( ^ω^)ブーンが復讐の感染をさせるようです

2: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:00:19.30 ID:X/Q5Ug+v0
生存
( ・∀・) ('A`)

死亡
教員 ( ゚д゚ ) / ,' 3
保護者 ξ ・∀・)
生徒 从'ー'从 (=゚ω゚)ノ( ><)( ,_ノ` )y━・~~~
   ( ,,゚Д゚) <ヽ`∀´>ξ゚听)ξ( ゚∀゚)
   ( ´ー`) (’e’) ( ^Д^) (*゚ー゚)
   ('、`*川ミ,,゚Д゚彡(-_-)(*‘ω‘ *)
   (´・ω・`)(´<_` )\(^o^)/
   ( ´_ゝ`)从゚∀从( ´∀`)

憑依(内藤が中にいる者)
川 ゚ -゚)



3: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:01:31.63 ID:X/Q5Ug+v0
憎悪は負けない。

もし子供を殺された親がその犯人と対峙した時、
殺人はいけない事と分かっていても躊躇無くそいつを殺すだろう。

それは憎悪の中にも愛があるからである。

愛情が、友情が、絆が、夢が、憎しみと混ざる時 人は暴走する。

自ら人の道を外れてしまうのだ。

後に残るのは虚しさだけだというのに。


それが復讐だ。


平たく言えば「やったらやり返す」それだけの事。




それだけの事。



4: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:04:55.41 ID:X/Q5Ug+v0
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………………………………………
………………………………………………精神の世界?
………………………………………………誰の?
………………………………………………持ち主の……か?

辺り一面が暗い、というより黒い。
自分だけははっきりと見える。
上も下も右も左も前も後ろも黒しかない、そんな空間。

( ^ω^)「……まるで鎖だお、邪魔な……」

川 ゚ -゚)「そう、これは私の精神のようなんだ
     私のホームグラウンドなのだから私が強くて当然だろう?」

内藤の右腕を後ろから掴んでいるのはクーだ。
ただ掴んでいるだけ、しかし内藤はそれを鎖だと感じている。

(;^ω^)「離れないお……どうして……」

『私のホームグラウンドなのだから私が強くて当然だろう?』

(;^ω^)(違うお……それを力ずくで奪ってきたのが今までの僕だお……)

他人の精神世界に入り込み、そこに存在する感情や思念などを
憎しみで打ち消してきたのだ。
自分の方が他の精神に捕縛されるなどあるはずが無い。



7: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:10:16.72 ID:X/Q5Ug+v0
考えられるのは一つだけ。
『憎悪よりも強い感情』
それがこの女にある。
それが自分には無い。

(;^ω^)(そんなもんあるワケ無いお……でも事実僕がこうなってるって事は……)

川 ゚ -゚)「…………私は、お前が怖くなかった」

(;^ω^)「何……?」

川 ゚ -゚)「お前の能力は怖かったぞ、何せ触れるだけで人が殺せるんだからな……
     しかしお前の事は怖くなかった」

おかしな話だ。
怖かったのは能力で、それを操る張本人には全く恐怖を感じなかったというのか。

川 ゚ -゚)「お前には勇気というものが無い」

(;^ω^)「――――――勇気……?
      ふざけた事を……別に必要が無いお」

川 ゚ -゚)「必要が無い?そうだろうな、ほぼ無敵の能力を得たお前にはいらんものだ」

一度死んだ内藤は不死身の力を身につけ甦った。
まず自分に逆らう者はいないであろう、いたとしても簡単に排除出来る。
どれをとっても最強で安全な魂を手に入れた事による安心感。
勇気などいらない、恐れる者など何処にもいないのだから。



8: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:15:36.52 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -゚)「話を聞くといじめが原因で自殺した見ていいんだな?
     生前のお前は……同じ事が出来たか?」

(;^ω^)「同じ事……?意味が分からんお……」

川 ゚ -゚)「死ぬ以前のお前は、クラスメート全員にこんな形で復讐出来たかと
     聞いているんだボケナス」

(;^ω^)「出来るわけねーだろお!あの時の僕はいじめられてて……
      弱くて、馬鹿にされて、運動も出来ないし、成績だって悪かったお!」

嘆くように生前の自分を振り返る。
どう聞いても駄目人間、いじめられて当然といえば当然の人間だ。

川 ゚ -゚)「弱い?力がか?」

(;^ω^)「全部全部弱かったんだお!だから今の僕は強いんだお!
      何も出来なかった僕が何か出来るから強くなったんだお!!」

川 ゚ -゚)「弱い……何も出来なかった…………それでも……それでも……」

それでも


川 ゚ -゚)「それでも椅子くらい振り回せるだろう?」



9: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:20:55.34 ID:X/Q5Ug+v0
(;^ω^)「…………椅子?」

