( ^ω^)ブーンと猫と神様

81: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:15:01.81 ID:hgYoUsgd0
  
 
時は過ぎ、ギコがお父さんとお母さんの家に戻ってきて3年が経とうとしていました。
 
 
 
ぽかぽか陽気の中、少し離れて歩いたけど、桜の花を見に裏山まで散歩した、春。
 
暑い日差しの中、お父さんとお母さんの畑仕事の手伝いをした、夏。
 
紅色に染まった木々の木漏れ日の中、お父さんとお母さんのために栗やキノコを採ってきた、秋。
 
深い雪で村が埋まってしまった中、お父さんとお母さんのために暖を取るための木の枝を運んできた、冬。
 
ギコはいつも一生懸命に頑張りました。
 
 
 
そんな、もうすぐ夏になろうとしている、梅雨の雨の日のことでした。



82: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:16:00.20 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´ω`)「………ゴホッゴホッ………」
 
ξ゚−゚)ξ「ブーン………大丈夫………?」
 
( ´ω`)「………大丈夫………だお………ゴホッゴホッ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
お父さんは病気で倒れてしまいました。



84: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:17:10.44 ID:hgYoUsgd0
  
  
あんなに元気だったお父さんが、ここ数日の間に起き上がることもできないくらいに病気で衰弱してしまいました。
 
ギコが裏山からいろんな薬草を持ってきて、お母さんが煎じてお父さんに飲ませても、治りませんでした。 
 
お医者さんに見せても、どうすることもできないと言われました。
 
お医者さんが言うには、現代の医学では治すことができず、持って残り数日の命だということでした。
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
お父さんに何もすることができないギコは、自分の非力さに情けなくなってきました。
 
部屋は雨が瓦に叩きつけられる音と、ギコとお母さんの悲しみで支配してました。



85: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:18:15.34 ID:hgYoUsgd0
  
 
ある日の晩、ギコはお父さんが寝静まったことを確認し、お父さんの顔を覗き込みました。
 
お父さんは以前のような、ふっくらとした顔ではなく、骨と皮だけの、可哀想な姿になっていました。
 
寝息も以前のような、気持ちよさそうな夢心地のものではなく、とても苦しそうな地獄で息をしているようなものでした。 
 
ギコは変わり果てたお父さんの姿を見て、目頭が熱くなっているのがわかりました。
 
初めてギコを拾ってくれたこと、野良猫なのにちゃんとお世話をしてくれたこと、生まれ変わってからも優しくしてくれたこと………。
 
思い出と感謝の気持ちはギコの心から溢れるくらいあるのに、助けることができない………。
 
ギコは自分の非力さに情けなく、悔しくなってしまいました。



86: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:19:27.99 ID:hgYoUsgd0
  
 
そのとき、目頭に溜まったギコの涙がお父さんの額に零れました。
 
どうやら、お父さんはギコが枕もとにいることに気付いたようです。
 
 
 
( ´ω`)「ゴホッゴホッ………フサギコかお………?」
 
ミ,,ぅД;彡「………」
 
( ´ω`)「ごめんだお………ゴホッ………咳がうるさくて寝れないのかお………ごめんだお………」
 
ミ,,;Д;彡「………」
 
( ´ω`)「フサギコや………お願いがあるんだお………」
 
ミ,,ぅД;彡「………」
 
( ´ω`)「もう………ゴホッ………僕は長くないから………僕の代わりに………ツ、ツンを………守ってほしいお………」



88: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:20:07.78 ID:hgYoUsgd0
  
 
お父さんの震える声がギコの心に突き刺さりました。
 
お父さんへの最期の恩返しは、お父さんの代わりにお母さんを守ること………?
 
