( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

2: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 16:58:40.74 ID:h5MIUEZa0
  
活動グループ別現状一覧

( ^ω^) 川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ('A`) (´・ω・`) ( ,,゚Д゚) ( ゚∀゚) ( ´_ゝ`)
( ゚д゚ ) ('、`*川 (`・ω・´) <_プー゚)フ ( ・∀・)
从'ー'从 (#゚;;-゚) [゚д゚]
所属:??世界・後継者
位置:FC八階『大会議室』
状況:今を知る

( ФωФ) (´・_ゝ・`) ( ・ω・)=つ  <ヽ`∀´> *(‘‘)* 川 -川 ξ゚听)ξ
所属:機械世界・アギルト連合軍
位置:連合軍アジト
状況:不明

ミ,,"Д゚彡
所属:??世界・アストクフル家執事
位置:ニューソク総合病院
状況:治療中

(,,^Д^) (゜3゜)
所属:世界運営政府・特殊部隊『ラウンジ』
位置:不明
状況:不明

ノハ#゚  ゚) ┗(^o^ )┓
所属:英雄世界
位置:不明
状況:不明



5: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:00:27.77 ID:h5MIUEZa0
  
第十七話 『これから』

再度、大会議室に集まったブーン達。
それぞれの視線はある一点に注がれている。

(;^ω^)「……何があったんだお?」

( ,,゚Д゚)「知らん」

(゚゚A゚゚)( ゚゚_ゝ゚゚)(´゚゚ω゚゚`)( ゚゚∀゚゚)

ジェイルが兄者・ドクオ・ショボン・ジョルジュを引き摺って現われたが
一体何をしていたのやら。

( ・∀・)「さて、これからのことに関してなのだが」

席についた全員が視線を集中させる。
鋭いそれを真正面から受けたモララーは、満足げに頷きつつ

( ・∀・)「当面の目的はロマネスクを止めることだ」



6: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:01:59.11 ID:h5MIUEZa0
  
現状、世界交差の主導権は連合軍側が握っている。
つまりロマネスクのサジ加減一つで、状況が大きく変わるのだ。
だから

( ・∀・)「我々はロマネスクを制し、何とか主導権を奪わなければならない。
     フェンリルを滅ぼす・滅ぼさないに関わらずだ。
     何故なら、放っておけば勝手に世界交差させられるからね」

( ゚д゚ )「何にせよ、とりあえず止めなければならんわけだな」

( ・∀・)「そして彼らは都市ニューソクの地下を根城としている」

<_プー゚)フ「位置も正体も解ってる。
        だったら、すぐにでも攻められるんじゃねぇか?」

( ・∀・)「そうもいかないのが現状だ」

指を立て

( ・∀・)「まず圧倒的に情報が足りない。
     相手が保有している戦力や行動内容。
     そして周囲を守る形となっている世界政府軍などの敵対勢力の情報。
     連合軍だけではなく……秩序守護者やフェンリルの動きも知っておかねばならない」



8: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:03:57.84 ID:h5MIUEZa0
  
何人かが納得しつつ頷いた。
その中の一人であるシャキンが

(`・ω・´)「こちらの戦力も整ってないだろう?
      あの魔力という力に、今の俺達が対抗出来るとは思えない」

何せ一発一発が、何重にも張られた鉄の壁を貫通するのだ。
相応の対策がない限り、攻め込んでも返り討ちにされてしまうだろう。

(;^ω^)「一応、クレティウスで防げることは解ってるんだお。
      でもそれだけじゃ心配だお……もし防ぎ損なえば……」

( ´_ゝ`)「やっぱり防ぐ術は欲しいよな」

川 ゚ -゚)「まだ揃っていない英雄も集めたいところだ。
     放っておけば、向こうの戦力になってしまうだろうしな」

('、`*川「何かやることがたくさんあるわねー」

( ・∀・)「つまり我々は『保守的な前進』をしなければならない。
     というわけで――」

FC兵がホワイトボードを持ってくる。
丁度モララーの背後に設置され、彼はそのまま黒いペンを持ち

( ・∀・)「今からやるべきことを記そう」



10: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:05:37.96 ID:h5MIUEZa0
  
静かな空間に、キュ、という高い音が響いた。
見る見るうちに白い板に黒が混じっていく。
それは項目別に記した文字列だった。

・英雄や敵勢力の拠点などの探索
・敵勢力の動向チェック&情報収集
・FCの警備
・戦力強化(兵器開発研究)

( ・∀・)「大体、この四つに分類される」

外に出て歩き回るか。
情報を掻き集めるか。
本拠地を防衛するか。
技術的に協力するか。

つまり

( ・∀・)「効率良く動くためのチーム分けだよ」



12: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:07:27.21 ID:h5MIUEZa0
  
( ,,゚Д゚)「……どうやって決めるんだ?」

( ・∀・)「各自の希望を言ってくれたまえ。
     出来るだけ叶えようと思っているし、複数役割を担うのも構わない。
     渡辺君は特にそうなるだろうが……良いかね?」

从'ー'从「うん、構わないよ」

[゚д゚]「っつーか、もう仲間扱いか」

( ・∀・)「今は猫の手でも借りたいし、君達は貴重な情報源であり技術源でもある。
     もちろん君達の行動は自由ではなく、常に監視がつくと思ってくれたまえ。
     こちらとしても信用したいのだが、やはりトップとしては厳格にやっていかねばと思う所存だ」

というわけで、各自がホワイトボードに己の名を書き連ねることとなった。
適当に書く者もいれば、誰かの反応を見て書き込む者もいる。

( ^ω^)「…………」

ブーンは回ってきたペンを持ち、ホワイトボードの前へ。
記された名前の群を眺め、決めていた項目の下に自分の名を書く。
ブーンが椅子に座った頃には、全員が書き終わっていた。

( ・∀・)「ふむ……」

頷いた彼は渡辺達に近付く。
彼女らの意見もホワイトボードに書き加えた。



13: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:08:54.93 ID:h5MIUEZa0
  
結果は次の通りである。


Aチーム(英雄や敵勢力の拠点の探索)
川 ゚ -゚) 从 ゚∀从 ('A`) ( ゚∀゚) ( ゚д゚ )


