( ^ω^)ブーンが魔女を狩るようです

38: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:55:32.30 ID:ckO98Afy0
  
第ニ話『初遭遇』


太陽が真上から照りつけ、影はその面積を小さくした。
雲一つ無い空から照りつける太陽、まだまだ暑さを感じる。

そんな爽快な気候だというのに、ビルや民家の立ち並ぶ往来を散策する人影はない。
それもその筈だ、魔女の無差別殺人がニュースに取り沙汰されているこの地域であえてそんな暴挙にでる人間もいない。


そして今、沈滞した町一帯に響き渡るほど高らかな笑い声と、吐き気を催すほどの断末魔が轟いた。


( ^Д^)「はははっ、脆い脆いッ!」

銃を構え及び腰な人間を見ながら、更に笑いを大きくした。
それで威嚇しているつもりなのかと。
『それ』で『自分』を倒す気なのかと。

為す術の無い相手の顔を鷲掴みにすると、首の後ろにもう片方の手を当てた。
そして勢いよく折る。

ボギッと鈍い音がした。
折られた人間は瞳孔を開き、震えて泡を吐きながら倒れた。

首が有り得ない角度に曲がるそれは、どこか人形のように写った。



41: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:56:35.83 ID:ckO98Afy0
  
呼吸する事さえもままならないだろうその首を更に蹴飛ばしてせせら笑う。

( ^Д^)「さーてと、とりあえず7人か……」

その魔女は、既に7人もの警察官を殺していた。
子供のように指を折り曲げながら『7』を数えると、またフフッと笑った。
警察を一人殺せばまた一人来る、援護に数人が来る。

命知らずだ。

   パンッ

発砲音、同時に魔女は動き、紙一重銃弾を避ける。

<;`∀´>「ば、バカなッ!!」

信じられないのは当然だろう、銃弾を避けるのだから。
見た目は一般人となんら変わりないその魔女は、素手で全てを捻じ伏せた。



42: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:57:37.47 ID:ckO98Afy0
  
肉眼では捉えられない異常なスピードで移動し、警官の目前に現れるとその銃に手を被せた。

( ^Д^)「オマエで8人……いいくらいかな?」
   『握力の増強』

   バキィッ

<;`∀´>「に、ニダァ!?」

魔女が力を入れると、銃はけたたましい音を立てて砕けた。
そのあまりの出来事に警官はただ驚く事しか出来ない。

まるでこの銃がおもちゃのように、いとも簡単に砕けたのだから。
目を白黒とさせ、眼球をキョロキョロと動かした。
その行為に意味は無い、助かるための希望をある筈もないのに本能的に探してしまっただけだ。

<;`∀´>「このッ!」

とっさに反撃を試みて、警官はその拳を相手に振りかざした。

( ^Д^)『バランスの増強、肉体の硬化』

ゴッと鈍い音を辺りに響かせて、微動だにしない魔女がいた。
対して警官の拳からは血が流れ出ている。



44: VIP村人v :2006/11/15(水) 21:58:48.68 ID:ckO98Afy0
  
<;`∀´>「ニダァァ!」

( ^Д^)「うるさいヤロウだ」

そう言ってプギャーはすぐに反撃をした。

( ^Д^)『回転力の増強、衝撃の増強』

プギャーの拳は弾丸となり、一瞬で相手の頬に直撃すると先に負けないほどの鈍い音を辺りに轟かせた。
そして首を変な方向に向けたまま、骨を変形させた警官が十数メートル首に引っ張られてふっ飛んだ。

( ^Д^)「おいおい、まだまだ本気じゃないぜ?」

生身の人間の脆さを嘲け笑うように言った。
魔女にとっての銃は、子供の玩具にも値しない。


そして人間は、最高の玩具だ。



49: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:00:05.64 ID:ckO98Afy0
  
( ゚∀゚)「待て、魔女!」

川 ゚ -゚)「それ以上暴れるな」

( ^Д^)「ん?」

そこにたどり着いたジョルジュとクーはすぐに魔女と接触した。
恐怖しながらも堂々と魔女に対面する。
ブーン(とドクオ)は恐怖で物陰に隠れていたが。

( ^Д^)『気配の増強』
   (……3人か4人……もしかすると5人ってところか、随分少数精鋭だな)

