( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

2: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:16:37.43 ID:Az796pJ70
活動グループ別現状一覧

( ´∀`) lw´‐ _‐ノv ハ(リメ -゚ノリ |゚ノ ^∀^) VS (メ _凵j
所属:不滅世界&魔法世界
位置:都市ニューソク
状況:赤いEMAと青いEMA

( ・∀・) (,,゚Д゚) (*゚ー゚) ミ,,"Д゚彡 ( ´_ゝ`) (´<_` ) [゚д゚]
<_プー゚)フ ( ゚д゚ ) ノハ#゚  ゚) 从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *)
所属:不滅世界&機械世界&英雄世界&魔法世界
位置:ロシア・古城
状況:潜伏中

(#゚;;-゚)
所属:機械世界
位置:不明
状況:単独行動中



6: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:18:33.06 ID:Az796pJ70
第三十二話 『無力な男』

都市ニューソクの郊外に、一際大きな音が響いていた。
周囲のゴミ屑や落ち葉を吹き飛ばしている中心地に、灰色のヘリが着陸したのだ。
轟音を奏でる機体の扉が開き、一人の女性が出てくる。

(#゚;;-゚)「やぁっと着いたわー」

「既に世界運営政府が動いているとの情報が入りました。
 お急ぎ下さい」

部下の言葉を背に受け、コキコキと肩を鳴らしつつ正面に展開されるビル群を見る。
見据えたまま一歩踏み出した軍神を、しかし部下が呼び止めた。
この世界に到達した時から一緒に動いている、馴染みの深い機械世界所属の兵は暗い表情で

「あの……魔法世界の事に、わざわざ貴女が首を突っ込む必要などないのでは?
 こういう件こそ、我々を総括するつもりであるFCの手腕を確認する良い機会だと思いますが」

(#゚;;-゚)「ええんよ」

片手を振り

(#゚;;-゚)「真実っちゅーもんを持っとるんはウチだけやからな。
     ちゃんと伝えてやらんと……あの人の娘、レモナになぁ」

「解りました……では、我々はここで待機しておきます」

(#゚;;-゚)「くれぐれも近付かんように。
    巻き込まれて死にたくなければ、の話やけど」



9: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:20:24.46 ID:Az796pJ70
もはや頭にある考えは一種だけだった。

危険だ、と。
危険だから助けなければ、と。

玄関の扉を体当たりするかのように押し開き、階段を降りる。
アパート出口から左折し、建物の陰へと走った。

|゚ノ#^∀^)「ちょっと! アンタ死にたいの!?」

背後からレモナの声が追う。
しかしモナーは首を振り

(;´∀`)「死にたくないけど、死ぬのを見るのも嫌だモナ!」

|゚ノ#^∀^)「この馬鹿!」

『知らないフリをする』などと言っていたはずの彼女の足音が聞こえる。
まるでそれから逃げるかのように、モナーは全力で駆けた。

そして見る。
アパートの裏の空き地に着地した青いEMAのコックピットへ、ミツキが乗り込もうとしているのを。
しかしその肩は上下に動き、呼吸の荒さを物語っていた。
這うようにして身を動かしている姿は、痛々しいの一言だ。

(;´∀`)「ミツキさん!」

ハ(リ;メ -゚ノリ「モ、モナーさん……?」

青い顔をしたミツキが、こちらを見る。



13: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:22:45.72 ID:Az796pJ70
ハ(リ;メ -゚ノリ「何故、ここへ……危険だから家へ戻るんだ……」

