままジープはレールを乗り越え
ブーン達とは逆の配置――つまり進行方向から見て右側――へと移動を始める。
景色が動いていく様子を、最奥で眺めるのはでぃだ。
ゆったりとした姿勢で
(#゚;;-゚)(あの車の中におるんかねぇ……)
[゚д゚]「おい、ボーッとすんなよ。
これからアンタには大活躍してもらうんだからな」
その言葉を聞いて彼女は苦笑した。
(#゚;;-゚)「はいはい、ウチにお任せあれってな」
- 12: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:22:25.71 ID:ObkGOkKd0
- 装甲列車の運転室。
そこでは汗をダラダラと流すシナー。
( ;`ハ´)「ちょ、何で!? ワタシ悪いことしたアルか!?」
アンタの仕事自体が(ry
と突っ込んでくれる部下はいない。
倉庫での襲撃でほとんど――
いや、報告が一切無いところを見ると、部下は誰一人として列車に乗っていないらしい。
/(`ハ´)\オワタアル
などと言っている場合ではない。
と、慌てていると轟音が響いた。
サイドカメラから見えるのは、先行していた車両を攻撃したジープ。
どうやら、二台は仲間同士ではないらしい。
( `ハ´)「ホ? こりゃラッキーアル!
お互いに潰し合えば逃げ切れるかもしれないアル!」
こうなれば自分は運転に集中するのみだ。
とはいえ、アクセルレバーを限界まで捻るのみなのだが。
- 15: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:24:16.38 ID:ObkGOkKd0
- (;^ω^)「し、死ぬかと思ったお……」
冷や汗を流しているブーン。
彼らが乗っている車両の天井は分離されていた。
真正面から来る風を受けつつ、しかし平静な表情で説明を始めるのはジェイル。
爪゚ -゚)「これぞFC製にしかない機能『いつでもオープン君』です。
ただし、外した天井は高確率で戻ってきませんが」
<_;プー゚)フ「そりゃそうだろうな……」
川 ゚ -゚)「それで、どうする?
止まれと言っても止まってくれそうにないが」
爪゚ -゚)「戦闘可能な方は飛び移って頂いて、そのまま物理的に制圧するというのが正しいかと」
<_;プー゚)フ「乱暴だな、おい」
川 ゚ -゚)「だが、正論だ。
このまま走っていても埒が明かないし、破壊して止めるわけにもいかない」
( ^ω^)「誰が行くお?」
('A`)「俺は車内からガロンでサポートする。
そもそも飛び移るなんて怖いこと出来ないんだぜ?」
<_プー゚)フ「何そのナチュラル臆病。
あ、俺も銃は持ってるし同じくサポート役だ」
爪゚ -゚)「私は運転がありますので。 そもそも戦闘は出来ない身体です」
- 17: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:25:37.86 ID:ObkGOkKd0
- (`・д・')「……俺は乗り込む。
GDFの操作は俺と軍神しか知らないからな」
川 ゚ -゚)「私も行こう」
( ^ω^)「僕もだお」
爪゚ -゚)「では、今から最接近しますので飛び移って下さい……幸運を祈っております」
( ^ω^)「把握!」
白の指輪を取り出してはめる。
一瞬の発光後、彼の腕にグローブが装着された。
クーやドクオも同じく、指輪からウェポンを出現させる。
それを見たエクストが小さく呟いた。
<_;プー゚)フ「……んだよ、魔力あるじゃねぇか」
- 19: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:27:15.03 ID:ObkGOkKd0
- 从'ー'从「んじゃ、そろそろ上陸と参りますか」
列車を挟んだ向こう側。
震動の上、そして轟風の中で渡辺がのん気な声を出す。
[゚д゚]「俺と渡辺はサポート……やんちゃなテメェらは暴れてこいってか。
暴れるのは構わねぇが無茶はすんじゃねぇぞ」
<ヽ`∀´>「誰にモノ言ってるニダ。
伊達に軍人やってないニダよ」
*(‘‘)*「この世界は空気が良いです! やる気も出るってもんです!」
(#゚;;-゚)「さぁて、行こか」
貞子が黙ってハンドルを操作し、ジープを近付け始める。
从'ー'从「行ってらっしゃーい」
声と共に、三人が跳んだ。
高速で移動する景色の中、でぃとヘリカルは列車の上へ。
ニダーは扉を蹴破り、車両内部へと跳び込んでいく。
- 21: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:28:39.06 ID:ObkGOkKd0
- 川 -川「マスターは行かなくて良いので?
ゲシュタルトがあれば、数や装備が如何に強力でも無力化可能かと」
从'ー'从「ぶっちゃけ反則でしょう?
