( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです
- 5: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:07:58.33 ID:0MrhCFbF0
第三十四話 全国、終焉へ
VIP校は後半へ向けて、いつもよりもずっと力を入れたミーティングを行っている。ブーンが我慢出来ないといった様子で話し始める。
( ^ω^)「確かに前半十二分くらいまでは完全に押されてたといっても過言ではないお。でも!プギャー、貞治のプレーのおかげで流れは元に戻ったお
後半は流れをこっちのものにする為に、最初からドンドン攻めるんだお!相手には一発で流れを変えるプレーヤーが何人もいるんだお」
そこで口を挟んだプギャー。
(^Д^)「確かに攻めるのも大事だけど、ディフェンスもしっかりな?相手のパスをカットとか、沢山ホールディングをして相手の集中力を切らす・・
他にもシュートを打たせて速攻とか、相手の勢いをそぐ方法は沢山ある。考えてプレーしてくれよ」
少々熱くなり気味のブーンを上手くフォローする言葉。さすがはゲームキャプテンというべきか。
(´―`)「シュートはなるべくダディ以外に打たせてくれ。あいつの球には目が慣れていない。だから止められる保証がないんだ。
悪いが皆、頑張ってくれ・・」
祐の言葉に全員が力強く頷く。その様子に祐は、皆頼りになったな・・と思った。このメンバーとハンドできる喜びもあれば、これで終わりという悲しさもあった。
- 7: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:13:31.15 ID:0MrhCFbF0
丁度いいタイミングでショボンが話し始める。
(´・ω・`)「この試合で僕たちのチームは終わってしまう。確かにそれは悲しいことだよ。でもそれぞれの心の中には思い出が残るよね?だから悲しむ必要なんてないよ。
この試合、確かに勝つって事も重要だけど、最後なんだから楽しもう?」
ショボンの言葉を受けた祐はなんだか気持ちが安心した。確かにそうだ。楽しむことも大事だ。それが本来のスポーツの姿なのだから。
それに悲しむことはないんだ。確かに形としては最後なのかもしれないけど、この思い出は自分達の心に残り続ける。
思い出は、永遠に皆の心に残り続ける。さながら青春時代とでも言うべきか。
(゚∀゚)「おいおい、まだそんな重たい話は後にしてくれよ。まだ終わってないからな!!」
ジョルジュがちゃかすように言ってみせる。その様子に皆の表情に明るさが戻る。
- 8: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:15:33.36 ID:0MrhCFbF0
('∀`) 「そうだよ。そういう話は優勝を勝ち取ってからにしよう!!」
(^∀^)「俺らにとっての最後の試合だ!楽しんで、なおかつ勝つ!!行こう!!」
ついに、皆は一つにまとまった。今までも確かにまとまっていた。だが何か足りなかった。その足りない物が今、ついに手に入った。
( ^ω^)「皆・・いくおー!!!!!!!!」
一同「ワァァァァァァァァァァ!!!!」
もう一度全員で気合を入れ直して、皆はグランドへ走っていった。
川 ゚ ー゚)「彼等ならきっと・・やってくれるよな」
ξ゚ー゚)ξ「そうね・・私、信じてるよ」
マネージャー二人も、プレーヤーと同じ気持ちでいた。皆が一つになって優勝を目指している。
- 9: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:20:28.41 ID:0MrhCFbF0
そんな様子を見て、しぃ先生は一言、こう呟いた。
(*゚ー゚)「はぁ、若いっていいわねぇ。もう一度高校生活したくなっちゃったわ」
この後半で全てが決まる。VIP高はおそらく最強のチーム、ニャー速を打ち破ることができるだろうか。
後半はオフェンスから始まるVIP高。普通にプレーをするだけでは、相手に精神的に大きなダメージを与えられない。
それにVIP高は前半、全くと言っていいほど、サイド攻撃、速攻を使っていない。後半、それをどう使うかがカギになるだろう。
ピーッ!!
