( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです
- 3: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:01:35.70 ID:qCqirCoX0
- 第二十二話 超えなければならない壁
ラウンジ高校に勝って波に乗ったVIP高校はその後も勝ち続け、いよいよ全国のかかった決勝戦まで来ていた。
クックル率いる天国高校は、実は他の県のため、県大会では当たる心配はないのだ。
わざわざ遠征して、しぃ先生はおそらく、前のVIP高の実力を分かってほしかったのだろう。
決勝の相手は荒巻先生率いる庸行西高校。
確かに前は貞治が途中参加だったため不利な戦いを強いられて、結局追いつけなかった。
負けたのは貞治がいなかったから。確かにそうも考えられる。だが貞治が最初から居ても勝てるかどうか分からなかった。
荒巻先生のことだ。きっとVIP高校と同じ、いやそれ以上の練習をしてきている事は間違いないはずだ。
ここに勝たないと全国への道は開かれない。VIP高はどう戦うつもりなのだろうか。
- 4: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:03:51.04 ID:qCqirCoX0
- VIP高校
( ^ω^)「皆!気合いれて練習するお!!試合はもう明日だお!!」
ブーン率いるVIP高校は相変わらずの、明るいに加え、熱血で練習をしていた。
今は逆速攻2対1の真っ最中だ。
しぃ先生が、この練習で皆確実に決められるようになれ。との事なので、少し長めの練習を行っていた。
20本連続で入れば終了だ。制限時間は15分。
だが彼等は残り時間半分過ぎでもう十九本まで迫っていた。
もう昔のプレッシャーに弱い彼等など残っていなかった。
ラストは昔逆速攻を良く外していたドクオだ。パスが渡され、ドクオはフリーになる。
- 5: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:06:42.10 ID:qCqirCoX0
- ('A`)「昔のようにはならないよ」
ドクオは冷静に祐を見つめ、空いてるコースを見つける。
そこに的確にシュートを打ち込み、あっさりとゴールを割った。
正直キーパーと一対一になったら九割方シューターが有利だ。
シューターが下手ならば、キーパーにも止めるチャンスは生まれてくる。プレッシャーさえ上手くかければ止められる。
しかし相手がドクオのような試合慣れをした、経験豊富な相手になってくると、止めるのも正直難しい。
(;´−`) 「うぅ・・やっぱ止めらんね。まぁ体の動きは元に戻ったからいいかな」
祐は少し休養して体の疲れは取れたみたいだ。
メンバーの調子も悪くはなさそうだ。あっという間に練習は終了する。
- 6: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:09:19.84 ID:qCqirCoX0
- ( ^ω^)「じゃあ明日は今日よりもっと気合い入れてくるお!!
今まで戦ってきたチームの為にも、必ず明日は勝って全国に進むお!!」
いつもより熱いブーンの言葉。その言葉を皆はそれぞれしっかりと受け止めていた。
話もそこそこに、全員でグランドの片付けを速攻で済まして、ブーンはすぐ帰路に向かった。
( ^ω^)「明日は庸行西だお・・でも僕等も充分練習を積んできたお。
必ず勝てるお」
ブーンはどうやら明日の試合、そして昔の練習を思い出しているようだ。
あの、普段の練習よりも数倍キツイ、あの練習の数々を。
時は十一ヶ月程前までさかのぼる。
ブーンたちはある場所で練習を行っていた。どうやら室内のようだ。
- 7: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:13:15.40 ID:qCqirCoX0
- (; ^ω^)「しぃ先生に提案したまではよかったものの・・
まさか、まさかこんなちゃんとしてるとこで出来るとは思っていなかったお」
どうやらVIP高はしっかりした場所で練習してるみたいだ。
(*゚ー゚)「ほらっ!ブーン君、余計なこと考えないの!!」
( ^ω^)「す、すいませんお」
特別な所で練習しているといっても、ランニング〜ミサイルまでの流れはいつもと変わらない。
ランニングが学校で練習していたときよりもだいぶ長めにとって、ペースも速いが。
始めこそヒイヒイ言ってた部員たちだが、慣れてしまえばもう余裕といった感じだった。
(; ^ω^)「ここからがやばいんだお・・まずは逆速攻100本入るまでなんだお」
- 8: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:17:14.82 ID:qCqirCoX0
- (*゚ー゚)「これは確実に出来なきゃ意味無いわよ。100本入れるまでは終われないわ。はい、頑張って!!」
