( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

276: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 20:53:33.75 ID:9kIeQKni0
  
活動グループ別現状一覧

( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ( ゚д゚ ) ('、`*川
所属:??世界・後継者
位置:内藤家
状況:御飯だワショーイ

从'ー'从 (#゚;;-゚) 川 -川 [゚д゚] <ヽ`∀´> *(‘‘)*
( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明

(,,^Д^) (゜3゜)
所属:世界運営政府・特殊部隊『ラウンジ』
位置:都市ニューソク周辺
状況:異変の監査

ノハ#゚  ゚) ┗(^o^ )┓
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明



277: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 20:54:57.19 ID:9kIeQKni0
  
第十四話 『鞍替え』

内藤家。
少し遅くなった夕飯の匂いが、鼻をくすぐる。
今日のメインは肉じゃがだ。

('、`*川「ハムッ ハフハフ、ハフッ!!」

( ゚д゚ )(……モグモグ)

J( 'ー`)し「あらあら、よく食べるわねぇ」

('、`*川「何てーの? ニクジャガ?
     よく解んないけど美味しいー!」

( ゚д゚ )(……ムシャムシャ)

从;゚∀从「あの、ママさん……御飯、足りるんですか?」

無理もない。
内藤家に招待された二人の男女は、まさに怒涛の勢いで飯をかき込んでいるのだ。

食事開始から数十分程度。
腹を空かした獣のように貪る二人の男女。
ペニサスに至っては、既に御飯四杯を腹の中に収めている。



280: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 20:56:45.17 ID:9kIeQKni0
  
J( 'ー`)し「遠慮せずに食べちゃって良いわよ。
      これだけ気持ちよく食べてくれたら、私も嬉しいわぁ」

('、`*川「ヒャホーイ!」

( ゚д゚ )「御飯粒を飛ばすな」

川;゚ -゚)(しかしまぁ、よく内藤の母も簡単に納得したものだ。
     息子である内藤がボロボロで帰ってきたのに、特に驚きもしない……。
     得体の知れない二人に飯を食わせてやってくれと頼んだ時も、別に怪しむことはしなかった)

器が大きいというか、何というか。
むしろクーやハインリッヒを心の底から信頼しているのだろう。
そのことに少し安心感を憶える。

今、ブーンは二階の自室で寝せてあった。
もちろん応急治療済みである。
あとは目覚めるのを待つのみだった。

ただ、その後はどうしようか、と思う。

今日の態度を見るに、どうやらブーンはクーに対して不信感のようなモノを募らせているらしい。
これからの相談をしたとしても、きっと彼は応えてくれないのではないか。

川 ゚ -゚)(……少し、焦り過ぎたのかもしれんな)



284: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 20:59:00.94 ID:9kIeQKni0
  
知りたい。
解りたい。
そういった気持ちが先行し、周りが見えていなかったのかもしれない。

川 ゚ -゚)(いつかの繰り返しか。
     私には信頼出来る仲間がいるというのに……)

もう一人ではない。
その本当の意味が少しだけ理解出来た。

一人ではないのだ。
勝手な行動は許されないだろうし、許し難い。
一種の束縛のようなものだろう。

その代わりに、互いが互いをサポートし合える関係が得られるというわけだ。

正直言って少し煩わしい部分がある。
が、それを無視出来るほどの恩威もある。



286: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:00:16.48 ID:9kIeQKni0
  
川 ゚ -゚)(まぁ、波風立たせないのが利口なやり口か)

一人で納得し、食事を再開しようと肉じゃがの入った皿を見る。

肉が無い。

川 ゚ -゚)「…………」

('、`*川「あ、何かいらないっぽかったから頂いちゃったよー」
  _,
川 ゚ -゚)「…………」

从;゚∀从(怖っ!?)