後半開始に笛が鳴るとともに、VIP校はそれぞれの位置へと散らばっていく。
パス回しが展開される。センター、プギャーを中心とした速いパス回し。先ほどのミーティングの様子では、何か奇襲攻撃を狙っていくつもりのVIP高。
(^Д^)(だけどなぁ・・俺の奇襲案はさっきもうつかっちまった。サイド、ポストを使った攻撃で相手を振り回すしかないよな)
皆もさっきのミーティングでそれは確認済みだ。
- 10: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:30:13.38 ID:0MrhCFbF0
パスが回っていく。サイドシュートをいい状態で打たせるには、サイド付近のディフェンスをどう崩すかにかかっている。
ディフェンスをひきつけるのも良し、速いパスで追いつけなくするもよし。どちらにしても45、逆45にかかっている事は間違いない。
そしてショボンへとパスが回る。
(´・ω・`)(僕がブーンを助けるしかない。いくよ・・)
ショボンがついに前へ走る。丁度二枚のディフェンスの間らへんに走っていく。相手はショボンの意図にまだ気がついてはいない。
(´・ω・`)「よし・・これならいける!!」
そう言った瞬間、相手につかまれた。かなりきつくホールディングされ、一度仕切り直しとなる。
少し安心してしまったからだろうか?
(;´・ω・`)(ちぃ、油断した。まさかあそこまでディフェンスが速いとは思ってなかった。次はしくじらん・・!)
ショボンは気持ちを入れ直すと、またパス回しを再開した。相手のわずかな隙を見つけようと目つきがいつもよりも鋭くなっている。
- 11: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:33:00.59 ID:0MrhCFbF0
だが相手のディフェンスも今までの幾たる強豪を倒してきた七人である。そう簡単にはやらせてくれないだろう。
ピーッ!!再開の笛が鳴る。ショボンはどうせめていくのだろうか?
(´・ω・`)(・・やっぱり振り切るには速さが無いとダメだ。よし、全力の全力で挑んでやるぞ)
VIP高のパス回しが展開されている。もう皆、前半で見せた焦りは残っていない。どうやって相手を捕らえるか。
それだけしか狙っているようにしか見えなかった。狩人の目になっているようだ。
(^Д^)(一度ショボンが失敗したが、今は俺の攻めるタイミングじゃない。ショボンに任せて俺は次の奇襲案を考えればいい)
そう思ってプギャーは速いパスをショボンに出した。ショボンは身構える。仕掛けるタイミングを伺っているようだ。
(;´・ω・`)(くっ・・!ダメだ、僕がさっき仕掛けに行ったからかなり警戒してディフェンスを行ってる!)
仕掛けようにも仕掛けられない状態にショボンは立たされていた。だが悩んでいても仕方ないと思い直して、もう一度パスをプギャーへと返した。
- 12: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:34:01.93 ID:0MrhCFbF0
(^Д^)(やっぱ、あれだけ警戒されてたら仕掛けられないよな。回し直すか)
プギャーからドクオへとパスが回る。相手のディフェンスも一度仕掛けたドクオにも厳しいマークをしている。
('A`) (ちっ・・仕方ないな。だがあえて俺は仕掛けるのさ)
ドクオは一度プギャーにパスを返す。プギャーはドクオのもう一度パスを出して欲しいという感じに気がつく。ドクオが少しディフェンスに向かって走ったところで、
プギャーは速いパスをドクオへと回した。ドクオはそのパスをしっかりと受け取り、ゼロステップを踏んだ。そして顔を上げる。
('A`) 「おいおい、マジかよ」
目の前には45、サイドがいる。だがドクオは動じない。その訳は何故かわからないのだが。
二人がかりでドクオを止めに行っている。だがドクオはあくまで動こうとはしない。一体何が狙いなのか。
('A`) 「行くぞ!!」
するとドクオは目の前で思い切りジャンプし、シュートを狙いに行く。そんな事をしてくるとは思わなかったディフェンス陣は慌ててジャンプし、シュートをブロックしに行く。
だが時既に遅し。ドクオは自身の最高打点まで飛び上がった。ドクオは体こそハンドボールプレーヤーにしては小さいものの、ジャンプ力は人一倍あった。
- 13: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:40:58.89 ID:0MrhCFbF0
