('A`)ブラック・フライズのようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:30:02.44 ID:oVM31L8C0
('A`)「お、ハイン」

从 ゚∀从「ようドクオ」

('A`)「最近どうだ?」

从 ゚∀从「涼しくなってきたけど、まだ暑いぜ」

('A`)「俺たちハエも快適な空間で過ごしたいよなー」

从 ゚∀从「いい場所があるらしいぜ」

('A`)「どこよ」

从 ゚∀从「内藤とかいう名前の人間の家だ」

从 ゚∀从「部屋は汚くて汚物だらけ、そのくせエアコンつけっ放しだから、一年中過ごしやすい場所だってよ」

('A`)「いいね」

从 ゚∀从「よし、一緒にいこうぜ!」



2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:34:45.37 ID:oVM31L8C0

ブゥ〜ン


从 ゚∀从「着いたぜ」

('A`)「ここか」

从 ゚∀从「へへ、人間ってのはマヌケだぜ」

从 ゚∀从「こんな網戸で俺たちの侵入を防げるだなんて思ってんだから」

('A`)「ふうん、確かにいい部屋だ」

从 ゚∀从「だろ?涼しくて汚い」

从 ゚∀从「おまけに部屋の主は夢の中」



( ‐ω‐)zzz・・・



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:38:01.14 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「楽園だぜ」

('A`)「フヒッ」

从 ゚∀从「じゃ、さっそく物色するぜ」


ブゥ〜ン


从 ゚∀从「おーおー汚い汚い」

('A`)「この部屋の主は本当に人間か?」

从 ゚∀从「そんなことどうでもいいじゃねえか」

从 ゚∀从「おっ、腐った生肉ハケーン」

从 ゚∀从「料理しようとして諦めたな、馬鹿め」



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:44:00.74 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从 チューチュー

('A`)「・・・」

从 ゚∀从 ウメー

('A`)「・・・」

从 ゚∀从「どうしたドクオ、黙り込んで」

('A`)「・・・おかしいぞ」

从 ゚∀从「何がだ?」

('A`)「・・・確かにここは楽園だ・・・快適だし、食料もたくさんある・・・」

从 ゚∀从「?」

('A`)「だが」

('A`)「その楽園に――――」



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:48:04.04 ID:oVM31L8C0
('A`)「なぜ・・・・・・俺 達 し か い な い ?」



( ゚ω゚)つ―□



从;゚∀从「ドクオ!あぶな―――」



ズバァンッ!!!!



( ゚ω゚)「ハエどもめ・・・ブンブンうるせぇんだお・・・」

( ゚ω゚)「殺しても殺しても沸いてきやがる・・・・・クソが・・・」

( ゚ω゚)「これで今日何匹目だお・・・?三桁はいってるお・・・」



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:54:39.45 ID:oVM31L8C0
从 Д从「・・・そんな・・・ドクオ・・・!!」

从 ;Д从「ドクオーーーーーーー!!!!」


( ゚ω゚)「んん〜・・・?もう一匹いるお・・・?」

从 ; -从「!!」

( ゚ω゚)「そんなところで何してるお・・・・仲間の死にショックを受けてるのかお・・・?」

( ゚ω゚)「ククク・・・虫けらめが・・・人間に殺されるためだけに存在している下級生命・・・」

( ゚ω゚)「よしよし・・・そこを動くなお・・・・・」

( ゚ω゚)「いま・・・殺してやるお」

从 ;Д从「い、嫌・・・・嫌だよぅ・・・死にたくないよぅ・・・ドクオ・・・!!」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 16:57:31.81 ID:oVM31L8C0


「――――羽根を止めるな、ハイン」


从 ;Д从「!?」

( ゚ω゚)「潰れろォ!!」


ズドオォォンッ!!!!






从 ; -从「・・・」

从 ; -从「・・・生きてる・・・?」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:02:00.34 ID:oVM31L8C0
从 ; -从「あれ・・・?俺・・・羽根を動かしてないのに・・・飛んでる」

('A`)「そりゃあ俺が抱えてるからな」

从 ;∀从「ドクオ!?」

从 ;∀从「生きてたのか!」

('A`)「へっ、俺がそう簡単に死ぬかよ」

从 ;∀从「よかったぜ・・・てっきりやられたのかと・・・」

('A`)「お前、泣いてんのか?」

从;う∀从「な、泣いてないぜ!なに言ってんだお前、このタコ!」

('A`)「蠅だ」



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:06:53.34 ID:oVM31L8C0
('A`)「それより、そろそろ自分で飛んでくれねえか?」

从 ゚∀从「お、おう、悪いな」


ブゥ〜ン



('A`)「・・・しかし、見てみろよ」

从 ゚∀从「?」

('A`)「床に散らばってる黒い点だよ」

从;゚∀从「な・・・!」


('A`)「あれ全部、殺された同胞たちだ」

从;゚∀从「すごい数・・・何匹やられたんだ・・・?」

('A`)「どうやらここは、楽園なんかじゃなかったみたいだな」

从;゚∀从「・・・」

('A`)「まるで地獄だ。すぐにこの家を出よう」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:41:38.02 ID:oVM31L8C0

ブゥ〜ン


从;゚∀从「なん・・・だと・・・!?」

('A`)「どうした!」

从;゚∀从「窓が閉まってる!くそっ、やられたぜ!」

('A`)「換気扇は!?」

从;゚∀从「稼働中だ!下手に近づくとミンチにされちまう!」

('A`)「逃げ道はナシ、か。内藤め、意地でも俺たちを殺そうとしているな」

从;゚∀从「どうするんだ!?」

('A`)「そうだな・・・ひとまず物陰に隠れて、窓か扉が開くのを待つしかないな」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:46:43.96 ID:oVM31L8C0
从;゚∀从「けど、どこに隠れればいいんだ?」

('A`)「見ろ、あそこの部屋のドアが少し開いてる」

('A`)「あの部屋に身を隠そう」

从;゚∀从「ああ・・・分かったぜ」


(#゚ω゚)「そこっ!!!!」


ドゴオオオオオオンッ!!!!


(;'A`)「・・・っぉぉおおおおおお!!?」

从;゚∀从「あぶねえぇー!!」

(;'A`)「大丈夫か!?」

从;゚∀从「あ、ああ、ギリギリだったぜ!」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:49:30.77 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「油断するな!もう一発くるぞ!」



(#゚ω゚)「死ねェッ!!!!」


バギュウウウウウウンッ!!!


从;゚∀从「うぉっ・・・とぉっ!」

(#゚ω゚)「チッ・・・・・!」

从 ゚∀从「ハッハァー!お前の動きはもう読んだぜ!ハエのスピード舐めんなよ!」



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:51:30.69 ID:oVM31L8C0

ビュゥーーーン


( ゚ω゚)「・・・」

从 ゚∀从「ほらほらぁ!そのちゃっちいハエ叩きで俺を落としてみろ!」

从 ゚∀从「空も飛べない人間め!くらえ!粘着羽音攻撃!」

(;'A`)「バッ・・・!」


( ゚ω゚)「・・・」


(;'A`)「そいつから離れろォー!!ハイン!!」

从 ゚∀从「え?」

( ゚ω゚)「遅いんだお」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 17:59:00.44 ID:oVM31L8C0
从;゚∀从「な―――――!」




 □
 |
(∩゚ω゚)つ―□





从;゚∀从「両手に・・・!!?」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:04:32.65 ID:oVM31L8C0
( ゚ω゚)「―――――“二刀流”」

从;゚∀从「・・・!!」


(;'A`)「クソッ・・・・・間に合え・・・!!」


バシュウゥゥゥン!!


(;'A`)「くっ・・・!」

(;'A`)「もっと速く・・・・光さえも・・・追い越して・・・!!」


キイイイイイイイイン!!



(;'A`)「ハイ――――――――ン!!!」

从;゚∀从「ドクオォ―――――――!!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:08:59.21 ID:oVM31L8C0

从;゚∀从つ ⊂('A`;)




ドンッ





      ク ロ ス ・ ホ ラ イ ゾ ン
( ゚ω゚)「“十 字 平 閃”!!!」





ドガアアアアアアアアアアッ!!!!



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:12:36.99 ID:oVM31L8C0



从;-∀从「・・・」

从;-∀从「・・・・・ぐ」

从;゚∀从「助かった・・・のか?」



(゚ω゚三#゚ω゚)



从 ゚∀从「内藤は俺たちを見失ったようだぜ」

从 ゚∀从「そうだ・・・・・ドクオ!」

从 ゚∀从「ドクオ!?どこだ!?ドクオー!!」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:17:18.95 ID:oVM31L8C0

トコトコ・・・


从 ゚∀从「あの野郎・・・狙われてたのは俺だけだったのに・・・」

从 ゚∀从「俺を突き飛ばして・・・余計なことを」

从 ゚∀从「へっ、どうせ無事なんだろ?」

从 ゚∀从「俺が泣いてる所にひょっこり現れて、俺の泣き顔を馬鹿にするんだろ?」

从 ゚∀从「いつもみたいに・・・気の抜けた顔で・・・・・」

从 ゚∀从「いつだってそうだ・・・かっこつけて、気取って・・・そのくせ他のハエのことばかり気にして・・・」

从 ∀从「助けてくれなんて頼んだ覚えはねえんだよ・・・馬鹿」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:19:16.97 ID:oVM31L8C0
从 ∀从「なぁ、ドクオ」

从 ;∀从「・・・聞いてるか?」


(-A-)


从 ;∀从「なんとか言ってくれよ・・・」

从 ;∀从「そう簡単には死なねえんだろ・・・?」

从 ;∀从「ねぇ・・・ドクオ・・・」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:23:45.02 ID:oVM31L8C0
(-A-)