それに、今跳んで行った彼らにだってプライドや戦い方ってのがあるだろうし
今日はそんな彼らの戦い方を観察しようと思ってね」
[゚д゚]「はン、素直に言ったらどうだ?
出来れば奴らを殺すことは避けたいってよ」
从'ー'从「まぁ、ね……キツい御灸を据えようとも思ったんだけど
覚悟があるのなら、或いは……とか思っちゃったりして」
[゚д゚]「相変わらずテメェは甘ぇな。
そんな調子で世界を救えるのかよ?」
从'ー'从「……救うよ、必ず。
何が在っても、何が有っても、何が遭ってもね」
デフラグの皮肉に、渡辺は小さく呟いて答えた。
- 22: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:29:58.30 ID:ObkGOkKd0
- 川 ゚ -゚)「ん……あれは……」
轟風の中、最初に気付いたのはクーだった。
(;^ω^)「もう誰か乗って来てるお!」
列車の上に飛び乗ったのは二人の女性。
更に、音がすることから内部にも乗り込んだ人物がいるらしい。
(`・д・')「どうやら奴らは、上と内部の両方から攻めるつもりらしいな。
俺は下に行くからお前達は上から行くんだ」
川 ゚ -゚)「上は私一人の足止めで充分だ……何も数に合わせる必要は無い。
君達は下から向かえ」
( ^ω^)「把握! んじゃ、行って来ますお!」
爪゚ -゚)「いってらっしゃいませ」
ジェイルの見送りの声と共に、ブーンとラミュタスが飛び出した。
蹴り込むように扉を破壊して内部へと突入する。
- 26: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:31:22.07 ID:ObkGOkKd0
- (;'A`)「よくもまぁ……落ちたら助からねぇってのに」
冷や汗を流しながら、高速で流れる景色を見るドクオ。
もし、こんな速度で岩がゴロゴロ転がっている地面に落ちたりすれば――
(;'A`)「あーやだやだ……こう、腰がくすぐったくなるぜ」
<_プー゚)フ「怖かったら後ろで震えててもいいんだぜ」
('A`)「いや、そっちの方が怖いだろ。
終わって出てみれば、友達が死んでたりするかもしれねぇ……それは嫌だ」
<_プー゚)フ(……へぇ)
川 ゚ -゚)「では、私も行って来る」
クーも、内藤達と同じように跳び出した。
同時にドクオの背後から物音。
('A`)「え?」
後部座席の奥から人影が飛び出る。
从 ゚∀从「えいっ!!」
(;'A`)「ハ、ハインリッヒ!?」
- 31: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:34:03.01 ID:ObkGOkKd0
- 止める間もなく、彼女は装甲列車に飛び乗ってしまった。
クーが慌てて背後を振り向くのが見える。
爪゚ -゚)「アクシデントがあったようですが、我々は援護射撃と参りましょう。
出来ればこの威嚇で列車が止まるのが望ましいのですが――」
その時だ。
バシュン、という音と共にクーの叫び声。
川 ゚ -゚)「早く退避しろ! 向こうからの攻撃が来るぞ!」
言葉に被さるように彼女の上空を跨いで小さなミサイルが来る。
誘導性はあまり無いようだが、付近で爆発すれば危険だ。
爪゚ -゚)「では、御武運を」
ハンドルを左へと切る。
右側への慣性を受けながら、ジェイル達を乗せた装甲車両が離れていく。
直後、地面が爆炎に包まれた。
装甲車両の無事を確認したクーは、背後を見て
川#゚ -゚)「ハイン! 何故来た!?」
从;゚∀从「僕だって、僕だって――」
川#゚ -゚)「危険なんだぞ!?」
从#゚∀从「やれるったらやれるんです! 僕だって戦えるんです!」
- 32: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:36:07.40 ID:ObkGOkKd0
- こうなったハインリッヒは止まらない。
クーが唯一、彼女に対して『手に負えない』と痛感する状態だ。
おそらくギコから預かった指輪の件もあるのだろう。
彼女は今、誰かの役に立ちたいと強く願っているらしい。
血が昇った頭を無理矢理に冷やし、溜息を吐く。
川 ゚ -゚)「……今更何を言っても変わらないか。
だがハイン、私の傍を決して離れるなよ」
从 ゚∀从「で、でも僕は――」
川#゚ -゚)「解ったか!?」
从;゚∀从「は、はい……」
クーは吐息し、改めて前方を見る。
そこには人影が一つ。
(#゚;;-゚)「……こんばんは、と」
川 ゚ -゚)「貴様は……」
14th−W『ハンレ』を構える。
相手は棒立ちだが、その身から何か得体の知れない気配を感じ取れた。