川 ゚ -゚)「……私が幼稚園の時だったかな…………ウンコを漏らした馬鹿な園児が
     いたんだコレが、当然その子はいじめられてな……苦しかったはずだ」

(;^ω^)「昔話なんて聞きたくないお……」

川 ゚ -゚)「あだ名は『ウンコマン』だ、安直なニックネームだがよく考えてみろ
     『ウンコマン』だぞ『ウンコマン』糞人間だ」

(#^ω^)「むぅ……それは可哀相な話だお……そんなあだ名付けた奴が糞だお」

川 ゚ -゚)「私はその子を助ける事が出来なかった……自分が巻き添え食らったら
     たまったもんじゃないし、どうせ赤の他人だしな……
     結局その子は卒園間際まで糞人間のレッテルを貼られていた」

黒の世界はやがてクーの声しかしなくなる。

内藤は黙って聞いていた。



10: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:27:09.71 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -゚)「ある時その子は勇気を出したんだ、
     椅子を振り回し自分をいじめる奴らをギタギタにした、
     その子泣いてた……攻撃を受けたいじめっ子の方より泣いてた」

川 ゚ -゚)「私はただ見ていた……今でもその光景は覚えている……
     先生はその子を叱った、しかし何故叱るのか私は理解できなかった」

川 ゚ -゚)「毎日が四面楚歌、誰も助けてくれない世界……そんな中で一人 
     勇気を振り絞りいじめっ子に抵抗したその子を何故叱るのか、
     『じゃあ何でお前ら大人がでいじめを止めてやらなかったんだ』
     それをその子が叱られる中、言えなかった私も臆病者だった」

川 ゚ -゚)「お前に同じ事が出来たか?
     意味不明な能力を携えて、勇気も知らずただ復讐という殺戮を繰り返す
     お前なんかよりも……
     正々堂々『やられたらやりかえす』信念を貫いたその子の方が
     お前なんかより百万光年倍強い!!」

百万光年倍というのはおかしい、しかしこの際そんな細かい事はどうでもいい。

(#゚ω゚)「それが何なんだお!それと今の状況になんの関係があるんだお!!」

川#゚ -゚)「んなもん知らん!だがその子を見て私は逆に勇気を貰った!
     こいつ強いなって思える奴が初めて現れた!!
     私はお前より、ほんのちょびっとだけでも勇気がある自信がある!!」

気迫でも説得力でも内藤はクーに勝てなかった。
闇の世界で内藤の膝がゆっくりと床に落ちる。



11: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:32:43.74 ID:X/Q5Ug+v0
( ;ω;)「おっ……おっ……」

何の涙?
悔しさの涙?
虚しさの涙?
悲しさの涙?
何の涙?

川 ゚ -゚)「泣くな、それより今後を考えろ……私は現状をまだ完全に把握していない、
     お前に精神の主導権を握らせるわけにはいかないが
     殺し以外なら私はお前の指示通り動いてやる」

( ;ω;)「……ドクオ」

川 ゚ -゚)「?」

( ;ω;)「ドクオに会わなくちゃ……僕のせいでおかしくなっちゃった
      あいつを……あいつを……」

( ;ω;)「あいつを探さなきゃだお……」

川 ゚ -゚)「分かった……探そう、だがその前に……」

足元には、もはやモナーではないモナーがいた。
不本意とは殺してしまった事に変わりは無い。

クーは両手を合わせ、目を瞑った。

川 - )(私が――――殺したんだ……必死で生きようとしていたお前を……)



12: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:37:09.09 ID:X/Q5Ug+v0
根性論は嫌いだ。

そんなもの漫画や小説だけで満腹だって言うのに。
そんなもの積み重ねてきた経験値に及ばないって言うのに。


この顔面に突き刺さる拳は何なのか。

(;・∀・)「がっ……はっ……」

踏み込みが無かった分、そこまで重いパンチではない。
やはり今、目の前の男に喧嘩の経験は無いと言ってもいい。

では現在進行形で尻餅をついている自分は何だ?

(;・∀・)(俺がこいつより弱いって事なのか?)