Bチーム(敵勢力の動向チェック&情報収集)
(`・ω・´) (´・ω・`) ( ´_ゝ`) 从'ー'从


Cチーム(FCの警備)
( ,,゚Д゚) ('、`*川 ( ^ω^) (`・ω・´) <_プー゚)フ (#゚;;-゚)


Dチーム(戦力強化(武兵器開発研究))
从'ー'从 [゚д゚] ( ´_ゝ`)



14: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:10:35.51 ID:h5MIUEZa0
  
各自が己の得意とする、または興味のある項目へ集まっている。
攻撃力・防御力・機動力などを考慮した場合

( ・∀・)「案外、バランス良くバラけたのではないかね?
     しかし全員が書き込むとは思わなかったよ。
     何人かは、関係を持たないのかと予想としていたのだが……」

(´・ω・`)「知っておきながら何もしないわけにもいかないし。
      それに、FCの御世話になるんだから情報収集くらいやってもバチは当たらないよ」

( ,,゚Д゚)(好奇心の塊は外へ、保守的な連中は中へ……意外と良いかもしれんな)

('A`)「あれ? ブーンは一緒に来ねぇの?」

( ^ω^)「ちょっとワケがあるんだお」

川 ゚ -゚)「…………」

さて、とモララーが声を発した。
議長用のデスクに腕を置き

( ・∀・)「これ以降はチーム毎の行動だね。
     それぞれ専用の通信機を渡しておくから、何かあったら連絡を。
     私は四チームをまとめる長みたいなものだから、情報を統括する必要がある」

( ´_ゝ`)「まずはアンタに連絡しろってことだな」



16: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:12:13.16 ID:h5MIUEZa0
  
( ・∀・)「出来れば連絡役などを決めておいて欲しいところだ。
     チーム内でリーダーを決めるのもアリかもしれない。
     強制はしないがね」

以後は細かい打ち合わせに入る。

定時連絡や、それぞれのチームの目的の照らし合わせ。
簡単なスケジュール等々。

ただ、英雄世界の純正ルイルがロマネスク側にあることを考慮すると
基本的に主導権は向こうにあることが解っていた。
あまりのんびりとするわけにもいかない。

とはいえ、未だ世界交差は完了していない状況だ。
今は情報収集や戦力増強に当て、後の戦いに備えることが重要だといえる。
それらを踏まえ、迅速かつ臨機応変な行動がとれるよう調整。

大体の共通項を確認し終え

( ・∀・)「さぁ、活動開始だ」

全四チーム。
それぞれの思惑を抱え、それぞれが行動を開始した。



18: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:13:40.57 ID:h5MIUEZa0
  
都市ニューソクの地下。
張り巡らされた地下鉄路線の更に下。
計五つしか存在しない出入り口を介さねば、入ることすら出来ない空間だ。

そこに合計三百名近くの人間が潜んでいる。
特に倉庫を思わせる広い空間では、たくさんの人間が作業をしていた。

と、そこで一人の男が扉をくぐって入ってくる。

( ФωФ)「ったく、使えねぇ……」

(´・_ゝ・`)「どうしたのですかな?」

出迎えたデミタスを見もせず、ロマネクスが苛立ち気に舌打ちする。
持っていた黒い大鎌を指輪に戻し

( ФωФ)「思った以上に重心が前になっているからか……とにかく手に馴染まねぇ。
        やっぱ初期型は不安定だな」

(´・_ゝ・`)「その分、パワーは高めなのですがねぇ」

( ФωФ)「高機動、低機動の時も常に安定してんのが一番良いんだよ。
        武器兵器ってのは威力よりも安定性が求められるからな」



20: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:15:17.45 ID:h5MIUEZa0
  
指輪を見つめる。
細い銀色の鎖が絡みつき、それはロマネスクの腰に接続されている。

この鎖こそが3rd−Wを従わせている理由だった。
術者に関係なく、その力を強制的に解放させるというものである。

( ФωФ)「だがまぁ全然使えねぇってこたぁねぇか……ってか充分に強力だ。
        アイツにでも持たせりゃ役立つだろ」

(´・_ゝ・`)「おや、簡単に認めましたな。
      性格的に認めないと思っておりましたが」

言葉を聞いたロマネスクは、馬ァ鹿と言い

( ФωФ)「個人的感情で何も認めねぇ奴は大成しねぇよ。
        この世界の人間にはよくあることらしいが」

(´・_ゝ・`)「ほぅ?」

( ФωФ)「この世界の人間は総じて馬鹿でワガママで愚かなんだよ。
        表面だけを見て認めず、自分の気に入る基準の世界にしようと醜く蠢く。
        自分が適応しようとは考えもしない。
        力も無いくせに、ただ吠えるだけの馬鹿犬が多過ぎる」

(´・_ゝ・`)「ごもっともですが、貴方が言うと違和感を感じますなぁ」

( ФωФ)「うるせぇ」



21: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:16:54.87 ID:h5MIUEZa0
  
指輪をポケットに入れる。
そして周囲を見渡し、作業中の部下を視界に入れながら

( ФωФ)「で、現状は? 英雄神とのコンタクトは?」

(´・_ゝ・`)「まだ掛かりますよ。
      テトラプロテクトが三十四にも重なっておりますからな。
      これは省略手順が皆無でして、もはや人海戦術作戦となっております」

