从 ゚∀从高岡は科学者のようです
- 4: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:29:46.32 ID:lZvHUDg20
- 第六話「組織のルール」
あれから高岡が起こした騒ぎをかぎつけた報道陣が押し寄せ、戦いで砕け散った道路
そしてエネルギーを使い果たし、動かなくなった巨大なロボットをカメラに撮り
リポーター達が忙しなくテレビ局にいるアナウンサーへ事の状況を報道している。
(´・ω・`)「結局失敗しちゃいましたね……」
/ ,' 3「……………………………」
(´・ω・`)「………将軍?」
険しい顔を浮かばせ、新巻は考え込んでいる。
そして重々しく口を開いた。
/ ,' 3「『総帥閣下の命令は絶対である』……か……」
(´・ω・`)「どういう意味ですか……」
/ ,' 3「ほれ、組織の中にルールがある事ぐらい知っておるじゃろう?」
(´・ω・`)「あぁ、はい。僕がオカルト団戦闘部隊第3隊長に就いたときに、総帥から直々に」
台詞の途中で、ショボンは突然言葉を止めた。
- 5: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:32:01.53 ID:lZvHUDg20
- (;´・ω・`)「そんな…………まさか将軍!」
/ ,' 3「任務を失敗した者には……」
『死による制裁を』
/ ,' 3「!」
(´・ω・`)「!」
新巻の声でも、ショボンの声でもない。低く、そして力強い声が後ろから聞こえてくる。
ミ,,゚Д゚彡「『裏切り者には、永遠の苦しみ』を。そうだったな新巻将軍?」
/ ,' 3「……そのとおりでございます、フサギコ総帥閣下」
新巻達の後ろに、総帥閣下と呼ばれる大柄な長髪の男がいた。
暗灰色の甲冑を纏い、黒く塗られたマントは風で音を立てながらなびいている。
そして背中にはマントと同様、黒く塗られた大剣が背負われている。
- 7: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:34:06.61 ID:lZvHUDg20
- / ,' 3「しかし、総帥閣下。何故貴方様がこの地上に参られたのでありますか?」
ミ,,゚Д゚彡「俺は支配したいと思ったから世界征服に乗り出し、俺は久々に奴らの闘いぶりを見たいから出たまでだ。
それ以外に理由があるとでも思うのか??」
/ ,' 3「いえ、めっそうにもございません」
ミ,,゚Д゚彡「しかし出てきてみればなんだ、あのDr.ハインリッヒの闘いぶりは
派手に暴れるだけ暴れたと思ったら……あの様か……」
/ ,' 3「……………………」
(;´・ω・`)「……………………」
静かに総帥であるフサギコの前にひざまずく2人。
ただフサギコの次の言葉を待っているだけしかできなかった。
ミ,,゚Д゚彡「……新巻将軍、ショボン戦闘部隊第3隊長」
(;´・ω・`)/ ,' 3「はっ!」
- 8: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:36:34.95 ID:lZvHUDg20
- ミ,,゚Д゚彡「一つ言っておくが、お前達には今回の任務失敗責任はない、安心しろ」
その言葉を聞いて少しながら安堵の表情を浮かべる二人。
だが次の言葉で、再び凍りついた表情が浮かばせることになる。
ミ,,゚Д゚彡「お前ら、俺が建てたルールを覚えているよな?」
/ ,' 3(´・ω・`)「もちろんでございます、フサギコ総帥閣下」
ミ,,゚Д゚彡「ならばもうわかってるだろう。今この場をもって
Dr.ハインリッヒ、この者を任務失敗、及び組織からの逃亡とみなす」
/ ,' 3「!」
(;´・ω・`)「!」
ミ,,゚Д゚彡「よって貴様達に新しい任務を与える………
『高岡を抹殺しろ』」
組織のルール通り、彼女は組織に追われ殺される。
その当たり前のことを聞かされ、二人は少なからずとも愕然としていた。
そしてその言葉を残し、彼は基地へ帰ろうとした。
しかし
(;´・ω・`)「総帥閣下!お待ちください!」
- 10: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:39:24.21 ID:lZvHUDg20
- ショボンの言葉と同時にフサギコは足を止め、ゆっくり振り返りながらショボンを睨む。
ミ,,゚Д゚彡「どうした、ショボン戦闘部隊第3隊長?」
/ ,' 3(ショボン……)
(´・ω・`)「今回の任務を高岡に当たらせたのは私でございます
彼女は私の言葉に踊らされ任務に当たったまでです。
どうか今回の件についてもう一度お考え直してくだs」
ショボンの台詞は最後まで言い切る前に、フサギコの手がショボンの首にかけ持ち上げられていた。
(;´・ω・`)「ぐっ………がぁ………」
ミ,,゚Д゚彡「貴様………誰に口答えしている………」
フサギコからは新巻以上に冷酷で、惨忍なまでの殺気を帯びている。
ひとたび力を入れれば、ショボンの首は折れる、いやそれどころか引きちぎられるであろう。
ミ,,゚Д゚彡「俺が建てたルール、ちゃんと聞いてなかったか…?
