( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです

5: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:28:09.48 ID:ckO98Afy0
  
世は十年ほど前から急速に発展した。
パソコンが、リニアが、ロボットが……人々を様々な方面から魅了する。

それでも人間の欲望というのは坩堝のように入り乱れ、際限は無い。
歳の老いた人々が「時代に着いて行けない」と口を揃えるほどに、進化は人間を置き去りにしてまでも止まらないのだ。
ひたすら己の欲望を満たすために……自分勝手に。


それでも昨今は頭打ちか、ようやく進化も止まり、大きな変化の無い日常があった。

サラリーマンはいつもどおり汗水垂らして働いているし、学生は嫌々にも勉学に手をつける。
主婦ばかりが便利になった洗濯機や食器洗い機に恩恵を受けながら、今日も携帯電話で世間話だ。


そう、『時代は変わった』のだ。



6: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:29:17.99 ID:ckO98Afy0
  
地下に設けられたその施設では、たった数人の人間がいるだけだった。
無駄に広い設備、しかしコンクリートの壁面はひび割れ、黒ずみ苔生している。

そんな趣なくだだっ広い一室に、3つの影があった。
その他には何も無い、椅子や机さえも無い質素というにもあまりな空間。
時代錯誤感のある古びた場では、照明と呼ばれるような明かりも薄暗く点灯するだけだ。

   「どうして……この二人を?」

女性がそう尋ねた。
その正面にいる男が頷いた。
陣頭指揮しているのだろう、抜けた声を返す。

   「うん、その二人が必要なんだよろしく頼むよ」

訝しげな顔をしつつ、質問をした女と隣にいた男は頷いた。
世の中には『奴等』に対抗するために、もっと優れた者は数多といるだろうのに……
それでも信じたのだろう、真意を聞き出すような野暮な真似をすることは無かった。


男と女はすぐに準備を済ませて駐車場へ向かい、地上へと車を走らせた。



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