- 34: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:37:31.21 ID:ObkGOkKd0
- 自分の立ち位置は向かい風だ。
ぶつかり合いにおいて、この位置は不利といえる。
更にはハインリッヒがいるために、彼女を護りながらの戦いとなってしまった。
(#゚;;-゚)「初めまして、ウチの名は――あー、軍神言います」
川 ゚ -゚)「軍神……大層な名前だな。
私はクーだ」
(#゚;;-゚)「可愛らしい名前やね」
川 ゚ -゚)「生憎、冗談を言い合っている場合ではない。
そこをどいてくれ」
(#゚;;-゚)「嫌や言うたら?」
刀を背後へ向け、突撃姿勢を作りながら
川 ゚ -゚)「無理矢理にでもどいてもらう――!」
この状況で、ハインリッヒを庇いながら戦うのは難しい。
最も良いのは速攻で終わらせることだ。
そう判断した彼女は全力で身を飛ばし、身体ごとぶつかるように突進する。
一瞬で間を詰めて剣撃を放つが
(#゚;;-゚)「よっ」
軽い掛け声と共に回避される。
- 35: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:38:51.90 ID:ObkGOkKd0
- しかしその程度でうろたえるほど、クーの精神は柔ではない。
川 ゚ -゚)「ッ!」
右足を踏み込み、身を回転させる勢いで刃を振るう。
(#゚;;-゚)「ほっ」
バックステップ。
避けられぬと見たのか、軍神はクーと距離をとった。
川 ゚ -゚)「だが――甘い!」
刀を形状変化させる。
次に現われたのは5th−W『ミストラン』だ。
攻撃と命中を入れ替えるという、半ば反則的な武器を
川 ゚ -゚)「そこだ!」
右肩目掛けて撃つ。
オリジナルに比べて有効範囲が狭く、少しのタイムラグがあるが
それでも一瞬に近い速度で突きを放てるはずだ。
不可視の刺突がでぃの肩を貫かんと走るが――
(#゚;;-゚)「ほいっ」
それは左手によって阻まれた。
貫く予定だった場所に、左手の甲が置かれたのだ。
ギン、という空間を震わせる音が響くも、しかしミストランは何も貫かない。
- 36: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:40:35.46 ID:ObkGOkKd0
- 川;゚ -゚)「何だと……!?」
しかし疑問に思う暇は無い。
今度は攻撃の回収として、一定時間内にこちらが攻撃した位置を突かねばならないのだ。
これこそがミストランの特性であり弱点でもある。
向かい風を受けながらも低く跳躍し
川 ゚ -゚)「ッ!」
でぃの右肩にミストランを突き出す。
対する彼女は口元に笑みを残し、更にバックステップで距離をとった。
- 38: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:41:59.86 ID:ObkGOkKd0
- (#゚;;-゚)「面白いモン持ってるんやね。
何? よく解らんけども因果律を歪めたりとかするん?」
川;゚ -゚)「……何故、解った?」
(#゚;;-゚)「アンタは殺気を放ち過ぎるんよ。
だから何処を狙ってるかなんて、視線を見ればすぐに解る。
戦う者としては間違っちゃいないけど、殺す者として見れば三流もええとこや」
川;゚ -゚)「し、しかし皮膚に傷がつかないのはおかしいぞ!」
見た限り、でぃの手には何も装着されていない。
あの状態で刺突を防ぐなど、確かに可能かもしれないが怪我が無いのはおかしい。
(#゚;;-゚)「驚いてる顔も可愛いやないか。
その表情に免じてタネ明かしでもしましょうか、と」
でぃの左手が右手首を掴んだ。
引っ張る。
川;゚ -゚)「……!!?」
でぃの右手皮膚全てが、ズルリと呆気無く剥けた。
- 39: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:43:41.94 ID:ObkGOkKd0
- その様子をハインリッヒは後部から見ていた。
ぶつかり合っていたクーと軍神は、今や膠着状態に陥っているようだ。
从;゚∀从「うわわ、僕はどうしましょうか」
キョロキョロと見回すと、己の背後に女性がいるのを発見する。
*(‘‘)*「私の相手はお前ですか。
何か楽な仕事になーりそうでーすねー♪」
ゴスロリ衣装を着た少女が笑う。
从;゚∀从「あ、貴女は誰ですか!」
*(‘‘)*「私はヘリカル。 そしてお前の敵なのです」
そこでヘリカルが息を呑み、慌てて台詞を言い直した。
*(;‘‘)*「わ、私はヘリカル! そしてお前は私の敵なのです!」
从;゚∀从「え? え? 何で言い直したんですか?」
*(‘‘)*「うるさい、この悪党め! 私が成敗してやるんです!」
从;゚∀从「いきなり悪党扱いは酷いんじゃないですか!?
