( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです

291: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:32:39.37 ID:8KOeT3L+0
  
第十四話 迷走

・・俺はなんてこといったんだろう。

確かに代わりは必要だったけど・・

貞治が来ないって決め付けてた・・

俺は仲間を、貞治を・・信頼していなかったんだな。

ブーンが部室から飛び出た後、俺は考えていた。

ごめんな、貞治・・ごめんな、ブーン。



292: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:36:42.46 ID:8KOeT3L+0
  
俺がいくら頭の中で考えても状況が変わる訳じゃない・・

そんなことは分かっている。わかってはいるけど・・

・・ん?誰かが俺の肩を叩いた。

川 ゚ -゚) 「気にするな・・祐だけのせいじゃないさ」

クー・・俺は思わず、泣きながらクーを抱きしめ、泣いていた。
皆がいるとこなのに・・

川 ;゚ -゚) 「ちょ、祐、苦しい・・」

あっ・・しまった


(つ−;) 「ごめんな・・」

俺はそれしか言えなかった。貞治・・



294: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:42:24.51 ID:8KOeT3L+0
  
さっきの発言をした二人は俺の涙もあってかさらに塞ぎこんでしまった。

(;'A`)(;´・ω・`)「・・・・・・・・どうすれば」

そんな悲痛な言葉にも、誰も反応できなかった。

ξ゚听)ξ「・・私、帰るね」

さすがにこの雰囲気の中にはもういたくなかったんだろうな。

ツンはすぐ準備をして部室から出て行った。

カチカチカチ

「あんただけのせいじゃないわよ・・あんまり一人で背負い込んじゃだめよ」

・・だがその返事も返ってはこなかった。

ξ゚听)ξ「・・ブーン、必ず貞治は帰ってくるわよ」

どこにその確証があるのかはわからない。

でも、そうでも思わないと、やっていけない。



295: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:49:11.12 ID:8KOeT3L+0
  
残された俺らはもうどうすればいいのか分からない。

川 ゚ -゚) 「祐、帰るぞ」
(´−`) 「え、あ、うん」

俺はクーと帰ることになった。

校門までの短い時間。でもその時間さえ長く感じられる。

川 ゚ -゚) 「貞治はこのチームの一員だ。
チームが大事だと思ってるなら必ず帰ってくるよ
だからメソメソするな。そんな祐は私は見たくないんだ」

・・クー。

(´−`)「・・うん。俺、貞治の事信じるよ」

・・今までちゃんと信じてなかったのに、そんな事言う資格があるのか?俺には・・



296: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:52:53.98 ID:8KOeT3L+0
  
川 ゚ -゚) 「それじゃ、明日な?ちゃんと元気だしてくるんだぞ。
ズル休みは私が許さないからな?」

(´−`) 「うん、大丈夫。学校にはちゃんと行くよ。心配しないで」

クー、ありがとう。少し元気でたよ。

俺はこれから、ちゃんと仲間を信じなきゃ。

仲間も信用できないクズなんかチームには必要ない・・

ましてや俺は副キャプテンだ。しっかりしなくちゃな。



298: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 18:58:03.01 ID:8KOeT3L+0
  
あっ、そうだ。

俺は携帯を取り出し、メールを打ち始める。

「ブーン、ごめんな。あんな事言って・・」

数分後、メールが返って来た。

「もう気にしてないお。僕らが出来ることは貞治を信じて待つ事だお
明日も頑張ろうだお」

ブーン・・ありがとう。

この後、祐にまた悪い事が起きるなんて、彼には分かるはずも無い。



299: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:00:02.83 ID:8KOeT3L+0
  
俺は家に帰った。

(´−`) 「ただいま!」

精一杯声を出し、帰った合図をした。

でもいつものような声は聞こえない。

(´−`) 「・・カーチャン?」

俺は嫌な予感がした。

いや、買い物に行ってるだけ・・俺は自分にそう言い聞かせ、中に入った。



300: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:03:16.83 ID:8KOeT3L+0
  
とりあえず台所に行こう・・

ノドが乾いたからなんか飲みたい。

・・俺の嫌な予感は的中したんだ。

カーチャンが、台所に倒れてたのだ。

(;´−`) 「カーチャン!!!」

俺は急いで助けを呼んだ。カーチャン!どうしたんだ・・?

救急車が来るまでの時間が一時間、いや、二時間くらいに感じられた。



301: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:05:47.71 ID:8KOeT3L+0
  
ようやく救急車が来た。

(;´−`) 「カーチャン!救急車来たよ!しっかりして!」

カーチャンは返事するはずはなかった。

でも俺にできる事をしたかった。

その思いだけでひたすらカーチャンに呼びかける。

救急車が来て、乗ってからもずっと・・

カーチャン・・



302: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:09:07.04 ID:8KOeT3L+0
  
ようやく病院に到着し、カーチャンは病室に運び込まれる。

「君はここに座って待ってなさい!」

嫌だ。カーチャンをほっとけるはずないだろ!?

(;´−`) 「くっ・・!!」

俺は無理矢理その中に入ろうとした。

だがそこにいた先生達に止められてしまった。

まさに多勢に無勢といった所か。情けない・・


結局俺は外の椅子で待つ事になった。



303: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:11:17.78 ID:8KOeT3L+0
  
・・一体どれくらいたったんだ?

