( ´_ゝ`)兄者はバルトアンデルスのようです
- 239:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:11 8XmsepZ20
その5:「( ゚∀゚)ジョルジュの2月14日なようです」
- 240:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:12 8XmsepZ20
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( ゚∀゚)「どうも、ジョルジュ長岡です」
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( ゚∀゚)「自己紹介がめんどっちいので、さっさと始めさせてもらいます」
- 241:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:12 8XmsepZ20
商店街の一角、とあるコンビニの店内。
今日はシフトが入ってたんで、俺ははるばるバイトに来てる訳だ。
ここでの職歴はついに5年に達し、もはやベテランの領域だと自分では思っている。
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( ゚∀゚)「テニプリ流石だなwww」
バックスペースに籠り、売り物の週刊少年ジャンプを読む俺。
「真面目にテニスしてるっぽいバトル漫画」ことテニプリが、バイト時間での唯一の楽しみだ。
('A`)「……ジョルジュさん。アンタも仕事してくれませんか?」
俺の至福の時を妨げるこの男。
4年ほど前からこの店でバイトをしていて、名前はドクオという。
背格好はイマイチだが、顔は……ごめん、やっぱイマイチだったわ。
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( ゚∀゚)「やだよ。めんどくせー」
即答し、もちろん拒否。
2人でやってんだから、1人ぐらいサボっても罰はあたらんだろう。
('A`)「内部告発しますよ?」
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( ゚∀゚)「それは困る」
ごめん、前言撤回。
ちゃんと働かないとね、うん。
クビになるのだけは絶対にイヤだしな。
郷に入っては郷に従えって言うしね。謝って許してもらおうとも(ry
- 242:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:12 8XmsepZ20
店内をうろつきながら、商品の陳列。
すでに陳列してあるものは賞味期限を確認し、古くなっているものは取り除く。
長々とコンビニでのバイトをしてるんで、慣れてしまった単純作業。
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( ゚∀゚)「……おっ、これ賞味期限切れてるじゃん」
そんな作業の中、期限切れの弁当を発見。
その弁当をパッと手に取り、当然のようにバックスペースに運ぶ。
ドクオに見られてるような気がしたが、そんな些細なことは気にしない。
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( ゚∀゚)「どうせ廃棄なんだしな」
弁当を自分の荷物の近くに置き、店へ戻る。
バックスペースから顔を出してみると、偶然にもドクオと目が合った。
('A`)「バレンタインにバイトしてる俺達って……一体何なんでしょうか」
俺の顔を見るなり、ため息混じりに一言。
そんなに憂鬱そうな声で話しかけるな。こっちまで憂鬱になるだろーが馬鹿。
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( ゚∀゚)「ハッ! バレンタインに浮かれるのなんて童貞だけだっつーの」
- 243:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:13 8XmsepZ20
コイツはいつもこうだ。
クリスマスやバレンタインが来る度に。
その時期になると憂鬱っぽさが最高潮に達し、ネガティブオーラを撒き散らしやがる。
('A`)「ところで……彼女とかいないんすか?」
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( ゚∀゚)「いねーよ。同棲してる女はいるけど」
('A`)「ついに妄想っすかwww脳内乙wwwww」
コイツにだけは言われたくない、ガチで。
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( ゚∀゚)「まあ居候なんだけどね」
('A`)「さらにありえねーよwww妄想きめぇwwwww」
なんだコイツ。
急にハイテンションになりやがって。
極光食らわして黙らしちゃってもいいでしょうかね?
- 244:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:17 8XmsepZ20
なんつーか、うっとうしい。
普段黙ってるんだから、こういう時も黙ってろよと。
そんなドクオをどうにかして黙らせようと思い、答えにくそうな質問をしてみる事にした。
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( ゚∀゚)「ならよぉ、そういうお前はどうなんだよ?」
('A`)「俺すか? 俺はもちろんいませんよ」
何のためらいもなく答えるドクオ。
これはこれで男らしいのかもしれないが、とてつもなく格好悪い。
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( ゚∀゚)「“もちろん”って自分で言ってる時点でもうだめだ」
('A`)「でも……恋はしてますよ、ええ」
この時、ドクオの表情が変わった。
死人のように生気が感じられない顔が急変し、妙にキラキラ輝きだした。正直キモイ。
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( ゚∀゚)「ストーカーはよくないぞ」
('A`)「ちげーよ」
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( ゚∀゚)「一方的な好意はストーカーと変わんねーぞ」
('A`)「あんまりだ」
- 245:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:18 8XmsepZ20
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( ゚∀゚)「……で、その相手ってのはどんな女だ?」
('A`)「それが……よくこの店に来る、高校生ぐらいの女なんすよ」
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( ゚∀゚)「スペックkwsk」
正直ドクオに興味はないが、その女ってのは気になる。
常に憂鬱っぽいこの男は、一体どんなクリーチャーに惚れたのか――と。
('A`)「顔もスタイルもよくて、黒のストレートで……」
ほうほう、それからそれから?