从 ;∀从「ほら、早く起き上がって・・・羽根動かして・・・」

从 ;∀从「おいおい・・・羽根、ボロボロじゃんか・・・これじゃ飛べないな・・・」

从 ;∀从「仕方ねえなぁ・・・俺が抱えてやるよ・・・」

从 ;∀从「う・・・意外と重いんだな・・・お前」


ブゥ〜・・・・・ン

ドサッ


从 ;∀从「いってぇ・・・墜落しちまったぜ・・・」

从 ;∀从「・・・くそぉ・・・俺だって」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:24:46.27 ID:oVM31L8C0
ブゥ・・・・・ン

ドチャッ


从 ;∀从「うぅ・・・ドクオ」

从 ;∀从「起きてくれよ・・・」



カサカサカサ

(´・ω・`)「残念だが、そいつはもう目を覚まさないよ」

从 ;−从「!」

(´・ω・`)「あの人間の奥儀を喰らって、助かった奴はいない」

从う∀从「・・・誰だよ」



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:28:45.39 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「これは失礼、僕はG・ショボーン。ショボンと呼んでもらって結構だ」

从 ゚∀从「ふん・・・ゴキブリに何が分かる。ドクオが人間なんかに殺されるはずがない」

(´・ω・`)「・・・ゴキブリを馬鹿にしないでもらいたいな」

(´・ω・`)「スピード、繁殖力は一級・・・」

(´・ω・`)「さらに生命力に関して、僕らの右に出る者はいない」

(´・ω・`)「ましてやハエなんて、叩かれただけで死んでしまう実に弱い生物だ」

(´・ω・`)「見てたよ、さっきの戦い。いや、一方的虐殺と言ったほうが正しいかな?」

从 ゚∀从「・・・」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:33:08.05 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「まったく、人間に刃向うだなんて、イカれてるとしか思えないね」

(´・ω・`)「僕らみたいに物陰に身をひそめて、人間のおこぼれに預かって生きていればいいのに」

(´・ω・`)「ハエってやつは愚かだね。わざわざ人間の周りを飛びまわって、挙句にあっけなく潰される」

(´・ω・`)「自業自得だ」

从 ゚∀从「ふん」

(´・ω・`)「君はまだ生きている。悪いことは言わない、もう空を飛ぶのはやめな」

从 ゚∀从「言ってろ」

从 ゚∀从「俺たちは死んでもこの家から脱出する。てめえの指図は受けねえ」

(´・ω・`)「現実を見なよ。君たちハエごときががんばったところで、どうしようもないんだ」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:35:29.74 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「そこに転がっている彼だって、もう――――」


(-A-)「・・・俺が・・・どうしたって?」


(;´・ω・`)「!?」

从 ゚∀从「ドクオ!」

(;´・ω・`)「そんな馬鹿な・・・・・生きてるはずが・・・」

('A`)「あーいてぇ・・・死ぬかと思った」

('A`)「お、ハイン、無事だったか」

从 ゚∀从「ああ!ドクオのおかげだぜ!」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:37:47.07 ID:oVM31L8C0
(;´・ω・`)「お前!な、なぜ生きてる!」

('A`)「だれ?」

从 ゚∀从「ただの頭の悪いゴキブリ野郎さ」

('A`)「お前、ゴキブリ野郎は酷いだろ」

('A`)「悪いな、えーと・・・」



(´・ω・`)



('A`)「ゴキブリ野郎」

(´・ω・`)「ぶち殺すぞ」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:42:24.89 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「僕はG・ショボーン。ショボンと呼んでくれ」

('A`)「俺はドクオ。こいつがハインリッヒ」

(´・ω・`)「それで・・・」

(´・ω・`)「どうやって生き延びたんだ?」

('A`)「ん?そりゃあ簡単なことさ」

('A`)「飛んだんだよ」

(´・ω・`)「・・・?」

('A`)「ショボン、お前はハエのスピードを見くびってるだろ」

(´・ω・`)「む・・・」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:46:27.90 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「ドクオはハエたちの間じゃ、“スピード・キング”として知られているんだぜ」

从 ゚∀从「最高時速は―――」

从 ゚∀从「500qだ」

(;´・ω・`)「な・・・!」


('A`)「あの人間もやるなあ。久々に肝を冷やしたぜ」

从 ゚∀从「しかしどうするんだ?そんな羽じゃ、お前もう飛べないだろ」

('A`)「地面を這っていくさ」

从 ゚∀从「抱えてやろうか?」

('A`)「いや、ここは目立たない様に歩いて移動した方がいい」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:50:26.17 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「・・・おい」

('A`)「なんだよ?」

(´・ω・`)「これからどこへ行くつもりだ?」

('A`)「ここから一番近い部屋に隠れるつもりだ」

(´・ω・`)「それで?」

('A`)「策を練って、この家から脱出する」


(´・ω・`)「・・・・・ふん」

(´・ω・`)「やっぱりハエってやつは低脳だな」

从 ゚∀从「あ?」

(´・ω・`)「この状況でも、まだ希望にすがっているようだ」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:54:53.27 ID:oVM31L8C0
从#゚∀从「てめえ・・・さっきからムカつくぜ」

(´・ω・`)「・・・」

从#゚∀从「人間に立ち向かうこともせず、隅っこで震えながら生きてるようなウジ虫のくせに」

('A`)「ウジは俺たちだろ」

从#゚∀从「うるせえ!」

从#゚∀从「何もしようとしない奴が、何かしようとしてる奴を馬鹿にすんな!」

(´・ω・`)「・・・」

(´・ω・`)9m「あの部屋だ」

从#゚∀从「あ?」

(´・ω・`)「ここから見えるだろ。少しドアが開いている」

('A`)「ああ、見えるよ」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 18:57:58.74 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「あの部屋の中に、死を免れた虫たちが隠れ住んでいる。数は少ないが」

(´・ω・`)「この家の人間は、おそらくあの部屋の存在を忘れているんだろう」

(´・ω・`)「いわゆる安全地帯さ」

从 ゚∀从「・・・」

(´・ω・`)「あそこを目指せ」

从 ゚∀从「なんだよ急に。悪い物でも食ったか?」

(´・ω・`)「ハエに言われたくないね」

('A`)「なぜそんなことを俺たちに教えてくれるんだ?」



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:04:25.25 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「・・・嫉妬していたんだ」

(´・ω・`)「君たちに」

('A`)「嫉妬?」

(´-ω-`)「ああ・・・」


(´・ω・`)「恐れずに人間に立ち向かう勇気。どんな状況でも希望を捨てない心」

(´・ω・`)「そして仲間を思いやる優しさ。今の僕に、そんなものは残されていない」

(´・ω・`)「ただ惰性で生きているだけの生活。死を恐れ、生からも逃げて・・・・・」

从 ゚∀从「・・・」

(´・ω・`)「だから、悔しかったんだ。君たちのような――――」

(´・ω・`)「おかしな奴らに出会って」



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:07:30.07 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「・・・怒鳴って悪かったぜ」

(´・ω・`)「いや、いいんだ。君は正しいよ」

(´・ω・`)「それより、急いだ方がいい。内藤は今も虱潰しに君たちを探している。仕留め損ねたのがよほど悔しかったんだろう」

(´・ω・`)「ここに留まっていては、見つかるのも時間の問題だ」

(´・ω・`)「内藤に見つからないように、あの部屋に逃げ込め。そうすれば、君たちならきっとこの家から逃げ出せる」

('A`)「礼を言うよ、ショボン」

(´・ω・`)「こちらこそ。いい思い出ができたよ」

从 ゚∀从「そうだ!お前も来いよ!」

从 ゚∀从「一緒にこの家から出よう!俺たちならきっと上手くやっていけるぜ!」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:10:06.86 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「それはできない。気持ちだけ受け取っておくよ」

从;゚∀从「な、なんでだよ!」

(´・ω・`)「やるべきことがあるんだ」

从 ゚∀从「俺たちが手伝うぜ!」

(´・ω・`)「僕ひとりじゃないとできないことなんだ」

从 ゚∀从「で、でも――――」

('A`)「行こう、ハイン」

从 ゚∀从「だって・・・せっかく仲良くなれたのに・・・」

(´・ω・`)「大丈夫、きっとまた会えるさ」

从 ゚∀从「絶対だぜ!」

(´・ω・`)「ああ」

从 ゚∀从「じゃあな!」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:12:47.59 ID:oVM31L8C0
(´・ω・`)「そうだ、一つだけ約束してくれないか?」

('A`)「なんだ?」


(´・ω・`)「何があっても、絶対にこの家から出る・・・と」

(´・ω・`)「何があっても、絶対に・・・」

(´・ω・`)「前へ進み続けると」

从 ゚∀从「?」

('A`)「ああ、分かったよ。約束する」

(´・ω・`)「・・・それじゃ」


トコトコトコトコ・・・



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:16:01.71 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「案外遠いぜ!」

('A`)「そうだな・・・だけどもうすぐだ」

从 ゚∀从「あの部屋の中に、他の虫たちがいるって言ってたけど」

从 ゚∀从「どんな奴らだろうな」

('A`)「さあ、会ってみないと・・・・・くっ!」

从;゚∀从「大丈夫か!?」

(;'A`)「あ、ああ・・・心配ない」

(;'A`)「・・・内藤にやられたダメージが、まだ少し残ってるみたいだ」

从;゚∀从「休むか?」

(;'A`)「いや、そんな暇はない。先を急ごう――――」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:19:42.30 ID:oVM31L8C0
ズドォォォォォォォン!!!



