从 ゚∀从切れっぱしでもいいようです

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:29:39.22 ID:cJ5St/ir0


 お前が望むなら、おれはできるかぎりのことをやってやるよと長岡は言った。
 お前が望むくらいのことなら、きっと叶えて見せるからと。
「それはずいぶん尊大だ」とわたしは笑った。「俺はそんなに謙虚じゃないぜ」と。

  _
( ゚∀゚)「大丈夫だよ、言ってみろよ」


 あんまりにもその態度が自信ありげで、だからわたしはその言葉を信じてしまった。


从 ゚∀从「じゃあ、じゃあそれじゃあな、」




 ああ、できることならば前のように、思いっきり走りたいんだ!



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:31:57.90 ID:cJ5St/ir0


从 ゚∀从切れっぱしでもいいようです



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:35:00.08 ID:cJ5St/ir0



 夜中に忍び込んだ長岡に手渡されたのは、わたしが愛用していたランニングシューズだった。
 ルーズなジーンズと、それから体に張り付くようなティシャツ。
 酷く薄着だったけれども、走っているうちにこれでも暑くなるのをわたしは知っていた。


从 ゚∀从「大丈夫かな、ばれたりしないかな。しぃさん、めっちゃ怖いんだ」
  _
( ゚∀゚)「大丈夫だ、ばれたりなんてしねぇよ。だってお前、ハインリッヒだろ?」

从 ゚∀从「そうだけどさ、そうなんだけどさ」


 びくびくとしながらわたしは身を抱えた。長岡はずんずんと歩を進める。
 真っ暗な部屋の中から出ると、スモッグで煙った夜空のパノラマ。
 ああ、と吐き出す息と吸い込む酸素が肺を焼いた。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:40:40.79 ID:cJ5St/ir0

从 ゚∀从「あ、あ、あ、ああああ……」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

从 ゚∀从「あああ、外だ! 夜だ!」


 久しぶりに吸い込んだ夜の空気に、わたしは両手を広げてくるりとターン。
 生まれたときから履いていたように履きなれたランニングシューズは、羽のように軽い。
 今なら階段を上るよりも簡単に空へ飛び立てそうだった。

 くるくると回るわたしを楽しそうに見て、長岡は大きく息を吐く。
 いつも窓から見下ろしていた道も、街頭も、木も塀も壁も白線も、全て全て全てが、今、わたしの足場だった。
 あの不安定なスリッパとは比にもならない!


从 ゚∀从「ああ、ああ、ああ! すごい!」
  _
( ゚∀゚)「ただの夜だっつーの」

从 ゚∀从「ああ、そうだな! ただの夜だ!」


 翻る、翻る、翻る。
 ターン、ターン、ターン。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:45:50.85 ID:cJ5St/ir0


 私の呼吸は酷く荒くて、一息一息で内臓と脳みそが一気に洗われていくようだった。
 星を吸い込んで、夜を吸い込んで。
 しばらく、そうやって両手を広げて立ちすくむ。

  _
( ゚∀゚)「そろそろ良いか?」

从 ゚∀从「ああ、放って置いたらいくらでも感動してるぜ、俺は」
  _,
( ゚∀゚)「連れ出した意味がさらさらねぇよ」


 長岡が不機嫌そうに言い放つので、わたしは仕方なく両手を下ろして、屈伸運動を始める。
 もう何ヶ月走っていない? 考えたくもなかった。
 早く走りたいなら、きちんと柔軟運動をしなくてはならない。安全に走りたくなくても、速さの為にはそれが必要だ。

 そう、できるならば光よりもっともっと早く!

 隣で長岡も簡単な体操をしている。
 なんだか黙々とした空気は、少しだけ気まずかった。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:51:30.12 ID:cJ5St/ir0


  _
( ゚∀゚)「よっし、体操終わり」

从 ゚∀从「待ちくたびれたぜ」
  _
( ゚∀゚)「体内時計を設定し直してきな」


 憎まれ口を叩きながら、長岡が軽く飛び跳ねる。
 はぁっと息を吐けば、それがピストル代わり。徒競走なんかじゃないんだから、フライングもへったくれもありゃしない。
 一歩踏み出せば世界は後ろへ吹き飛ぶ!

