(*゚ー゚)しぃが手紙を書くようです
- 7: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 21:49:30.08 ID:OV4a/KRZ0
- 『12月11日』
前回の手紙から一週間が経ち、また筆をとることになりました。
やっぱり押し付けだったのかな?
それとも私がもう嫌になったのかな?
悲しいです、どうして私に返事をくれないのかと涙に暮れるばかりです。
都会には、私のような質素でみすぼらしい田舎人間はいないと思います。
皆とても大人っぽくて、お洒落で、とても魅力的だろうと思います。
もうギコ君は都会色に染まってしまったのですか?
私のような田舎娘では釣り合いませんか?
傲慢でごめんなさい、涙を流しながらでは文章の一つもちゃんと書けません。
きっと変な手紙になってしまうと思うので、先に謝っておきます、ごめんなさい。
- 8: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 21:51:58.90 ID:OV4a/KRZ0
- 私はこの一週間、毎日をハラハラとしながら過ごしました。
まず手紙がちゃんと届いたかと心配になりました。
もしかしたら郵送事故に遭っていないだろうか、間違って隣の郵便受けに入れられていないだろうか。
要らない広告と一緒に捨てられていないだろうか、想像はひたすらに悪い方向へばかり暴走していきます。
様々な雑念と戦い、次の日から朝起きては郵便受けを確認する日々です。
次の日なんてそもそもギコ君の方にだって手紙が届いているわけ無いだろうのに、
そうは分かっていながらも確認せずにはいられませんでした。
そして料理をし、掃除をし、洗濯をし……日常の家事を適当にこなすと、
軒先の通りが見える居間に座り、外を見ながら何をするでもなく座りこけていました。
エンジンの音でもすれば飛び上がり、すぐに外へ駆け出しました。
無気力とはこの事でしょうか、正直何も手につかない状態です。
ギコ君からの手紙だけを、ただただ待ち続けました。
- 10: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 21:54:25.17 ID:OV4a/KRZ0
- 待つのは辛いですね。
ギコ君が都会に行ってからというもの、迎えに来てくれる日を二年もの間ずっと待ち続けています。
だから私はどこかで自分自身が忍耐強い女性だと錯覚していました。
それが間違いだと気付いたのは、やはり手紙すら堂々と待っていられない、
そんな自分の弱さを自身で認めてしまったからです。
食事も思うように喉を通らないですし、寝ていてもエンジン音と同時に目が覚めてしまう始末です。
早朝に新聞配達で起きると、寒さで目が冴えて寝付けなくなり、布団の中で余計な事ばかり考えてしまいます。
きっと前回の手紙に失礼なことを書いてしまったんだ、
それに腹を立てたので連絡をくれないんだと思っては塞ぎ込んでばかりの毎日です。
泣いて、落ち込んで、また泣いて……そんな無意味な日常を機械的に繰り返しているばかりです。
ノイローゼは思ったよりも深刻で、薬を飲んでも一向に楽になりません。
睡眠薬も使用しましたが、私の手紙を待つ想いにとうとう勝ることはありませんでした。
- 14: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 21:56:55.17 ID:OV4a/KRZ0
- 姉のような、きらびやかな都会の女性像を勝手に妄想してしまい勝手に悔しがりました。
頭の中でその娘とギコ君が手を繋いで歩いています、都内で有名な高級レストランに二人で入っていきます、
そしてフォークを差し出しあなたに向かって「あーん」なんて言っています。
私は壁に掛けられた絵画の中からそんな食事風景を眺めるだけです。
二人だけの世界で、満面の笑顔で幸せそうなギコ君。
許せないですが、私にそちらに行く術はありませんからそれを止める事はできません。
そもそも想像なのだからそういう問題でもありません。
それを止めるには、ギコ君からの連絡が不可欠なのです。
そうでなければ私の想像は次第にエスカレートしていき、
きっとギコ君とその娘が熱い夜を過ごすことでしょう、それだけは我慢なりません。
田舎娘が嫌いになったのなら、都会の女性になれるよう努力をします。
本音を言うなら、私は今すぐにでもそちらへ向かいたいです。
ただ、ギコ君はそれを許してくれないでしょう?
