( ^ω^)ブーンと川 ゚ -゚)クーは抗い護るようです

83: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:22:09.55 ID:SvPFe6Eb0
いつ攻撃されるかも解らない状況において、この会話。
肝が据わっているというか、何というか。

('、`*川「しかしまぁ、妙よねぇ」

背後からペニサスの声。

('、`*川「始まってからかれこれ十分らいだけど、どういうこと?
     何であの三馬鹿はまだ私達と戦ってるわけ?」

( ゚д゚ )「確かにあの三人ならば、やり方次第では突破出来るだろうしな……今の状況は不自然、か」

『足止め』という言葉が浮かぶも否定する。
彼らは襲撃者であり、突破や壊滅を目的としているはずだ。
ここで足を止める意味があるのか。

( ゚д゚ )「……待てよ」

ある。
彼らがわざわざ足を止める理由がある。



86: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:23:16.93 ID:SvPFe6Eb0
答えを頭に浮かべた途端、それは現実となった。
まるでミルナのひらめきを待っていたかのように。

('、`*;川「うわっ!?」

それは驚きの声。
瞬間的に全員が反応し、その方向へ視線を向ける。

(;`・ω・´)「なっ……」

<_;プー゚)フ「何だぁ!? 何してんだよ!?」

('、`*;川「そりゃこっちが聞きたいわー!!」

ペニサスの身体が傾いていた。
それは膝を折るなどの動作ではなく、証拠として彼女の足はしっかりと伸びている。
しかしその右足が、地面に開いた穴の中へと引きずり込まれていた。

(;゚д゚ )「トラップか……!?
     おい、早く抜け出せ!」

('、`*;川「ちょ、何これ!? 抜けないんだけど!」

(;゚д゚ )「何を馬鹿やっている!」



87: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:24:27.13 ID:SvPFe6Eb0
駆け寄り、ペニサスを引っ張るために手を出そうとした時。

(`・ω・´)「迂闊に動くな!」

(;゚д゚ )「――がはっ!?」

真横からの強烈な衝撃。
まともに受けたミルナの身体は、弾け飛ぶように浮いた。

\(^o^)/「邪魔はさせません」

オワタの一撃だ。
いつの間にかミルナに忍び寄り、その脇腹へ石突を叩き込んだのだ。
その間にも

('、`*;川「のぅうぇわっひゃ――ひゃひゃひゃひゃ! くすぐったいくすぐったいィィィヒヒヒヒヒ!!」

胸部辺りまで穴に沈み込むと共に、女性のものとは思えない声を発するペニサス。
あまりに奇怪な声に対して、エクストとシャキンが足を止める。

<_;プー゚)フ「ど、どうするよ」

(;`・ω・´)「……助けるべきだ」

<_;プー゚)フ「じゃあ何で足止めてんだよ」

(;`・ω・´)「……お前こそ」



90: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:25:58.57 ID:SvPFe6Eb0
そうこうしている間に消えていくペニサス。
豪快な笑い声と共に消えていくペニサス。

結局、意を決した二人の手が届く前に、彼女の身は闇の中へと呑まれていった。

<_;プー゚)フ「お、俺達が悪いわけじゃねぇぞ!
         そもそもあんな妙な穴を掘った奴が悪いんだ!」

(;`・ω・´)「誰がやったんだ?」

「――私です」

鋭い声が響く。
それはシャキン達と三兄弟の丁度中間からだ。
空間が裂かれ、内部から黒衣の男が出てくる。

( <●><●>)「クン三兄弟さん、御苦労様でした」

┗(^o^ )┓「いえ、私達も楽しませてもらいました」

(;゚д゚ )「ア、アンタは……」

ミルナが目を見開く。
あの男が秩序守護者の一人だとは話に聞いていたが、何処か信じられない部分があった。

しかし言動から、彼は確実にクン三兄弟と組んでいる。
そして自分達の敵となり得る存在だという事実に、ミルナは動揺を隠せない。



92: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:27:35.14 ID:SvPFe6Eb0
( <●><●>)「別に騙すつもりはありませんでしたが……申し訳ありません、ミルナ君。
        そして貴方がFCへついたのは非常に残念です」

(;゚д゚ )「何でアンタが……アンタ英雄じゃなかったのか!?
     昔から俺達と接してくれていたのは、何だったんだ!?」

( <●><●>)「本当の英雄はダイオード一人です。
        そして私とダディは、ある目的のために英雄世界に潜り込んだだけのこと。
        貴方達と接したのは気まぐれなんですよ……ダディの人の好さもありましたけどね」

(;゚д゚ )「…………」

( <●><●>)「ですが、決して悪くない時間でした。
        その点においては礼を言いたいくらいなんですが――」

軽く目を瞑り

( <●><●>)「だからこそ残念なのです。
        今、貴方が私達の敵となっていることが」

次の瞬間、立ち竦んでいた三兄弟が動いた。
それぞれが三方に散り、壁や天井を蹴って一つの場所へ戻る。
着地点は二階への階段前。



93: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:29:18.60 ID:SvPFe6Eb0
<_;プー゚)フ「やっべ……!?」

