('A`)ドクオの気持ちは終わらないようです
- 1 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:03:32.08 ID:NSPKsK/90
('A`)「俺・・・お前のこと、好きだぜ?」
ξ゚听)ξ「・・・え?」
ストレートな自分の気持ちをぶつける。
突然の告白を受け、女は頬が赤くなる。
人気の無い裏庭。
若い男女が今、結ばれようとしていた――。
ξ゚听)ξ「あー、ごめん・・・。私、他に好きな人いるから」
('A`)「へ?」
聞き間違いだろうか? うん、そうに違いない。
だってだって、授業中、何回も目とか合ってたんだぜ?
恋愛の本でも、最高の相性って書いてあったんだぜ?
- 3 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:08:49.26 ID:NSPKsK/90
('A`)「あ、あの。その好きな人って、俺じゃなくて?」
ξ゚听)ξ「当たり前じゃん。何言ってんの?」
('A`)「あ、あぁ〜そうなんだ。ふーん・・・」
ξ゚听)ξ「もういいよね? もう私行くから」
そう言い、俺の好きな――いや、好きだったツンは裏庭を後にした。
残された俺は冷静に状況を確認する。
('A`)「待て待て、冷静に考えよう」
俺はツンが好きだった。だから裏庭に呼び出して告白した。
ツンは、他に好きな人がいるからごめん、と謝った。
すなわち、ここから導かれる結論は――
('A`)「なるほど! 俺は振られたってことか!」
高校2年目の秋、俺の記念すべき31回目の失恋であった。
- 6 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:14:10.19 ID:NSPKsK/90
※
('A`)「うっうう・・・バカヤロー!!」
(;^ω^)「だーからツンは無理だって言ったんだお」
(´・ω・`)「まあ、無謀な挑戦だったね」
敗戦から3時間後、神社に俺の叫びがむなしく響く。
俺は近所に住む幼馴染(全員男)どもに愚痴をこぼしていた。
('A`)「ツンの奴だってあたかもその気があるよーな行動とりやがって・・・」
( ^ω^)「ほお、どんな行動だお?」
('A`)「授業中、ずっと見てたらチラチラこっち見たりわざわざ俺の近くで話したり」
(;^ω^)「・・・」
(´・ω・`)「自意識過剰、乙」
ショボンがむなしく結論を下す。
わかってます、それくらいわかってますよー。・・・けどさ、
- 7 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:17:16.64 ID:NSPKsK/90
('A`)「勘違いしちゃうもんなんだよぉぉ!!」
手が触れた→フラグ
消しゴム拾ってもらった→フラグ
笑顔で話しかけてくれた→超フラグ
( ^ω^)「まあ、漫画とかだとそうかもしれないお・・・」
('A`)「だろ? こいつ俺に気があるのかなーって思っちゃうだろ!?」
(´・ω・`)「けど、僕だってツンに消しゴム拾ってもらったことあるよ」
ショボンが静かにため息をもらし、一言。
(´・ω・`)「つまり、彼女にとって君は特別な人物ではない、その他大勢の一人だったんだ」
('A`)「あ・・・ああ・・・ヴォ」
・・・冷静になって思い返す。
たしかに、自分の妄想で補った部分が50・・・いや、95%を占めている。
- 8 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:21:54.06 ID:NSPKsK/90
('A`)「ヴェノアー!!」
(´・ω・`)「あ、壊れた」
(;^ω^)「ショボンがはっきり言い過ぎるからだお」
(´・ω・`)「ま、早めに現実に戻してあげないと痛い行動とりそうじゃん」
('A`)「うるせーうるせーうるせぇぇ!!」
俺は発狂する。
そして二人の方を向き、宣言した。
('A`)「俺は金輪際、恋愛をしないぞお!!!!」
生涯最大の宣言。
もう傷つくことは、嫌なんです――
- 10 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:24:52.95 ID:NSPKsK/90
( ^ω^)「はいはいわろすわろすwww」
(´・ω・`)「何回目だろうね、その宣言」
('A`)「おいおい、俺は今度ばかしは本気と書いてマジ、だぜ?」
俺は腕を組み、フンッと鼻を鳴らす。
女なんてもういらねぇ。
よく考えれば金もかかるし面倒そうだ。いや、絶対にそうだ。
('A`)「俺は女なんて大嫌いだー!!」
俺は夜空に向かって叫ぶ。
星の輝きが、俺の勇気にエールを送っているように見えた。
(´・ω・`)( ^ω^)(絶対1ヶ月持たない(お・・・)
- 12 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:31:05.05 ID:NSPKsK/90
※
('A`)「さあ、張り切って今日も学業に励むぜ!!」
