(*゚ー゚)恋われたいようです( ´_ゝ`)

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:04:13.59 ID:x/jT4GZ30



こねて、こねて、考える。

どうしたら、おいしくなるのか。



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:06:02.11 ID:x/jT4GZ30



パン屋の邂逅 ./6/



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:07:15.99 ID:x/jT4GZ30
−しぃ−


(*゚ー゚)「ほらこっちこっち! 早く来てー早く来てー」

( ´_ゝ`)「これで勝つる?」

(*゚ー゚)「タイムサービスにね、さあ行くわよー」

どっせーい! と掛け声と共に扉を勢いよく開け放つ。
木目が浮き出たセンスのいい質素なデザインの部屋が私達を迎え入れる。
窓を覆う白いレースのカーテンは、きつ過ぎる日光を柔らかくしてくれていた。
煌びやかな、目に痛いような飾り気はなく、逆にそれが安心感をもたらす。

その場所に、私達以外の客は、いない。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:09:17.64 ID:x/jT4GZ30
(*゚ー゚)「あれ…?」

( ^ω^)「どうしたんだお?」

つま先立ちになって、カウンターの奥まで確認する。
店員すらいない。厨房からも音はしない。若干の不安を覚える。

(;゚ー゚)「な、なんで私達以外に誰もいないの? まさか今日定休日…」


「おーよく来たなお前ら! 待ってたぜ!」


(*゚ー゚)「んえ?」

ババーソと言う効果音と共に、それは現れた。
頭上には1mは越えるのではないかと疑う程長いコック帽。
そしてその若く瑞々しい肢体をその陽光の下に惜しげもなく晒すそいつはまさしく、

(;゚ー゚)「へ、変態!」


ボディービルダーが取るようなポーズをする。

( ・∀・)「奥様方には好評なんですが」

コック帽と白いエプロンのみを身に付けた変態だった。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:10:56.69 ID:x/jT4GZ30

( ・∀(#)「いやっははは、手痛い歓迎だぜ」

(#゚ー゚)「取りあえず服着て来なさい」

( ・∀(#)「おk把握」

変態はすごすごと奥のほうに消えて行く。
心なしかコック帽までへたれている。
私は後ろの二人を睨みつけた。

(#゚ー゚)「で、説明してもらいましょうか?」

( ^ω^)「んな事言われても…」

( ´_ゝ`)「説明する暇もなくしぃが突っ込んで行ったんだよ」

(*゚ー゚)「もうそれはいいから説明plz さっきのあの変態は何?
    何で誰もいないの? 今から町が霧に包まれてサイレントヒル展開?」

( ´_ゝ`)「ここは俺の先輩の店で、今日は特別に貸し切りな
      そんでさっきしぃが右ストレートでぶっ飛ばした人が俺の先輩
      あとそんな怖い事になったら俺は自殺する為に拳銃を探すわ」

( ^ω^)「僕はフラグを見つける為に走り回るお
       何ならいっそナースでも構わない」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:13:05.90 ID:x/jT4GZ30
脱線した話に華が咲き、ようやく変態の存在を思い出した時には10分過ぎていた。
まだ着替えてるのかと言う私の問いに兄者がそうなんじゃない? と曖昧に返す。
内藤が男だって身嗜み整えるのには時間がかかるお…と呟いた。

(*゚ー゚)「あなたに整えられる程の身嗜みがあるの?」

内藤は泣き崩れた。
それから更に5分程経ち、内藤がようやく泣き止んだのを皮切りに、
変態の様子を誰か見て来い、むしろ連れて来いと言う話になる。

( ´ω`)「僕はまだ無理だお…動けないお」

(*゚ー゚)「それじゃあ兄者、いってらっしゃい」

( ´_ゝ`)「何故俺が」

(*゚ー゚)「あなたの先輩なんだし、適任だからよ、さっさと行ってらっしゃい
     それともあなた、女の子に男の着替えを覗かせる気?」

( ´_ゝ`)「しぃなら別に問題無」

ふざけた事を言う口を塞ぐ為、カウンターの方向に巴投げでぶん投げた。
何か硬質なものがいくつか割れるような音が響いたが気にしてはならない。

あのセクハラへの損害賠償だ。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:15:02.53 ID:x/jT4GZ30

