(`・ω・´)シャキンは『空』を目指すようです
- 1:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:17:24.49 ID:krtyDMp00
- 大気が流れる。
風が引き裂かれる。
(`・ω・´)「…………」
音は無い。
装着した通信機のせいもあるが、もはや彼の心に音は響かない。
狭い空間だ。
シートに座り、足を伸ばし、手は軽く広げ
身体はベルト、足はペダル、手はスロットルレバーにしっかりと固定されている。
そこは飛行戦闘機のコックピットだった。
鋭利な風防の下にテーブルのようなモノ。
その全面にはコンソールウインドウがあり、側面も同様。
正面には操縦桿のようモノは無く、左右から一対のスロットルレバーがあるだけだ。
風防越しに見る空は、青い空などではなかった。
灰色の、所々に黄や赤の光が輝く景色。
それは『機械の天井』だった。
- 6:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:18:46.28 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「……ふぅ」
溜息。
まるでその天井が邪魔だと言わんばかりの表情。
高速で背後へと飛ぶ景色を見ながら、彼は陰鬱な表情で上を見上げる。
と、そこで新たな声。
『――シャキンさん、調子はどう?』
(`・ω・´)「何とも曖昧な質問だな」
『あ、ごめんなさい……こういうの慣れてないの』
(`・ω・´)「……いや、俺が意地悪だった。
全て良好で文句のつけようがない」
- 10:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:20:25.97 ID:krtyDMp00
- 報告を聞いた女性の声が明るくなる。
『ありがとう。
シャキンさんの御墨付きなら、きっと上層部も認めてくれるわ』
(`・ω・´)「俺にそんな影響力は無い」
『そんなことないわよ。
だってあのラミュタスの弟さんなんだから』
その声に、シャキンは重い声で応えた。
(`・ω・´)「……その話題はやめてくれ」
『あ……ごめんなさい』
会話が途切れる。
しばらく空白の時間が続き、先に折れたのはシャキンだった。
(`・ω・´)「いや……やはり俺が悪いな。
どうにも兄の話題になるとこうなってしまう、許してくれ」
『いえ……』
- 11:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:21:46.40 ID:krtyDMp00
- どうにもこうなってしまうと会話が続かない。
とりあえずシャキンは、この機体に対する感想を連ねることにした。
(`・ω・´)「しかし驚くことばかりだな。
体重移動を使った独特な操縦方法、各部小型バーニアでの急転回・急停止。
そして新技術『Gキャンセラー』に関しては
ほとんどGを感じない性能だ……若干のタイムラグがあるのが気になるが」
『えぇ、ここ数年で立証された新理論・新技術をこれでもかと積み込んだから。
もちろん未完成のものだってあるけどね。
それらを交えての率直な感想は?』
(`・ω・´)「数ヶ月前まで乗っていた飛行戦闘機とは、良い意味でまったく違う。
かなり感覚的な操縦が可能――」
と、言いながら体重を前へ。
機首が下方へ降り始めたのを確認し、体重を今度は後ろへ。
思った通りに機体が動く。
それはまるで機体と身体が同化したかのような感覚だ。
- 13:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:23:06.81 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「ちなみにこの『WSS(Weight Shift System)』理論は君が構築したのか?」
『流石にそんなことは出来ないわ。
WSSと、ルイルを利用した動力システムは異世界から得たものよ』
(`・ω・´)「……この世界に利を与える技術が異世界にあったか」
『とは言っても、向こう側は私達の世界のことを認知してないけどね。
向こう側のある科学者が個人的にアクセスしてきたのよ』
(`・ω・´)「物好きな科学者だな……まぁ、その話は帰ってからゆっくり聞こう」
『解ったわ。
じゃ、そろそろ引き返してもらおうかしら。
いくら新型でも長く飛ぶのは危険だから……それに、その空域は調査が進んでいないわ』
(`・ω・´)「了解し――!?」
言葉が止まると同時に、限界まで左右のスロットルレバーを引く。
背部スラスターが音と光を潜め、機体は自動的に空間静止モードへと移行した。
- 14:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:24:21.94 ID:krtyDMp00
- 『どうしたの? 何かあったの?』
(;`・ω・´)「こ、これは……!?」
景色が止まった視界の先。
そこには――
(;`・ω・´)「光……」
機械の天井とも言える灰色と黒の海に、一筋の小さな光が漏れている。
それは『亀裂』によるものだった。
(`・ω・´)「――とんでもないものを見つけた。
位置データを送った後、すぐに帰還する」
『え? どうし――』
回線を閉じる。
そのままシャキンは、天井からの光を見ながら吐息した。
(`・ω・´)「あれが、『空』への道――」
- 15:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:25:37.54 ID:krtyDMp00
- <_プー゚)フ「ガナー、シャキンは一体何を見つけたんだ?」
東領地オーベウス軍基地、ニクルス開発局内の研究用格納庫。
その隅にて、二人の男女がディスプレイを前にして唸り声を上げていた。
(;‘∀‘)「いきなり通信を切られたから解らないわ。
でも、あのシャキンさんが『とんでもないもの』って言うくらいだから――」
<_プー゚)フ「フン、クールぶってるアイツが見つけたものなんて
どうせ下らないものに決まってら」
鼻を鳴らしながら背を向ける。
その後姿を見ながら、ガナーは溜息を吐いた。
( ‘∀‘)「いい加減に仲良くしなさい。
いがみ合ってたって何も良いことないわよ?」
<_プー゚)フ「アイツと仲良く?