(;´∀`)「このままじゃミツキさんも危ないモナ! 早く逃げるモナ!」

駆け寄り、がむしゃらに青いEMAを登り始める。
何とかミツキのいる位置まで到着し、その身体を掴んで支えた。
しかし、彼は抵抗するように手を振り

ハ(リ;メ -゚ノリ「駄目だ、僕はアイツと決着をつけなくては……」

(;´∀`)「そんな青い顔して何を言ってるモナ! 早く休まないと――」

|゚ノ#^∀^)「くぉらぁぁぁ!!」

被さるように、怒声が飛んできた。
こちらに向かってレモナが走ってきている。

|゚ノ#^∀^)「なんか私がアンタ逃がしたみたいで情けないじゃないの!」

(;´∀`)「そ、そういう問題かモナ!?」

|゚ノ#^∀^)「黙っしゃぁぁい!」

振りかぶり、投擲。
重そうな何かが回転しつつ飛翔した。
それはミツキを助けようとしているモナーの、ある部分へと迫り

( ゙゚'∀゚')「ハァッオ"!!?」

見事、男の大事な部分へと直撃した。



15: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:24:20.65 ID:Az796pJ70
彼の股間を抉った物は機体から転がり、砂のような音をぶちまけて落下する。

|゚ノ;^∀^)「あ、あら?」

( ;゙゚'∀゚')「あqwせdrftgyふじこlp;@:」

全身を痙攣させたモナーは、助けを求めるかのようにミツキを見るが
しかし彼は落下した物体に目を向けており

ハ(リ;メ -゚ノリ「今投げられたのは米袋だね……あとでシューに説明するのが怖いな……」

( ´∀`)「げふぅ」

そのまま、頭から転倒した。



16: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:26:00.22 ID:Az796pJ70
そんな悲劇(?)が展開されているとは露知らず。

そこから少し離れた位置では
青いEMAの落下点を見つめたまま、シューと赤いEMAが唸るような声を出していた。

lw´‐ _‐ノv「……何してるんだろ」

『まさかとは思うが、奴は怪我でもしているのか?』

lw´‐ _‐ノv「うん」

『ならば好機か。
 私から直々にトドメを刺しにいってやろう』

lw´‐ _‐ノv「…………」

一歩踏み出したEMAを、シューは視線の端で見るだけだ。

『止めんのか?』

lw´‐ _‐ノv「私はもうミツキにバトンを渡したから。
      あとは彼がやられようがどうなろうが、それを結果として受け止めるよ」

『バトンが何なのかよく解らんが……見上げた根性だ』

邪魔をされないこと確認したミカヅキは再度、アパートへと足を向ける。

未だ青いEMAは立ち上がりもしていない。
起動を示す鼓動も、駆動を示す唸るような音も聞こえない。



19: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:27:29.91 ID:Az796pJ70
『嘗められているのか……?』

訝しげな声を発した時だ。

『!』

重い音が、鉄装甲を通じて響いたのを感じとった。
それはEMAという人型機動兵器に命の火が灯ったことを示す音。
人間でいえば、心臓が動き始めたことに等しい事象。

『罠……?
 まぁいい、決着をつける』

それまでゆったりとしていた動きが鋭くなる。
機械で構成された全身に魔力が行き渡り、その身の重ささえも変更した。

赤い瞳を更に光らせ、両腕を水平に掲げ

『自身の罪、死を以って贖え――!!』

跳躍。
たった一息で高さ数十メートルを跳んだ赤いEMAは、そのまま一気に青いEMA目掛けて落下した。



20: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:29:28.57 ID:Az796pJ70
気を失っていたのは一瞬だったらしい。
ひどく痛む頭をさすり、モナーは涙を浮かべて目を開いた。

(;´∀`)「ててて……あれ?」

違和感に気付く。
目を開いたはずなのに光が入ってこないのだ。
鼻から入ってくる臭いも、嗅いだ事のない種類であると認識する。
危険を感じて身を動かそうとし、しかしすぐに何かにぶつかってしまうことを知った。

つまり今、彼は暗く狭い空間に押し込められているということで――

(;´∀`)「モ、モナ! ピンチだモナ!」

パニックに陥った彼は、じたばたと身を暴れるかのように動かした。

(;´∀`)「ヘルプモナ! ヘルプミーモナ!」

手足が堅い何かにぶつかるが、それでも彼は暴れ続けた。
次の瞬間、

(;´∀`)「――!?」

強烈な衝撃が彼の身体に襲いかかった。
鉄の軋む音が鼓膜を震わせ、大きな振動が身体を揺らす。

その拍子に、放り出された手が硬い何かを押し込んだことさえも解らぬほどの振動だった。



23: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:31:01.09 ID:Az796pJ70
(;´∀`)「モナ!?」