 はず、なのに

  _
( ゚∀゚)「おいっ、おせーよ高岡!」

从;#゚∀从「るっせーよめがね!」
  _
(; ゚∀゚)「め、眼鏡でもなんでもないおれに、めがね、だと……?!」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 00:57:29.01 ID:cJ5St/ir0

 イメージとは大分違う、鈍間な走り。
 ああ膝がぎしりぎしりと悲鳴を上げる。ああ肩ががちりがちりと軋みをあげる。
 止まれとまれと心臓が喚いていた。


从;゚∀从「は、は、は、」
  _
(; ゚∀゚)「お、おい大丈夫かよ」

从#゚∀从「う、うるせー! ぜんっぜん平気だね! 俺の名前は高岡ハインリッヒって言うんだけど、お前知らなかったの?」
  _
(; ゚∀゚)「し、知ってるけどさ」


 心配げな表情で振り返る長岡を睨みつけて、ついでに引きつる肺を叱責する。
 五月蝿い心臓なんて止まってしまえ。びくびくした肺なんて一昨日きやがれ。
 膝は何が楽しい、何笑ってやがんだぶん殴るぞ。背筋、しゃんとしやがれ!


从#゚∀从「は、は、はっ」


 わたしには今しかないんだ!


从#゚∀从「ははははははっ! はっ、ははははっ!!」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:04:08.57 ID:cJ5St/ir0


 例えば、こんな風に走って、明日は一体どうなってしまうんだろうか、とか
 もしかしたらしぃさんに怒られるかもしれない、とか
 筋肉痛が酷いだろうなぁ、とか
 そんな予想がいくつもいくつも脳みそを撫でていく。

 未来を見据えた自分は、きっと今わたしの頭の上で大爆笑をしているに違いない。


「ああ馬鹿だ! 一体全体どういう頭をしているんだ、お前は!」


 けれども、知らない。

 わたしの頭はどうしようもないばかだから、全然そんなことは、知らない。
 心臓が悲鳴を上げても、幾らも気づきやしないから。

 右足、左足、右足、左足。
 地面、空気、地面、空気。

 駆け上がれ駆け上がれ駆け上がれ!



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:13:02.53 ID:cJ5St/ir0


从# ∀从「はっ、はっ、はっ、は、はがぁー……」
  _
(; ゚∀゚)「お、おい、くたばったか?」

从# ∀从「大当たりだ、ブルってお家へお帰り嬢ちゃん」
  _
(; ゚∀゚)「……はぁ」


 いつも遊ぶ広場に着いたときには、わたしはすっかりへたっていた。
 肺は捩れて、膝は死にそう。心臓はバクバクと脈打つように鳴っている。
 しぬかもなぁと思った。別にそれでもかまわないとも思った。

 何時までも長岡に心配そうな目で見られるのも癪だったので、前屈の体勢から身を起こす。
 途端に血液が脳みそから抜け落ちたけれど、気にしない。
 大丈夫、まだまだしんだりはしないから。


从 ゚∀从「……久しぶりだなぁ、此処も」
  _
( ゚∀゚)「だろ? ちゃんと皆呼んであるから」

从*゚∀从「え、まじで? 渡辺も? 鬱田もいるのか?」
  _
( ゚∀゚)「もちろん。内藤も流石の奴等も素直も皆いるぜ。お前のために大集合だよ」

从*゚∀从「まじかよ!」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:19:53.79 ID:cJ5St/ir0

 良くても長岡と二人で駆けっこくらいしか出来ないだろうと思ってたわたしは、思わず驚愕と喜びの声を上げる。
 その内皆来るよ、と言った長岡の言葉通り、久しぶりに会う友人たちがぞろぞろと深夜の広場に集まりだす。
 街灯の下、スポットライトのような光の元、まるで蛾か何かか、と思わず笑った。


