( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです
- 5: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:18:52.48 ID:wOI31fop0
- 活動グループ別現状一覧
( ^ω^) 川 ゚ -゚) ( ・∀・) (,,゚Д゚) (*゚ー゚) ミ,,"Д゚彡 ( ´_ゝ`) (´<_` )
('A`) (´・ω・`) ( ゚∀゚) (`・ω・´) <_プー゚)フ (#゚;;-゚) [゚д゚]
( ゚д゚ ) ノハ#゚ ゚) ('、`*川 从・∀・ノ!リ ( ><) (*‘ω‘ *) |゚ノ ^∀^)
lw´‐ _‐ノv ( ´∀`) 川 -川 <ヽ`∀´> *(‘‘)*
所属:四世界
位置:古城アジト
状況:最終決戦に向けて絶賛準備中
ル(i|゚ ー゚ノリ メ(リ゚ ー゚ノリ 从ξ゚ -゚ノリ 〈/i(iφ-゚ノii
所属:異獣
位置:世界政府本部跡
状況:???
从 ゚∀从
所属:不滅世界
位置:???
状況:???
- 7: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:20:22.65 ID:wOI31fop0
- 強化案実行開始から一週間が経過した。
異獣へ挑む前日という時、この会議室には今まで以上の熱気が満ちている。
この七日という期間で行ったこと全てを統合確認するため
かつて揃っていた主力メンバーの他に、各部署の責任者も集まっているからだ。
主な強化は次の通りである。
・総員分の装甲服に使用される魔力の増強。
・各員の武装に使用される魔力の増強。
・マジックカートリッジに詰め込まれた魔力密度の増強。
他、装甲車などの兵器強化など、ほぼプラン通りに行なうことが出来たという報告が主だ。
そして
(,,゚Д゚)「指輪の強化について?」
从・∀・ノ!リ「うむ」
仰々しく頷いたのはレインだ。
彼女は会議室の正面に立ち、無い胸を張って仁王立ちしている。
从・∀・ノ!リ「今おぬしらの手にある指輪は、我々魔法世界の技術を用いて強化されておる」
おー、と指輪所持者達はそれぞれの手を見る。
見た目は変わっていないが、内蔵された魔力は数倍にまで膨れ上がっているはずだ。
- 10: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:21:46.43 ID:wOI31fop0
- 从・∀・ノ!リ「まず強化されたのは最大出力じゃ。 二倍とまではいかんが、一・七倍ほどに広げておる。
内蔵魔力量もそれを超えるほど増えておるから、今までの二倍以上の戦闘効率を誇るじゃろう」
( ゚∀゚)「?」
(´・ω・`)「つまり今まで以上の攻撃力を得たってことだよ」
从・∀・ノ!リ「ただ、おぬしらの体力と精神力は改良しようがない。
いつも以上とはいえ無茶をすれば、指輪の力は余っているのに術者が動けなくなる、という最悪の事態になるかもしれん。
あくまで強化したのは指輪じゃ。 決して無理はするな」
(,,゚Д゚)「……『まず』と言っていたが、まだ強化された部分があるのか?」
从・∀・ノ!リ「うむ、兄者の案を取り込んだものでな。 これは見た方が早いかもしれん。
誰か指輪を武器化してくれぬか」
( ・∀・)「私がしようか」
と、言った時には、既にモララーの手にハンマーが握られている。
( ・∀・)「ん……?」
しかし、それは今まで見てきたハンマーとは少し形状が違っていた。
柄はいつものように真っ直ぐ伸び、その先にある槌頭もいつもの形である。
異なっているのは、持ち手に当たる部分だった。
- 14: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:24:07.13 ID:wOI31fop0
- ミ,,"Д゚彡「それは引き金ですね。 ソケットカバーのような外板も見えます」
从・∀・ノ!リ「うむ、あれこそが強化された部分じゃな」
( ^ω^)「っていうか、あれはどこかで見たことがあるような気が――」
(,,゚Д゚)「……EWか」
武器の持ち手にトリガー。
それは、魔法世界の兵士が持つ魔法武器の特徴だ。
从・∀・ノ!リ「トリガーを引くことにより、内蔵されておるマジックカートリッジが反応。
内部に圧縮された魔力が放たれ、一時的に高濃度の魔力を纏うことが出来る機構じゃよ」
( ・∀・)「つまり短時間限定の攻撃力向上というわけだね」
( ´_ゝ`)「限界突破は頻繁に使えない切り札だからな。 代わりのようなものだ。
流石に劣るが、それでも使い方次第ではピンチをチャンスに変えたりすることが出来ると思う。
ちなみに発案は俺ね」
(´・ω・`)「流石は兄者さん。 いつかやってくれると出会った時から思ってたけど、やっとだね」
( ´_ゝ`)「今の今まで役立たずだったのかー何か泣きたくなっちゃったよー」
- 21: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:26:40.60 ID:wOI31fop0
- 从・∀・ノ!リ「だが使い方に一つクセがあってのぅ。
普通のEWは、マジックカートリッジを予め複数セット出来るような空洞を用意しておくんじゃが
そこまで改造する時間がなくてな。 ソケットとトリガーを付属させるのが精一杯じゃった」
('A`)「……一発しか撃てないってことか?」
从・∀・ノ!リ「一度にセット出来る数は、という意味ではな。
だから、おぬしらには一度使うごとにカートリッジリロードを行なってもらう」
(,,゚Д゚)「戦闘中にそんな暇があると思っているのか。
戦いながら、いちいち乾電池入れ替えるようなものだろうに……」
从・∀・ノ!リ「そこはおぬしらの腕次第、といったところじゃなぁ。
別に使わねば使わんでも充分に戦えるし、最初から一回分だけ装填されておるから、
リロード抜きで考えても一回だけ使うことが出来るようになっておる」
レインは足元に置いてあった大きな袋を引っ張り上げた。
袋口を軽く開け、内部を見せてくる。
从・∀・ノ!リ「ここに予備のマジックカートリッジを持ってきておる。
使おうと思う奴は適当に持っていけ。 専用マガジンも用意しておるぞ」
(´<_` )「うーん……どうなんだろうか」
川 ゚ -゚)「使いどころは難しいかもしれないが、有効であることは違いないはずだが」
ふむ、とクーも考え込むそぶりを見せる。
- 23: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:28:52.19 ID:wOI31fop0
- ( ゚∀゚)「っていうか、俺様のウェポンは一体どうなってやがんだ?
