('A`) ドクオのペンは進まないようです
- 772名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:24:24.71 ID:HFd9i4740
※
( ^ω^)「ど、ドクオ・・・ほんとに大丈夫かお?」
ブーンが俺の顔を心配そうに見つめる。
('A`)「大丈夫だって・・・」
(*゚ー゚)「ドクオ君、顔色すごく悪いよ? 昨日何時に寝たの?」
('A`)「えっと、5時・・・かな。2時間は寝たよ」
( ;^ω^)「ちょwww昨日は4時就寝だったお? 体壊れるちゃうお!」
('A`)「もう壊れきってるから大丈夫だよ・・・へへ」
(*;゚ー゚)( ;^ω^)「・・・」
- 777名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:26:20.80 ID:HFd9i4740
俺はそう答えると再びペンを握る。
最近は学校の休み時間も惜しい。
これを放課後までに終わらせて、次は・・・
川 ゚ -゚)「ドクオ! もうやめろ!」
突然、クーが俺のペンを取り上げる。
俺はゆっくりとクーの顔を見る。
クーの目は俺をまっすぐ見ている。
('A`)「俺のペン返せよ、これやっとかないと塾の授業が・・・」
川 ゚ -゚)「お前は最近おかしい!」
クーは強い口調で言う。
その声に憎しみを抱いてしまう。
・・・これ以上面倒なことをしないでくれ。
- 782名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:31:20.77 ID:HFd9i4740
川 ゚ -゚)「お前は自分の体より勉強が大切なのか!? 体が壊れたら元も子もないだろう!?」
('A`)「わかったふうな口聞くんじゃねえよ!」
俺は立ち上がり、クーを睨み付ける。
だが、クーも引かない。その目は俺をしっかりと捉えて離さない。
( ;^ω^)「ちょwww二人とも落ち着くお・・・」
ブーンのなだめる声が聞こえるが、俺の苛立ちはもう納まらない。
ただよらぬ空気にクラスが静かになり、全員の視線が俺とクーに向かう。
川 ゚ -゚)「ああ、お前のことなんてわからないさ! メールは返ってこない! 学校でも上の空! 何もわかりはしない!」
クーはより大きな声で言った。
思考より感情が先走る。
- 787名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:33:43.10 ID:HFd9i4740
('A`)「うるさい! 俺はお前らと・・・お前らと・・・!!」
言葉が・・・詰まる。
気づいたら、俺は目に涙を浮かべている。
視界がぼやけて前がよく見えない。
( ^ω^)「ドクオ・・・」
(*゚ー゚)「ドクオ・・・君」
クラスを静粛が包む。
俺の嗚咽がクラスに鳴り響く。
川 ゚ -゚)「ドクオ・・・お前が背負ってるものは何かわからない」
川 ゚ -゚)「だけど、一人で抱え込まないで私たちにも背負わせてくれ」
川 ゚ -゚)「私たちは・・・友達だろう?」
('A`)「!!」
- 798名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:37:51.53 ID:HFd9i4740
その瞬間、俺が背負っていた色んな思いが頭に浮かんでくる。
――トーチャンの期待、自分の甘さ、誰のため? 誰のせい?
俺は、何でこんなに苦しいのだろう?
さっきまで存在していた憎しみが消え、何故か心が温かくなる。
縛られた鎖が外れる。
('A`)「く、クー・・・」
川 ゚ -゚)「私はっ・・・お前が辛い顔をしてるのを見たくないっ・・・!」
クーは俺を静かに抱きしめる。
俺の頭を撫で、しっかりと両手で俺を包み込む。
また、涙があふれる。
- 808名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:41:13.50 ID:HFd9i4740
( ^ω^)「そうだお! 苦しいことは僕達にも背負わせてお!!」
(*゚ー゚)「ドクオ君・・・私たちに出来ることならなんでもするよ?」
ブーンとしぃも・・・どうしてこんなに
('A`)「おまえら・・・うっ・・・ひぐ・・・」
俺の顔はもう涙でぐしゃぐしゃだった。
どうしてこいつらは、こんなにお人よしなんだ。
俺なんかのために・・・
('A`)「ありが、と・・・」
川 ゚ -゚)「ドクオ!?」
俺の体から力が抜ける。
・・・なんだかすごく眠い。
俺は静かに目を閉じる。
- 822名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:48:17.04 ID:HFd9i4740
( ^ω^)「ドクオ!!ちょ、しっかりするお!!!」
(*゚ー゚)「ドクオ君!!誰か、先生よんできて!!」
川 ゚ -゚)「ドクオ、ドクオ!!」
みんなの、俺のことを呼ぶ声が聞こえる。
もう、体が動くことを拒否している。
クラスが大騒ぎになり、騒ぎを聞きつけたわかんないです先生とミルナ先生が
教室に入ってきたところで俺の意識は途絶えた・・・
- 829名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:51:06.93 ID:HFd9i4740
※
眩しい光が差し込んでくる。
目を開けると白い天井が見えた。
・・・ここは、どこだろう。
俺は上半身を起こすと、同時に頭に鋭い痛みが走る。
('A`)「痛っ!!」
今の痛さで、記憶が戻ってくる。
そうだ、俺はクラスで倒れて・・・。
(`・ω・´)「ドクオ!!」
J( 'ー`)し「ドクチャン!!」