さすが百本となると、長いし、中間らへんになってくると地味に疲れが襲ってくる。
だが手を抜いてシュートが入らないと、精神的にも辛くなってくる。だから手は絶対に抜けない。
(; ^ω^)「地味に辛いお・・あっ!!!」
ブーンは少し気を抜いてしまっていて、シュートをはずしてしまった。見事なふかしだ。
(*゚ー゚)「はいブーン君、罰として腕立て20回よ。早くやる!!」
(; ^ω^)「うっ・・はいだお」
しぃ先生ももっと厳しくやらないといけないと思い、失敗するごとにしぃ先生が罰則をつけることにしたみたいだ。
(゚∀゚)「相変わらずだな。皆に迷惑かかるから早くしろよ」
一人が失敗すればその分、練習も大変になった。いわば連帯責任のようなものだ。
- 9: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:21:21.08 ID:qCqirCoX0
- かれこれ一ヶ月このような流れを繰り返していた。
さすがに慣れと言うものもあり、彼等は百本シュートにも苦戦はわりとしなくなっていた。
この練習が終わると、次は速攻の練習だった。
ただの速攻なんてもんじゃない。3往復くらい、繰り返しで走ってシュートを決める。
ちゃんとシュートが決まらなければ、罰として、五十mダッシュを練習後に1本ごとに5本走らなければいけなかった。
それもあってかさっきの練習よりもさらに必死になって全員練習に打ち込んでいる。
キーパーはあまりにもボールが止められないので少し、ふてくされているようにも見えた。
(;´・ω・`)「ちっ!!」
珍しくショボンがシュートを外していた。これで50m走は確定してしまった。
(´・ω・`)「ショボーン」
元々少ししょぼくれた顔が更にしょぼくれていた。 だが外したのはこの一本だけで後は綺麗に決めていた。
さすがはやる時はやる男。やらないかではなくて。
- 10: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:25:24.98 ID:qCqirCoX0
- この練習も一ヶ月続けていたので全員あまり苦にはしていなかった。
少しずつだが、体力はついてきてるようにも見える。
(*゚ー゚)「じゃあ次は、シュート練習するわね。全員、いつもの位置ついて」
このシュート練習は、第十八話で行っていた練習とほとんど同じだが、
本数が増え、ノルマが出来た。ノルマを達成できないと、これも罰がある。
('A`)「ブラインドシュートの精度をもっとあg・・」
(*゚ー゚)「ドクオ君、今日のノルマあげるね。ブラインドを5本中3本決めてちょうだい。
ロングはいつも通りでいいわ」
(;'A`)「・・・・(この人、鬼だ)」
ドクオのブラインドシュートは最初こそ上手く決まったものの、その後はなかなか精度が上がらずに
ディフェンスに当ててしまったり、オーバーをとられてしまったりで上手くいっていなかった。
('A`)「今日こそは必ず成功させる・・」
- 11: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:30:20.98 ID:qCqirCoX0
- 練習が始まった。
ドクオは相手の隙を探すのに必死でシュートへの意識は薄れていた。
なかなか隙が見つからず、ドクオは焦りを感じていた。
(;'A`)「くそっ、なかなか隙なんてみせてくれるもんじゃないな。
ならば・・足元から狙ってみるか。あんま時間ないし」
ドクオは数歩前に出ると、相手のディフェンスの足元の隙間にシュートを仕掛ける。
('A`)「よし、ここならいける!!」
が、そのシュートはディフェンスの足により、弾かれてしまう。
('A`)「ちょっと狙いが甘かったな」
ドクオは気を取り直して、二本目に入る。
彼は何か考えているようだ。
- 12: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:34:38.51 ID:qCqirCoX0
- ('A`)「もう一度、足元だ・・今度こそ狙いは正確に」
ドクオは全神経を相手の足元に集中させ、隙が出来るタイミングをうかがっていた。
ディフェンスはドクオに対して、動きだす。その一瞬の隙をドクオは見逃さなかった。
数歩助走をつけて、
('A`)「今度こそ!!」
ドクオは思い切りよくシュートを投げ込んだ。
(;´−`) 「!」
祐はボールの出所を一瞬見失って、反応は鈍くなっていた。
コースも完全に低め、そして左ポストギリギリのコース。しっかりスライディングを覚えていない祐にとってはとても厳しいコースだ。
('A`)「入る・・!!」
ドクオはネットが揺れる瞬間を待ち望んでいた。
- 13: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:40:25.25 ID:qCqirCoX0
- ガァァァァァァァァァン!!!!