その超人的なジャンプ力がここで役に立ったのだ。そしてドクオはシュートを・・
('A`) 「俺がこんな無謀な手を使うと思ったのか?」
ドクオはジョルジュの方を向いて、その打点の位置から思い切りパスを出す。そのパスはシュートの威力までは行かないものの、しっかり集中していないと取れないボールには間違いなかった。
ジョルジュはそのドクオが託したボールをガッチリと受け取る。
(゚∀゚)「メンバー全員の気持ちがこもったこのボール・・しかと受け取った!!」
ジョルジュはそういうと、そこからサイドがいなくなった分だけ十分に距離、角度を取る。これだけの幅が取れたなら、ジョルジュならば決められる可能性は高い。
そして、ギリギリまで走りこむ。そして高く、勢い良く飛ぶ。シュートもすぐには打とうとはしない。
キーパー「じらすつもりか・・」
- 15: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:58:17.97 ID:0MrhCFbF0
相手のキーパーはこの状況だというのにかなり落ち着いている。かなりの試合や場面を体験してきていないとその余裕は見せれない。
彼もまた、強敵と言える相手だ。
(゚∀゚)「決めなきゃ皆に見せる顔がないんでね!!」
ジョルジュは元気良くそう叫んでついにその手からボールを離した。キーパーがかなり前気味に出ているのもジョルジュはしっかりと気が付いていた。
キーパー「なっ!?」
そう、ジョルジュが打ったのはループだ。サイドシュートからのループは普段あまり使われない。キーパーがそこまで前に飛び出してこないからだ。
だが今回は違う。キーパーは前に出てきて、ジョルジュの腕ごと潰しにきていたからだ。それは角度が開いていたので後ろで守っていても止められないと判断したからだろう。
ジョルジュはその隙を見逃さなかった。相手の虚をついた攻撃だ。その観察力はさすがといった所だろう。
前に出てきてしまっていたキーパーはもうどうしようもないという顔をして、そのシュートを見逃した。
- 16: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 22:59:19.35 ID:0MrhCFbF0
(゚∀゚)「これで完璧・・」
ジョルジュだけでなく皆そう思っていた。その思い通り、見事にゴールネットを揺らして見せた。
軽く拳を突き上げながら、VIP高陣へと戻っていくジョルジュ。その姿に会場が割れんばかりの歓声を上げる。観客はニャー速応援団ばかりでもないようだ。
( ^ω^)「プギャー!ナイスシュートだお!でもすぐ切り替えるお!!ここで止められなかったら、また差は同じになるお!」
そうブーンはメンバーに呼びかけた。メンバーもそれに呼応して声を出す。ここに来てまた雰囲気が良くなり始めてきた。
|(●) (●)、.:|「・・やはり相手は一筋縄では行かないようだな」
ダディもVIP校の力を認めざるおえなくなった。表情も少しずつ曇り始めてきている。
|(●) (●)、.:|「このチームには今までのチームよりも数倍優れている何かがある・・」
ダディクールほどのプレーヤーならば何か感じているようだ。VIP校にはあって、自分たちには無い何かを。
- 18: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:03:00.76 ID:0MrhCFbF0
そしてまたニャー速高の攻撃に入る。綺麗なパス回しは健在だが、それぞれの選手の顔には前半あった余裕のような表情が完全に消えている。
ダディは特にだ。
(^Д^)「ついに相手も限界を出してくる気になったか・・舐めやがってよ。最初から限界でこいってんだ」
ニャー速は前半、手を抜いているような様子は全く無かった。だが極めて普通の攻撃しかしてこなかったのは目に見えた。
いわゆる奥の手をようやく出す気になったようだ。プギャーは初めからそれを見抜いていたようだ。
なかなか仕掛けてこないニャー速。これもおそらくVIP高の集中力を削ぐ為に行っているのだろう。だが、もうそんな戦略が通用するVIP高ではない。
個々の精神力はもうしっかりと完成されていた。
この作戦は通用しないと分かったニャー速はついに仕掛けてくる様子へと変化した。ダディが一対一を仕掛けてくるようだ。
- 19: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:10:28.77 ID:0MrhCFbF0
