( ^ω^)奇人達は二十一グラムの旅をしますようです

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:22:51.67 ID:zCzmOdzU0
あ、ここからツン好きな人は気を付けて下さい。
今のうちに謝っとくます。フヒヒ、サーセン。




241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:23:18.48 ID:zCzmOdzU0
―8― 1995年 午後十四時 内藤邸

ξ*゚听)ξ「あのね。私、大きくなったらお兄ちゃんのお嫁さんになるの!」

内藤邸のリビングで、一人の少年と、まだ五歳になるツンが顔を寄せ合って、絵を描いて遊んでいる。
今日は日曜日で、学校や幼稚園は休みである。二人は外で遊びたかったのだが、生憎の雨模様だった。
仕方なく、邸で過ごしているのだ。しかし、遊びというものは、いつしか飽きる。二人だってそうだ。

ξ*゚听)ξ「ううーん。何か別な事をして遊びましょ。お兄ちゃん、おままごとしようよ」

( ^ω^)「おままごと?」

ξ*゚听)ξ「私がお母さんで、お兄ちゃんがお父さんね。この子は私達の子供なの」

ツンは玩具箱から一体のぬいぐるみ人形を取り出して、目の前に置いた。人形が子供役である。
それから、二人がままごとをして遊んでいると、リビングの扉が開いて一人の人間が入って来た。

リ|゚ -゚ノリ「・・・また散らかしてる。きちんと仕舞わないと、お母さんは怒るよ」

( ^ω^)「分かってるよ。それよりお母さん。夕食の買出しに行くんだよね。僕も行きたい」



242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:24:00.66 ID:zCzmOdzU0
ξ*゚听)ξ「私も行きたーい。おままごとの続きは、また後でね」

リ|゚ -゚ノリ「それなら、一旦玩具を片付けなさい」

ξ*゚听)ξ「はあい。お兄ちゃんも手伝ってよ」

( ^ω^)「どうして僕まで」

二人が玩具を箱へと片付けていると、母親はタクシー会社へと電話した。二人の子供を連れて行く。
徒歩では街に下りられない。モナーには休暇をやっていて、今日は仕事に来ていない。父親も仕事だ。
玩具箱に仕舞い終え、しばらくすると邸内にインターホンが鳴り響いた。兄妹は顔を見合わせる。
玄関ホールへと向かう母親の後ろを、ブーンとツンは追いかけて行った。買い物に行くのである。

/ ,' 3「これはこれは奥様。ご機嫌うるわしゅう。お久しぶりですな」

リ|゚ -゚ノリ「どうも。街まで頼みます」

門の外には初老の男性が立っていた。彼は荒巻といい、母親が贔屓にしているタクシー運転手だ。
モナーが居ないときは、いつも彼に電話をして運転を頼んでいる。母親は無愛想に挨拶を交わして、
タクシーの後部座席に乗り込んだ。彼女の両脇にはブーンとツンが座っている。タクシーが発進した。



244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:24:41.48 ID:zCzmOdzU0
/ ,' 3「お坊ちゃんとお嬢ちゃんの顔を見るのも久々ですなあ。ワシを覚えていますかの?」

ξ*゚听)ξ「知らなーい」

/ ,' 3 グサッ

( ^ω^)「覚えている。荒巻だろう。タクシーの会社を興したいと言っていた」

ブーンは少年のころから、偉そうな物言いをしていた。だが、このときは空気を読める人格である。

/ ,' 3「ほっほっほ。流石お坊ちゃんは理知的でいらっしゃる。旦那様の後をお継ぎになったら、
    ワシに少しばかり援助をして下さらんかな。いやいや。年寄りのお茶目な冗談じゃよ」

そう言って笑う荒巻だが、年老いた瞳には若干本気の炎が宿っていた。母親はため息を付いた。

リ|゚ -゚ノリ「どうでも構いませんが、運転は慎重にね。近頃、街では事故が多いと使用人から聞きます」

/ ,' 3「おっと。いかんいかん。そうなんじゃよ。平和な街なのに、おかしなこっちゃですのう」



245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:25:27.99 ID:zCzmOdzU0
荒巻が速度を少し落として車を走らせていると、窓の外に民家が疎らに見えるようになって来た。
ビップへと入ったのだ。母親は身体を乗り出して、街の南側にある書店まで行くよう、荒巻に言った。

/ ,' 3「おや。毎度の食料品屋に行くのではないのかの?」

リ|゚ -゚ノリ「折角、一緒に街に下りるのですし、子供達に本を買ってあげようと思う」

/ ,' 3「ほう! 良かったのう。お坊ちゃん達」

リ|゚ -゚ノリ「前見て、前」

/ ,' 3「いかんいかんいかん」

たわいない会話を、母親と荒巻が交わし始めた。ブーン達はつまらなくなって、欠伸を漏らした。
十分後。食料品屋に辿り着き、母親は荒巻に料金を支払って、子供達と手を繋いで車から降りた。
タクシーが去って行き、母親はブーン達の手を引いて書店に入った。街では一番大きな書店である。