ラミュタス隊長の弟だからっていう理由で優遇されてる奴と仲良くなんて出来るかよ」
( ‘∀‘)「もう、エクストはそればっかり……」
<_プー゚)フ「彼は最高の戦闘機乗りだった。
俺だけじゃなく、今でも部隊の皆のほとんどが尊敬している。
その恩威を何もせずに受けているシャキンを好む奴なんていないだろ」
- 16:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:27:14.07 ID:krtyDMp00
- ( ‘∀‘)「でも、もう二年も前からラミュタスはいないわ」
柔和な彼女から鋭い言葉が放たれた。
それを耳に入れたエクストは少し眉を下げ
<_;プー゚)フ「……すまねぇ、隊長とアンタは――」
( ‘∀‘)「いいの、もう終わったことだから」
二人にとって居心地の悪い空気が流れ始める。
それが吹き飛ばされたのは少し経ってからだった。
甲高い音が鳴り響き、そして風。
上を見上げれば、一部が開いた天井から黒い戦闘機がゆっくりと垂直降下してきている。
それはシャキンが乗っているはずの機体。
<_プー゚)フ「底部の引力制御システムによって滑走路いらず、ね。
新技術搭載型試作戦闘機『レイドール』……アイツには過ぎた玩具だ」
( ‘∀‘)「そんなことないわ。
彼の空戦に対する嗅覚とセンスは――」
<_プー゚)フ「ラミュタス隊長には及ばないが素質は充分にある、だろう?
隊長の話題を出して欲しくないようなことを言っておきながら
自分で言うなんて、マゾと間違えられるぞ?」
(;‘∀‘)「……うるさいわね」
顔を少々赤くしながら、彼女は降り立った機体の方へと歩いていった。
- 17:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:28:38.26 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「ふぅ……」
やはり操縦が快適といえど、慣れないものは身体や精神に負担が掛かる。
地に足をつけた途端、フラリと身体がよろけ掛けるのを無理矢理に踏ん張った。
顔を覆っていたメットを外して新鮮な空気を吸う。
( ‘∀‘)「お疲れ様」
データを書き込むための端末を手に、ガナーが近寄ってきた。
(`・ω・´)「機体報告は後にしてくれ。
俺は上と少し話すことがある」
( ‘∀‘)「それって『とんでもないもの』?
良かったら聞かせてくれないかしら?」
(`・ω・´)「あぁ、構わない……どうせすぐに基地内に広まるだろうしな」
そして彼は言った。
(`・ω・´)「『空への道』を見つけたんだ」
- 19:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:30:02.24 ID:krtyDMp00
- シャキンの報告は、上から下へ流れるように伝達された。
彼が帰ってきたのが夜。
その翌日には、オーベウス軍内の全ての人間が『空への道』という情報を耳にしていた。
『空への道』
それはシャキンの兄であるラミュタスが残した言葉。
この世界には『空』というものが存在しない。
否、存在しないと思われていた。
原因は『機械天井壁』。
アレがあるおかげで、下で暮らす者達はその先を見たことがない。
それは世界の果てまでにも影響していた。
果てまで行けば、今度は天井が壁として人間を拒んだのだ。
この情報から『世界は「箱」によって閉じ込められているのではないか』という意見がある。
というか、実際そうだった。
- 21:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:31:39.71 ID:krtyDMp00
- 天井と壁を取り除こうという計画は過去に幾つもあった。
しかし、近付いた途端に触手のようなモノが伸び出し
付近のものを絡め取って吸収するという信じられない機能が発覚してからは、手を出そうとする意見は極端に減る。
ならばミサイルで破壊しようという乱暴な計画も浮上したが
着弾する前に絡め取られて吸収される結果に終わった。
以後、『機械の天井』には関わるなという暗黙の了解じみたものが軍内で流れる。
しかし、結果を知りながらも空を諦めない男がいた。
それがシャキンの兄であるラミュタス。
オーベウス軍空戦第十三部隊隊長にして軍最高の戦闘機乗り。
『風鷲』という異名まで付けられているほどの腕を誇っていた。
その彼が、二年前に突如として姿を消す。
恋人であった開発主任のガナーを残して。
『空への道を見つけた』と言い残して。
- 24:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:33:18.53 ID:krtyDMp00
- ラミュタスが目指した『空への道』。
発見者であるシャキンが彼の弟だということもあってか、その情報はすぐさま軍内全てに行き渡った。
