( ^ω^)ブーンの力は役立たずのようです。

214: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:04:01.52 ID:8N3abdHZ0
  
――誰かが叫んでいくかと思ったが、皆険しい顔で無言のまま飛び出した。
一瞬走る方向と逆を確認したけれども誰かが居る様子は無かった。それを理解してからは、
ただ走ることに集中する。風景が見えない、とにかく長い廊下の向こうを考えて走る。
階段を下りるときの曲がり方はどうしようか、降りた後家庭科室までの道はどんな感じだったか、
考えてはぐるぐると頭を回り続ける。
左前にドクオが見える。そんなに足速かったのか、意外だ。ほぼ隣にジョルジュ、見えないから
きっとショボンとツンは後ろ。確認する余裕は、無い。

 曲がり角に誰かが居たらどうしようか、足がもつれそうだ、今後ろに誰かが来ていたらどうしようか、
不安ばかりがブーンの頭に積み重なっていく。やがてドクオが曲がり角に差し掛かり、向こう側が
見えるようにやや大きめに曲がった。先陣を切っているそのプレッシャーはどんな物なのだろうかと
想像してブーンはゾクリとした。
そしてブーンも曲がり角に差し掛かる。ドクオが先に行っていた分いくらか不安は少なかったが
それでも息が詰まる程の緊張感を感じた。今のところ事は順調に運んでいた。このままいけば
本当にうまくいくかも知れない、そんな考えがブーンの脳裏をかすめる。



215: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:05:21.28 ID:8N3abdHZ0
  
 階段を1段1段下りるのは、非常にもどかしく感じられた。それに全速力で走っている所為か
息が苦しくなってきていた。手すりに掴まりながら残りの数段をジャンプして折り返す。
一階に着けば家庭科室はすぐそこだ。
ブーンは酸欠で締め上げられていく肺を誤魔化しつつひたすら走る。

 最後の4段をすっ飛ばしてブーンは一階に降り立つ。誰かが居る気配はまだ無い。
ここで一度玄関を通り過ぎる。そこに誰かが居たらどうしようかとブーンはさらに思考を進める。
そう言えばツンとはここで別れるのかと思い出したが、勿論後ろを振り返ることは無い。
通り過ぎる瞬間玄関をチラリと見たが、どうやら誰も居ないようだった。勿論隅から隅まで
確認したわけではないから安心は出来ないが、それでもこの情報はブーンのプレッシャーを
大分軽減した。
前を見るとドクオがバランスを崩しつつも家庭科室のドアを開けて中に滑り込んだ。
誰かが待ち伏せしているかも知れないと言うのに躊躇いもせず入るドクオを見て、再度
ブーンはドクオを尊敬する。



216: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:07:12.69 ID:8N3abdHZ0
  
そしてブーンもドアまで辿り着き、縁に手を掛け中へ入ろうかとした時、衝突するくらいの勢いで
ドクオが中から飛び出してきた。しかし、まるでぶつかる事を気にする様子も無くドクオは、
すれ違い様に呟いて走り出した。

('A`)「見つけた。戻れ」

大声なんかではなくブーンだけに聞こえるような小さな声で、声色は真剣そのものだった。

 その言葉を聞いて理解するまで家庭科室を眺めること2秒、ブーンは『見つけた』の主語を
理解し急いで踵を返す。大丈夫だ、玄関には誰も居なかったし誰の鍵かは分からないけど、
これでとりあえず一人減る。ブーンは安堵しつつも後ろから追ってきた2人にジェスチャーを
してドクオの応援に回した。
が、二人は玄関の方を見たまま動かない。
ブーンに嫌な予感が走った。それも心臓が豆1粒くらいに圧縮されそうなほどの。
人を不安にさせる、そんな表情を2人がしていたからだ。
絶対に見たくはないけれども見に行かずにいられなかった。
ブーンは乱れる呼吸を必死で抑えながら2人の元へ向かった。
そして玄関を見て背筋に寒いものが走った。