ピン、というソナー音に近いものが空間内に反響。
同時に薄暗い光がモナーの顔を照らした。

反応する間もなく、再度の衝撃。
頭をぶつけ、身が回転し、お尻に少し柔らかい感触が押し付けられる。

( ´∀`)「これ、は……?」

その感触から、自分がシートに似た何かに座ったのだと気付いた。
安定する姿勢が思考を濁流を止め、モナーはやっと自身の状況を理解する。

目の前にあるのはウインドウだった。

青白い光を発するそれには、外の景色が映っている。
何を表しているのか解らないゲージや数字が隅の方に並び、点滅したり揺れたりしている。

両腕の先端にあるのはレバーで、足下には対となるペダルがあるのを触覚で確認。

視線を下ろせば、パソコンのキーボードのようなコンソールが目に入る。
英語のようで、しかし異なるような奇妙な文字は理解の範疇を超えていた。

(;´∀`)「まさか」

悪寒が背筋を撫で、そして頭で知る。

(;´∀`)「僕、もしかして……あの青いロボットに乗っちゃってる……?」



25: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:32:51.16 ID:Az796pJ70
左右にもあるウインドウには、やはり機体の左右の景色が映されていた。
そしてその下部に、レモナとミツキがこちらを見上げているのが見える。

(;´∀`)「ちょ、助けてくださいモナ!」

声を発するが、彼らに反応はない。
何かを叫んでいるだけで、その声もこちらには聞こえない。
どうやらマイクやスピーカーのようなモノのスイッチが入っていないらしい。

(;´∀`)「スイッチ、スイッチ……」

慌てた手付きで周囲を探るも、どれがどれなのか判別など出来るはずもなく。
そして再びウインドウへ視線を向ければ

(;´∀`)「ひっ!?」

あの赤いEMAが、目の前にまで肉薄していた。
次の瞬間、先ほど襲った強い衝撃がモナーの身を揺さぶる。



28: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:33:57.16 ID:Az796pJ70
(;´∀`)「うわぁぁぁぁ!?」

攻撃されたのだ。
揺れる身体を制御出来ず、首が上下左右に振り回される。
同時に機体が軋み、地獄の底から響くような音がモナーの心を締め付けた。
パニックが脳を支配していくのを自覚しつつ

(;´∀`)「ど、ど、どうしよう……!」

赤いEMAは、おそらく自分が乗っていることなど知らないのだろう。
つまり相手はこちらを殺す気で迫っているのであり

『どうした!? 何もせずに死ぬか!?』

聞いたこともない声が、怒りを籠めて聞こえてくる。

(;´∀`)「いや、僕は違うモナ! 何が違うって何なのでしょうね!?」

『……ふン、もはや語る必要などないということか! ならば!』

「聞こえてないモナ……って、うわぁ!?」

コックピット内が衝撃に打ち震える。
舌を噛みそうな勢いに、モナーは身を縮めて耐え続けた。



29 名前: ◆BYUt189CYA [>>28訂正] 投稿日: 2007/08/04(土) 14:35:01.09 ID:Az796pJ70
(;´∀`)「うわぁぁぁぁ!?」

攻撃されたのだ。
揺れる身体を制御出来ず、首が上下左右に振り回される。
同時に機体が軋み、地獄の底から響くような音がモナーの心を締め付けた。
パニックが脳を支配していくのを自覚しつつ

(;´∀`)「ど、ど、どうしよう……!」

赤いEMAは、おそらく自分が乗っていることなど知らないのだろう。
つまり相手はこちらを殺す気で迫っているのであり

『どうした!? 何もせずに死ぬか!?』

聞いたこともない声が、怒りを籠めて聞こえてくる。

(;´∀`)「いや、僕は違うモナ! 何が違うって何なのでしょうね!?」

『……ふン、もはや語る必要などないということか! ならば!』

(;´∀`)「聞こえてないモナ……って、うわぁ!?」

コックピット内が衝撃に打ち震える。
舌を噛みそうな勢いに、モナーは身を縮めて耐え続けた。



31: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:36:38.90 ID:Az796pJ70
赤いEMAが、動こうともしない青いEMAを殴っている。
鉄が軋み、たわみ、悲鳴のような甲高い音を叫んだ。