魔女はすぐに相手の人数を確認して、改めて2人に向いた。

( ^Д^)「オマエ達が……もしかしてモナーを倒した奴等か?」

(;゚∀゚)「だったらどうした!?」

( ^Д^)「だったら……随分と間抜けな奴等にやられたもんだ。
   魔女の面汚しもいいところだな」

余裕の笑みを見せながら、吐き捨てるように仲間を侮辱した。



50: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:01:44.00 ID:ckO98Afy0
  
ブーンとドクオはその二人の後ろ、民家の影に姿を隠していた。
ジョルジュとクーの正面にいるのはどう見てもただの一般人だ、どう見てもそうなのだが……言葉では言い表せない異質な恐怖があった。

('A`) 「あいつも男じゃねぇか……」

(;^ω^)「っていうか周りが血だらけだお……魔女テラコワス」

銃を持った警官が何人と死んでいる、あまりの凄惨に姿を見せる事にすら畏怖した。
銃になど到底太刀打ちできない自分達が何を出来るだろうか。
来る時に車内で渡されたチョッキなど、着ていても無意味に思える。

(;^ω^)「やっぱり僕は家でエロゲやっているくらいがお似合いだお」

( ^Д^)「何のエロゲがオススメだ?」

(;^ω^)「僕のオススメは、はじめてのおるすばああああああああああんっ!!!!11!」

突如隣に現れた魔女に仰け反った。
なぜ、さっきまで遠くにいたはずなのにいつの間にここに。

(;゚∀゚)「ブーン!!」

川;゚ -゚)「逃げろ!!」

言わずもがな、その姿を確認するや咄嗟に逃げ出した。



53: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:03:29.60 ID:ckO98Afy0
  
魔女の『衝撃を増強』してでの移動力は凄まじいものがある。
目で追うのですら精一杯のスピードで人間が動く。
反射反応でその動きを辿る事が精々、言葉を挟む暇すらも容易に与えてもらえない。

ブーンは突然目の前に現れた魔女にただ只管に脅え、軽挙妄動してもすぐに殺されるだけだと理解しながらもどうしようもない。
走り方など滅茶苦茶で駆け出した。
逃げれるわけ……ある筈もないのに。

( ^Д^)「オレから逃げる気でいるのか?」

それくらいブーンだって分かっている、それでも逃げるなという方が無茶というもの。
黙って殺されるなんてそんな律儀な人間などそうはいない。

と、ここで魔女はもう一人の男に気付いた。

( ^Д^)「……オマエは逃げないのか?」

('A`) 「逃げても無意味だろ」

( ^Д^)「賢いな、正解だ」

そう言って笑うと、すぐに目線を逸らしてブーンに戻した。

動かない玩具よりも動く玩具の方が楽しい、当然のように興味がそちらに向いただけだ。



54: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:04:32.79 ID:ckO98Afy0
  
走り去るブーンを見ながら嘲笑、そして踏ん張った。

( ^Д^)『衝撃の増強、速さの増強』


   ダッ



地を力強く蹴り、風のようにスピードをぐんと上げていく。
一瞬でブーンとの距離が詰まった。


遅い、死ぬ気で逃げて所詮そんなものか。
泥棒のぬき足さし足じゃあるまいし、見ているだけでもイライラする遅さだ。



( ^Д^)(正面に回りこんでやる)


そう思い、魔女は一度ブーンの横を通り過ぎる事にした。



57: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:06:24.10 ID:ckO98Afy0
  
(;゚ω゚)「おおおお!!」

ブーンは必死に逃げる事で精一杯だった。
もっと速く、一秒でも一刹那でも早く速く。

そう思っていたら勝手に腕を横に伸ばしていた。

⊂二二二(;゚ω゚)二⊃ブ……


  ゴッ!