目の下に隈を作った部下がPCをイジっているのが見える。
その陰から一人の男が立ち上がった。

(´・_ゝ・`)「あれは……」

言葉と同時、男がこちらに気付く。

(,,^Д^)「改めて礼を言う」

( ФωФ)「あぁ?」

ロマネスクが少し間抜けな声を出す。
どうやら憶えていないらしい。

(,,^Д^)「世界運営政府直属の特殊部隊『ラウンジ』の隊長であるプギャーだ。
     先日、世界交差について情報をもらって――」

( ФωФ)「あぁ、都市閉鎖してくれた隊長さんか」



22: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:18:18.07 ID:h5MIUEZa0
  
(,,^Д^)「難しい注文だったが、何とか発令したようで良かった」

( ФωФ)「あれは助かったぜ」

(,,^Д^)「それで、もう一つ御願いがあるのだが」

言ってみ、とロマネスクが目で促がす。

(,,^Д^)「私を戦力としてここに置いてもらいたい」

(´・_ゝ・`)「何故ですかな?」

(,,^Д^)「個人的な理由で申し訳ないのだが
     君らの言う『後継者』……そのグループに殺したい奴がいる」

( ФωФ)「へぇ? 世界政府なんて大層な組織に属しているにしちゃあ、随分と自分勝手じゃねぇか?」

(,,^Д^)「あの組織に未練などない。
     確かに拾ってくれたイクヨリ様には恩を返したいとは思っているが
     俺の生きる目的は、奴を殺すことなんだ……このチャンスを逃したくはない」



23: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:20:16.69 ID:h5MIUEZa0
  
その個人的な私怨が達成されれば
おそらく世界政府から追放されるか、闇に葬られるのだろう。
それを無視してまで果たしたい事らしい。

( ФωФ)「……こっちの仕事を手伝ってくれるっつーんなら良いぜ。
        その場合、望まぬ殺しをしてもらうことになるだろうが」

(,,^Д^)「構わない。 俺はもう何人も殺してきた」

( ФωФ)「自慢にゃならんな」

(,,^Д^)「むしろ恥ずべきことだと思っている。
     では、何かあったら呼んでくれ」

軽い敬礼の後、プギャーは倉庫から出ようと歩き始めた。
その背に向かって

( ФωФ)「ところで、その気持ち悪ィ笑みと私怨って関係あんのか?」

(,,^Д^)「……あぁ、奴が死ぬまでは俺の笑みが消えることなどない」

あくまで笑顔で答えるプギャーだった。
見送ったロマネスクは、わざとらしく溜息を吐く。
そして誰にも聞こえないような声で

( ФωФ)「……狂ってやがるなぁ、クハハ」



25: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:21:49.04 ID:h5MIUEZa0
  
―Aチーム―

( ゚∀゚)「で、俺らは何でこんなトコにいるんだ?」

外部調査班であるAチーム。
活動を開始したはずの彼らは、未だFCの内部でくつろいでいた。
空いている会議室にて五人が椅子に座っている。

('A`)「まだリーダーがクーさんってことしか、具体的な役割とか決まってねぇだろ」

川 ゚ -゚)「それに外部調査といえど
     ただ歩き回るだけでは意味がない」

( ゚∀゚)「どういう意味だ?」

( ゚д゚ )「何も情報がないのに、どうやって探索しろと言うのだ?
     ただでさえ、この都市だけでもかなりの広さを持つというのに」

川 ゚ -゚)「作戦や戦略の土台に情報がある。
     逆を言えば、どんなに戦力があろうとも情報が無ければ意味が無い」

だが、と付け足し

川 ゚ -゚)「情報が来るまで待機というのも我慢ならないだろう?
     というわけで、このチームを更に二つに分けようと思う」



28: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:23:55.25 ID:h5MIUEZa0
  
( ゚д゚ )「まとまった情報が入るまで、だな?」

川 ゚ -゚)「あぁ、もちろんだ……私達は調査班であると同時に攻撃部隊でもあるからな。
     とりあえず体力に自信がある者は無闇に歩き回ってくれ」

( ゚∀゚)「お? 歩き回るのは意味ねぇんじゃねーのか?」

川 ゚ -゚)「探索という意味では無意味だろう。
     だが、囮として考えた場合はどうだろうか?」

( ゚∀゚)「どういうこった?」

この馬鹿が、などと言わずに説明を続ける彼女らは
呆れているドクオから見て、かなりの忍耐力を持っていると感じさせた。

現在、このチームには指輪持ちが三人と英雄一人がいる。

フサギコの件により、ロマネスクは指輪さえも狙う可能性があると解っていた。
更には英雄という戦力も引き込もうとしていることから
囮として考えれば、これ以上の餌はないだろう。



30: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:25:00.27 ID:h5MIUEZa0
  
从 ゚∀从「二チームって言いましたけど、残った人は何をするんですか?」

川 ゚ -゚)「外回り班から送られてくる情報と、Bチームからの情報の照らし合わせ。
     そこから判断出来る情報の裏側の推測、そして指揮……つまりバックアップだ。
     更に緊急事態になれば、真っ先に現場に飛んでいくこととなるだろうな」