从;゚∀从「ぐあああぁぁっ!!?」

(;'A`)「うおおおおおぉっ!!」


( ゚ω゚)「見つけたお・・・ゴミ虫ども・・・」

( ゚ω゚)「今度こそ逃がさん・・・グチャグチャの・・・すり身にしてやるお」



(;'A`)「見つかった・・・!」

从;゚∀从「ちくしょう・・・あと少しなのに!」



( ゚ω゚)「これにて終わりだお・・・・・アデュー」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:22:13.28 ID:oVM31L8C0
バサバサバサッ



(;゚ω゚)「うおっ!?」

(;゚ω゚)「なんだお・・・こいつ!!」

(;゚ω゚)「うぉ、こっちくんなお!」



从;゚∀从「ど、ドクオ!あれ!」

(;'A`)「・・・!」





(´^ω^`)「ヒャッホーーーーウ!!」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:27:02.05 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「・・・ショボン!」



(;゚ω゚)「飛んでるゴキブリきめぇぇぇぇぇ!!!」

(;゚ω゚)「って、おい、ちょっ・・・やめろ!くんな、くんなって!」

(;゚ω゚)「うわっ・・・・おい・・・なんでこっちくんだよ・・・!」

(;゚ω゚)「やめ・・・・・!」



(´^ω^`)「ケェーーーwwwww」



(#゚ω゚)「あ゛あ゛ーーーーもうブチ切れた!!!こいつぶっ殺す!!絶対ぶっ殺す!!原型も残さねえ!!!」

(#゚ω゚)「殺す殺す殺す殺す!!!ゴキブリのくせに調子乗りやがって!!」

(#゚ω゚)「バットどこだバット!!こいつ叩き潰すんだよ!!!」

(#゚ω゚)「あったあった・・・・うぉっ!こいつなんか液体出しやがった!!もう許さねえ!!!マジ殺す!!!」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:32:07.78 ID:oVM31L8C0

ブオンッ!ブオンッ!


(´^ω^`)「当たるかボケェwwwww」

(#゚ω゚)「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」





从;゚∀从「ショボン!逃げろ!逃げろよ!」

从;゚∀从「殺されるぞ!なあ、ドクオ!ショボンが殺されちまう!」

(;'A`)「・・・」

从;゚∀从「なんとかしてくれよ!このままじゃ・・・!」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:35:26.36 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「・・・」

从;゚∀从「どうしたんだよ、ドクオ!なんで何も言わないんだよ!」

从;゚∀从「くそっ・・・分かったよ!俺が助けに行ってやる!」

(;'A`)「やめろ!飛ぶなハイン!」

从;゚∀从「なんで止めるんだよ!?放せよ、ショボンを助けるんだ!」

(;'A`)「駄目だ!先に進め!今のうちに部屋の中に逃げ込むんだ!」

从;゚∀从「・・・!!」


从;゚∀从「ドクオ、お前そんな奴だったのかよ!?友達が目の前で殺されそうだってのに、自分の保身しか考えられないのかよ!?」

(;'A`)「喋ってる暇があったら足を動かせ!内藤がショボンに気を取られているうちに!」

从#゚∀从「見損なったぜ!ドクオ!」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:37:52.44 ID:oVM31L8C0

ドンッ


(;'A`)「うっ・・・ハイン・・・お前・・・!」

从#゚∀从「お前はその弱った体で、安全地帯でもどこでも勝手に行けばいい!」

从#゚∀从「俺はショボンを助ける!ゴキブリは長時間飛んでいられないんだ、いずれ地面に落ちて――――」

从#゚∀从「確実に殺される!あいつはもう俺の友達なんだ!友達の死を黙って見てられないんだ!」

从#゚∀从「じゃあな冷血蠅!」


(# A )「ハインリッヒ!!!!」

从;゚∀从「!」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:41:24.91 ID:oVM31L8C0
( A )「分かんねえのかよ・・・!ショボンが何のために体を張って、内藤に立ち向かっているのか!!」

( A )「何年も使ってない羽を広げて!慣れない飛行を続けているのか!」

( A )「俺たちを・・・!」



(#'A`)「俺たちを助けるためだろうが!!!!」




从; ∀从「だって・・・だってよ・・・!」

(#'A`)「悔しいのはお前だけじゃない!俺だって羽を怪我してなかったら、今すぐにでもショボンに加勢してやりたい!」

(#'A`)「だけど、あいつはそんなこと望んじゃいない!!」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 19:43:14.11 ID:oVM31L8C0
(#'A`)「ゴキブリ一匹とハエ二匹が協力したところで、何ができる!?相手は人間だぞ!敵いっこないんだ!」

(#'A`)「だからあいつは、俺たちを無事に安全地帯へ送り届けるために――――」

(#'A`)「勇気を振り絞って人間に立ち向かっているんだ!」

(# A )「それが――――――!」


(;A;)「それが・・・・・分かんねえのかよ・・・!」


从 ゚∀从「・・・」

(;A;)「くそっ、俺たちが内藤に見つからなければこんなことにならなかったのに!」

从 ゚∀从「・・・」

从 ゚∀从「・・・行こう、ドクオ」

(;A;)「チクショウ・・・チクショウ!」

从 ∀从「ごめんな、ショボン・・・」



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:12:19.72 ID:oVM31L8C0 从 ゚∀从「着いたぜ、安全地帯だ」

从 ゚∀从「このドアの向こうに行けば・・・」

从 ゚∀从「・・・ドクオ?」

('A`)「内藤の動きが止まった」

从 ゚∀从「・・・」

('A`)「ショボンが飛ぶ音も聞こえない」

从 ゚∀从「・・・・・ドクオ」

('A`)「大丈夫だ。さあ、中に入ろう」



74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:13:37.88 ID:oVM31L8C0


トコトコ・・・


从 ゚∀从「ん・・・真っ暗だぜ」

('A`)「窓がない部屋のようだな」

从 ゚∀从「どうするよ」

('A`)「とりあえず、ここにいる虫たちを探そう。何かいい情報が得られるかもしれない」


ギィ・・・・


从 ゚∀从「え?」


バタンッ!



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:23:32.72 ID:oVM31L8C0
从;゚∀从「ちょっ」

(;'A`)「ドアが閉まった!?内藤か!?」


  _
(  ∀ )「違うね」
  _
(  ∀ )「俺様の糸の力だ。ハエのお二人」

(;'A`)「だれだ!?」
  _
(  ∀ )「へへ、見て分からないのか?」

从;゚∀从「く・・・クモ!?」


スルスルスル・・・

  _
( ゚∀゚)「そう!俺様こそがこの部屋の支配者」
  _
( ゚∀゚)「“キング・スパイダー”こと―――――」
  _
( ゚∀゚)「ジョルジュ様だ!久しぶりの上客だ、逃がしはしないぜ!」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:29:40.61 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「・・・!」

(;'A`)「ハイン、気をつけろ!」

(;'A`)「この部屋は丸ごと全部、こいつの“巣”だ!」

从;゚∀从「うわっ、なんかすげえ地面がベタベタするぜ!」
  _
( ゚∀゚)「ククク・・・やっぱり食事は新鮮な方がいい・・・ジュルリ」

(;'A`)「俺たちを喰う気か!?」
  _
( ゚∀゚)「ああそうさ」

从;゚∀从「げっ、動けないぜ!ドクオ!」

(;'A`)「俺もだ!くそっ、こんなところでクモの餌になってたまるか!」
  _
( ゚∀゚)「無駄な足掻きをするな。すぐに栄養を吸い取られてカスになるんだ」



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:37:07.45 ID:oVM31L8C0
从;゚∀从「うぅ・・・」

(;'A`)「ここまでか・・・」
  _
( ゚∀゚)「ククク」



(*゚ー゚)「こらっ!」
  _
(;゚∀゚)「!?」


スルスルスル・・・

  _
(;゚∀゚)「しぃさん!?」

(*゚ー゚)「また新参を脅かして!生きてる虫は食べちゃダメって言ってるでしょ!」
  _
(;゚∀゚)「ご、ごめんなさい!」



79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:41:35.79 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「そんなだから皆に怖がられるのよ!」
  _
( ゚∀゚)「サーセンwww」

(*゚ー゚)「君、謝ればいいと思ってるよね?」
  _
( ゚∀゚)「とんでもない!誰にでも謝る俺様じゃないんだぜ?」
  _
( ゚∀゚)「なあ?」

('A`)「俺に振るな」


(*゚ー゚)「ごめんね二人とも、怖かったでしょう?」

从 ゚∀从「怖くなんてないぜ」

('A`)「ちょっとムカついたけどな」
  _
( ゚∀゚)「あ?」

(*゚ー゚)「あ?」
  _
( ゚∀゚)「怖がらせてごめんなさい」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:46:18.27 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「・・・そういえばお前、見覚えがあるな」

('A`)「俺か?」
  _
( ゚∀゚)「ああ、ひょっとしてドクオじゃねえか?」

(*゚ー゚)「ドクオって、“スピード・キング”の?」

('A`)「そうだけど」
  _
( ゚∀゚)「へえ、こんなところで会えるとはな」

('A`)「俺はお前のことなんて知らないぞ」
  _
( ゚∀゚)「俺様がまだシャバにいた頃、チラッと見かけたことがあるだけだ」



82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:47:16.44 ID:oVM31L8C0

('A`)ブゥ〜ン

  _
( ゚∀゚)「お、ハエだ」
  _
( ゚∀゚)「冴えない面してやがる」
  _
( ゚∀゚)「巣にかからねーかな」


プンッ

  _
( ゚∀゚)「あ、消えた」
  _
( ゚∀゚)「どこいった?」
  _
( ゚∀゚)「あれ・・・?」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:52:03.88 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「その“スピード・キング”がこんなところで何してる?」