鎖に引き金とか付けられンのかよ?」
( ´_ゝ`)「あ、言うの忘れてた」
言葉に、兄者が手を軽く叩いた。
( ´_ゝ`)「マジックカートリッジシステムを取り付けたのは、武器の形状を持ってる奴のウェポンだけなんだわ。
だから俺のアーウィンやら、ジョルジュのユストーン、しぃさんのレードラークには付いてないので悪しからず」
(#゚∀゚)「期待させんじゃねーよ馬鹿兄者!」
( ´_ゝ`)「すまんすまん、俺も取り付けてみようと頑張ったんだがな。
バランス悪くなるわ壊れかけるわで大変だったんだ。
その代わり、他のと比べて内蔵魔力を高めに設定してるから勘弁しとくれ」
(´・ω・`)「まぁ、それにマジックカートリッジシステムをジョルジュが理解出来るとは思えないし
戦闘中にリロードするなんて器用な真似が出来るとも思えない。
兄者さんの判断は妥当だよ。 むしろ無い方がジョルジュも戦い易いと思うし」
(;゚∀゚)「褒められてんのか貶されてんのか解んねぇ……」
(´・ω・`)「ね?」
(´<_` )「流石だな、兄者」
(*´_ゝ`)「もっと褒めて褒めて。
褒めるなら今の内だよ! もう機会ないかもよ!」
- 27: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:30:52.75 ID:wOI31fop0
- ( ・∀・)「さて――」
装備と武装の準備は整った。
訓練を行なった者は僅かに、しかし確実に力量を上げた。
そして全員が、各自のやり方で覚悟を決めた。
残る確認事項は一つ。
( ・∀・)「一番重要な案件だね――どう攻めるか、だ」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「現状をもう一度説明しましょう」
- 30: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:32:11.27 ID:wOI31fop0
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□××××■ ■××××□□□□□□□□
□□□□□□××××■ ★ ■××××□□□□□□□
□□□□□□□××××■ ■××××□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□=荒れ地(1マス約100m)、×=異獣、■=結界、★=中枢
PCから送られたデータが、会議室正面の大きなウインドウに映し出される。
七日前に見た、茶色の下地に白色のドーナツ円が乗っているような光景だ。
- 34: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:33:35.85 ID:wOI31fop0
- <_プー゚)フ「その白いドーナツが全部異獣って言ってたよな。
で、その一番中心にある小さな円に結界が張ってあンだろ」
川 ゚ -゚)「つまり敵の中枢へ向かうには、周囲を守る異獣と結界をどうにかしなければならない。
異獣は私達や皆が蹴散らすとして……結界はどう破るつもりだ?」
中枢を守るようにして張られているバリアには、濃密な魔力が使用されていることが解っている。
下手に近付けば弾かれるどころか消し飛ばされる程の密度らしく、ならば遠距離からどうにかするしかないのだが――
( ・∀・)「先週も言った通り、私に考えがある。
これを見てほしい」
画面が切り替わる。
今度は一台の大型トラックのような装甲車両が出現した。
( ・∀・)「これが結界破壊の切り札だ」
( ゚∀゚)「このトラックがかよ? 突撃でもすんの?」
( ´_ゝ`)「いや、いくら多量の魔力を積ませてぶつけても意味はないだろ」
( ・∀・)「そう、これは間接的な手段でね。 これも見たまえ」
次に映し出されたのは、金属で出来ていると思われる球体。
と、そこで首を傾げた者が数名いた。
(,,゚Д゚)「……どこかで見たことがあるな」
- 37: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:34:55.93 ID:wOI31fop0
- ( ゚д゚ )「?」
(´・ω・`)「僕も見たことがある。
考えが合っていれば、あれはこの世界に所属するメンバーしか知らないと思うよ」
( ^ω^)「僕達しか知らないってことは……一年半前の戦いに見たのかお?」
FCと行動を共にし始めたのは、あの頃からだ。
モララーが何も言わずに提示したということは、そういうことなのだろう。
(*゚ー゚)「あ」
そこで、しぃが思い出したかのように手を叩く。
(*゚ー゚)「これは……ハインちゃんと戦った時に使ったモノじゃないかな?」
その言葉に、ほぼ全員が思い出すことになった。
一年半前のハインリッヒとの戦い。
翼を得て手のつけられなくなった彼女に対し、モララーが渋々使った秘密兵器。
ミ,,"Д゚彡「確か『神の裁き』なるモノでしたね」
- 40: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:36:41.28 ID:wOI31fop0
- 憶えているのは『紫』だ。
その色が集束し、光の爆発を起こした次の瞬間、ハインリッヒの翼が焼き切れることとなった。
後に兄者が、『特殊な電気を使った兵器だろう』と言っていたが――
( ・∀・)「アレは紫電という特殊な電磁線を利用する特殊なものでね。
爆弾やミサイルのように広範囲を狙うのではなく、狭範囲を破壊する局地兵器だ」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「鏡体反射を起こすことで線の密度が高まる性質を利用しております。
周囲に展開したミラーに乱反射させ、最終的に画面にある鏡球体に集束。
莫大に高められたエネルギーを円状に取り込むことにより、局地的な効果を得ることが出来るのです」
从・∀・ノ!リ「ふむ、それほどのエネルギーを一点集中させるのに球体を用いるか。
流石はFCと言うべきか、機械技術に長けた世界と言うべきか」
[゚д゚]「機械世界でも似たようなことやってたっけな。
球体集中効果理論だか何だかで、技術的な問題があるっつって頓挫してたような。
へぇ……やるじゃねぇか」
(;゚∀゚)(な、何言ってんだコイツら……)
<_;プー゚)フ(本当に同じ人間かよ……?)