しかし助ける者などなく、助けられる者もいない。
関係者であるミツキ達も、その私刑の迫力に近付けないでいた。

lw´‐ _‐ノv「ミツキ」

事情を察知したシューが駆け寄ってくる。
彼女の身体に怪我らしきものが無いことを確認し、ミツキは微かに安堵を示した。

lw´‐ _‐ノv「まさかとは思うけど、乗ってるのはモナー?」

ハ(リメ -゚ノリ「運が悪いことにね。 油断していた僕が悪い。
       いや、レモナにも少なからず責任はあるかな?」

|゚ノ#^∀^)「……アンタ、余裕ね」

ハ(リメ -゚ノリ「ん?」

|゚ノ#^∀^)「関係ない人が……いえ、貴方を助けてくれた人が貴方の代わりに死にそうになってるのよ?
      何でそうやって余裕ぶってられるの?」

レモナの瞳には怒気が宿っている。

|゚ノ#^∀^)「私のお父さんを殺した時も、そうやってヘラヘラしてたんでしょうね。
      ミカヅキ様が怒るのも納得だわ」



32: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:38:36.17 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「レモナ」

シューが遮るように立つ。
右手は刀の柄を掴み、その姿勢で意思を表していた。
手を出せば許さない、と。

|゚ノ#^∀^)「アンタもアンタよ。
      何でそんな奴を庇うの?」

lw´‐ _‐ノv「…………」

|゚ノ#^∀^)「はン、何? もしかして惚れちゃってるの? そんな奴に?」

lw´‐ _‐ノv「レモナ、今はこういうことをしてる場合じゃない」

|゚ノ#^∀^)「勝手に話題を変えないでくれる?
      私は今、目の前にいるヘラヘラした男をぶん殴りたいわけ」

lw´‐ _‐ノv「それで何になる?」

|゚ノ#^∀^)「何かにならなきゃ動いちゃ駄目なの?」

風が吹いた。
もはやレモナの口調に冷静さなど微塵も見られない。
親を殺した人間が自分の思う最悪の人格を持っていると知った今、彼女の怒りは最高潮にまで達しているのだ。
止まらぬ怒りを含んだレモナが一歩踏み出し、シューが腰を微かに下げ

ハ(リメ -゚ノリ「!」

ミツキが、何かに気付いたかのように頭を上空へ向けた。



34: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:40:25.00 ID:Az796pJ70
釣られるように見上げれば、戦闘用ヘリがこちらを監視するかのように浮いているのが見えた。

lw´‐ _‐ノv「あれは……」

ハ(リメ -゚ノリ「嫌な予感がする。
      とりあえずここは隠れよう。 いいね?」

|゚ノ#^∀^)「ふン」

ここで突っ立っていても状況は好転しない。
そう判断したミツキ達は、これから起こる事象から逃れるかのように草むらの陰に入った。

赤いEMAの動きが止まったのは、同時である。

『――!』

何かに気付いたかのように空を見上げ、一歩だけ足を下げる。
そして一瞬だけ戸惑うように首を振り

『!』

渾身の跳躍を以って、その場から離脱した。
轟音と共に土煙が舞い、短時間で赤いEMAは長距離を跳んでいく。

一度だけ振り向いたのが見えた。
まるで『次こそは』と、再度の激突を望んでいるかのような感情が見え隠れしている。
この離脱は彼にとってかなり不本意であることが手に取るように解った。

ハ(リメ -゚ノリ(ミカヅキ、君は――)



36: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:42:28.00 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「何か降りてくる……誰かたくさん出てきた」

|゚ノ ^∀^)「EMAに近づいてる?
      まさか連中の目的って――」

lw´‐ _‐ノv「理由は解らないし、アレの価値を知ってるか解らないけど……たぶんEMAの奪取」

|゚ノ ^∀^)「止めないと!」

ハ(リメ -゚ノリ「動かないで、レモナ」

飛び出そうとしたレモナを、ミツキが手で制す。
更に文句を言おうとした口をシューがすかさず手で封じた。

ハ(リメ -゚ノリ「僕達三人だけで、あの人数を相手するのは無理だ。
       彼らが持っている武器を見てごらん」

|゚ノ ^∀^)「小型の銃器……」

ハ(リメ -゚ノリ「僕らの世界では為し得なかった理想のEWの形……それだけ、この世界の技術力は高いってことさ。
       それにいくら君とシューがいるからといっても、あの男がいる限りは迂闊に動くことが出来ない」