従って、敷地面積は広く、多くの本棚が並んでいる。彼は母親から離れ、児童小説が置かれてある
本棚へと駆けて行った。ツンも兄を追いかける。本当にずっと離れることのない兄妹なのであった。



246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:26:27.19 ID:zCzmOdzU0
リ|゚ -゚ノリ「ふう」

滅多に感情の色を見せない母親が、疲れた様子で息を漏らして、書店内に居る人間達を見回した。
その中の一人に彼女の視線が注がれる。一見、普通の男性に見えるが、背中には黒い翼が生えている。
影だ。随分昔から母親には特別な力が備わっており、人間と影とを見分けることが出来るのである。

影の男性は書店の外へと出て行った。何も仕出かさなかった。彼女はもう一度小さく息を漏らして、
ブーン達の元へと近付いた。読書コーナーにて、ブーンは小説を読み、ツンは彼に寄り添っている。
ツンは兄離れをするのだろうかと、母親は心配に思っている。この二人は、いつもくっ付き過ぎだ。

しばし椅子に座って休憩をしたあと、母親はブーンが気に入った本と、付録つきの漫画雑誌を買った。
漫画雑誌はツンのためにである。書店を出て、馴染みの食料品屋へと母親は向かう。その中途のこと。
雨の中。信号待ちをしていると、側に止まっている自動車の中の光景が、ブーンの両目に映った。

父親だろう人物がハンドルを握り、その隣には母親が笑顔で腰を掛け、後ろには二人の兄妹が居る。
幸せな光景だ。雨の景色に飽き始めていたブーンは、その楽しげな様子が、とても羨ましく思った。
内藤家よりも格が低いのに、どうして多幸感に溢れているのか。どうして家族が揃っているのか。

( ^ω^)「お母さん。僕、もっと楽しいところに行きたいよ」

不意にブーンが愚図った。彼が不遜な一面を持っていることを知っている母親は、たしなめる。



247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:27:06.03 ID:zCzmOdzU0
リ|゚ -゚ノリ「駄目。そんな事を言っていると、此処に置いて行ってしまうよ」

信号が青になり、人々は横断歩道を踏み鳴らし始めた。母親とツンもそれに紛れようとするがしかし、
少年は依怙地になってその場から動かない。父親は育児に協力的ではないので、母親は参っている。
どうすれば彼が言うことを聞いてくれるのか、未熟な母親は困った。そうしていると赤信号になった。

リ|゚ -゚ノリ「・・・・・・ホライゾンは、何処に行きたいと言うの? 楽しい所って何処なの?」

( ^ω^)「それは、電車に乗って都会とか。この前に行って、楽しかったし」

この小さな街のビップから都会に足を運ぶには、電車に乗り、二時間ほどを要さなければならない。
夕食に遅れてしまうかもしれない。母親が断ろうとするが、ブーンは俯いたまま、動こうとしない。
大理石の像のようだ。母親は彼の一念に負けて、かくんと項垂れた。そのまま小さな声を絞り出す。

リ|- -ノリ「はあ。直ぐに帰るからね。夜には、お父様が帰って来るんだから」

ブーンはツンと顔を見合わせて喜んだ。あの車に乗っていた兄妹と同じ様に楽しく過ごせるのだ。
母親はツンを傘に入れながら駅舎への階段を昇る。ブーンは楽しさ余って、二人の先を進んでいる。
やがて、タクシーが停車している駅前まで着き、母親はそこを通り過ぎて、改札口へと向かった。



250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:27:48.01 ID:zCzmOdzU0
都会行きの切符を買い、三人は駅員に見せて改札口を通る。そしてホームに立ち、電車の到着を待つ。
雨の水滴が、レールを鈍く赤茶色にぬめらせている。三人の他の人間の姿は、疎らにしか居ない。
ビップの街の住人は閉鎖的なところがあり、わざわざ外の街にでかけようとするものは少ない。

自分の街で全てが賄えるのだ。小さな規模ではあるが、決して田舎でない街の長所と短所である。
それは別として、ホームにベルが鳴り響き、列車の到着を知らされる。遠くから電車がやって来る。
到着し、ややずれたところで扉が開くと、駅員が窓から顔を覗かせた。駅員の耳は紅潮していた。

ブーン達は無人の電車に乗る。長椅子に腰掛け、発車を待つ。扉が閉められ、ゆっくりと景色が動く。
直線に電車が進むが、先に山間に沿って大きなカーブがある。従って、速度を落とさないといけない。
だがしかし、速度は弛まなかった。それどころか、速度は増しているようだった。ツンが不安げにする。

