( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです

3 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 19:40:02.99 ID:61Dql6U40
  
第二十八話 最強の敵

???「次の相手はVIP高ですか・・意外です」

誰も居ない一人の部屋。そこである男が対戦表を見て呟いている。

目がパッチリしているのがとても印象的だ。

???「でもどこが出てこようと、僕等の勝利には影響しません。わかってるんです」

そういうと不敵な笑みを浮かべる。この男、一体何者なのだろうか。

その頃、VIP高はというと・・

しぃ先生が対戦相手を見てガッカリしている時、ブーンがツンを外へ呼び出していた。

言う事は一つに決まっているらしい。少しブーンの手は震えていた。



4 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 19:44:28.44 ID:61Dql6U40
  
ξ゚听)ξ(ブーンったら一体なんなのかしら・・こんな時間に呼び出して)

ξ///)ξ(もしかして・・!!)

ツンはその先を想像して顔を真っ赤に染めている。これこそ乙女だ。

肝心のブーンはと言うと、ずっと震え気味で緊張している。

(; ^ω^)(あうう・・簡単にいえるはずないお。どうするべきなんだお・・)

いざ言おうと決意はしたが、さすがに本人を目の前にすると切り出せないらしい。

二人が立ち止まってから少し静寂が続く。

次第にツンはブーンがなかなか話してくれないのでイライラしてきているらしい。



5 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 19:50:08.51 ID:61Dql6U40
  
(; ^ω^)(なんて言えばいいんだお?俺の為に味噌汁を作ってくれ?結婚してください?
うう・・どれもなかなか言い出せるもんじゃないお)

ブーンは困って空を見上げた。今日はいい天気だったので星が一面に広がっている。

ξ゚听)ξ「・・星が綺麗ね」

ブーンにつられるようにして見上げた星空があまりにも綺麗だったので思わずそう呟いた。

(* ^ω^)「確かにだお。こんなに綺麗に星空を見上げたのは久しぶりだお」

( ^ω^)(そういえば・・昔もこんな事あったんだお。あれは確か・・)

( ^ω^)「覚えてるかお?昔夏祭りに二人で行った時のこと・・」

思わずそう呟いた。あの時も同じくらい星が綺麗で今でも忘れる事はない。



7 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 19:55:23.32 ID:61Dql6U40
  
ξ゚ー゚)ξ「ええ、良く覚えてるわ。あの時は二人とも小さかったよね。
二人だけであの御祭の人ごみを歩くのが大変だったよね」

どうやらツンもその時の事をしっかりと覚えていたみたいだ。

(* ^ω^)「ツンの浴衣姿・・可愛かったお」

ξ///)ξ「い、いきなり何言い出すのよ。は、恥ずかしいじゃない。・・でもありがと」

( ^ω^)(そういや、あの時手を繋いだのも初めてだったお。ツンはどことなく恥ずかしそうな表情で僕の事みてたんだお・・)

( ^ω^)(その時からなのかもしれないお。僕がツンの事意識し始めたのも・・)

ブーンはつい感傷に浸ってしまった。懐かしい小さい頃。二人とも若かった。



9 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 19:59:50.52 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)「ツン・・・」

ξ゚听)ξ「なっ、何よ」

ブーンはついに決意を固めたみたいだ。その表情から伺える。

ツンもそのブーンの口から出る言葉の為に心の準備をした。

( ^ω^)「ツン・・僕は・・」

ξ゚听)ξ「僕は?」

だがそこでブーンの言葉は一度止まる。ブーンが告白する事は人生で初めてのことだ。

ノドが乾き、冷や汗が出てくるブーン。だがツンは何も言わずにブーンを見つめ続けていた。



11 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:04:48.22 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)(ここでいわなきゃ男じゃないんだお・・)

ξ゚听)ξ「・・・・」

ツンは以前黙ったままだ。

( ^ω^)(・・いうお!!)