('A`)「トーチャン・・・カーチャン・・・」
トーチャンとカーチャンが泣きはらした顔で俺の名をよんだ。
- 837名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:53:22.47 ID:HFd9i4740
('A`)「俺・・・なんでこんなところに・・・」
J( 'ー`)し「あなた、教室で倒れて病院に担ぎ込まれたのよ!」
('A`)「そっか・・・俺、気を失ってたんだ・・・」
病院の壁にかかった時計を見ると、俺はあれから4時間ほど眠っていたらしい。
まだ体はだるく、思うように動かない。
(`・ω・´)「ドクオ・・・すまない・・・!!」
トーチャンは涙を流しながら俺に頭を下げる。
- 846名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:56:14.10 ID:HFd9i4740
('A`)「と、トーチャン・・・?」
(`・ω・´)「私が、お前に負担をかけてしまった・・・! 父親失格だ・・・」
('A`)「トーチャン・・・」
(`・ω・´)「本当にすまないっ・・・!!」
トーチャンは俺に頭を下げて謝る。
なんだか、俺の方まで申し訳なくなってきてしまう。
('A`)「ごめん、俺トーチャンの期待に答えられなかった・・・俺のほうこそゴメン」
(`・ω・´)「いいんだ・・・俺の為にする勉強などしなくていいっ・・・!!」
('A`)「トーチャン・・・ごめん、ごめんよ・・・」
俺は泣きながら、トーチャンとお互いに謝り続けた。
気づいたらカーチャンもまた泣いてた。
3人でたくさん泣いた後、トーチャンがりんごを剥いてくれた。
この時のリンゴの味を、俺は一生忘れない。
俺の人生で、一番おいしいリンゴだった。
- 854名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 16:57:52.67 ID:HFd9i4740
※
('A`) 「あー暇杉・・・」
俺は買ってきた本を読み終え、ベットの上に寝転ぶ。
見飽きた天井、他に見えるところといえば窓から見えるこの町の風景くらいか。
・・・一日だけとはいえ、入院というものはここまで退屈なものとは想像できかった。
「早くしなさいよこのピザ!!」
「ちょwwwまだスリッパ履けてないおwww」
「うっさい!」
廊下が妙に騒がしい。
聞き覚えのある声が近づいてくる。
- 870名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:02:05.27 ID:HFd9i4740
('A`) 「なんだぁ・・・?」
すごい勢いでカーテンが開けられ、お馴染みの顔がひょっこりと現れた。
( ^ω^)「ふふふん、元気かおードクオwwww」
(*゚ー゚)「ちょっと、病院なんだから静かに!!」
( ^ω^)「痛ぁー!!ちょwwしぃちゃんのが騒いでるおww」
('A`) 「お前ら迷惑杉」
本当にこの二人は相変わらずの調子だ。
そして、二人が騒いでいると、後ろから静かな声が放たれる。
「二人とも、ドクオは病人だと言う事を忘れるなよ」
- 885名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:08:18.22 ID:HFd9i4740
('A`) 「あ・・・」
静かに、その声の主が病室に入ってくる。
そして、いつもと変わらぬ調子で俺の顔を見る。
川 ゚ -゚)「元気そうだな、ドクオ」
('A`) 「クー・・・」
俺は何か言おうと言葉を探す。
だが、何も思い浮かばずクーの瞳を見つめ続ける。
クーもまた、何も言わずに俺の目を見つめ、微笑んだ。
- 891名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:13:24.38 ID:HFd9i4740
(*゚ー゚)「ちょっと、ジュース買ってくるね。ブーン、いこ?」
( ^ω^)「え、僕は別にあべしっ!!」
(*゚ー゚)「はいはい、じゃあ行こうね」
( ^ω^)「は、はい・・・」
ブーンはしぃと一緒に病室を出ていき、
二人残された病室で、俺とクーの目線が交差した。
- 895名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:20:55.04 ID:HFd9i4740
「クー・・・」
「ドクオ・・・」
「・・・俺、お前に言い忘れてたことがあったんだ」
「・・・なんだ?」
「俺は、お前のことが好きだ」
「・・・そうか、奇遇だな」
「私も、お前のことが好きだ」
俺のペンは動き始める。
誰の為でもない、自分の為に。
色々遠回りをしたけれど、俺のペンはようやく指すべき方向決まったようだ。
- 900名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:22:40.56 ID:HFd9i4740
('A`)ドクオのペンは進まないようですは、
これで、終わりです。
よんでくれてありがとうございました
- 925名前: ◆NscXkUt6VE 投稿日: 2006/12/09(土) 17:26:16.69 ID:HFd9i4740
※あとがき
少し長くなってしまいましたが最後まで完結することが出来て嬉しいです。
最後まで終盤の展開は考えていたのですが、あまりgdgdやっても仕方ないので
さらっと終わるようにしてみました。
これを読んでくれた人みなさんに感謝です。
ありがとうございました
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