( ^ω^)ブーン系にも奇妙な物語のようです

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:02:37.43 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」

徒歩での帰宅途中、目の前にいきなり現れた生物。
まだまだ落ちない夕日をバックに、手のひらサイズのそれはまさしく妖精。
布の一枚もつけてはいない真っ裸。
これがメスだったら……と思うのは、健全な証拠だろう。



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:04:23.45 ID:LfHZrTcY0



(=゚ω゚)ノ確か二倍なはずだったようです



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:08:17.16 ID:LfHZrTcY0
目をこすっても消えることはないし、そんな行動をとっている最中に勝手に話し始めた。

(=゚ω゚)「実はお前のことをライバルだと思っている『またんき』に俺が願い事を四つ叶えてやったんだょぅ」

またんきと言われても、別に自分はライバル視しているわけでもなく、
それが何の関係があるのかと言おうとしたが、その妖精はそのまま話を進めていく。

(=゚ω゚)「でもそのかわり、ライバル視している相手に二倍の願いがかなうことになっているんだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「まじか」

(=゚ω゚)「まじだょぅ」
  _
( ゚∀゚)o彡゜「もしあいつがおっぱいを願ったら、俺には二倍のおっぱいがくるわけだな」

(=゚ω゚)「何変なこと言ってるんだょぅ。妖精にとっちゃ二倍ってのが曖昧なんだけれど、多分そういうことだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「逆に言えば、半殺しを願った場合、俺は死ぬのか……」

(=゚ω゚)「大丈夫だょぅ。やつの一つ目の願いはそんなことじゃないょぅ」
  _
( ゚∀゚)「一つ目?」

(=゚ω゚)「やつが一度願いを言うたびに、お前の前に現れるんだょぅ」

だとしたら、四つ目の願いで殺される可能性がある。
今のうちにしたいことと言っても何も思い浮かばない。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:12:33.28 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)「一つ目の願いは『綺麗で新しい大豪邸が欲しい』だょぅ。だからお前には大大豪邸が貰えてるんだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「あのさ、お願いがあるんだけど」

(=゚ω゚)「お前の願いなんか聞かないょぅ。すぐに新しい家を見てもらいたいから、ちょっとワープせてもらうょぅ」

せめて、三つ目のお願いは女かおっぱいにしてくれと頼みたかったがそれすらさせてくれないみたいだ。
不意に景色が変わる。軽くジャンプしたかのように少し浮いていたのでバランスを崩しそうになった。
目の前に見えるのは、城のようなもの。しかし小さい。

(=゚ω゚)ノ「これが大大豪邸だょぅ」

そうは言われても、隣の家までぶち壊してでもでかくなっているわけでもなく逆に気持ち小さくなっているような気がした。
  _
( ゚∀゚)「小さいんだけど」

(=゚ω゚)「妖精にしてみれば大大豪邸だょぅ」

こう言われれば納得するしかない。呆れて何も言えないのだ。
しかし、こう実際に見てみるとこの家もこの妖精も使えそうにもないわけでもない。
妖精を後三回使えるあいつがうらやましく思えてきた。

(=゚ω゚)ノ「これで一つ目の願いは終わりだょぅ。今から二つ目の願いを聞きに行くから、何でもしててもいぃょぅ」

妖精はすぐに消えた。上から消えたか下から消えたか全部一斉に消えたかなんてわからないほど瞬間的に消えた。
小さな城の前に取り残され、ただポツンとそこにいても仕方がないと思い中へ入ることにした。
芝生の真ん中に生えたようにある石畳を歩き、中へ入った。



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:18:32.36 ID:LfHZrTcY0
中に入るとそこまで小さいと感じることもない。
イス、机、ベッド、すべてが新しく触ることをためらうほどきれいだった。
そんな中、一番奥の倉庫みたいなところに、今までの家具が哀愁を漂わせる無造作や無秩序とはまた違う置かれ方をされていた。

コンセントはあったが、家電製品のテレビやパソコンなどは無く、処分しなかった妖精に感謝したくなった。
この奇妙なバランスを崩したくなかったが何故か親父の本棚に入っているあるベッドの下に置いていたはずの
エロ本を取り除こうとした時に本棚が倒れたので、どうでもよくなりリビングと思われるところに電子レンジを持って行った。

(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」

大半の家電製品をリビングに運んだあと、エロ本の処理をしている最中にあの妖精がまた現れた。
  _
( ゚∀゚)「何だ?二つ目の願いはなんなんだ?」

四つの願いまで耐性がつかないと思ったが、意外と割り切ればそうでもなかった。
妖精にとってみれば今持っている本なんてなんとも思わないだろう。

(=゚ω゚)「あいつ『築三十五年の大大大豪邸にすればよかった』なんてわめいていて遅くなったょぅ」
  _
( ゚∀゚)「それ普通ライバルに教えない方がいいだろ?」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:22:14.90 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)「二つ目の願いは『大量のお札が欲しい』だょぅ」
  _
( ゚∀゚)「話聞けよ」