全員が外に出た場合
活動レベルは高いものになるが、そのベクトルは一方向にしか向けられない。
つまり臨機応変な行動がとれなくなるのだ。

そのためのバックアップを情報チームに任せたいところなのだが
彼らは彼らでやるべき事があるだろう。

川 ゚ -゚)「幸い、このチームは人数が比較的多い。
     外を三人、バックアップを二人くらいの割合で分けられるはずだ」



31: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:26:41.01 ID:h5MIUEZa0
  
十分後。

('A`)「というわけで――」

( ゚д゚ )「外部調査が俺とジョルジュとドクオ。
     バックアップがクーとハインリッヒだな」

( ゚∀゚)「何か意外だなー」

受動的なミルナが外部で、能動的なハインリッヒがバックアップになったのは理由があった。

どちらのチームにも、統率するリーダーが必要なのだ。
冷静沈着なクーとミルナがそれぞれのチームに入るのは当然。

ちなみにハインリッヒはクーの傍でないとならないらしい。
というか、クー本人がそう言っているので逆らうわけにもいかない。

川 ゚ -゚)「行動は先ほど言った通りだ。
     細かい情報は私達へ知らせてくれ。
     有益かどうかは、ミルナの意見も交えて私達が判断する」

('A`)「りょーかい。
    ってか、実際は歩き回るだけでいいんだよな?」

川 ゚ -゚)「だからと言って気を抜くなよ。
     相手は三勢力……誰が何時何処でどうやって襲ってくるか解らんぞ」



33: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:27:56.94 ID:h5MIUEZa0
  
( ゚д゚ )「となると、あまり別行動は取らない方が良いな。
     そして表向きには調査の姿勢を見せねば……案外、繊細な作業になりそうだ」

(;゚∀゚)「うげっ、俺に出来っかなぁ」

川 ゚ -゚)「お前はミルナ達について歩くだけにしておけ。
     あまり余計なことはしてくれるなよ……戦闘の時だけ張り切ってくれれば良い」

( ゚∀゚)「ん? 何か俺ってスゲェ頼られてる?」

('A`)「さ、行こうぜ」

( ゚∀゚)「あ、おい、待てよー」

三人の男達が、勇み足で会議室から出て行った。
それを女二人が見送り

从;゚∀从「……何か心配ですねー」

川 ゚ -゚)「そうでもないさ」

クーは借りてきたノートPCの電源を入れながら

川 ゚ー゚)「案外、良いチームになってくれると私は思っているよ」

と、軽い笑みを見せるのだった。



34: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:29:23.34 ID:h5MIUEZa0
  
―Bチーム―

情報収集を主な活動とする彼らは、早速行動に入っていた。
FCの情報管理課の一室。
PCが並ぶこの部屋で、四人の男女が話し合っていた。

(´・ω・`)「じゃ、僕がチームリーダーってことで良いかな?」

( ´_ゝ`)「賛成ー」

(`・ω・´)「構わない」

从'ー'从「シャキン君はCチーム、私と兄者君はDチームと掛け持ちだからね。
      一番状況を把握出来るのは君だけだよ」

(´・ω・`)「これは責任重大だ」

言いながらポリポリと頭を掻くショボンに、さほど緊張感は見えない。
その隣で腰に手を当てたシャキンが

(`・ω・´)「で、実際はどう動くつもりだ?」

( ´_ゝ`)「PCだけじゃ流石に限界がある。
      っつーわけで、こういう時に役立つのが人脈ってヤツよ」



36: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:30:50.45 ID:h5MIUEZa0
  
(`・ω・´)「ほぅ、言うからには豊富な人脈があるんだな?」

( ´_ゝ`)「俺の落ち込みっぷりはハンパねぇぞ?」

(`・ω・´)「?」

(´・ω・`)「彼には友達さえいないから……」

(;`・ω・´)「そ、そうなのか……すまない」

( ´_ゝ`)「おい待て、お前らは友達じゃないのk――頼むから目を逸らさないで下さい」

呆れるショボンの隣で、笑みを浮かべるシャキン。
初めはある程度の警戒を見せていた彼も
兄者の奇行によってか、だいぶ打ち解けているようにも見えた。

(´・ω・`)(問題は――)

チラリ、と視線を向ける。
渡辺がニコニコしながら兄者を見ていた。

過去や現状の話を通じて、ちゃっかり仲間に入っているような雰囲気を持つ彼女であるが
ショボンから見れば未だに『信用ならない人物』なのだ。



37: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:32:16.85 ID:h5MIUEZa0
  
というか、彼女を信用している人物などFC内にいるのだろうか。

(´・ω・`)(ドクオやブーン辺りは信じてそうだよねぇ……)

しかし、少なくともモララーやクーなどの中核を担う人物は違うだろう。
情報は真実だったかもしれないが、彼女達自体が味方という事実を得ていない。

(´・ω・`)(あまり重要な情報は見せない方が良いかもしれないね。
       とはいえ、僕にはそれくらいしか出来そうにないけど……)

PCなどの扱いに関しては渡辺の方が上だろう。
後で兄者に言っておく必要があるかもしれない。

( ´_ゝ`)「おーい、ショボン聞いてるか?」

(´・ω・`)「あ、うん」

( ´_ゝ`)「というわけで、昔の情報屋としてのツテをだな……」

(´・ω・`)「解ってるし、そのつもりだよ」

ショボンは、かつて情報屋をしていた頃があった。
今は必要がなく、更にはバーボンハウスに集中するため廃業しているが
その時に作ってあったいくつかのルートはまだ生きている。

リーダーである彼は、それらを用いての情報収集を主な仕事として選択した。



39: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:33:43.06 ID:h5MIUEZa0
  
( ´_ゝ`)「じゃ、俺は空いた時間にでもPC使って色々調べてみるわ。
      渡辺ちゃんも手伝ってくれよ?」

从'ー'从「はいはい、出来る限りはね」

(`・ω・´)「俺はどうすれば良い?」

( ´_ゝ`)「んぁ〜……特にナッシングだな。
      強いて言えば、集めた情報の整理やら何やらの雑用を頼む」

(`・ω・´)「解った」

(´・ω・`)「でも警備の方を優先してもらって結構だよ。
       この施設がないと、こっちも動けないからね」

(`・ω・´)「そんなに心配はいらない。
      Cチームにはエクストもいるしな」

エクストという名を出した彼の口調には、確かな信頼感が籠められていた。
渡辺がからかうような口調で

从'ー'从「随分と頼りにしてるんだねぇ」

(`・ω・´)「アイツは馬鹿だがやることはやる。
      それに戦闘に関しては決して無能ではない」



41: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:35:21.43 ID:h5MIUEZa0
  
(;´_ゝ`)(むむ、信頼で結ばれた男二人の友情……これは……!)

(´・ω・`)(もしかして、ライバル登場とか思ってないよね?)

