(*゚ー゚)恋われたいようです( ´_ゝ`)
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:39:49.36 ID:S/o8LsEd0
- (*゚ー゚)「私誕生日3月16日なんだ」
( ´_ゝ`)「そうなんだ、いいね」
(*゚−゚)「何処がー? 受験の合格発表と誕生日が重なって全然面白くなかったんだから
結局は受かってたからいいけど、もし落ちてたら・・・」
( ´_ゝ`)「ほら、足すと10になる」
(*゚ー゚)「へ?」
( ´_ゝ`)「3+1+6で10だよ、いいじゃないか」
(*゚ー゚)「…兄者ってやっぱりよくわかんない」
( ´_ゝ`)「そっか、俺もわからないよ」
(*^ー^)「なにそれー」
ああ、そう言えば今日も足すと10になるよ。
ごめん、それだけなんだけどね。と彼は笑った。
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:42:08.87 ID:S/o8LsEd0
足して十になる物理/2/
- 23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:43:56.11 ID:S/o8LsEd0
- −しぃ−
図書室の一角でまどろみにふけっていると、いつの日だったか、クリスマスの日にした会話を思い出した。
他愛もない事だけど、あの時のあの会話で、彼は私の中で『変人』の類に分類された。
そんな彼と付き合い始めて2年が経つ。
高校3年の受験真っ只中から、何の気の迷いか告白したのが始まりだ。
正直あの時の王様ゲームのメンツでマシな男子が兄者しかいなかったと言うのもある。
確かにハズレではなかったのだが、アタリとも言えない。
それでも別れようと気は起らないし、それなりに満足もしているのでいいのだろう、と思う。
( ´_ゝ`)「あれ? ブーン見なかった?」
噂をすればなんとやら。噂ではなくただ考えていただけだけど。
何の気配も感じさせないとは流石忍者汚い。汚い忍者。
(*゚ー゚)「見てないわよ、どうしたの?」
- 25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:45:42.20 ID:S/o8LsEd0
- ( ´_ゝ`)「ここで13時45分に待ち合わせしてたんだけど…」
そういって壁にかけられている時計を見やる。
( ´_ゝ`)「時間だけど、来ないみたいだ」
視線を戻す。
(*゚ー゚)「少しは待ちなさいな」
( ´_ゝ`)「そっか、そうなのか。俺も遅れるべきかな?」
(*゚ぺ)「なんでそうなるのよ…故意にやるのはやめなさい。やられると腹立つんだから」
( ´_ゝ`)「したことないよ」
(*゚ー゚)「何よ、忘れたの?」
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:47:50.20 ID:S/o8LsEd0
- 彼の待ち人が来るまで不毛な言い争いをしようかどうか迷っていると、当人が走って入って来た。
素早いデブをピザとは言わないと言う迷言は果たして名言なのか。脂肪ではなく筋肉だとデブは言い張る。
(*゚ー゚)「図書室で走るのはやめて下さい」
( ;^ω^)「ごめんお! ちょっと急いでたんだお! ついでにごめんお兄者!」
( ´_ゝ`)「ついで?」
(*゚ー゚)「図書室で走っていいのは暴漢に襲われた時だけよ」
( ^ω^)「だったら僕は走る機会がないお」
(*゚ー゚)「あら、後ろから青いツナギを着た男がチャックを降ろしながら走ってきたらどうするの?」
( ^ω^)「やらないか…ってしぃちゃんヤマジュンネタわかるのかお、腐女子かお」
むかっ。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:49:12.58 ID:S/o8LsEd0
- (#゚ー゚)「阿部さんがわかるくらいで腐女子認定されちゃたまんないわ、死ねばいいのに」
( ;^ω^)「おっ、ごめんお」
(#゚ー゚)「大体『BLが嫌いな女子なんていない』って言う迷言があるけれど
それを真に受ける男子ってどうにかしてるわ、頭沸いてんじゃないの?
大体ホモなんて生理的嫌悪感が湧き起こる物が好きとか人としてどうなの?
ゲイとか呼称とか知ったこっちゃないわよそんなの801なんてネタで充分よ」
( ^ω^)「おうふ」
(#゚ー゚)「それに最近のジャンプとか電王とか腐女子に媚売り過ぎて反吐が出るわ
ああでもいつだったかアニメのブリーチの百合は可。もっとやれ。
何よ変身シーンとか楽しみにしてたのに映画見見に行ったらイマジン出張ってるし
何考えてんのよ製作陣愛を取り戻せじゃなくって誇りを取り戻せ!
後個人的な事だけど仮面ライダー電王を仮面ライダーとは死んでも認めないわ!
何よあのへっぴり腰ふざけないでよ! もっと黒歴史に悶えるような技名つけろよ!
平成は昭和ライダーの勧善懲悪を見習え! ちなみにオンドゥルはネタとして大好きだ!
若さって何だ! 振り向かない事さ! 愛って何だ! 躊躇わない事さ!