- 47: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:38:43.49 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「それを結界に使用して破壊するわけか。
だが、あの程度で破れるとは思えないぞ」
( ・∀・)「もちろん手に入れた魔力で出力を大幅に上昇させている。
そのためのコレだ」
視線の先には、先ほど映し出された車両だ。
( ・∀・)「これは『神の裁き』専用の装備を積んでいてね。 展開すると――」
画像が動く。
荷台部分が変形したのだ。
タイヤに当たる部分から固定用の脚部が伸び、地面に接地され
荷台だったものは縦に伸びるように展開された。
それは、一枚の巨大な板を思わせる形。
ノハ#゚ ゚)「鏡体……正体は大きなミラー?」
( ・∀・)「そして、これと同じ車両が四つ。 その四台を四方に設置し、結界直上に紫電球を打ち出す。
紫電を乱反射させて局地的な超電流反応を起こし、結界を力任せに砕く作戦だ。 つまり――」
腕を上げ、指を四本立てて示す。
( ・∀・)「我が軍を四つの部隊に分ける。
東西南北の四方軍に別れ、それぞれこの巨大ミラーを設置するというわけだ」
- 50: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:40:48.86 ID:wOI31fop0
- ( ・∀・)「具体的な説明に入る。
今の状況で戦力を散開するのは自殺行為なので、こうするつもりだ」
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□●●●●●●●□□□□□□□□□□
□□□□□□□□●●●●●●●●●□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□××××■ ■××××□□□□□□□□
□□□□□□××××■ ★ ■××××□□□□□□□
□□□□□□□××××■ ■××××□□□□□□□□
□□□□□□□□××××■××××□□□□□□□□□
□□□□□□□□□×××××××□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×××××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×××□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□×□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□=荒れ地(1マス約100m)、×=異獣、■=結界、★=中枢
▲=自陣、●=自軍
( ・∀・)「北に全軍を布陣し、そこから雪崩れ込むように攻める。
だから、結果として――」
- 52: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:41:59.80 ID:wOI31fop0
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□▲▲▲□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□●●×□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□×●Μ●×□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□×□□×■××□□□□□□□□□□□
□□□□□□□×●●×■ ■×●●□□□□□□□□□
□□□□□□□□□Μ■ ★ ■Μ●□□□□□□□□□
□□□□□□□□●●×■ ■×●×□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×■×□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□●Μ●□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□×●□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□●□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□
□=荒れ地(1マス約100m)、×=異獣、■=結界、★=中枢
▲=自陣、●=自軍、Μ=巨大ミラー
( ・∀・)「どうにか敵中を突破し、このような形へと持っていく。
結界の四方にミラーが設置されているのが解るね?」
- 54: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:43:31.19 ID:wOI31fop0
- つまり最初は四軍全てが北から攻め込み、戦いながら四方へと散開するわけだ。
その目的は、結界の四方に『神の裁き』を発動させるためのミラーを設置することで、
( ゚д゚ )「それが完了したら後は発動させるだけ……だが、ミラーを守る必要があるな」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「計算上、結界を割るのに必要な数は最低でも三枚以上です。
端的に言えば一枚破壊されても、問題はありません」
(-@ハ@)「ただしあくまで計算の話じゃ。
四枚揃って発動させた方が良いというのは言うまでもなかろう」
(,,゚Д゚)「……だが、これを使えば邪魔な結界を破壊出来るわけだな」
手段は出来た。
明確な方法は、モララー達が調整してくれる。
だとすれば、残る問題は
ミ,,"Д゚彡「……四方に割く戦力ですか」
(#゚;;-゚)「作戦前日に決めるようなこっちゃないと思うんやけどな」
( ・∀・)「それについては本当にすまないと思っている。
純正ルイルの確保や『神の裁き』の強化に基づき、巨大ミラーの調達に忙しかったからね。
代わりと言っては難だが、既に案を考えておいた」
- 58: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:44:55.60 ID:wOI31fop0
- 取り出したのは少し厚い紙の束だ。
右上部をクリップで止めたそれを、しなやかな手つきでめくり
( ・∀・)「まずは……東西南北順で行くならば東からか。
東と西は、正直言って危険度は少ない方になると思う」
( ><)「何でなんですか?」
( ・∀・)「敵は本陣――北へ向かって進軍してくるだろう。
それを東西二軍は真横、もしくは斜めから叩けることになる。
正面衝突する他の軍に比べれば安全だという判断だ」
他に質問はないか、と見渡す。
全員の視線を確認したモララーは、また紙面へと目を落とした。
( ・∀・)「ちなみに各軍とも一人リーダーを決めてもらう……といっても、既に私が目星をつけているわけだが。
ではまず東軍のメンバーを発表する」
会議室に、僅かな緊張が走った。
- 61: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:46:37.51 ID:wOI31fop0
- ( ・∀・)「東軍リーダーは……ギコ君だ。
そしてしぃ君、ジョルジュ君、ショボン君が所属する」
「「――!」」
( ・∀・)「意見は後で受け付ける」
と、視線と手を使って場を制し
( ・∀・)「次は西軍。 リーダーはフサギコ君にやってもらう。
メンバーはペニサス君、ドクオ君、兄者、弟者君だ」
再び息を呑む気配がするが、今度は誰も立ち上がることはなかった。
( ・∀・)「南軍。 ここは位置的に孤立する可能性が高く、一番過酷な戦いを強いられることになるだろう。
だからそれなりの……リーダーとして軍神君。 メンバーはヒート君、ミルナ君に任せたいと思う」
(#゚;;-゚)「ま、妥当な判断かな。 ウチがリーダーとは思わんかったけども」
( ・∀・)「南軍は指揮よりも士気優先という考えでね。 不満があるなら変更を認める。
残る北は――」
一枚めくり
( ・∀・)「北軍のリーダーはクー君。 所属は内藤君、ニダー君、ヘリカル君だ。
ここはミラー設置防衛以外にも、本陣へ向かい来る異獣の壁にならなければならない。
異獣と何百年と戦ってきた知識を持つニダー君とヘリカル君を中心に、高い防御力を維持してもらいたいのだ」
- 66: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:48:59.95 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「……私がリーダーなのか?」