(;´_ゝ`)(そ、そそしょんなバニャニャ)

(´・ω・`)(解り易すぎてむしろ判断に迷うよ。
      というか、そもそも兄者さんのポジションは友情じゃないし)

( ´_ゝ`)(マジか)

(´・ω・`)(でも本来のジャンルの方も飽きられ気味だよ。
      むしろ『気持ち悪い』とか『いい加減にしろ』っていう声もたくさんあるらしい)

( ´_ゝ`)(何だと……だが、それは関係ない。
      他人の意見を伺うようじゃ半人前だからな。
      己が信じる道を行くのが、自分にとって一番良いのだ)

(´・ω・`)(何でこういう時に限って真面目なこと言うのさ)

( ´_ゝ`)(俺は常に真面目だ)

(´・ω・`)(最近、本気でそう思ってる節があるから困る)

(`・ω・´)「「……?」」从'ー'从



43: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:37:24.85 ID:h5MIUEZa0
  
何はともあれBチームも活動を開始だ。
作戦や行動のの根元となる情報を集めるわけだが

(´・ω・`)(このメンバーで大丈夫かなぁ)

心配してしまうショボンであった。
そして隣には

(;´_ゝ`)(そろそろジャンル変更の時期かもしれんな。
      いや、だが……逆に変えないという変化球も……ううむ……)

真に受けた馬鹿一人が、真剣に意見を飲み込もうとしていた。
44 名前: AV監督(大分県) [>>43訂正] 投稿日: 2007/04/16(月) 17:38:08.78 ID:h5MIUEZa0   
何はともあれBチームも活動開始だ。
作戦や行動の根元となる情報を集めるわけだが

(´・ω・`)(このメンバーで大丈夫かなぁ)

心配してしまうショボンであった。
そして隣には

(;´_ゝ`)(そろそろジャンル変更の時期かもしれんな。
      いや、だが……逆に変えないという変化球も……ううむ……)

真に受けた馬鹿一人が、真剣に意見を飲み込もうとしていた。



47: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:39:15.68 ID:h5MIUEZa0
  
―Cチーム―

FCの防衛を主とするCチームは、総合兵軍課の部署へと移動していた。
陸戦隊、海戦隊、空戦隊などの各隊の隊長を周囲に集め

( ,,゚Д゚)「まずは建物の内部配置を全て頭に叩き込む。
     咄嗟の時に、いちいち地図なんて見てられんからな」

<_プー゚)フ「うぇーい、りょーかーい」

(#゚;;-゚)「あんま憶えるの苦手なんやけどなぁ……とりあえず頑張るとしましょか」

<_プー゚)フ「ところで、シャキンがいないのは解るけど
         あのガキと姉ちゃんは何処行った?」

キョロキョロを周囲を見渡す。
ちなみにガキ=ブーン、姉ちゃん=ペニサスだ。

( ,,゚Д゚)「二人は別の用事があるそうだ。
     ここで決まったことには従うと聞いているから、こちらで勝手に決めるぞ」



49: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:40:53.68 ID:h5MIUEZa0
  
FCの内部構造を記した図を幾枚か机に並べる。
まず指を指したのは

( ,,゚Д゚)「この建物には二つの入り口が存在する。
     北口と東口だ」

<_プー゚)フ「この入り口は内部のエントランスホールで繋がってんだよな?」

( ,,゚Д゚)「あぁ、だから守りはそれほど複雑じゃない。
     守るべきはホールのエレベーターと階段だ。
     そこさえ封じていれば、空から来ない限りは侵入されることはないだろう」

<_プー゚)フ「んあ? ここは大丈夫なのか?」

エクストがFC本社の隣になる建物を指差す。

そこはFC三階・六階にある渡り廊下で通じている、別棟と呼ばれる建物だ。
医療や倉庫などの役割を持っており
しぃや弟者も、その棟にて寝かされている。

( ,,゚Д゚)「見て解るとおり、この棟の一階部は物資搬入のために、二階とは繋がっていない。
     搬入用エレベーターがあるが、アレは外部からの操作を受け付けないし
     侵入するにしては効率が悪過ぎる」

