( ^ω^)ブーンが仮病にかかったそうです
- 511: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:39:45.74 ID:YVvretVV0
- 朝ご飯まであと1時間。
健康体な僕は今までにないほどの窮地に立たされていました。
こういう時は昔が思い出されます。
小学校の頃、とても食欲旺盛だった僕は1日に150kgの雑草を食べていた。
お金のなくなった僕の家庭は、カーチャンが腎臓と家を売って何とか生計を立てていた。
そうしてずっと暮らしていたが、中学に入る頃にとうとうカーチャンに怒られたんだ。
(*ノωノ)「ブーン、あんたはいつも考えなしにバクバク食べるけど、ちょっとは味わって食べなさい!
その食事にカーチャンがどれだけ頑張ったかも知らずに……」
- 512: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:40:36.72 ID:YVvretVV0
- そうだ、母子家庭の自分の家ではただでさえギリギリの生活なんだ。
カーチャンが腎臓や家を売ったのも、一回や二回ではない。
その頃は反抗期だったから僕は言い返したっけ。
( ^ω^)「だったら何で僕なんかを生んだんだお!
僕だって望んでこんな体に生まれたんじゃないお!」
正直のそう思った。
もしカーチャンがバクに生んでくれたら夢を食べて生活していけるから、食費もかからないし食べる物にも困らないのに。
僕はバクに生まれたかったんだ!
(*ノωノ)「ゴメンね、だからそんな事言わないで、生まれてこないほうが良かったなんて……」
( ^ω^)「……ん?」
何か意見の相違があったようだが気にしなかった。
- 515: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:42:13.48 ID:YVvretVV0
- また別の日はこんな事もあった。
『内藤先輩へ
放課後に体育館の8段跳び箱の中に来て下さい。
待ってます』
( ^ω^)「フラグキタコレ」
この時は意気込んで朝一で跳び箱の中にいたっけ。
途中我慢できなくて3回も自慰行為をしたっけ。
ティッシュを忘れて大変だったな。
何が大変って精液まみれの跳び箱の中という半密室状態(当時季節は夏真っ盛り)で放課後になっても彼女が来なかったことだ。
後一歩間違えれば嗅覚から殺される所だった。
精子中毒死、戦後じゃあるまいしそんなふしだらな死に方は出来ない。
あの日もきっと彼女の妹か妹か妹が危篤状態だったとかで来れなかったんだって自分に言い聞かせたっけ。
- 520: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:43:52.09 ID:YVvretVV0
- 実際、次の日に改めて彼女に呼ばれたんだから。
(*ノωノ)「あの、昨日はごめんなさい」
( ^ω^)「全然いいお、それで話っていうのは……」
(*ノωノ)「えーと……その、好きです!」
そして紛れも無くこう言われたんだ。
もう感動して瞬間的にパンツごとズボンをずり下げてしまったほどだった。
(*ノωノ)「ちょっと、先輩……」
( ^ω^)「いやぁ僕も受精した時から『この子テラ可愛いなチェケラ』とか思ってたんだお!
それにしても今日は暑いね、気のせいだって?
いやいや暑い暑いフヒヒお着替えしましょうか、うん、脱げ」
(*ノωノ)「あ、ちょっと落ち着いて下さい先輩……!」
( ^ω^)「やっぱり君も『しちゅえーしょん』を気にするタチかいベイベー?
そういう女の子って多いよね、僕こそ気が回らなくてゴメンよニクベンキー?
ちなみに僕の息子は『マイコー』って呼んで欲しいな」
- 521: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:44:30.78 ID:YVvretVV0
- (*ノωノ)「そうじゃなくて、ちゃんと聞いて下さい!
