(*゚ー゚)恋われたいようです( ´_ゝ`)

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:13:25.85 ID:y/pBlIL70


数週間後、2人の中学生の捜索届けが出される。

ジョルジュ長岡と斉藤またんきは素行が悪く、誰も気には咎めなかった。






そして数ヶ月後、



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:15:25.44 ID:y/pBlIL70



冒涜的な唄\



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:18:50.25 ID:y/pBlIL70




それは四角形の夢だった。

荒々しい夕立の中、いかつい顔をした男の人が運転する車に乗る。
両脇を黒いスーツに身を包んだ人達に囲まれて、黒い布で目隠しをされた。
ざあざあと硝子に叩き付けられる雨粒と不安感に押し潰されそうなる寸前、やっと車は止まった。
目隠しをされている私は、そこが目的地なのか一時休憩なのか判らない。
エンジンを切った事から、赤信号で止まった訳ではないようだけど、

『歩け』

くぐもった声が命令してきた。

手を引っ張られて、よろけながら降りた私は、両肩を抱えられながら連行された。
下は土のようで、雨が降ってぐちゃぐちゃと汚らしい音を立てている。
靴が汚れそうだとか、スカートに泥が跳ねないかとかは考えていなかった。
ただただ、怖かった。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:23:01.57 ID:y/pBlIL70

いつの間にか、夕立は止んでいた。
遠くのほうで、雷の音がするのが少し聞こえた。

固いコンクリートのような地面を踏んだ時、ようやく目隠しを外される。
意外にも優しい手付きで、髪に引っ掛からないようにするすると解かれた。

そうして一番最初に目に入ったのは、白い霧に埋もれた大きなお屋敷。
それから、浮かび上がるように細い半円を模った植物のアーチだった。
アーチの先の、見える範囲内の敷地は、一面が薄茶色の煉瓦で覆われている。
雨に濡れて、土が露出しているのかどうかの判断はつかない。

とんとん、と肩を叩かれて振り返った。

/ ゚、。 /

そこには、綺麗な顔立ちの、きつい目をした女性らしき人。
細い体躯に、クラシックスーツを着こなしていて、格好いい。

:::(:::::::::::::::::::):::::::::::::::::

乗ってきた車の中にも誰か見えたが、こちらはスモークがかかっていて見えなかった。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:26:37.19 ID:y/pBlIL70

車はエンジンを再稼働させると、霧の中へ埋まって行った。
走行音が聞こえなくなると、彼女から声をかけられる。

/ ゚、。 /「さ、行こう」

雰囲気に似合わない、優しい声。
気がつけば、私は差し出された彼女の手に、自分の手を重ねていた。
鈴木と名乗った彼女の手は暖かく、柔らかい。

/ ゚、。 /「……」


霧のような雨にうたれて、二人で進む。
今日は霧が深いから迷わないように、と繋いだ手が気恥しい。
手繋ぎにある種類の羞恥を感じる人は、同性でも異性でも同じだと思う。

霧のような雨にうたれて、湿っている上着が鬱陶しかった。
靴は既に水溜りを踏んで、ぐしょぐしょに濡れそぼっている。
あの屋根のある場所に着くまでに、肌着に水気が到達しなければいいのだが。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:30:00.99 ID:y/pBlIL70
  !   .|  |       __,,,ッー,、
  |   .| .|   ._,,,,,-‐'''゙ン'′ ‘i、、 
  |   .|,-←""^  .,,-'ン~ヘi、、 `'i、 
-‐'.|   l゙     ._,r彡'",,/゙,ヽ,,`\、`'i、 
  =---"  _,,,,,/,ソ"  ,i´ |  ゚i、 `'i、 `'-,、
: ^''ー-ニニ'''゙゙゛ ゙″   .|''''ート--エ   `ヽ、`┐
 :  : :  ⌒'''‐ ,!    i、  | .,/    |.,,,゙‐'′
 .,i´,!  __  .|    .゚'''ー‐'"     ヽ,"ハ-,,、
 |  |  |゜ .) |                、 `゚''ヘ,|`,!
: j,,''''i、  l゙ l゙  |  : ,r'¬ニ''ニ¬,!―┐ .| ., ._ " .|
  `''''  ゙{二,,,、|  z'、,)┬ニ-゙l=vミiis,〕 .ト |.} .|゙l  |
 :  : :      |  | .゙ll゙  .|_| .''ト.|.|| | 〈リ ./リ、 | :
: ,  !  i、、 、|  |、,ト `,[__: |,,,,,,|、|゙l| | 、 : "'′.|  : : :
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: : : : : : : : : ′: : : : : : :    : : : `'"'`