( ・∀・)「ニダー君やヘリカル君は好戦的だからね。 むしろ自由にしてやった方が良いだろう。
内藤君では正直荷が勝ち過ぎるだろうし……冷静な君ならば、上手くやってくれると思うのだが?」
何か言いたそうにするクーだが、ヘリカルやニダーを見て沈黙する。
彼らを下手に束縛するような役につければ、何かの理由で暴走してしまった時に面倒なことになるからだ。
それを見越して、おそらくモララーは言ったのだろうと思い直し
川 ゚ -゚)「解った。 出来る限り頑張ってみよう」
<_プー゚)フ「で、残った奴は?」
( ・∀・)「私は、ポリフェノール君と協力して本陣での全体指揮を執る。
レイン君、デフラグ君、アサヒ君は『龍砲』の準備を。
ビロード君とチン君は本陣防衛に参加してもらうつもりだ」
|゚ノ ^∀^)「私とシュー、そしてエクストとシャキンは遊撃かしら」
( ・∀・)「あぁ、そのつもりだ。 配置については追って説明する」
从・∀・ノ!リ「うむ、我の思っていた構想とほぼ同じじゃな。 流石と言うべきか」
( ><)「頑張るんです!」
lw´‐ _‐ノv「……後は」
( ´∀`)「モナ?」
- 72: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:50:33.36 ID:wOI31fop0
- ( ・∀・)「さて、私が困っているのは君のことについてでね。
ここに残ってもらう線が濃厚なわけだが……敢えて聞く。 君はどうしたい?」
問われ、モナーは少し表情を曇らせた。
こういう時のモララーの問い掛けは、様々な意味が込められていることが多い。
高校時代を一緒に過ごしたモナーは、そんな彼の変わっていない部分を見て微かに安堵する。
とはいえ、今問われているのは自分だ。
答えは自分で言わなければならない。
(;´∀`)「お、御手伝いくらいはしたいですモナ。
荷物運びなら僕にも出来ますモナ」
( ・∀・)「だが危険だ」
(;´∀`)「僕よりも年下の彼らが戦地に赴くというのに……のんびりと待ってることなんてしたくないですモナ。
それに、それに――」
( ・∀・)「それに?」
( ´∀`)「何か僕を嘗めてる雰囲気の元生徒に、良いところを見せて見返したいモナ」
(;^ω^);'A`)「「……うわぁ」」
元生徒であるブーンとドクオが露骨に引く。
それどころか、この会議室にいるほぼ全員が複雑な表情を浮かべていた。
- 76: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:52:05.90 ID:wOI31fop0
- しかし、
( ・∀・)「――っは」
( ´∀`)「え?」
( ・∀・)「ははははは! 成程、面白い動機だね!」
突如として心底可笑しそうに笑うモララー。
ここ数ヶ月の中で、最も血の通った表情だと気付いた者は多かった。
( ・∀・)「世界の命運を決める戦いに、そのような下らない理由を含めて参加するのは君くらいだよ。
いや、実に面白いと思う」
|゚ノ ^∀^)「……まぁ、無用な悲壮感を持たれるよりはマシだけど」
(#゚;;-゚)「この世界の人はどっかおかしいとは思っとったけど、あの人は筋金入りやね」
(,,゚Д゚)「心外だな」
(#゚;;-゚)「何言うてんの。 アンタもかなりの阿呆や」
(;*゚ー゚)「あ、あはは」
(;,,゚Д゚)「……否定はしてくれんのだな、しぃ」
『そりゃそうだ』と何人かの笑いが起きる。
- 81: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:53:35.97 ID:wOI31fop0
- 拗ねたギコをしぃが何とか励まそうとするのを見て、モララーは小さな笑みを浮かべる。
( ・∀・)「なかなか清々しい気分にしてくれたね、モナー君。
その功績に免じて共に来るのを許可しよう」
(*´∀`)「あ、ありがとうございますモナ、先輩!」
( ・∀・)「これでほぼ全ての事項が決まったね」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「はい。 後は――」
( ・∀・)「あぁ、ならば行こう。
移動には時間が掛かるし、本陣の設置も行なっておきたい」
(`・ω・´)「……目の前に置くというのに、敵は指をくわえて待つのだろうか」
( ・∀・)「私の見解が合っているならば――奴らが私達と戦いたがっているのならば、確実に待つ」
言いきるからには確証があるのだろう。
レインや軍神が何も言わないところを見るに、彼の意見に賛成しているのだろう。
- 85: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:55:04.15 ID:wOI31fop0
- ('、`*川「んじゃ、最後の戦いに行きましょかね」
ノハ#゚ ゚)「絶対に勝って……生き残ろう」
ミ,,"Д゚彡「そのために今日までやってきたんですから、勝ちますよ」
( ´_ゝ`)「後は俺達の頑張り次第」
<_プー゚)フ「や――」
( ゚∀゚)「やぁぁぁってやるぜ!!」
<_;プー゚)フ「あ、おい、こらテメェ!!」
『勝つ』『生き残る』といったポジティヴな感情。
絶望的な戦いに赴く心境としては、最高最適なものだ。
しかし、これが彼らの強さなのだと思わせる光景の中、一人浮かない顔をしている者がいる。
(;^ω^)(やばいお……クレティウスの話を切り出しにくい空気になっちゃったお……)
- 88: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:56:43.81 ID:wOI31fop0
- 『思い切りは大切だと思うぞ、内藤ホライゾン』
(;^ω^)(このメンツの中に切り込むのは至難の業だお)
『仲間関係故の躊躇というものか。 ならば――』
次の瞬間、ブーンの右腕が強い光を放った。
一瞬にして照らされた会議室に、驚きの声が走る。
(;^ω^)「わわっ」
(;><)「眩しいんです!」
[;゚д゚]「これはクレティウスとかいう指輪の光か……?」
徐々に収束する光は、最終的に無となる。
しかし充分に視線を引き付ける効果は残り、そして声が響いた。
『――驚かせて済まない。 話がある』
(;゚∀゚)「なんか喋ったぞ!!」
(´・ω・`)「……これがブーンのウェポンの擬似精神かい?」
『違う』
( ・∀・)「違う? 君はクルト博士の作った擬似的な精神ではないと?」
『あぁ、私は全てのウェポンの基礎――いや、それ以前の存在だ』
- 93: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:58:12.34 ID:wOI31fop0
- 緊張が走る。
ここに来て、根本的な事実が覆ったからだ。
(;^ω^)「え、えと……この前、クレティウスと相談した時に
この会議の場で彼が知っていることを教えてもらえるよう、約束したんですお」
(,,゚Д゚)「やはり俺の考えは当たっていたということか」
( ・∀・)「では、君は一体何者なのだね?」
『それについて言うことはしない。
だが、私以外のウェポンは全て『私を模して造られた』とは言える』
ミ,,"Д゚彡「模して……?」
( ・∀・)「いまいち解らんね。 質問を変えよう。 君はどこから関与していた?」
問い掛けに、クレティウスは少し言葉を消す。
躊躇しているのか言葉を選んでいるのか、機械的な沈黙では判別出来ない。
『……この戦いの最初からだ』
(;^ω^)「え――」
( ・∀・)「最初から、ということは……もしや君は――」
『私はこの世界のモノではない。
別の世界からここへと渡り、そしてクルト博士と出会った』
- 100: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 21:59:58.09 ID:wOI31fop0
- (`・ω・´)「となると、時期としては指輪が作られる前ということになるのか」
( ・∀・)「待てよ? それが事実ならば……」
頭の回転の速いモララーは、そこで一つの真実に気付いた。
それはかつて渡辺から機械世界の話を聞いた時。
リトガーとの戦いの裏側に存在した、異獣との壮絶な戦いの歴史。
そして、彼女でさえも解らなかった一つの疑問点。
『……気付いた者もいるようだな。
そうだ。 私がクルト博士に機械世界を教え、そのアクセスを行なった』
(;´_ゝ`)「!?」
<_;プー゚)フ「おいおい……機械世界から追放された渡辺は、元の世界にに帰るため情報収集したって言ってたよな?