『総帥閣下の命令は絶対だ』って言ったはずだぜ……?」
ミシミシ……
ショボンの首の骨が軋む音が僅かながら聞こえ出す。
新巻ですらショボンを助けようにも、フサギコの威圧感に押され、身体を動かす事が出来ない。
ミ,,゚Д゚彡「……………ふん」
突如力を緩め、ぶっきらぼうにショボンを地面に落とす。
- 11: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:41:43.51 ID:lZvHUDg20
- (;´・ω・`)「ゲフッゲホッ…ゴホッ…………」
必死で脳に血と酸素を再び送り出そうと、必死で呼吸をし始めるショボン。
ミ,,゚Д゚彡「俺に口答えする暇があるならさっさと始末して来い、わかったか!」
/ ,' 3「サー、イエッサー!」
(;´・ω・`)「さ、サー、イエッ…ッサー……ゲホッゲホッ」
そう言い残し、再び基地へ戻るフサギコ。
そして完全に視界から消えたと同時に、新巻は倒れこんでいるショボンに駆け寄る。
/ ,' 3「ショボン、大丈夫か?!」
(;´・ω・`)「ゲホッ……なんとか無事に済みました、すみません……」
/ ,' 3「お主が謝る事はない、わしこそすまない……」
- 13: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:44:33.36 ID:lZvHUDg20
- (´・ω・`)「将軍、もうお気になさらないでください。この命がある限り大丈夫です」
/ ,' 3「そうか……それにしてもショボン、あまり無茶をするでないぞ。
殺されなかっただけでも幸運なのだから」
(´・ω・`)「はい……しかし、どうしても納得がいかなかったんです」
/ ,' 3「わしとて高岡を殺める事は正直に言えばしたくはない。
だが組織のルールに従い、殺さねばならんのじゃ……」
(´・ω・`)「…………………………」
/ ,' 3「しかし皮肉なものじゃ……高岡を組織にいれるきっかけを作ったわしが
その高岡を殺し、わし一人おめおめと生き延びようとするのだからな……」
決して逃れる事の出来ない『任務』という言葉、それは『成功』あるいは『死』の2つの結果だけが待っている。
そして総帥閣下からの直々の命令を受け、動かざるをえない2人は高岡を探しに動き出す。
高岡は組織の追跡から逃れる事が出来るのであろうか……。
- 15: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:47:38.25 ID:lZvHUDg20
- VIP区内大型鉄橋「ビップブリッジ」通称「VIP橋」
レインボーブリッジに負けまいと、政府が15年前に2チャンネルのニュース速報VIP板にスレッドを建て安価を出し
その安価を踏んだ多くのVIPPER達を連れ、ついに二年前に完成させた大きな鉄橋。
そのクオリティの高さにちなんで『ビップブリッジ』と名づけたそうだ。
今でもニュー速県の名所と語られ、去年この地を舞台にした曲も大ブレイク。
他県にもこの鉄橋の存在を知らしめさせた。
夕日に照らされたノリと勢いで建築したかのような危い鉄橋の上に、私とその隣にクーがいた。
从 ゚∀从「あーあ。てめえらのせいで、無駄に生き延びちまった」
川 ゚ -゚)「だが生き延びたおかげで、こうやって夕日を眺めることが出来たんだ。
むしろ感謝してほしいところだな」
从 ゚∀从「何で敵であるお前らに感謝しなきゃならないんだ、バーロー」
川 ゚ -゚)「あぁ、そうだな。私は本当にバカだな」
从 ゚∀从「はんっ……」
ほんの少し、気まずい空気が流れた。
組織の人間ともあまり会話したことがなかったほど、自室に引き篭もっていたんだ。
コミュニケーションなんざまともに習ったことすらないから、この間はつらいんだがな……。
- 16: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:49:58.84 ID:lZvHUDg20
- 川 ゚ -゚)「………それにしても良い風だな」
从 ゚∀从「………………そうだな……」
川 ゚ -゚)「どうした、君が話しあいたいと言うからここに来たんだ
黙りっぱなしでは相手を退屈させてしまうぞ」
从 ゚∀从「すまんな、ちょっと考え事してただけだ」
そうだ、こいつから聞きたいことがあるんだ。
もちろん親父の事だ。ようやく受け止める準備もしたし、言いたいこともまとまった。
从 ゚∀从「私がまだ子供の頃から親父はもう既に組織の一員として戦っていたんだ
少なからずともあんたなら親父がどんなことをしていたのか知っているはずだ
