( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです
- 7 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 20:58:53.95 ID:adz6GhdN0
- 第二十九話 嫌な予感
いよいよ試合は始まろうとしていた。VIP高は最後の集合に入る。
( ^ω^)「皆が今、どんな思いでいるかは僕にはわからないんだお。
でもこれだけは言っておくお!僕等は全国優勝が目標なんだお!ここでは絶対負けられないお!」
いつも以上に気合の入るブーン。皆もその様子に負けていられないのか、
一同「オーッ!!!!」
ブーンに呼応するように、声を出した。その声だしはまるで動物の雄叫びとほとんど変わらないものだった。
しかし、皆の気持ちは一つに固まっていた。必ず勝つ。その気持ちだけで充分戦える。例え相手が強豪だろうと。
- 8 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:00:43.19 ID:adz6GhdN0
- 「集合!!」
審判の声がかかり、VIP高、ピンキー高が自分達独自の声出しをしながら中央ラインへと集合してくる。
ブーンはあの凄まじい選手を目の前にした。やはりキャプテンのようだ。人望はどれくらいあるのか分からないが、能力的には充分通用する。
( <●><●>) 「・・・・・・・・」
かなりの威圧感を放つこの選手。
(; ^ω^)「・・・・・・・・・・・」
思わず後ろに後ずさりしたくなるブーン。だがそこはしっかりと耐えた。お返しにブーンは、
( ^ω^)「・・・・・・・」
睨んでおいた。だがいつもと顔が大して変わらないから、相手は睨まれてるとは思っていないだろう。
- 9 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:03:09.33 ID:adz6GhdN0
- 「おねがいしまーす!!!!!!」
お互いの礼が、人も少しずつ集まり始めた会場へと響き渡った。観客は試合が今か今かという感じでコートを見つめていた。
VIP校はいつものとおり全員、ブーンの周りへ集合した。ブーンが話し始める。
( ^ω^)「今日の相手のキーマンはあの出目金だお!あいつをしっかり皆で見るんだお!他のメンバーも見劣りしないくらい上手なんだお!
しっかり声回しをして、連携を図るお!そんでチャンスがあったらドンドン出来ることを仕掛けていくんだお!」
今ではしっかりとしたアドバイスが出来るようになったブーン。しっかりとチームの核としての役割を果たしている。
( ^ω^)「それじゃあ!いくおー!!!!!!!!」
一同「ワァァァァァァァァァ!!!!!」
いつも通り張りのある声を出して、オフェンスの準備に取り掛かる。今日はVIP高、珍しくオフェンスからのスタートとなる。
いつもジャンケンに負けるブーンが、珍しく勝ったというのでオフェンスを選択したらしい。最初から幸先のいいスタートというべきなのか。
- 11 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:04:37.05 ID:adz6GhdN0
- ピーッ!!!試合開始の笛の音がなる。VIP高、この試合をしっかりとものにし三回戦へと駒を進める事が出来るだろうか。ちなみに三回戦を勝ち進めば準々決勝に進める。
だがその前にこの強敵を倒さねば先には進めない。
(; ^ω^)「全く・・厄介な奴等に当たってしまったもんだお」
ブーンは一度深呼吸をし、覚悟を決める。
( ^ω^)「よし!いくお!」
ブーンはサイドの位置へとかけていった。既にパス回しが始まっていた。今日は展開の速いパス回しで、相手を翻弄していくようだ。
だが待ちきれないと言わんばかりに、プギャーがセンターの出目金に勝負を仕掛けていった。
(^Д^)「さぁ、実力を見せてもらうぞ!!」
プギャーは聞こえる声でそう言って、ゼロステップを踏み、出目金の目の前へと出て行った。だがプギャーはすぐに何かの異変に気が付く。
- 12 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:06:55.78 ID:adz6GhdN0
- (;^Д^)「な、なんだこいつ。俺より少し身長が高いだけなのに、凄く大きく見える。俺の目がおかしくなったのか・・?」
錯覚ではないのだ。プギャーの目には確かに出目金が大きく見えている。彼のオーラがそう見せている。