そして異世界にアクセスしているクルト博士を見つけ、接触したとも」
機械世界と接触していたクルト博士は、対異獣用の最強生物を送る代わりに知識とルイルを得る。
高度な知識を用いて作られたのがウェポンであり、ハインリッヒやクー、ジョルジュという人造人間。
そして機を見た渡辺が活動を開始し、クルト博士は自殺、指輪は散り散りになってしまう。
助手であったリトガーはVIPを組織し指輪の回収を行ない、その手から逃げていたクーはブーンと接触することになり――
つまり、あの一年半前の戦いに繋がるということだ。
その後については、もはや言うまでもないだろう。
(;^ω^)「ってことはまさか――」
川;゚ -゚)「お前がこの戦いの引き金を引いた……!?」
- 106: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:01:53.46 ID:wOI31fop0
- 『そういうことになるだろうし、ならないかもしれない。
そもそも私だけではあるまいよ。
異獣が存在したこと、機械世界から渡辺が追放されたこと、クルトが最強生物を作ろうとしたこと。
その全ての要素が巧妙に絡み合い、そしてこの世界は異獣との戦いに巻き込まれた』
川#゚ -゚)「責任逃れでもするつもりか!」
『どう受け取ってもらっても構わない。 私の目的は異獣滅亡だ』
放たれた言葉に偽りはないのだろう。
その目的があるからこそ、今クレティウスが話した内容に頷けるからだ。
それが解っているからか、クーは何か言いたそうにしつつも口を閉ざす。
( ・∀・)「……では、君の目的は私達と同じというわけだね」
『そのためにクルトに魔力という存在を教え、機械世界にアクセスさせた。
肥大化した奴らを倒すには、どうしても一世界分以上の力で対抗せねばならなかったからな。
そして私の寄代となっていた指輪をモチーフに、全十四のウェポンがクルトの手によって作られたのだ』
( ゚д゚ )「寄代とはどういうことだ?
お前は、最初から指輪の姿を持ってるんじゃないのか?」
『私は元々不可視の存在でな。
何か形を持っていた方が都合が良かったので、クルトの用意した指輪に憑依させてもらった。
指輪が在って私が作られたのではなく、私が在るために指輪を必要とされたというわけだ』
(,,゚Д゚)「つまり最初にとり憑いたのがたまたま指輪だったということか」
(;゚∀゚)「これがもし茶碗とかだったら――」
- 114: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:03:51.56 ID:wOI31fop0
- 『茶碗? 形状的にありえない。
本来、私は戦いに使われる存在だ。 とり憑くのならば携帯し易い物質を選ぶ。
あの時クルトの持っていた私物の中で、最も適していたのが指輪だったのだ』
成程、とギコは頷く。
その代わりとするように、今度はブーンが手を上げた。
( ^ω^)「……一ついいかお?
君が他のウェポンとは別の、むしろ基となった存在だってのは解ったお。
じゃあ、リトガーの作った十五番目のウェポンが、君の性質に似ているってことは――」
『アレは、彼が私の正体を知っていたからに他ならない』
( ・∀・)「リトガーもまた、あの戦いの裏で動いていたからくりを知っていたのだね。
全て知った上で不滅世界を護ろうとした。 私達とは逆の……いや、事前対処として、か」
川 ゚ -゚)「…………」
从・∀・ノ!リ「じゃが、何故リトガーとやらはおぬしの能力を真似て15th−Wを作り上げた?