衣食住の内、最も『食』を重視するクーの眉が動く。
肉争奪戦が始まったのは直後。

と、そこでブーンの上着から携帯の着信音。
手に取って見れば『ショボン』の表記。

从 ゚∀从「え、えと……クーさん、電話ですよー!」
  _,
川 ゚ -゚)「今忙しい!」

('、`*川「ぬぉ!? やりおったな!」

( ゚д゚ )(……美味い)



289: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:01:55.38 ID:9kIeQKni0
  
渡辺達の潜む連合軍アジト。
広大な倉庫を髣髴とさせる空間で

从'ー'从「…………」

渡辺は両手を軽く掲げていた。

その両腕には、光るリングが巻き付いており
その表情には、少しばかりの緊張と怒りが見える。

そして、彼女の前にいるのは

( ФωФ)「いやいやいや、こういうのは気分が良いねぇ、えぇ?」

ハンドガンタイプの銃器を突きつけるロマネスクだ。
その傷跡が痛々しい両目は、渡辺の身体を舐め回すように見つめている。

彼の背後には、二百名ほどの兵士達がいた。
残る百は残ったアジト内の制圧に動いているのだろう。

黒を基調とした戦闘服に白い銃器を構えて、やはり渡辺を睨んでいる。

両手を掲げているのは渡辺だけではなかった。
その隣では貞子、デフラグ、ヘリカル、ニダー、でぃも同じように並ぶ。



291: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:03:11.16 ID:9kIeQKni0
  
[゚д゚]「テメェ、こんなことしてタダで済むと思うなよ……」

煙草を取り上げられたデフラグが苛立ち気に睨む。

( ФωФ)「そぉんな格好で言われても、全然怖くないでちゅ〜」

ヘラヘラと笑い

[#)゚д゚]「ぐっ――!?」

右頬を思い切り殴り飛ばした。
よろけたデフラグは、しかし無理矢理に元の位置へ戻される。
顎に銃口を突きつけ

( ФωФ)「お前まぁだ解ってねぇのかよボケバカアホ死ね。
        あぁ、そうだ死んだ方がいいな、その方がスッキリ満点だわ」

トリガーに指が掛かる。

(#゚;;-゚)「……やめとき」

でぃの静かな声。
その両目は誰もを見ていないが、殺気のような冷たい空気を放っていた。



296: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:05:20.82 ID:9kIeQKni0
  
( ФωФ)「あぁ? アンタら頭おかしくねぇかぁ?
        お前らがこっちに命令出来る立場じゃねぇんだよゴミカス」

(´・_ゝ・`)「ロマネスクさん、アジト内の制圧を完了しましたよ。
      人数が少なかったので楽でした」

( ・ω・)=つ「シュ! シュシュ!」

デミタスが倉庫内に入ってきた。
その横では、相変わらずボッコスがシャドーボクシングに勤しんでいる。
いくつかの報告を受けたロマネスクは、大袈裟に手を広げ

( ФωФ)「さぁてさてさて! 暗い雰囲気は吹き飛ばそうぜ!
        何か質問あったら受け付けちゃうよー!?」

从'ー'从「……何故、私達と捕らえるのかな?
      目的は同じでしょう?」

( ФωФ)「クハハ! テメェは馬鹿か、もしくは大馬鹿だな!」

笑い

( ФωФ)「テメェらのようなゴミクズのよぉ!?
        その鈍い足取りが気に入らねぇんだよ!
        その『出来るだけ他世界を巻き込まない』みてぇな偽善が気に入らねぇ!
        端的に言えばムカつくんだよ、ドゥーユーアンダースタン?」



297: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:07:18.51 ID:9kIeQKni0
  
从;'ー'从「…………」

完全な誤算であった。
特殊な思考を持っていたことは記憶していたが
まさかかつての仲間が、ここまで狂っていようとは。

周囲の兵達が、始めから自分達を裏切っていることを考えるに

<ヽ`∀´>「……ウリ達がこちらの世界に来ている間に、兵達を丸め込んだニダね?」

( ФωФ)「あぁ、忠誠心が無駄に高ぇ奴とかいたけどな。
        もちろん、頭吹き飛ばさせてもらったがな。
        皆の輪を乱す可能性がある奴ぁ、早めの退場が望ましいからねぇ!」

