( ^ω^)ブーン系にも奇妙な物語のようです

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:03:17.23 ID:/ir96TFK0
死語に自宅警備員というのがあるらしい。
自宅警備員というのは成人で働く気のない人間、俺はこれに当てはまらないが行動はだいたい一緒のようだ。
いつも本を読むかエロゲなどをして大人しく暮らしている。近所じゃこれを真面目な子と言っているようだ。
そんな中、常に充電中の携帯がほこりを払い飛ばした。旧友からの電話だ。

( ^ω^)「おいすー。久しぶりだお。ドクオ」

('A`)「驚いた。何だ急に……」

( ^ω^)「実は直接話したいことがあって電話したんだお」

('A`)「まぁ暇だからいいけど。で、何をだ?」

( ^ω^)「それはついてからのお楽しみだお。一時間後『バーボンハウス』に来いお」

('A`)「いいけどまだあそこやってんのか?」

( ^ω^)「大丈夫だお。このブーンにまかせるといいお」

そう言うと電話がすぐ切れた。
何か引っかかるところがあったけれどもとりあえずは行かないといけないと感じたので三日ぶりに着替えた――



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:05:09.39 ID:/ir96TFK0



( ФωФ)幸運を呼ぶ招き猫のようです



54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:10:29.70 ID:/ir96TFK0
淡白な店の前の道路に堂々と右ハンドルの車が置かれている。
直感で、これは内藤のだと理解できた。

(´・ω・`)「ようこそ、バーボンハウスへ」

内藤の言ったとおりこの店はまだやっていた。
彼はもうここに着いていて、ずっと待っていたようだ。
気づくのに時間がかかった。
店の中にはショボンともう一人しかいなかったが、その人間の恰好があまりにも昔の内藤と違っている。

(;'A`)「内藤……お前なんでそんな恰好しているんだ?」

( ^ω^)「これかお?」

高校時代の時と背格好は変わらないが彼の身にまとっているものはすべて白だった。靴から腕時計まで。
しまむらやユニクロなんてものではないのはすぐに分かった。全てが光り輝いている。
普通ならセンスが悪いと思うがそうとは一切感じさせなかった。
店のラジオから流れる曲と妙にマッチしていた。

(´・ω・`)「数日ぶりに店を開いたら……まさか鬱田と内藤に会えるとは思いもしなかったよ」

席に着くとショボンがそう言って近づいてきた。
高校時代の親友だが、こんな時代になってしまったのだからここ数年、話そうとも思わなかった。



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:13:40.70 ID:/ir96TFK0
('A`)「俺もだよ。しかし、ショボンも内藤も全く変わらないな」

( ^ω^)「ドクオは吹き出物がかなりできてるお。相変わらず二枚目とは程遠い顔だお」

(´・ω・`)「それにちょっと老けたように見えるね」

('A`)「今ものすごく涙が出そうなんだけど、お前らが気持ち悪くなるだろうからやめとく」

(´・ω・`)「自虐出来るようになるなんて成長したね。でも正直その通りなんだ。すまない」

(;A;)「……」

(;^ω^)「気持ち悪いお」

久しぶりに会っても昔と変わらない雑談は続く。
この机が高校の時のショボンの教室机のように思えた。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:17:30.91 ID:/ir96TFK0
('A`)「久しぶりに学校以外の場所に来たな。着替えたのだけでも数日ぶりだ」

( ^ω^)「汚ね」

(´・ω・`)「学校へは食料配布? 今は学校に避難しないの? 避難所でしょ」

('A`)「いや、自宅だ。安全でもやりたいことが出来ないからな」

( ^ω^)「ドクオのことだからどうせエロゲだお」

('A`)「それぐらいしかやることないだろ。夜に電気制限されて何もできないから寂しくなるけど」

(´・ω・`)「でも規則正しく清潔な生活は送れるね。うん」

( ^ω^)「数日間着替えないくせにかお」

('A`)「まぁ少なくとも学校じゃあ無理だろ。安全だか何だか知らないが俺は行かないね」

( ^ω^)「あそこはもう安全じゃないお。この前暴動が起きたお」

(´・ω・`)「あ、あれ参加したよ。何か活気づけるための祭りだと思って」

( ^ω^)「あるある」

('A`)「ねーよ」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:21:05.03 ID:/ir96TFK0
( ^ω^)「でも仕方無いお。女どもが男が嫌だとか言って排斥するから、自業自得だお」