視線の先に一人の男がいた。

( ^Д^)「…………」

野戦服を着て、しかし腰に一本の剣を吊った男だ。
その雰囲気は狼のように薄暗く、そしてその表情は笑みの一辺倒。
否が応にも悪寒を与えてくる不気味さを醸し出している。



38: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:44:21.09 ID:Az796pJ70
lw´‐ _‐ノv「……強い、ね」

ハ(リメ -゚ノリ「ここは退くべきだね。
       確かにEMAを手放すのは惜しいけど、呼び出そうと思えばいつでも呼び出せるだろう?
       さっきみたいに、ちゃんと受信装置は動いているみたいだし」

(#゚;;-゚)「でも、その受信装置とやらを壊されたらアウトやなぁ」

ハ(リメ -゚ノリ「そこは賭けさ……随分と分が悪いけどね」

(#゚;;-゚)「うんうん、男らしくてええわぁ」

|゚ノ;^∀^)「っていうかアンタ誰――って、ホント誰!?」

lw´‐ _‐ノv「な……っ?」

いつの間にか会話の中に軍神が混ざっていた。
突如として現れた彼女に気付けなかった三人は、その実力の高さを肌で感じ取る。

(#゚;;-゚)「とりあえず初めまして。
     自分、でぃ言います……軍神の名の方が有名かもしらんけどもね」

屋根から屋根へと伝い、最短距離でここまで跳んで来たにも関わらず、その息はまったく乱れていない。
彼女はきょろきょろと周囲を見渡しながら

(#゚;;-゚)「で、EMAは? あそこ? あー、青い方みたいやなぁ」



40: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:45:40.46 ID:Az796pJ70
|゚ノ;^∀^)「何でEMAを知ってるのよ!」

(#゚;;-゚)「金髪……? もしかしてアンタがレモナ?」

|゚ノ;^∀^)「そ、それが――」

(#゚;;-゚)「ふぅむ、写真で見せてもろた頃よりも随分と逞しくなっとるなぁ」

嬉しそうな笑顔で、軍神はレモナの頭を軽く撫でる。
あまりに素早い動作だったため、レモナが反応したのは撫で撫でが終わった後だった。

|゚ノ;^∀^)「ちょ……!?」

(#゚;;-゚)「ま、事情説明は後にして、とりあえずウチについて来てくれるかな?」

lw´‐ _‐ノv「知らない人について行く人はいないと思う」

(#゚;;-゚)「ごもっともかもしらんが、そういうこと言うてる場合やないんよ。
    世界政府も近いトコにおるわけやしな。
    もし言うこと聞いてくれんのなら、力尽くでも連れて行く……っていうのはどう?」

笑みが冷たくなる。
反応するようにレモナとシューが双眸を細めたが、相手が悪かった。

(#゚;;-゚)「ほいっ」

軍神の腕が掻き消え、ほぼ同時にレモナとシューの首筋に衝撃が走る。
一瞬にして意識を刈り取られた二人は、そのまま軍神の脇に抱えられることとなった。



41: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:47:47.99 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「ふむ……ちょーっと強引になってもたけど、結果オーライ」

ハ(リメ -゚ノリ「それを結果オーライというのなら、世界は随分と物騒になったものだね」

(#゚;;-゚)「アンタがミツキやな」

言葉に、ミツキは黙って頷く。

(#゚;;-゚)「悪いけど、今は青いEMAは諦めて。
    そしてこの二人と一緒に、ウチんトコに来てもらえる?」

ハ(リメ -゚ノリ「解った」

(#゚;;-゚)「おぉ、何ともスッキリな返事だとことで」

ハ(リメ -゚ノリ「僕はEMAに乗ることしか能がない。
       そんな僕をも連れて行くということは、あのEMAを奪還して利用するつもりなんだろう?」

(#゚;;-゚)「ふむふむ、なかなか頭の回転が速くて助かるわぁ。
     レインの言う通りや。
     ま、詳しい事情説明は道中にするとして、とにかくここから移動したいんやけど――」



