( ^ω^)('A`)( ,,゚Д゚)ξ゚听)ξ(*゚ー゚)川 ゚ -゚)

1: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 17:55:30.53 ID:kNvOJa9U0




           ( ^ω^)('A`)( ,,゚Д゚)ξ゚听)ξ(*゚ー゚)川 ゚ -゚)





                 1、ニューゲーム
                ⇒2、ロードゲーム



2: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 17:58:40.00 ID:kNvOJa9U0

メモリーカード1
主人公:( ^ω^)   ((=゚Д゚=)
時:夜
場所:街路
参考:にゃ?

メモリーカード2
主人公:ξ゚听)ξ ツン
時:?
場所:病室
参考:繋がる

メモリーカード3
主人公:从'ー'从
時:ニート生活中
場所:
参考:クー&ぃょぅ


メモリーカード2、ロードします。



4: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:02:58.66 ID:kNvOJa9U0
ξ゚听)ξ「お金が溜まった……?」

そんなの嘘に決まっている。
日々の生活さえ困難な家庭が、どうして高額な手術代等を用意できようか。
もし、出来るとするならば……。

ξ゚听)ξ「お母さん、また借金した……?」

母「いいえ……借金は、してないわ」

歯切れの悪さ。
まさか、母はまた……

ξ゚听)ξ「変な事して貰ったお金なら、私、手術しない」

母「そんなのじゃないわ!私にだって、いざというときの貯金くらい……」

ξ゚听)ξ「ない。絶対にない。うちに貯金なんて」



5: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:08:13.72 ID:kNvOJa9U0

ξ゚听)ξ「もう身体売ったりしないって約束したじゃない!」

母「違う!違うのよツン!このお金は……」

母の声が止まる。
姿は確認することが出来ないが、こういう時の母は、決まって下を向いている。
嘘をついているか、あるいは、言えない何かを隠しているか。

ξ゚听)ξ「とにかく……出所の分からないお金なんかで手術しない」

ξ゚听)ξ「私のせいで借金増やしたり、お母さんを苦しめることになるんだったら……」

ξ゚听)ξ「私なんて、いないほうがマシなんだから」



6: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:14:32.74 ID:kNvOJa9U0
その瞬間、私の左頬が焼けるように熱くなる。
母親に平手を喰らったと気づいたのは、少し経ってからだった。

母「そんなこと……そんなこと……絶対に言っちゃだめ!!」

母の声は怒りに満ちているように感じた。
だが、それと同時に、涙を含む声色でもある。
こうした母の声を聞くのは、久しぶりだった。

母「あんたが……あんたがいたから、ここまで頑張れたんじゃない……!
  二人で一緒に苦労して、やっとここまできたんじゃない……!
  あんたがいなくなったら……いなくなったら……」

そこから先は、もはや私の聞き取ることの出来ない領域だった。
私は何もいうことが出来なくなり、しばし沈黙する。
部屋にはただ、母の泣く声だけが響いていた。



7: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:18:05.50 ID:kNvOJa9U0
ξ゚听)ξ「お母さん……」

私が口を開いたのは、沈黙からしばらくたった後だった。
母のすすり泣きが少し落ち着き、私の声に集中するのが分かる。

ξ゚听)ξ「ありがとう……でもやっぱり、サラ金で作ったお金じゃ……」

「そのお金はサラ金なんかじゃないお」

突如として増えた、新たな声。
それが誰の声か認識するのに、そう時間はかからない。

ξ゚听)ξ「……ブーン、帰ったんじゃなかったの?」

「僕が部屋を出て、すぐにビンタの音が聞こえたから……悪いけど、部屋の外で待ってたお」

少し申し訳なさそうな、しかし、それでいてはっきりした口調で彼は話した。

ξ゚听)ξ「盗み聞きとは、あんまり言い趣味とは言えないわね」



8: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:22:03.39 ID:kNvOJa9U0
「おっ。それは百も承知だったお」

でも、どうしても、帰るわけにはいかなかったんだお。
いつも以上に明々とした言葉に、私は口を閉じるほかなくなる。

「僕が原因で、ツンとおばちゃんの仲を悪くしちゃいけないんだお」

ξ゚听)ξ「ブーンが……原因?」

母「私が……おばちゃん?」

いや、お母さん。そこはスルー推奨でお願いします。
私が聞き返すとすぐに、ブーンはその理由を一言で述べた。

「そのお金は……僕が、お姉様に渡したんだお」



15: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:28:11.47 ID:kNvOJa9U0
手術代を渡したのは自分だ、と言い張るブーン。
しかし、そんなことが可能だろうか。
一ヶ月や二ヶ月、それどころか、一年や二年のお小遣いで足りる金額ではない。
バイトも何もしていない彼が、そんな金を集めれるわけないのだ。