ゲラゲラと笑う。
よくよく背後の兵達を見れば、半数以上が顔を青ざめているのが解った。
彼らを束縛しているのは

从'ー'从「……恐怖で皆を従わせたんだね?」

( ФωФ)「ったりめぇだ。 今時『忠誠心』とか流行らねぇよ」

(´・_ゝ・`)「人を従わせるには『力』と『恐怖』が一番適してますからなぁ」

( ФωФ)「そういうこった。
        強者は弱者を率いる責務があり、そして統率する責任もある。
        弱ぇ奴をまとめてやってんだから何してもOKだろぉがよ、あぁ?」



299: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:08:58.03 ID:9kIeQKni0
  
かつてはロマネスクも弱者であった。
渡辺の部下とはいえ、その権力は無きに等しい。

それでいて、捻じ曲がった思考を持っていた彼は
きっと心の底に何か禍々しいモノを溜め込んでいたのだろう。

しかし疑問が浮かぶ。
性格の豹変のレベルが桁違いだ。
根底にある『何か』が彼を支えているのだろう。

( ФωФ)「俺はよぉ、お前がこっちの世界に行く前から常々思ってたんだわ。
        『秩序破壊論』? 『世界交差』だっけか?
        大いに結構! これには大賛成だったぜ俺はよ!」

突如、ロマネスクの表情が変わる。

( ФωФ)「だが実際の計画内容見てみりゃ、何だこれ?
        『各世界を繋ぎ、協力してくれる人材を集め
         異世界の強力な技術を用いて戦力増強後、異獣と決戦』だぁ?」

[#)゚д゚]「何が悪いってんだ……」

( ФωФ)「あのさぁ、今更さぁ、何偽善ぶってんのって話だろーがよゴミカス。
        目ぼしい人材を見かけりゃ拉致って、拷問でもして従わせてよぉ。
        使えそうな武器があれば強奪すりゃいいんじゃねぇの?」



300: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:11:05.92 ID:9kIeQKni0
  
何故なら、と言い

( ФωФ)「俺たちゃ、世界を救おうってんだぜ!?
        こんな最高な大義名分があるってのに、何でテメェらコソコソ動いてんだよ!?」

从'ー'从「……異獣の件は私達の世界の問題。
      協力はあれど、無理矢理に巻き込むのは駄目だよ」

( ФωФ)「あぁ!? テメェ世界救う気あんのか!?
        救いてぇなら必死こいて救えや!」

正義を語る口調ではない。
しかし、その口からは大層な正義が流れ出ている。

対して、渡辺達六人は無言で返答した。
その様子を気に入らなかったのか、はたまた気に入ったのか。
ロマネスクは妙な提案を出してきた。

( ФωФ)「よぅし、飽きた!
        だからここで、俺が救いの手を差し伸べてやろうのコーナーいっちゃうぜ!
        俺のやり方に賛同するってんなら、仲間に入れてやっても良いかも!?
        断るってんならココから放り出す! どうよ!」



302: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:12:27.12 ID:9kIeQKni0
  
从'ー'从「……殺しはしないんだね」

( ФωФ)「ゴミクズ殺すくらいの銃弾があったら、威嚇に使った方がマシだぜ?
        どうせテメェらに出来るこたぁねぇ。
        俺の元で一生懸命働くか、出て行ってのたれ死ぬか……選べ!」