つまりこの建物の構造上、入り口は北口と東口だけなのだ。



50: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:42:35.41 ID:h5MIUEZa0
  
(#゚;;-゚)「ってことは、向こうもそこに最大戦力ぶつけてくるかもしらんなぁ」

( ,,゚Д゚)「だからこそ、緊急時には迅速な対応が求められる。
     そしてそれなりの力を持つ人物が指揮を執らねばならん」

<_プー゚)フ「誰が執るんだよ?」

彼の質問に、ギコは少し黙って考える。
Cチームに属しているのはギコ、でぃ、エクスト、シャキン、ペニサス、ブーンだ。

この中である程度の力を持ち、それなりの指揮力がある人物。

性格上の理由から、エクストとブーンは除外だ。
軍神も信用ならないので出来れば除外。

( ,,゚Д゚)「俺かシャキンかペニサスだな……」

<_プー゚)フ「あの姉ちゃんも候補に入ってんのか。
        正直言って、俺は心配だぜ?」

( ,,゚Д゚)「だが戦闘力という点で見れば……」

<_プー゚)フ「だったら軍神も候補に入れて良いんじゃね?」



51: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:43:58.88 ID:h5MIUEZa0
  
(#゚;;-゚)「ウチをそんな重要な守備に使わせられんやろ?
    もしかしたら、まだロマネスクと繋がっとる可能性もあるんやしな」

自嘲気味に笑う軍神。
それを見ながら、ギコは一つの案を思いついた。

( ,,゚Д゚)「……ならば、軍神と他の誰かを同時に置こう。
     そうすれば裏切りの発生を早い段階で察知出来る」

<_プー゚)フ「そうなると、対抗出来るのはあの姉ちゃんくらいか?」

( ,,゚Д゚)「あぁ、だから一階部の守備には軍神と英雄を使う」

(#゚;;-゚)「そりゃ豪華やね」

こちらの持ち得る最大戦力を一つに集める。
確かに重要守備点であるエントランスホールは、そうやって守るべきかもしれないが

<_プー゚)フ「あとは俺とギコさんと内藤とシャキンか。
        何か戦力的にも能力的にも、心配になってきたな」

溜息を吐くエクストを無視し

( ,,゚Д゚)「それぞれの隊の指揮を執ってもらいたい。
     エクストは空戦隊、シャキンは海戦隊、俺は陸戦隊で良いだろう」



52: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:45:33.66 ID:h5MIUEZa0
  
<_プー゚)フ「内藤ってガキはどうするんだよ?」

( ,,゚Д゚)「アイツは遊撃隊だ。
     特に束縛されることなく、自由に動いてもらう」

戦術などの難しい話が、彼に理解出来るとは思えない。
となれば勝手に動いてもらって
こちらでその動きに合わせるのが一番良いだろうという判断からだった。

コピーした図をエクスト達に手渡しながら

( ,,゚Д゚)「あとは隊ごとに、細かい配置や動きを決めておいてくれ」

(#゚;;-゚)「何処行くん?」

( ,,゚Д゚)「内藤やペニサスにも話をしてくる。
     とりあえずの説明くらいはしなければならんしな」

<_プー゚)フ「あ、じゃあ俺も行くー」

(#゚;;-゚)「ウチもウチも。
    図を見て憶えるより、実際に歩いて憶えた方がええわ」



56: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:46:58.87 ID:h5MIUEZa0
  
('、`*川「んじゃー早速、訓練とやらを始めるわよー」

( ^ω^)「御願いしますお!」

二人は訓練室にいた。
ペニサスは相変わらずの中国風な服装、ブーンは道着に着替えている。
格闘訓練用の広めな空間にて、二人は向かい合うように対峙していた。

( ^ω^)「具体的には何をするんですかお?」

('、`*川「まずは経験を積まなきゃね」

( ^ω^)「おー、ということは組手でもするんですかお?」

('、`*川「惜しい!」

目の前にいる長身の女性は、握った拳を突き出し

('、`*川「今から君は私の攻撃を受けまくってもらうわ。
     ちなみに気絶するまで続けるよ」

(;^ω^)「ちょwwwwね――」

言葉が途切れる。
衝撃を感じると同時、自分の腹部に拳がめり込んだのだと気付いた。

身体が背後へと引っ張られる。
そのまま宙を飛び、壁に背中から激突した。



58: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:48:18.11 ID:h5MIUEZa0
  
(;^ω^)「げほっ……!?」

('、`*川「おおぅ、まだ気を保ってるなんてやるねー」

(;^ω^)「い、い、いきなり何するんだお!?」

('、`*川「アレよ、アレ」

指を軽く振り

('、`*川「君には自分の限界を知っておいてほしいの。
      まずはどこまで衝撃と痛みに耐えられるかってのを――」

(;^ω^)「え? え? それって意味があるんですかお?」

('、`*川「君は本当に馬鹿だねぇ。
     己の限界を知らずにどうやって戦うっていうの?」



59: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:49:31.02 ID:h5MIUEZa0
  
限界を知るということは、戦略の取捨選択の材料として使える。

この程度の攻撃ならば回避する必要は無い。
あの程度の攻撃ならば防御する必要がある。

これだけでも解っていれば動きに大きな違いが出るのだ。

戦闘において一番恐ろしいものは『知らない』『解らない』である。
知らなければ予知さえ出来ないし、解らなければ対処のしようがない。

それと同じで
自分の限界を知らなければ、最高の力を発揮することなど出来ないのだ。

('、`*川「ってことで、今回は防御・耐久力を知ってちょうだい。
     どの程度まで耐えられるか、どのくらいまでの威力なら我慢出来るかとか」



61: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:51:03.22 ID:h5MIUEZa0
  
攻撃にも種類がある。

例えば、『掌底』などは打ち抜き系だ。
威力を与えるのではなく、相手の背後までに突き抜く技。
連打は不可能だが、簡単な動作で相手を吹き飛ばしたりも出来る。

『手撃』という技もある。
掌を相手に押し付けて発動させるものであるが
これは基本的に内臓などの、身体内部を破壊するために用いられる。
使い難いが、防御の手段が少ないという玄人向けの技だ。

『拳打』や『蹴込』などは基本的な殴打系に分類される。
力任せの攻撃で、外傷目的で使われることが多い。
格闘といえば、基本はこれだ。

('、`*川「あとは『目打』や『金的』みたいな急所を狙う技もあるわね」

( ^ω^)「お? 大体は急所を狙って攻撃するんじゃないんですかお?」

('、`*川「あれは一つの技で色んな場所を狙うでしょ?
     目打や金的は、その部位のみの攻撃を目的とした、いわば専用攻撃みたいなものかな」

応用性がなく、察知されやすいが
当たれば一撃必殺に近い効果を得ることも出来る。



63: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:52:52.30 ID:h5MIUEZa0
  
('、`*川「んで、それらを混ぜてコンビネーション化した『連撃』だね」

腰や肩の捻り、足首の配置などを考慮した『連続打撃』のことだ。
リズム良く刻むのは難しいが、これが出来るようになると一方的に攻撃することも可能である。

( ^ω^)「それなら一応は出来ますお」

('、`*川「君は出来て当然。
     ここで問われるのは、どのくらい耐えられるかだね」

(;^ω^)「それを知るために僕は殴りまくられるわけですかお……」

確かに納得出来る理論ではあるが
やはり自分が殴られるのに快くOKなど出せるわけがない。
そんなのドMな奴だけだ。

('、`*川「もちろん色んな攻撃混ぜてみるつもり。
     ま、期待しててよ」

文句を言いたい気持ちを押さえつけながら

(;^ω^)「で、では御願いしますお」

('、`*川「まっかせなさぁーい」

拳をペキペキと音立てながら歩み寄ってくるペニサス。
地獄が始まった。



66: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:55:33.70 ID:h5MIUEZa0
  
<_プー゚)フ「あれ? シャキンじゃん」

(`・ω・´)「お前ら……」

FC七階部。
訓練室へ向かっていたギコ達は、情報管理課から移動していたシャキンと合流した。

(`・ω・´)「Bチームの話が終わったから、そちらに向かっていたのだが。
      確か四階じゃなかったか?」

( ,,゚Д゚)「もうこちらの話も大体終わった。
     席を外していた内藤達にも伝えようと、移動していたところだ」

(`・ω・´)「そうか」

(#゚;;-゚)「訓練室ってあれ?」

軍神の声に、三人が視線を向ける。
七階部のほとんどを支配している空間への扉があった。
見るからに頑丈だが

<_;プー゚)フ「……尋常じゃない熱気を感じる件について」

(#゚;;-゚)「心地えぇなぁ」

(`・ω・´)「あそこに内藤とペニサスがいるのか」

( ,,゚Д゚)「……開けてはならん気がするが、とりあえず行くしかあるまい」



67: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:57:02.14 ID:h5MIUEZa0
  
先を歩いていたエクストが扉に手を掛け、開いた。

まず見えたのは拳の残像。
そしてボロボロのサンドバッグ。
いや、あれは――

('、`*川「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」

(#)#)ω(#(#)「くぁwsでrftgyふじこlp;@:!!?」

ペニサスが発する超高速の連打がブーンに襲いかかっていた。
もはや彼の身体は、拳によって空中に固定され
為すがままに殴られ続けている。

一瞬、四人が唖然とする。
我を取り戻したエクストが

<_;プー゚)フ「すげぇ! 現行殺人の現場だ!」

(#゚;;-゚)「えぇ音……惚れ惚れするなぁ」

見当違いなコメントが出ている間にも、殴打音が連続で響き続けている。



68: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 17:58:29.96 ID:h5MIUEZa0
  