「僕が……自分を売って、手にしたお金だお……」

ξ;゚听)ξ「!!」

まさか。
今のこの時代、キモオタデブ男子高校生が、売春できるのだろうか。
いや、確かに近年ゲイやボーイズラブと言った趣向がはやりつつあるのも事実だ。
だが、しかし、あのブーンが売春なんて……。

ξ;凵G)ξ「汚れた身体になっちゃったのね、ブーン……」



20: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:33:39.36 ID:kNvOJa9U0

「いや、あのー……思いっきり勘違いなさってると思いますお……」

ξ゚听)ξ「え?」

「僕が売ったのは、ブルーストーンの自分……即ち、BOONのことだお」

はい?
いまいちブーンの言葉の意味が出来ない私。
それを知ってか知らずか、ブーンはさらに話を続ける。

「ブルーストーン、超有名MMORPGだお」

ξ;゚听)ξ「え、えむえむおー……?」

「本当に苦労して作り上げたんだお……僕が費やした五年間のデータ、すべてRMTで売ったお。
 幻の六頭牛。非売品の帽子、ねずみ耳。どんな敵も一瞬でズタズタ、かまい達の昼。
 そして僕のキャラデータ……BOON」

心なしか、ブーンの声は涙ぐんでいる。
え、何が起こっているのだろう。
この取り残された感情を、私はどうすることも出来ずにいた。



25: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:39:47.16 ID:kNvOJa9U0

「他にも、ちん○の形状をしたレアソード、ペニード。
 まん○の形状をしたレア盾、おまんシールド。
 敵の攻撃の命中率を大幅に下げる、パネェローション
 それから……」

ξ゚听)ξ「あの、ブーン?」

「え、あ。とりあえず、僕がいろいろ売って手にしたお金なんだお!!」

ξ゚听)ξ「……」

よく分からないが、とにかく、ブーンはいろいろ売ってお金にしてくれたらしい。
それもかなり高額のお金……。
どうしてそこまで、と考える私をよそに、母親が沈黙を破る。

母「今までの計算から行くと……相場は大体5万程度じゃないかしら……。
  あなたの垢がいくら高く売れても、とてもじゃないけど届かないわよね……」

「……知り合いが、高く買ってくれたんですお!」

……私の知らない母は、まだまだありそうだ。



27: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:44:04.05 ID:kNvOJa9U0

ξ゚听)ξ「え、えっと……ブーン?」

「お?」

ξ////)ξ「その……あ、ありがと……」

母となにやら談笑していたブーンを呼んで、礼を言う。
もちろん、礼を言う程度で終わるような貸しではない。
だが、今の私には、これが精一杯なのだ。
耳の淵まで真っ赤になっていくのが、自分でも感じて取れた。

ξ////)ξ「ぜ、絶対返すからね!何年かかっても……絶対返すんだからね!」

「おっおっ、それじゃ、それまでは一緒にいてくれるってことかお?」

ξ////)ξ「ばっ……」

ブーンの顔は見えないのに。
今の私の目は、見えないはずなのに。
私は、ブーンの笑顔が見えているように、感じていた。



31: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:47:24.35 ID:kNvOJa9U0
「申し訳ありません、面会の時間はもう過ぎておりまして……」

ドアの外から看護婦の声が聞こえた。
それもそうだ、ブーンが最初に帰った時点で、時間は過ぎていたのだから。

「……それじゃ、ツン。僕は帰るお」

ξ゚听)ξ「うん……」

「そんな寂しそーな顔すんなおww また明日も来るお!」

ξ////)ξ「べ、別に来なくたっていいわよ!」

「ふひひwww それじゃ、お姉さまも、失礼しますお」

母「いえいえ。でも……本当に……ありがとう」

「気にしなくていいですおー!僕は僕がしたいようにしただけですお!」



34: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:52:38.23 ID:kNvOJa9U0

ガラガラ、とドアが開けられる音がした。
ブーンが部屋から出て行くのが分かる。
彼には隠しても…自分には、隠しきれない。

ξ゚-゚)ξ(寂しい……)

でも

ξ゚ー゚)ξ(本当に、ありがとう……)



「おお!なんと美しい看護婦さん!!もし良かったらメールアドレスを教えていただけますかお!?」


ξ#^ー^)ξ(……前言撤回できるかしら?)