六人はやはり沈黙を発する。
しかし渡辺は、誰がロマネスクの下に行くのか見当をつけていた。

足を前へ出したのは二人。

<ヽ`∀´>「…………」

*(‘‘)*「…………」

ニダーとヘリカルだ。

( ФωФ)「オゥオゥ?
        お前ら渡辺ちゃんを裏切っちゃうのかい? いいのかい?」

<ヽ`∀´>「ウリの目的は、結局のところは『馴れ合い』じゃなく『異獣殲滅』ニダ。
      それを果たせる奴の下に行くのは当たり前ニダ」

*(‘‘)*「別にどっちでも良いっちゃ良いんですけどねー。
     まぁ、こっちの方が派手に動けそうだしーです」



305: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:15:31.30 ID:9kIeQKni0
  
( ФωФ)「テメェらは賢い馬鹿だ。
        OK、その心意気を買って仲間に入れてやろうじゃねぇか。
        渡辺ちゃん達はどうすんだよぉ?」

从'ー'从「悪いけど断るしかないなぁ。
      出て行った方がマシだよ」

(#゚;;-゚)「ウチも同じ意見やな……どうせなら、気に入った上司の下がええし」

[#)゚д゚]「はン、テメェが大嫌いだから出て行ってやるよ」

( ФωФ)「いいねいいねぇ、そういう反骨心も大好きだぁねぇ」

楽しそうに笑う。
そして中指を立て

( ФωФ)「じゃあこっから出て行け、全てを置いてな。
        何かを持ち出すことは許さねぇ。
        あぁ、貞子やゲシュタルトブラストも置いていってもらうぜ。
        テメェらは……まぁ、衣服くらいは許してやるとして、丸腰で出て行きな」

背中を小突かれる。
追い出されるように、渡辺ら三人はアジトから姿を消す。

連合軍が二つに分かれた瞬間であった。



308: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:16:44.09 ID:9kIeQKni0
  
開いた視界から見えたのは、見慣れた天井だった。

( ^ω^)「……お?」

自分の部屋だ。
匂いも、色も、全てを知っている。
周囲を軽く見渡せば、どうやら時刻的に昼間らしい。
上半身を起こす。

(;^ω^)「?」

記憶が曖昧だ。
確か、妙な黒コートの男と戦って――

(;^ω^)「あ……」

そうだ。
負けたんだ。

しかし、頭に浮かぶ映像は不鮮明。
頭の何処かで『夢でも見たのだろう』という判断が下されるが――

(;^ω^)「痛っ……!?」

軽く頭を振った時、後頭部に激痛。
慌てて押さえようとして、右腕が思うように動かないことに気付く。
それらの要素があの戦いを現実だと証明していた。



311: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:18:12.51 ID:9kIeQKni0
  
と、そこでドア越しにクーの声。

「内藤、目が覚めたか?」

(;^ω^)「え? あ、うん、起きたお」

「……入って良いか?」

( ^ω^)「いいお」

少しの余所余所しさを感じつつ、クーが部屋の中へ入ってきた。
その目は逡巡を表すように忙しなく室内を巡っている。
やがて意を決したように

川 ゚ -゚)「……その、すまなかった」

(;^ω^)「お?」

川 ゚ -゚)「私は自分のことばかりを考えていた。
     それにこれまでの経験から、無意識下で君もきっとついて来てくれると思っていたんだと思う。
     でも、君は何か別の考えがあった」

頭を下げ

川 ゚ -゚)「だから、自分勝手ですまなかった」



314: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:19:26.66 ID:9kIeQKni0
  
(;^ω^)「ちょ、待つお。
      何で別の考え云々を知ってるんだお?」

川 ゚ -゚)「ショボンから連絡があってな。
     『渡辺達の件に対して、何らかのネガティヴな考えを持っている』。
     彼はそう言っていた」

(;^ω^)(ショボン……恐ろしい子!)

一言も口にしていないはずなのに。
様子を見ていただけで、そこまで読み取るとは。
伊達にバーボンハウスの店主をやっているわけではないらしい。

川 ゚ -゚)「で、だ。
     出来れば、相互理解のためにも『ネガティブな考え』とやらを聞きたい。
     君との意思が疎通していないのは、耐え難いんだ」

真剣な眼差しでの問いかけ。

( ^ω^)「……別に、ネガティヴなつもりはないお。
      ショボン達から見てネガティヴなだけで、僕自身は普通の思考だと思ってるお」

川 ゚ -゚)「それは?」

( ^ω^)「この前からの一連の件。
      悪いけど、僕には荷が重過ぎると思うんだお」



316: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:21:18.97 ID:9kIeQKni0
  
それは正直な思いだった。
まるで決壊したダムから溢れる水のように、言葉が次々と流れ出る。

( ^ω^)「僕はただの一般人だお。
      戦闘なんて、一年前や半年前の件以外では経験したことがないし
      そもそも僕自身が望んで投じたわけじゃないお」