我が知る限り、おぬしと他のウェポンの性能に大きな差異があるとは思えぬが」
『それは――』
( ´_ゝ`)「――アンタが、あのウェポンの中で最も強い力を隠し持っているから、か」
『あぁ、その通りだ』
- 120: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:05:25.85 ID:wOI31fop0
- ノハ#゚ ゚)「本来はもっと強力だってこと? だったら、どうして内藤にその力を与えない?」
『言われずとも限界まで引き出している。 今の状態が、内藤ホライゾンに貸すことの出来る最大値だ。
これ以上の力を彼に与えるとなれば、私は内藤ホライゾンという存在を乗っ取ってしまうことになる』
[;゚д゚]「どういうことだ?」
『私という存在は、「物質・生物にとり憑く」ことによって力を行使することが可能となる。
今は指輪に憑いているが、力を内藤ホライゾンの方へと移し過ぎるとそちらに移動してしまうのだ。
天秤を想像してもらえると解り易いかも知れない』
淡々と喋るクレティウス。
信じられない話ではあるが、このタイミングで話すということからも事実である線が濃い。
そもそもウェポンの基となっているのならば、それ以上の力を持っていても何ら不思議ではないのだ。
(`・ω・´)「だが、何故今更になって口を割る。
クルト博士のことに関してはともかく、使用出来る力については術者の内藤にさえ初めて話すのだろう?」
『この話は言わなくても済む話だった。 謎のままでも問題なかった。
大きな理由としては、ただ気が変わっただけ。
そして、パートナーである内藤ホライゾンとの間の遠慮を無くすためでもある』
(;^ω^)「お……」
- 124: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:07:04.94 ID:wOI31fop0
- 『納得してくれたか? これが私だ、と』
しかし、
『……いや、この問い方は卑怯か。 内藤ホライゾンの性格ならば確実に「肯定」を出す。
ならば――』
(;^ω^)「い、いや、どう問われても僕は君を信頼するお!」
川 ゚ -゚)「良いのか?」
( ^ω^)「これまで一緒に戦ってきたのは嘘じゃないってことは理解したお。
難しい話はよく解んないけど、それが本当なら、これからもやってけると思うお」
始まりはジョルジュからクーを護るため、最近ではロマネスクを打ち倒すため。
ここまで来ることが出来たのは、クレティウスが力を貸してくれた御陰であることに疑いの余地はない。
その貸し与えてくれた理由に、悪意や裏切りが無かったと解ったのだから――
( ^ω^)「僕は、クレティウスを信じることが出来るお。
これからも、これまでと同じように」
『――……』
- 132: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:10:48.16 ID:wOI31fop0
- 答える声は無かった。
ブーンの言葉が終わり、その後約十秒。
光以外は何も発しないのかと思われた瞬間、
(;^ω^)「うわっ!?」
突如、今まで以上の白光を生み出し
(;^ω^)「――って、あれ?」
そのまま消え去ってしまった。
後に残ったのは、ブーンの右手指にはめられた指輪のみ。
<_;プー゚)フ「ど、どうなってんだ……?」
('、`*川「ははぁん、成程」
|;;;|:: (へ) ,(へ)|シ「なかなか可愛いところがあるじゃないですか」
(;゚∀゚)「どゆこと?」
( ・∀・)「簡単に言えばね。
彼は恥ずかしがって逃げたというわけだよ」
(;^ω^)「え……」
- 136: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:12:14.36 ID:wOI31fop0
- ( ・∀・)「ふむ……実に面白い。
しかし、これでかなりスッキリしたよ」
(,,゚Д゚)「そうだな」
( ・∀・)「ならば、今度こそ行こう。 決戦の地へ」
声に、会議室は沈黙する。
それは絶望的ではなく、むしろ希望に溢れた輝かしいものだ。
川 ゚ -゚)「……あぁ、勝つんだ。 絶対に」
( ^ω^)「おっおっ! これで僕も遠慮なく頑張ることが出来るお!」
( ・∀・)「行くぞ。 我々の全ての力を結集し、生き残るために」
対応するように全員が拳を突き上げた。
「「おぉ!!」」
- 144: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:13:56.03 ID:wOI31fop0
- 「――動いた」
「ようやくかよ」
「正しくは、あと半日ほど掛かるがな」
「まぁいいや。 逃げずに向かってくるならいくらでも待ってやらぁ――って、姉貴、どした?」
「いや……少し引っかかる点があるのだが、些細なことなので問題ない」
「まぁ、難しいこと考えるのは姉貴に任せるわ。 んで、俺は戦いたい奴と戦う。 そんだけ」
「何だ兄上? 知り合いでもいるのか?」
「いーや。 俺はアイツを知らねぇし、アイツも俺を知らねぇよ」
「……あぁ、そういう意味か」
「アイツは俺の両足を持っていきやがった。 そのせいで俺は死ぬことになった。
だからアイツは俺の獲物。 オーケー?」
「相変わらず無理矢理な考え方だ」
「こっちの気が晴れりゃいいんだよ。 特に、今回は面白そうだし」
「……その点には同意する。 此度の戦いは胸が踊るようだ。
今までにないケース故、もしかすれば我らの喉笛まで肉薄するやもしれんぞ」
「はン、姉貴も冗談が上手くなったねぇ……いくら四世界と言っても、それは万が一にもねぇさ。
もちろん、そうなってくれるとこっちとしても張り合いがあるんだがなぁ」
- 151: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:17:29.39 ID:wOI31fop0
- 四世界がアジトを出発し、それから半日の時間が経つ。
夜――いや、明け方の気配が、この地を赤に染めていた。
既に世界に昼や夜の概念は無くなっている。
常に空は赤く燃え、照らされた臓物のような雲が不気味に浮かんでいるのだ。
しかし太陽と月は存在した。
そういう意味での、明け方だ。
現在時刻は、日本で言う午前五時過ぎ。
日の出まで残すところ一時間弱。
地面の上を叩く音が複数あった。
群れに等しい音の軍は、更に金属の音を混ぜつつ忙しなく動き回る。
戦うための準備をしていることを示し、今も尚、着々と土台は完成していく状況だ。
そんな群れの中の一角。
重そうな荷物を肩に抱えた一人の兵が、荒れ地に腰を落とす。
- 156: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:18:43.10 ID:wOI31fop0
- 「ふぃー、これここで良かったよな?」
「すぐに取り出せるように鍵は開けとけ。
それが終わったあっちを手伝ってやってくれないか」
「あいあいさ。 ところで――」
腰を上げた兵は周囲を見渡す。
「ここが本当に世界政府本部のあった場所なんて、信じられねぇよな」
一面の荒れ地。