ξ*゚听)ξ「・・・? 何だか、変じゃない?」

リ|゚ -゚ノリ「ちょっと待ってて。駅員さんの所へ行ってくる」

母親が駅員のところへ向かおうとするが、揺れが激しく動けない。突然、三人に浮遊感が襲った。
高速で電車がカーブに突入したのだ。母親がブーンとツンの身体を抱き締めて、衝撃に堪える。
ふわり。身体が宙を舞った。次いで耳をつんざく音と、身体が地面に叩き付けられる衝撃が走った。



251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:28:37.20 ID:zCzmOdzU0
・・・・・・。
大惨事となった。電車が脱線をして横転した。雲が晴れた夕焼けの下、母親は瓦礫に挟まれていた。
華奢な身体を乗せて、彼女はブーンとツンを庇っている。全身から血が溢れており、満身創痍である。。
事件が起こらない街の性質の所為か、救助は難航しているようだ。母親の命は、風前の灯火だった。

ξ; )ξ「苦しいよう」

ツンが呻き声を出す。幼い彼女には、母親の体重は重過ぎる。しかし、瓦礫に埋もれるよりはマシだ。
力を振り絞って、母親が鉄の残骸から這い出ようとするが、どうしても無理で地面に顔を付けた。
そのとき、頭上でじゃりと足音が聞こえた。彼女が見上げれば、そこには一人の少女が立っていた。

从'−'从「・・・・・・」

大人しそうな顔付きの少女――いや、幼児だ。背中からは小さな黒い翼が伸びている。影。
この影がやったことなのか。人間と影の区別が付く母親は、顔をしかめて少女に語り掛ける。

リ|メ゚ -゚ノリ「可哀想に。貴女がしたのね。・・・どうしよう。抱いてあげたいのに、身体が動かない」

从'−'从「私が、やったんじゃないよ。傍観してただけ。文句なら、愚かな、人間に言って」

(; ω )「“お”、“お”、“お”。お母さん。・・・この人は、誰なのだお」



252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:29:29.95 ID:zCzmOdzU0
リ|メ゚ -゚ノリ「今はじっとしておきなさい」

母親が優しく言い聞かせれば、ブーンは緩やかに意識を失い、混濁の海の底へと沈んで行った。
それを確認すると、母親は再度少女へと顔を上げた。大量の思念が絡まり、一人の人間を形成している。

从'−'从「貴女は、数々の影を、鎮めて来た。まるでユタ。その血は、二人の子供へと受け継がれる。
      私ね。この世界を、変えようとしているの。現在と過去との融合を。止めてくれるかな」

リ|メ゚ -゚ノリ「止めたいけど、止められないよ」

从'−'从「私は、死地も求めているんだと思う。そうすれば、苦しみから、解放されるもんね。
      ――ひとつ、勝負をしない? その二人の子供は、成長をすれば、影が見えるようになる。
      貴女は、無理かもしれないけど、どちらかの子供が、いつか私の前に現れる、気がするの。
      両方かもしれないけどね。兎に角、私の企みを止められるか、ひとつ勝負をしましょう」

渡辺は地面に落ちている玩具を拾い上げた。ブーンが母親から買って貰った小さな玩具である。
手に平に収まるサイズで、赤色青色黄色の三つのボタンが付属している。それらのボタンを押せば、
それぞれアニメキャラクターの声を鳴らせる陳腐な玩具だ。渡辺は目を閉じて、玩具を握り締めた。
玩具に不可思議な力が注ぎ込まれる。そして、渡辺は倒れているブーンの手に、玩具を返した。



253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:30:37.28 ID:zCzmOdzU0
从'−'从「私が、呪いを実行したとき、その玩具は、制御の働きをする。ボタンを、押せば良いの。
      ただし、正解は一つだけで、間違ったら一巻の終わり。私の望む世界が、作り上げられる。
      正しいボタンを押せば、私の負け。どう? 子供さん達は、私を止められるかな」

リ|メ゚ -゚ノリ「・・・・・・当然。私の息子と娘は、立派に成長をし、君の企みなど容易に食い止める」

从'ー'从「そう」

渡辺は微笑を残して姿を消した。事件を起こそうとする自分を、止めて欲しかったのかもしれない。
それは憶測なので、彼女の気持ちは正確には分からない。母親は傍らに居る子供達をつよく抱いた。
そうして彼女は目を閉じ、その命を絶えた。電車の残骸が消え、夕焼けの大地にブーンは足を着けた。

( ^ω^)「ははは」

オレンジ色に染まった以外は何も無い場所で、ブーンは壊れような笑いを溢した。少年の姿ではない。
青年の背格好である。記憶の中に、彼は入り込んだのだ。二度と見たくなかった母親の死に際を見た。
デレに見付けて貰って以来、今まで肌身離さず持っていた玩具を、ブーンはポケットから取り出した。