ポストにボールが当たった音がする。
(;'A`)「逆に狙いすぎたみたいだ・・」
ドクオのシュートはポストに嫌われてしまい、ギリギリで入らなかった。
('A`)「だけど、何かつかめたような気がする」
今のシュートで何かドクオはコツを掴んだみたいだ。結局5本中一本しか入らなかったが、
その一本のシュートは完璧な狙い、しかも見事な奇襲のシュートで楽々ゴールをわった。
キーパーもあっけなく見送るしかできないようなシュートだった。
('A`)「よし!あとは確実に打てるまで練習するしk」
(*゚ー゚)「残念ね、ペナルティーだわ。腹筋 背筋 腕立て30一セットね」
(;'A`)「えええええええ!!!!」
ドクオはシュートに夢中ですっかりペナルティーを忘れていたみたいだ。
(;'A`)「・・・・ウツダ」
(*゚ー゚)「なんかいった!?」
(;'A`)「い、いえ。なにも・・・」
- 14: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:50:38.18 ID:qCqirCoX0
- やはりしぃ先生にはSっ気があるらしい。
(^∀^)「うおっ!!」
このシュート練習の最後の方に、いつものように貞治はバックシュートの練習を行っていた。
一ヶ月の歳月もあってか、そこそこさまになっているが、実戦に使うまでにはまだまだ時間がかかる感じだ。
(;^∀^)「もっともっと上手くなって、チームに迷惑かけないようにしないとな」
一度チームに迷惑をかけていた貞治は、責任感もあってなのか、やる気は人一倍のようだ。
(^∀^)「まだまだだよなぁ・・もっと上手くならないと」
貞治はまだまだなバックシュートに悩まされていた。倒れこみはもうマスターしたらしい。
シュート練習も終わり、一対一、セットの練習を行う。
一つ一つの練習にかなり時間をかけていたので、あっという間に外は暗くなっていたらしい。
- 15: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 20:57:08.81 ID:qCqirCoX0
- (*゚ー゚)「ここは体育館だから、問題ないわね」
今までどこなのかわからなかった場所。それは体育館だ。しぃ先生の友達で大金持ちの持ち物だが。
しぃ先生はこの成金と親友だった為、練習の場所が無いと嘆いていると
「だったらうちの私設の体育館使えばいいよ。お金なんていらないよ」
と普通では考えられないような発言をした。しぃ先生は一瞬、耳を疑ったが、
(*゚ー゚)「ありがとう!使わせてもらうわ!」
何も疑いもせずと友達の好意に甘える事にしたのだ。これで他の連中にVIP高校は何をしているのか悟られなくなったのだ。
体育館はその友人の敷地内にあるのだから見つけられるはずもない。何不自由する事はなかった。
- 16: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:06:38.46 ID:qCqirCoX0
- キュッキュッという音が体育館に響き渡っている。靴の音だ。
確かに体育館は外の環境とは多少変わる。松やにも使えないので、粘着テープをつけなくちゃいけないのが面倒な所。
だが部員達は、結構体育館練習は気に入っているみたいだった。
練習に戻るが、セットに終わって今居る数で、ゲームを行い、最後に筋トレを開始した。
筋トレも回数、セット数は昔より確実に増やし、ダッシュの他に、インターバルのダッシュも加えた。
(;^Д^)「うぅぅぅ・・」
さすがにこの量はプギャーにもキツイようだった。
これを二日に一回(ダッシュや走る系は毎日)行っていたのだから、筋肉、体力がつかないはずは無いのだ。
こんな感じで、普通練習(月〜土)をこなしていったのだ。
すっかり彼等は初心者だった姿など、ここで消していたのだ。
- 17: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:18:52.36 ID:qCqirCoX0
- 慣れてくるとまた量を増やし、練習を続けてかれこれ半年が経っていた。
この間に、毎日はこれなかったが和漢内、コッチもコーチをしにきてくれていた
しぃ先生が事情を話したらしい。それを聞いた二人は、
(><;)( ゚д゚ ) 「僕等も協力するんですっ!!」
とあっさりコーチを引き受けてくれた。だが彼等は普通は仕事なので、来てくれるのは休みだけだった。
それでもVIP高にとっては心強い味方に変わりはなかった。
貞治は和漢内コーチに毎日バックシュートを教わっていた。少しずつであるが、彼のシュートは形になっていっていた。
もう練習試合くらいはしてもいいじゃないか?