|(●) (●)、.:|「・・・・・・・・・・・・」
何も言わない。それだけで充分VIP高を威圧している。このプレーヤーのオーラは普通の人間が持つようなチャチなオーラではない。
(^Д^)「こっちもそう簡単にやられる訳にはいかねーんだ。行くぞ」
プギャーがその攻撃を消そうと勝負に出る。まだダディがどう出てくるかは分からない。
少し硬直するプレー。どちらが先に動くのか。お互いそれを見合っているような状態だ。
そしてダディが動く。プギャ−は一瞬だったその動きを捉えられなかった。あまりにも速すぎて。
(;^Д^)「なんて速さなんだ・・!こいつ、やはりわかってます以上のプレーヤー・・」
楽々とプギャーを抜いたダディ。素早くフォローに入ったドクオ。ダディは依然、真っ直ぐに向かってくる。
('A`) 「同じような手が通用すると・・」
そう言いかけた瞬間、もうダディはボールを持っていなかった。相手の45がフリーで七〜八メートルあたりからシュートを狙っている
- 21: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:12:20.38 ID:0MrhCFbF0
ダディはプギャーを抜いた瞬間、もう後ろへとパスを回していた。全く仲間を見ないで。しかもとても精密なパスで。
ドクオから全く目を離さなかったのにも関わらずこのパスの精度。やはり最強の選手と言われるだけあるようだ。
(;'A`) 「いつの間に・・」
ドクオはそのプレーの凄さに思わず動くのを止めてしまう。その間に相手の45はベストな状態でロングシュートを投げ込んだ。
敵45「俺のボールはクセ球だからな。気をつけな」
わざわざそんな言葉を残していった敵45。祐はそのボールが自分の手元にくるまでその意味が分からなかった。
コースはかなり甘め。少し腕を伸ばせば取れる。そのくらい甘いコースだ。なぜここに打ち込んできたのか。
「止めてください」とでも言わんばかりのコースだっていうのに。
- 22: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:13:30.73 ID:0MrhCFbF0
(´―`)「何に気をつければい・・!!」
またも言葉を言い終わる前に祐は気が付く。そのボールが少し伸びていることに。それによりコースはかなり厳しくなっている。
(;´―`)「このことだったのか・・!!」
余裕で止められると思っていた祐は、慌ててジャンプしてそのボールを取りに行く。反応が遅くなっているのは紛れも無い事実である。止められるのか?
そのボールは勢いを緩めずにゴールへと向かっていく。祐のこの反応のタイミングでは取ることはかなり難しいと思われた。
(;´―`)「皆が頑張ってるのに、俺が期待に答えない訳には行かないんだ!!」
その気合とともに腕が伸びていく。奇跡的に、ギリギリ届く位置まで腕が伸びた。後は祐の気持ち次第だ。
(;´―`)「うわああああ!!!」
指先だけ触れたそのシュートを気合と根性で前に叩き落してみせる祐。
敵45「ま、マジかよ!」
- 23: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:14:02.34 ID:0MrhCFbF0
その様子に唖然とする敵45。ディフェンスに戻る事も忘れて。だが祐は容赦しない。止めたボールをすぐに手に持ち替えて、
(;´―`)「ブーン、行くぞ!!」
もうスタートを切っていたブーンに、入学当初ではとても投げ込めなかった弾丸のようなパスをブーンへと出した。
まだニャー速ディフェンスは追いつけていない。
ブーンはダッシュしてそのボールをがっちりと掴んだ。そして、相手のゴールへとドリブルしながら向かっていく。
ドリブルでスピードを落とさないのはかなり難しいのにも関わらず、ブーンのスピードはほとんど落ちていなかった。
全力で走り続けるブーン。その脳裏には今までの辛い経験、嬉しいことなど色々な思いが駆け巡っていた。
( ^ω^)「僕はここに来る為に今まで辛い練習に耐えてきたんだお。最後の最後にこんなに頑張れて僕は嬉しいお」
つぶやいているうちにもう、相手のキーパーが見える。後ろにブーンの走りについていける奴はいなかったので誰もついてきてはいなかった。
( ^ω^)「そして・・僕等は勝つお。それがこのチームで願う最後の思いなんだお」
