('A`) ドクオのペンは進まないようです

592名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:27:34.78 ID:HFd9i4740
  



とんでもメアド交換を終えて教室に帰ると、何故かブーンがボロボロになっていた。

どうやら授業をさぼったのは俺だけでなく、なんとクラス全員がサボったというのだから大事件。

わかんないです先生の100年に1度の大噴火といわれる逆鱗に触れ、

その後の授業は急遽お説教のためのロングホームルームに変更された。

( ><)「以後、こんなことが起こらないようにしてください!!」

6時間目のチャイムが鳴り、やっと正座から開放された生徒達は

次々に足の痺れを訴えながら教室から出て行った。



595名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:31:41.15 ID:HFd9i4740
  

(;^ω^)「や、やっと終わったお・・・」

(;*゚ー゚)「さすが元軍人のわかんないです先生・・・ギリギリの精神攻撃を仕掛けられたわ」

('A`)「あぁ・・・特にゲシュタルト崩壊の罰はやばかった・・・途中で目玉焼きが何かわからなくなったぜ」

( ^ω^)「ま、とりあえずドクオ、メアド交換おめでとーだおw」

(*゚ー゚)「お馬鹿!」

しぃの下突きがブーンのわき腹に突き刺さる。

( ^ω^)「ひでぶぅ!!」

('A`)「はいはい、どうせお前ら覗きに来てたんだろ。てか普通クラス全員でくるかね?」

(*゚ー゚)「ま、首謀者がいたね・・・反乱で滅んだけど」

(;^ω^)「さーて、靴をはいて帰りましょう♪」



601名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:37:05.97 ID:HFd9i4740
  

下駄箱で上履きを靴に履き替えていると

川 ゚ -゚)「ドクオ」

('A`)「おぉ、クー」

川 ゚ -゚)「いや、お前を待っていたんだ。一緒に帰らないか?」

('A`)「ぶふぅ!!」

突然の奇襲。

この前のメアドの件といい、クーは奇襲が得意なのか。

だが、これはこれで嬉しい奇襲だ。



603名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:41:41.36 ID:HFd9i4740
  

('A`)「あ、ああ。いいよ」

川 ゚ -゚)「そうか。よかった。・・・迷惑じゃないか?」

('A`)「ん、とんでもね。むしろクーと一緒に帰れて嬉しい」

川///)「なっ・・・」

クーの頬が赤くなる。

なんだ、待ち伏せなんて積極的な事してこんな一言で赤くなっちゃうのか・・・

なんか、愛おしいな。

( ;^ω^)「あの、僕たち・・・」
(*;゚ー゚)「ちょっと用事を思い出したので先に帰るね・・・」

('A`)「ん、そっか。じゃなー! また明日!」



605名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:46:21.94 ID:HFd9i4740
  

( ;^ω^)「しぃちゃん・・・あの二人完全に世界が違ったお・・・」

(*;゚ー゚)「これはもう駄目かもしれないね・・・」

(  ^ω^)「でもま、クーとドクオは案外お似合いだし、これでよかったおw」

(*゚ー゚)「だねwなんか羨ましいなぁ。私も早く恋人欲しいな」

(  ^ω^)「・・・」

(  ^ω^)「ねぇしいちゃ(ry」

(*゚ー゚)「黙れピザ」

( ;^ω^)(あれ? 今のフラグじゃなかったお?)