川;゚ -゚)「しかし、一年前のは……」

( ^ω^)「うん、多分、自ら戦いに身を投じたんだと思うお。
      でも……それは君が僕を巻き込んだからだお」

川;゚ -゚)「……!」

( ^ω^)「でも」

川;゚ -゚)「……でも?」

( ^ω^)「僕は、アイツに負けたことが悔しいと思ってるお。
      見返したいと思ってるお」

アイツとはロマネスク
クレティウスの対極といえる黒のグローブを持ち
格闘に少なからずの自信を持っていたブーンを叩き伏せた男。



317: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:22:46.22 ID:9kIeQKni0
  
( ^ω^)「だから僕はこの件にまだ関わる気でいるお」

川 ゚ -゚)「…………」

( ^ω^)「クーの手伝いとか、そんなんじゃないお。
      僕が個人的な理由でアイツにリベンジしたいだけだお」

川 ゚ -゚)「……そう、か」

立ち上がる。

川 ゚ -゚)「……だが今はあまり動いてはいけない。
     出来れば、まだ安静にしておいてくれ……」

ドアを開き、出て行ってしまった。
少しだけ沈黙が起き

( ^ω^)「そうも言ってられないお」

布団を剥いで起き上がる。
身体の節々が痛むが、動けないわけではない。



322: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:24:05.29 ID:9kIeQKni0
  
(;^ω^)「くっ……」

('、`*川「ありゃー、そんな身体で無茶だねー」

(;^ω^)「おわっ!?」

いつの間にか、長身の女性が部屋の中にいた。

('、`*川「あ、どうもどうも。
     昨晩からこの家に御世話になってるんだわ、これが」

( ^ω^)「お? お?」

('、`*川「かくかくしかじか」

( ^ω^)「……ってことは異世界の人なのかお?」

('、`*川「そゆこと。
     しかしまぁ、クーちゃんといいハインリッヒちゃんといい
     異世界の話を普通に信じちゃうから驚いたよ」

( ^ω^)「普通の人なら驚くと思うお。
      でも、もう僕達は前例を知ってるから……」

('、`*川「ふ〜ん」



323: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:25:41.41 ID:9kIeQKni0
  
満足そうに頷いたペニサスは、ブーンの身体を眺め

('、`*川「随分と痛めつけられたわねぇ。
     ねぇねぇ、敗者になった時はどんな気分だった?」

(;^ω^)「……アンタだって敗北の経験くらいあるお?」

('、`*川「残念。 私には無いんだわ」

(;^ω^)「え?」

('、`*川「本気で負けたことはないという意味で、だけど」

果たしてあり得るのか。
生まれてから一度の敗北が無いなど。

('、`*川「ま、私はちょっと特別だから」

(;^ω^)「お……」

その雰囲気。
纏っている空気。
一見隙だらけに見えるが、周囲に気を配っている格好。

(;^ω^)「アンタ、強いのかお?」

('、`*川「強過ぎて困っちゃうくらいには強いと思うよ」



325: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:27:08.08 ID:9kIeQKni0
  
(;^ω^)「だ、だったら僕を鍛えてほしいお!
      勝ちたい相手がいるんだお!」

('、`*川「勝ちたい相手って……あの両目に傷がある男?」

(;^ω^)「そうだお!」

('、`*川「ふぅむ……」

顎に手をやる。
少しだけ考える素振りを見せ

('、`*川「何とも言えないなぁ。
     そもそもコッチが鍛えるメリットってのが無いしー?」

(;^ω^)「そ、そこを何とか!」

('、`*川「いやいやいや、タダで教えるってのも楽じゃないわよー?
     モチベーション的に考えてもねぇ。
     ってか、まずは身体を治すことが大事ってことで」