俺の時間の感覚は完全に狂っていた。

一体いつになったら終わる・・?

そう思ったとき、先生が出てきた。

(;´−`) 「先生!!カーチャンは!?」

先生は何も言わず、俯いた。

(;´−`) 「・・まさか」

俺は急いで病室の中に入っていった。



304: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:17:09.11 ID:8KOeT3L+0
  
部屋に入るとカーチャンは苦しそうな表情をしていた。

・・これが死ぬ前の人の様子なのか。

人が自分の目の前で死にそうになってるのを見るのは初めてだ。

しかも自分の親なんて・・まだ俺の彼女みせてないだろ?

カーチャン「あぁ、祐かい?かすかに見える・・」

カーチャンはもう目があまり見えていないようだった。

(;´−`) 「カーチャン!死ぬなよ!俺の彼女まだ見せてないよ!
まだ色んなこと、恩返ししきれてないよ!
お願いだよ、カーチャン・・元気になってよ!」

俺は必死に呼びかける。でもカーチャンは、

カーチャン「私はもうだめよ・・祐、その子と仲良くしなさいね?
まだお父さんもいる・・だから大丈夫よ。
だから・・泣かないで?」

(;つ−;) 「カーチャン・・」

なんで今日はこんなに悪い事ばかりなんだ・・。

カーチャン「それじゃ・・先に逝くわね・・?簡単にこっちに・・くるんじゃ、ないわよ・・」
そういうとカーチャンは目を閉じた。



306: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:20:19.19 ID:8KOeT3L+0
  
(;つ−;) 「カーチャン!カーチャン!!俺を置いてかないでよ!
カーチャン!!!!」

俺は地面に膝をつき、うなだれていた。

カーチャン・・カーチャン。カーチャン・・

カーチャン「な〜んてね!ドッキリでした!!!!」

(;つ−;) 「・・え?」

カーチャン「お前をビックリさせようと思ったのよ
いわゆるブラックジョークってやつね」

俺は全身の体が抜けていった・・ちくしょう。このカーチャンは全く・・



308: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:23:30.89 ID:8KOeT3L+0
  
(#´−`) 「あんまりシャレにならないドッキリするなよ!!!!
本気で心配だったんだからな!!」

俺は怒鳴った。そのくらいして当然だ!
医師の人が申し訳なさそうに俺に説明する。

医師「ごめんね・・?お母さんがどうしてもっていって聞かなかったんだ。
お母さんはただの過労だよ。1〜二週間で退院できるよ」

ああ・・良かった。安心した・・同時に怒りもまだ収まらない。

タチ悪すぎなんだよ・・ホントに。



309: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:26:55.10 ID:8KOeT3L+0
  
カーチャンが妙ににやにやしてる。なんだよ・・?

カーチャン「祐、もう彼女出来たのね?
ちゃんと紹介しなさいよね?」

うっ・・しまった。そういえばそんな事言っちゃった。

(;´−`) 「わ、わかってるよ。ちゃんと紹介するから・・」

厄介な事になっちまった・・

ホントにタチの悪い冗談だ。この冗談のせいで、大事な事まで話しちゃったよ。

カーチャン「あっ、ご飯とかは自分でなんとかしなさい。
そして、明日お見舞いついでに彼女を連れてきなさい」

ちょwwwいきなりかよwwww



310: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:31:31.92 ID:8KOeT3L+0
  
・・少し時間もたって親父も病院にやってきた。

トーチャン「晴美!大丈夫か!?」

カーチャン「大丈夫よ、あなた・・」

トーチャン「良かった・・お前に大変な事があったらって思ったら、
仕事も手につかなかったんだ!」

・・はいはい。息子の前で見せ付けてくれますね。

あんまり調子乗ってると・・

カーチャン「あ、ごめんね、祐。祐は明日彼女とでもイチャイチャしてなさいw」

・・ぶちころすぞ。ったく・・全然元気じゃんかよ。



311: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 19:39:39.36 ID:8KOeT3L+0
  
トーチャン「じゃあ祐、帰ろうか」

(´−`)「あ、うん」

帰りは親父の車に乗って、途中ラーメンを食べて家に帰った。

家に戻ると親父が、

トーチャン「あ、祐、俺明日から、ちょっと遠くまで仕事にいかなくちゃいけないんだ。
なんか、大きなお祭りの警備をしなくちゃいけないんだ。
だから最低でも一週間は帰れないんだ
お金は渡しておくから、これで飯はなんとかしてくれ。
ホントに悪いな・・」

ちょwマジですか・・飯、どうしようか・・?

不安はあったが、今日はとりあえず寝る事にした。



316: ◆gk43jgqTBM :2006/11/25(土) 20:21:58.08 ID:8KOeT3L+0
  
俺は、こんな夢を見たんだ。

貞治が何倍も上手くなって帰ってきた。

今までの休みは秘密練習の為で、

皆の団結力は今以上に上がる。

そして簡単に県優勝し、全国で死闘を繰り広げる・・

夢とは分かっていた。

でもこうなればいいなぁって思った。

いや・・きっとこうなるはずなんだ・・。俺は素直にそう思った。

第十四話 迷走 完



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