('A`;)「ハァッ! ……ハァ……! ハァッ……ッハァ……」
( ´_ゝ`)「そんなに慌ててどこへ行くんだ?」
(´<_` )「流石だな、兄者」



217: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:10:07.72 ID:8N3abdHZ0
  
 そこにはさっきまでは居なかったはずの流石兄弟が居た。
兄者が丁度錠の前に立ち剣を構え、その剣先から2メートル程離れたところに弟者が弓を構えて
立っている。引いてはいないものの弓をかわしたとしても、弟者をすり抜けるときに左右どちらかに
動かなければいけないので、兄者の剣をかわすことが極めて困難だった。

(;^ω^)「……」
('A`)「なぁ、兄者」
( ´_ゝ`)「なんだ?」
('A`)「2対1はよぉ、さすがにねぇと思うんだわ」

ドクオはまるで雑談をするかのような口調で話し始める。

(´<_` )「ドクオさん、寝ぼけてるんですか? これはゲームながら殺し合いですよ?」
('A`)「んなこたわかってる。ただそっちは見れば随分ゴツイ武器持ってるじゃねぇか、しかも
    俺たちは今日いきなり戦場に放り込まれたわけだ。こりゃねぇよ」
(´<_` )「だから――」
( ´_ゝ`)「弟者、いい。……ドクオ、1人外れろとでも言いたいのか?」
('A`)「いや、こっちにもう1人俺の場所まで安全に来させてくれ」
( ´_ゝ`)「誰だ?」
('A`)「……ブーン、来てくれるか?」
(;^ω^)「……」
('A`)「強制はしねぇ。逃げたきゃ逃げていいぜ。鍵を持ってるのは俺だから最悪追いかけられても
    来るのは一人だ。だけどよ……来てくれないか」

その声が震えていた。



218: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:12:18.61 ID:8N3abdHZ0
  
 この申し出を受け入れること、それは死を受け入れることに等しいとブーンは思った。
死を前にして体裁を気にして友情を優先する必要などあろうか。心が揺れているのは自分が
未だ温い覚悟で居るからなのだろうか。ブーンは葛藤する。
そして納得のいく結論が出ないまま言葉を口にした。

( ^ω^)「……わかったお」
('A`)「マジかよ……今俺すっげぇうれしいわ」

断ることなんて出来なかった。長く染み付いた顔色を窺う生活のせいか、それとも今後仲間との
連携に支障が出るからなのか、自分の判断の根拠は分からなかったが、ブーンはこのドクオの
言葉に胸が温かくなっていくのを感じた。

('A`)「ショボン、ジョルジュ、お前ら早く行け」
(´・ω・`;)「な、何言ってるんだよドクオ」
(;゚∀゚)「そうだぜ、そんなこと出来るかよ」
('A`)「大丈夫だ、逃げれるって。これで終わりじゃないんだ。早くしろ」
( ^ω^)「ドクオの言うとおりだお。二人とも早く行くお」
(;゚∀゚)「……絶対帰って来いよ」
(´・ω・`;)「ジョ、ジョルジュ!?」
( ゚∀゚)「ショボン、俺たちがここに居ても役に立たねえ。……行こう」
(´・ω・`;)「……ゴメン、ドクオ、ブーン」

なんとなくブーンは自分が正義の味方になったような誇らしい気持ちになった。
同時に今からでも2人と一緒に逃げ出したいという気持ちもあった。



220: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:14:42.94 ID:8N3abdHZ0
  
( ´_ゝ`)「大した度胸だな」
('A`)「へっ、自分でも惚れそうだぜ」
(´<_` )「兄者、あいつらは……」
( ´_ゝ`)「放っておけ。ここに居る限り俺たちの勝ちだ」
(;^ω^)「……」

と、流石兄弟が話している隙にドクオがブーンにゆっくりと近づき小声で囁いた。

('A`)(ブーン、お前はとにかく兄者の剣を掴め。どこでも良い、掴め。その間に俺はこの鍵を開ける)
(;^ω^)(掴めって簡単に言うなお……)
('A`)(何とかしろ。俺が出てすぐ後、左から行け)