空に浮かんだ微かに見える星々、少し表情を曇らせた月が見る大地はそれだ。
かつては森があり、山岳があり、そして気高き支配者が君臨していた荘厳な建物があった場所は
赤茶色の平坦な地面へと姿を変えてしまっている。
「……あと一時間くらいだな」
「朝日を拝むと同時に世界を賭けた戦いを始める、か。
社長もなかなか乙なことしてくれる」
「あれ? アンタFCの人だったのか?」
普段なら各世界特有の衣服を着ていたため、すぐに誰がどの所属か解ったはずだ。
しかし今は皆、同じような装甲服に身を纏わせている。
顔見知り同士でない限りは、所属の判別が難しい状況にあった。
- 160: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:20:16.88 ID:wOI31fop0
- 「しかし、雰囲気で解ると思ったのだが。
異世界から来たアンタらの感覚と、俺達の感覚は少しズレがあるらしいし」
「……少しって言うのか、アレ」
「まぁ気にするな」
与えられた仕事を終えたのか、一服しようと煙草を取り出すFC兵。
それをぼんやりと見つつ、もう一人の兵は
「――なぁ」
「ん?」
「本当に解らなかったんだぜ、アンタがFC所属って」
「……喜ぶべきか? 『わぁいマトモな人間になれたぞー』って」
「いや、そういう意味じゃなくて」
苦笑し
「解んなかったってことは、慣れたってことだ。
もしくはもう皆、同じになっちまったのかもな」
- 162: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:21:42.50 ID:wOI31fop0
- 「同じに?」
「FC病とか言われてたろ。 多分、皆それに掛かっちまったんじゃねぇかなぁ、とか思えるんだわ」
「何その全滅フラグ。 冗談にしちゃ笑えんぞ」
「いいや、なかなかこれも面白いと思うぜ。
こんなデケェ戦いに挑むってのに、まったく身体が震えもしねぇんだよ。
むしろwktkしちまってる始末だ」
「……まぁ、まともじゃないようだが」
「アドレナリン絶賛どばどば中ですよ、ってな」
改めて周囲を見渡す。
先程より微かに明るくなったようにも見える風景の中、作業音の中に談笑の声があるのを見つけた。
「――――」
異世界の人間同士が、笑みを浮かべ、肩を組み合い、同じ景色を、同じ敵を見て、同じ方向を見定めている。
『これからも共に歩まん』と、約束し合っているような不思議な光景だった。
「……この戦いがもし俺達の勝利に終わるとなれば、それはそれで楽しくなりそうだ」
「未来はもう誰にも解らねぇんだぜ。
だったら速い者勝ちさ」
- 164: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:23:00.36 ID:wOI31fop0
- 「その先に未来が無くとも、か? 秩序が消えるとはそういうことだと聞いたが」
「先に着いた奴が、未来を創る権利を持つってことだろ」
「茨の道だな」
「けど、悪くはねぇ。 俺達が歴史の先駆者になれるんだからよ」
今度は二人して笑う。
たった数分の休憩を終え、また作業に入ろうかと腰を叩いた時。
出来あがりつつある本陣の方角から、装甲服を着た女性が声を掛けてくる。
「あら、休憩終わり? だったらこっち手伝ってくれない?」
- 169: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:24:21.59 ID:wOI31fop0
- 「おーよ」
首を鳴らして肩を振り回しつつ男が答え、その背後にいたFC兵が煙草を踏み潰す。
歩き出そうとした時、ふと彼は口を開いていた。
「なぁ、ところでアンタとそこのアンタもなんだけど――どこの世界の所属?」
「俺は英雄世界だ。 ちなみに業名は【拳王】ってんだぜ」
「私は魔法世界だけど」
「……ふぅん」
「何だよ?」
「いや、大したことじゃない」
小さな笑みを浮かべ
「――俺も、アンタらがどこの所属か解らなかっただけさ」
- 172: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:26:19.84 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「流石に緊張するな」
ブーンの隣。
地面の感触を確かめるように踏みにじりながら、クーがふと呟いた。
周囲は浅い赤闇に包まれている。
しかし作業を行なうための人工光が、スポットライトのように点々と照らされていた。
既に戦闘準備を終えた二人は、本陣の最先端にて朝日が昇るのを待っている。
( ^ω^)「お?」
川 ゚ -゚)「あんなに敵がいる。 こんなに味方がいる。
そしてこの戦いで世界の命運が決定するんだ。
戦えることをとても光栄に思う反面、やはり少し怖いよ」
その目は遠くを見ている。
地平線を覆うような白色を。
この世界を食わんとする獣の群れを。
これからあの大群と戦うのだから、怖くないわけがない。
川 ゚ -゚)「君は大丈夫か?」
( ^ω^)「……確かに怖いけど、震えはないお。
こういう空気を感じるのは二度目だから」
川 ゚ -゚)「二度目?」
( ^ω^)「一年半前のリトガーに挑んだ時も、こうして皆で並んで呼吸を整えたお。
もちろん数なんか、今とは比べものにならないほど少なかったけど」
- 175: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:27:41.12 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「……成程。 私の知らない君というわけだね」
(;^ω^)「そ、そんな目で見ないでぇ!」
川;゚ -゚)「別に怒ったりするつもりはない。 あれは私の責任だと理解している。
ただ、少し勿体なかったな、と思っただけだ」
(;^ω^)(『勿体ない』で済むようなこっちゃなかった気もするけど……)
どう言葉を返すべきかと考えた時、後方の本陣から声が飛んでくる。
『そこのバカップル。
和気藹々とするのは構わないが、主戦力だということを忘れないでくれたまえよ。
いや、私としてはイチャイチャしながら道を開くという奇行を一度は見てみたいものだが……どうだね?』
(;^ω^)「ぶはっ!」
周囲から笑いが起きる。
一気に注目を浴びたことにより、頬を赤くして慌てるブーン。
中には怨念じみた冷たい視線も混じっているが、彼は敢えて無視を決め込んだ。
しかし無視することが出来ない女性が一人。
本人であるクーは周囲を見渡し
川 ゚ -゚)「好きな人と親しくして何がおかしい?」
(;^ω^)(言い返しおったー!?)
- 180: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:28:56.73 ID:wOI31fop0
- 『ふむ、真理だね……ついでに聞くがイチャイチャコースは期待して良いかな?』
川 ゚ -゚)「言うまでもなく実行してやろう」
(;^ω^)(ぼ、僕の意見は!?)
『――おい、内藤! 聞いてっか!?