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:33:16.42 ID:y/pBlIL70

大きな扉を開けて、真っ赤な絨毯の上を歩いて、くるくると目を回しそうな程に長い螺旋階段を下りる。
辿り着いた扉の前では、まるで中世の絵画から抜け出して来たような――鎧を着て槍を構えた――
人達が、門番…扉番をしていた。
鈴木さんはその人達を二言三言交わすと、先に行っておいでと私に言った。


ノ [ニiニ]      ゴゴォ…―…… ン        [ニiニ] ヽ


おろおろとする私の前で、扉が重々しい音を立てて開かれる。
中央で扉を遮るように交差されていた槍も、同時に地面から直立した状態となる。
がしゃんと音がして、番人達は左右対称に敬礼の構えを取る。
敬礼は左手でするものだと聞いた事があるけど、詳しい事は私には分らない。
軽く会釈をして、そこを通り抜ける。

その先には、豪勢な造りの六角形の部屋があった。
備え付けの家具も、ちょっとした飾りや備品も、一目で高価とわかるものばかりである。
紅褐色で、木目が美しく緻密なものはマホガニーが使われていると彼から聞いた。
マホガニーは、主に家具材や建築の内装仕上げ材とされる。
センダン科の常緑大高木。北アメリカ南東部・西インド諸島原産。熱帯各地で栽植。
確か、彼はそう言っていた。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:37:28.49 ID:y/pBlIL70

歩き疲れて、雨で冷えて、痺れてきた足を休めようと近くの椅子に腰かけた。
そして、座ってから服が濡れているのに気付き、慌てて腰をあげる。
こんな高そうなものを汚したら、きっと怒られる。
何度も何度も、撫でて確認する。
幾何学模様が描かれた、さらさらとした高価な布地は、湿ってはいなかった。

『何をしているのかね』

ほっと溜息を吐いた瞬間、後ろからかけられた低い声に硬直した。
ぎりりと螺子の巻きが甘いからくり人形のように、ぎこちない動きで振り向く。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ

確認出来たのは、頭からすっぽりと真っ黒なフードを被った男の人。
声に怒気は感じられないけど、状況が状況なだけに緊張する。

どれくらいそうしていたかわからない。
手汗をぬぐおうとスカートの端を握り、服が乾いているのに気がついた。

フードの人は、小首を傾げる動作をした。
自分もつられて、首を傾げる。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『ふふ』

フードの人がくすりと笑う。

布地の隙間から手だけを出して、ちょいちょいと招く動作をする。
私はそれに従った。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:40:31.87 ID:y/pBlIL70

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『おいで』

フードの人は、入って来た扉と平行する面にある扉を開けて、さっさと行ってしまった。
小走りでそれを追いかけ、閉じかけている扉の前で止まる。
その先は今居た部屋とは違い、光の欠片もない真っ暗な場所だったからだ。
進むのを躊躇し、だが、このままだと扉が閉じてしまう。
私は勇気を出して、扉の隙間に身を滑り込ませた。
私が出て行く直前、他の五面の扉が開いたようだった。


ぼすん


/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『……』

真っ黒なフードが闇にとけてわからなかったが、フードの人は扉を出てすぐの場所に居たらしい。
姿が見えないから、先に行ってしまったのだと思いこみ急いだ自分の早とちり。
頭から思い切り突っ込んでしまった。

飛び退って、後頭部を扉に打ちつけて。
うんうん唸りながら頭を抱えます。
その様を見て、フードの人は手を口元にあてて笑いました。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『ふふっ』



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:44:25.38 ID:y/pBlIL70

真っ暗な部屋だと思っていたものは、どうやら廊下だったようです。
フードの下から何かを取り出し、シュッと音がしたかと思うと淡い灯りが出来ました。
それは携帯用のランプ。カンテラでした。
そうして自分達を中心に、半径5m程が見えるようになりました。