ドクオの考えはこうだった。とにかく突っ込んで鍵を開ける。恐らく不意を突かれた弟者は
兄者に任せようとする。勿論狙うと兄者に当たる危険性があると言うことも加味してである。
そして兄者の剣はブーンが封殺する。勿論ブーンにそんな技を期待しているわけではない。
自分が先に行って切られることで隙を作ろうと考えていたのだ。痛みを感じなければどうって
ことは無い。死ぬよりはマシだろうと。右手に鍵を持って右側から行けば、左腕が切られても
大丈夫だろうと。片腕を失う可能性は十分あるが、もう覚悟は出来ていた。

('A`;)「畜生、きっと今俺最高にかっこいいぜ」
(;^ω^)「……」



222: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:16:53.25 ID:8N3abdHZ0
  
 それに対しブーンはかなり怯んでいた。剣に素手で近寄っていってそれを取り押さえるなんて、
どこぞの達人でも難しいんじゃないかと。それでも、自分のできることを考えるとそれしか
ないようにも思える。自分が使えるカードは刃物の切れ味を落とすと言うことだけ。
それならば兄者の剣を無効化する以外に方法は無いのかと考え、足が下がろうとするのを
必死で我慢する。

( ´_ゝ`)「さて、遺言でも聞こうか?」
('A`)「いや、特にねーわ」

そう言うや否や、ドクオが走り出した。それを見て一瞬戸惑ったがブーンも走り出す。
目指すは弟者の左脇をすり抜けた向こうにある兄者の剣。
走り出してからは、どうにでもなれとブーンは腹を括った。

('A`)「ヴッ!」

突然潰れた悲鳴がして、ドクオが視界から消えた。思わず声の方を見ると、どういうわけか
ドクオが地面に突っ伏している。転んだということを理解するまでに1秒かかった。
そして、その1秒に加えて前を向きなおすのに1秒、その2秒の間に兄者の剣はブーンの
目の前まで振り下ろされていた。鼻の奥がキュッと詰まったような感覚にブーンは目を瞑る。

(;-ω-)「――!」



223: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:19:32.68 ID:8N3abdHZ0
  
身をギュッと縮めて目を瞑る。その時に対する儚すぎる抵抗。
けれども訪れない。
時が永遠に伸びたかのようにその時が訪れないのだ。
この体験をブーンはつい最近一度していた。

川 ゚ -゚)「……内藤には手を出させない」

やはりクーだった。
そのすらりと伸びた背に掛かる後ろ髪の向こう、少し前に見たナイフの壁が兄者の剣を完全に
防いでいたのだ。

( ´_ゝ`)「……いい加減にしろ。内藤を殺さない限り俺たちはこのゲームを終えられない」
川 ゚ -゚)「それとこれとは別だ。その剣を下ろせ。あとその弓もだ。お前の矢より私のナイフは早い」
(´<_` )「……」

弟者が、引き絞っていた弓をゆっくりと緩める。それを合図に一旦この場のピリピリとした
戦いの空気が霧散していくのを感じた。それでもドクオが動けずに居たのは、勿論痛みの
所為などではなく、防がれた兄者の剣の先がその向きを自分の方へと変えていたからである。



224: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:21:10.62 ID:8N3abdHZ0
  
( ´_ゝ`)「どうするつもりだ」
川 ゚ -゚)「しぃと掛け合う」
( ´_ゝ`)「掛け合う? ゲームの中止をか」
川 ゚ -゚)「いや、多分それは無理だな。だから内藤をこちら側に引き込む」
( ´_ゝ`)「……何を言ってるんだ。そもそもこいつらを残してゲームをする提案をしぃがしたのに
      そんな馬鹿げた条件を呑むわけが無い」
川 ゚ -゚)「私は内藤には手を出すなと言ったはずなのにそれが実行されていない。それはおかしい」
( ´_ゝ`)「ふん、それならばいっそそっちにつけば良い。俺達2人ならお前を倒すことも出来る」
川 ゚ -゚)「……いや、それはダメだ」
( ´_ゝ`)「我が儘にも程があるな。欲しい物は2つも手に入らないんだ」
川 ゚ -゚)「兎に角、内藤を開放しろ。私はしぃに掛け合う」
(;^ω^)「ド、ドクオも助けてくれお!」
川 ゚ -゚)「……仕舞ってやれ」
( ´_ゝ`)「お前なんてこのまま待っていればいずれ居なくなって――」
川 ゚ -゚)「イライラしてくるな、黙れ。私は今すぐお前を殺せる」
( ´_ゝ`)「不愉快だ」