───……・・・
──…・
─・




37: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 18:55:46.88 ID:kNvOJa9U0

次の日、ブーンや母より先に見舞いに来てくれたのは、クーだった。

「大丈夫か、ツン」

ξ゚听)ξ「クー?きてくれたんだ!」

「まぁ、な……」

少し歯切れの悪い返事。
そういえば私達、喧嘩して、何かうやむやなままだっけ。

ξ゚听)ξ「あのね、クー、わたs」

「内藤から、すべて聞いたんだろう?」

ああ、クーも同じ事を考えていたのか。
今まで込めて来た思いをすべて言葉に変えて行く。

ξ゚听)ξ「」



1、「ごめんね……今まで私、ずっと勘違いしてた……」
2、「てめー紛らわしいんだよ馬鹿野郎ッッ!!」
3、「ブーンの子供、出来たんだってね……おめでとう、お母さんだね」


>>40

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/23(水) 18:58:40.21 ID:kMBEGjzuO


41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/23(水) 18:58:41.49 ID:2FPT4Ce70




43: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:02:20.01 ID:kNvOJa9U0
ξ゚听)ξ「ブーンの子供、出来たんだってね……おめでとう、お母さんだね」

「……やっぱり、内藤から全部聞いたんだな……」

ξ゚听)ξ「え?」

「隠しててすまない……。出来れば、君には知られたくなかった……」

ξ゚听)ξ「……」

「君が内藤の事を想っているのは知っている。君の口からも何度か聞いた。
 だけど……私だって、自分に嘘をつく事は出来なかったんだ……」

ξ゚听)ξ「く……う……?」

「……絶対に、いい子に育ててみせる。
 だから……応援して、くれるよな……?」

ξ゚听)ξ「くう……やめてよ……ほんと……なの……?」



44: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:04:05.58 ID:kNvOJa9U0
\               U         /
  \             U        /
             / ̄ ̄ ヽ,
            /        ',      /     _/\/\/\/|_
    \    ノ//, {0}  /¨`ヽ {0} ,ミヽ    /     \          /
     \ / く l   ヽ._.ノ   ', ゝ \       <嘘に決まってんだろバカ!>
     / /⌒ リ   `ー'′   ' ⌒\ \    /          \
     (   ̄ ̄⌒          ⌒ ̄ _)    ̄|/\/\/\/ ̄
      ` ̄ ̄`ヽ           /´ ̄
           |            |  
  −−− ‐   ノ           |
          /            ノ        −−−−
         /           ∠_
  −−   |    f\      ノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_   )    − _
.        |  |            /  /
         | |          ,'  /
    /  /  ノ           |   ,'    \
      /   /             |  /      \
   /_ノ /              ,ノ 〈           \
    (  〈              ヽ.__ \        \
     ヽ._>              \__)



46: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:06:24.54 ID:kNvOJa9U0
ξ#゚听)ξ「おいこら」

「なに。先に仕掛けてきたのは君の方じゃないか」

ξ゚听)ξ「ま、まぁ確かにね……それにしても、悪ノリが過ぎるわよ!」

「……ふふ」

ξ゚ー゚)ξ「……ぷっ」

「良かった。ツンはツンだな」

ξ゚听)ξ「何よそれー!私は私ですー!」

「そうじゃなくて……久しぶりに、ちゃんと話せたし……」

ξ゚听)ξ「……うん。今まで、ごめんね」

「馬鹿。何で君が謝るんだ……そんなの……」



49: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:11:19.20 ID:kNvOJa9U0
「す、すまない!バイトの時間だ。また来る」

そう言って、急ぎ足で去っていくクー。
相変わらず、クールで、マイペースな彼女に、私は安堵感を覚える。

「おいすー」

それと入れ替わるかのように、ブーンが入ってきた。
なんとなくテンションが低い気がする。

ξ゚听)ξ「どーも。どうしたの?何かテンション低くない?」

「いや……クーさんが泣いてるトコなんて初めて見たから……」

ξ゚听)ξ「え……」

クーが泣く?
そんなところ、私だって見たことがない。
あの冷静でクールな彼女が……。

ξ゚ー゚)ξ(心配かけてごめん……ありがとう、クー)

私は、私が思っている以上に、多くの人に支えられているんだ。



53: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:19:46.65 ID:kNvOJa9U0

それから私は、毎日、ブーンといろんな話をした。
学校のどーでもいい話とか、バスケ部のきつい練習内容の愚痴とか。

昔話も、たくさんした。
私が覚えていない事だって、ブーンは覚えていた。
でもほとんどが、私がブーンをいじめた時の話だった。
聞けば聞くほど、私はブーンに対して素直じゃなかったことが分かる。
というよりむしろ、いじめの一環じゃん。

ブーンやクー以外にも、たくさんの人が見舞いに来てくれた。
学校の女友達もだ。
私はうわべだけの付き合いって思っていたけど……
向こうは、本当に、私のことを心配してくれていた。

ふと、涙がこぼれるときもあった。
ごめんね、と、ありがとう、をこの数日繰り返した。
退院したら……今までつまらなかった学校生活は、きっと、大きく変わると思う。


あっという間に、手術の日はやってきた。



55: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:21:40.45 ID:kNvOJa9U0
母「大丈夫?ツン」