俺は学校に来るなり、授業の予習を始める。
将来のために自分を磨く。
そう、俺は今日から生まれ変わるのだ。
(;´・ω・`)「いかんね・・・これは」
( ^ω^)「完全に重症患者ですお」
('A`)「ふ・・・君達もたまには有意義に時間をすごしてみてはどうかね?」
(;´・ω・`)(;^ω^)(きめぇww)
- 15 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:35:42.49 ID:NSPKsK/90
そんな二人を他所に、俺は一時間目の授業の予習をする。
そしてチャイムと共に担任のモララー先生が入ってくる。
( ・∀・)「うぇーい。ホームルームを始める・・・ってうぉ!」
先生は、その信じられない光景に驚く。
無理もない、いつも赤点スレスレの生徒が勉強をしているのだから。
( ・∀・)「ど、ドクオ・・・お前、熱でもあるのか!?」
('A`)「いえ、別にないですけど」
( ・∀・)「し、信じられん・・・あのドクオが勉強するなんて・・・」
( ;∀;)「やはり、俺の指導は間違っていなかった!!」
モララー先生は男泣きをしている。
大げさだな。まぁ悪い気はしないけど。
- 16 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:39:46.42 ID:NSPKsK/90
('A`)「先生、早くホームルームやっちゃってください」
( ・∀・)「お、おお。そうだったな」
先生は涙を拭き、いつもの顔に戻る。
( ・∀・)「あー、実は転校生がうちのクラスにくることになってな」
急に教室がざわめく。
どの学校も、転校生というのは特別なイベントの一種なのだ。
女子はイケメンを期待し、男子は可愛い子を期待する。
('A`)(ま、俺には関係ない話だ)
俺は自分磨きに戻るべく、予習を続ける。
( ・∀・)「えー、ラウンジ県から転校してきたしぃ君だ」
(*゚ー゚)「えっと、しぃです。みなさんよろしくお願いします」
男子から歓声が上がる。
・・・女子か。ふ、くだらん。
- 17 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:43:53.56 ID:NSPKsK/90
俺は転校生に見向きもせず、予習を終える。
( ・∀・)「それじゃあ席は・・・うん、そこを使ってくれ」
(*゚ー゚)「はい」
そう言うとしぃ、と呼ばれた転校生が教室を歩く。
その足音が近づいてくる。
やがて、その足は俺の隣で止まった。
('A`)「・・・ん?」
隣の席に視線を移す。
ふと、そこに座った人と目が合った――
(*゚ー゚)「あ、よろしくね」
('A`)「――!!」
電撃が体中を走った。
脳内からアドレナリンが放出し、一気に脳細胞が入れ替わる。
これは、これは――!!
- 18 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:48:06.98 ID:NSPKsK/90
('A`)「ふ・・・俺ドクオ、よろしくな」
(*゚ー゚)「うんwよろしくね」
素早くポケットから手鏡を出し、髪型をチェック。
手で髪の毛を大雑把に整え、さりげなく笑顔の練習もする。
('A`)「ふふ、こんな時期に転校なんて珍しいね」
俺は最高の笑顔を作り、クールに話しかける。
(*゚ー゚)「うん、親の都合でこっちのほうに来たんだ」
('A`)「そうか・・・大変だね。わからないことがあったらなんでも僕に聞いてね」
(*゚ー゚)「うん、ありがとwえっと、ドクオ君」
('A`)(うおおおー!!! なんて破壊力! エンジェルの笑顔か!?)
- 22 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:51:46.94 ID:NSPKsK/90
俺は動揺を悟られないよう静かに一人微笑む。
('A`)「一時間目の授業は・・・ふ、英語か。朝飯前だぜ」←独り言
(*゚ー゚)「ドクオ君、英語得意なの?」
し、信じられない!!
彼女の方から積極的アプローチだと!?
('A`)「まぁ、ね。多少たしなむ程度だよ。ふふっ(笑)」
(*゚ー゚)「そうなんだ〜すごいなぁ。私は少し苦手だよ」
('A`)「ま、英語なんて所詮言語。コツを掴めば簡単だよ。ふふっ(笑)」
なんてこった・・・彼女に関心されてしまった。
これは、まさかフラグなのか!?
- 27 :猪(病気がち):2006/12/12(火) 18:55:51.18 ID:NSPKsK/90
('A`)(神よ、あなたはまだ俺を見捨てていなかったのですね!)
初めて神の存在に感謝した。
そうしているうちに英語の授業が始まる。
さっき予習したので、いくらバカな俺でも内容は理解している。
(*゚ー゚)「ここ、どうやるのかなぁ・・・」
おっと、困っている女を見過ごすほど俺は腐っちゃいないぜ?
('A`)「ここの日本語訳はトムはプレイボーイです、だよ」
(*゚ー゚)「ドクオ君、ありがとう」
('A`)(エンジェルスマイル――!! うほぉぉぉぉぁぁぁぁあ!!)