そう言って兄者が眉間にシワを寄せると、サラサラと砂粒のように剣が細かく崩れて行き、
風に乗ってどこかへと流れて消えてしまった。



226: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:23:17.07 ID:8N3abdHZ0
  
(´<_`;)「あ、兄者……」
( ´_ゝ`)「お前も仕舞え。ドクオ、下がれ」
('A`;)「あ、あぁ……」

起き上がりゆっくりと下がるドクオを見て弟者も渋々弓矢を兄者のように仕舞う。

(;^ω^)「……クー」
川 ゚ -゚)「どっかに逃げてろ内藤。後で連絡する」
('A`;)「行こうぜ、ブーン」
(;^ω^)「……」

ドクオに引っ張られるままに複雑な思いでブーンはその場を後にする。
そしてブーン達が安全な距離まで離れたのを確認し、クーは再び兄者に向き合った。

川 ゚ -゚)「私もしぃの考えに対して協力するに吝かではない。ただ私には十分に議論する時間が
     無かったように思われる」
( ´_ゝ`)「……時間が欲しいと?」
川 ゚ -゚)「これ一度で良い。それまで内藤に手は出さないで欲しい」
(´<_` )「そんなに内藤さんが好きなんですか」
川 ゚ -゚)「……あいつだけだったからな」
( ´_ゝ`)「……お前でも下らない感傷に浸るんだな」
川 ゚ -゚)「あぁ、私だからだ。……こんなひ弱な私だからだ」

そう呟いてクーはそのまま西階段の方へと歩きだす。
その後姿を狙おうとする弟者を兄者が無言で制止した。



227: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:26:21.88 ID:8N3abdHZ0
  
(´<_` )「兄者……やっぱり俺達――」
( ´_ゝ`)「弟者」
(´<_` )「……」

煮え切らない顔をする弟者に、兄者はその目を見つめながらゆっくりと語り出す。

( ´_ゝ`)「これはチャンスなんだ。俺たち二人だけではどうにもならないが、しぃが居れば可能。
      トップに立つことが出来るんだ。……例え自力でなくとも俺は君臨してみたい」
(´<_` )「兄者、だが……俺はそれに魅力を感じない」
( ´_ゝ`)「何?」

兄者の頬がぴくりと動いた。その仕草を見て弟者はやや怯んだ様子で言葉を継ぐ。

(´<_` )「その……頂点に立つことが、一体何が楽しいか俺には……」
( ´_ゝ`)「ふむ……弟者、よく聞け。世界を手に入れることは俺の喜び。それも極上の喜びだ。
      そして、俺の喜びは……」
(´<_` )「……弟の俺の喜び」
( ´_ゝ`)「そうだ。それだけのことだ。お前は俺を信じていれば良い」

その言葉を聞き弟者は一度小さく頷くと、何かを納得したようだった。

(´<_` )「……OK、わかった、兄者」



228: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:30:51.92 ID:8N3abdHZ0
  
 西階段を上がり三階へ辿り着いたクーは、他の部屋には目も呉れずに音楽室へと向かう。
扉を開けたその向こうには、ニコニコと無垢な赤子のような笑顔のしぃが居た。

(*゚ー゚)「いらっしゃい、クー」
川 ゚ -゚)「……」
(*゚ー゚)「自分の鍵はほったらかしで良いのかな?」
川 ゚ -゚)「一度戻ったし10分も時間があれば余るほどだ」
(*゚ー゚)「自信満々だね。ここ、濃度濃いよ?」
川 ゚ -゚)「どこに居たって変わらない。とにかくこのつまらないゲームを止めろ」
(*゚ー゚)「あれ? そんな話をしに来たの?」
川 ゚ -゚)「……あぁ」

互いの腹の内を探るように、すっ、と沈黙が訪れた。
口を真一文字に結び譲らない姿勢を表すクーを見て、しぃは少しばかり背筋を伸ばし
いかにも真剣な話といった感じに口を開き始めた。