かべは冷たさを感じさせる石造りで、少し湿っているようでした。
廊下は途中から3つに道が分かれていますが、その先は暗くて見えません。
光の届かない奥のほうはどうなっているのか、全く分かりません。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『こっちにおいで』

そう言って、カンテラを持ったほうの手で手招きしました。
カンテラはゆらゆらと揺れて、中の灯油が零れそうです。
灯油と一緒に、炎も一緒に揺らめきます。ぐらぐらと。

私はそれが危なっかしくて思えて、フードの人の後を走って追い掛けました。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:48:13.52 ID:y/pBlIL70
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
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;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;

ひんやりした空気が横を通り抜けて行く。
この屋敷の中に入ってから、一度も階段を昇った事はない。
一体、何処まで降りるんだろう。

そう思った時、ようやく足元に段差はなくなりました。
少しふかふかしています。
どうやらカーペットか何かのようです。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『入って』

フードの人が私に声を掛けました。
カンテラに照らされた先には、既に開けられた扉があります。
扉の向こうは、暗くて見えません。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽη゙

フードの人が手を翳すと、ぱっと目の前が明るくなりました。
一瞬で、扉の向こうの部屋が見えるようになりました。
まるで手品か、魔法です。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:52:40.88 ID:y/pBlIL70

最後に辿り着いた部屋は、遠い未来のような、古い古い大昔のような、不思議な造りをしていました。
部屋は卵型のような形で、天井の一番高い所、部屋の中央の天井からは、
緑色に光る大小様々な宝石のようなものが、黒い糸のようなもので沢山吊り下げられています。

部屋の壁にはよくわからない線が走り、決まった場所で六角形や四角形を描いています。
部屋の上のほうにある窓のような部分は、淡く光り、八角形の形をしています。
部屋の下の部分にも、線が走り、一定の間隔で凹凸があります。
そこで私は、この部屋に丸いものがない事に気がつきました。
近未来的に感じたのは、この所為かと一人で納得します。

まるで一昔前のポリゴンのように、かくかくとした部屋なのです。
理解の出来ない、丸見を感じさせない部屋なのです。

複雑な、それでも均等なメロディラインのように、この部屋は存在しています。
そう、この部屋自体が、幾何学模様を模っていたのです。

よくわからない感銘を受けている私に、フードの人が声をかけました。
手には、何か光を反射するもの、鏡のようなものを持っています。
私がそれを覗こうとすると、フードの人はひょいとそれを頭上にあげてしまいました。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ「これはno:/@.-トl'*>"nの鏡と言って、過去を見せてくれるものだ
      けど危ない物だから、ここから動いてはいけないよ、出来ればでいい」

聞き慣れない、聞きとれない単語がありました。異国の言葉でしょうか。
その次に続いた動いてはいけないとの言葉に、思わず身を固くした私を見て、男はそう続ける。
頷いた私を見て、彼は私の後ろに居る人に、何かしらの合図を送りました。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:56:06.05 ID:y/pBlIL70

いつの間に、あの長い階段を降りて来たのか。
鈴木さんが、大きなソファのような、高級そうな肘掛椅子を持って来た。
続いて、黒服の男の人達がテーブルやポットを運んで来る。
テーブルの中心に鏡を置いて、カップに紅茶を注いで、お皿にクッキーを乗せて。
場所が不釣り合いにも程がある、即興のお茶会が完成した。

私は鈴木さんに手を引かれて、持って来てくれたソファに体を沈める。
あまりにも沈むので、まるでソファに飲み込まれそうな感覚に陥った。
が、ソファは普通に私の体を受け止めて存在している。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『それじゃ、そろそろ見ようか』

蒸された紅茶の葉が、ダージリンの香りを広げる。
フードの人は、続けて異国の言葉を喋る。
まるで唄っているかのようだ。
知らない言葉だからか、呪文のようにも聞こえる。

フードの人の声に連動するかのように、鏡面が、まるで水面のように波打った。
それを抑え付けるかのように、隠すかのように、フードの人は鏡の上に手を乗せた。

呪文はまだ続く。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 00:59:31.36 ID:y/pBlIL70