('A`)「被害少なかったんだろ。二人だけだっけ?」

(´・ω・`)「あ、それボクがやったやつだ。二人とも」

(;'A`)「おいおいおい」

(´・ω・`)「大丈夫、被害相手男だよ。だってその人たち誰とやってもいいって言うから……」

(;^ω^)「どちらにしたって、流石にひくお」

(´・ω・`)「何故か場が白けちゃってさ。誰も好きな人としないんだ」

(;'A`)「俺ら狙うなよ」

(;^ω^)「それよりもよくその状況下で第二ラウンドしようと考えれるんだお?」

(´・ω・`)「もうその二人の精神に逝かれちゃってね。でもそれも自業自得でしょ?」

(;'A`)「……」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:23:55.76 ID:/ir96TFK0
(´・ω・`)「そうだ。何か頼む? テキーラぐらいならサービスで出せるけど」

('A`)「あ、じゃあそれ――」

( ^ω^)「金はあるからここにある一番高い酒が飲みたいお」

(´・ω・`)「大丈夫? 六十万ぐらいするけど」

俺の言葉を断ち切って内藤は悠々と話した。
ショボンが聞き入れたのは内藤の話で、俺の言葉は空を切ったらしい。

('A`)「ワインか?」

(´・ω・`)「うん。売るために仕入れたわけじゃないから、特別に。相場の三割増だけど」

( ^ω^)「大丈夫だお。あとショボンも飲んでいいお」

自信満々で答える内藤のせいで言葉が止まってしまった。
ショボンはその言葉を冗談と思ったような顔を一切見せず、そのワインをとりに行った。

(;'A`)「おい。本当に大丈夫なのか?」

( ^ω^)「モチのロンだお」

('A`)「後でウォンだったとかペリカとかなしだぞ」

( ^ω^)「大丈夫だお。ちゃんとしたこの国の金だお。滅んだ国の紙幣でも顎長の漫画でもないお」



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:26:57.09 ID:/ir96TFK0
(´・ω・`)「まぁ騙されていてもいいんだけどね。この国はインフレなんて起きてないけど金なんてもう意味がないから」

左手の指の間に三つのグラスを持ち、右手にワインを持って現れた。
雑に見えたが均等にワイングラスに盛られ前に置かれた。

('A`)「ワイングラスなんてあったのか」

(´・ω・`)「少し埃がかぶっていたけどね」

('A`)「ほかのもだろ」

( ^ω^)「これは、ロマネコンティってやつかお?」

(´・ω・`)「そんなところかな。でも仮に騙されていたって、大損じゃないんだろ」

( ^ω^)「そうだお」

内藤は一気に飲もうとして気道にでも入ったのかむせていた。
俺は通らしいようにグラスを回して匂いを嗅いで飲んでみたが、何が素晴らしいのかわからなかった。

( ^ω^)「まるで小鳥たちがさえずりながら踊っているようだお」

('A`)「凄いのか? これ」

(´・ω・`)「分かりやすく言えば賞味期限ぎりぎりのボンレスハムってところだよ」

( ^ω^)「ショボンのせいで養豚所で優雅に鼻を鳴らしている豚がみえてきたお」



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:30:33.30 ID:/ir96TFK0
('A`)「そうだ。話したいことって何だったんだ?」

( ^ω^)「よくぞ聞いてくれたお。今バーボンハウスがやっているのも、こんなに気前がいいのも関係あるんだお」

(´・ω・`)「なんだか気になる話だね」

ワイングラスを脇に退け、多分高価なブランドらしきバックから一つのものを取り出した。

( ^ω^)「この『幸運を呼ぶ招き猫』のおかげだお」


( ФωФ)

白色ばかり身につけている人にはあるまじき黒い招き猫が置かれた。
内藤はそれを出して満面の笑みをしている。

('A`)「なんだ。宗教に入っただけか」

最近の大不況、おかしな気候。予言者は一年後に世界は滅びると言い、さらには科学者までもがそう言った。
自転が止まる。重力がなくなる。大洪水が起こる。隕石が衝突する。太陽が大爆発を起こす。
何が起こって滅びるかは皆考えが違うがとりあえず一年後には滅んでいるらしい。
そんな中、変な宗教に入る人や自殺する人、暴れる人は急速に増えていった。

感染する病気だとか大地震とかそんな事も言われている最中、働く人はほとんどいない。
俺のようにただじっと自宅警備員をやっているだけでいい人。
ショボンのように自営でも仕事をやっている人は生真面目。
内藤はもちろん一般人。助かってはいるが食料配布などのボランティアなんてやってたら、大バカ者だ。



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:33:46.50 ID:/ir96TFK0
('A`)「で、どんな宗教なんだ?」