( *・∀・)「ごめん…鏡の前に立ったらつい自分の美しさに見とれて…」

まるで遅刻した時の逸脱な言い訳を考えろスレからそのまま引用してきたような台詞だ。
しかしこの変態だと、それが冗談なのかどうかわからない。
寧ろ八割方本気のようにも見える。さっきの怪我はどこに消えた。

(*゚ー゚)「もっかい殴ってあげようか? 次は前歯ロストさせてやるわよ」

( ・∀・)「ごめんなさい」


それから試作のパンとケーキとクッキーをもらって食べた。内藤は皆の2倍食べた。
紅茶で一服していると、ケーキの感想があったら言ってくれと言われたが正直困る。
パンもケーキもクッキーもおいしかった。それだけだ。
グルメ評論家でもない、ただの素人の私はそれしか言えない。

( *・∀・)「いや、いいんだ。そういうのが嬉しいんだから」

そう言って、鼻歌を歌いながらカウンターの奥に消えて行った。
夕食をごちそうしてくれるらしいから、素直にいただこう。



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:16:38.30 ID:x/jT4GZ30
ベランダの小さいテーブルの上に焼き立てのピザとクロワッサン。
そして内藤のリクエストで洋風伊風の食べ物が並ぶ机に鍋焼きうどんが乗せられた。

( ^ω^)「おおおありがとうだお!」

( ・∀・)「いいよいいよ、うどんとか久しぶりだし」

二人はあまり物の並びを気にしないタイプらしい。
パン屋がパン生地をこねるのはうどん粉をうつのと似ているのかと考える。
てかちょっと待て、ピザの香りとうどんのダシの香りでこの場が程良いカオスに。

(*゚ー゚)「あれ? あんた誰に電話してんの」

( ´_ゝ`)「寿司屋、開店祝いに俺からの奢りだよー」

( ^ω^)「兄者ってば太っ腹!」

( ´_ゝ`)「ははは、この本物め、ちなみに特上」

( *・∀・)「マジで!? すっげー俺後から金くれとか言われても絶対払わないから!」




そしてテーブルの上には特上寿司とケーキとピザとパンと鍋焼きうどんが並んだ。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:19:07.75 ID:x/jT4GZ30
内藤がうどんを飲み、私がピザを齧る。
モララーと名乗った変態は、今は兄者にピザの感想を聞き、それをメモっている。
スパイスの量がうんたらかんたらと言う話を聞いても料理音痴の私は全くわからない。
興味もないので、口に含んだピザをそのまま飲み込み、ケーキに手を伸ばした。


( ^ω^)「…で、タイムサービスってのはあの格好の事だったのかお」

( ´_ゝ`)「お前は客足をどうしたいんだ」

( ・∀・)「だから言ったろ、奥様方には好評なんだって」

( ^ω^)「僕らは引いたお」

怒りを通り越して呆れてきた。
ケーキも顔もいいんだから、普通にしたらいいのに。

(*゚ー゚)「調子に乗ってるといつか足元をすくわれるわよ」

( ・∀・)「いやもう君に救われたから、今度からもうやらないよ
      これは新装開店記念のおばさん向けのサービスって事で」

それでいいんだろうか。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:21:16.73 ID:x/jT4GZ30
( *・∀・)「じゃじゃーん! 伝説の焼酎『魔王』!!!」

( *^ω^)「開ーけーろ! 開ーけーろ! それイッギぶぁぐごば」

食べて騒いで酒買って飲んで。



暗くなって、泊めてもらう事になった。
男3人に女1人とかそれなんて輪姦フラグ? と思う諸氏もいるだろうが、
そんな犯罪が起こるのはTVと二次元だけだ。

大体、モララー先輩は既に婚約者がいるらしい。
そんな気の迷いも起こさないだろう。



(*゚−゚)「結婚…か」

彼は、兄者はどうなんだろう。
そう言えば、王様ゲームで告白した時の返事。

まだ、聞いていない気がする。



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/27(水) 23:28:10.18 ID:x/jT4GZ30



恋われたいようです ./1/
足して十になる物理/2/
夢の泡沫に添えて./3/
一定の連続存在 /4/
覚えておいて花 /5/

パン屋の邂逅 ./6/     END.



戻る/7/