('A`)「カクカクシカジカシカクイムーヴで、この家から出られなくなってな」

从 ゚∀从「内藤の魔の手から逃れてこの部屋にきたんだぜ」

(*゚ー゚)「ふうん、大変だったわね」

('A`)「この家から脱出する手立てを探しているんだ。協力してくれないか?」
  _
( ゚∀゚)「脱出?なぜだ?」

('A`)「なぜって」

从 ゚∀从「こんなところにいたら、いつか殺されちまうぜ!」

(*゚ー゚)「でもここは安全地帯よ」
  _
( ゚∀゚)「食糧は内藤が眠ったときに部屋を出て回収して、ここに運び込んでいるから、結構な量のストックがある。ほとんどがお前らの仲間の死骸だがな」



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 20:55:19.03 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「内藤を除けば天敵もいないし、他の虫たちとも仲良く暮らしている。ジョルジュ君がたまに脅かしたりするけど」
  _
( ゚∀゚)「だから謝ったじゃん!」

(*゚ー゚)「安全地帯から出なければ、何の問題もなく生きていけるわ」

(*゚ー゚)「あなたたちも私たちと一緒に暮らしましょうよ」

('A`)「・・・ありがとう」

('A`)「でも俺たちは、ここから出るよ」

(*゚ー゚)「なぜ?あなたたち、この部屋を出たら内藤に殺されるわよ!?」



('A`)从 ゚∀从「約束したから」



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:01:47.10 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「約束・・・?」

从 ゚∀从「それに、こんな狭苦しい場所で一生を終えるなんて、俺たちには我慢できないぜ!」

(*゚ー゚)「でも・・・!」




('A`)「ハエってやつは――――」

('A`)「飛ぶんだよ」




  _
( ゚∀゚)「“フライ”か・・・なるほどな」

(*゚ー゚)「ちょっとジョルジュ君!納得してないで彼らを止めて!」



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:10:09.68 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「おい、ドクオともう片方!」

从#゚∀从「もう片方ってなんだ!俺はハインリッヒだ!」
  _
( ゚∀゚)「ドクオとハインリッヒ!俺様が脱出に協力してやる!」

从 ゚∀从「本当か!?」

  _
( ゚∀゚)「ああ」
  _
( ゚∀゚)「“キング・スパイダー”と“スピード・キング”」
  _
( ゚∀゚)「一つの国に、王は二人もいらねえよ」

从 ゚∀从「言うと思った」

('A`)「くせぇくせぇ」
  _
( ゚∀゚)「やっぱり食い殺すか」



91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:20:24.37 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「それに――――」
  _
( ゚∀゚)「俺様も、ここの暮らしに飽きてきた頃だしな」

(*゚ー゚)「ちょっと、何言ってるの!?」
  _
( ゚∀゚)「久々にお天道様に会ってくるか」



  _
( ゚∀゚)「暗闇には、もう飽きた」


(*゚ー゚)「―――」



93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:30:44.35 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「俺もお前らと一緒に外に出るぜ」

从;゚∀从「えっ、マジで?」
  _
(;゚∀゚)「嫌なのかよ!?」

从 ゚∀从「いやべつに・・・」
  _
( ゚∀゚)「覚えとけよ、共闘するのは今回だけだ」
  _
( ゚∀゚)「次に出会った時、お前らはただの餌なんだからな」

('A`)「分かってるよ、ありがとう」


('A`)「お前に出会えてよかった」



94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:38:55.55 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「・・・」
  _
(* ゚∀゚)「そ、そうと決まれば作戦会議だ!こっちこい!」

从 ゚∀从「照れてやがるwwwww害虫の分際でwwwwきめぇwwww」

(;'A`)「よせ、ジョルジュ」
  _
(#゚∀゚)「止めるな。やっぱりコイツ殺す」



('A`)「それより、いいのか?」
  _
( ゚∀゚)「なんだ?」

('A`)「しぃさんだよ。俺たちが出ていく事にすらあれだけ反対したんだ」

('A`)「お前がここからいなくなったら―――」
  _
( ゚∀゚)「いいんだよ。彼女ならやっていける」

从 ゚∀从「そういう問題じゃ・・・」



95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:45:03.03 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「・・・しぃさんは、ずっと昔からこの部屋に住みついている蜘蛛だ」

  _
( ゚∀゚)「彼女は見ての通り優しくて、お節介で、たまに厳しくて」
  _
( ゚∀゚)「どんな種類の虫だろうと受け入れてきた偉大な蜘蛛だ」
  _
( ゚∀゚)「怖がられようと、汚い言葉を浴びせられようと・・・ずっと」
  _
( ゚∀゚)「この部屋は彼女にとって、家庭なんだ。そして彼女は母親なんだ。ここにいる生き物全てが――――」
  _
( ゚∀゚)「家族なのさ」

('A`)「・・・だったら余計に」
  _
( ゚∀゚)「子供はいつか巣立つものだ」
  _
( ゚∀゚)「それともなんだ?外に出た俺様に食われちまうのが怖いかww?」

('A`)「・・・」

从 ゚∀从「バーカ!誰がお前の巣なんかに引っ掛かるかよ!」
  _
( ゚∀゚)「さっきしぃさんに助けられたのは誰だったかなwww?」
 
从;゚∀从「あ、あれは油断しただけだぜ!」



97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 21:54:30.10 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「じゃあ、もう油断するなよ」

从;゚∀从「!」
  _
( ゚∀゚)「これから俺様たちがやろうとしていることは、危険なんてものじゃない」
  _
( ゚∀゚)「数万回に一度成功するかしないか」
  _
( ゚∀゚)「自由な生を得ることは、それほど困難なものなんだ」
  _
( ゚∀゚)「他の虫の心配などしてる場合じゃないんだよ」
  _
( ゚∀゚)「それじゃあ、俺の作戦を言うぞ。よく聞いとけ」



98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:01:35.92 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「・・・」

プゥ〜ン

ξ゚听)ξ「しぃさんじゃない。どうしたの、浮かない顔して?」

(*゚ー゚)「あら、ツン・・・」

ξ゚听)ξ「そろそろ血を吸いに行かなきゃなんだけど、今日は内藤がなかなか眠らないのよね」

(*゚ー゚)「・・・」

ξ゚听)ξ「そういえば、見たことのないハエがジョルジュと一緒にヒソヒソと話をしてたんだけど」

ξ゚听)ξ「何を企んでるのかしら、あのガキ大将」

(*゚ー゚)「!」



99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:05:45.94 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「ツン、彼らが何を話していたか聞こえた!?」

ξ゚听)ξ「え?そうねえ・・・糸がどうとか・・・」

(*゚ー゚)「他には!?」

ξ゚听)ξ「うーん・・・・・囮が必要だって・・・それ以外はよく分からなかったわ」

(*゚ー゚)「・・・!」

(*゚ー゚)「ありがとう・・・ツン」

ξ゚听)ξ「ちょっと、どこに行くの?しぃさん!」



103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:34:32.90 ID:oVM31L8C0
  _
( ゚∀゚)「よし、準備は整ったな」

('A`)「お前すごいな。糸で羽根を直せるなんて」
  _
( ゚∀゚)「蜘蛛の糸を舐めるなよ。修復くらい楽勝だぜ」

从 ゚∀从「これで怖いもんなしだぜ!」
  _
( ゚∀゚)「“スピード・キング”の実力を見せてもらおうか」

('A`)「へっ、まあ見とけよ」


シュルシュルシュルッ!


(;'A`)「うわっ!?なんだ!?」

从;゚∀从「ドクオ!?」
  _
( ゚∀゚)「糸が飛んできて・・・ドクオの体に巻きついていく・・・!?」
  _
( ゚∀゚)「これは・・・!」



106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:39:17.63 ID:oVM31L8C0
(*゚ー゚)「これで彼はもう動けないわ」

  _
(;゚∀゚)「しぃさん!なんてことするんだ!」

(*゚ー゚)「あなたたちのためよ」
  _
(;゚∀゚)「!?」

(*゚ー゚)「私は今までに、あなたたちのように脱出を試みた虫たちを知っている・・・」

(*゚ー゚)「そしてその全てが失敗した事を・・・その無残な末路を・・・」

(;'A`)「ぐっ・・・・!」

(*゚ー゚)「そして悟ったのよ。それならばいっそ、死ぬまでここで暮らした方が幸せだと」

(*゚ー゚)「雨も雪も風も敵もないこの部屋で、平和に生きるべきなんだと」

(*゚ー゚)「多少の閉塞感があるにしても・・・死ぬよりはマシ」



107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:44:38.97 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「く・・・この糸を外せ!」

(*゚ー゚)「駄目よ。外したら飛ぶでしょう?」

(*゚ー゚)「飛ぶということは、いつか落とされるということなのよ」

(; A )「あんた―――頭がおかしいんじゃねえのか!?」

(*゚ー゚)「おかしいのはあなたたちよ!どうして死に急ぐの!?どうして私と一緒にいてくれないの!?」

(*゚ー゚)「死を見るのはもうたくさん!外の世界なんていらない!私はここで、愛する家族に囲まれて――――」


(# A )「俺はッ!!」



ズバアアアァァァァアアアアアンッ!!!!



(*゚ー゚)「――――!?」



108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 22:46:36.87 ID:oVM31L8C0
ブゥゥゥゥゥンッ!!!!