( ^ω^)「ロマ教という宗教だお。この招き猫を握ったら一気に幸運になるんだお」

(´・ω・`)「……」

( ^ω^)「別にその宗教に入ったわけじゃないお。その宗教の偶像を盗んで偽物と交換してきたんだお」

('A`)「どちらにしても人間として終了だろ」

( ^ω^)「この猫はずっと拝まれっぱなしだったお。それは宝の持ち腐れってものだお」

('A`)「だからってなぁ……」

( ^ω^)「この猫だってずっと拝まれるより握られることの方が嬉しいに決まっているお」

昔から罪になることは何一つしなかった人間がこのざまだ。
だが、その人間を軽蔑視はしなかった。多分できないのだろう。この招き猫のせいで。

( ФωФ)

今にも鳴きそうな気がする。
見ても何か誘われるというものは感じないが、話を聞けば気味悪く感じる。



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:35:54.24 ID:/ir96TFK0
( ^ω^)「実はこれをドクオやショボンに握ってもらいたくて持ってきたんだお」

('A`)「盗んだものをか?」

(´・ω・`)「これって握ってからすぐに幸運になるのかい?」

( ^ω^)「そうだお。握って三日でここまでの運を掴んだお」

(´・ω・`)「そうだな……じゃあボクは鬱田の逆にするよ」

('A`)「何だそれ」

(´・ω・`)「鬱田が握るならボクは握らないし、握らないならボクは握る」

('A`)「変な考えだな」

妙にプレッシャーを感じた。
だが、少し酒を飲んだせいでもあるのか頭の中で葛藤と言うものは起きなかった。
裏があるなんて考えない場合、どちらの方にメリットがあるかなんてすぐにわかる。
ワインを一口飲み、答えた。

('A`)「じゃあ、握ることにするよ」

( ^ω^)「それは嬉しいお」

酒の勢いでその手を握った。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:38:42.89 ID:/ir96TFK0
( ФωФ)「ニャー」

(;'A`)「おい! 今鳴き声が聞こえなかったか」

( ^ω^)「聞こえたお」

(´・ω・`)「ボクもだよ」

('A`)「よかったー」

空耳で俺の脳内にしか聞こえない様になっているのかと思って驚いたが、違ったようだ。

(;'A`)「ってよくねーよ!」

(´・ω・`)「何が?」

( ^ω^)「多分仕様だお。ブーンが握った時もなったお」

これで、内藤が言うにはおれは幸運になるらしい。
全く実感がわかない。

この後、内藤のおごりでまたワインを飲んだ。
何事もなかったかのように懐かしい過去に三人で思いふけた。
ラジオから生まれてきた赤ちゃんの生命線が一切ないなんて話をやっている。
一週間後に滅んでいいよ、なんて中学生レベルのツッコミを入れたりして笑いあった――



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:42:43.20 ID:/ir96TFK0
目が覚めるとベッドで寝ていた。酔いつぶれていたのだろう。ふかふかのベッドに身を包んでいる。
隣にテレビがあり、アニメが流れていた。心地よいから起き上がる気がしない。

*(‘‘)*「おはよー」

('A`)「ん、おはよう」

同じベッドの中に、女が寝ていた。
それに何故か俺はパンツ一丁だ。

('A`)「……女?」

*(‘‘)*「?」

('A`)「ここはどこだ?」

*(‘‘)*「きおくそーしつになっちゃった? 私の家だよ」

驚いて授業中眠っていた生徒のように立ち上がってしまった。彼女はピンク色のパジャマを着ていた。
斜光カーテンから少しだけもれる光。嗅いだ事のない甘い匂い。布団をもう一度戻し、彼女は小さく言う。

*(‘‘)*「寒いよー」

もう一つのほうも立ち上がるかと思ったがそんなことはなかった。
ただ、純粋に驚いた。



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:45:29.63 ID:/ir96TFK0
彼女と俺は服を着た。彼女は新しい服を俺は昨日も来ていた服を。どうやらいつのまにか一日が過ぎていたみたいだ。
覚えているのは内藤がショボンに対してパンパンの財布から札束を出したところまでだ。
どうやら、その後強姦されそうになっていた彼女を完全に酔っていた俺が数人の若者から助けたそうだ。
その後、何故かこうなったらしい。記憶がないのが残念だが、それ以上にこの展開の驚きのほうが上だ。

('A`)「まねき猫か……」

*(‘‘)*「どうしたの?」

('∀`)「フヒッ、フヒヒ」

服を着た彼女をベッドに押し付けた。
もうやることは決まっている。

カップラーメンが出来上がるよりも早く終わったが十分だった。
今までのやりたかったことが全部できる気がしてきた。
彼女の名前を知らないまま、去る挨拶もせずにアパートを出た。



71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:48:19.41 ID:/ir96TFK0
外に出るとたむろしている若者数人に会った。
メンチか何かを切ってくるがどうとも思わない。
臆することもなく、目の前を通った。