(*゚ー゚)「あ〜誰かいい人いないかな〜」


(理科準備室)

( ゚д゚ ) 「しぃちゃん・・・ハァハァ・・・萌えす・・・!」


(*;゚ー゚)「なんか今、すっごい寒気した」



611名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:51:44.81 ID:HFd9i4740
  



桜の咲く帰路をクーと二人で歩く

川 ゚ -゚)「それでな、店員のプギャーって人が結構仕事のコツとか教えてくれるんだ」

('A`)「・・・そのプギャーって人は男?」

川 ゚ -゚)「ああ、年上で頼りがいのある人だ」

('A`)「ふぅーーーーーん」

俺の歩くペースが速くなる。

スタスタと足に力を入れながら早歩き。

川 ゚ -゚)「ちょっとドクオ、なんだ嫉妬でもしてるのか?」

('A`)「別に〜」

クーは俺の前に回りこみ、俺の目を見つめる。

川 ゚ -゚)「でも、私にとってドクオのほうがずっと頼りがいがあるぞ!」

クーはいたずらっ子のように微笑み、そう言った。

・・・こいつ、図ったな。



616名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 13:55:40.97 ID:HFd9i4740
  

('A`)「うりゃっ!」

川 ゚ -゚)「うわっ! よせドク…ぷぷ・・・あはははっ!!く、くすぐったい!」

('A`)「うるさいっ! この前のお返しだ!」

川 ゚ -゚)「こらっ! ちょ、やめ・・・ドクオー!!!」

クーが手を振り上げ俺の頭を叩いてくる。

('A`)「痛ぇ痛ぇ!! 反撃とは卑怯だぞ!!」

川 ゚ -゚)「問答無用っ!!」


風が吹く道をクーとはしゃぎながら帰る。

なんだか小学生に戻った気分だ。

だけど、悪くない。俺の今の状態を幸せっていうのだろうか?



623名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:02:08.22 ID:HFd9i4740
  

やがて分かれ道にさしかかる。

('A`)「じゃあ、クー。俺はこっちだから」

川 ゚ -゚)「あ…ドクオ!」

('A`)「ん?」

クーはまた頬を赤らめている。

・・・つられて俺もドキドキしてしまう。

川 ゚ -゚)「きょ、今日おいしいパン屋を見つけたんだ。これから一緒に行かないか?」

('A`)「えっと・・・あ」

不意に思い出した。

今日、いやこれからずっと放課後は塾なのだ。

('A`)「ごめん、今日は塾があるんだ・・・」

川 ゚ -゚)「・・・そ、そうか」

申し訳なさでいっぱいになった。

せっかくクーのほうから、誘ってくれているのに

俺だってもっと一緒にいたいのに、それは叶わない夢だった。



627名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:08:13.59 ID:HFd9i4740
  

川 ゚ -゚)「塾じゃしょうがないよなっ! うん、ドクオは頭がいいから・・・」

('A`)「・・・ごめん」

川 ゚ -゚)「私の方こそ・・・すまない。浮かれすぎた」

違う、と言いたかった。

けど何が違うのか言葉にできず、喉まで出かかって言葉を飲み込む。


川 ゚ -゚)「・・・それじゃ、また明日!」

クーは空元気を出して、大きな声で言った。

俺に背中を見せ、歩いていく。

('A`)「く、クー!!」

考える前に言葉が先に出た。



631名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:12:39.50 ID:HFd9i4740
  

('A`)「今日、メールするから! 絶対するから!」

そう、叫ぶとクーの足が止まり、俺の方を向いてその顔に笑みが戻る。

川 ゚ -゚)「・・・ああ! 楽しみに待ってるぞ!」

こうして、俺達は互いの帰路分かれ

名残惜しい気持ちを残しながら家に帰った。



634名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:15:26.36 ID:HFd9i4740
  



( ^^ω)「はい!ここの単語全部暗記してくださいねー! 10分とりまーす!」

は瀬川塾長がそう言った途端に、教室にペンを走らせる音が鳴り響く。

その少人数制の教室で俺は必死にペンを進めていた。

('A`)(10分であの量暗記とは半端じゃないな・・・)

少人数制ながら何人もの東欧生を輩出するエリート塾「は瀬川塾」

四月の始めに入塾テストがあり、塾としては異例の体制をとっている。

本当は入塾テストはもう締め切っているのだが、塾長とト−チャンが高校時代の友人だったこともあり

特例で入塾することができたのだ。



637名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:20:46.14 ID:HFd9i4740
  

( ^^ω)「はいホマホマ。終わりだホマ。次は長文ホマ」

('A`)(む、難しい・・・!)