全国にいつも出てくる経験豊富な奴ほどやっかいなものはない。プギャーは困惑し動けない。
(;^Д^)「うっ、うわっ!!」
出目金は真っ直ぐにプギャーに突っ込んできて、掴んできた。プギャーは身動きがとれずパスを回す事さえもままならない状態になった。
ピーッ!!ホールディングになり、プレーが一度中断される。プギャーがセンターの位置へと戻っていく。
(;^Д^)「俺は今日、一番厄介な奴を相手にする事になってしまったな」
このチームはただでさえ穴が無い。しかもこの最強の選手がいる。どうやって打ち下せばいいのか、プギャーの思考回路ではまだ答えが出てこない。
かつてこれほどの相手とまだ戦ったことがないのだから。
- 13 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:10:45.18 ID:adz6GhdN0
- (;^Д^)「・・仕方ない。45、逆45にパスした所であいつのフォローは確実に速い。だから止められてしまう確率が高い。ロング、サイドシュート中心で攻めるしかない」
プギャーの考えはひとまずまとまったようだ。笛が吹きなおされ、プレーが再開された。
プギャー、ショボン、ブーン、そしてまたショボン、プギャー・・とパス回しが繰り返される。
隙の無い相手のディフェンスをずらして、6メーター付近に入り込んでいくのは難しい。単独で仕掛けた所で二人がかりで止められて、シュートまではいけずにおわる。
その考えが躊躇を生んでいるのか、なかなか皆仕掛けられずにいる。審判の手も上がってしまう。早く打たないと、
パッシブプレイ(パスやドリブルだけで攻撃する意思が無いとみなされ、相手のボールになってしまう)になってしまう。
VIP高は次第に焦り始めた。早く攻撃に移らないといけないことは分かっていた。だが、いつものようにそれが出来ない。
- 14 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:13:06.78 ID:adz6GhdN0
- ( ;^ω^)「皆、大丈夫かお・・?」
サイドでコーナーラインでシュートの準備をしたり、上に浮いてパス回しをするという上三枚(45、センター、逆45)にくらべてやや暇なブーンは、
今日の皆の様子を見て、また不安にかられた。どうもチーム全体の様子がおかしい。
相手の出目金だけでなく、全員から出される何か異様なオーラのせいか、いつものプレーが出来ていない。
( ;^ω^)「今は、見てるしかないお・・」
まだこっちにパスを出せる状態ではないので、ブーンには見てる事しかできないのが歯痒かった。
- 15 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:14:18.09 ID:adz6GhdN0
- (;´・ω・`)「くそっ!!」
もうダメだといわんばかりに、体勢、距離など最悪な状態にも関わらず、ショボンはロングシュートの体勢に入る。そして打った。
( <●><●>) 「君がそう仕掛けてくるのはわかってたんです」
ショボンの前に二人、しかも一人は出目金がジャンプしてブロックを仕掛けてくる。ただでさえでかく見えるその体に腕までプラスされていて超えるのは難しい。
( <●><●>) 「フンッ!!」
ショボンの放ったシュートはあっさりと出目金にガードされた。転がったボールを相手がすぐに拾い、速攻の体勢に入る。
ピンキーA「わかってます!こっちだ!」
( <●><●>) 「わかってます!!」
- 16 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:17:54.88 ID:adz6GhdN0
- ピンキーAがもの凄いスタートの速さで、VIP高のメンバーを振り切っていた。わかってますはそこへ弾丸のようなパスを投げ込んだ。
そのパスをピンキーAはあっさり受け取って、数歩ドリブルした後、6m付近でシュートに入った。もうVIP高の壁は祐しか居ない。
だがその壁はあまりにも弱い。まるで手抜き工事の壁のように。
完全にシューター有利のこの状況。しかもピンキーのような強豪校がこのようなチャンスを逃す事は極めて少ない。
勘だけが頼りになった祐にとっては難しすぎる。
(´−`)「やるしか・・!!」
- 17 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:22:41.44 ID:adz6GhdN0
- 祐もピンキーAの前に立って、準備完了だ。ピンキーAはどちらを狙ってくるのか、見当がつかない。
全国にもなってくるとそんな目線の方向とかだけで分かるもんじゃない。