( ´ー`) 「おい、無視してんじゃネーヨ」

横切った時に一人の若者が立ち上がった。俺よりも十数センチも高く一瞬驚いたが、彼はまた座った。

( ^Д^) 「どうしたんだ?」

( ´ー`) 「足しびれたんダーヨ」

m9( ^Д^) 「お前それはねーよ」

たむろしていた連中は笑いあっている。
空気のような存在となった俺は簡単に切り抜けられた。



72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:52:37.93 ID:/ir96TFK0
多分内藤からもらったであろうお金が財布の中に入っていた。
交通手段が徒歩しかなく、タクシーが呼んでも来るものだろうか不安になった。
お金があっても使い道がないから大通りをトボトボと歩いて行く。
通る車もなくあまりにも静かなので大通りのど真ん中を歩いてみた。

飛ぶスズメもいなければ、馬を使う武将もいない。
確か鳥は北極に、霊は教祖様じゃないと見えないものだったか。
俺が最高の運をつかんだという実感が薄れてきた。

( ゚д゚ )「おーい」

声がした方向を向くと、薬でもやっているような怖い顔をした中年がこちらをじっと見つめてきた。

('A`)「は?」

( ゚д゚ )「おーい」

彼はそう言って一つの店に入っていく。どうやら美術展の看板が立っている。
妙にその店が気になった。金もあることだと思い、その中へと入っていくことにした。
さっきまで歩いていた車道を大型トラックが高速で走っていった。



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 20:56:25.02 ID:/ir96TFK0
|  ^o^ |「こーらおいしいです」

中は真っ暗だった。奥へと続く道は電光がないため、先が見えない。
壁には和紙にでかでかと丁半賭博と書かれている。
さっきの呂律がおかしかった中年はその和紙に敬礼をしていた。

|  ^o^ |「さっそくそうびしていくかい」

醤油をずっと飲んでいる。意味がわからない。

ミ,,゚Д゚彡「なんだ? 初めての人か」

奥から出てきたのは耳にピアスの穴があいている青年だった。
どうやら彼はちゃんとした言語を話せるようだ。

('A`)「この店は何ですか?」

ミ,,゚Д゚彡「ただの丁半賭博だよ。金があるならやっていけばいいさ」

何も言うことはない。
ただ持っている金を全額差し出す。



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:11:01.69 ID:/ir96TFK0
中に入れば運のありそうな人たちが数人いた。
だが、数回やっていくと金魚のフンのように俺と同じ様に張っていくのだ。

('A`)「……これぐらいでやめたほうがいいな」

三枚だった木札というチップがいつの間にか三桁の枚数になっていた。
やっと俺が幸運だとわかってきた。

彡,,゚p゚ミ「おぱちゅにてぃー」

耳にピアスの穴が開いた若者も遂には目が逝っていた。
多分オレをカモにする予定でもあったのだろうが。



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:12:30.79 ID:/ir96TFK0
あの日から三日が経つ。
もうこれからの贅沢三昧は表せないものだろう。

どこかに行けば、来場者数のべ何万人となり賞金がもらえる。
不人気のサイトのキリ番すらとったことのない人間だったのに。
行こうとした場所がやっていない店だったなんてこともあれ以降もちろんない。

一日に三回、一度に三人の違う女を抱ける。
抱いた女は逆にいくらか金を落としていく。
中学生を抱けるチャンスがあったがさすがに断った。

料理店に行って不味いと言って投げた皿が無銭飲食で逃げた男に当たる。
もちろんお礼にお金はいらないと言われた。

歩けば歩くほど金が増えていく。
減らそうと頑張っても無理なのだ。

何かムカつく人間だと思った矢先にそいつに雷が直撃することもあった。

地球がいつでも滅んでもいいから、こんな絶頂の中で地球が滅んでも死ぬわけがないと考えが変わってきた。

そろそろ権力もほしい。
新興の宗教でも作ればロマ教をも追い抜ける気がする。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:15:27.40 ID:/ir96TFK0
そんな最中、公衆電話から電話がかかってきた。車内で女を抱いている最中だ。

(ヽ´ω`)「つ、繋がったお。おいすー。ブーンだお。会って話がしたいお」

('∀`)「なんだ。内藤か。どうしたんだ? 大丈夫か?」

(ヽ´ω`)「大丈夫じゃないけど大丈夫だお。それよりも――」

やつれた声から内藤の顔が想像できた。
精力を使い果たしたすほど性を営んでいたのかと思ったがどうやら違うみたいだ。

(;'A`)「……じゃあどこにする?」

(ヽ´ω`)「よく高校の時にあったラーメン屋の近くにボロボロのファミレスがあるんだお。そこに行くお」

('A`)「いや、俺がおごるから何かいいところにでも行こう」

(ヽ´ω`)「交通手段が何もないんだお。そこで待っているから来てくれお」

電話が切れた。何か不安になって仕方がない。
女にその場所まで送ってもらうことにした。



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:17:53.00 ID:/ir96TFK0
荒れ果てた駐車場までなら内藤が選んだ理由がわかるが、そこは車が止まるスペースもない店だった。
ポケットに入るだけの金を持って、女の車から降りた。
女は車に残していった大金を教えてくれることもなく、去って行った。