43: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:48:56.52 ID:Az796pJ70
ハ(リメ -゚ノリ「……あの青いEMAには一般人が乗っている」

言葉をさえぎるようにミツキは強い声で言った。
首をひねる軍神は『はて』と呟き、次の言葉を待つ。

ハ(リメ -゚ノリ「欲を言えば、EMAと同時にその一般人も助けたいと思ってるんだ。
       それが出来ると約束するなら僕は協力を惜しまない」

訪れたのは沈黙。
少し離れた場所から世界政府兵が走る音が響き、その中で軍神は口元を歪めた。

(#゚;;-゚)「はン、誰にモノ言うとんねん。
     ウチは軍の神やぞ? もし誰に出来なくともウチが達成したるわ」

と、自信満々に答えた。



45: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:50:01.23 ID:Az796pJ70
|゚ノ ^∀^)「ん……」

音が響いている。
轟音とも重音とも言えるモノは、身体全体に染み込んできていた。
それと同時に震動が生まれ、更に身体を揺らしてくる。

|゚ノ ^∀^)「……?」

誰かに膝枕をされているようだ。
手を動かし、その太ももの感触を確かめる。

堅かった。

冷たく、堅い足だった。
それはまさに機械といった感触で――

(#゚;;-゚)「起きた?」

上から声が降ってくる。
見上げれば、顔中に傷が刻まれている女性がこちらを見ていた。
そしてようやく、その彼女に膝枕をされているのだと気付く。

|゚ノ;^∀^)「え? あ、あれ?」

慌てて起き上がり、周囲を見る。

暗くてよく見えないが狭い空間だった。
シートが四人分ほど一列に並んだだけで、後は機械や鉄に囲まれている。



46: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:51:20.49 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「あんま動かんといてな。
    ここ、ヘリの中やから」

|゚ノ ^∀^)「ヘリ……?」

頭がボーッとして動いてくれない。
言われた単語の意味を理解しようと、レモナは目を逡巡させるように走らせる。
それを見た軍神は、笑みを浮かべ

(#゚;;-゚)「かわえぇなぁ。
    ええよ、目が覚めるまで時間あげる」

|゚ノ;^∀^)「ど、どうも」

lw´‐ _‐ノv「…………」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

視線をズラすと、シューとミツキが座っているのが見えた。
二人とも顔を俯かせ、眠っているようにも感じられる。

|゚ノ;^∀^)「……!」

そして、その瞬間にすべてを思い出した。

|゚ノ;^∀^)「ア、アンタ!」

(#゚;;-゚)「っと?」



47: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:53:06.19 ID:Az796pJ70
飛び退くように後退しようとし、そのようなことが出来るスペースがないことを知る。
格好だけ引いたレモナを軍神はじっと見つめ

(#゚;;-゚)「そんな警戒せんでええ。
    ウチはアンタらを助けるし、その後は一緒に戦ってもらうつもりや」

|゚ノ;^∀^)「なっ……誰がアンタなんかと!
      それに、ミツキと一緒には戦いたくないわ!」

(#゚;;-゚)「何で?」

|゚ノ;^∀^)「コイツはお父さんの仇なのよ!? 何で私が――」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

指を差されたミツキは、しかし何も言わずに黙っている。
言われたことが正しいから何も言わないのか、それとも――

(#゚;;-゚)「それは間違っとるよ」

静かな声。
ヘリの奏でる爆音に紛れ呟かれた言葉は、レモナの耳にしっかりと届いた。

|゚ノ;^∀^)「ま、ちがって……?」

(#゚;;-゚)「アンタは恨む相手を間違えとる。
    レモナの父親を殺したんは、その男やない」

レモナはミツキを見る。
憎悪を疑念を混ぜた、刃のような視線をぶつけた。



50: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:54:35.48 ID:Az796pJ70
ハ(リメ -゚ノリ「……知っているのか」