(`・ω・´)「くそっ、やはり手加減されていたか!」

動けないミルナを放り、二人が後を追おうとする。

直後、激音が響いた。
何事かと目を見開く先、FC東口の自動ドアが粉砕される。
畳み掛けるように不可解な出来事が連鎖し、ミルナ達は対処の方向性を見失った。

粉砕されたドアの外から声が届く。

「ミールーナーくーん! あーそーぼー!」

それは男の声で、しかも名指しだった。

(;゚д゚ )「お、俺……?」

<_;プー゚)フ「何かやばそうだからテメェに任せたぞ!
         俺らはあの三兄弟を追う!」

(;`・ω・´)「馬鹿エクスト! 伏せろ!」

鋭い声に、エクストが反射的に身を落とした。
その真上を一筋の光が貫いていく。



97: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:30:55.98 ID:SvPFe6Eb0
(`・ω・´)「門番のつもりか……」

|  ^o^ |「狭い空間での戦闘は味方を巻き込む可能性があるので、苦手です。
      というわけで、また私と遊んでもらいましょうか」

ジュカイとオワタが上っていった階段の前に巨躯。
銀色の巨弓を構えたブームが、二人の行く手を阻むかのように立っていた。
それを確認したワカッテマスは

( <●><●>)「これで大体の『修正』は完了です」

(;゚д゚ )「修正……」

( <●><●>)「断片化した秩序から読み取った未来の欠片。
        その情報から、理想の未来を作り上げる作業……それを私達は『修正』と呼んでいるだけです」

(;゚д゚ )「さっきのペニサスを引き摺り込んだのも修正なのか?」

( <●><●>)「先ほど送った戦力的に考えて、もう少し増強した方が良いかと思いまして。
        では、貴方達も現戦力で何とか頑張って下さいね」

(;゚д゚ )「待――」

ジュル、という水音を立てながら、黒衣の男は闇の中へと消えていった。
ミルナは足を一歩出し、それが無駄だと気付いてから

(;゚д゚ )「……何が、どうなっているんだ……」

呆けるように呟いた。



99: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:32:50.81 ID:SvPFe6Eb0
FC三階。
人がいない廊下を走る影があった。
羽織ったマントのような灰色の布を揺らし、そして軽い駆け足で。

でぃ――軍神だ。

しきりに周囲を見渡しながら

(#゚;;-゚)「もう大体は離脱しとるみたいやね」

と、呟く。
FC兵の身の安全を案じているのだが、それは別に襲撃から来る被害などではない。
自分が暴れた場合による損害を気にしているだけなのだ。

(#゚;;-゚)「ったく、何で地下の出口が三階に設けられとるんや……」

地下研究施設への出入り口は二つある。
この街の何処かにある、廃ビルに偽装した敷地内の入り口。
そして外敵からの侵入を遅らせるため、という案からFC三階に設置された入り口。
その内の一つである後者を利用したのだが、やはり面倒なものは面倒である。

(#゚;;-゚)「まぁええか……この会社は社長を筆頭に全員狂っとるからな。
    ええっと、確かエントランスホールで戦ってるって話やったっけ」

相手は英雄三人。
全快状態で挑むには丁度良い運動相手だ。
何やら状況が混乱しているらしいが、倒すべき敵がハッキリしていればそれで良い。



101: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:34:35.06 ID:SvPFe6Eb0
(#゚;;-゚)(FCの味方、か……)

どうなのだ、と思う。
まだ結論を出していない連中の味方をして何になるのだろう、と。

渡辺の考えていることがイマイチ解らない。
こんな弱い連中の味方をして、一体誰が何を得するのだろう。

確かにFCは組織力、財力、情報力などのサポート的な面が充実している。
渡辺は、自分達に足りないそれらを補うために接触したはず。

だが、それだけでは異獣には対抗出来ない。
アレは『世界の天敵』だ。
ただ軍力・戦力があれば勝てる、という相手ではない。

こちら側にも、そして連合軍側にも決定的に欠けている要素があるのだ。
それを求めて渡辺は世界を繋げた。
そしてその要素こそが、異獣に対抗し得る『最高の切り札』となるのだが――

(#゚;;-゚)(どうにも手に入りそうにないんよなぁ。
    皆、悪い意味で良い子ちゃんやし――)



104: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:35:46.92 ID:SvPFe6Eb0
その時。
猛烈な殺気が、でぃから見て右方向の先から突きつけられた。

(#゚;;-゚)「!?」

考える間もなく脊髄反射で身を飛ばす。
一瞬遅れて、でぃのいた位置に衝撃が圧し掛かった。

それは爆発という現象。

(#゚;;-゚)「何や……」

遅れてくるのは突風。
共に流れる、灰色とも茶色ともいえる色の煙が立ち込め始めた。
それは短時間で視界と嗅覚を塞いでいく。

エントランスホールが抑えられているおかげか、FC内に侵入者の報告は無い。
しかし今の攻撃は、明らかに同高度からの攻撃だった。
つまり

――今まさに、侵入してきた者がいる。



105: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:37:05.00 ID:SvPFe6Eb0
(#゚;;-゚)「ん?」

濛々と舞う煙を見て、でぃは小さな違和感を得る。

それは動作の気配。
断じて自然による煙の流れではない風だ。
意志を持った動きによって掻き回されている煙の違和感を、でぃは敏感に感じ取ったのだ。

(#゚;;-゚)(姿が見えん、か……さぁて、何処から来る?)