むしろそっちが敵でしょう!」
*(‘‘)*「しらばっくれるのもいい加減にするです!」
从#゚∀从「それはこっちの台詞ですよ!」
- 40: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:45:11.34 ID:ObkGOkKd0
- 火花を散らして睨み合う両者。
武器は無いのか、互いの両手には何も握られていない。
*(#‘‘)*「むむむ……」
从#゚∀从「ぬぬぬ……」
*(‘‘)*「こうなったら私がお前の目を覚まさせてやるです!」
ヘリカルが腰から何かを抜き放つ。
それは俗に言う
从;゚∀从「ステッキ……?」
ピンク色で統一され、天辺には星型の何かが付いた長めのステッキだ。
ヘリカルが軽やかに振り回すと、その星から光が漏れ始める。
*(‘‘)*「マジカルヘリカルトランスチェンジ☆」
直後、ヘリカルを中心として桃色の光が発生。
それは竜巻のように舞い上がり、彼女の身を完全に隠してしまった。
何やら軽快なBGMと共に、キラキラな効果音が響く。
从;゚∀从「……!?」
驚愕に目を見開く先、徐々に光が消えていく。
中から現われたのは――
- 43: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:46:36.78 ID:ObkGOkKd0
- *(‘‘)*「魔法少女ヘリカルなのDEATH!!」
从;゚∀从「な、ななな何ですかこの状況はぁぁぁ!?」
ハインリッヒの驚愕、いや悲痛な叫び声が響く。
今の彼女は先ほどまでとは違い、ゴスロリ衣装を超越した服装を着ているのだから。
白とピンクを基調としたヒラヒラの衣装。
髪の毛が長くなっており、それはツインテールという髪型で表現される。
可愛らしい、しかし大きめの帽子が何とも魔法少女を匂わせた。
*(‘‘)*「悪の手先をやっつけちゃうぞ☆」
从;゚∀从「変態だぁぁぁぁ!!」
*(#‘‘)*「誰が変態かゴルァァァァァ!!」
ハインリッヒの叫びも無理は無い。
彼女の中では誰かさんのせいで、『魔法少女=変態』という図式がインプットされているのだ。
それを知らぬヘリカルは怒り狂う。
- 46: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:48:05.72 ID:ObkGOkKd0
- *(#‘‘)*「テメェぶっ殺しますよクラァ! オンカッカテメェ!!」
从;゚∀从「いやいや百歩譲ってもその口調では魔法少女名乗れませんって!」
その言葉にヘリカルは我を取り戻す。
*(;‘‘)*「ハッ! 悪の心に乗っ取られるところでした!」
この時、ハインリッヒの脳に『魔法少女=変態=悪?』という図式が新たにインプットされた。
それはさておき、純粋少女と魔法少女の戦いの火蓋が切って落とされる。
*(‘‘)*「マジカルヘリカル!」
声と共にステッキを振るう。
次の瞬間、ステッキ頭部に光が集い始めた。
从;゚∀从「あれは――」
次の瞬間、ピピピという電子音と共にヘリカルのステッキが輝き始めた。
*(#‘‘)*「ヘ! ル! カ! ル――!!」
振りかぶるように掲げる。
応じるように桃色の光が収束し、それは段々と武器の形を作り上げていった。
- 48: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:49:51.75 ID:ObkGOkKd0
- *(#‘‘)*「ハンマァァァァァ!!!」
从;゚∀从「!!?」
光で形作られたのは巨大なハンマー。
この轟風の中にも関わらず、その形はハッキリと形成されている。
常識外の大きさにハインリッヒは、ただただ圧倒された。
从;゚∀从「うわぁぁぁぁ!? でけぇぇぇ!!」
*(#‘‘)*「これでお前の悪の心を粉砕するです!」
从;゚∀从「心どころか僕の存在まで消えそうなんですけどどうでしょうかそこら辺は!?」
*(‘‘)*「それはそれ♪ これはこれ☆」
从;゚∀从「意味が解りませんよ!?」
*(#‘‘)*「浄化ァァァァ!!」
轟音と共にハンマーが動き始める。
突風を物ともしない勢いでハインリッヒに迫り――
- 50: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:51:18.44 ID:ObkGOkKd0
- 激音が響いた。