テメェ俺らが緊張して待ってんのにそのgdgd具合は何だよ!? 力抜けちまうぜ!』
通信機から飛んでくる声はエクストのものだ。
戦闘前で高揚しているのか、興奮した様子でがなり立てる。
対して聞こえてきたのは、なだめるような静かな声で
『エクスト、女がいないからと僻むな』
『異物交配のテメェに言われt――』
ざ、というノイズを残して切れる通信。
同時に後方から、機銃が火を噴く音が響いた。
何やら爆発音まで聞こえてくるが、果たして大丈夫だろうか。
『……相変わらず騒がしいな。 最後までこれか』
東軍を率いるギコの声。
おそらく傍には、しぃ、ショボン、ジョルジュが控えていることだろう。
- 183: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:30:24.56 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「もはやいつものことだと諦めてもらうしかないな。
ところで、そちらはどうだ?」
『問題ない。 士気も高まっている。 こちらが何をするでも無しにな。
まぁ、俺はモララー達のように鼓舞だとかいう器用な真似は出来んから、正直助かるわけだが』
川 ゚ -゚)「ギコなら、いるだけで励みになるということだろう」
『それは褒め言葉として受け取っても良いのか?』
川 ゚ -゚)「無論。 私は世辞など言わん」
( ^ω^)「ギコさんギコさん、ショボン達も大丈夫ですかお?」
『あぁ、だいぶリラックスしているようだ。
特にジョルジュはアレでも戦闘に長けているしな。 奴らの御守は任せておけ。
そちらも抜かるなよ』
( ^ω^)「解りましたお」
川 ゚ -゚)「東は心配なさそうだな。
逆に西が少し心配だが――」
『こちらも問題ないですよ』
通信機から聞こえる声は、西の軍を率いるフサギコのものだ。
前線にはペニサス、そしてドクオ、兄者、弟者という後方支援系の能力の持ち主が揃っている。
東に比べ、どちらかと言えば力よりも頭で戦うような布陣だ。
- 188: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:31:50.88 ID:wOI31fop0
- 『こちらは後方支援が充実していますし、ペニサスさんもいてくれてます。
何かあっても、兄者さんがきっと良いアイデアを出してくれると私は思っていますし』
( ^ω^)「フサギコさん……ドクオのことを御願いしますお。
本当ならコンビネーションの相手である僕が、一緒にいなきゃならないんですけど――」
『解っています。 私に任せて。
貴方は貴方の戦いを心置きなく行なって下さい。
では、御武運を――』
川 ゚ -゚)「ふむ……流石は執事と言ったところか。
状況把握力は群を抜いているようだ」
( ^ω^)「安心して任せられるお」
加えてレモナやシューが乗るEMAが遊撃に動き
そして空からは、シャキンとエクストのサポートが受けられる手筈になっている。
川 ゚ -゚)「後は南の準備が終わるのを待つだけか……」
軍神、ミルナ、ヒートの三名が中心戦力の南軍。
もっとも激戦を強いられると予想されている部隊には、それに見合う戦力が組み込まれていた。
- 193: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:34:15.27 ID:wOI31fop0
- 英雄を中心とし、機械世界のベテラン兵達を優先的に組み込んでいる。
そこに軍神とミルナ、ヒートが揃えば――
『――こちら軍神。 南軍も準備完了しましたよ、と。
これで社長さんの命令さえあれば、すぐにでも出られるわ』
『解った。 そちらは主に軍神君に任せることになるが、良いかね?』
『とりあえず弱音吐いた奴を片っ端から蹴飛ばせばええんやろ?』
『……まぁ、君の好きなやり方で良いと思うよ』
『りょーかい』
(;^ω^)(あっちの隊に組み込まれなくて良かったお……)
川 ゚ -゚)「これで全ての準備が整ったようだな」
背後――本陣を見守るように見ていたクーは、その身を反転させる。
- 200: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:35:45.62 ID:wOI31fop0
- 見据えるように向けた視線の先。
地平の線を覆うようにして存在する白の色。
これから生存を賭けて戦う相手を見やり、深い溜息を吐いた。
川 ゚ -゚)「……これで終わるのだな。
私達か、それとも向こうかのどちらかが」
( ^ω^)「終わるお。 きっと僕らが勝ち残って」
川 ゚ -゚)「長かったな」
( ^ω^)「約二年かお……」
川 ゚ -゚)「私と君が出会ってから、それだけの時間が経った。
でも、それ以前に何百年もの戦いの歴史があった」
( ^ω^)「それだけじゃないお。
異獣が滅ぼしてきた世界の年月を合わせれば、気が遠くなるほどの時間が掛かってるはずだお」
川 ゚ -゚)「……それを私達が止めようとしているのだな」
『――贅沢な話ではないかね?』
と、そこでモララーの声が割り込んでくる。
ふと気付いて周囲を見れば、本陣から音という音が完全に消え去っていた。
- 205: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:37:01.49 ID:wOI31fop0
- か細い風の音の中、モララーの声が響く。
『たった二年ほどの流れが、無限と言える時をせき止めてしまう。
あり得ぬであろう。 難しいことであろう』
川 ゚ -゚)「…………」
『だが、それを為さずして我らに生きる道は無い』
( ^ω^)「…………」
『――ならば為そう。 それだけだ』
考えてみれば当然の帰結である。
勝たなければ死ぬのであれば、勝つしかあるまい。
これから挑むのは、ただ、それだけのためであった。
『そろそろ陽が射す。 開戦の合図は……クー君、君に任せるよ』
川;゚ -゚)「え?」
- 213: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:38:50.24 ID:wOI31fop0
- 『この戦いの火蓋を切るのは私の役目ではない。
本来ならばハインリッヒ君が妥当なのだろうが、今彼女はいない。
ならば君が相応しいということだ。 皆もそれを望んでいる』
再度、え、と漏らしつつクーは背後を見る。
「「「……――」」」
全員の視線が、彼女に集っていた。
剣や槍を肩に担いだ男が、銃撃・砲撃装備を脇に抱えた女が、装甲車の運転席にいる男が、その上で狙撃銃を構える女が。
補給装備を担いだ男が、救急装備を背負った女が、本陣で情報を統括するオペレーター達が、同じく本陣で『龍砲』の発射用意を行なう技術者達が。
指輪を武器に戦う者達が、英雄と呼ばれる者達が、赤と青の巨人に乗る女二人が、遺志を継いだ戦闘機を駆る男らが。
( ^ω^)「…………」
そして、隣にいるパートナーが。
川 ゚ -゚)「――――」
その光景を見て、クーはようやく悟る。
――これが、今まで自分達の為して得た一つの結果なのだ、と。
- 221: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:40:32.29 ID:wOI31fop0
- 川 ゚ -゚)「……総員」
呟かれた言葉は、しかし一旦赤い空に消え
川#゚ -゚)「総員!! 武器を構えろ!!」
直後、全員が武器の音色を奏でた。
重なり大きな音となったそれは、地平線に居座る異獣達の耳へと鋭く届く。
浅い待機の眠りから覚め、徐々に動き始める獣を見据え
川#゚ -゚)「行くぞ……! これが最後の戦いだ!!」
「「応ッ!」」
川#゚ -゚)「全力だ! 全てを出し切り相手に思い知らせろ!
私達を嘗めている奴らに、その生意気な顔に刃を突きつけてやれ!!」
構えられた右腕は地平を差し、戦女神の役を得たクーは高らかに宣言した。
- 225: ◆BYUt189CYA :2007/11/13(火) 22:41:41.19 ID:wOI31fop0
第四十五話 『勝って生を打ち立てろ』
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