(`・ω・´)「…………」
オーベウス軍基地内にあるニクルス開発局。
その簡素な食堂で遅い朝食を摂っている彼は少しの溜息を吐く。
彼はオーベウス軍の正規士ではなく、ただの民間人だ。
ラミュタスに憧れ、民間テストパイロットとして一年前から開発局へ通い始める。
少し前から乗っている戦闘機は、取り入れられた新技術・新理論をこれでもかと詰め込んだ機体。
GIF『レイドール』という名らしいがどうでもよかった。
兄のことも、ガナーのことも、戦闘機のことも大して興味はなかった。
それよりも、ここへ来てしまったことへの後悔が大きい。
確かに兄のような活躍を目指していた子供らしい時期もあった。
しかしテストパイロットとして招かれた彼を迎えたのは、辛辣な視線と雰囲気だった。
軍の辛い訓練を受けることもなく最新型戦闘機に乗れる。
それは他の空戦部隊の者にとっては妬ましいこと。
仲良くしてくれる人間などいない。
話しかけてくれる人間などいない。
まだ二十歳にも満たない精神的に未熟だった彼の心に、それが突き刺さる。
当然だが、辞めたいとガナーに相談した。
しかし彼女は既にシャキンの才能に気付いており、様々な条件を提示して残らせた。
- 25:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:34:45.07 ID:krtyDMp00
- そのままズルズルとテストパイロットを続け、そして今のような状況。
少年のような明るい心は消え失せ、何処か達観したような性格が植えつけられている。
(`・ω・´)「……ふぅ」
再度の溜息。
昨夜、報告した『空への道』。
すぐさま亀裂を切り開くための計画が進められるらしい。
兄が目指し、兄が望んだ場所。
亀裂が完全に開いていなかったことを考えると、おそらくラミュタスは――
<_プー゚)フ「おい、相変わらず辛気臭い顔してんなぁ」
(`・ω・´)「……エクストか」
<_プー゚)フ「隣、座るぜ」
返事も待たずに着席する。
<_プー゚)フ「聞いた話なんだが、数日後に亀裂を突破する計画が決定するらしい。
これは異例の早さ……それだけ重要な任務になる」
- 26:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:36:04.89 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「……それが?」
<_プー゚)フ「『機械天井壁』は触れることはおろか、近付くことさえ出来ない。
これは俺の予想だがもう一機の最新型戦闘機が使われるだろう」
シャキンが乗っていたレイドールの他に、もう一つ存在する戦闘機。
名は何というか忘れてしまったが、レイドールと同レベルの技術を使用した機体らしい。
<_プー゚)フ「言わばお前が乗ってる機体データを使用した完成作ってわけだ」
(`・ω・´)「…………」
<_プー゚)フ「従来の戦闘機は、速くてもS3.7程度。
しかしスペック表によれば、その最新型はS5以上を出せるらしい。
レイドールのS4.7よりも更に高速だ」
そこでエクストの言いたいことに気付く。
(`・ω・´)「成程……その速度を以って、機械触手に絡め取られる前に突破を図るわけか」
<_プー゚)フ「そういうこったな」
急転回も可能な最新型戦闘機ならば、ほぼ直角に方向修正することも難しくない。
地面スレスレで移動し、そのまま天井向けて一気に突撃するわけだ。
- 28:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:37:26.64 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「で? それがどうした?」
<_プー゚)フ「鈍いのか鋭いのかわかんねぇな。
その最新型に乗るのは俺だって言ってんだよ」
エクストはオーベウス軍空戦部隊の一員だ。
シャキンという存在を除けば、おそらくトップクラスの腕を誇る。
実際、エースを自ら名乗っていた。
そしてラミュタスを崇拝している。
故に、彼はオーベウス兵の中で唯一シャキンによく絡んでくるのだ。
<_プー゚)フ「ま、空は見てきてやるから……お前は俺の報告をのんびりと待ってな」
シャキンが空を目指しているのを知りながら言う。
それは半ば挑戦的な態度。
対してシャキンは
(`・ω・´)「……あぁ、楽しみにしている」
そう言い残すと席を立ち、食器を運んでいった。
彼には既に過去の心にはあったはずの炎は消え失せている。
自分が民間テストパイロット故に、亀裂突入のメンバーには選ばれないことを知っていた。
もはや何が生き甲斐で何を目標に生きていけば良いのか、彼自身解っていなかった。
そのまま食堂を出て行くシャキンの後姿を見ながら、エクストは溜息。
<_プー゚)フ「何だよ……張り合いねぇの」