- 24: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:14:44.19 ID:0MrhCFbF0
ブーンがしっかりと地面を踏んで、飛び上がった。そのジャンプは今まで見たことが無いくらい高いジャンプだった。
敵味方問わず、その姿に思わず見とれてしまうグランドにいた人間たち。それほどそのジャンプは綺麗なものだった。さっきのダディを越えて。
|(●) (●)、.:|「俺を超えるジャンパーがいるなんてな・・」
ダディも思わずそう呟いた。認めざるを得ないそのブーンの姿を。
( ^ω^)「決めるお!!」
ブーンのシュートはいつもよりも何倍も気合、そして勢いのあるものとなり、ゴールへと真っ直ぐと向かっていく。キーパーはその小細工のないあまりにも真っ直ぐなボールに、
一瞬呆気に取られるが反応を始める。だがもう遅い。その小細工が無いシュートはあまりにも速かった。反応を始めた頃にはもうネットを揺らしていた。
( ^ω^)「おっしゃぁぁぁだお!!」
ブーンはいつもよりも数倍大きい声を出して喜びを体全体で表現している。その周りにメンバーも集まってくる。それぞれかけた言葉は様々だった。そしてブーンは口を開く。
( ^ω^)「・・さあ!!皆切り替えるお!!次のプレーに集中するお!!」
- 25: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:15:21.68 ID:0MrhCFbF0
ブーンがそう声をかけるとともに、メンバーはもう一度自分のディフェンス位置へと散っていった。
それからはお互い全く引けを取らない凄まじい展開になった。ニャー速もついに火がついたのか、怒涛の反撃を見せる。特にダディ。
|(●) (●)、.:|「・・・・・・・・・・ッ!!」
ゴールからおそらく10mほど離れていた位置だったのにも関わらず、そこから超ロングシュートを打ち込んできたのだ。その時のダディの様子はまさに鬼。
味方すら近くに来させず、俺の邪魔をしたら絶対に許さないとでも言わんばかりのその態度。
凄まじいロングシュートが飛んでくる。祐も少し慌てていた。今まで受けた事もないようなシュートなのだから。
(;´―`)「く
言葉を発する時間さえ許さなかった。もうボールはゴールを割っていたのだから。
(;´―`)「・・・・・・・・・」
思わず言葉を失ってしまう祐。なんてシュートだ。ここまで一生懸命練習して、ようやく一流のキーパーの仲間入りを果たした祐でさえも、全く動けなかったのだから。
- 26: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:17:01.10 ID:0MrhCFbF0
そんな祐にブーンがいつもの様子で声をかけた。
( ^ω^)「祐、まだ一点差なんだお。気にしちゃダメだお」
そのブーンの笑顔に、険しかった祐の顔が自然とほころんだ。
(´ー`)「・・うん。オフェンス頑張ってきてくれよ」
その言葉にブーンだけでなく、メンバー全員が声を出して、向かっていった。
(´ー`)「皆・・ありがとう」
VIP高コートにはその祐の言葉以外には、何も聞こえてこなかった。
それから、更に結束の増したVIP高が反撃に成功し、再び同点に戻す。勝負はまだまだ分からない。
- 27: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:18:55.90 ID:0MrhCFbF0
だが何故かそこからお互い、硬直状態が始まり、残り1分まで得点が入る事がなかった。
刻々と時間は過ぎていく。そんな時、ニャー速高校は痛恨のミスを犯した。
審判「4番!オーバー!!」
|(●) (●)、.:|「なっ!!」
珍しくダディクールがオーバーを取られた。時間もなく、シュートが入らない事にイライラし始めていたのだろう。
ダディはしぶしぶ、ボールを地面におき、すぐにディフェンスへと戻っていった。
( ^ω^)「ここで入れれば僕等の優勝なんだお!!慎重に、なおかつスピーディーに攻めるお!」
- 28: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:23:11.89 ID:0MrhCFbF0
ブーンの言葉を聞き終わる前に、メンバーは既に散らばっていた。やる気は充分といった所か。
(^Д^)(ここは・・今までイマイチつかえてなかったポスト、貞治に託したい。行くぞ!!)