私はニンニクが好きなんです!」
( ^ω^)
( ^ω^ )
(*ノωノ)「皆の前だと言いにくくて……つい呼び出しちゃいました。それじゃ」
そう言って小走りで走っていく後輩は可愛かった。
そうだよね、女性ならニンニク好きなんて皆の前で言うの恥ずかしいに決まってるよね。
ちなみに彼女とニンニクどころか普通に会話なんてまったくしていない。
よって敢えてニンニクが好きだと言われる理由も無い。
きっと話す理由が欲しかったんだろうなと思った。
その日以来、その子と他の女子が僕のほうをジロジロと見てこそこそ話していた。
人気者は辛いなって思った……おっと失礼、これは関係の無い話だったねノロケてしまったよ失礼。
- 523: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:46:09.09 ID:YVvretVV0
- つまり自分はそれほどまでに人の話をちゃんと聞かないんだ。
だから今回の件も聞き間違い出会った確立は十分に高い。
ほら、そうこうしていたら看護婦さんが美味しそうな朝食を持ってきてくれたじゃないか。
(*ノωノ)「どうぞ、ブーンさん」
( ^ω^)「ありがとうございますお、今日の朝食は何ですお?」
(*ノωノ)「トリカブトご飯にトリカブトの味噌汁、トリカブトのお浸しにトリカブトと鮭の和え物よ」
( ^ω^)「うわー、僕の好物ばかりだおーうれしいなー」
(*ノωノ)「良かった、沢山食べてね。あと……食後にこれを飲んでね」
そう言ってナースさんはドクロマークのラベルが見える瓶を食事の横に置いて部屋を出て行く。
( ^ω^)「よーし、それじゃいただきまーす」
- 527: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:47:52.07 ID:YVvretVV0
- ( `ω´)「って食えるかボケー!!」
箸を折るとちゃぶ台の要領で朝食をひっくり返す。
危うくノリに任せて口に運ぶ所だったぜ……あぶねぇ。
( `ω´)「いい加減温和な俺でもキレるぜ?」
どこでもなくギラッと睨む。
よし、決まったな。
それにしても周りは敵ばかりか、もう自分以外の人間は信じられない。
( ´ω`)「ちくしょう……ちっくしょー(AA略」
- 532: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:49:29.74 ID:YVvretVV0
- 296:◆7at37OTfY6 :2006/07/23(日) 01:38:39.10 ID:xtICE8uZ0
ただひたすらに叫んだ、もう喉がどうにかしそうなほどに。
隣で誰かまだ囁いているような気がするんだ、それを聞きたくなかった。
耳に纏わりつくんだ、何かがずっと耳の横で……自分に纏わりつくんだ。
(;゚ω゚)「ああぁあぁぁぁあぁあぁぁッ!!!!」
その叫び声に反応して数人の看護婦さんが病室に入ってきた。
止めろ、来るな近寄るな。
誰も信じられないんだ、誰も自分に触れるな、触れるな。
(;゚ω゚)「触れるなああぁぁ、触れるなあぁぁぁぁ!!!」
逃げたい、ここから……この現実から逃げたい。
そして窓から飛び降りた。
- 534: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:50:03.17 ID:YVvretVV0
- (;^ω^)「あぶねぇ、コピペミスしたぜ……あるある」
まさか注意書きの事項が既に伏線だったとは誰も気付くまい。
しかしこれは諸刃の剣、『植物』を読んで無い方にはオススメできない。
過去の自分の作品だからその価値が著しく落ちようとどうでもいいさ。
うん、それよりもまずはここから逃げなくては。
(*ノωノ)「逃がさない……」
(;^ω^)「ナースさん!?」
ナースさんはその手に持つ日本刀を鞘から抜くと、勢い良く切りかかってきた。
(*ノωノ)「私はナースではない、母親の顔くらい見分けろおおおおお!」
(;`ω´)「輪郭の全角半角の違いくらいつけてから文句言えやこのやろおおおおお!」
咄嗟にベッドの横に置いてあった急患用のトライデント(三又矛)を手にすると、紙一重相手の攻撃をいなす。
畜生、まさかここでカーチャンが来るとは……想定外だ。
- 539: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:51:39.84 ID:YVvretVV0
- (;^ω^)「カーチャン、どうして……?」
(*ノωノ)「もう限界なんだよ……残りの腎臓も数少ない、あんたにかける金なんてもうありゃしない!
だったらこの手で……腎臓と家を売って手に入れたこの日本刀で!」
(;^ω^)「それトイザラスに1980円で売っているの見たぜえええ!」
トライデントと日本刀が金属音を奏でて互いの間で衝突する。
これは西洋と和の戦い、勝った方が必然的に世界を手に入れることとなる。
(#`ω´)「ナポレオオオオオン!!!」
(*ノωノ)「あべそうりいいいいいい!!」
互いに一歩も引かない、一進一退の激戦。
むしろ逆か、引いた方が負ける。
( ´・ω・)「ちょっと待った君達ィィィ!!」
(;^ω^)「ハゲ……」
(*ノωノ)「先生……」
- 541: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:53:16.39 ID:YVvretVV0
- 開けっ放しのドアからこちらを見るその者は、禿げ頭が印象的な医師ショボン先生だった。
もしこれで車掌だったとか言ったらオレは本気でキレるぜ?