やれやれ、と肩を竦めてペニサスは部屋を出る。
追おうとも思ったが、痛む身体がをそれをさせなかった。

(  ω )「……くそっ!」

残されたブーンは拳を握り締める。
今や彼の心は、『苛立ち』と『悔しさ』に支配されていた。



326: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:28:25.88 ID:9kIeQKni0
  
(´・_ゝ・`)「大体、アジト全ての機能の掌握を完了したようですな」

渡辺達がいなくなったアジト。
デミタスが、大量の紙束を抱えて歩いてくる。
その姿に一瞬だけ目を向け、ロマネスクは手元の資料に視線を戻した。

( ФωФ)「貞子はどうなった?」

(´・_ゝ・`)「現在、研究区にてスリープダウンさせています。
      マスターシステムの書き換えを明日にでも」

( ФωФ)「ニダーとヘリカルは?」

(´・_ゝ・`)「現在、自室にて待機させております。
      いくら渡辺さんを裏切ったとはいえ、こちらの味方とも限りませんからな。
      しばらくは様子見といった感じですか」

彼らの周囲では、兵士達が忙しなく作業に没頭している。
英雄神の魂が注ぎ込まれているという巨大ルイルに対して、物理的なコンタクトをとるためだ。

いわば篭城している敵の説得を諦め、閉じられた門を強行的に開こうとしているようなものである。



328: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:29:49.88 ID:9kIeQKni0
  
(´・_ゝ・`)「まだ時間が掛かりそうですな。
      引き篭もりのカウンセラーの気持ちが解るというものです」

( ФωФ)「何処で憶えた、そんな言葉」

(´・_ゝ・`)「潜伏中、この世界について少々学ばせて頂きました。
      色々と文化面で興味深い部分がありますが、人間の精神面を見れば脆いものかと」

( ФωФ)「満たされ過ぎてんだよ、この世界は。
        俺達のいた世界と比べてどうよ? 平和そのものじゃねぇか?」

(´・_ゝ・`)「最近で言えば、二十年ほど前に国同士の戦争があったようですがね」

( ФωФ)「下らねぇ」

と、そこでデミタスはロマネスクの持つ資料に興味を持つ。
視線に気付いたのか

( ФωФ)「あぁ、これは渡辺の部屋にあった資料だ。
       何やら面白そうな情報が載ってあるぜ」



329: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:31:00.17 ID:9kIeQKni0
  
(´・_ゝ・`)「例えば?」

( ФωФ)「ウェポンって知ってるか?」

(´・_ゝ・`)「確か、クルト博士が独自に開発した高度な武具のはずです。
      擬似精神とのリンクによって、限界性能以上の力を引き出せるという……。
      貴方の持つアレも、そのウェポンを参考にして作られたと聞きますが」