ξ*゚听)ξ「高岡ぁあああ! ひっさしぶりー!」

从*゚∀从「おー! 久しぶりー! 元気だったかぁ?!」

ξ*゚听)ξ「それはこっちの台詞よこのイカレポンチ!!」

从;*゚∀从「いかっ、……」

( ゚д゚ )「なんだかんだ、結構元気そうだな」

从*゚∀从「ったりまえ! 俺を誰だと思っていやがる!」

('A`)「ばか?」

( ´_ゝ`)「いかれぽんち?」

('、`*川「阿呆の子?」

从*゚∀从「率直かつひでぇな!」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:32:52.14 ID:cJ5St/ir0

( ^ω^)「まぁまぁ、せっかく久しぶりにみんな集まったんだお」
  _
( ゚∀゚)「そうだよ! 何する何する?!」

川 ゚ -゚)「此処はやっぱり鬼ごっこだろ」

('A`)「おれケイドロがいいなぁ」


 今日の遊びについて皆が話し合いを始める。
 そんなに幼くもないわたし達は、けれどいつでもこんな遊びしかしなかった。
 鬼ごっこだとか、かくれんぼだとか、色鬼だとか、高鬼だとか。

 確か始まりは何てことない、誰かがふざけて始めた遊び。
 夜中に集まってまでするようなことでもない。
 ただわたし達は知ってしまったのだ。深夜の空気と、走りぬける爽快感を。


从 ゚∀从「やっぱり、今もまだこんな遊びばっかやってんのかよ」

从'ー'从「当たり前でしょお?」

从 ゚∀从「ははっ、くっだらねー」


 この街にはたぶんきっと馬鹿しかいないのだ。



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:37:35.09 ID:cJ5St/ir0


(´<_` )「じゃあ俺増殖系鬼ごっこがいい」

ξ゚听)ξ「あ、私も」

( ^ω^)「おー、じゃあそれでいっかおー」

('、`*川「あ、待って待って、私のど渇いたから、何か飲んでからでもいい?」

川 ゚ -゚)「飲んで走ると吐くぞ」

('、`*川「吐くわけないじゃん」


 伊藤がたったかと自販機の方へと走っていく。
 その間に、内藤がこちらへ寄ってきた。朗らかな笑みが街灯に照らされて、鮮やかなコントラスト。
 それから目をそらしてわたしは空を見上げた。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:43:32.10 ID:cJ5St/ir0

( ^ω^)「高岡、もう元気なのかお?」

从 ゚∀从「不死鳥のように蘇ったぜ」

( ^ω^)「人間辞めろお」

从 ゚∀从「もう超越してるっつーの」

( ^ω^)「……本当に、大丈夫なのかお? 走っても」

从 ゚∀从「お前の脳みそは肉味噌でできてんのか? 元気なこの俺の姿が見えないってんなら、脳外科紹介すんぜ」

( ^ω^)「お前が言うと洒落にならんお」

从 ゚∀从「今、わたしは元気だよ。だから明日なんて、しらねぇさ」


 今この広場には馬鹿しかいない。
 夜中に徒党を組んでくだらない遊びをしてしまう、ばかな十八歳達。
 そのリーダー格だったのがわたしだ。

 ばか達は一つの街灯の下、それぞれ好きなようにばかな話をしている。
「ニトログリセリンって甘いんだってな」「あ、どうしよう、おなかが痛くなってきた」「大田胃酸!」「いい薬です」
 そんなくだらない話をビージーエムに、内藤はわたしを睨みつけるようにしてみる。

 昼間はきっと日差しが叫ぶような朗らかな広場に違いない。
 それが、夜になって電気がともされた途端にこんなばかな空間になってしまうだなんて、広場も大層報われないな、とわたしは笑った。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 01:54:23.15 ID:cJ5St/ir0


('、`*川「ただいまー」

从'ー'从「おかえりー」


 伊藤が帰ってきた。
 遊びが始まる。わたしは飛び跳ねる。
 隣で内藤が顔をしかめているのにも、気づかないことにする。
 今はそれどどころじゃあないんだよ!