(*ノωノ)「まったく、物音がするから来てみれば……」
隣にいるのはあぷーさんといったか、今度こそ本物のナースさんだ。
その姿を確認するや、カーチャンが大声で叫ぶ。
(*ノωノ)「てめぇぇぇ私とキャラ被ってるんだよおおおおおお!!」
(;^ω^)「ツッコミOseeeeeeeeeeeeeeeeeee!!」
(*ノωノ)「先生、あの母親は私が相手します」
( ´・ω・)「いいのかい? もしかすると生き別れのお姉さんかもしれないんじゃ……」
(*ノωノ)「大丈夫です、私の知っている姉はあんな野蛮な人間じゃありません。
それにもう……姉は3年前に死んだんです、生きているなんてありえません」
(;^ω^)(この期に及んで衝撃の事実とかいらNeeeeeeeeeeeeeeeee!!)
- 544: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:54:54.31 ID:YVvretVV0
- (*ノωノ)「それじゃあ、決着をつけようか……」
(*ノωノ)「いいだろう、相手にとって不足はないな」
(*ノωノ)「それはこちらの台詞だ、せいぜい楽しませてくれよ?」
(*ノωノ)「ふん、後悔してももう遅いぜ?」
マジうぜぇコイツら。
って言うか一度くらい「あぷー」って言っとけ、社交辞令でいいから、存在意義にかかわるから。
( ´・ω・)「さて、それじゃブーン君……こちらも始めるとするか」
そう言ってハゲが取り出したのは、トゲのついた鉄球……モーニングスター。
片手でブンブンと振り回して戦意の表れを見せる。
(;^ω^)「ちょまwwwなんか会話成立しているように見えますがおかしいですからwww」
( ´・ω・)「大丈夫、あぷークンなら君の親にだって負けはしないさ……僕は彼女を信じている。
だからこそ僕は君に負けれない、彼女が僕を信じてくれているから」
(;^ω^)「コイツ絶対医者じゃNeeeeeeeeeeeeeeee」
- 546: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:55:49.49 ID:YVvretVV0
- 鉄球が物凄いスピードで、幾度と自分に襲い掛かる。
何とか攻撃を避けるが、このままではいつか捕まって終わりだろう。
しかし何十`とあるだろう鉄球を自在に振り回すハゲには到底抵抗の術は思いつかない。
( ´・ω・)「攻撃をしてこない……?
今の僕では本気を出すに値しないという事か……そんなに余裕で後悔するなよ?」
(;^ω^)「なりきりUzeeeeeeeeeeeeeee」
自分が仮病で病人だったはずなのに、いつの間にやら立場逆転だ。
誰がどう見てもハゲの方がイカレている。
(#´・ω・)「いつまで逃げるつもりだ!
時間稼ぎとは……つまらないマネを!」
どう見ても末期症状だ、逃げ続けるのもいい加減無理があるだろう。
戦うしかない。
- 549: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:57:27.73 ID:YVvretVV0
- 震える手でトライデントを構えると、ハゲに対立する。
( ´・ω・)「いよいよその気になったか……こちらも本気でいくぞ?」
そう言うとハゲは、頭上でモーニングコースターを今まで以上に高速で回転させる。
すると何という事か、その体がふわりと宙に浮いた。
( ´・ω・)「これが僕の最強必殺技、モーニングコプターだ!!」
(;^ω^)(ツッこむべきところか真面目なのか、判断つかないお……)
( ´・ω・)「いくぞ!」
そして宙を自在に動き回り、自分に向かってくる。
既にここが病院の一室という設定なんて破棄されているようだ。
そんなハゲに対し、トライデントをぎゅっと掴むと目を閉じた。
(;-ω-)(力を……何でもいいから、主人公にありがちな未知の力を……)
- 553: ◆7at37OTfY6 :2006/11/17(金) 23:59:02.08 ID:YVvretVV0
- ( ´・ω・)『やほー、君に力を与えに来たよー』
(;^ω^)(ちょwwwハゲwwww)
( ´・ω・)『ハゲじゃないよ、僕は神様だ。髪の毛も2323さ」
( ^ω^)(AAじゃ変わんねぇおwww)
( ´・ω・)『いいから、僕は君に力を与えに来たんだから言うとおりにするんだ』
(^ω^)(うう……とりあえず言われたとおりにするお)
( ´・ω・)『それじゃ、両手に力を込めて……』
( ^ω^)(こうかお?)