( ФωФ)「御丁寧に、所有者や位置情報まで記してやがる」

一束の資料をデミタスへ手渡す。

(´・_ゝ・`)「……ほぅ」

言葉通りだった。
1st−Wから15th−Wまでの詳細情報と、現所有者、そして所有者の個人的情報。
それら全てが資料数枚にまとめられている。



331: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:32:12.85 ID:9kIeQKni0
  
( ФωФ)「特に必要な力じゃねぇが……あって困るこたぁねぇよな?」

戻ってきた資料を手に取り

( ФωФ)「うっし、英雄神とのコンタクトが成功するまでは暇だ。
        ちょっくら強奪ってくるわ。
        いくらか兵を持ってくぜ」

(´・_ゝ・`)「構いません。
      ちなみに参考までに、どのウェポンを選ばれたのですかな?」

( ФωФ)「ん〜、やっぱりこれだなぁ」

ロマネスクの指の先。

そこには――



332: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:33:41.96 ID:9kIeQKni0
  
灰色の雲が現われたのは、アジトから追放されて数時間が経った頃。
それは段々と濃さを増していき、やがて水の粒を落とす。

[゚д゚]「チッ、降ってきやがったか」

(#゚;;-゚)「あんまり濡れるのは好きやないんやけど……」

軽く両手を仰ぎ、軍神は面倒そうに空を見上げた。

从'ー'从「傘でも欲しいところだね」

[゚д゚]「やめとけ。
    使える金はあんまりねぇぞ」

三人は都市ニューソクを歩いていた。

とはいえ、服装が目立つために裏道を主に移動する。
薄暗い道はやがて雨にまみれ、更に視界を悪くしていく。



335: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:35:07.23 ID:9kIeQKni0
  
(#゚;;-゚)「で、どうするん?」

[゚д゚]「どうするったってなぁ。
    人手も金も武器もツテもねぇし……ぶっちゃけると八方塞だろ」

(#゚;;-゚)「出来れば、何とかしてアジトを奪い返してやりたいんやが……。
    ウチ一人で突貫でもする?」

[゚д゚]「阿呆。 いくらテメェの力が強くても長時間は戦えねぇだろ。
    それに奴らは俺達の世界の人間だ。
    ある程度の対策を練ってると見ても良いし、減らすのも後々の戦いに響く」

(#゚;;-゚)「貞子も獲られてもうたからなぁ。
    アレがもし相手になったら、ウチもやりにくい部分があるわ」

二人は顔を見合わせ、同時に渡辺に視線を向ける。
アンタの意見はどうだ?
そんな意味を含んだ目に対し

从'ー'从「うーん……別にアジトの奪還は考えなくても良いかもしれない」

[゚д゚]「はぁ?」



336: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:36:38.09 ID:9kIeQKni0
  
从'ー'从「いや、最終的には奪還って形になるかもしれないけど
      今慌てる必要はないと思うんだ」

(#゚;;-゚)「何か考えがあるみたいやね」

問われた彼女は、うん、と呆気無く頷き

从'ー'从「私達の目的は『異獣の滅び』。
      それを為すには、ある程度の戦力と理解を得る必要がある」

[゚д゚]「あぁ、そうだな……俺達はそのために動いてきたはずだ」

从'ー'从「でもね、そこに条件は無いんだよ。
      『アジトを拠点とする必要』も『仲間皆で一致団結して動く必要』も無いんだ」

(#゚;;-゚)「……御免、ウチ頭悪いから解らんわ。 どういうこと?」

从'ー'从「まぁ、簡単に言えば
      『属した勢力』で行動しなければならないっていうルールはないってことで。
      この事から、私の考えを述べさせてもらうと――」

軽い笑みで

从'ー'从「ある程度の事情を理解していて、あるレベルの軍事力を持っていて
      一定の水準以上の研究開発技術を持っている組織。
      そこに行って協力を仰ぐだけで良いと思うんだ」



338: 屯田兵(大分県) :2007/04/04(水) 21:37:59.80 ID:9kIeQKni0
  
つまりは鞍替えだ。
護国院・アギルト連合軍という肩書きを捨て、別の組織に入るということである。
理解を得れば、早い段階で活動再開も可能だろう。

しかし、それを聞いた二人は眉をひそめる。

[゚д゚]「ちょっと待てよ。
    事情を理解していて、軍事力持っていて
    俺達の御眼鏡に適うような研究機関持ちの組織だぁ?
    そんな都合の良い組織なんてあるわけ――」

(#゚;;-゚)「あ」

軍神が、手をポンと叩いた。

(#゚;;-゚)「ある……一つだけあるやないか」

从'ー'从「そういうこと。
      では私達は、なけなしのお金で移動しまーす」

[゚д゚]「おいおいおい、俺がまだ解ってねぇぞ。
    もうギブアップするから教えてくれよ」

(#゚;;-゚)「アンタも大概鈍いなぁ。
    全ての条件を揃えとる都合の良い組織。
    それはな――」

そこで、渡辺が割り込んで答えを言った。

从'ー'从「フィーデルト・コーポレーション……通称FCだよ」



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