……だから聞かせてくれ、親父がどんな人間だったのか。親父はどんな事してたのか……」
川 ゚ -゚)「………………………」
親父が組織の科学者として兵器やロボットを作っていたのは知っている。
娘の私や、母に対しとても優しかった親父。
最初は親父は、世間一般では悪の組織として幾度となく報道されていた
「オカルト団」という組織の科学者だと知り、とても驚かされた。
いつもヴィップレンジャー達を敵扱いしていたんだ。当然親父が正義だと信じて疑わなかった。
それを聞かされたら、普通は親父を信用しなくってしまうだろう。
- 18: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:52:25.77 ID:lZvHUDg20
- だが私は違った、どんな悪の一員であろうと、優しかった親父を信用し続けた。
そしてその父を殺したヴィップレンジャー達が憎かった。
だから私は親父の部屋にあった大量の書物を読み漁り、科学、ロボット工学を独学で習得。
ヴィップレンジャーに復讐するため、私は必死に勉強した。
だがある日、働きづめだった母は病に倒れ、この世を去ってしまった。
母の死のショックと、ひどい孤独感、そして何もしてやれなかった親不幸な私自身を責め続けた。
復讐さえ忘れ一時期は自殺も考えた。
しかし転機は突然やってきた。私の家に新巻のじいさんが訪れたのだ。
何故あのじいさんが家に来たのかは今でも理由はわからない。
だが私はじいさんが組織の一員と知り、必死で組織に入れろと懇願した。
最初は断固拒否をされていた。だが理由を述べるとしぶしぶ了承を得て組織に入った。
そこから私は独学で学んだ科学とロボット工学で、必死に組織のために、ヴィップレンジャーに復讐するために、
私なりの闘いをしてきた。
組織に入ってから二年、そして今に至るってわけだ……。
川 ゚ -゚)「………………………………」
いまだに返答に困っているのか、クーは黙り込んだままだ。
焦らずクーの返事を待つ私。
そしてやっとクーの口が開いた。
- 20: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 21:57:39.41 ID:lZvHUDg20
- 川 ゚ -゚)「……まだ私が入りたての頃の話なんだがな」
从 ゚∀从「………………」
川 ゚ -゚)「そうだな、敵ながら天晴れと言えるほどまっすぐで正直な男だったよ」
この言葉を聞いて少し安堵した。少なからずとも私の知ってる親父の姿があったからだ。
川 ゚ -゚)「彼と戦ったときもあのロボットと似たロボットで戦いを挑んできたんだ。『今度こそ、お前達を倒す!』ってな
敵が真正面から現れた途端いきなりこの台詞だ、本当に驚かされたよ」
从 ゚∀从「…………………………」
私は黙ってクーの言葉を聞き続ける。どこまでもバカ正直にまっすぐだったんだな親父は。
从 ゚∀从「よかった、親父がどんな人間だったのか。正直冷や冷やしたよ」
川 ゚ -゚)「そうか?組織に入ってるのがもったいないぐらい、いい男だったぞ」
从 ゚∀从「私は家族として振る舞う親父を知っていたが、組織の一員として振る舞う親父を知らなかったんだ
私の知らないところで、酷い事してたって言われたら、それこそ信用がた落ちだったよ」
川 ゚ -゚)「そうか、親父さんのこと知ることが出来て何よりだ……」
- 23: ◆itxLAKN81Y :2006/11/17(金) 22:00:03.78 ID:lZvHUDg20
- 从 ゚∀从「あぁ………にしてもあれだな。よくあんなバカ共5人も面倒見れるな
私は下僕1匹の面倒見るのも大変なんだぜ?」
川 ゚ -゚)「そういえば君には話してなかったな」
从 ゚∀从「何ガだ?」
川 ゚ -゚)「実は今のヴィップレンジャー達は全員元引き篭もりだったんだよ」
从 ゚∀从「ちょ……mjd?」
川 ゚ -゚)「mjd」
おいおい、元とはいえ引き篭もり共に負けたってのか。欝になりかねないぐらい嫌な事実だな……
…………って元引き篭もり?
从 ゚∀从「ちょっと待て、何でその元引き篭もり共が組織と戦おうとしてるんだ?」
川 ゚ -゚)「今回選ばれた彼らはな……好きで引き篭もっていたわけではないんだ」
从 ゚∀从「……どう言う事だ?」
川 ゚ -゚)「ついでだ、彼らとの出会い話でも話す事にするか」
そう言ってクーは少し間を空けて、あいつらとの出会いを語ってくれた。
第六話 終
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