  _
(;゚∀゚)「しぃさんの糸を・・・・風圧で・・・!!」






(#'A`)「俺たちはハエだッ!!」

(#'A`)「“ブラック・フライズ”だッ!!!」

(#'A`)「壁に囲まれた空なんか飛んでいられるかよッ!!!」





(*゚ー゚)「・・・・・!!」



112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:06:22.98 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「おい、ドクオ!ジョルジュ!」

从 ゚∀从「内藤に隙ができたぞ!!行くなら今だ!!」
  _
( ゚∀゚)「!」
  _
( ゚∀゚)「よし!ドクオ、ハイン!この糸を持て!」

从 ゚∀从「おう!!」


(*;ー;)「待って・・・いかないで・・・!」

('A`)「しぃさん」

(*;ー;)「ドクオくん・・・!」

('A`)「あなたは偉大な蜘蛛だ。きっと世界中探しても、あなたのような蜘蛛はいない」

(*;ー;)「・・・」

('A`)「だけど俺たちは行きます。生きるために」


('A`)「ありがとう」



113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:09:30.70 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「モタモタすんな!ドクオ!」

('A`)「ああ!行くぞ!!」


ドシュウウウウウウウウンッ!!!!!





(*;ー;)「行っちゃった・・・」

(*;ー;)「ジョルジュ君・・・・・私は間違っているのかなぁ・・・」
  _
( ゚∀゚)「そんなこと、俺様に聞かないでくれ」
  _
( ゚∀゚)「・・・まあ、価値観は虫それぞれさ。自分のすべきことをするだけだ」

(*;ー;)「・・・」

(*゚ー゚)「っていうかあなたは何してるの?脱出するんじゃないの?」
  _
( ゚∀゚)「作戦があるんだよ」
  _
( ゚∀゚)「見てなって」



115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:22:04.06 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「おいドクオ、大丈夫か?飛び方が不安定だぜ」

('A`)「羽根が完全じゃないからな、それに・・・しぃさんの糸を壊すために、少し無理をした」

从 ゚∀从「・・・ジョルジュが言っていたこと、忘れてないだろうな?」

('A`)「ああ」

从 ゚∀从「『仲間が危機に陥っても、絶対に助けにいかない』」

从 ゚∀从「俺はその言葉に従うぞ」

('A`)「こっちの台詞だよ」

('A`)「それより、ちゃんと糸は続いているか?」

从 ゚∀从「ばっちりだぜ!」


  _
( ゚∀゚)『お前たちは俺様の糸を持って、換気孔に向かって飛べ』
  _
( ゚∀゚)『つまり、この部屋から換気孔まで糸を張るんだ』
  _
( ゚∀゚)『そして俺はそれを伝って換気孔にたどり着く』
  _
( ゚∀゚)『内藤の妨害とリスクを考えて、二匹同時に行くことにする。片方がやられても、もう片方が無事に糸を張れば成功だ』



118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:32:47.86 ID:oVM31L8C0
从 ゚∀从「おっと、お出ましだぜ」

('A`)「内藤め・・・奴のレーダーはハエ一匹見逃さないようだな」


( ゚ω゚)ユラリ・・・


('A`)「この暗闇で俺たちの位置を正確に把握するとは・・・」

从 ゚∀从「換気孔への最短距離を防いでるぜ」

('A`)「ハイン」

从 ゚∀从「分かってる」



( ゚ω゚)「“二刀流”・・・・・」




('A`)从 ゚∀从「散開!」



120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:43:17.88 ID:oVM31L8C0
( ゚ω゚)「!?」



ビュウウウウウウンッ!!!



从 ゚∀从「おらおらァーーーーッ!!こっちだこっちィーーーーッ!!」

( ゚ω゚)「!」

('A`)「いーーーやこっちだッ!!どうしたァ!?その両手はお飾りかッ!?」

(゚ω゚;)「・・・!」



  _
( ゚∀゚)『“ビュリダンのロバ”という話がある』
  _
( ゚∀゚)『自分から等距離に置かれた二つの肉を前に、どちらを食おうか迷った末餓死するという話だ』
  _
( ゚∀゚)『人間はそこまで愚かではないが、迷いは確かに生じるものだ』
  _
( ゚∀゚)『内藤に遭遇したら、奴から一定距離を置いて飛べ。固まってはいけない』
  _
( ゚∀゚)『分かったか?』



123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/19(土) 23:55:09.73 ID:oVM31L8C0
( ゚ω゚)「チッ・・・小賢しい」

( ゚ω゚)「“二刀流”」



(;'A`)「来るぞ、ハイン!お前だ!」

从;゚∀从「くそっ!きやがれ!」




       ロ ザ リ オ
( ゚ω゚)「“数珠斬”!!」





ゴオオオオオオオオオッ!!!



124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:01:35.99 ID:oVM31L8C0
(;'A`)「・・・・・!!」

(;'A`)「ハイン!大丈夫か!?」

(;'A`)「・・・って、俺は何を言っているんだ?」



『仲間が危機に陥っても、絶対に助けにいかない』


(;'A`)「クソッ・・・・!」

(;'A`)「・・・無事でいてくれ!ハイン!」



127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:14:30.92 ID:OL4SPHjm0


ξ゚听)ξ「しぃさん!」

(*゚ー゚)「ツン・・・」

ノパ听)「私もいるぞおおおおおお!!!!」

川 ゚ -゚)「私もだ」
  _
( ゚∀゚)「おうおう、蚊どもが勢ぞろいで何の用だ」

ξ゚听)ξ「あんたに用はないわよ」

ξ゚听)ξ「しぃさん、さっきの騒ぎは何?」

(*゚ー゚)「・・・」

川 ゚ -゚)「どうせまたジョルジュが粗相をしたのだろう」

ノパ听)「ジョルジュウウウウウウウ!!!きさまああああああ!!!」
  _
(#゚∀゚)「うるっせえな!どっかいけよモスキートゥ!」



128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:15:57.19 ID:OL4SPHjm0
(*゚ー゚)「皆に聞きたいことがあるの」

ξ゚听)ξ「なあに?」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

ノパ听)「なんだよおおおおおおおお!!!」


(*゚ー゚)「正直に言ってね」

(*゚ー゚)「あなたたちは――――」





(*゚ー゚)「ずっとここで暮らしたいと思ってる?」



129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:21:32.33 ID:OL4SPHjm0
( ゚ω゚)「仕留めたか・・・逃げられたか・・・・まあいい」

( ゚ω゚)「分かってるんだお・・・貴様が」

( ゚ω゚)「“キング”だということは・・・!」



(;'A`)「くそッ!もっと速く動けよ!このポンコツ羽根!」

(;'A`)「もう少しなんだ・・・もう少しで・・・」

(;'A`)「たどり着くんだ・・・!」



( ゚ω゚)「逃がすものか・・・・・貴様を」

( ゚ω゚)「貴様を殺すために・・・生まれてきた気さえ・・・」

( ゚ω゚)「・・・するお・・・」



131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:27:17.74 ID:OL4SPHjm0
ξ゚听)ξ「なに?それ・・・」

(*゚ー゚)「私はね、今迷っているの」

(*゚ー゚)「自分のしてきたことが正しかったのか、間違っていたのか―――」

ξ゚听)ξ「・・・」

(*゚ー゚)「ただ自分の意思を押しつけて、ほかの虫たちの自由を奪っていたんじゃないかって」

川 ゚ -゚)「・・・」

ノパ听)「・・・」

(*゚ー゚)「あなたたちから空を、土を、風を、水を・・・・・」



(*゚ー゚)「――――自由を」



132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:33:09.93 ID:OL4SPHjm0
( ゚ω゚)「“爆裂斬”!!!」


ボウッ!!!!


(;゚A゚)「うわああああアッ!!!!」

( ゚ω゚)「まだ逃げるか・・・相棒は・・・立ち向かってきたぞ・・・?」

(;A;)「ハァッ・・・ハァッ・・・くそぉ・・・あと少しなのに・・・」

( ゚ω゚)「敵に背を向け、息も絶え絶えにふらつき、逃げ惑う・・・」

(;A;)「ちくしょう・・・無理だ・・・無理だったんだ・・・」

(;A;)「この家から脱出するなんて・・・・・もう一度空を飛びまわるだなんて・・・」

(;A;)「そんなの無理なんだ・・・ハナっから出来っこなかったんだ・・・!」

( ゚ω゚)「我が宿敵の最後がこれほどに惨めなものだとは―――」


(#゚ω゚)「認めんぞ!!」



134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:42:19.52 ID:OL4SPHjm0
ξ゚听)ξ「・・・しぃさんは――――――ー」

ξ゚听)ξ「私たちが『あなたは間違っていた』と言ったらどうするの?」

(*゚ー゚)「・・・」

ξ゚听)ξ「あなたのやってきたことは全部余計なお世話で―――」

ξ゚听)ξ「私たちはあなたの庇護なんかいらなかった、好き勝手に生きさせてほしかったって言ったら」

ξ゚听)ξ「どう責任をとるつもりなの?」

川 ゚ -゚)「・・・」

ノパ听)「・・・」



(*゚ー゚)「私は・・・」



138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:48:51.06 ID:OL4SPHjm0
( ゚ω゚)「・・・」


(;A;)「ごめんな・・・・・ショボン・・・ハイン」

(;A;)「ジョルジュ・・・しぃさん・・・」

(;A;)「ごめんな・・・俺、ダメだった・・・」

(;A;)「外の世界なんて、俺には目指す資格がないよ・・・」

(;A;)「直してもらった羽根もボロボロになって・・・ジョルジュの糸も切られて・・・作戦も失敗・・・」

(;A;)「相棒さえ守れない・・・あげくに弱音を吐いて、諦めて・・・」

(;A;)「ごめん・・・みんな」





「・・・・・クオ・・・・ド・・・オ・・・!!」



139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 00:54:54.71 ID:OL4SPHjm0
(;A;)「!?」