(;^ω^)「うわっ!?」
背後から猛烈な衝撃が走り、ブーンとラミュタスを吹き飛ばす。
そのまま二人は空の木箱へ突っ込んだ。
(;`・д・')「今のは……」
慌てて背後を見れば、一つ後ろの車両が屋根から潰れていた。
桃色の光が残滓として舞っているのが見える。
(;^ω^)「あ、あ、危なかったお……少しでも遅かったら死んでたお……」
(`・д・')「敵の攻撃か?」
(;^ω^)「少なくとも僕ら側の攻撃じゃないですお……」
となれば、敵の攻撃となる。
当然それを受けたのは上にいるはずの
(;^ω^)「クーかお!?」
- 51: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:52:25.78 ID:ObkGOkKd0
- 駆け出そうとするブーンの肩を掴んだのはラミュタス。
(`・д・')「GDFの回収を最優先だと言ったのは誰だ?」
(;^ω^)「で、でも!!」
(`・д・')「一つ聞かせろ。
彼女とお前の関係は何だ? ただの恋人か? それとも仲間か?」
(;^ω^)「え?」
(`・д・')「ただの恋人ならば助けに行け……。
だが、少しでも仲間だと思っているのならば信じろ」
(;^ω^)「あうあう……」
(`・д・')「彼女は、君に助けられて喜ぶような人間なのか?」
違う。
ブーンは心から否定した。
彼女は、助けて欲しい時にはハッキリと言う。
(;^ω^)「……解りましたお」
(`・д・')「よし、行くぞ」
- 53: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:53:44.80 ID:ObkGOkKd0
- 駆け出すラミュタスの背後を、後ろ髪を引かれるような思いでついて行くブーン。
『仲間』に執着する彼の態度に疑問を浮かべるも
しかし口には出せない雰囲気に気圧される。
(`・д・')「車両は残り五つか。
おそらく運転室の前……つまり二、三両目にGDFがあると見て良いだろう」
(;^ω^)「もう少しだお」
貨物室と思われる暗い空間を走り、六両目と五両目の境の扉を開け放つ。
(;^ω^)「お?」
次の瞬間、流れ込んだのは五両目内部の空気だけではなかった。
見えたのは銃を構える男と小さな光弾。
それを視認出来た瞬間には、背後からの力によって床に叩き付けられていた。
(;^ω^)「いてっ!?」
(`・д・')「気をつけろ! 敵だ!」
ブーンの背中を押さえ、ラミュタスが腰の金属片を抜く。
それはトリガーの付いたブレードだった。
ブーンの記憶から、『ガンブレード』というゲームの武器名が思い出される。
- 56: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:55:14.52 ID:ObkGOkKd0
- (`・д・')「ニダー、お前か……」
<ヽ`∀´>「裏切り者の気分はどうニダ?」
五両目の最奥。
戦闘服を着たニダーが、巨大な白い銃を脇に抱えて構えていた。
(`・д・')「俺は裏切ってなんかいない」
<ヽ`∀´>「そう言い切れるニカ?
アギルト連合軍の一員として、その行動はどうなのニカ?
よーく考えてみるニダよ」
(;^ω^)(アギルト連合軍……?)
連合軍。
確かエクストの話では、リフレクションの外の世界の軍隊のはずだ。
話から判断するに、ラミュタスも連合軍とやらの一員だったらしい。
(;^ω^)(お? リフレクションから脱出して、そのまま連合軍へ入ったってことかお?)
よく解らないが、そういうことらしい。
二人はブーンの存在を無視しつつ話を続けた。
<ヽ`∀´>「軍神はこっち側にいるニダ。
今なら許してやるから、こっちに帰ってくるニダ」
- 57: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:56:37.05 ID:ObkGOkKd0
- (`・д・')「…………」
<ヽ`∀´>「最愛の女性がいるのに何を迷うニカ?」
(`・д・')「俺は……」
彼は、震えた声で答えを出した。
(`・д・')「確かにお前達の心中も理解出来る……だが、それでは駄目なんだ……!」
<ヽ`∀´>「何を……」
(`・д・')「何も知らないで! 何も知らずに済むなら!」
ブレードを構え
(`・д・')「やる事には賛成だが、手段は絶対に反対だ!