(*゚∀゚)「……いらっしゃい」

ボロボロのドアを開けていたのは若い女性。
さっき抱いていた女よりずっと綺麗だった。
内藤が抱いた女かと思ったが、陳腐な服を見る限り違うとわかった。
陳腐な店。テーブルは埃で白く、それに同化したかのように端で内藤が座っていた。

('A`)「よぉ、どうしたんだ?」

俺は全身を黒で身にまとっていた。内藤は茶色のトレーナーを着てパジャマのような格好でいた。
この前に会った時と身なりが逆になっている。

とりあえず、ラーメンがあったのでそれを注文し、席に座った。

( ФωФ)

テーブルには、最初からあの招き猫が置かれている。
あの招き猫をみると嫌な予感がした。

(ヽ´ω`)「実は最近不幸なことが続くんだお」

(;'A`)「もしかしてこの猫のせいなのか?」

(ヽ´ω`)「多分そうだお」

(;'A`)「詳しく教えてくれ」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:19:23.67 ID:/ir96TFK0
内藤は今の俺のように豪遊していたらしい。
俺に簡単にお金をあげられるほど。
その後も女を抱いたり酒を飲んだり――
奪われないようにと常に鞄を持ちその中にあの招き猫を入れていた。

異変が起きたのは昨日のこと。株の話をしていた時に急に電波が届かなくなった。
そしてあの猫が触れてもないのに鞄の中から泣きだした。電波が戻った時はその株は大暴落した後だった。
お金は全部、それにつぎ込んでいた。戻る金もなく無一文に。

服を売ってなんとかラーメンを食べられるほどのお金を手に入れた。
携帯電話は完全に充電されていたはずだったのに、いきなり充電切れが起こり、近くの公衆電話へ。
記憶をたどって何とか覚えている俺の元へ連絡し数時間後に繋がった。

(ヽ´ω`)「できればあの時に貸した金を返して欲しいんだお」

(;'A`)「ちょっと待て。俺も不幸になるならこの金はやれない」

(ヽ´ω`)「そうかお。確かにそれも当り前だお」

(;'A`)「やけに聞き分けがいいな」



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:38:10.35 ID:/ir96TFK0
(ヽ´ω`)「車は奪われ頭に糞が落ち、犬の糞を踏んだ靴をずっとはいていれば、自然にそうなるお」

(;'A`)「俺もそうなるのか……」

(ヽ´ω`)「奪おうとする気もないお。あの招き猫の運の強さはわかってるお。ドクオは運がついてるお」

何も言えなかった。この招き猫の強さに圧倒されていた。

(ヽ^ω^)「……さっきからギャグ言っているのに一度も突っ込んでくれないお」

('A`)「……」

(ヽ^ω^)「いつもなら『お前も運がついているじゃないか。茶色いやつだがな』って言っているはずだお」

('A`)「お前、昔からそういうところ変わらないよな」

内藤はどんな状況になっても根本的な何かが変わっていなかった。
何故だかよくわからないが、心が穏やかになった。



96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:39:44.33 ID:/ir96TFK0
('A`)「金を返すよ。お前もいま大変だろう」

(ヽ^ω^)「お?」

何故だかはわからない。全くわからない。
だが、手には十数枚の紙を握って内藤の前に差し出した。

(ヽ^ω^)「いいのかお?」

('A`)「まぁな」

(*゚∀゚)「ラーメンお待ちー」

女を気にもせず、内藤はとても素晴らしい笑みをした。
手に取りそれを掲げて、皮肉なほど――

一瞬目に熱いものが入る。
反射で目を閉じ、開いたときには
内藤の紙と顔面にラーメンがかかっていた――

(ヽ川ω川)「……」

(*゚∀゚)「……」

(;'A`)「……」



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:43:32.36 ID:/ir96TFK0
(ヽ;ω;)「ブーンは、ブーンはもう金すら持てなくなっちゃったんだお」

('A`)「俺もしばらくしたら、こうなるのか」

紙幣はもう使い物にならなくなっていた。
もう一度ラーメンが来るまで、他にどのような不幸があったのか話してくれた。
少しあとに観光名所にはたくさん人がいた、自分の抱いた女の方がかわいいなど、そんな話もした。
悲しくなってくるが、内藤にはかすかに笑顔になっていた。