  _
( ゚∀゚)「なぁ、高岡」

从*゚∀从「うん、なんだ!?」
  _
( ゚∀゚)「楽しめよ。な、さいごだ」

从*゚∀从「ああ、うん、そうだな!」


 さぁ、残りを使いきろう。
 明日に電池を残す必要は、ない!
 最高速度を保って、走れ走れ走れ!



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:05:23.38 ID:cJ5St/ir0


 最初に鬼になった兄者が満面の笑みで十数える。
 いーち、にーい、さーん、しーい、ごーお、ろーく、しーち、はーち、くーう、じゅう!
 それから飛び出したってまだ間に合う。踏み出す一歩でわたしは最高速。羽が生えたようにランニングシューズは軽い。

 点で散り散りばらばらになった他のやつらよりも、久しぶりのわたしを標的としたか、兄者は迷わずこちらへ走ってくる。
 長身に見合うだけの長い足、歩幅。大丈夫だ、わたしの名前は高岡ハインリッヒなのだから。
 今にも死にそうなたかおかさんなんかではないのだぜ!


从*゚∀从「ふはーはーはー! 遅い遅いおそぉおおォォい!!」

( ´_ゝ`)「にぃがぁすぅかぁああああっ」

从*゚∀从「捕まえられんなら捕まえて見やれ!」

( ´_ゝ`)「流石さん家のお兄ちゃん舐めんなよ!」


 芝生の上を走り抜ける。
 遊具に飛び乗って、降りて、飛んで、跳ねて、跳ねて。
 肺も心臓もとっくの昔に喉が擦り切れるような警告を叫んでいる、のだけれど。

 まぁそんなのはどうだっていいじゃない!



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:11:19.33 ID:cJ5St/ir0

 後ろから悔しげな兄者の声が飛んでくる。
 しばらくそうやって走っていた。息が切れる。足が悲鳴を上げた。
 植木の間をすり抜けていくようにして走って、はっと息を一つ吐き出す。
 空の天辺には丸い丸い月が浮かんでいる。雲に隠れては、身を少しだけ覗かせて。


从*゚∀从「はははははははっ!」

从*゚∀从「あはっ、ははははははっ、なんだよ、まだまだいけんじゃん、わたし!」

从*゚∀从「めっちゃいけんじゃん!」


 焼付ける。
 まぶたの裏に、そのまあるい光を焼き付ける。
 長岡の言ったとおりに、さいごのさいごだと、焼き付ける。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:18:00.52 ID:cJ5St/ir0


从*゚∀从「は、は、は……ははは、はは……」

从* ∀从「はは、ひっ、ふぐっ、」


 背中からちりちりと緊張感が走る。
 ああ、来るぞくるぞくるぞ、鬼が来たぞ、逃げろ逃げろ。
 液体が滲むような咳を飲み込んで、すでに警告を発することもやめた足を前へ伸ばす。


川 ゚ -゚)「あっ、こら、待て!!」

从* ∀从「ひっ、ひひっ、クー鬼になってやんの、だっせぇの」

川 ゚ー゚)「お前はまったく憎たらしいな!」


 気づかれる前に走り出す。袖口で口元を拭い去って、息を吸って、それから吐いて。
 まだ、まだだいじょうぶ。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:23:28.77 ID:cJ5St/ir0