待っていろと言われたので私は待ち続けます。
何でこんなに律儀なんだろうね、自分の首を絞めたがるんだろうね。
目下、その想いも激しくぐらついているのですが。
- 18: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 21:59:24.76 ID:OV4a/KRZ0
- この数日幾度と思いました。
今すぐギコ君の家へ行こうと、手紙を出しているのだから当然住所は知っています、だから私一人でもきっと大丈夫だろうと。
そして一時期のように同棲したいです。
毎朝「おはよう」と声をかけて、寝ぼけ眼のギコ君を引っ張って食卓につかせます。
腕によりをかけた朝食を「おいしい」と言って食べてもらい、
その後ネクタイを締めてあげて、「行ってらっしゃい」と声をかけてお出かけ前のキスをします。
家の前からギコ君が見えなくなるまで手を振り続けます。
その後は掃除洗濯をしながら、晩御飯を考えます。
ギコ君が喜んでもらえるような料理を、毎日々々考えて胸弾ませます。
何を食べても「おいしい」って言ってくれることをわかっているから余計頑張っちゃうんです。
そんな無き事を考え、懐古しながら一人泣いている私は傍から見ればどれだけ惨めなのでしょうか。
- 20: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:01:50.72 ID:OV4a/KRZ0
- そういえば先日にギコ君のお母さんが家へと訪ねてきました。
お母さんとも連絡をとっていないみたいですね、本当に忙しそうで懸念するばかりです。
お母さんが変な女性に掴まったんじゃないかと漏らしていたので、
それがまた私の心配に拍車をかけたことは言うまでも無いでしょう。
私もそうですが、電話に出てもらえないとそちらの状況もわかりません。
何も分からずに待ちつづけるのは本当に限界が近いです。
お母さんも心配していました、私もそれ以上に心配しています。
信じる心がグラグラと揺れ動いています。
ギコ君を信じられない、そんな最悪な自分を押し退ける事が難しくなっています。
このままでは自分は倒れて病院へ送られるのではないか、比喩でなくそう感じているほどです。
- 22: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:04:16.89 ID:OV4a/KRZ0
- 相当私は滅入った顔をしているのでしょうか、精神的にやつれきった私を心配して、
つい先日に母が精神科病院へと連れて行ってくれました。
私のギコ君に対する思いを包み隠さず話をすると、お医者さんはとても親身に聞いてくれました。
まるで私の心を見透かしたかのように代弁してくれる箇所も多々あり、
私の気付かない深層をピタリと断言され、驚くばかりでした。
そして、私もこれで少しでも楽になれるのだろうかと期待したのですが、
その期待はガラスのように一突きで粉々に砕ける事となりました。
だって、その医者はギコ君の事を忘れさせようとばかりするのだから私が怒るのは当然です。
「一日だけでいいから」や、「何か新しい事を始めてみよう」なんて言うのです。
私がギコ君の事でこれだけ苦しんでいる事を理解していながら、
どうしてその悩みの種を消そうとするのかその神経が理解できません。
忘れられないから、忘れたくないからここまで苦しんでいるというのに。
所詮医者は医者でした、私は患者の一人だったのです。
あまりに不愉快になった私は、怒ってすぐにも病院から飛び出しました。
病院へ行ったことで、心は楽になるばかりか荒んでしまったようにさえ思います。
- 23: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:06:43.41 ID:OV4a/KRZ0
- ここまでの自分の文章を改めて読み返すと、想いを一方的にぶつけているだけですね。
ごめんなさい、内容も統一されていなくて、愚痴ばかりでごめんなさい。
忙しいところにこんな重荷の手紙を送りつけてごめんなさい。
そうですよね、今こうして自分を見直してみると、自分はギコ君に重荷を背負わせようとしているだけではないか、
ただでさえ忙しいのにこれ以上辛くさせるのか、それが原因で返事がもらえないのではと思いました。
私が知らないだけで、今がオーディションの真っ最中なのかもしれないですよね。
私が知らないだけで、習い事とバイトに明け暮れているのかもしれないですよね。
寝る間も惜しんで夢のために日々を頑張っているのかもしれないですよね、私が知らないだけで。
そんな最中こんな手紙がきても、対応に困るだけですよね、ごめんなさい。
- 24: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:09:18.67 ID:OV4a/KRZ0
- 嫌味な言い方しかできない自分がすごく醜いです。
でも、それだけギコ君に対する想いが強いのです、それを分かって欲しいです。
手紙を出したことで、我慢してきた気持ちが氾濫したのかもしれません。
以前までは、ギコ君に余裕ができたらきっと連絡をくれるだろう、だから待ち続けようと自分を律していました。
いつになるか分からない、それでも我慢してずっと待ち続けていました。
ギコ君からの朗報をひたすらに待っていました、決して諦めていたりした訳じゃありません。
自分の中で理想の女性像が出来上がり、男の夢を邪魔しないようにと頑張って自戒していました。
立派な大人の女性は、愛する人の帰りを堂々と黙って待っているものだと。
- 26: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:11:58.83 ID:OV4a/KRZ0
- しかし手紙を出したことでその糸がプツリと切れたのです。
今すぐに連絡がくるかもしれない、そんな誘惑にいよいよ勝てなくなり、
そして悶々とする日々に耐えることが難しくなってきたのです。
何事も一度行動してしまえば後はついてくるものですね、前回の手紙を書く時は大変渋ったというのに、
今ではこうして当然のように手紙を書いている自分がいるのだから間違いありません。
返事が欲しい一心で自ずから筆をとった自分がいるのですから。
毎日あなたからの連絡を楽しみに待っています。
ギコ君にとって重荷になることは分かっていますが、その上で邪魔になっていない事を切に願います。
ごめんなさい、本当に何を言っているのか分かりませんよね。
手紙というのはやり取りするものですが、決して答弁するのではなく、
ただ自分の考えを押し付けるだけのものかもしれません。
だって、必要の無いことは書かなくてもいいのだから。
今そんなことを思いました、私の一方的な意見だけでギコ君の考えなんてお構いなしです、
こんな傲慢な女性なら嫌われても当然かもしれません。
そう考えてまた気落ちしてきました。
本当にごめんなさい、これじゃ自分の不満と愚痴をぶちまけているだけだよね。
- 28: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:14:25.29 ID:OV4a/KRZ0
- 我侭な彼女でごめんなさい。
でも、もしよければ……やっぱり連絡が欲しいです。
傲慢と言われるかもしれないけれど、あなたに愛想を尽かされるかもしれないけれど、お願いしたいです。
前回の手紙にも書きましたが電話でもメールでも構いません、手紙を返してくれても当然構いません。
だからお願いします。
また一週間連絡がなければ改めてお手紙出します。
邪魔になっているのは承知です、重荷になっているのは承知でお願いしています。
- 29: ◆7at37OTfY6 :2006/12/11(月) 22:16:54.48 ID:OV4a/KRZ0
- また中身は薄いのにこうも長い文章を綴ってしまいました。
様々な事を書きましたが、やはり一番はギコ君の体を心配しています。
もしかすると体調を崩して家で寝込んでいるのではないだろうか、
だから手紙を書くことはおろか読むことすらままならないのではないかと。
どうか、元気にしているお頼りをよろしくお願いします、待っています。
しぃ
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