(´−`)「くぅ・・・!!!」
祐の方がしびれをきらしてしまい、左に反応をしてしまう。だが偶然にも相手が狙ったコースも左だった。
(;´−`)「取れる!!」
だが・・シュートは見当外れの方向に行く。
(;´−`)「うわっ!!!」
左といっても左下。祐はほんの早く反応してしまったのが裏目に出てしまう。思い切り飛んだので、足の間を大きく開けてしまったのだ。
- 18 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:27:55.15 ID:adz6GhdN0
- その間をボールがすり抜けていって、ゴール方面へと向かっていく。
(;´−`)「くっ・・・」
シュートは勢いは未だ死なずに、ゴールへと向かう。だが祐は、自分の足に少しだけボールがかすった事が少し気がかりだった。
(;´−`)「だが・・はいることにk
ガァァァァァァァァン!ポストにボールがぶつかる音がした。なんとそのシュートは祐の足にかすった事によって、ほんの少し軌道を変えたのだ。
かすらなければ、ポストの内側へと当たり、ゴールに入っていただろう。これぞ九死に一生というべきなのか。
(;´−`)「!!!!!!!!」
祐はてっきりシュートが入ってしまったものだと思い、心の準備が出来ていない。跳ね返ったボールはサイド側のゴールコート外へと、転がっていく。割とゆっくりだ。
- 19 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:34:49.43 ID:adz6GhdN0
- ( ^ω^)「祐!任せるお!」
ブーンがこっちに戻ってきてくれている。これで安心だ。と祐は安心しきっていた。だから、後ろから走ってくる人物に気が付いていないのだ。
(; ^ω^)「!こいつ・・!!」
ブーンのその声を聞き、祐は視界を上げる。そこにはブーンをいとも簡単に抜かして、ボールへ向かう出目金の姿があった。
( <●><●>) 「油断してましたね?」
皮肉たっぷりの声をブーンと祐に浴びせ掛けると、その転がっていたボールを奪っていく。そしてサイドシュートの体勢に入っていく。
( <●><●>) 「君じゃこのシュートを止められません。覚悟するんです」
出目金のこの自信、一体どこから出てくるのだろうか。祐は一瞬そう思ったが、すぐに考え方を改める事となる。
- 20 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:38:54.85 ID:adz6GhdN0
- (;´−`)「・・・っ!消えた!!」
出目金の打ったそのシュートは練習でみたロングシュートと同じく、消えたのだ。目の錯覚とかそんなもんじゃない。祐がゴールの方を振り向く前に、ネットは揺れている。
(;´−`)「・・・嘘だろ?」
祐は一瞬現実を疑った。だがそれは紛れも無く今起こったこと。言葉を失なってしまう。
( <●><●>) 「やっぱりたいしたこt
ピーッ!!
笛の音が鳴る。審判はラインの判定を出していた。いくら上手くてもたまには起こるものだ。
- 21 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:43:47.48 ID:adz6GhdN0
- (; <●><●>) 「嘘ですっ!!」
出目金はそういいつつもダッシュでディフェンスに戻った。だが完全にジョルジュがフリーになっていたのを祐は見つける。
すぐさま、レーザーのようなパスをジョルジュに出した。
(゚∀゚)「ようやく俺の出番が来たな。任しときな」
今まで出番の少なかったジョルジュが、鬼神のように攻め込んでいく。その気迫に押されてなのか、相手もジョルジュにつくのが遅い。
そのおかげでジョルジュは完全に相手を振り切り、独走、フリーの状態になる。
(゚∀゚)「いくぜっ!ちんぽっぽ、見てろよ!!」
- 22 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:46:10.85 ID:adz6GhdN0
- ジョルジュは彼女の名前を叫ぶと、シュート体勢にはいる。完全に勢いのついたジョルジュを前に、相手キーパーは突っ立っていることしかできない。
いくら上手くても、一対一の勝負ではキーパーが止められる確率なんて、2割を割るだろう。
ラインにもジョルジュは注意してシュートを打ち込んだ。そのシュートはあっさりと、相手のゴールを割る。
先制点を奪ったのは意外にもVIP高。会場の半分以上はピンキーの応援の為、どよめきが聞こえ始める。