「ひーっひひひ、おぅら待て待て待てー! ハインリッヒ様が通るぜ捕まえるぜぇええええ!」

「うおぉおおお逃げろぉおお高岡が来たぞぉおお」

「おっおっ」

「あ、ブーンあんた何処走ってんのよ、ずるいじゃない! 降りなさい!!」

「作戦勝ちだお、作戦勝ち」

「さ、最悪だ……!!」

「内藤ぉぉおおおお? フェンスの上に行った程度で俺から逃げられるとでも思ったかよぉお?」

「お、おぉおおおおお?!」


 高岡ハインリッヒは、やけくそのように飛び回っていた。
 それを「久しぶりではしゃいでいるのだ」と認識する者も居たし、また別の解釈をする者も居た。
 長岡は、その様子を花火のようだと思った。

 今にもはじけて消えてしまうのだ。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:31:24.33 ID:cJ5St/ir0

  _
( ゚∀゚)「テンションたけぇ……」

从'ー'从「皆久しぶりにハインちゃんに会えて、うれしいんだよ」
  _
( ゚∀゚)「うお、なんだよ渡辺、居たのかよ」

从'ー'从「いたよぉ。はい、タッチ」
  _
( ゚∀゚)「え?」

从'ー'从「長岡君も、鬼ね」
  _
(;゚∀゚)「え、えぇええええええ?!」

从'ー'从「油断大敵だよぉ?」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:34:08.42 ID:cJ5St/ir0



从* ∀从「あはは」


 ああ、何があっても忘れない人間なんていないから、それはわかってるけど。
 とにかく、どうかどうかわたしのことを忘れないでください。

 もうそろそろさいごです。
 うまれた時から知ってたよ。
 少々はしゃだっていいじゃないかよ、別にいいじゃん。
 しかたないじゃん

 いつまでもこうやっていたかったよ。
 きちがいみたいに、馬鹿みたいに皆と遊んでいたかったよ。
 たのしいからさ、何時までも何時までもって思うけど、
 かんかえてみればこれは奇跡みたいなもので、
 っていうか、寧ろ奇跡そのもので、
 たぶんわたしはもうすぐ



从*^∀从「あははははははははっ! あはははっ!!」


  しぬんだぜ、びっくりしたろ? なぁ



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:38:18.48 ID:cJ5St/ir0


从*^∀从「あははははっ、あははっ、ああ、あははははははっ」


 最後に月を見上げて、皆を見て、


  にっこりわらって

  たくさんのばかどもにしんぱいされて

  くるしいのもぜんぶわすれて

  なにもかもたのしいままで、


 笑って倒れられたから、わたしはきっと幸せだと思う。


从*^∀从「あはは、あは」


  いかにも、こうふくな、さいごを



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:48:19.06 ID:cJ5St/ir0




(#*゚ー゚)『たかおかさんは、安静にしてなきゃだめですよ! 走るなんて、以ての外!』

『……はい』

(*゚ー゚)『……安静にさえしていれば、ちゃんといつか、手術が受けられますよ。だから、その日まで、我慢してください』

『……わかりました』


 明日のために眠り続けるたかおかさんよ、さようなら!
 わたしは高岡ハインリッヒとして死にます。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:50:07.14 ID:cJ5St/ir0





('A`)「逃げ切ったぜ……!」

( ^ω^)「隠れてるなんて卑怯だお……」

('A`)「うるっさい。ちゃんと最後には出てきたからいいの」

('、`*川「次何する?」

( ゚д゚ )「俺だるまさんがころんだしてぇ」



  _
( ゚∀゚)「おい、高岡、次何するー? いい加減回復しただろー?」





从 ∀从



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:51:45.20 ID:cJ5St/ir0



  _
( ゚∀゚)「……高岡? いつまで寝てるんだよ、おい」
  _
( ゚∀゚)「くたばったか?」




从 ∀从






 ばかな皆に切れっぱしでも気遣いとかそういうのがあったなら、

 皆、わたしの葬式には出ないでください。

 そこにいるのはわたしこと高岡ハインリッヒ様じゃなくて、死に掛けで死んでしまったたかおかさんですから!



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/10(土) 02:52:25.81 ID:cJ5St/ir0
从 ゚∀从切れっぱしでもいいようです
 end



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