「ド・・・クオ・・・ドクオ・・・・・!!」



从 ゚∀从「ドクオォーーーーー!!!」



(;A;)「ハイン!!!」

从 ゚∀从「くたばってる場合じゃねえぞ!!」

(;A;)「生きてたのか・・・!」

从 ゚∀从「『へっ、俺がそう簡単に死ぬかよ』」

(;∀;)「・・・ははっ!」

从 ゚∀从「新しい糸を届けにきたぜ!!」



144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:03:45.75 ID:OL4SPHjm0
从 ゚∀从「目的地までもうすぐだ!この糸はお前が渡せ!」

(うA;)「あ、ああ・・・」

('A`)「ハインはどうするんだ!?」

从 ゚∀从「内藤をおちょくって足止めしてくるぜ!」

从 ゚∀从「あいつに負けていられねえ!!」

('A`)「あいつ・・・?」



ξ゚听)ξ「――――しぃさん」

ξ゚听)ξ「あなたは私たちの母であり、友達であり、家族なの」

ξ゚听)ξ「種族なんて関係ない。時間なんて関係ない。場所なんて関係ない――――」

(*゚ー゚)「・・・」


ξ゚听)ξ「私たちはね、あなたと一緒ならどこだろうと生きていけるの」

ξ゚听)ξ「そんなことも分からなかったの?」


(*;ー;)「―――――」



145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:12:05.12 ID:OL4SPHjm0
(*;ー;)「でも・・・私は・・・」

(*;ー;)「彼らを止めることができなかった・・・」

(*;ー;)「彼らに希望はない・・・そんなこと、分かり切ったことだったのに―――――」
  _
( ゚∀゚)「希望がない?馬鹿言うなよ」
  _
( ゚∀゚)「あれを見ろ」




バサバサバサバサッ!!


(´^ω^`)「ゲバァーーーーーwwwww」


('A`)「ショボン!!?」

(´^ω^`)「ドクオじゃないかwwwwww」

('∀`)「生きてたのかよ!こんちくしょう!!」

(´^ω^`)「悪いかいwwwww死んだフリは僕の真骨頂さwwwww」



147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:21:34.73 ID:OL4SPHjm0
('A`)「まてまて、あの黒光りする大群はひょっとして・・・」




バサバサバサバサバサバサバサバサ!!!

(#゚ω。)「hsfhっしゅgふdvhjdsfbvjc!!!!!」




(´^ω^`)「僕の仲間だよwwwwww僕にだって友達や家族くらいいるわwwww」

('∀`)「内藤やべえwwwww俺が人間だったら死んでるwwwwww」

(´^ω^`)「失礼なwwwwwwwww」

('∀`)「わりいwwwwwwwwwww」」



153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:35:42.85 ID:OL4SPHjm0
(´・ω・`)「―――――さあ、行くんだドクオ」

('A`)「・・・!」

(´・ω・`)「何があっても、何が起こっても、君は君の目的地を目指すんだ。自分の望む方向へ」

(´・ω・`)「話は全部ハインから聞いたよ。ジョルジュのことも、作戦のことも」

('A`)「そうか。ありがとうな」

(´・ω・`)「諦めは、もう経験しただろう。絶望の深さを知っただろう」

('A`)「・・・」

(´・ω・`)「這い上がるんだ。希望の頂点まで、空高く舞い上がるんだ!」

(#´・ω・`)「進め!前へ、前へ!何があっても羽根を止めるな!橋を架けろ!飛べ!飛び立て!」

(#´・ω・`)「行くんだ!“スピード・キング”!!」

(#´・ω・`)「君はハエだ!!“ブラック・フライ”なんだ!!」



ブブブブブブブブブブブブブブブブブブッ!!!!!


(#'A`)「うおおおおおおおおッ!!!!」

(#'A`)「いくぜえええええええええッ!!!!」



156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:42:02.33 ID:OL4SPHjm0
(#'A`)「じゃあなッ!また会おうぜ!!」



ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウンッ!!!!!!



(´・ω・`)「・・・」

(´・ω・`)「・・・行ったか」

(´・ω・`)「さて、間に合うだろうか」

(´・ω・`)「まったく、相変わらずだな。ドクオは」






(´・ω・`)「・・・・・また会えるわけがないじゃないか」



158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:50:14.09 ID:OL4SPHjm0
  _
( ゚∀゚)「!」
  _
( ゚∀゚)「合図だ!糸が8回連続で引っ張られた!」
  _
( ゚∀゚)「なんとか換気孔にたどり着いたようだな」

ξ゚听)ξ「行くの?」
  _
( ゚∀゚)「おう。じゃあ、達者でな」

ξ゚听)ξ「待ちなさい」
  _
( ゚∀゚)「なんだよ?こっちは急いでるんだ」

ξ゚听)ξ「私たちも行くわ」
  _
(;゚∀゚)「!?」

ξ゚听)ξ「ってことで、あんたの背中にくっつかせてもらうわよ」
  _
(;゚∀゚)「ちょっと待て!」

ξ゚听)ξ「急いでるんでしょ?」
  _
(;゚∀゚)「理由を話せ!」



163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 01:58:22.30 ID:OL4SPHjm0
ξ゚听)ξ「・・・しぃさんが行くからよ」
  _
(;゚∀゚)「何ィ!?」

(*゚ー゚)「てへ☆」
  _
(;゚∀゚)「あんた自分が何しようとしてるか分かってるのか!?」
  _
(;゚∀゚)「自分で言ってただろう!希望なんてないって!」

川 ゚ -゚)「つべこべ言うな、虫ケラが」
  _
(;゚∀゚)「おまっ・・・!」

ノパ听)「よっしゃああああああ!!!初めての家族旅行だあああああああ!!」
  _
(;゚∀゚)「・・・」
  _
( ゚∀゚)(家族・・・)
  _
( ゚∀゚)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「ふん」
  _
( ゚∀゚)「出発だ!!振り落とされんなよ!!」

(*゚ー゚)ξ゚听)ξ川 ゚ -゚)ノパ听)「イェア!!!!」



168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 02:09:54.92 ID:OL4SPHjm0
(;'A`)「・・・ハァッ・・・ハァッ・・・」

(;'A`)「やっと・・・着いた・・・・・長かった」

(;'A`)「合図も送ったし・・・少し休もう」

(;'A`)「・・・」


ブーーーーーーーーン


('A`)「これがプロペラファンか」

('A`)「こんなのに触れたら、一瞬でバラバラだな」

('A`)「ジョルジュ、早く来てくれ・・・」



172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 02:22:10.92 ID:OL4SPHjm0
('A`)「・・・?」

('A`)「なんだ・・・?」

(;'A`)「おい・・・なんだよあの煙・・・」

(;'A`)「ゴキブリたちが・・・・バタバタと・・・」

(;'A`)「落ちていく・・・!?」

(;'A`)「嘘だろ・・・おい」

(;'A`)「そんな・・・・・!」



       キ ラ ー ・ ス プ レ ー
( ゚ω゚)「“ 殺 虫 剤 ”」



プシュウウウウウウウ・・・・・・



195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 08:39:34.32 ID:OL4SPHjm0
(;'A`)「ショボン!おい!嘘だろ!!」

(;'A`)「死んでないよな!!なあ!」

(;'A`)「そんなのってないだろ!せっかく生きてたのに!」

(;'A`)「ハイン!!さっさと戻ってこいよ!」

(;'A`)「どこにいるんだよ!!ハイン!!」

(;'A`)「まさか・・・死んでないよな!?」

(;'A`)「なあ・・・!」



( ゚ω゚)「所詮は烏合の衆・・・もといGの衆・・・」

( ゚ω゚)「いつだって殺せるんだお・・・屑ども」

( ゚ω゚)「・・・・・さて」



(;'A`)「ちくしょう!ジョルジュ!早く・・・早く来てくれ!」

(;'A`)「このままじゃ・・・!」



197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 08:50:49.40 ID:OL4SPHjm0
シュバアアアアアアアアアアッ!!!



  _
( ゚∀゚)「この煙・・・・・!」
  _
(;゚∀゚)「内藤の野郎、とうとうやりやがったな!」

ξ;;)ξ「げほっ、げほっ!なに、これ!苦しいわよ!」

川;゚ -゚)「殺虫剤、所謂“毒ガス”・・・これはキツイな」

ノハ;;)「体に沁みるうううううううう!!!」
  _
( ゚∀゚)「しぃさん、ついてきてるか!?」

(*゚ー゚)「ええ!大丈夫!」

(*゚ー゚)「でも、はやくこの煙から抜けた方がいいわ!」
  _
( ゚∀゚)「分かってる!だが、毒ガスが濃すぎて先が見えねえ・・・」

(*゚ー゚)「ジョルジュ君!あれ!」
  _
( ゚∀゚)「!?」



199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:09:32.23 ID:OL4SPHjm0
バサッ・・・バサッ・・・・


(;´-ω・`)「う・・・」


  _
( ゚∀゚)「生きてるゴキブリがいたか!おーい!こっちだ!」

(;´-ω・`)「・・・君たちは・・・」
  _
( ゚∀゚)「俺様はジョルジュ様だ!」

(;´-ω・`)「そうか・・・・・君が・・・」

(;´-ω・`)「“キング・スパイダー”・・・・・ドクオとハインの友達だね・・・」
  _
(;゚∀゚)「おい、大丈夫かよ!お前もう虫の息じゃねーか!」

(;´-ω・`)「虫だけどね・・・・・」

(*゚ー゚)「あなたがあのGたちを?」

(;´-ω・`)「ああ・・・ドクオたちの助けになるかと思ってね・・・」
  _
( ゚∀゚)「助かったよ!あいつは無事にたどり着いた!お前たちのおかげだぜ!」

(;´-ω・`)「本当かい・・・それは良かった・・・・・」

(;´-ω-`)「・・・良かった・・・」



201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:11:28.02 ID:OL4SPHjm0
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!」

川;゚ -゚)「羽根を止めるな!今地面に落ちたら――――」

(´-ω-`)「・・・」

ノハ;゚听)「おいいいいい!!!死ぬなああああああ!!!」


(´-ω-`)「最後に・・・君たちに頼みがあるんだ・・・」
  _
( ゚∀゚)「・・・なんだ?」

(´-ω-`)「僕の腕の中のハインを・・・」


从 -∀从




(´・ω・`)「ドクオのもとまで連れて行ってくれ」

(´・ω・`)「頼んだよ」



204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:22:27.92 ID:OL4SPHjm0
  _
(;゚∀゚)「ハイン・・・!」


シュルシュルッ!