――――――――ドクオ

(;'A`)「……ハァッ……」

(;・∀・)(偶然だ、さっきといい今といい……)

モララーはこの時点でパンチを三発貰っている。
最初の一発、後はドクオが死に物狂いでモララーを引き止めてから二発与えた。

覚醒でもしたかのように、ドクオは確実に強くなった。



13: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:41:06.87 ID:X/Q5Ug+v0
(  ∀ )「……そんな事はありえねぇ…………」

崩れかけている。
今までの強かった自分が、頂点にいた自分が。
たかが一傍観者に負ける事などあってはならない。

(;'A`)「フゥッ……ハァッ……」

見ろ。
息切れしているじゃないか。
弱者が強者の肉を食おうとした報いだ。

狩りは経験が全てだ。

(;'A`)(まだ……モララーの奴倒れねぇ……)

人間は慣れない事をすると極端に疲れる生物だ。
苦手分野なら尚更。

(  ∀ )(動きが止まった…………狩った!)

勝利が見えたモララーは勢いよく飛び出す。
今出せる最大限のスピードだ。

(;'A`)(パンチでもキックでも……この際何でも来いっ!)

死んでも回避して隙を突く……それしかない。

(  ∀ )(甘いよ……)



15: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:46:59.28 ID:X/Q5Ug+v0
拳も脚も出さない。
その代わりドクオの襟元にはモララーの手。

掴まれた。捕まえられた。

殴り蹴りだけがモララーだと思っていたのが誤算。

(;'A`)(この形は……まさか……)

ドクオの身体が浮く。
地をついていた足は、間抜けに宙をもがくだけだ。

(#・∀・)「パンチだのキックだの……チマチマしたもんは終わりだ!!」

ドクオは声を出す暇も無かった。
強引に一本背負いに持っていかれたのだから。

気づけば床に叩きつけられていたのだから。


何かが破裂したような音が響く。


悲鳴も呻き声も出ないドクオを代弁するように、音は廊下で鳴り続けた。



16: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:47:37.78 ID:X/Q5Ug+v0
大の字になって動かなくなるドクオ。
意識はまだある……が、とても立ち上がって反撃できる余力は無いであろう。

(;'A`)

(;・∀・)「辛そうだな」

その辛そうな顔をモララーは上から覗き込む。
眼には涙が浮かんでいた。
痛みの涙じゃない、悔し涙だ。

( ・∀・)「泣くな、お前は良くやったよ……
     そんなお前に先人のありがた〜い言葉を授けてやるよ」

(;'A;)



…………何だってんだよ……









( ・∀・)『人間が存在する限りいじめは無くならない
     モララー(日本)1992〜3130』



17: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:52:52.56 ID:X/Q5Ug+v0
( ・∀・)「学校ってのはな、勉強をするためにあるもんじゃねぇ……
     いかに早く上に立ち、他人を下に陥れるかの生存競争の場なんだよ」

(;'A;)(…………んだと……)

(;・∀・)「時間を無駄にし過ぎた、早く本物の内藤を潰さねーと……」

焦り出したモララーはそのまま階段を降りていく。
今のドクオにそれを止める力は無い。
反対に見える世界から、黙ってモララーの背中を追う事しか出来なかった。

『人間が存在する限りいじめは無くならない』

(;'A;)「違う…………そんな…………」

『無くならないわけがない』

ドクオの頭の中はそれで埋め尽くされていた。

『いじめは撲滅できる』
『理想論じゃない、人間一人一人が他人を認めればいいだけの話じゃないか』
『それが難しい?何を言ってるんだ、人を信じられなくなったら終わりだ』



(;・∀・)(ドクオ…………クソ、ここまでやられるとは……)

顔面の負傷が酷い、多少霞んだ視界が死を予期しているようにも思えてきた。



19: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 09:57:19.39 ID:X/Q5Ug+v0
(;'A;)「こ…………が……………けな………」

内藤 正直すまんかった。

(;'A;)「こんな…校が…………いけな………」

これまでも今も……そしてこれからも俺はお前に何もしてやれないだろう。

(;'A;)「こんな学校が………らいけな……だ」

でも安心しろよ。

(;'A;)「こんな学校が…る…らいけな…んだ」

お前を苦しめたこの糞学校は……。

(;'A;)「こんな学校がある…らいけな…んだ」

今なくなるから。

(#'A;)「こんな学校があるからいけないんだ!!」

俺が全部片付けてやる、だからもう復讐なんてのはやめてくれ。



21: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 10:01:04.74 ID:X/Q5Ug+v0
身体の体勢を変える。
目の前に広がる世界は180度回転して、通常版に戻った。
それでも立てない、ならば這いつくばって進むまでだ。
足に頼らなくても人は前に進む事が出来る。