- 29:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:38:56.64 ID:krtyDMp00
- ニクルス開発局の研究用格納庫。
あまり広くはないその空間内に、シャキンは入っていく。
目指すは整備中であるはずの『レイドール』だ。
(`・ω・´)「…………」
改めて客観的に眺めてみる。
黒をベースとし、翼の縁だけが青に染まった漆黒の機体。
何処かの文献によれば、レイドールとは雷の剣を指すらしい。
(`・ω・´)「しかし黒色に染められた、か……」
少しだけ親近感を覚える。
まるで本当の色を封じ込められた自分のようだ、と。
( ‘∀‘)「あら、シャキンさん」
レイドールの影からガナーが出てくる。
どうやら記録された機体データを回収していたようだ。
よくよく見てみれば、彼女の部下達も周囲で何か作業をしている。
( ‘∀‘)「良かったわね、空への道を見つけられて」
(`・ω・´)「俺には関係のないことさ。
どうせエクスト辺りが計画の主翼を担うはずだしな」
( ‘∀‘)「もう、そういうすぐに拗ねるところがラミュタスそっくりね」
(`・ω・´)「――拗ねてなどいない」
- 30:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:40:45.95 ID:krtyDMp00
- (`・ω・´)「GIF、か……重力解放とはよく言ったものだ」
( ‘∀‘)「『重力からの解放』をコンセプトとした戦闘機。
通称『Gravity Liberating Fighter』――つまり重力解放戦闘機。
機体の各部に小型バーニアが在り、操作によっては急停止・急転回などの
従来の戦闘機には不可能な挙動を可能と――」
ガナーが半ば嬉しそうに説明を始めるが、それを止めるように
(`・ω・´)「とりあえずとんでもない化け物だということは解っている。
そしてそのアイデアは異世界から得たということもな」
( ‘∀‘)「もちろんタダで教わったわけじゃないわよ?
戦闘機用WSSを組み上げて返してあげたら喜んでたわ」
そして、そのシステムがレイドールにも採用されたというわけだ。
高スピードで展開される空戦において感覚的に操縦出来るという点はプラスになる。
シャキンがWSSを気に入ったのも、そんな理由からだった。
( ‘∀‘)「あ、そういえば今から正式な兵装の検討をしようと思ってるだけど、参加する?」
(`・ω・´)「いや、機体のことに関しては全てアンタに任せるよ」
背を向けながら歩き出す。
( ‘∀‘)「え? じゃあ何でここに?」
(`・ω・´)「ちょっとな」
頭に『?』を乗せたガナーを残し、彼はそのまま格納庫を出て行った。
- 32:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:42:21.85 ID:krtyDMp00
- 二日後。
この日は、シャキンにとっての休日。
オーベウス基地を出る。
背後に灯りや訓練の喧騒を浴びながら、シャキンは真っ直ぐと居住区へ向かった。
周囲は闇。
見上げても、微かな光の点滅しか見えない。
基本的に、この世界には空の明かりが無いのだ。
二十四時間、延々と暗闇が続く。
理由は言うまでもないが『機械の天井』のせいであった。
誰がいつ何のために作ったのか。
はたまた最初から存在していたのか。
この都市に残る、どの文献や資料を漁っても答えは出ない。
『不自由な景色ではあるが、近付かない限りは安全なので
時を重ねるにつれ、人々は『機械天井壁』に対する興味を失っていった』
最古の歴史資料にはそう記述されていた。
それ以前のモノは何処を探しても見付からないことから、どうやら意図的に廃棄か隠蔽されたらしい。
- 34:VIPからきますた(大分県) :2007/03/23(金) 14:43:44.05 ID:krtyDMp00
- しかし、兄であるラミュタスは諦めなかった。
その心境は解らない。
何か確信めいたもの、もしくはその先にあるものを知っていたのか。
はたまたタダの馬鹿だったのか。
解らないが、彼は空を目指して消えた。
(`・ω・´)「……空、か」
概念的な名称なのでよく解らないが、どうやら見ていて気持ちの良いものらしい。
その時によって色や名称が変わるとも聞いている。
ちなみに異世界にアクセスして教えてもらう、という方法もあるのだが
異世界とこの世界の空が同一とは限らないので、積極的に教えてもらおうという気は起きない。
と、色々考えている内に目的地に到着した。
東領地の隅。
まるで厄介モノの烙印を押されたかのように、周囲と距離を置かれている古い家。
機械で囲まれた通常の家屋とは似ても似つかない光景だ。
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