(*゚ー゚)「……クーはさぁ、内藤君好き?」
川 ゚ -゚)「好きだ。内藤をこれ以上巻き込みたくない。だからこのゲームを止めろ」
(*゚ー゚)「そっかぁ、実は私もなんだ〜。別にかっこいいとか付き合いたいとかじゃなくてさ、なんか
     楽しいんだよね、一緒に居て」
川 ゚ -゚)「だから、なんだ」

その言葉ににっこりとしぃが微笑んだ。

(*゚ー゚)「だからさぁ、ボクとしてはクーを応援してあげたい気持ちはあるんだ。クーも幸せになって
     内藤君も幸せになったら、きっとボクも幸せになれるでしょ?」
川 ゚ -゚)「……何が言いたい」
(*゚ー゚)「ふふ、取って置きの方法があるんだ。皆が幸せになる、さ……」



229: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:33:07.73 ID:8N3abdHZ0
  
(;^ω^)「はぁ……はぁ……」
('A`;)「寿命80年は縮んだぜ……」
(´・ω・`)「ドクオ、それもう致命傷だよ」
ξ゚听)ξ「それにしてもほんとよく無事で帰ってきたわね」
(;^ω^)「クーが居なかったら僕たち今頃チンジロオースだったお」

噛みすぎて訳のわからない単語にも誰も突っ込むことは無かった。
緩んだ空気の中にも緩みきれない何かが混ざっていた。

('A`)「かなりヤバかったよな」
( ^ω^)「あんな大事なとこで転ぶドクオはかなり終わってるお」
('A`;)「俺だって転びたくて転んだんじゃねぇよ! 転んだ瞬間死んだって思ったしなぁ」
( ゚∀゚)「ほら、ドクオ消毒してやるから肘出せ」
('A`)「ん、わりぃな」



231: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:34:37.92 ID:8N3abdHZ0
  
ξ゚听)ξ「で、結局どうなったわけ?」
( ^ω^)「とにかくクーからの連絡待ちだお」
(´・ω・`)「その間に色々確認しておこうよ」
('A`)「ジョルジュ、それうがい薬じゃねぇの?」
( ゚∀゚)「え? ……まぁ、大丈夫だろ」
('A`;)「大丈夫って、おま」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ。うがい薬も消毒には使えるもの」
('A`)「あん? そうなのか?」
ξ゚听)ξ「色ついちゃうけどね」
( ^ω^)「へぇ……ツンも結構女らしいとこあるお」
ξ゚听)ξ「……別にこれ位女とか関係無しに常識よ」
(´・ω・`)「ウチのおじいちゃんはよくお酒を口の中に含んでブーって吹きかけてくれてたよ」
('A`)「豪快だな……」
(´・ω・`)「でもいっつも傷口には一滴もかからないで全部ぼくの顔にかかるんだ」
( ゚∀゚)「ぶは! それは見てみてぇな」
( ^ω^)「ショボン、それ結構面白いお」
(´・ω・`)「いや、笑い事じゃないんだよー」

そんな明るい笑い声の中に静かなバイブレーションの音が混ざりこんできた。



232: ◆HGGslycgr6 :2006/12/14(木) 22:36:45.41 ID:8N3abdHZ0
  
( ^ω^)「お、メールだお」
('A`)「なんだって?」
( ^ω^)「……ツンだけ屋上に来いって書いてあるお」
ξ゚听)ξ「え、なんで?」
( ゚∀゚)「ブーンをどうのこうのって話し合いじゃなかったのか?」
( ^ω^)「えーと……私を介して双方が納得する話し合いをしたい、その間内藤には安全な
      ところに居て欲しい、……らしいお」
('A`)「あ〜……で、こっちの代表者がツンってことか?」
ξ゚听)ξ「いいわよ、さっき私だけ楽させてもらったし」
( ^ω^)「じゃあ頼むお、ツン。是非平和的解決を」
('A`)「うわ〜、無理っぽいなぁ」
(´・ω・`)「絶望的だね」
( ゚∀゚)「みんな、武器の準備は出来たか?」
ξ゚听)ξ「何よ! 言ってなさい!」

アハハと笑い声が漏れる中、ピシャリ、とドアを閉めてツンは保健室を出て行った。
それを確認してジョルジュは中途半端な笑顔のまま控えめに呟いた。



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