聳え立つ扉を開くと、そこは理科室。

既に誰かの手によって物色された跡があるが、興味は無い。

棚には良く分からない名前のラベルが張ってある薬品、実験道具、
せいぜい正式名称をはっきり言えるのはアルコールランプくらいか。

それでも何をどうすればどんな事になるのかは、今の中学生は大体把握している。

理科室なんてのは武器倉庫となんら変わりは無い。
考えてみれば学校なんて凶器だらけだ。

(;'A;)「内藤……今……消してやるから……」



全部終わらせてやるから――――――



23: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 10:08:27.65 ID:X/Q5Ug+v0
二階 ―― 一階間階段

川 ゚ -゚)「……上で凄い音がしたぞ」

川 ゚ -ω^;)「ドクオ……?まさか……」

思えば内藤が最後に見たドクオは、すっかり壊れきった姿だった。
我を忘れて何をしで出すか分からないのが人間だ。
そして不安要素はそれだけではない。
モララーの存在……奴には恐れというものが無い。

そういった輩は一番やり易い敵でもあり、厄介な相手でもある。

川 ゚ -ω^)(やっぱあの時、意地でも潰しておくべきだったかお……)

モララー、そしてモナーとの一戦が思い出される。

川 ゚ -ω^)(僕を呼ぶ……人間か……お)


その時――――――「内藤ッ!?」――――――渇いた声。

川 ゚ -゚)(っ!この男!!)

川 ゚ -ω^)「……お前は」

( ・∀・)「よぅ……また会ったな」



24: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 10:09:48.90 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -ω^)「あの時は仕留め損ねたお……今回は……」

(;・∀・)「テメェが内藤かよ!!」

川 ゚ -ω^)「!!??」

微妙に成り立っていない会話に疑問を持った瞬間、もう遅い。
クー兼内藤の顔に学ランが被さる。

その顔面目掛け、飛び蹴りがクリーンヒットした。

視界を閉ざしただけでなく、感染の危険を最小限に留めた。

川 ゚ -ω^#)「クソ……あのクソにしちゃ賢いお……!!」

そして最初の「内藤ッ!?」「また会ったな」の台詞、あれは『確認』だ。
自分だと分かって言ったのではない。

自分だと確かめるために言ったのだ。
おそらく、他の人間が目の前に現れても同じ事を言っただろう。

(;・∀・)「じゃあな!」

モララーは下の階へと足を進めていく。

川 ゚ -ω^#)「逃がすか……お…………?」

身体が動かない、直ぐにでも追いかけなければならないのに。

川#゚ -゚)「殺しはするなと言ったはずだ!」



26: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 10:14:46.23 ID:X/Q5Ug+v0
川 ゚ -ω^#)「お前……邪魔すんなお!!
       奴は……殺されて当然の人間だお!!」

川 ゚ -゚)「邪魔?これは私の身体だ!寧ろ私からしてみればお前が邪魔だ!
     それに殺されて当然の人間がいたとしても、お前がそいつを
     殺していい事があるか!!」

邪魔だ……邪魔だ……邪魔だ……

( ゚ω゚)「どいつもこいつも僕の邪魔をすんじゃね――――お――――――!!!」

川;゚ -゚)「……!!?」

黒の世界が裂ける。

憎悪は負けない。

憎しみが濃くなっていく、怒りと、苦しみが混ざっていく。

『全部全部弱かったんだお!だから今の僕は強いんだお!』
『何も出来なかった僕が何か出来るから強くなったんだお!!』

クーが掴んでいた内藤の腕は……軽く、『するり』  簡単に抜けてしまった。


( ゚ω゚)「モララァァァァァァァ!!!!」


(;・∀・)「――――――――――――――――――――――――――――――――」



27: ◆R38CE/IWYU :2006/12/26(火) 10:15:30.56 ID:X/Q5Ug+v0
川;゚ -゚)「……え?」

クーは自分の立ち位置を確認する。
一階と二階の間の階段だ。
自分はここにいる、ここにいるんだ。

ガタガタ……ガタァンッ!

下の階から物音、クーは確かめに後戻りをする。

そこには……二人。

緑に染まるモララーの姿と、無言で立っているだけの男。

川;゚ -゚)「……内……藤?」


( ゚ω゚)







僕は僕かお?



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