(=゚ω゚)「札の内容については言及しなかったからデノミ以前のジンバブエの札でもあげようと思ったんだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「ひでーな、お前」

言ってることはよくわからないが、相手を落胆させるようなことをしたという事だけはわかった。

(=゚ω゚)「妥協に妥協して千円札を大量に上げたからお前には二千円札を大量に上げるょぅ」

本の上にいきなり二千円札の束が出てきた。
束のひとつを手にとって見る。
久しぶりに見た二千円札だが、うれしいとは思えない。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:27:13.21 ID:LfHZrTcY0
  _
( ゚∀゚)「番号おかしくね?」

(=゚ω゚)「……番号の数字も二倍にすればよかったのか?」
  _
( ゚∀゚)「そうじゃなくてこの札、全部同じ番号だろう」

(=゚ω゚)「……お前も気づいたか。……もたもたしてる暇ないから、三つ目の願い聞いてくる」

一瞬にしてまた消えた。
語尾に『ょぅ』とつけるのを忘れたところを見ると間違ってしまったのか。それともわざとか。
それにしても、この札束は紙切れならよいが、危ない偽札となっていた。
数枚は警察に持っていき、使えるものに交換してもらい、残りは焼き芋の枯れ葉代わりにでも使おう。

しかし、もう数分後には死んでしまっているかもしれないのだ。
目の前にある表紙が涙でぼやけてくる。
一度だけでも、本物の女のを見てみたい。
せめて三つ目の願いが女かおっぱいであるように祈り続けるしかない。



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:32:47.04 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」
  _
( ;∀;)o彡゜「おっぱい! おっぱい!」

(=;゚ω゚)「どうしたんだょぅ? マネでもしてるのかょぅ」
  _
( ;∀;)o彡゜「おっぱい! おっぱい!」

(=゚ω゚)「三つ目の願いは『女』だょぅ。詳しく説明すると長いからお前に教えるのはこれだけで十分だょぅ」
  _  ∩
( ゚∀゚)彡「キャッホォォゥ! おっぱい! おっぱい!」
 ⊂彡
(=#゚ω゚)「さっきからうるさぃょぅ。いまから作るょぅ」

エロ本の上の二千円札の束に座っているチェックのワンピースを着た少女が出てきた。胸もそこそこだ。

ミセ*゚ー゚)リ「長岡クン。これからよろしくね」

(=゚ω゚)「ゼロから作ったんだょぅ。近くの子供のいない夫婦の子供の姉としていてもらうことにするょぅ」
  _
( ゚∀゚)「大丈夫なのか?」

(=゚ω゚)「他人には擬似記憶を埋め込んだし、女もお前にぞっこんになるょぅ」
  _
( ゚∀゚)「凄ぇな」

(=゚ω゚)「今珍しくまともなことをしたと思っていそうだょぅ」

珍しくというよりは、初めてまともなことをしてくれた。



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:37:37.08 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)ノ「じゃ、最後の願いを聞いてくるから、それまで楽しんでろょぅ」

次の願いで、自分は死ぬかもしれない。
しかし、いざとなるとこの娘を抱く気は起きないし、なにか嫌な感覚だけが襲ってきた。

ミセ*゚ー゚)リ「どうしたの?」

立ち上がって、顔をのぞいてきた。
またんきの好みから来ているが、自分の好みでもある。
可愛いと思うにつれ好みがまたんきと似ていると思うと嫌になってくる。
  _
( ゚∀゚)「何でもないさ。ところでバストっていくつ?」

ミセ#゚ー゚)リ「そんなこと普通聞く?」
  _
( ゚∀゚)「ごめん。じゃあ何歳?」

ミセ*゚ー゚)リ「十六。長岡クンと同い年よ。中学と高校と同じ学校にいるってこと気づいてなかった?」


上手にできたものだ。胸以外のところでも十分に好きになる。
だからと言って何かする気にはなれない。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:40:46.50 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」

妖精が来た。今となっては悪魔にしか見えないが。
  _
( ゚∀゚)「もうちょっとゆっくりしてくれてもよかったのに」

(=゚ω゚)「四つの願いが終わったからお前の家でゆっくりさせてもらうょぅ」
  _
( ゚∀゚)「で、四つ目の願いは何だったんだ?」

(=゚ω゚)「四つ目の願いは『人一倍の幸せ』だょぅ」

腰が軽く抜けた。よかった。本当によかった。
これだけで十分な幸せだ。


(=゚ω゚)ノ「どうしたんだょぅ?」
  _
(;゚∀゚)「いや、あいつが半殺しでも願っていたらとずっと考えていたからな」

(=゚ω゚)「そういう場合はあいつをぼた餅に、お前を餅にしてたょぅ」
  _
(;゚∀゚)「意味わかんねぇ」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:45:25.68 ID:LfHZrTcY0
(=゚ω゚)「結局、お前に来るのは人二倍の幸せだょぅ」
  _
(;゚∀゚)「言い方はおかしいが、そうなるのか」