プギャーがパスを回しだす。お互い、緊迫した雰囲気での勝負となる。もう一点入れば、ニャー速の負けは確定するようなものなのだから。
その状態なのでやはり、更にディフェンスは厳しくなっていた。
(^Д^)(やっぱ簡単には行かないか、よし・・あの手で行くしかないな)
プギャーは全員にサインを送った。それに呼応し、皆はプギャーの方をチラッと見て、また元に戻る。
|(●) (●)、.:|「・・何を考えている」
何故かVIP高メンバーは前に前進している。パスカットも狙おうとすれば狙える距離にいる。
ニャー速はその様子を見て、いつでもパスカットできるような状態に切り替えていた。
- 30: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:23:39.29 ID:0MrhCFbF0
(^Д^)(それでいい・・俺の狙いは)
プギャーが一体、何を考えているのかはまだ現状では分からない。
パスが回っていく。少し浮き気味になっているニャー速。その様子も気にしないように、VIP高のパス回しは続く。
長くなるに連れて、焦ってくるニャー速。動きにもそれが出ている。だがまだ仕掛けようとはしないVIP高。
そしてまたプギャーにパスが回ったその時・・。
(^Д^)「貞治!!」
なんとプギャーはそのボールを思い切りはじき、貞治へと高速パスを回したのだ。敵も反応が遅れたせいでそのパスは余裕で通るのだった。
|(●) (●)、.:|「まだ間に合う!挟め!!」
ダディがそう言った瞬間に貞治はすでに飛んでいた。シュートを打つ体勢に入ってしまったらもう邪魔は出来ない。キーパーVS貞治の勝負となった。
- 31: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:24:11.48 ID:0MrhCFbF0
(^∀^)「このシュートに・・みんなの悲願がかかってるんだよ!!」
貞治も皆と同じように、叫び、そしてシュートを放った。
VIP校はその様子を願うように見つめている。ニャー速もまた。
どちらの願い、執念が身を結ぶのだろうか。その結果は神のみが知る・・
( ^ω^)「・・・・・・・・・・・・・」
ブーンは無言で頭を下げながらその様子を聞いていた。ふと、ネットを揺らす音が聞こえた。ブーンは顔を上げる。
そこにはVサインをしながらうれし泣きをしている貞治がいた。ブーンはその様子から全てを察知した。
( ^ω^)「貞治・・!!」
( ;ω;)「貞治ぅぅぅぅ!!!!!!」
- 32: ◆gk43jgqTBM :2007/01/12(金) 23:24:41.92 ID:0MrhCFbF0
ブーンだけでなく、VIP高全員がその場に泣きながら集合していった。今、VIP校は全国の頂点に立ったのだ。
その様子を悔し泣きをしながら見つめるニャー速。ダディは彼等の姿をみて、
|(●) (●)、.:|「俺らに足りなかった物。何かわかったよ」
それだけ言い残し、去っていった。会場からはもうVIP高ハンド部の嬉れし泣きしか聞こえてこなかった。
( ;ω;)「やったぉぉぉぉぉ!!!!!!」
こうしてVIP校ハンド部は全国優勝という最高の形で勝負の幕を下ろした。三年生は引退となったが、誰も悔いを残した人はいなかったようだ。
しばらくは地元の人に話し掛けられっぱなしだったようだが。
そして、三年生は卒業し、VIP高メンバーはそれぞれの道へと進んでいった。
メンバーたちの顔つきは昔の情けなさはもう残していなかった。立派な大人の顔になっていた。
これから色々、嫌なことやめんどくさい事が沢山襲ってくるのは間違いない。
だけど彼等は絶対にくじけないだろう。ハンドボールを通して学んだ沢山のものがあるのだから。
( ^ω^)「ハンドボールって素晴らしいお!!」
( ^ω^)ブーンがハンドボールを始めるようです 完
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