両手に力を込めると、その手が熱く熱を帯びてきた。
主人公ならではの未知エネルギーだ。
( ^ω^)(今ならハゲにも……神様ありがとうだお!)
目を開くと、ハゲは既に目の前だった。
- 561: ◆7at37OTfY6 :2006/11/18(土) 00:00:45.85 ID:eFzhjLIe0
- ( ´・ω・)「捉えた!!」
(;^ω^)「負けフラグ乙」
寸前に鉄球をかわすと、大振りで隙だらけのハゲの真横に。
(;´・ω・)「何?」
( ´・ω・)『いけ、ブーン!』
( ^ω^)「はい神様、死ねぇハゲぇぇぇぇぇぇ!!」
トライデントは的確にハゲの腹を貫いた。
ハゲは口を開く、一拍を置いて叫び声を出した。
( ´゚ω゚)「うわああああああああああ!」
( ´゚ω゚)『うわああああああああああ!』
(;^ω^)「ちょwwwやっぱオメーハゲじゃねぇかwwwww」
断末魔を轟かせて、ハゲは無残に倒れた。
そんなハゲにそっと寄ってやる。
- 564: ◆7at37OTfY6 :2006/11/18(土) 00:02:28.85 ID:eFzhjLIe0
- ( ^ω^)「最後に言いたい事は?」
( ´・ω・)「そうだな……妹に……オマエのために医者になったのに、何も出来なくてゴメンと……」
( ^ω^)「止めるお……突然真面目なこと言われても、反応に困るだけだお……いやマジで」
( ´・ω・)「ふっ……」
そしてハゲは死んだ。
(*ノωノ)「h……ショボン先生!」
それを見たナースさんが慌てて駆け寄る。
今コイツ絶対ハゲって言おうとした。
(*ノωノ)「おにーちゃん!」
(;^ω^)「僕のカーチャンが妹ッ!?」
今更ながらにハゲが「妹が刺された」としか言っていない事実に気付いた。
妹は死んでいないのか、ありきたりとはいえ無駄なところばかり設定凝りやがって。
- 567: ◆7at37OTfY6 :2006/11/18(土) 00:04:07.10 ID:eFzhjLIe0
- (*ノωノ)「おにーちゃん、死んじゃヤダ……死んじゃヤダよおにーちゃん!!」
(*ノωノ)「先生、先生……うそ、嘘だって言ってよ先生!」
(*ノωノ)「私が元気になったら一緒にゆーえんち行くって約束したじゃん、なのにこんなの酷いよ!」
(*ノωノ)「まだキスしかしてないのに……好きだって伝えたばかりなのにこんなの酷いよ!」
マジうぜぇコイツら。
って言うか自分の親が「おにーちゃん」とか聞きたくないですマジで。
二人の呼びかけに当然ハゲは反応しない。
悲鳴にも似た鳴き声が響く中、自分は空を見上げた。
雲ひとつ無い空で、太陽が眩しく輝いていた。
ここが病院の一室という設定はもう……忘れ去られていた。
- 570: ◆7at37OTfY6 :2006/11/18(土) 00:05:46.13 ID:eFzhjLIe0
- エピローグ
それは遠い昔の話だった――
人々が鎧を来て、刀を持ち、互いを殺し合うような、そんな時代――
一般農民の階級として生まれ、自軍に囮とされた村で育った。
この村はどんな文献にも載っていない。
歴史に残される事の無かった、悲劇の村で生まれた青年。
自軍に囮にされ、敵軍に一方的に攻められた村で勇敢に戦った青年。
最後の最後まで勇気を忘れずに、愛する者のために戦い抜いた青年。
その彼の名は――
- 575: ◆7at37OTfY6 :2006/11/18(土) 00:07:30.06 ID:eFzhjLIe0
- ◆7at37OTfY6。
彼の物語、それはどんな文献を探しても載っていない……
どこにも記録されていないのだ。
追伸 探さないで下さい。
ブーンが仮病にかかったそうです・END
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