結果だけ考えると結構よかったのかもしれない。
家は小さいが新しくなり、金はあれとして女もできた。
そしてまたんきの二倍の幸せが来る。
  _
( ゚∀゚)「……」

ミセ*゚ー゚)リ「どうかした?」
  _
( ゚∀゚)「確かまたんきの二倍のものが来るんだよな?」

まだ帰りはしない妖精に向かって言った。

(=゚ω゚)「そうだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「全部の願いが二倍になってるんだよな?」

(=゚ω゚)「さっきから何度もそう言っているょぅ」



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:48:20.44 ID:LfHZrTcY0
何度頭を悩ませても理解できない。
また彼女が不思議そうに顔をのぞいてきた。
名前をまだ聞いてはないが、やはり可愛い。
  _
( ゚∀゚)「……確か二倍なはずだった……よな?」

ミセ*゚ー゚)リ「大丈夫?」
  _
(;゚∀゚)「電話は、どこに運んだっけな……」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:50:21.53 ID:LfHZrTcY0
すぐさま警察に通報した。
次の日からまたんきが学校に来ることはなく、学校では集会が行われた。
彼の犯罪について教えられた。



通貨偽造の罪と児童性的虐待だ――



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:52:44.81 ID:LfHZrTcY0
その日にあの二千円札一枚でさつまいもとライターを買い枯れ葉代わりに札を使いミセリと一緒に食べた。
被害者はミセリの妹で、もし出所したらまたんきと家族ということになるだろう。
しかし、何故かミセリの妹が監獄の中へ忍び込み、またそういった行いをしていて刑期が伸び、出られる気配はない。
何故人一倍の幸せを持っているのにこんなことになっているのか考えると答えはすぐに出た。

三食食べるものに困らず、毎日死を恐れずに過ごせる生活。規則正しく、健康でいられる。
そんな人間は世界で一体何人に一人なのか。答えはそれだった。

そうだとわかった時、何でもできるようになった。
どれだけ危ないことをしても、次の日には当たり前のように飯が食べられるはずなのだ。
責任という言葉にめったやたら強くなり、いつの間にか出世頭として扱われる。
今はミセリと結婚し、二児のパパ。早くも課長のイスに座っている。

(=゚ω゚)ノ「ぃょぅ」

そんな時だ。家で会社へ行く支度をしている時、またあの妖精が現れる。
電話をした後に消えていって以来数十年ぶりだ。
顔だけ見れば女だと思ってしまう童顔。
昔の時に会ったままの姿だ。一切成長していない。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:55:27.04 ID:LfHZrTcY0
  _
( ゚∀゚)「久しぶりだな。今度も俺は誰かのライバルとなってるのか?」

(=゚ω゚)「ちがうょぅ。昔会った時、一度も願いを聞いてやらなかったから一度だけ聞いてあげようと思ったんだょぅ」

安堵のため息をする。
あの時から、よく妖精のことについて考えていた。
しかし、自分の願いを叶えてくれるなんてそうそうあり得ない話だろうと思っていたので心底喜べた。
  _
( ゚∀゚)「誰かに二倍されたりするのか?」

(=゚ω゚)「何もないょぅ。ただお前の願いを聞くだけだょぅ。もちろん叶えてやるょぅ」

一つだけ聞いてほしい願いがあった。
『聞く』だけでもいいから、これだけは言おうと思っていた。

(=゚ω゚)「どうだょぅ。お互いずいぶん成長したょぅ」
  _
( ゚∀゚)「お前をどう見ても昔と一切変わらないように見えるんだが」

(=゚ω゚)「この良心的な行動こそが成長の証しだょぅ」
  _
( ゚∀゚)「逆に言えば昔の行動は良心が一切なかったってことだよな」

(=゚ω゚)「過ぎたことは気にするなょぅ」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/09(日) 18:56:53.77 ID:LfHZrTcY0
  _
( ゚∀゚)「で、本当に何でも聞いてくれるんだな?」

(=゚ω゚)「そうだょぅ。早くしないとその質問をカウントするょぅ。」


少しだけ微笑んでしまった。
軽く息を吸い込み、流れる水のように言う――


  _
( ゚∀゚)「着てくれないか。服を」




(=゚ω゚)ノ確か二倍なはずだったようです 終



戻る