その伸ばしたブーンの肘に何かが衝突した。
そしてそのまま自分の正面へともの凄い勢いで転がっていく。
正面のビルにぶつかると、酷い音と供にそのまま倒れた。
ガラスが一帯に散布してバラバラと大きな音を響かせる。

何が起きたのか分からない、とりあえずブーンは肘の痛みに耐え切れなくなり蹲った。

(;゚ω゚)「痛いおッ、痛いおッ、だから外になんて出たくなかったんだおッ!」

やっぱりそうだ、外に出ると罵声を受け唾を吐かれ嘲笑され肉体的にも精神的にもボロボロになるんだ。
自分の身分は弁えている、だから外になんて出たくなかったのに。

そして『ブーンの肘にぶつかった何か』は体中から血を流しながら立ち上がる。



58: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:07:50.55 ID:ckO98Afy0
  
(#^Д^)「この……オマエ、ぶっ殺す……!!」

(;゚ω゚)「ひいぃぃぃぃ! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!
   初めてのお留守番あげるから許して欲しいお、今ならお医者さんもつけちゃいますお!」

(#^Д^)「いらねぇよ糞ヤロウが!!」

まるで火に油を注ぐかのように相手は怒りに燃え上がる。
理不尽さと痛み、双方の怒りが爆発寸前だ。


   パンッ


(#^Д^)「!!」


集中力の散漫になった魔女をジョルジュの銃が襲う。


反応できた。

反応できたが……体を反らすのが間に合わない、辛うじて直撃は避けるが、銃弾は魔女の肩を貫通した。



61: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:08:59.73 ID:ckO98Afy0
  
(;゚∀゚)「これでも避けるか……」

(#^Д^)「っつ……ッ!」

魔女は聞こえるように大きく舌打ちした。
このままでは分が悪い、何より傷したことが少なからず恐怖を生んだ。

痛みからくる『死』という恐怖。
いくら魔女でも銃弾が当たり所悪く貫通すれば死ぬ、そこは普通の人間と一緒だ。

(#^Д^)(体中の傷もある……。仕方ない、今は引くか……)

(;゚ω゚)「もしかしてロリじゃなかったのかお?
   お姉ちゃんがいいのかお、それともナースの方が好みですかお?
   ひょっとしてつよきすですかお!?」

(#^Д^)「おいっ!」

(;゚ω゚)「はいですお!」

(#^Д^)「てめえ、次会った時は……覚えとけよ?」

(;゚ω゚)「えっ、えっ? つよきす?」



65: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:10:35.23 ID:ckO98Afy0
  
困惑するブーンを傍目に、プギャーは続いてジョルジュに向いた。

(#^Д^)「次はテメェの脳天に風穴空けてやるよ」

(;゚∀゚)「最近は涼しくなってきたから勘弁してもらいたいね」

( ^Д^)『衝撃の増強』

大きな音をたてて地面を蹴ると、その反動で高く飛び上がった。
周り一帯のビルをゆうに超える跳躍で、プギャーは根際にあるビルの屋上に着地した。

一瞬でビルの屋上に、もう……追い付けない。

( ^Д^)「オレの名はプギャーだ、忘れんじゃねぇぜ?」

人のいない町は静かで、その声がよく聞こえる。
男はプギャーと名乗った、しかし逆にジョルジュたちの名前を聞くことはしなかった。

( ^Д^)「それじゃな、次会う時までがオマエ達の余命だ」

言うとまた地面を強く蹴り、一瞬にしてはるか遠くへと去って行った。



66: VIP村人w :2006/11/15(水) 22:11:28.23 ID:ckO98Afy0
  
残された4人は安堵の息をつく。
へなへなとその場に撓垂れ掛かった。

(;゚∀゚)「ははぁ、一人倒したからって思ったが……やっぱりアイツ等はおかしいわ」

ジョルジュも笑いきれていない。
改めて彼にも『魔女』という恐怖が襲い掛かった。

川;゚ -゚)「まったく、常識外れの強さだ……。ブーン、大丈夫か?」

クーが声をかけても、ブーンは固まったままだった。
呆気にとられた様子で目をパチクリとさせ、ガクガクと震えている。
そして絞れるような声でこう言った。

(;゚ω゚)「次の時までに、忘れずにつよきすの準備しとくお……」



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