という考えがブーンの頭によぎる。しぃ先生に相談してみる事にした。
- 18: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:21:43.75 ID:qCqirCoX0
- ( ^ω^)「しぃ先生。そろそろ練習試合で経験を積むのもいいんじゃないかと思うんですお」
しぃ先生は少し険しい顔をしながらブーンに返答する。
(*゚ー゚)「それは私も考えているわ。でも・・高校相手じゃ情報が分かっちゃうわ。
私は、私たちの情報が知られるのは嫌なのよ。未知数の相手って結構恐いものよ。
だからどうすればいいのか・・」
二人は色々考えたが、いい方法は思いつかず途方にくれてしまった。そこへ、
(><)「二人とも険しい顔をしてどうしたんですかっ!!」
和漢内コーチが話し掛けてきた。ブーンとしぃ先生は丁寧に説明をした。
(><)「なるほど、それならいい案があるんですっ!!」
二人「是非、教えてください!!」
和漢内は自信満々といった顔で笑い、その案を話し出す。
- 19: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:27:40.50 ID:qCqirCoX0
- (><)「社会人チームと練習試合するんですっ!!」
二人はその案に呆気にとられた。まさか、高校生のチームが社会人となんて敵うはずがない。
(*゚ー゚)「ちょっと無理があるのでは・・?」
しぃ先生もさすがに乗り気ではない。和漢内はその自信満々な表情を全く崩さず、話を続ける。
(><)「確かに始めは全く歯が立たないと思うんですっ!!
でも確実に強い相手と戦う事によって、経験は増えるんですっ!!」
確かに無茶なような気もするが、それも一理あるような感じもする。
(><)「相手は僕に任せてくださいっ!!こうみえて、人脈は広いんですっ!!」
(*゚ー゚)「そうですか・・他に方法も無いので、お願いします!」
しぃ先生は多少渋り気味の様子だったが、承諾した。
(; ^ω^)「大丈夫かお・・?」
やはりブーンは心配しているようだった。
- 20: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:30:54.59 ID:qCqirCoX0
- ブーンはみんなにさっき話したことを報告する。
反応は予想通り、驚愕の声ばかりだったが、ジョルジョだけは
(゚∀゚)「社会人・・マネージャー・・おっぱい!!!!」
違う意味で凄く期待してるみたいだった。
次の週の日曜・・ホントに社会人チームはやってきた。
引き締まったいい体、風格。どれをとっても高校生とは訳が違った。
その日の試合はやはり大敗だった。対天国よりも得点差を離されて。
皆がっかりしていたが、しぃ先生は、
(*゚ー゚)「毎週、社会人チームと試合するからそのつもりでね」
皆はまた驚愕の表情をした。コッチコーチと全く同じ表情を。
- 21: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:33:05.94 ID:qCqirCoX0
- (゚∀゚)「マネージャー・・いなかった」
ジョルジュのがっかりようは半端なかったみたいだ。
それから本当に毎週毎週社会人チームとの練習試合が待っていた。
大敗ばかりだったけれど、その中でメンバーは社会人チームから、いいところを吸収していった。
時間はすぐに過ぎていく。練習、試合とハードになっていったが、
大会二週間前に行った練習試合では社会人チームと接戦を繰り広げるほどのチームになっていた。
(*゚ー゚)「これなら・・いけるかもね」
しぃ先生は確かな手ごたえを感じていた。それからメンバーはVIP高のコートに戻り、今にいたる。
- 22: ◆gk43jgqTBM :2006/12/08(金) 21:33:25.12 ID:qCqirCoX0
- ( ^ω^)「・・・あの一年間は練習、試合ばかりだったお
大変だったけど、悪い日々ではなかったお」
思わずブーンはしみじみとなってしまった。
そんなブーンの背中をドンッと叩く人がいた。
(; ^ω^)「だ、誰だお!?」
ξ゚听)ξ「明日の試合、頑張るのよ!!」
ツンだった。それだけ言い残して、先に帰ってしまった。きっと恥ずかしかったんだろう。
( ^ω^)「ツン・・ありがとうだお」
ブーンはその言葉に感謝しつつ、帰路を急ぐのだった。
明日の試合の壁は厚い。だが彼等VIP高校はその壁を越えなくてはならない。
第二十二話 超えなければいけない壁 完
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