お母さんが心配そうな声で問いかける。
大丈夫だよ、と一言返したが、きっと母はまだ心配そうな顔で見つめているのだろう。

「ちょっとだけ……二人にしてもらえる?」

母にそういうと、小さな返事が聞こえて、部屋から去っていくのが分かった。
これで、この部屋にいるのは、私と……

「ツン、絶対手術は成功するお!たぶんブラックジャック並みの先生だお!」

ξ゚听)ξ「モグリだったら嫌よw」

すぐに沈黙が訪れる。
ブーンは必死に場を明るくしようと、つまらないギャグでも考えているようだ。

ξ゚听)ξ「あのさ、ブーン」



56: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:24:49.82 ID:kNvOJa9U0
君に伝えなきゃいけない言葉がある。
ずっとずっと、言えなかった。
君が思っている以上に、前からだよ?

嘘と偽装で作り上げてきた私。
それでも、今、君に、正直な気持ちを伝えたいんだ。

すぅ、と大きく息を吸う。
見えていない目を大きく開き、私は、彼にこう言った。



「        」


>>59
自由記述
好きな言葉を書いてください。

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/09/23(水) 19:27:17.16 ID:mGxzdKQ+0
ごめん



60: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:33:18.20 ID:kNvOJa9U0
「ごめん」

出てきた言葉は、謝罪の言葉。
彼には……たくさんの事を謝らなければいけない。

「今まで……ずっと、変な勘違いをしててごめんね。
 今まで、あなたの事をたたいたりしてごめんね。
 幼稚園の時、おもしろがってあなたのちんこの皮を伸ばして遊んでごめんね。
 お金のことも……本当にごめん」



涙が、溢れてくる。



「嘘ばっかりの毎日に、素の自分出せたのはブーンだけだったんだ。
 だから……君にばっかり、ひどい私を押し付けててごめん。
 目、見えなくなってごめん。
 今、ブーンの顔が見えないからって、言いたいことばっかり言ってごめん。
 卑怯だよね……ごめん。
 それから、いまま──」



言葉を紡ぐ私の唇が、同じそれで、覆われた。



61: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:35:36.61 ID:kNvOJa9U0

目が見えなくて良かった。
なんてことを考えている自分がいた。

きっと、今目が見えていたら、
私は爆発してしまうかもしれない。

それに、目が見えていたら、こんな状況……
一生来なかったかもしれないんだから……



62: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:38:28.48 ID:kNvOJa9U0
「手術、成功するお。絶対」

「うん……うん」

「僕なんかよりずっと強いツンだお?
 たぶん病気だってちょっちょいのちょいでやっつけてるおw」

「うん……うん……」

「……僕に、お金返すまでは、一緒にいるって約束したお?」

「うん……」

「……受け取り拒否したら、もしかして一緒傍にいてくれるのかお?」

「……調子に乗るな!馬鹿!」

「おっおっww その調子だお!」

「……ありがとう、ブーン」




「行ってくるね」



64: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:40:51.27 ID:kNvOJa9U0


ξ゚听)ξツン編 第16話 終



65: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:44:24.30 ID:kNvOJa9U0

〜エピローグ〜

私の視界は、暗闇のそれに覆われていた。
もちろん、目を瞑っているだけ、などというオチではない。
しっかりと目を開けているのに、私の視界には一切光が入ってこないのだ。

「はぁ……」

重たいため息をつく。
この暗闇を見ては、私は毎回ため息をついている。
溜息は幸せを逃がすというが、それも仕方ないくらいだ。
どうして、この状況が、ため息をつかずにいれるだろうか。



66: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:51:48.32 ID:kNvOJa9U0
「だーれだお?」

ξ)()ξ「あんたねえ……いい加減あきらめたら?」

「早く言ってみるおー!?わかんないのかおー!?」

ξ#゚听)ξ「早く手を離せ、この豚!」

(;^ω^)「ぶ、ぶひぃ!!そんなに怒らなくても……」

ξ゚听)ξ「デートの度に、後ろから目隠しするの辞めなさい!
     難しくもないし、面白くもない!」

(;^ω^)「おー……」

視界に映るのは、大きな水族館、そして、私の彼氏、内藤ホライゾン。
何度目かのデートだが、彼は毎回目隠しをしてくるのだ。

ξ゚听)ξ「ほら、早く行くわよ!」



67: ◆sHNGWXTAUA :2009/09/23(水) 19:54:00.98 ID:kNvOJa9U0
( ^ω^)「あ、ツン!手繋いでいいかお!?」

ξ゚听)ξ「馬鹿ッ!そういうのは『自然にさり気なくそっと』握るものなの!!」

(;^ω^)「おー……」


だらしなさそうに手をぶらぶらさせるブーン。
一歩、二歩歩いたところで、私はちょっとだけ立ち止まる。


宙に浮いた彼の手を握り、私はもう一度、歩き始めた。





 ツン編 完



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