俺は俺のやり方で行かせてもらう!」
<ヽ`∀´>「……なら、障害になる前に殺してやるニダ!」
銃を構える。
その直後、ラミュタスが身を前方へ飛ばした。
地を這うように疾駆。
<ヽ;`∀´>「くっ!」
ニダーの構える銃口が下がった途端、ラミュタスは床を蹴って跳ねる。
- 59: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 17:58:42.69 ID:ObkGOkKd0
- 彼は跳躍姿勢のまま飛び掛った。
振り下ろされた刃は――
<ヽ`∀´>「ニダっ!」
振り上げられた銃に阻まれた。
弾け飛ぶように二人の身体が離れる。
( ^ω^)「加勢しますお!」
(`・д・')「離れろ! あの銃は、この世界の銃とは違うんだ!」
(;^ω^)「例えば?」
(`・д・')「当たったら死ぬぞ」
(;^ω^)「ねー……あるあるwwwwwww」
(`・д・')「比喩や誇張なんかじゃない! 本当に死ぬ可能性が高いんだ!」
<ヽ`∀´>「何遊んでるニダ!」
腰溜めに銃を構えたニダーが大声で言う。
(`・д・')「どうしても戦うというのなら、奴の引き金を引くタイミングを見ろ!
それさえ見切れれば回避することは難しくない!」
ラミュタスが走り出す。
まるでブーンの盾となるように、だ。
- 60: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:00:03.38 ID:ObkGOkKd0
- (;^ω^)「っていうか、銃弾を回避するなんて不可能だお?」
音速超過で飛ぶ銃弾を見切る。
そんなことは、身体強化を受けているブーンですら無理だろう。
異世界の住人である彼らは、銃弾を見切るほどの動体視力を持つのだろうか?
疑問の答えは次の瞬間に解った。
ニダーの指がトリガーを引くのが見える。
しかし
(;^ω^)(え?)
出るであろう光弾が
(`・д・')「ッ!」
一拍遅れて発射されたのだ。
光弾が一直線に飛ぶが、ラミュタスが真横に身を飛ばして回避する。
(;^ω^)(しかも遅い……?)
遅いのだ。
音速超過だと思われた光弾の速度が、目でギリギリ捉えられるほど。
身体強化のお陰で、おそらくは常人以上に見切り易くなっているのもあるのだろうが。
- 63: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:01:20.88 ID:ObkGOkKd0
- このことから出る結論は
( ^ω^)「僕でも大丈夫ってことだお!」
駆け出す。
思考は無謀極まりないが、彼の運動神経ならば可能だ。
本人に自覚が無いのがネックなのだが。
しかし、先ほどの光弾が向かった先を見て表情を曇らせる。
(;^ω^)「……何だお、これ」
穴だ。
光弾の大きさ丁度の穴が空いているのだが、それは奥にある壁をも貫通している。
覗いて見れば
(;^ω^)「……何で外が見えるんだお」
高速で景色が吹っ飛んでいる光景。
このことから、あの光弾は幾重にも張られた鉄の壁を全て貫通したことになる。
先ほどのラミュタスの言葉が脳内で再生された。
『比喩や誇張なんかじゃない! 本当に死ぬ可能性が高いんだ!』
確かに。
こんなモノが身体の何処かに当たってしまえば
(;^ω^)「……何てこったい」
- 65: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:02:37.63 ID:ObkGOkKd0
- 防御も駄目だ。
全て貫かれて終わりという可能性が非常に高い。
この死に直結するような弾丸の中を、ラミュタスは一人で飛び込んだというのか。
(;^ω^)「……凄いお」
それは正直な感想だった。
実際、ブーンは身体強化に頼っていた部分が多い。
圧倒的な力ではない限りは防御出来るからだ。
もちろん彼自身が、長年の経験から打たれ強くなっているというのもある。
クレティウスを手に入れてからのブーンは、その身体強化任せに突っ込んでいくことが多かった。
その彼が足を止めている。
そして、足を止めている彼を追い越して走る男の姿があった。
(`・д・')「おぉぉ!」
<ヽ`∀´>「しつこいニダ!」
発砲音と金属音が連鎖する。
息を詰めるような声、そして被さる怒号。
(;^ω^)「ラミュタスさん……!」
- 66: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:03:58.28 ID:ObkGOkKd0
- 駄目だ。
立ち止まることなど、出来ない。
進むことしか、出来ない。
それが
(#^ω^)「それしか僕には出来ないんだお――!」
駆け出す。
まだこちらに気付いていないニダーに接近。
<ヽ`∀´>「とっくに気付いてるニダ!」
銃口が向けられる。
トリガーが引かれ、一瞬だけ時が止まったかのような沈黙。
しかし
(#^ω^)「おぉ!」
光弾が出る直前、ブーンは弾け飛ぶようにサイドステップを繰り出した。
バシュ、という空気が抜けるような音が、右足を掠るような感覚が冷や汗を促がす。
- 67: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:05:14.96 ID:ObkGOkKd0
- (;^ω^)(よし――!!)