(`・ω・´)「止めなくていいのか?」

( ,,゚Д゚)「本人らが望んでやっているのなら、止めるなど無粋だろう」

<_;プー゚)フ「望んでやってるってんなら相当のSM好きだろ……」

( ,,゚Д゚)「一応、クレティウスを装着しているみたいだな。
     死ぬことはないだろう」

(#゚;;-゚)「で、どうするん?」

( ,,゚Д゚)「先ほど決めた項目を載せた資料がある。
     ここに置いておけば、後で目を通すだろうよ……生きていれば」

入り口近くにあったベンチに紙束を置く。
四人はブーンに生暖かい視線を送りながら、激音が響く訓練室を後にした。



71: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:00:19.19 ID:h5MIUEZa0
  
―Dチーム―

Bチームの話を終えた渡辺と兄者は、その足で地下へ向かった。

( ´_ゝ`)「そういや、ここに入ったのは初めてだな……」

从'ー'从「そうなんだ?」

歩きつつ、兄者がキョロキョロと薄暗い通路を見渡した。
釣られるように渡辺も首を動かす。

現在位置、地下二階。
FCの地下施設は四階まで存在していた。
主に兵器開発や実験研究に使われ、下に行くほど機密レベルが高まるらしい。

モララーの話では、『老人共』と呼ばれる科学者達が
自由気ままに研究を繰り返しているらしい。
ジェイルの特殊兵装もここで生まれたものだ。

( ´_ゝ`)「えーっと……あ、ここだな」

視線の先には、札に『資料室』と表記された鉄扉。
開くと、薄暗い空間の中にいくつかの人影が見えた。



73: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:02:13.01 ID:h5MIUEZa0
  
[゚д゚]「遅ぇぞ」

FC兵に見張られ、機嫌悪そうにしているデフラグだ。
そして隣には白衣を着た老人が椅子に座っている。

从'ー'从「これでも結構急いだんだけどなぁ」

(-@ハ@)「ほほう、アンタも異世界の人か……めんこいのぅ」

( ´_ゝ`)「ってか誰よ?」

(-@ハ@)「ワシは『アサヒ』という、ただの老人じゃよ。
      ちょっくら未知のモノに興味津々なだけのな」

( ´_ゝ`)「アンタがモララーが言ってた『老人共』の一人ってわけか」

(-@ハ@)「おうおう、年寄り扱いはいかんのぅ小僧」

(;´_ゝ`)「自分で老人って言ったじゃん」

(-@ハ@)「あぁ? 何だってぇ? この歳になると耳が遠くていかんなぁ」

( ´_ゝ`)「コイツぶん殴っていいかな?」

[゚д゚]「やめとけやめとけ……ジジイ殴って良いことなんて一個もねぇよ」

溜息を吐きつつ、デフラグは悟ったような口調で兄者を止めた。
どうやら既に被害者らしい。



74: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:03:35.86 ID:h5MIUEZa0
  
既に資料や飲み物が用意された古い机の周囲に、皆が着席する。
少しの白髭を蓄えたアサヒが

(-@ハ@)「社長が言うには面白いことを聞かせてくれるらしいのぅ。
      そりゃもしかして、ウェポンとやらに関係してるんかい?」

从'ー'从「うん、まぁね。
      今から貴方達に説明するのは『魔力』という特殊な力についてだよ」

( ´_ゝ`)「何つか、俺には定義がよく解らんのだ。
      それは一体何なんだ? どんな用途で使われるんだ?」

从'ー'从「そこが魔力の特筆すべき点。
      実は決まった定義なんて特になくて、色々なことに使えるの」

(-@ハ@)「そんな便利なモノがあるのか……続けてみぃ」

アサヒは興味を持ったようだ。
続きを促がされ、渡辺は頷きながら話を続ける。

从'ー'从「魔力という力は、魔粒子と呼ばれる目に見えない粒子の集まり。
      で、その魔粒子はルイルから生み出されているわけ」

( ´_ゝ`)「だからこの世界に魔力……いや、魔粒子が存在しないんだな」



76: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:05:25.40 ID:h5MIUEZa0
  
(-@ハ@)「その目に見えないほど小さな魔粒子ってのは
       どうやって集めるんじゃ?」

从'ー'从「その方法は後で教えてあげる。
      だから今は、その特性について説明するね」

机の上にあった金属片を手に取る。
すぐに兄者が正体に気付いた。

( ´_ゝ`)「それは、炎上爆発したGDFって戦闘機から回収された……?」

渡辺が手に持ったのは一本の剣。
それはかつて、ラミュタスが使用していたブレードだった。
しかしその刀身は半分以上が損失しており、全体的に焼けただれている。
とても使えるようには見えない。