独特な緊張感がでぃの身を包み始めた。
身を刺すような感触に、ついつい口端が緩み掛ける。

その緩みを油断と取ったのか、周囲の空間から見えない圧力が襲い掛かってきた。

全身に刃を当てられているような錯覚。
もはや是非もない。
相手はこのまま奇襲じみた攻撃で仕留める気だ。



110: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:38:36.72 ID:SvPFe6Eb0
(#゚;;-゚)(でも、な)

この程度の奇襲でやられるほど、でぃの経験は浅くない。
敏感に煙の流れを読み取り

(#゚;;-゚)「そこ」

右へ跳ぶ。
直後、向かうである煙の中から黒の縦線が浮かんだ。
それは瞬時に上から下へ、振り下ろすような軌道で迫る。

予想通りの攻撃に対し、軍神は身を僅かに捻らせた。
かするように黒線が落ちる。
それは横から見れば巨大であり、軍神が知る範囲内での名称を『巨剣』と言った。

(#゚;;-゚)(黒い巨剣……まさか――)

捻らせた反動で床を蹴り、巨剣の根元を目指して跳ぶ。
唾が見え、柄が半分以上視認出来た時に、ようやく軍神は気付いた。

いない。

柄を握っているはずの手が見えない。
今の一撃を放った後に、剣だけ残して移動したのだ。



112: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:39:56.90 ID:SvPFe6Eb0
(#゚;;-゚)(フェイント……!)

気付くまでに時間を掛け過ぎた。
相手は既に攻撃体勢に入っている。

煙が裂かれた。

四時方向から、下から上へ切り上げるような鋭い軌道の蹴りが来る。

激突。
咄嗟に右腕で庇うが、踏ん張れずにそのまま弾き飛ばされた。
煙を突き破り、十メートルほど先の壁に身体を打ち付ける。

(#゚;;-゚)「……やるやないか」

ダメージは見られない。
しかし、安易なフェイントに引っかかったという悔しさの証明として、口元に笑みが浮かべられた。

――この自分に一撃を入れるとは、と。



114: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:41:38.15 ID:SvPFe6Eb0
そんな芸当が出来る人物は限られる。
異獣か、英雄か、そして

/ ゚、。 /「流石だな、軍神」

秩序守護者。
その中でも最も戦闘力が高いと思われる、ダイオード。
長身を黒色の甲冑で包み込み、その長身以上の大きさを誇る巨剣を片手で振り回す。

煙が流され、埃の臭いが消えていく。
それと同時にダイオードの周囲から、ある臭いが漂ってきた。

(#゚;;-゚)「血の……」

/ ゚、。 /「ここへ来る前に一仕事終わらせてきたからな。
      簡単でつまらんかったが、次の仕事は楽しめそうだ」

(#゚;;-゚)「何でアンタがウチを狙う?」

/ ゚、。 /「さぁ、私には何とも。
      ただワカッテマスが読み取った未来の断片から判断し
      こうやって『修正』の手伝いを行っているだけのこと」

(#゚;;-゚)「はン……そりゃ御苦労様」



116: ◆BYUt189CYA :2007/05/16(水) 16:43:01.02 ID:SvPFe6Eb0
/ ゚、。 /「それにお前個人としては異獣との戦争を望んでいるのだろう?
      秩序の破壊を望んでいる、と言い換えても良い。
      つまり私達の敵となるには充分な理由だと思うが」

(#゚;;-゚)「ま、別にどう解釈されてもええけどな」

壁から背を剥がし、数歩前へ。
巨剣を肩に乗せたダイオードを見据え、その締まった足を軽く開く。
拳を軽く突き出し

(#゚;;-゚)「とりあえず、邪魔する言うんなら潰れてもらうよ」

/ ゚、。 /「潰れんさ」

軍神の構えを見て、ダイオードも巨剣を地に下ろす。

/ ゚、。 /「この剣には敗北者の怨念が詰まっている。
      いわば『敗北の代弁者』というわけだ。
      私にとって、常勝無敗のお前は砕くべき相手なのだよ」

(#゚;;-゚)「敗北した雑魚が集まっても、結局はただの雑魚。
    やれるもんなら、やってみぃ」

両者、同時に踏み出す。
凶悪とも言える大きな力と力が、互いを粉砕するためにぶつかった。



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