俺はもっと正確なデータが知りたいんだよ。
胸のサイズとか、バストのサイズとか、おっぱいのサイズとか。
('A`)「んでもって、なんかクールな感じがする娘なんすよ」
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( ゚∀゚)「ごめん特定した」
どう考えてもクーです。
本当にありがとうございました。
- 246:◆wUOiOOQQF. :03/29(木) 01:19 8XmsepZ20
('A`)「mjsk?」
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( ゚∀゚)「ああ。お前には100%無理だから諦めろ」
ガチで。
自分の顔を見てから相手を選べってモンだ。
(;'A`)「なんで!?」
無理と聞いて、やたら食いつくドクオ。
そんな簡単な事も分からないなんてもうだめだ。
鏡を見てみろ。そこに映っているグロ画像がお前の姿だ!
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( ゚∀゚)「悪いことは言わん、やめとけ。あいつの奇人ぶりは常軌を逸している」
ドクオの顔の事もあるが、その相手も相手だ。
あんな危険な女を好きになるなんて、どういう神経の持ち主だよ。
まあ……見た目はかなりいいから、しょうがないのかもしれないが。
(;'A`)「……はぁ?」
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( ゚∀゚)「お前の想い人……クーは変人だ。しかも最上級のな」
(;'A`)「変人って……どんな風にですか?」
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( ゚∀゚)「聞かないほうがいいぞ。知らんほうがマシだ」
- 257:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:42 zge6EPUM0
俺はそう言うと、話を切った。
クーの事を教えろとせがむドクオを無視し、せっせと陳列。
('A`)「教えてくださいよー」
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( ゚∀゚)「寄るな! ついてくんな! キモイ!」
しつこい。
無理だと言ったら無理なんだよ、普通に。
同じ事を2度も言わせないでほしいものだ。
ふう――と大きく息づいてから、ドクオへと向き直す。
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( ゚∀゚)「……いいか、ドクオ。よく聞けよ?」
('A`)「アイアイ! サー!」
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( ゚∀゚)「2度同じ事を言わなきゃいけないのは、ソイツが“頭が悪い”って事だ」
そこで言葉を切り、一呼吸。
人を小馬鹿にしたようなため息の後、立ち去り際にキッパリと言い放つ。
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( ゚∀゚)「無理だから諦めろ」
- 258:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:42 zge6EPUM0
酷いようではあるが、真実だ。
その所以は多々あるが、最も重大なのは顔だと思う。
('A`)「俺は……本当の事が知りたいんだッ!」
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( ゚∀゚)「くどい! 無理なモンは無理だって――」
ドクオに怒鳴ろうと振り返った、その時。
自分の目が捉えた映像に、ジョルジュは言葉を切った。
視線の先は、店の入り口。
見ているものは、そこに立つふたつの影。
店の自動扉が音を立てて開き、2名の客が入ってきたのだった。
- 259:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:44 zge6EPUM0
入ってきたふたつの人影。
かたや男で、もう片方は女。
それらはどちらも見覚えがあり、一目見て特定してしまった。
ミ,,゚Д゚彡「俺、参上」
(*゚∀゚)「やっほ〜、ジョルジュ! 遊びにきたよ〜!」
茶色のフサフサと、邪気眼煮込み。
毎日見ているのでもはや見飽きてしまった、フサとつーだった。
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( ゚∀゚)「帰れ」
ガチで。
どうせ邪魔しに来ただけなんだろうし。
ミ,,゚Д゚彡「把握」
(*゚∀゚)「阻止」
ミ,,゚Д゚彡「あら残念」