/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『よし』

紅茶が冷めて、立つ湯気が見えなくなった頃に、ようやく詠唱は終わった。

ささやき えいしょう いのり ねんじろ

む、今何か電波を受信したが。関係ないにも程がある。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『これでもう大丈夫、覗いてごらん』

小さなテーブルの上に身を乗り出して、ちょいちょいと手招きする。
顔が近過ぎて、フードの下に隠れた顔に、私の吐息がかかりそうだ。
ばくばくと激しく動悸する心臓に手をあてる。
こくこくと脈拍に合わせるように頷くと、フードの人はやっと身を引いた。

座ったまま見た鏡は、光を反射しない。

中腰になって覗く。光を飲み込む鏡面。

立って真上から覗いて見る。静かな湖面。




そして平面が、ぐらりとゆらいだ。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:05:35.22 ID:y/pBlIL70

从#゚∀从「ああ全く! なんだって言うんだ!」

( ;・∀・)「落ち着け、落ち着くんだハイン」

从#゚∀从「これが落ち着いてなんかいられるか!」

( ・∀・)「だから暴れたって、どうにもならない。警察には一応届けを出したし
      探偵も使っても結果はシロ。医者も、君が疲れてるだけだって…」

从 ゚∀从「違う、本当だ。本当なんだ。みんな怖いから気付かないフリをしているんだ」

( ・∀・)「…疲れが見せる幻覚だよ、ハイン。休むんだ」

从 ゚∀从「すぐ傍にいるんだ。すぐそこに居るんだ。窓の外にいるんだ。窓からこっちを見てるんだ」

( ・∀・)「それは気の所為だよ」

从 ゚∀从「あの手紙は、手記は、日記は、きっと見ちゃいけないものだったんだ
      だから俺は朝も夜も昼も、夢の中でさえ見られている、監視されている」

( ・∀・)「今日は寝よう、ハイン」

从 ゚∀从「夢の中でも追い掛けて来るんだよ、モララー。何処までも、何処までも
      眠りは休息じゃない。あの日から悪夢しか見ない。寝ても変わらない」

( ・∀・)「悪夢が怖いなら一緒に寝よう、なぁ」

从 ゚∀从「寝ても覚めても変わらない。起きても悪夢、寝ても悪夢、現実が悪夢
      ああ、もしかして起きてると思い込んでるこれ自体が夢なのか? なぁ、モララー」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:08:57.74 ID:y/pBlIL70

从 ゚∀从「終わらない終われない終わらせてくれ、誰かお願い誰でもいいから揺り起して
      こんなに長い夢なら、きっともう朝は過ぎてる筈だ。空腹だって感じてる筈だ
      昨日は私が朝食を作ったから、今度はモララーの番なんだ。絶対サボるなよ
      ああ早く、寝過ぎだぞって怒りながらでもいいから私を起こして、俺を起こせ
      声で起きないなら額を、肩を、体を叩いて。でも腹は駄目だ、子供がいるから
      それでも起きないなら、いつも朝に食べてるハムエッグトーストを持って来て
      きっと、香ばしいパン生地の匂いと、焼いたハムの香りで目が覚めるから
      それでも覚めなかったら、起きなかったら、醒めなかったら、ああ、怖いよ」

( ・∀・)「ハイン」

从 ;∀从「すぐ傍にいるんだ。すぐそこに居るんだ。私の隣にいるんだ。私の中から見てるんだ
       きっとこれは夢だ。夢なんだ。私は今家にいるんだ。母親だっているんだ。父さんも
       暖かい布団の中にいるんだ。怖い映画を見てしまったからこんなものを見るんだ
       友達の話を聞いて感化されて、結婚生活なんて夢見たから、こんな夢を、悪夢を
       だってそうだ、愚図で、のろまで、要領の悪い私が、警察官になれるだなんて、嘘
       刑事物の映画の女性警官に憧れて、その日見た夢の続きなんだ、きっと、これは
       夢だから、良いのも悪いのもごっちゃなんだ、悪夢じゃないんだ、悪夢なんだ、うあ
       頼みますお願いしますお願いだから神様いい夢だけを見させて、お願いだから…」

