(´<_` )おかしな話たちのようです

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:08:23.76 ID:R4lo29wa0

──06.─────────────────


( ><)「肝試しに行くんです」

( <●><●>)「こんな真昼間にですか?」

(;><)「よ、夜だと怖いじゃないですか!」

( <●><●>)「怖いから肝試しなんですけどね」

(;><)「ま、まずは初級編なんです」

(;><)「何事も順番があるんです」

( <●><●>)「それには同意しますが、昼に行っても全く怖くない気もしますね」

( ><)「いいから行くんです」

( <●><●>)「ええ、いってらっしゃい」

( ><)



92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:10:05.66 ID:R4lo29wa0

( <●><●>)「どうかしましたか?」

( ><)「兄ちゃんも行くんです!」

( <●><●>)「何故私が?」

(;><)「ひ、1人だと怖いじゃないですか!」

( <●><●>)「怖いから肝試しなんですけどね」

( ><)「初級編は兄ちゃんと一緒なんです」

( <●><●>)「何ですか、それは?」

( ><)「肝試しのルールなんです」

( <●><●>)「それはビロードが勝手に決めたルールでしょう? 私が従う理由がありません」

(;><)「何事も順番があるんです」

( <●><●>)「それはさっきも聞きました」

( <●><●>)「いいから落ち着きなさい、ビロード。肝試しなんてした所で意味がないでしょう?」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:12:09.59 ID:R4lo29wa0

( ><)「あるんです! 僕の肝が試されるんです!」

( <●><●>)「開いて見てあげましょうか?」

( ><)

( <●><●>)「冗談ですが」

(;><)「と、とにかく肝試しに行くんです」

( <●><●>)「だから落ち着きなさいと。ああ、そうだ、アイスでも食べましょうか? ひんやりして目も覚めますよ?」

( ><)「アイスなんか食べられないんです!」

( <●><●>)「好きだったのでは、ソーダアイス?」

( ><)「……でも、食べられないんです」

( <●><●>)「と言いますか、別に私じゃなくて友達を誘えば良いのでは?」

( ><)

( <●><●>)「……ああ」

・・・・
・・・



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:14:19.34 ID:R4lo29wa0

(*><)「というわけで、このお屋敷なんです!」

( <●><●>)「ビロードに友達がいないのはわかってました」

(;><)「い、いないわけじゃないんです! ただ、友達と行く予行演習に──」

( <へ><へ>)「そういうことにしておきましょう」

(;><)「そんな優しさ溢れる生暖かい目で見ないでくださいなんです!」

( <●><●>)「……しかしここは、空き家ですか?」

( ><)「そうなんです。小学校では期待はずれで有名な心霊スポットなんです」

(;<●><●>)「期待外れって、何の為に肝試しに来てるんですか?」

(;><)「何事も順番があるんです」

( <●><●>)「それはもういいです」

( <●><●>)「兎に角、行ってみましょうか。明らかに不法侵入で犯罪行為ですが、小中学生なら少年法で済みますしね」

(;><)「捕まる事前提は止めて欲しいんです」



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:18:04.97 ID:R4lo29wa0

( <●><●>)「冗談ですよ。我々が捕まるはずないじゃありませんか」

(;><)「兄ちゃんの冗談は時々よくわかんないんです」

・・・・
・・・

( <●><●>)「……で、屋敷を一回りして来たんですが」

( ><)「見事に何もなかったんです」

( <●><●>)「まあ、初級編でしたからね」

川д川「これといって由緒ある建物ってわけでもないしね」

( <●><●>)「そうですね、造りからして戦後でしょうからそれなりには古いのでしょうが、割と最近まで誰か住んでたようですね」

( ><)

川д川「そうよ、よくわかったわね」

( <●><●>)「埃の積もり具合や庭の草の伸び具合から、何十年も空けたわけではないのはわかってます」

川д川「正しくは3年前ね」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:20:06.39 ID:R4lo29wa0

( <●><●>)「何かあったのでしょうか?」

川д川「ほら、今不況じゃない? ここも一応、企業の社長さんの家だったんだけどね、よりによってあれに投資しちゃってさー」

( <●><●>)「あれとは? ひょっとして海外の住宅関連のローンとか……」

川д川「そうそう、それ。馬鹿だよねー、欲に目が眩んじゃってさ……。会社の業績不振も相俟って、負債がもう、雪達磨式」

川д川「挙句の果てに最後は一家心中とか、目も当てられないわね」

( <●><●>)「仰る通り、返す言葉もありませんね」

(((;><)))「あ、あのー……兄ちゃん? そ、その人……」

( <●><●>)「なるほど、それで貴女はその一家心中した家のご令嬢、というわけですかな?」

(;><)「気付いてた!?」

川д川「ううん、ただの通りすがり」

(;><)「違うのかよ!」

川ー川「──の幽霊」

( >< )



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:36:02.88 ID:R4lo29wa0

(((;><)))「に、にににに兄ちゃん、ほ、本物、本物……」

( <●><●>)「今更幽霊ぐらいで怯える意味がないのはわかってます」

( <●><●>)「幽霊さん?」

川д川「貞子よ」

( <●><●>)「では、貞子さん、こちらで亡くなられたのはどんなご家族でしたか? ご存知なら、お教え願いたい」

川д川「そうね。生前はとっても仲の良い家族だったみたいね」

川д川「ちょっと厳しいけど、頼りになるお父さん。それを支える、心優しいお母さん……」

川д川「頭が良くて、弟思いのお兄ちゃん……」

( <●><●>)

川д川「そして、小さくて泣き虫で、怖がりで友達がいなくて、10歳までおねしょして……」

(;><)「随分具体的なんです!」

川д川「ソーダアイスが好きで、いっぱい食べ過ぎてよくお腹壊して、でも、家族の事が大好きでとっても良い子の弟」

( ><)



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:38:05.36 ID:R4lo29wa0

川д川「そんな4人家族だったみたいね」

( ><)「兄……ちゃん……?」

( <●><●>)「……思い出しましたか、ビロード」

( ><)「…………はいなんです」

( <●><●>)「では、逝きましょうか。我々には行くべきとこがあるのはわかってます」

( <●><●>)「貞子さん、お手数をおかけしました」

川д川「ううん、ごめんね、お父さんの事、悪く言っちゃって」

( <●><●>)「……まあ、事実ですからね。それでも、私は尊敬しておりましたが」

川ー川「良いお父さんだったんだね……」

( ><)「……僕達、お父さんとお母さんに会えるんですか?」

川ー川「会えるよ、きっとね」

「天国で……」

・・・・
・・・



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/10(日) 00:40:08.28 ID:R4lo29wa0

ξ゚听)ξ「終わった?」

川д川「ええ、2人とも成仏したよ」

ξ゚听)ξ「そう……良かった……」

川ー川「流石、寺生まれのツンさん、優しいね。無理矢理成仏させるのは簡単だったでしょうに」

ξ--)ξ「別に……ただ、話して済むならその方が楽だと思っただけよ」

川д川「はいはい、そういう事にしときましょ。……それは?」

ξ゚听)ξ「……お供えよ」

川ー川「そう……。それ、そのままでいいんじゃないかな?」

ξ゚听)ξ「割らなきゃ食べ辛くない?」

川д川「大丈夫、必要なら自分達で割るでしょ。それよりも、ずっと一緒にいさせてあげたいからね」

ξ゚ー゚)ξ「……そうね」

ξ*--)ξ「ま、この暑さじゃ、すぐ溶けるでしょうけどね……」

川ー川「……フフフ」


 ──06.2人のソーダアイスのようです 了──



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