( ^ω^)「ツン、君のことが好きなんだお!この答えは全国終わってから聞かせて欲しいんだお!!」

あまりに恥ずかしかったのか、それだけ言うと自分の部屋に向かって走り去ってしまった。

ξ///)ξ「・・馬鹿ね」

ツンは照れながら走っていくブーンを見つめていた。



13 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:12:06.48 ID:61Dql6U40
  
( ;^ω^)「はぁ・・はぁ・・はぁ・・」

(´―`)「おい、どうしたんだよブーン」

もの凄い勢いで自分の部屋に戻ってきたブーンを不思議に思って、祐はブーンに話し掛けた。

(; ^ω^)「な、なんでもないんだお!寝るお!明日の為だお!」

ブーンは速攻でベットに入るとすぐに眠りに入った。今日の恥ずかしさを早く忘れたかったのだろう。

二人「???」

祐と貞治は頭に?マークを浮かべたままでなにかスッキリしないようだった。

だが、すぐに二人も眠りに入った。



14 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:19:05.72 ID:61Dql6U40
  
(* ^ω^)「やったお!全国優勝なんだお!!僕もこれで有名人だお!!」

ブーンの周りに色んな人が寄ってきてサインをせがまれる。

人たち「ブーンさーん!サインくださーい!!」

(* ^ω^)「待つお待つお、皆にサインあげるから慌てないでくれお!」

するとしぃ先生がよってきて、

(*゚ー゚)「さすがブーン君ね、あなたはチームの鏡よ」

ツンもやってくる。

ξ゚听)ξ「ブーン!好きよ!」

(* ^ω^)「僕もなんだお!!」

二人が見つめあいキスをしようとする・・

だが残念ながらそこでブーンの目は覚めてしまったようだ。



15 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:22:55.31 ID:61Dql6U40
  
(; ^ω^)「なんでこんないいとこで目がさめちゃうんだお・・」

ブーンが時計を見るとまだ六時。だが目は冴えてしまっていて、二度寝は出来そうに無い。

(; ^ω^)「仕方ないお。ホテルの中探検でもしてみるかお」

部屋のカギをもって、着替えもし準備万端だ。

( ^ω^)「じゃあいくお!!」

気合充分にホテルの中を散歩を始めた。まずは自分達の階を一周してみる事にした。

(; ^ω^)「さすがに面白くないお。ロビーにでもいってみるかお」

ブーンはエレベーターを使ってロビーまで降りてみた。



16 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:27:56.32 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)「いつ見ても綺麗なロビーだお」

綺麗な装飾をされたロビー。まだまだ建物も衰えを感じさせない。

大きなお土産屋。豪華なレストラン、そしてこの階に大浴場もある。

(; ^ω^)「やっぱ誰もいねーお。仕方ないから風呂でも入りにいくお」

あまりにも人がいなくて探検も飽きたブーンは大浴場へと向かう事にした。

( ^ω^)「大浴場にきたはいいものの・・やっぱ知り合いはいないみたいだお」

さすがに朝早い。皆も試合の疲れがあってか、まだ寝ているだろう。

人がいないことをいい事に、タオルを肩にかけ、ジョニーを丸出しで風呂へと向かった。



17 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:32:17.08 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)「ふぅーいい湯だお!!」

誰も居ない広い大浴場に入ってブーンは開放感を感じていた。

(* ^ω^)「誰もいないから泳ぐんだお!!」

ブーンは泳ごうとして、温泉に顔をつけ目を開けた。その瞬間、

( ;ω;)「目がぁぁぁぁぁぁ!目がぁぁぁぁぁ!!」

ブーン自身ここの風呂が温泉だった事を忘れていた。温泉が目に入ると非常にしみる。

( ;ω;)「ぁぁァああぁ!!!」

もの凄い奇声を上げて、目をすぐに洗って大浴場を出て行ってしまった。



18 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:35:48.49 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)「散々な目にあったお・・部屋にでも帰るお」

時計を見るとまだ6時半過ぎ。朝食までに時間はあまりまくっていた。

エレベーターに乗るためにロビーの方へ戻ると、そこに新聞を読む見覚えのある姿があった。

( ^ω^)「しぃ先生!おはようございますお!」

(*゚ー゚)「あら、ブーン君、おはよう」

( ^ω^)「そういえば、昨日、今日の相手を聞き忘れてましたお」

あまりに昨日焦っていたので聞かずに寝てしまったブーン。

その言葉を聞くとしぃ先生は少し顔をしかめた。そして質問に答える。



20 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:51:19.47 ID:61Dql6U40
  
(*゚ー゚)「今日の相手は・・全国の常連でもあり、毎年必ず優勝争いに食い込んでくる所・・。
ピンキー高校よ。名前こそふざけてるけど、強さは本物よ」

(; ^ω^)「そうなんですかお。厄介な奴等が来てしまったお」

(*゚ー゚)「今日の試合は今までで一番辛い戦いになるわ。しっかりね」

ブーンは少し意気消沈してしまったが、それを悟られないように、

(; ^ω^)「任せてくださいお!」

元気にそう言って自分の部屋に戻っていった。だが緊張と不安の色を隠す事は出来ず、

試合前の練習になるまでずっと今日の試合について考えごとをしているみたいだった。



21 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 20:56:57.50 ID:61Dql6U40
  