( <●><●>) 「このくらいで慌てるんじゃないです!勝つのはわかってます」
あくまで強気の姿勢を崩さない出目金。確かに彼のシュートを持ってすれば、得点を奪う事は充分可能だ。
だが彼のワンマン攻撃ではVIP高もその内分かるだろう。それとも、何か手があるというのだろうか。
- 23 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:49:19.77 ID:adz6GhdN0
- (; ^ω^)「嫌な予感がするんだお・・」
ブーンだけが相手の異様な様子に気がついた。きっと何かある。ブーンの直感がそう言っているのだろう。
だが、攻撃パターンは変わらなかった。出目金、A、Bの上三枚だけの攻撃、たまにサイドが仕掛けてくる程度だ。
だがブーンの嫌な予感は消えない。まだ何か隠しているような・・そんな感じがするみたいだ。
それを掴む事が出来ない。ブーンは気がかりで仕方が無かった。
結局試合はVIP高ペースでラスト五分になる。VIP高のセットだ。
少し流れに乗ってきたVIP高のパス回しもスムーズになっている。
('A`)「心配していた事は起こらないのかもしれない・・」
ドクオがそう思った。ホントは雰囲気だけで大した事ない?と思い始めたドクオ。
- 25 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 21:54:28.82 ID:adz6GhdN0
- それに対して、ずっと何かを考えているような表情のショボンと二年のキムチ。
(;´・ω・`)「こいつら・・最初のセットで感じたんだ。絶対にこんなもんじゃない。
今はただ僕等の実力を試しているかのような・・そんなようにしか見えないんだ」
ショボンはこういう風に解釈していた。
< ゚д゚>「ピンキー高、確かに全力は出しているように見える。だけど、これは俺が見たピンキーじゃない。
昔ピンキーの試合を一度だけ見たことがある。その時は前半は確かにこんな感じだった」
(`Д) 「後半はどうだったんだ?」
たけしが聞く。当然だろう。
< ゚д゚>「残念だが、後半は時間が無くて見れなくて・・。友達に結果を聞いたら、ピンキーが勝っていたんだ。
前半はややおされ気味で負けそうだったピンキーが」
(`Д) 「・・要は、ピンキーは後半勝負な訳だな」
< ゚д゚>「あぁ。そう見て間違いない。今のうちに俺らで何か見つけとかないといけないな。そうしないと確実に負けるだろう」
- 27 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 22:00:11.50 ID:adz6GhdN0
- 二年はキムチの言葉を受けて、今まで以上にピンキーのメンバーを観察した。
そのセットではVIP高は得点を逃したものの、リードを奪っていた。
前半は結局、特に変わったプレーは何も無かった。VIP高はかなり健闘し、10対7と前半をリードでしめくくった。全員はしぃ先生のところへと集合した。
しぃ先生も、ブーンと同じで何か浮かない顔をしながら、全員に話を始めだす。
(*゚ー゚)「・・どうも相手は全ての手を出してないような気がするのよね、リードを許しても相手の顔つきは全く変わらない。
サイドも逆サイドも色々出来そうなのに、あえてあまり仕掛けてこない・・そんな気がするのよ」
一同は少し不安の色を顔に出しながら、頷く。
(*゚ー゚)「とりあえず、出目金君のマークは変えずに厳しいままね。出来るだけ打たせないようにして。
後、それぞれサイド、逆サイドの二人は相手の様子をしっかり観察しながら守って。後攻撃がイマイチワンパターンだから、
色々な攻撃を展開して、少しでも相手を混乱させなさい」
他にも色々な注意を受けるメンバー達。さすがはしぃ先生だ。相手の様子をしっかり観察している。
- 28 : ◆gk43jgqTBM :2006/12/19(火) 22:02:19.60 ID:adz6GhdN0
- (; ^ω^)「話を聞く限りでは、やっぱ前回のようには行かないみたいだお」
それは全員思っていた。思った以上に厄介な相手。だがこの相手を倒さなければもう先はない。
その中で二年メンバーの山崎、ネーノは何か閃きそうな感じな様子で相手を見つめている。何を考えているのかはさすがに分からない。
ブーンの嫌な予感は全く消える事が無く、後半戦を迎える事になる。
一体、嫌な予感の正体。そしてピンキーは何を考えているのだろうか。
( ^ω^)「さぁ!皆いくお!!」
第二十九話 嫌な予感 完
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