夕方6時から3時間の授業を終えると、今度は正気とはおもえないほど大量の宿題が出る。

これが「スパルタのは瀬川塾」と言われる由縁である。

俺はクタクタに疲れながら家へと自転車をこいで帰った。



639名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:24:41.55 ID:HFd9i4740
  



('A`)「ただいまー」

(`・ω・´) 「おう、ドクオ」

家に帰ると珍しくトーチャンは上機嫌でご飯を食べていた。

(`・ω・´) 「どうだ、は瀬川の塾は疲れただろう。お前もご飯を食べなさい」

('A`)「う、うん」

俺はトーチャンに言われるがままリビングに入り、夕飯を食べ始める。

(`・ω・´) 「ドクオの入塾テストの結果見ては瀬川が言ってたぞ。期待できるってな」

トーチャンはコップにビールを注ぎ、喉を鳴らして飲む。

(`・ω・´) 「っぷは! ドクオはやれば出来る男だ。なんせ俺の息子だからな!!」

(`・ω・´) 「期待を裏切らないようもっと勉強頑張るんだぞ!」

('A`)「・・・うん!」

嬉しかった。

トーチャンに褒められたこと

信用を取り戻せたことがなにより嬉しかった。



644名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:29:27.47 ID:HFd9i4740
  



俺は部屋に戻り、電気を付ける。

('A`)「そうだ、クーにメールする約束してたんだ」

俺は携帯を取り出し、クーのメールアドレスを選ぶ。


送信者:ドクオ
件名:おっす!

本文:初メール送ってみた。
   クー、届いてるか〜

('A`)「送信っと」

俺は携帯を閉じ、宿題の分量を減らすべく机に向かう・・・。



648名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:34:00.50 ID:HFd9i4740
  



川 ゚ -゚)「まだ塾は終わらないのかな・・・いや、それとも先に風呂に入ってるのか?」

クーは、かれこれ2時間ほど携帯の前でそわそわしていた。

川 ゚ -゚)「どんな内容がくるんだろう・・・く、気になって本も読めん」

その時、効果音と共に携帯が点滅する

川 ゚ -゚)「はっ!」

物凄い勢いで携帯を開き、メールをチェックする。

川 ゚ -゚)「ど、どどドクオからだ。えっと、届いてる・・・よっと」

音読しながらメールを打ち、すぐに返信ボタンを押す。

川 ゚ -゚)「それ!」



652名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:38:02.89 ID:HFd9i4740
  



ブブブブ・・・

('A`)「早っ!」

宿題を開き、問題文を3文字まで読んだ瞬間にメールが返ってきた。

携帯を開き、メールを確認する。

送信者:クー
件名:届いてるぞ
本文:


('A`)「その発想はなかったわ」



657名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 14:43:50.56 ID:HFd9i4740
  

川 ゚ -゚)「しまった・・・件名なんてものがあったなんて・・・」

クーは送ったメールをやり直せないかと色々いじっていると、再びメールが届いた。

川 ゚ -゚)「む、か、返ってきてしまった」


送信者:ドクオ
件名:ワロタ

本文:斬新なメールだな(笑)
   クーって意外と面白い発想の持ち主なんだな
   また新しい一面を発見したぜ

川 ゚ -゚)「よ、よかった! 結果オーライ、というやつだな!」

クーはふぅ、と手で額をぬぐいメールを続けた。

川 ゚ -゚)「よし、これからは私らしく件名に本文を入れるやり方を主としよう!」

(ドクオ宅)

('A`)「ま、また件名だけ・・・。これは何かのメッセージなのか?」

そんな夜のメールのやり取りは夜の12時まで続き

結局その日は俺のペンが進むことは無かった



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