当たってはいない。
このまま突っ込めば――
<ヽ`∀´>「残念ニダ」
( ^ω^)「え」
目の前に銃口。
既に引き金は引かれていた。
<ヽ`∀´>「誰も一丁しか持っていない、なんて言ってないニダよ?」
(;^ω^)「しまっ――」
光が、目の前で爆発した。
- 70: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:06:35.80 ID:ObkGOkKd0
――あぁ、痛いなぁ。
身体が動かず、背中から熱を感じる。
心臓の鼓動と共に痛みが全身に波打つ感覚だ。
ズキズキと響く頭の中で、痛い痛いと全身が訴えてくる。
ハインリッヒは、瓦礫の中で仰向けで倒れていた。
从;-∀从(あう……)
何がどうなったのか。
確かピンク色の巨大ハンマーが落ちてきて、その直撃を受けて――
从メ゚∀从「あ……僕はやられちゃったんですか……」
目を開き、軽く頭を振る。
どうやら天井部を突き抜けて車両の中に叩き落とされたらしい。
タタンタタン、と列車の鼓動を背中に感じる。
敗北。
その二文字が脳裏に浮かんだ。
- 72: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:08:12.57 ID:ObkGOkKd0
- 从メ゚∀从(クーさんや内藤さん達も、こんな痛みの中で戦い続けていたんですね……)
凄い、と素直に思う。
一年前、自分が彼女達の敵だったことは教えられていた。
内容までは記憶に無いが、かなりの激戦だったことも。
たった一撃でこれほどまでのダメージ。
敵が強いのか、それとも自分が弱いのか。
そして
从メ゚∀从(僕は――)
何のために戦うと思ったのだろうか。
何のためにクー達について来たのだろうか。
真実が知りたいから?
そんなもの、クー達に任せれば良い。
彼女達の力になりたいから?
自分の力など知れているし、むしろ足手纏いだ。
ならば、何故?
- 74: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:09:48.28 ID:ObkGOkKd0
- そこまで考えて、ふと気付いた。
从メ゚∀从「そうだ……僕は……」
役に立たない自分が嫌なんだ。
何もせずに待つ自分が嫌なんだ。
足手纏いになって迷惑を掛ける自分が嫌なんだ。
きっとクー達は『そんなことない』と言ってくれるだろう。
しかし
从メ゚∀从「僕自身はそうは思えない……」
ならばどうするべきか。
自身を納得させるための行動とは何か。
从メ゚∀从「自分の力で立つしか……それしか僕には残されていないんです……!」
身体の上に乗っている瓦礫をどけながら、上半身を起こす。
- 76: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:11:00.31 ID:ObkGOkKd0
- これまでは、誰かの手によって支えられてきた。
それはクーの手であったり、ブーンの手であったり。
今は違う。
自分の足で立ち、自分の声で感情を表現し、自分の力で選択することが出来る。
从メ゚∀从(そうだ、僕は証明したいんだ)
もうクー達の手は要らない。
自分一人で立つことが出来るんだ、と。
从メ゚∀从「……なら、僕がアイツに勝つしかない!」
立ち上がり、跳躍。
未だに全身が痛みを訴えるが、そんなことを気にしている場合ではない。
再び轟風が吹き荒れる外部へ出てみれば
*(‘‘)*「まだ痛い目見なきゃ解らないんですか?
負けた分際でウザイんですけどー」
ヘリカルが待っていた。
- 78: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:12:21.28 ID:ObkGOkKd0
- その事実に少しだけ安堵し
从メ゚∀从「僕は負けてません!」
何故なら
从メ゚∀从「負けというのは、自分自身が諦めた時に決定するんです!!
だから――」
拳を握り締め
从メ゚∀从「だから、僕はまだ負けてません――!!」
今までの人生の中で、おそらく一番大きな声。
それは彼女の覚悟の咆哮だった。
そして応じる光が来る。
从メ゚∀从「!?」
ポケットが震動。
内部のモノを手に取ると、1st−W『グラニード』が叫ぶように甲高い音を発していた。
从メ゚∀从「力を、貸してくれるんですか……?」
返事は無い。
しかし、音と光は止むことも無い。
- 79: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:13:56.62 ID:ObkGOkKd0
- 肯定を受け取ったハインリッヒは右手中指に青の指輪を装着。
そして、腹の底から
从メ゚∀从「1st−W!! グラニードォォォォ!!!」
叫声。
直後、強烈な青光が彼女を包み込んだ。
続いて右手に重みが来る。
彼女の手にズシリと掛かったそれは、覚悟の重さを自覚させる。
*(‘‘)*「――!」
ステッキを構えたヘリカルの視線の先。
青の光が止んだそこには、覚悟を決めた新たな戦士が立っていた。
从メ゚∀从「僕は戦います! 自分の存在を証明するために!