('A`)「そういやこの猫は盗まれないな」

(ヽ^ω^)「多分この招き猫は幸運や不幸の影響を受けないんだと思うお」

('A`)「この猫を持っているから不幸な目に会うってことは?」

(ヽ^ω^)「無いとは言い切れないお。試すことができないんだお」

('A`)「罰が当たっただけじゃないの?」

(ヽ^ω^)「……そうかもしれないお」

('A`)「そうだ。俺が不幸になるまで一緒にいたほうがいいんじゃないか?」

(*゚∀゚)「ラーメンお待ちー」



101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:45:05.73 ID:/ir96TFK0
振り向くとあの女性は両手に物を持っていた。
右手に包丁、左手にラーメン。

(*゚∀゚)「そぉい!」

右に見えるラーメンだけが見えたらなんて考えていたら内藤の頭の上にラーメンがかけられた。

(ヽ川ω川)「バルスゥ!」

(#゚∀゚)「アヒャ」

一度変な鳴き声をあげてから、内藤はしゃべることもなくその場で悶えていた。

そして、テーブルの上にまだ置いてある招き猫。あの猫がとうとう


( ФωФ)「ニャー」


鳴いた――



105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:46:48.71 ID:/ir96TFK0
(#゚∀゚)「今持ってる金を俺によこせ!」

(;'A`)「へ?」

(#゚∀゚)「さっきポケットの中にたくさん入ってただろ! あれをよこせ! ブサ面!」

( ゚A゚)「はい!」

(#゚∀゚)「あんなもの見せつけられたら誰でも奪うだろうが! 出せ! 早く!」



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:48:24.37 ID:/ir96TFK0
何が起こったのか、さっぱりわからなかった。
我に帰った時にはもう店の外に出ていた。
ラーメンで漏らしたように見えるほど濡れている内藤が連れてってくれたようだ。

(;'A`)「驚いた……」

車道の真ん中で眩しい太陽を見た時は、死んでしまったのかと思ってしまう。
汚い女体の落書きがされているアスファルトを見てまだ死んでないことが確認できた。

(ヽ^ω^)「大丈夫かお?」

(;'A`)「ああ」

(ヽ^ω^)「ついに、ドクオにも不幸が訪れたみたいだお」

(;'A`)「笑って言うなよ」

(ヽ^ω^)「不幸な時こそ笑ってないとだめだお」

幸も来ないのに、ずっと笑ってないといけないのかと言おうとしたがやめておいた。

(ヽ^ω^)「一緒に過ごそうなんて言ってたけど、どうするお?」

('A`)「やめておいた方がいいだろ。嫌な共鳴してしまう」

残念そうに下を向きだした。眼の先を猫に移してからまた言った。
太陽の光を濁った眼が気持ち悪い程度に反射してくる。



110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:50:40.32 ID:/ir96TFK0
(ヽ^ω^)「……この猫、渡すお」

('A`)「いいのか?」

(ヽ^ω^)「いいお。持っていたらさらに不幸になる気もするお。返してくれたおかねのお礼だお」

('A`)「ああ」

放置しておいてもよかった気もしたが、俺にとってはこれが近くにあることで少しは幸運になれる気がした。
握ったことはあったが持ち歩いたことはない。
それが幸運を未来から持ってくる招き猫だと知らなければ何ら不吉には思えないかもしれない。

でも、これでよかった気がするのだ。もうこれ以上の幸福はいらないだろう。
多分猫に遭わなければこの先は幸運が一つもないと思い、小さな幸福も気付けずに過ごしていたのだろう。
それよりはずっとましだ。最高の数日間だった。



111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:51:57.40 ID:/ir96TFK0
('A`)「そういやさ、内藤。お前が不幸になったのっていつからだっけ?」

(ヽ^ω^)「昨日だお」

('A`)「奪って握ったのはいつだっけ?」

(ヽ^ω^)「一週間ほど前だお」

( A )「あのさ。なんかさ……」


本当に、


( ゚A゚)「俺より長くね!?」


最高の数日間だった。



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:54:31.30 ID:/ir96TFK0
内藤とは、その後にすぐ別れた。
変ないちゃもんを内藤がつけられている時、俺もまた別の人にいちゃもんをつけられ、離されもう連絡は取れない。
充電切れの前に、携帯電話の金を払っていなかったので、とうとう電話もできなくなった。