( -∀-)「はぁ………」

最早、言葉として意味を成さない、単語の羅列を吐くだけの機械になったハイン。
モララーと呼ばれた男は、そんな妻の姿を視界から閉め出すように瞳を閉じた。

そして、次に目を開いた時。
明らかな軽蔑と侮蔑と嫌悪が入り混じった視線を、己の妻に向けて、

( ・∀・)「別れよう、ハイン」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:12:22.94 ID:y/pBlIL70

( ・∀・)「お腹にいる君の子供の責任は取る」

( ・∀・)「向こう6年分の生活費は僕が出そう」

( ・∀・)「君の医療費も、僕が負担しよう」

( ・∀・)「役所への届けも、病院の手続きも僕がしよう」

( ・∀・)「両親には、うまく言っておこう」

( ・∀・)「僕の代わりに、メイドを何人か雇わせよう」

( ・∀・)「足りないと感じたら、勝手に増やしてくれて構わない」

( ・∀・)「勿論、メイド達の給料は全て僕が払おう」

( ・∀・)「この家も君にあげよう」

( ・∀・)「僕の買った、あの車も君にあげよう」

( ・∀・)「家の税金も、車も、僕が全部前もって支払おう」

( ・∀・)「保険金は、怪しまれるから出来ないけど」

( ・∀・)「お金だけなら、いくらでも出そう」

( ・∀・)「これから注ぐ筈だった僕達への子供と、君への愛の代わりに」

( ・∀・)「さようなら、ハイン」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:16:31.42 ID:y/pBlIL70

そして独りになった女の姿は、水に溶けて薄くなり消えていった。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『どうだい?』

フードの人が、私に問い掛ける。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『これが、君が知らない、君の両親の過去だけど』


/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『これを見た感想は?』

私は、心の中に浮かんだ、率直な感想を述べる。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『うんうん、そうかそうか』


/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『それじゃ、君の決心は変わらないんだね?』

頷く。

/;;;ノ;;;;;;;;ヽ『わかった』



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:19:42.62 ID:y/pBlIL70

そうして、次第に視界が白くなってゆく。

『君は、流産したと言う事にしよう』

いや、これは白じゃない。

『あの狂ってしまった母親の事だ、簡単さ』

色ではない、光っている。

『だから、何も心配しなくていい』

私を取り巻く全てのモノが、光り輝いているんだ。

『私は、君の願いを聞き届けられたかい?』


しっかりと頷いた。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:22:15.35 ID:y/pBlIL70
 


























 



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:25:18.80 ID:y/pBlIL70

数少ない行事である、VIP大学祭。
とは言っても、学生の大半が参加しないと言う、祭りの意味が問われるものだ。

時計の秒針の動きを目で追っていたら、とんとんと肩を叩かれた。


茶道部から借りた着物を着たしぃが、その場でくるりと一回転する。

(*゚ー゚)「これだったら着ててもいいわ」

剣道部から借りた和服を着た内藤が、その場で竹刀を振り回す。

( ^ω^)「おっおwwww悪即斬だおwwwww」

自前の白衣の裾を掴んで、放る。

( ´_ゝ`)「結局俺は普段着か」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:28:54.17 ID:y/pBlIL70

( ^ω^)「それでみんなの家族は学祭に来るのかお?」

竹刀を腰の帯に差す内藤、色々とみっちみちだ。
きつくはないのだろうか。

(*゚ー゚)「私んとこは兄が来るわ、お母さんとかは忙しくてこっちまで来れないみたい」

回転をやめて、ぴたっと止まる。
スカートの裾のように、慣性に従って、着物の裾が舞い上がる事はなかった。


( ´_ゝ`)「俺の所は、」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:32:40.56 ID:y/pBlIL70





            「弟と姉が来るぞ、正直来てほしくないが」





47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/06/22(月) 01:33:42.05 ID:y/pBlIL70



ぜろぶんのいち
『1』について

胡蝶の夢/1/
どんまい/2/
お部屋 /3/
消える/4/
家族 /5/
君を/6/
狂 ./7/
歪/8/
Y/9/
I/1/0

ぜろぶんのいち
『0』について

昔\
過去\
紛い物\
壊れたい\

冒涜的な唄\           END.



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