- 33 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:00:45.34 ID:NSPKsK/90
幸せなら手を叩こう♪
しーあわっせなら手を叩こう♪
心の中で自然と歌が流れ、俺のテンションゲージが大幅に振り切れる。
('A`)「っふ、この程度のこと礼にはおよばないさ(ニヤリ」
クールに、あえてクールに振舞う。
これぞ今時のちょいクール男。
俺は心臓を激しく鼓動させながら、その授業をクールに乗り切った。
('A`)(もしこれがドラマ化されたら、俺の役はキムラタクマだな・・・ふふ)
- 41 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:06:21.50 ID:NSPKsK/90
※
('A`)「あいあいあいあーん♪」
(´・ω・`)「氏ね」
( ^ω^)「失せろお」
('A`)「ちょwwそれが10分休みに訪れる友人に対する口かww」
俺はブーンとショボンの席にやって来る。
うんざりするほど見飽きた面子だが、今日は何故か心地よい。
('A`)「むふ、むふふ」
(;^ω^)「きめぇwww」
俺は自然にこぼれる笑みを必死でこらえる。
そう、今の俺の状態を言葉にするならエクザエリィ←勝手に作った言葉
('A`)「いいこと教えてあげようか♪」
(´・ω・`)( ^ω^)「聞かない」
俺はワクワクと目を輝かしている二人に言う。
- 43 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:13:23.50 ID:NSPKsK/90
('A`)「恋・・・始まりました」
ああ、恋。なんと素晴らしい響きだろう。
ワンダフル、いやアンビリーバブル・・・
('A`)「言葉では言いあらわせないの〜♪」
(´・ω・`)「ああー・・・始まってしまった」
( ^ω^)「32回目が始まってしまったお・・・」
('A`)「へへ・・・お前ら俺が先に彼女作ったからってやきもち焼くなよ?」
(´・ω・`)「何を・・・言っているんだ。彼は一体何を言っているのだ!!」
( ^ω^)「だめ、だめよ! 落ち着いて、誰かー! 救急車を!」
('A`)「ふふ、お前ら可愛い奴らだ♪」
嫉妬にまみれる二人を他所に俺の頭に想像が広がる。
- 46 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:17:45.54 ID:NSPKsK/90
※
庭付き一戸建て、決して大きくはないが駅が近く落ち着いた感じの家だ。
朝は彼女の味噌汁の匂いで目が覚める。
('A`)「うーん、もう朝かぁ・・・」
(*゚ー゚)「あら、あなた。おはよう」
('A`)「ん、おはよう・・・。ってあぁ! もうこんな時間じゃないか!」
俺は慌ててパジャマを脱ぎ、スーツに着替える。
そのまま顔を軽く洗って目を覚まし、鞄に書類を詰め込む。
('A`)「どうして起こしてくれなかったんだ!
(*゚ー゚)「やだ、今日は日曜日よ?」
('A`)「・・・へ?」
ふと、その言葉で我に返る。
そうだ、今日は日曜日で仕事は休み。だから目覚ましもかけていなかったのだ。
- 50 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:21:33.59 ID:NSPKsK/90
('A`)「なぁんだ。焦っちまったぜ」
(*゚ー゚)「ふふ、あなたって本当にあわてんぼうねw」
('A`)「こいつぅ♪」
(*゚ー゚)「きゃっwもうこんな所で〜危ないでしょー」
日曜日の朝、二人で子供のように戯れる。
そうだ、子供が生まれたら犬も飼おう。
そんな幸せをかみ締め、今日も俺の一日が始まるのであった――
完
( ^ω^)「あのー、もしもーし」
(´・ω・`)「勝手に終わらせられてもすごく困るんだけど・・・」
- 53 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:27:23.32 ID:NSPKsK/90
('A`)「ま、お前らも結婚式には招待してやっぜw」
出来ることならこの幸せをこいつらにも分けてやりたいくらいだ。
俺は輝かしい未来を見つめ、自然と笑みが浮かんでくる。
( ^ω^)「もう突っ込まないお。ただ・・・」
(´・ω・`)「君の結婚予定の方、なんかちょっかいだされてるよ?」
('A`)「ふふ、もう後ろから抱きつくのは・・・ってなにぃ!?」
その言葉で我に返り、しぃの方を見る。
すると、しぃにある男子生徒が気さくに話しかけていた。
- 57 :猪(子持ち):2006/12/12(火) 19:30:58.58 ID:NSPKsK/90
( ,,゚Д゚)「そうなんだ。まぁどこも似たようなモンなんだな」
(*゚ー゚)「うん、でも意外だなぁ。私、こっちのことあまり知らないから・・・」
( ,,゚Д゚)「あ、じゃあよかったら案内しようか? 結構いいお店しってるんだ」
(*゚ー゚)「ほんと? じゃあお願いしちゃおっかな」
な、なんだあれは!!
どこの馬の骨じゃけんのぉ!? おおぉ!?
('A`)「俺の嫁にちょっかい出しやがって・・・ちょっといってくらぁ」
( ^ω^)「ちょ――」
俺はブーン達の席を離れ、しぃの方へ向かう。
なんだ、なんだなんだ何様だあの野郎!!
あれは、確か硬派気取りしてるギコ。
('A`)(ヤロー、硬派ぶっといて人の女に手を出すとは・・・許すまじ)
俺の闘志に火がついた。ついでに油も注がれた。
まさに心はヒート、思いはバーニング状態である。
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