(´・ω・`)「僕のやるべきことは終わった」

(´・ω・`)「・・・さよなら。心優しい虫たち」



(´-ω-`)「――――いい家族だね」



川;゚ -゚)「馬鹿、お前はまだ助かる!諦めるな!手を伸ばせ!」
  _
( ゚∀゚)「・・・」

ξ;゚听)ξ「糸につかまるのよ!」

ノハ;゚听)「聞いてんのかあああああ!?おい、ゴキブリ野郎おおおおおお!!!」

ノハ;゚听)「目を開けろおおおおおおおお!!!」



205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:31:15.98 ID:OL4SPHjm0
(´-ω-`)「――――」




ヒュウウウウウウウウウウ・・・・・





ξ;;)ξ「いやああああああ!!!!」

川  - )「そんな・・・」

ノハ;;)「うわああああああ!!!」



  _
(  ∀ )「・・・」

(*゚ー゚)「・・・・・これが、外を目指すということよ」

(*゚ー゚)「これから、もっとつらいことが起こるわ」

(*゚ー゚)「でもこれが、あなたの選んだ道」
  _
(  ∀ )「分かってるよ」



209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:34:44.55 ID:OL4SPHjm0
(*゚ー゚)「だったら―――――」

(*゚ー゚)「泣いてる暇なんて、ないわよ」






  _
( ;∀;)「・・・ああ・・・・・分かってる」
  _
( ;∀;)「分かってるんだ・・・・・」



212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:43:23.56 ID:OL4SPHjm0
('A`)「内藤の奴・・・」

('A`)「何かを探しているようだが・・・これ以上、何をしようっていうんだよ」

('A`)「ハイン・・・ジョルジュ・・・ショボン」

('A`)「俺たちは・・・外に出られるのか?」



シャアアアアアアアアッ!!!



('A`)「ジョルジュ!」

  _
( ゚∀゚)「待たせたな」

('A`)「無事だったか・・・良かった」

('A`)「っていうか多くね!?」



213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:44:35.01 ID:OL4SPHjm0
ξ )ξ「・・・」

川 - )「・・・」

ノハ )「・・・」


('A`)「っていうか暗くね!?」

(*゚ー゚)「理由はあとで話すわ」
  _
( ゚∀゚)「ほれ、お前の相棒だ」


从 -∀从


('A`)「ハイン!!」
  _
( ゚∀゚)「気を失っているが・・・命に別条はない。そのうち目を覚ますさ」

('A`)「ハイン・・・無茶しやがって・・・」



216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 09:55:03.41 ID:OL4SPHjm0
  _
( ゚∀゚)「ここからが本番だ」
  _
( ゚∀゚)「正直かなり厳しい作戦だったが・・・」
  _
( ゚∀゚)「しぃさんがいるおかげで、だいぶ成功率があがったぜ」

(*゚ー゚)「えへ☆」

('A`)(キャラ変わってね?)

  _
( ゚∀゚)「さて・・・始めるか。内藤の攻撃を受ける前に」
  _
( ゚∀゚)「しぃさん!!」

(*゚ー゚)「合点!!」




  _      ワ ー ル ド ・ ワ イ ド ・ ウ ェ ブ
( ゚∀゚)(*゚ー゚)「“ 世 界 を 覆 う 網 ”!!!!」



218: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:02:15.84 ID:OL4SPHjm0
ドバアアアアアアアアアアアアアアアアッッ!!!!!!!!



(;'A`)「すげぇッ・・・!」

(;'A`)「大量の糸が・・・換気扇のプロペラファンに・・・・絡みついていく・・・!!」



フォンフォンフォンフォン・・・・・・



(;'A`)「そして・・・!」



フォン・・・フォン・・・・・・・フォン


フォ・・・・・ン・・・・・・・




(;'A`)「止めたァーーー!!」



220: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:09:05.06 ID:OL4SPHjm0
  _
(;゚∀゚)「はぁ・・・はぁ・・・」
  _
(;゚∀゚)「・・・やったぜ・・・!」
  _
(#゚∀゚)「どうだ、見たか!これが俺様だ!!」
  _
(#゚∀゚)「これが“キング・スパイダー”だ!!」
  _
(#゚∀゚)「これが――――――」




( ゚ω゚)「何してるお?」




  _
( ゚∀゚)「――――」




バギャアアアアアアアアアアアアアッ!!!



222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:19:43.04 ID:OL4SPHjm0
  _
(; ∀ )「ぐッ・・・・・!」

(;'A`)「ジョルジュッ!!」





( ゚ω゚)「“金属バット”・・・・・破壊力はピカイチだが」

( ゚ω゚)「どうも命中率に欠けるお・・・まあいい」

( ゚ω゚)「雑魚共は散れ・・・我輩の標的は貴様だ・・・!」

(#'A`)「内藤・・・てめえ!!」


( ゚ω゚)「さア・・・決着をつけようじゃないか」

( ゚ω゚)「“キング”!!!」



224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:27:36.58 ID:OL4SPHjm0
(#'A`)「ぶっ殺してやる・・・!!」




      イグニッション
( ゚ω゚)「“着火”」



カチッ

ボゥッ・・・・




(#'A`)「“チャッカマン”!?てめえ、まさか・・・!」

(#'A`)「さっき探していたのはそれか!」




( ゚ω゚)「・・・終わりだお」



228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:43:58.27 ID:OL4SPHjm0
  _
(メ゚∀゚)「“火種”に“殺虫剤”・・・」
  _
(メ゚∀゚)「内藤め・・・最終奥儀を・・・・・」
  _
(メ゚∀゚)「・・・ここまでか・・・」


(*゚ー゚)「――――まだよ」

  _
(メ゚∀゚)「しぃさん・・・?」

(*゚ー゚)「言ったでしょう?あなたたちは家族。家族を守るのは―――」

(*゚ー゚)「母親の役目」
  _
(メ゚∀゚)「だが・・・・・」

(*゚ー゚)「さっきの内藤の一撃で、換気扇の一部が壊れたわ」

(*゚ー゚)「割れたパーツの中に見えるのは、数本の切れたコード」
  _
(メ゚∀゚)「・・・?」

(*゚ー゚)「知ってる?このコードを繋ぎ直せば――――」
  _
(メ゚∀゚)「しぃさん・・・あんた・・・・・!!」



231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 10:50:57.82 ID:OL4SPHjm0
( ^ω^)「―――――楽しかったお」

('A`)「・・・?」

( ^ω^)「僕はずっと、君のようなライバルを探し求めていた」

( ^ω^)「どんなに追い詰められても諦めない、生に貪欲な男」

( ^ω^)「嬉しかったお」

('A`)「・・・俺には、人間の言葉は分からない」

( ^ω^)「おかしいおね?僕も虫の言葉なんて分からないはずなのに――――」


( ^ω^)「通じ合っているような気がするんだお」





( ^ω^)「だけど」

( ^ω^)「さよならだお」



235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:02:54.54 ID:OL4SPHjm0

         フ ァ イ ア
( ゚ω゚)「“ 火 炎 放 射 ”!!!!」




ボオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!!!!




('A`)「―――――」






(*゚ー゚)「まだまだあああああああああああああ!!!!」

バチバチバチバチッ!!



236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:05:05.53 ID:OL4SPHjm0
('A`)「しぃさん・・・・・!!?」




(*゚ー゚)「まだ・・・・終わりじゃない!!!!」

(*゚ー゚)「おねがい・・・・・!!!つながってええええええええええ!!!!」

バチバチバチバチッ!!!!




(;'A`)「しぃさん!!!」

(;'A`)「何してるんだ!!感電死するぞ―――――」
  _
( ゚∀゚)「止めるな、ドクオ」

(;'A`)「お前・・・何言って・・・!!」


  _
( ゚∀゚)「見ろ」



237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:06:51.15 ID:OL4SPHjm0
フォ・・・・ン・・・・・・・フォ・・・ン・・・


フォン・・・・・フォン・・・フォンフォンフォン・・・






フォンフォンフォンフォンフォン・・・・・・・・・・バアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!






(;'A`)「プロペラファンが・・・・・」

(;'A`)「逆回転を・・・・・・!!!!!」



238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:17:13.15 ID:OL4SPHjm0

(;゚ω゚)「な・・・・・なんだとォォォォォォォォォォォォッ!!!!?」



ボワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!