- 260:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:45 zge6EPUM0
そんなやりとりの後に、歩き始めるつーとフサ。
何かを買うつもりなのかは分からないが、店内の徘徊を始めた。
(;'A`)「……え、なに? なんすかあの女!?」
店の中を歩いてゆくつーの背中を見つめながら、ドクオが騒ぐ。
傍にいるジョルジュにしか聞こえない程度のトーンで、かつ興奮気味に。
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( ゚∀゚)「ウチの居候。あっちのフサフサもな」
(;'A`)「マジすか? 現実だったのかよ……」
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( ゚∀゚)「だから言ったじゃねーか」
- 261:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:45 zge6EPUM0
('A`)「……はぁ、鬱だ」
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( ゚∀゚)「敬意を払え」
ここぞと言わんばかりに勝ち誇る俺。
妄想だの脳内だの言われてたんで、正直メッチャ嬉しい。
そんな俺の顔を見たドクオは、沈黙。
ただ黙ってクルリと踵を返し、そのまま仕事を始めた。
生気の感じられない無表情で、宙を虚ろに見つめている。
その姿はとても落ち込んでいるようで、それを見た俺は思わず――
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( ゚∀゚)「勝った」
――と、呟いてしまった。
勝利って素晴らしいね。
どうやら、今日も清清しい一日を送ることができそうです。
- 262:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:46 zge6EPUM0
そんなコンビニの、周辺の道路にて。
つーやフサと同様、ジョルジュと面識のある者達が近づいてきていた。
徐々に迫り来る、男1名女2名のグループ。
だが、店内にいるジョルジュがその事に気付く訳がない。
( ´_ゝ`)「――で、高岡。なんでコンビニなんだ?」
从 ゚∀从「お前にやるモンなんだからな。コンビニで充分だろ」
川 ゚ -゚)「それもそうだな」
兄者とクー、そして高岡。
歩く速度はゆっくりではあるが、確実にコンビ二までの距離を縮めてゆく。
- 263:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:46 zge6EPUM0
そして、その一団の反対側。
兄者達から真正面に位置する道を、1組の男女が歩いている。
(;^ω^)「……ツン、アレは一体何だったんだお!?」
ξ゚听)ξ「“元”チョコよ。ちょっと失敗したけどね」
喋りながら歩く2人の正体は、ブーンとツン。
歩の進む先にあるものは、兄者達と同じくコンビニ。
手作りチョコに失敗したツンは、見た目を良くしようと試みた。
しかし、見事に大失敗。
さらにドス黒くなった球状のチョコは、もはやダークマター。
連絡を入れてブーンを呼び出し会議した結果、そのダークマターは廃棄処分されたようで。
(;^ω^)「アレが……チョコ? あのドス黒い塊が……チョコなのかお!?」
ξ;゚听)ξ「さ、さぁ! さっさと行くわよ!」
ブーンの言葉を無視し、がむしゃらに駆け出すツン。
自分でも驚くほどの大失敗を、できる事なら忘れたい――と、彼女は思った。
- 264:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:47 zge6EPUM0
――ふと、ツンの足が止まる。
その場所は、コンビニの前。
しかし、そこに到着したから止まった訳ではない。
ξ゚听)ξ「あ」
己が瞳が捉えた光景。
それは、三人一組の男女。
奇妙なまでの巡り合せに、彼女は思わず足を止めたのだった。
- 265:◆wUOiOOQQF. :03/31(土) 19:54 zge6EPUM0
从 ゚∀从「よぉ、ツン!」
川 ゚ -゚)「これは偶然だな」
( ´_ゝ`)「ほう、これはこれは……」
ツンの視線の先にいたのは、兄者達3人。
偶然か必然か、ちょうど同じタイミングでコンビニに到着したようで。
ξ゚听)ξ「みんな……どうしてここに!?」
川 ゚ -゚)「チョコを買いに来たのだ」
从 ゚∀从「そっちは?」
ξ゚听)ξ「まぁ、私も同じ用件……かな」
( ´_ゝ`)「これはひどい偶然」
兄者にクー、高岡。そして、ツンとブーン。
今――偶然に偶然が重なって、5人の若者が一軒のコンビニの前に集まった。
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