*(‘‘)*「はい。あの人です。抱かないし、お金あげるから一晩だけ彼女の振りをしてくれと言って強姦してきたやつ」

|  ^o^ |「ごーかんはのみものですか? いいえけふぃあです。だからたいほします」

(゚д゚ )「お前、警察だったのか」

|  ^o^ |「かみがさだめました」

(゚д゚ )「俺は定めてないぞ」

( ´ー`) 「お決まりのセリフダーヨ」

ミ,,゚Д゚彡「紙なんてこんなものだ。金なんて髪なんだ。あいつの髪を毟れ!」

( ´ー`) 「ついに見つけたんダーヨ。早く捕まえるんダーヨ。俺を鼻で笑いやがって」

m9( ^Д^) 「お前が捕まえろよ」

|  ^o^ |「わたしのおしりにはべれったがはいります。そのべれったでやつをうつのです」

( ゚д゚ )「そいつは俺の中でも爆発したのさ。今度は俺のマグナムを奴に突っ込んでやる!」



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 21:56:54.57 ID:/ir96TFK0
時間が経てば経つほど災難に襲われる。
黒の服はいるはずもなかったカラスの糞で白くなり、股間の部分が黄色になる。
またどれだけひどいことが起こるか分からないが車を奪い、今のうちだけでも逃げた。
補助席には汚れのつかない招き猫が上品に座っていた。

内藤には悪いけど、もう死のう。そう決意した。
走馬灯が駆け巡る暇もないのだ。
こんな招き猫、握らなければよかったとつくづく思う。

あの不幸が始ってまだ半日も経っていない。
これから一体何が起きるのか。
今のところ電気モーターが切れそうな感じはしないし、パンクなどが起きそうな気もしない。
想像するのはもっとひどい災難だ。

海へと行き、飛び降り自殺をしよう。
まずはそう考えて車を奪ったはいいが、一向に着く気配がない。



117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:00:34.26 ID:/ir96TFK0
後ろから何か聞こえてきた。
ミラーに見える何台ものパトカー。
捕まるのならそれでいいが、何故か銃声が何発も聞こえ、左のドアミラーが壊れ、車体から置き去りにされた。
頭に当たれば一発で死ねるからいいが、そんなふうにはいかないだろう。

(;'A`)「後輪パンクしてないか?」

そう小さく言って、確認するために窓から顔を出した時、またも銃声。
驚いて顔を戻した時に、髪の毛の一部分がなくなっていた。
もう少し顔を出していればと後悔し、でも怖いから車を止めて出ることはしようとしない。

また銃声、今度は別の変な音がした。

('A`)「ん――――」



119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:03:52.50 ID:/ir96TFK0
一瞬、何が起きたのかよくわからなかった。
気づいた時には、うつぶせに倒れていて、まわりすべてが真っ赤に燃えていた。
背中に違和感があり、体の至る所から血が出ていた。

乗っていた車が爆発したみたいだ。
パトカーも巻き添えを喰らったのか何台か燃えている。
不必要な不幸中の幸い。いくつかの死体が見える中、俺は助かったのだ。
拳銃を見つけたのでとろうとしたが、熱くて触れやしない。

ずっとここにいても仕様がない。
一台の片方のドアが壊れているだけですんでいるパトカーを見つけ、気絶している警察官をどけて乗った。
エンジンが簡単にかかった。多分大丈夫だろう。
どちらに進めばいいか分からないが、ここから脱出するため、一番火の少ない所に猛スピードで走らせた。



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:06:52.23 ID:/ir96TFK0
( ФωФ)「ニャー」

隣から声が聞こえた。助手席の下にあの招き猫が転がっていた。
どうしてこんなところにと考えている間にもっと驚くことが起きた。
火が車を避けるように引いていき、車体の一切に火が当たらなかった。

あの爆発した場所から数十メートル離れた場所でようやく安心できた。
しかし、何が起こるかわからない。何が起こるか分からないが、この猫は必ず俺のところについてくる。
爆発したときに飛んできたのか。見える限りではまだ無傷だ。
いろいろと考えている内に、痛みは消えていた。

('A`)「……どうして」

思わず口に出してしまったが、その後に続く言葉はいくつでもある。
なぜ猫が鳴いたのか、何故火が避けたのか、どうして猫がここにいたのか。これは幸運ではないのか。
そして、車を走らせる中、一つの結論に至った。

『招き猫が車を握った』



121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:08:33.07 ID:/ir96TFK0
これを持つことで俺の運気が上がるのでは、という考えは間違っていなかった。
無機物にも使えるとわかった今は、俺の身の回りを幸運にしていけば、
この半日のような不幸とはおさらばできる。
俺はこのパトカーを世界最大に運のいい車だと信じ、勢いよくアクセルを踏んだ――――