この玩具が解呪の装置である。三つの内、正解の色のボタンを押せば渡辺の呪いは失敗に終わる。
単純明快だ。しかし、ブーンには見当が付かない。彼は逃げるように、夕刻の道を歩き始めた。



254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:32:01.99 ID:zCzmOdzU0
( ^ω^)「人生っておかしい。たった一度の過ちで取り返しが付かない事態になるのだから。
      一度くらい良いではないか。子供のしたことだ。神様、どうかどうか許したまえ。
      キリエエレイソン。母親を返してください。母親は旅立つ僕の心を知っていました。
      成長をさせるために、敢えて茨の道を歩かせたのです。それも一つの優しさなのです。
      母親は僕とツンの成長を心残りに、影となってしまったのでしょう。無念でした。
      けれども、僕とツンは成長しました。特に僕は二十七歳にして幼年期を終えたのです。
      ずっとわがままばかりを言う子供でした。あのときの母親の笑顔の意味が分かりました。
      そう。笑っていました。きっと、安らかな面持ちで天国へと向かえたことでしょう。
      それでも人生はおかしいのです。この世は、電化製品のコードのようなものです。
      放っておけば何も起こりません。だけど、ふとした拍子に触ると絡まってしまいます。
      複雑になってしまう。出来ることなら触りたくない。ですが、黙ってはいられないときがあります。
      人間は動かなければならないときがあります。僕はそれを知らず、事件に飛び込びました。
      僕は奇人です。奇人達は二十一グラムの旅をします、ようです。というか、しました。
      そうして見て来たものは、忌むべきものばかりでした。汚物に触れた気分でした。
      僕はどうにかそれらを解決し、時折は絶望みながらも、徐に成長を遂げて行きました。
      母親の去り際を見ても、発作を起こさず、勇猛果敢に渡辺へと立ち向かえるまでに。
      ああ。神様。現在、デレのお腹には、僕の子供が宿っています。影でも子供が出来るのです。
      その子供のためにも、僕は未来を切り開かねばなりません。それがこの玩具のボタン。
      一体、どれが正解だと言うのでしょう。僕の手に、全世界の人間の命が掛かっている。
      気が狂いそうだ。むしろ、既に狂っています。どうにも、僕には正解が分かりません。
      神様なら知っているでしょう。さあ。さあ。さあ。その智慧を僕にお与えください!」

ブーンは立ち止まり、両腕を広げた。橙色の空を見上げ、狂人の形相でくるくると回る。
やがて、全身の力を失い、ブーンはその場で尻を着いた。汚れなど気にせずに、地面に寝そべる。



256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:32:39.69 ID:zCzmOdzU0
( ^ω^)「・・・・・・」

自分の左手を枕にして、ブーンは沈黙する。ようやくおかしくなった頭が醒めて来たのだった。
右手には、起爆を解除するための装置が握られている。ブーンは装置を自分の眼の前に遣って眺める。
どれを押せば解呪が可能なのだ。ヒントはないのか。ブーンは目を閉じて、渡辺の言葉を思い出す。

彼女は、瞼を閉じれば緑色が見えると言っていた。今際の際では、緑色が好きだと言っていた。
しかし、ボタンの色は、赤色、青色、黄色の三色で、緑色なんてものはない。きっと、関係がない。
ノーヒントなのだ。ブーンは微かに自分を嘲り笑って、空を仰いだ。夕焼けが大空を覆っている。

渡辺と神は、いたいけな青年に随分と過酷な試練を与えてくれるではないか。世界を救うのだよ。
セーブ・ジ・アース。狂っていやがる。そういうのは、小説や漫画の中でしておけっていうのだ。
苛立った面持ちで、ブーンは瞼を閉じた。そこに映る光景は、確かに緑色とも取れるものだった。

目を開く。変わりのない夕空に、夜空が混じって紫色となっていた。・・・ブーンは身体を起こした。

( ^ω^)「そうか。そうなのか」

ブーンは立ち上がった。彼にはどのボタンを押せばいいか、閃いたのである。



258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/07/23(木) 13:33:49.06 ID:zCzmOdzU0
( ^ω^)「やれやれ。この僕が最高に目立つ一瞬を、誰にも見せられないのは、とても辛い。
      しかし、僕がやらなければならない。お母さん。ツン。デレ。ショボン。クー。
      ドクオ。シュー。それと、屋上に居た見知らぬおっさん。よおく、見ていたまえ。
      行動と結果で、僕の知性を示してやるのだ。ああ。そうそう。忘れていた――」

ブーンは指を打ち鳴らして、すっと虚空へと向けて指を差した。威圧感のある口調で彼は言う。

( ^ω^)9m「君達にもね。さあ。知性溢れる僕は、絶対に正解のボタンを押してみせる」








                          ブーンは、緑色のボタンを押した。



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