( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです

159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/25(月) 23:23:18.22 ID:XEQSdgst0
―6―

ξ゚听)ξ「そんなことがあったのですね。お兄様も隅に置けませんね」

(´・ω・`)「本当に。最初からクーデルカの正体を知ってたんだもん」

午後三時頃。ブーンは帰途へつく、ショボンが運転する車の中に居た。
行きと同じく、揺れが激しく、煙草の匂いも手伝って吐き気を催していた。

(;^ω^)「最悪だお! この車! もっと丁寧に運転したまえお」

ξ゚听)ξ「お兄様は、過去に既にクーデルカに出会っていたのですね。
      あれから程なくしてお母様が亡くなられました。それで会えなかった」

( ^ω^)「・・・別に黙っていたわけじゃない。言い出せなかっただけだお」

ブーンは窓の外へと視線を遣った。遠くには太陽の光を反射させる海原が見える。
クー街一体に及ぶ呪いは解かれた。ようやく夏の暑さを取り戻したのである。



160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/25(月) 23:23:37.19 ID:XEQSdgst0
(´・ω・`)「で、あれから彼女はどうなるんだい?」

ζ(゚ー゚*ζ「クーさんは、類まれなる非常に強力な影です。
      乙女には秘密がたくさんあるから、満ちきれなかったんですの。
      けど、彼女はもう悪いことをしないと思います。寝顔が綺麗だったですの」

(´・ω・`)「問題は、今後彼女が失恋した事実を知ることだね。
      ブーンとデレさんは、“清純な”付き合いをするんだろう」

( ^ω^)「クーなら大丈夫だお。彼女は脆いけど気丈な性格だお」

ξ゚听)ξノ「その辺りに思うことがあるので、少し失礼します」

助手席に座るツンが、小さく手を上げた。何か意見があるようだ。

ξ゚听)ξ「・・・何故、デレが一緒に車に乗っているのですか?
      貴女が帰る場所は、私達と違う場所だと思うのですが」

つんつんとした態度で、ツンは後ろで肩を寄せ合っている二人を一瞥する。



161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/25(月) 23:23:55.81 ID:XEQSdgst0
( ^ω^)「それはね。僕はデレと一緒に暮らそうと思うのだお!」

ξ;゚听)ξ「はあ!?」

間の抜けた声が車内を満たした。何を言っているのだ、この駄目兄は。
ちょっと理解出来ない。一緒に暮らす。同棲するつもりなのか。
それならば、影であるデレを家に迎え入れるということである。
冗談ではない! ツンはヒステリックな声を上げた。

ξ#゚听)ξ「何を仰っているんですか! 私は許しませんわ!」

( ^ω^)「ツン。今回の一件で、僕は愛を知った。この気持ちを大事にしたいんだお」

ξ゚听)ξ「・・・・・・」

( ^ω^)「そして、明日から僕は仕事をしようと思う。デレと同じ探偵業だお。
       表の姿は探偵。でも、裏では良からぬことを企む影の退治師だお!」



163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/05/25(月) 23:24:22.96 ID:XEQSdgst0
ζ(>ε<*ζ「それは素敵なことですの。ますますブーンさんを好きになりそうですの!」

ξ゚听)ξ「ショボンさぁーん・・・・・・」

涙目になりながら、ツンはハンドルを切るショボンに助け舟を求めた。
しかし、彼は「ははは」と乾いた笑い声を漏らしただけであった。

( ^ω^)「食堂で見つけた紙。何か巨大な陰謀がありそうだお」

ζ(゚ー゚*ζ「ですですの。あたし達はそれを食い止めねばなりません。
      エル・オー・ブイ・イーの力で、世界をきらきらと輝かせるのですの」

車は街へと進む。これからどのような運命が待ち受けているのだろうか。
ささやかな希望と不安を乗せて、彼らは心の旅を始めたのだった。

――――夢色のあめ玉は、音を立てずに、さらさらと消えていった。

二十一グラムはあめ色の夢を見る 了



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