(; ^ω^)「相手をまだ見てないからわからないけど・・今日は勝てるのかお」

既にアップも終了し、ポジションシュートに入っている。

だが変わらないその心配そうな面持ちに絶えかねてジョルジュが声をかけた。

(゚∀゚)「あんまり緊張すんなよ。相手がどれだけ強くても俺らは俺らのプレーをしてればいいんだよ」

(; ^ω^)「わかってるお。でもどうしても不安な気持ちが出てきちゃうんだお」

まぁ無理も無いかもしれない。最強の相手とあたるのだから。

(゚∀゚)「あんまり気負うんじゃないぞ。思い通りのプレーが出来なくなるからな」

そういってジョルジュは逆サイのシュートに戻っていった。

(゚∀゚)(緊張で押し潰されそうなのはお前だけじゃないんだぞ。ブーン)

ジョルジュもまたブーンと同じような心境だった。



22 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 21:05:46.18 ID:61Dql6U40
  
そんな時、ピンキー高校が到着した。ブーンは一発で相手の要注意人物が誰だか分かった。

( <●><●>)

あの目の大きさ。そして雰囲気。誰もが分かる人物だろう。

( <●><●>)「この高校がVIP高ですが。もう実力は見切っています。勝つことはわかっています」

早速の勝利宣言だ。さすがに腹が立ったのか、

(#'A`) 「ふざけた事を・・」

ドクオがいつもとまるで違う雰囲気を出しながら怒っている。

(´・ω・`)「まぁまぁ。ドックン、落ち着いて」

ショボンになだめられて、ようやく落ち着いたようだ。

(*゚ー゚)「はーい!ポジションシュート終わったし、集合してー!!」

しぃ先生の声が聞こえ、全員が駆け足でそちらへ向かっていく。



23 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 21:11:35.14 ID:61Dql6U40
  
(*゚ー゚)「今日の相手、ピンキー高校はおそらく今大会のチームの中でかなり上の方に位置するチームよ。
ちょっと練習を見てみましょうか」

ピンキーは既にシュート練習を始めていた。VIP校一同はその姿を食い入るように見つめていた。

( <●><●>) 「・・・・・っ!!」

噂の選手がシュートの番のようだ。彼は仲間からパスを貰ってすぐさまシュートの体勢に移った。

そして・・

(´―`)「っ!消えた!?」

彼の手からボールが離れると同時にボールが消える。すぐにゴールの方を見てみるとそのボールは枠の中にもう収まっていた。



25 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 21:15:55.27 ID:61Dql6U40
  
他の選手も上手で全体的に均整の取れたいいチームだった。

一同「・・・・」

思わず言葉を失うVIP高一同。ここまで凄いチームを見たのは初めてかもしれない。

ブーンの目はそう物語っているように見える。

(*゚ー゚)「どんな相手かはもうわかったでしょ?ここはかなり強いわ。
向こうの雰囲気に飲み込まれて自分のプレーが出来なくなったらだめよ」

まだ全員は衝撃が大きかったのか、頷くことしかできない。

(*゚ー゚)「じゃあスタメンはいつも通りね。それぞれ準備に入って」

いつもよりも少しベンチは元気の無いように見えた。



26 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/17(日) 21:20:09.31 ID:61Dql6U40
  
( ^ω^)「・・・・・・・」

ブーンは黙って考え事をしている。

( ^ω^)(ここでこのチームに負けるなら、僕等の三年間は所詮その程度だってことだお
全ての実力を出し切って、絶対に倒すんだお。相手がどこだろうと関係はないんだお)

ブーンはどうやらさっきの不安は払拭していたみたいだ。

( ^ω^)「よし!!」

ブーンは勢いよく立ち上がり、準備を始めた。

それぞれの選手がどういう心情でいるのかはブーンには分からないが、

これから盛り上げればそれでいいとブーンは思った。

VIP高の今までを賭けた、最大の戦いが今始まろうとしている・・

第二十八話 最強の敵 完



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