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:10:22.75 ID:/ir96TFK0
一番初めに見えたのは酸素マスク。そして白い天井。
聞こえてくるのはテレビの音。

(´・ω・`)「やぁ。目が覚めたかい。」

口が開かない。ああ、ここはベッドの上だ。まだ死ねちゃいない。
何があったか、記憶を辿る。あんな絶頂から一体何があったのか。

(´・ω・`)「しかし、よく助かったね。あんなところから」

そうだ、思い出した

――

――――



125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:12:35.22 ID:/ir96TFK0
海が見えてくる。しかし、死ぬ気はもうない。俺はまだ生きられるのだ。
目をつぶっても強風が吹いて、車体が勝手に動く。これ以上壊れる事なんてない。
サイレンを鳴らしながら、気持ち的には音速を超える勢いでかっ飛ばす。

十五メートルほどの崖の下に見える壮大な青を眺めながら、突き進む。
だが目の前に大きな岩壁があり、流石にこれにはハンドルを切らなければと思いしぶしぶ前を見る。
そして豪快にハンドルを切る。


ここまではよかったのだ。

今までかなりのひび割れを見たが、道路が、土砂崩れのせいでなくなっていたなんてことはなかった。
落石した岩が道の八割をふさいでいたのだ。ガードレールは無くなっていて、この車でも通り抜けることは不可能だ。
このスピードで岩に衝突したら、確実に大破する。
身の危険を感じ、海側の壊れたドアの方から猫を持って、飛び出そうとしたのだ。

するといきなり車が止まる。車は急に止まれないなんて嘘のように慣性の法則を無視してぴたりと止まった。
でも、ドアから出ようとした俺の勢いは止まらず猫を抱えた俺は車から追い出されるように車外に出て、
そして宙に舞った。

海へと落ちていく瞬間、あのパトカーを見た。

もうボロボロなのにとても美しく見え、まるで母なる海へ帰される俺へのレクイエムのようにサイレンが鳴り響く

――――

――



127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:15:15.53 ID:/ir96TFK0
(´・ω・`)「岩をどけようとしたボランティアが反対側から落ちていくのを見て何とか助けられたみたいだよ」

麻酔がかけられているのか痛みは感じないが体が重い感じがする。
一、二歩近づいて顔を覗いてくる。高校時代とまだ変わらない。ショボンはいたって元気そうだ。

(´・ω・`)「その幸運はどっから来たのか。気になるね。あの猫を握っておいて」

不幸しか来ないはずなのにと続くような皮肉交じりの言い方。
何故、それを知っているのか。内藤は連絡を取っていないはずだ。

(´・ω・`)「実はボクね。ロマ教を信仰していたんだ。幸せになりたくてね」

驚いて立ち上がろうとするが体が動かない。

(´・ω・`)「ある信仰者が握ってその人の行く末を見たらみんなが祟りと言って。もうバカバカしくてやめたけど」



131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:17:57.39 ID:/ir96TFK0
ショボンはいろいろ話してくれた。どうやらその時から自分の未来から呼んでくるものだとわかっていたらしい。
俺が握った時は、その当時の運に任せて決めてみるのも面白いから。いたってショボンらしかった。
内藤とは、最近連絡が取れたらしい。この病院内にいて、ドジっ子ナースに殺されかけてるとのこと。
でも、今の俺にとってはどうでもいいんだ。

(´・ω・`)「それで、あの招き猫はどこに行ったんだろうね?」

招き猫は、どこに行ったんだろう。でも、そんなことはどうでもいい。

(´・ω・`)「そういえば、最近好景気で、しかも一年後地球がなくなるなんてのは嘘だったって言っているよ」

頭が回らないし、クラクラする。
それがいったいどうしたのか?

(´・ω・`)「わからない?」

だめだ。それがどうしたのか?

(´・ω・`)「さっきパトカーが爆発したってこのテレビでテロップが流れたけど、今別の事件で特番を組むよ」

あのあり得ない頻度で流れる速報か。テロップも特番どうせCMみたいに誰の目にも止まらなくなったな。
もう聞こえづらくなった。テレビが見れないが聞こえる。確かに特番のようだ。
あの、テレ東が特番を組んでいる――



133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/08/10(月) 22:19:43.78 ID:/ir96TFK0
『ただいま、中国の朝鮮半島から世界各地に向けて十三個の核ミサイルを誤射したとのこと……』

もうだめだ。

終わった。

そんな些末なことなんてどうでもいいから……


早く……お願いだからそのチューブから足をどけてくれ……ショボン――――








そんな中、海の奥底から地球を握った猫が鳴く――


( ФωФ)「ニャー」


俺があの招き猫を握ってから一週間後のことだった。




( ФωФ)幸運を呼ぶ招き猫のようです 終



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