僕はここにいるんだと確定するために!!」
右手に持つのは巨剣グラニード。
誇り高き青剣が彼女の咆哮に応えたのだ。
- 81: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:15:33.37 ID:ObkGOkKd0
- *(‘‘)*「まさか打たれて強くなるタイプだったりします?
下らないし、そんな根性論は大嫌いなんです。
だから――」
舌打ちをし、ヘリカルも構えて言った。
*(#‘‘)*「――もう一度負けろよ『最強』!」
ステッキを振るい、今度は桃色で構成された剣を作り出す。
从メ゚∀从「僕は負けない!
負ける意思なんて、これっぽっちもないんだ!」
駆け出す。
巨剣の重さに少し戸惑い、しかし速度を緩めず。
そして
从メ゚∀从「お前が負けろ!!」
上段からの渾身の一撃が炸裂した。
引力に操らず、ただ質量をそのままぶつけるような斬撃。
*(‘‘)*「ッ!!」
真正面からぶつかったのは桃色の剣身。
叩き下ろされた巨剣に対して、交差するように構えられている。
- 83: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:16:53.49 ID:ObkGOkKd0
- *(#‘‘)*「んだクラァ! この程度で私がやられると思ってんですかぁぁ!!」
そこに魔法要素など皆無。
ただ腕と腰の力で、全身ごとぶつかったハインリッヒを弾き飛ばす。
空中で身を回して着地した彼女は、諦めずに再度駆け出した。
从メ゚∀从「まだまだぁ!」
*(#‘‘)*「その意気は認めてやるですぁ!
だがなぁ! この世には絶対に勝てねぇ相手がいやがるんですよ!」
从メ゚∀从「……お前は僕にとってのそれなんかじゃない!」
*(#‘‘)*「んなの私が決めるんですよゴルァァァ!!」
从メ゚∀从「負けるのだって僕が決めるんだぁぁぁぁ!!」
青と桃の剣戟が走る。
轟風の中で、二人の少女は力を用いてぶつかった。
从メ゚∀从「っていうか、魔法少女じゃないんですか!?」
*(#‘‘)*「うるせぇんですよチビ助!」
从メ゚∀从「お前の方がチビでしょう!!」
*(#‘‘)*「そんなに魔法使ってほしいなら、使ってやんですよ!」
- 87: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:18:31.64 ID:ObkGOkKd0
- バックステップ。
そのまま剣状の光を消し飛ばし、ステッキの先端をハインリッヒへと向ける。
*(#‘‘)*「さぁ、後悔の時間ですよぉぉ!」
ガシャン、という音と共にステッキ先端が展開。
内部からは重厚な砲口が顔を出した。
从メ゚∀从「魔法じゃNEEEEEE!!」
*(#‘‘)*「あぁん!? こちとら『魔砲少女』ですよクラァァ!!」
从メ゚∀从「それ何処かで聞いたことがありますよ!?」
*(#‘‘)*「黙れ小僧ォ!!」
叫びと同時に桃色の波動が発射される。
それは一直線に空気を切り裂く。
从メ゚∀从「うわぁぁ!?」
グラニードの刀身に直撃。
軌道を曲げられた桃色のレーザーは、闇に染まった空へと駆け上がり
花火のように爆発した。
- 88: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:19:41.11 ID:ObkGOkKd0
- 桃色花火を遠くから見る影があった。
それは空中を飛ぶ鉄翼の中。
(`・ω・´)「あそこか」
ESS反応は、どうやらあの地点周囲から発せられているようだ。
(`・ω・´)(そしてラミュタスがいる、か――)
確定していたわけではないが、ある種の確信があった。
そう断言出来るだけの自信があるのだ。
兄であるラミュタスは、いつも自分の先を行っていた。
ならば、今から向かう場所にいるのは当然だと言えるだろう。
- 91: 下着ドロ(大分県) :2007/03/28(水) 18:21:12.53 ID:ObkGOkKd0
- (`・ω・´)(決着……)
思い、しかし考える。
リフレクションを脱出してから、兄の話を幾度か聞く機会があった。
『風鷲』と呼ばれているのは相変わらずであったが
一つだけ気になる言葉があったのをシャキンは記憶している。
『風鷲』はもう飛ぶことはない、と。
この言葉が意味することを、シャキンは一つしか知らない。
(`・ω・´)「まぁいい……この目で確かめてみるまでさ……!」
スロットルレバーを突き出して加速。
決着か、はたまた継続の場なのか解らぬが。
黒の鉄鳥が夜空を飛ぶ。
背部に青緑の色を吐き出しながら、風を切り裂いて。
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