( ^ω^)ブーンと猫と神様

106: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:27:40.21 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,-Д-彡「………」
 
ミ;゚Д゚彡「ッッッ!!!???」
 
 
 
ギコは目を覚ますとすぐに、お父さんたちが寝ている部屋へと走っていきました。
 
今日は梅雨の時期には珍しく、窓の外は青空に染まっていたのですが、ギコはそんなのには目もくれず、急いで走りました。
 
一刻も早くお父さんを苦しみから解き放ってあげたい………。
 
ギコの頭の中は、その1文によって支配されていました。



108: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:28:20.52 ID:hgYoUsgd0
  
 
部屋につくと、お父さんは苦しそうな寝息を立てながら眠っていました。
 
お母さんのお布団は片付けられていました。
 
どうやら朝ご飯の支度をしているようです。
 
ギコは、その小さな口にお父さんのお布団を咥え、上半身が出るくらいまで捲り上げました。
 
そしてギコはお父さんのお腹の上に乗り、力いっぱい鳴きました。
 
 
 
ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」



110: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:30:10.00 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´ω`)「ん………お………フサギコ………?」
 
ミ,,゚Д゚彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」
 
 
 
どうやらお父さんは起きたようです。
 
これで自分をギコの生まれ変わりだと気付いてくれれば………。
 
ギコは休まず鳴き続けました。
 
 
 
 
ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」



111: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:30:52.01 ID:hgYoUsgd0
  
 
ギコの目からは大粒の涙がお父さんのお腹の上に零れ落ちていました。
 
これでお父さんとお母さんとは最期なんだ………。
 
ギコは泣かずにはいられませんでした。
 
 
 
ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」
 
( ´ω`)「ギコ………?」



114: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:31:58.23 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」
 
( ´ω`)「そうかお………お前は………ギコだったのかお………」
 
ミ,,;Д;彡「ゴラァ!!!!!!!ゴラァ!!!!!!!1111111!!!!!!」
 
( ´ω`)「ギコや………ゴホッ………今まで気付かなくて、ごめんだったお………」 
 
ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっと!!!!ギコなの!!!???」
 
 
 
お母さんもギコの鳴き声に気付いたようで、台所から走ってきたようです。



115: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:32:48.53 ID:hgYoUsgd0
  
 
これで最期………お母さんに気付かれてもいいだろう………。
 
昨日までギコの頭の中を支配していた無力感は充実感へと変わっていました。
 
これでお父さんは助かる………本当に恩返しができたんだ………。
 
 
 
ミ,,;Д;彡「ゴラァァァァァアア!!!!!!!!!!!!!!!!1111!!!!!!!!!
 
 
 
ギコは最期のお別れの意味も込めて、大きな声で鳴いて部屋を走って出ていきました。



117: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:34:03.61 ID:hgYoUsgd0
  
 
ギコは一生懸命は走りました。
 
雨上がりの空は、ギコの透き通った心のように限りなく青に近い色でした。
 
毎日、お父さんとお母さん一緒に歩いた山道を抜け畑へ………。
 
これで来るのが最期となる畑を名残惜しく思いながら、畑の先にある誰も入らない山へと入っていきました。
 
ギコの亡骸はお父さんとお母さんに見られたくいない………。
 
ギコはそう思いながら、誰も入ることない山の奥深くへと走りました。



119: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:35:11.59 ID:hgYoUsgd0
  
 
ここまで来れば見つかることもないだろう………。
 
そう思った瞬間、強烈な眠気に襲われました。
 
大きな木の根元で無意識的に横になると、まぶたが重たくなってきました。
 
しっとりとした、少しだけ冷たい土がとても心地よく感じてしまいまい、よけいに眠たくなってきました。 
 
………あぁ………これで最期か………。
 
ギコはお父さんとお母さんとの思い出を思い出しながら、最期のときを待つことにしました。



120: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:36:48.16 ID:hgYoUsgd0
  
 
ケガをした自分をお母さんが拾ってくれて、お父さんが傷を治してくれたこと………。
 
お父さんとお母さんと一緒に毎日、畑へ通ったこと………。
 
お父さんとお母さんと楽しい10年間を過ごしたこと………。
 
死んでも自分のことを忘れてくれなかったこと………。
 
畑の近くに立派なお墓を作ってくれたこと………。
 
生まれ変わってもなお、優しくしてくれた3年間………。 
 
どれもギコにとっては宝物でした。
 
 
 
今までの思い出が映し出されているまぶたの裏のスクリーンが、段々と白く薄くなってきました。
 
………これで………これで本当に最期か………。
 
ギコはお父さんとお母さんの、これからの幸せを願いながら、眠りにつきました。



121: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:37:32.91 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,゚Д゚彡「………ん?ここは………ゴラァ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………本当に死んでしまったようだな………ゴラァ………」 
 
 
 
気が付くと、そこにはどこまでも続く草原と、限りなく青に近い澄み切った空が広がってしました。
 
ギコは本当に死んでしまったことを実感したようです。 
 
 
 
「ギコや………ギコや………」
 
 
 
後ろの方から声が聞こえてきました。



123: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:39:06.57 ID:hgYoUsgd0
  
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
( ;∀;)「こっちへおいでモナー」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」
 
 
 
大きな背の高い木の下に、白い布の服、真っ白でとても長い髭と髪で、立派な樫の杖を持った特徴的な喋り方の………あの神様が立っていました。
 
ギコはその神様の下へ歩いていきました。
 
 
 
( ;∀;)「うぅ………感動したモナよ………泣いたのなんて何100年ぶりモナよ………グスッ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「約束は………約束はちゃんと守ってくれたんだろうな?ゴラァ………」 
 
( ;∀;)「うんうん………君のお父さんはちゃんと元気になったモナよ………グスッ………」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」



124: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:39:57.10 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ぅ∀`)「今日は何て素晴らしい日なんだモナー。心が晴れ晴れしているモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」 
 
( ぅ∀`)「よし、ワシを感動させてくれたお礼として、またご褒美を上げるモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「………」 
 
( ´∀`)「安心するモナよ。今回は何の条件も付けないモナよ。さぁ、何でも叶えてやるモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「俺は………」 
 
( ´∀`)「うんうん」
 
ミ,,゚Д゚彡「俺は………俺はまた、お父さんとお母さんの子どもになりたいゴラァ!!!!!!」



127: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:41:54.20 ID:hgYoUsgd0
  
 
( ´∀`)「お安い御用だモナよ。それではさっそく、お父さんとお母さんの子どもになるモナよ」
 
ミ,,゚Д゚彡「ッッッッ!!!!????」
 
 
 
神様は持っていてた杖を振りかざすと、白くて眩しい光がギコを包み込みました。
 
 
 
( ´∀`)「これだけ強くなったんだモナ………きっと、あの2人を守れるような強い子どもになれるモナよ………今度こそ………今度こそ幸せになるモナよ………」
 
 
 
その10ヵ月後………桜が例年以上に咲き誇った春………お父さんとお母さんの間に、それはそれは可愛い子どもが生まれました。



129: ◆Joy86y.LIU :2006/12/03(日) 02:42:25.92 ID:hgYoUsgd0
  
 
 
 
                   おしまい



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