从'ー'从「魔粒子を一定以上集めてコンパクト化したモノを
      『マジックカートリッジ』と言ってね……これだよ」

柄尻のギミックを動かす。
内部から、いくつかの乾電池に似た円筒が転がり出てきた。

(-@ハ@)「ほほぅ……薬莢みたいなもんか」

从'ー'从「魔粒子を集めて詰め込んだ状態が、これだね」



77: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:07:39.90 ID:h5MIUEZa0
  
( ´_ゝ`)「そのマジックカートリッジがどうなるんだ?」

从'ー'从「この高密度状態を瞬間圧縮して、衝撃を与えた時に『魔力』は力を発揮する。
      条件が厳しい感じだけど、その効果は物理法則を捻じ曲げるんだ」

(-@ハ@)「物理法則をぉ? 信じられんのぅ」

从'ー'从「というわけで、実際にその目で見てもらいまーす」

マジックカートリッジをブレードに叩き込む。
軽い金属音が響いた。
刀身と柄の間にある小さなトリガーに指を掛け

从'ー'从「何か壊して良い物あるかな? 出来るだけ強固なのがいいけど」

(-@ハ@)「これなんてどうじゃ?」

部下に目配せし、『これ』を持ってこさせる。

( ´_ゝ`)「おー、何て御都合主義」

部下が五人掛かりで持ってきたのは巨大な鉄の塊だった。
見た感じ用途不明で、強いて言えば破壊実験に使われそうな
そんな、意味を見出せない物体だ。

(-@ハ@)「フヒヒ、流石にこの鉄塊を壊すなんて出来まいて」

( ´_ゝ`)「うわぁー、すげぇありがちなフラグだぁー(棒読み)」



78: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:09:19.36 ID:h5MIUEZa0
  
从'ー'从「いきまーす」

カチン、とトリガーを引き込む。
微かに耳鳴りのような甲高い音が発生し
柄尻からマジックカートリッジが勢い良く吐き出された。

( ´_ゝ`)(……ふむ?)

完全に朽ちたはずの刀身に
何か命のようなモノが宿ったようにも見える。
言うなればオーラのような、そんな胡散臭い何かを感じた。

从'ー'从「えいっ!」

振り下ろす。
鉄塊に触れた途端

(;´_ゝ`)「おわっ!?」

(;-@ハ@)「フォォォォ!?」

激音と共に、鉄の塊が完全に『粉砕』した。
何十もの鉄屑に分散し、破片をその場にぶちまける。

渡辺とデフラグ以外の人間が目を丸くして驚いた。



80: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:11:10.79 ID:h5MIUEZa0
  
(;´_ゝ`)「す、すげぇ……!」

あんなひ弱な攻撃で、あんな強固っぽい鉄塊を破砕した。
つまり『魔力』という存在が、それだけ強大だということである。

从'ー'从「条件そろえるのに、それなりの技術や材料が必要だけど
      それさえクリアすればこの通り。
      本来は戦闘なんてしない私でも、こんな芸当が可能なの」

(;-@ハ@)「こりゃ凄いのぅ……」

(;´_ゝ`)「原理はどうなってんだ?」

从'ー'从「言ったでしょ? 魔力は物理法則を捻じ曲げるって。
      ちなみに今のは『砕』の魔力を用いた一撃だね」

言葉からするに、魔粒子にはいくつか種類があるらしい。

『震』『貫』『砕』『斥』『引』『勢』『衰』の七つの属性が存在しており
それぞれに、与える効果が異なるという。

从'ー'从「今のは『砕』の効果だから、あの鉄塊が粉砕したってわけ。
      『貫』だったら貫通しているだろうし……内藤君が見たのも、それだね」

( ´_ゝ`)「なるほど……対象の硬度に関係なく効果を適用させるのか」

(-@ハ@)「確かに物理法則を捻じ曲げておるのぅ」



82: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:12:49.13 ID:h5MIUEZa0
  
从'ー'从「で、先ほどアサヒさんが言った通り
      この魔力はウェポンという武具にも使用されてるの」

1st−Wは『引』、2nd−Wは『砕』、3rd−Wは『勢』、4th−Wも『勢』、5th−Wは『貫』
6th−Wは『勢』、7th−Wは『震』、8th−Wは『勢』、9th−Wは『勢』と『衰』
10th−Wは『引』と『震』、11th−Wは『衰』、12th−Wは『斥』、13th−Wは『砕』と『勢』――

二つの属性を持つものは、威力などが少し劣っているらしい。

( ´_ゝ`)「ふーむ……そう考えれば、ほとんどのウェポンの説明がつくな」

(-@ハ@)「じゃが、そのエネルギーは無限ではないじゃろ?
      先ほどの一撃で使用されたマジックカートリッジには既に魔力が入っていない。
      つまり魔力とは、無限ではなく有限エネルギーのはず」

从'ー'从「うんうん」

(-@ハ@)「だったらウェポンにも使用限度があるのかの?」

从'ー'从「そこがウェポンの特殊な部分だね」

細く白い指を一本立てる。

从'ー'从「質問です。
      ウェポンを使用する際に、体力や精神力が必要なわけですが
      それは何故でしょう?」



83: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:15:17.15 ID:h5MIUEZa0
  
( ´_ゝ`)「うーん?
      やっぱり力を引き出すには
      それなりのモノを代価として差し出さねばならんのじゃね?」

从'ー'从「ぶぶー、ハズレ。
      正解は魔力のコーティングでした」

( ´_ゝ`)「?」

言葉に疑問を持ち、周囲を見渡す。
やはり渡辺とデフラグ以外が首を振った。

从'ー'从「人間の生命力を『膜』として魔力の漏洩を防ぐ。
      体力と精神力さえあれば、半永久的にウェポンの力を行使出来る理由だよ」

( ´_ゝ`)「リサイクル主義万歳だな」

从'ー'从「その辺の詳しい話は後にして。
      まずはこの魔力を用いた攻撃を防ぐ術の件についてだね」

( ´_ゝ`)「やっぱあるんだな?」

从'ー'从「うん、それを証明するために魔力が必要だね。
      あと肝心な防御手段にも使用するんだけど――」



84: AV監督(大分県) :2007/04/16(月) 18:16:31.38 ID:h5MIUEZa0
  
朽ちたブレードを操作する。
柄尻が展開し、二つのマジックカートリッジが転がり落ちてきた。
それを掌に乗せ

从'ー'从「ぶっちゃけ、この二つ程度じゃ足りないんだよね」

(;´_ゝ`)「は?」

兄者が素っ頓狂な声を上げる。
その言葉の意味が、『足りないから無理です』と言っているようなものだったからだ。

技術研究・戦力強化を主とするDチーム。
その行く先は前途多難らしい。



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