光の速度で明日に突っ込めばお前のバード星は消滅するぞ!」
( ^ω^)「誰かボスケテ」
( ´_ゝ`)「俺空気」
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:50:46.99 ID:S/o8LsEd0
- −ブーン−
いやぁ女の子とは怖いものだ。怖いと言うか何と言うか。
特に大人しい子の嫌っているものを突っついた時の捲し立ては凄まじいね。
故意にやったわけじゃないけど。
(*- -)「ごめんね愚痴って、最近色々ストレスが溜まっててねー」
はぁと溜息を吐く。どうやら落ち着いてくれたようだ。
( ^ω^)「今度からその愚痴を吐く相手は兄者だけにしてくれお」
言って二人で同時に兄者を見る。見られたほうは肩を竦めて、
( ´_ゝ`)「俺は王様の耳はロバの耳と叫ぶ為の穴じゃないぞ」
と返した。言われれば確かにそうだなと納得した。
何せ誰の何を愚痴っても兄者は守秘義務、いや口が堅い。
噂では某教授の弱みも握っているとかいないとか。おお怖い怖い。
(*゚ー゚)「似たようなモンよ」
( ´_ゝ`)「理不尽な…」
( ^ω^)「僕も元々相談ってか愚痴吐きに来たんだお、兄者
恋人でもないのにしぃちゃんの愚痴聞いたんだから
代わりに僕の愚痴を聞けお、等価交換だお」
( ´_ゝ`)「理不尽な…」
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:53:17.30 ID:S/o8LsEd0
- −しぃ−
二人の邪魔をする気も内藤の愚痴に聞き耳をたてる気も起きない私は素直にその場を立ち去った。
内藤は愚痴と言っていたけれど、きっとまた件についての情報を聞きに来たんだろう。
内藤ホライゾンには、姓は違う腹違いの兄がいたらしい。
らしいと言うのは、今現在行方不明で、生きているかどうかもわからないからだ。
どうしてそうなったのか、その詳しい経緯を私は知らない。
知っているのは、この大学では兄者だけだ。
一応口が軽いのを自覚している私は、変に知ろうとは思わない。
私の知り合いもそれを知っているから、迂闊な事は喋らない。
別にそれを気にしているわけではない。むしろその態度に私は感謝している。
(*゚ー゚)「ふぅ…」
いつの間にか活字の世界から意識の底へ思考が向いていた。
今のままでは本の中身は頭に入って来ないだろう。
ぱたんと本を畳むと、私は窓から差し込む柔らかな陽光に身を任せた。
夢の中で、私はゆらゆらと水の中を漂っていた。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:54:19.10 ID:S/o8LsEd0
- −ブーン−
( ^ω^)「…それじゃあ、また何かわかったら頼むお」
( ´_ゝ`)「おkおk、任せとけ、おれは年中暇さ」
じゃあ、とだけ言葉を残して兄者はそのまま席を立った。
正直、この話題を話せるのは兄者だけなのだ。他の人だと気後れしてしまう。
友達の中で一番付き合いが長い彼とはこの大学で七年目となる。
社交的だとよく周りに言われるが、心から信用出来る友達、親友と呼べる存在は正直兄者しかいない。
僕は人との付き合いが長続きしない。原因はよくわからない。けど僕にあるのだろう。
彼を頼りにしている、利用している。暗い考えが浮かんでくるのをなんとか抑えて、息を吐いた。
僕はこの次の講義が入っていないので、そのまま何か本でも読もうかと辺りを見回すと、
入口からは死角になる席で、盛大に机に突っ伏しているしぃを発見した。
( ;^ω^)「あれ…」
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:55:46.52 ID:S/o8LsEd0
- 小走りに近寄って状態を確認。ターゲットは寝息をたてている。
涎は…垂れてないな。しかし起きた時に顔の側面が赤くなりそうな寝方だ。
あーしぃちゃんって寝てりゃ可愛いの典型だな、うん。ちがくて。
彼女はこの次の講義が入っていた筈、しかも必修の。起こさなければ。
( ^ω^)「…しぃちゃーん?」
名前を呼ぶ。
(*- -) スピー
起きない。ならば、
( ^ω^)「おーい」
肩を掴んでゆっさゆっさと揺さぶる。
しぃちゃん次講義だろ寝るなお。起きるお。やばいお。
(*- -) ンガッグググピー
( ^ω^)「起きないお」
はて、どないせやう。流石に女の子を叩いて起こすのは気が引ける。
あ、僕ちゃんとしぃちゃんの事を女の子として認識してんじゃん。
やったねしぃちゃん。君は女の子だ。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:57:29.98 ID:S/o8LsEd0
〜♪
(*- -) クピー
( ^ω^)「…おやすみお」
耳元でCarol of the Bellsを小声で歌っても起きない。
まぁ、ここまで気持ちよさそうに寝てるのを起こすのも忍びない。
と自分で自分を納得させて、僕はその机から離れて行った。
取りあえず、目が覚めて見つかった時の事を考えると面倒だから、サークル棟で暇でも潰そう。
借りる本を適当に見繕って、カウンターに持って行く。
('、`*川「三冊ですね、はい。期限は5月14日までだからね内藤君
後、図書カードの有効期限が過ぎてたから新しいのと取り替えといたから」
( ^ω^)「おっ、ありがとうだお」
鞄の中に押し込めて、早足で図書館出入り口へ向かう。
5月14日か、何だか彼があの台詞を言いそうな日だなぁとか考えながら。
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/29(金) 00:58:31.07 ID:S/o8LsEd0
恋われたいようです ./1/
足して十になる物理/2/ END.
戻る//3/