(;゚ω゚)「炎が・・・全ての害悪を焼き尽くす・・・我が漆黒の炎がああああああああああ!!!」

(;゚ω゚)「我輩に刃向ってくるなんてええええええええええ!!!」

(;゚ω゚)「うわああああああああ!!!!やめろ!!!くるなあああああああああ!!!!」





ゴオオオオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオッ!!!!



243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:31:10.91 ID:OL4SPHjm0
(; ω )「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」





(* ー )「・・・・・やった・・・わ・・・」


バチバチ・・・


  _
(;゚∀゚)「しぃさん!!」

(* ー )「ジョルジュ君・・・・・私・・・守れた・・・?」
  _
( ;∀;)「ああ、ああ!!」

(* ー )「私の・・・大切な・・・・・家族を・・・」
  _
( ;∀;)「ああ・・・・・守ったよ・・・あんたは・・・守ったよ」

(* ー )「そう・・・・・」
  _
( ;∀;)「だから、今度は俺様が守る番だ・・・」



244: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:32:34.04 ID:OL4SPHjm0
(* ー )「・・・ふふ」
  _
( ;∀;)「あんたの家族を・・・そしてあんたを・・・」

(* ー )「まったく・・・情けない子ね・・・泣きべそかいて・・・」

(*;ー;)「あなたはいくつになっても・・・」

(*;ー;)「何があっても・・・私の・・・・・大切な・・・」
  _
( ;∀;)「しぃさん・・・死ぬな・・・頼むよ」

(* ー )「・・・」




  _
( ;∀;)「・・・・・ちくしょおおおおおおおおおお!!!!!」



250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 11:53:38.39 ID:OL4SPHjm0
  _
( ;∀;)「・・・」

('A`)「・・・ジョルジュ」

('A`)「済まない・・・・・俺のせいで」
  _
( ;∀;)「ドクオ」
  _
( ;∀;)「いいか、今後『俺のせい』なんて言いやがったら――――」
  _
( ;∀;)「お前を殺すぞ」

(;'A`)「・・・!」

  _
( ;∀;)「しぃさんは自分の志のために死んだ」




  _
( ;∀;)「決してお前のようなハエのために死んだんじゃねえッ!!!」



252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:06:35.60 ID:OL4SPHjm0
ξ゚听)ξ「ファンが止まったわ・・・もう動かないでしょう」

ξ゚听)ξ「さあ、外に出るわよ」

ノハ;;)「・・・」

川 ; -;)「・・・」

ξ゚听)ξ「どうしたのッ!?さっさと立ち上がりなさい!!」

ノハ;;)「・・・私はもう、いいよ」

川 ; -;)「私も・・・」

ξ゚听)ξ「何言ってるの!?」

ノハ;;)「しぃさんがいない世界なんて・・・私にはどうでもいい」

ノハ;;)「いっそのこと・・・ここで・・・死」



バギイイイイイイインッ!!!



254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:08:33.84 ID:OL4SPHjm0
ノハメ;;)「うっ・・・!?」

川 ; -;)「ツン・・・?」


ξ# )ξ「・・・しぃさんが言っていたことを、あなたたちは何も分かってないの!?」

ξ# )ξ「しぃさんが何のために死んだのか・・・何のために叫んだのか・・・・・」

ξ# )ξ「何のためにあの部屋から出たのか!!」



ξ#゚听)ξ「自由のためなのよッ!!!!」

ξ#゚听)ξ「私たちの羽根が、自由のためについているからよッ!!!!」

ξ#゚听)ξ「“死んでいい”なんて言葉を吐くような生き物は!!生きてすらいないッ!!!!!!」

ξ#゚听)ξ「顔を上げろッ!!!前を見ろッ!!!そこに自由は広がっているッ!!!!」







ξ#゚听)ξ「あなたの羽根から意味を奪うなッ!!!!!!」



258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:23:39.50 ID:OL4SPHjm0



('A`)「・・・強いな、彼女」
  _
( ゚∀゚)「ああ、うちの長女だ。じゃじゃ馬で手に余るほどさ」
  _
( ゚∀゚)「あいつらは大丈夫だ。強く生きていける」

('A`)「・・・」
  _
( ゚∀゚)「ところで、お前はこれからどうする?」

('A`)「ん・・・まあ、ハインを連れて一度、安全な所に避難するさ」

('A`)「傷を癒して、また空を飛ぶよ」
  _
( ゚∀゚)「空ねえ・・・俺様にはよくわかんねえな」

('A`)「何言ってる。お前だって空にいるだろ」
  _
( ゚∀゚)「はあ?」
  _
( ゚∀゚)「俺様は地上に巣を張って生きる孤高のハンターだぜ?空なんか見上げるだけの存在さ」

('A`)「空って、どこからどこまでだよ?」
  _
( ゚∀゚)「・・・?」



259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:25:14.40 ID:OL4SPHjm0
('A`)「青く澄み渡ったものが空か?夕陽に赤く染まるものが空か?月や太陽や星が昇るものが空か?」
  _
( ゚∀゚)「・・・」

('A`)「違うよ。羽根なんかなくても、空は飛べる。大切なのは、希望を抱くことだ」

('A`)「下を見ろよ。そこに地面があるだろう?」








('A`)「それはつまり、空を飛んでるってことさ」



264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:44:05.46 ID:OL4SPHjm0


(#゚ω。)「ゆ゛る゛さ゛ん゛・・・・・・!!!!」



(;'A`)「!?」




ボオオオオオオオオ・・・・・



(;'A`)「内藤ッ!!」
  _
(;゚∀゚)「火達磨になって・・・まだ向かってくるか・・・!」



(#゚ω。)「“キング”・・・・・貴様だけでも・・・道連れにしてやる・・・・!!」


(;'A`)「・・・!」
  _
(;゚∀゚)「こいつ・・・!」



265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:46:23.91 ID:OL4SPHjm0
('A`)「・・・」

('A`)「ジョルジュ」
  _
(;゚∀゚)「なんだ!?」

('A`)「お前たちには、返しきれないほどの恩がある」

('A`)「本当に感謝している。今日だけで何度お礼を言ったか分からないほどだ」
  _
(;゚∀゚)「・・・何が言いたい?」

('A`)「内藤の狙いは俺だけだ」

('A`)「人間の言葉は分からないが」

('A`)「俺にはそれが分かる」

('A`)「これが最後だ」






('A`)「ハインをよろしく頼む」



268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 12:56:02.10 ID:OL4SPHjm0
  _
(;゚∀゚)「待て、ドクオ―――――――!」





バシュウウウウウウウウウウウン・・・・・・・















269: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:00:22.82 ID:OL4SPHjm0
――――あれから数日が過ぎた。

俺様はハインを抱え、ツンたちを逃がし、換気孔から飛び出した。
直後、地を揺るがす爆発が起きた。

内藤に向かって行ったドクオは、何時間待っても姿を現さなかった。
ハインは泣かなかった。
あいつがメスなのかどうかはよく分からないが、どの種族でも女は強いようだ。

あれから数日が過ぎた今、俺様は新しい場所に巣を作り、心地よい風に揺られている。








从 ゚∀从「よう、ジョルジュじゃん」
  _
( ゚∀゚)「ん?・・・ああ、ハインか」



274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:16:44.81 ID:OL4SPHjm0
風に乗って、どこからか、人間の言葉が聞こえてきた。


『・・・次のニュースです・・・・・先日起きた・・・民家での爆発事故の件・・・・・』


俺には、人間の言葉は分からない。
きっとくだらない内容なのだろう。

あいつなら、分かるのだろうか。


从 ゚∀从「調子はどうだ?」
  _
( ゚∀゚)「あんなところで暮らしてたせいか、腕が鈍っちまったようでな」
  _
( ゚∀゚)「餌がかからねえ。お前、食わせてくれよ」

从 ゚∀从「やなこった」
  _
( ゚∀゚)「チッ」



275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:23:26.14 ID:OL4SPHjm0


『・・・警察の調べでは・・・・・・28歳・・・無職、内藤ホライゾンさんを・・・・・』


从 ゚∀从「そんなことじゃ、“キング”の名が泣くぜ?」
  _
( ゚∀゚)「・・・俺は“キング”なんかじゃねえ」
  _
( ゚∀゚)「ドクオは本物だったがな」

从 ゚∀从「違うね」
  _
( ゚∀゚)「あ?」

从 ゚∀从「今でも本物さ。過去形じゃない」
  _
( ゚∀゚)「・・・ハイン」

从 ゚∀从「あいつは、今でも空を飛びまわってる」
  _
( ゚∀゚)「ハイン!」



276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:25:05.01 ID:OL4SPHjm0
  _
( ゚∀゚)「ドクオは死んだ!確かに見たんだ、あいつが炎の中に消えるのを!」
  _
( ゚∀゚)「いい加減認めろ!あいつはもう戻って来やしないんだよ!」

从 ゚∀从「・・・」






从 ゚∀从「なんで“ブラック・フライズ”と呼ばれるか知ってるか?」
  _
( ゚∀゚)「なに?」

从 ゚∀从「体が黒いからじゃない、あいつの場合はな」
  _
( ゚∀゚)「・・・」



279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:26:57.65 ID:OL4SPHjm0
从 ゚∀从「暗闇を、縦横無尽に飛びまわる“スピード・キング”」

从 ゚∀从「夜、闇に眼を凝らすと見えてくるのさ。一匹のハエが」

从 ゚∀从「たとえ死んだとしても」














('A`)



280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/20(日) 13:29:36.18 ID:OL4SPHjm0




从 ゚∀从「―――――あいつは空を諦めたりしないぜ」





















('A`)ブラック・フライズのようです



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