呟かれた声は一つの事実を示唆する。
軍神の言った言葉が正しいのだ、と。

(#゚;;-゚)「一部だけやけどね。
    アンタが何で亡命したんかとか、何で真実を言わんのかは知らん」

|゚ノ;^∀^)「な、何なのよ、真実って……!?」

(#゚;;-゚)「ええんかな?」

ハ(リメ -゚ノリ「知っているのならば構わない。
      ただ、間違いがあっても僕は訂正しないよ」

(#゚;;-゚)「ん」

一つ咳払い。
その目でレモナを見やり

(#゚;;-゚)「アンタの父親を殺したんはミツキやなく……ダイオード言う女や」

|゚ノ;^∀^)「っ?!」



52: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:55:39.09 ID:Az796pJ70
(#゚;;-゚)「ただ、これはダイオード本人から聞いた話で物的証拠っちゅーもんがない」

|゚ノ;^∀^)「なら――」

(#゚;;-゚)「が、奴はアンタの父親の技を奪った言うとってな。
    そしてそれは事実やった」

ハ(リメ -゚ノリ「…………」

(#゚;;-゚)「こんだけの話なんやけど、これを信じるかどうかはレモナ……アンタ次第や。
    ウチは現場も詳しい事情も知らん。
    それらを見てきたレモナの判断が、きっと正しいんやと思う。
    でもな――」

言葉が途切れる。
一瞬だけ目を伏せた軍神は、その鋭い眼光をレモナへ向け

(#゚;;-゚)「アンタがどんな判断を下そうとも、ウチは絶対にダイオードを殺す。
    それが、ウチの仇討ちや」

はっきりと、言った。



54: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:57:01.78 ID:Az796pJ70
ロシア北部に位置する古城。
FC残党が潜むこの施設の内装は、城などと呼べない様相を為している。
白色の通路が根のように通り、電気が通っているのは当たり前で、地下には格納庫が存在しているという始末だ。

一種の基地ともいえる建物の中に、大会議室がある。

教室四つ分ほどの広さを持つ空間。
床や天井はやはり白色に染められ、白色の光を放つ電灯に照らされている。
長机とパイプ椅子が並び、ホワイトボードがある以外は何もないという簡素な状態だ。

そこに人がいた。
しかも複数。
合計して約二十の人間は、思い思いの格好で何かを待っている。

時か、人か。

それぞれの思いはバラバラで、しかし一つの目的へと集約されている。
だからこそ、この城の中に、この大会議室に集っているのだ。

会議室の扉が開く。
ほぼ全ての人物が視線を向け、待っていたモノが来たのだと吐息する。

( ・∀・)「皆、揃っているね?」

現れたのはモララー。
いつものスーツ姿にいくつかのファイルを脇に挟んでいる。
そのまま皆の中心を割るように足を向けた。



56: ◆BYUt189CYA :2007/08/04(土) 14:58:56.92 ID:Az796pJ70
そのまま中央を歩き、ホワイトボードの前まで来ると身を反転させた。

( ・∀・)「集まってもらった理由は解っていると思う。
     軍神君が、レイン君の言っていた魔法世界のメンバーを発見したらしい。
     これで四世界の主要メンバーが、ほぼ揃ったと言っていいだろう」

(,,゚Д゚)「世界政府に捕らわれた内藤達は別として
    クン三兄弟やらミカヅキやらがいないようだがな」

( ゚д゚ )「信念に食い違いが出るのは当然だろう。
     正義の裏は悪じゃなく……第二の正義だ」

<_プー゚)フ「っていうか、お前、だいじょぶ?」

( ゚д゚ )「もう問題ない。 やるべきことがある」

(`・ω・´)(……どうだか。 俺から見れば危うさの塊だが)

(´<_` )「で、それを報告するために俺達を集めたわけじゃないだろう?」

( ・∀・)「時間がもったいないから単刀直入に言おうか」

一度だけ言葉を区切り

( ・∀・)「決断したよ。 我々は一週間後――」

息を吸い、はっきりとした口調で言った。


( ・∀・)「――世界運営政府に喧嘩を売る」



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