ギコはお父さんへの恩返しを、そんな形で終わらせたくはありませんでした。
 
お父さんが天国へ逝ってしまう前に、何かできないんだろうか。
 
ギコは小さい頭の中で一生懸命考えましたが、答えを導き出すことはできませんでした。
 
 
 
ギコは、お父さんが再び眠りにつくのを見届けて、寝ることにしました。



90: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:20:46.68 ID:hgYoUsgd0
  
 
ギコはお父さんにしてあげる、最期の恩返しのことを考えながら、夢の世界へと入っていきました。 
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「………ん?何だ、ここは………ゴラァ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………あぁ、夢か………ゴラァ………」 
 
 
 
気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。
 
でも、それはいつか見たことのある、素晴らしい光景でした。 
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「ここは………来たことがあるぞ!!!………ゴラァ!!!!!!」
 
「ギコや………ギコや………」
 
 
 
何やら後ろの方から声が聞こえてきました。



92: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:22:05.83 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,゚Д゚彡「誰だゴラァ!!!」
 
( ´∀`)「こっちへおいでモナー」
 
ミ;゚Д゚彡「お、お前は………!」
 
 
 
後ろを振り向くと、そこには大きな背の高い木があり、その木の下に1人の老人が立っていました。
 
白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪、立派な樫の杖、それに特徴的な喋り方………あのときの神様のようです。
 
ギコはその神様の下へ走っていきました。
 
 
 
( ´∀`)「久しぶりモナねー、ギコ。いや、今はフサギコと呼ぶべきモナか?」
 
ミ,,゚Д゚彡「何の用だゴラァ!!!俺はちゃんと約束を守っているぞゴラァ!!!!」 
 
( ´∀`)「まぁまぁ、今日はそんなことで君を呼び出したんじゃないモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「何だと!!!???」



94: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:23:26.83 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「君を生き返えらせてから、今日までずっと君の事を見ていたモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「だから何なんだゴラァ!!!!」 
 
( ´∀`)「まぁまぁ、落ち着くモナよ。ちょっと条件を破りそうな危ない感じのときもあったけど、君はワシが出した条件をちゃんと守って、あの2人のために恩返しをしている姿を見て、ワシはまた感動したモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
( ´∀`)「だから、今回も君にご褒美をあげるモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「………ッッッ!!!???」



97: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:24:06.85 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「君のお父さん、君がこの夢から覚めて5時間後に死ぬモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「な、なんだって!!!???」
 
( ´∀`)「だから君のお父さんを助ける方法を教えてあげるモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「ほ、本当か!!!???」
 
( ´∀`)「本当だモナよ。神様は何だってできるモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「だったら、さっさと教えろゴラァ!!!!!!1111!!」



100: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:25:05.04 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「そう慌てるモナよ。なーに、簡単なことモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
( ´∀`)「君のお父さんのお腹の上で『ゴラァ!!』って鳴いて、自分がギコの生まれ変わりだってことを気付かせれば、1発で治るモナー。次の日から現場復帰可能だモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「わかったぞゴラァ!!!!!わかったから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!111111!!」
 
( ´∀`)「まぁまぁ、最後まで話を聞くモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
( ´∀`)「ワシが出した条件は君が死ぬまで有効だってことを忘れてはいけないモナよ?」
 
ミ,,゚Д゚彡「そ、それじゃ………俺は………」



102: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:26:11.98 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「そうモナー。君のお父さんが元気になる替わりに、君が死ぬモナよ」 
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
神様が言った一言は、ギコの小さな体に重く圧し掛かりました。
 
次こそ本当に死んでしまう………。
 
もうこれ以上、お父さんとお母さんのそばにいることはできない………。
 
だけど、答えはもう決まっていました。



104: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:26:46.30 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「どうモナか?やるモナか?やらないモナか?」
  
ミ,,゚Д゚彡「わかった!!!!やってやる!!!!だから、さっさと夢から覚ましやがれゴラァ!!!!!!!!111!」
 
( ´∀`)「よし、わかったモナー。それでは起こすモナよー」
 
ミ;゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」
 
 
 
神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。



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