3: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:36:11.69 ID:CD7HR0nvO



一部グロ注意



4: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:38:01.07 ID:CD7HR0nvO

( ´_ゝ`)「なあ弟者」

(´<_` )「何だ兄者」

( ´_ゝ`)「ビクッとなったりゾワッとなる瞬間さ、ケツに鳥肌が立つ感じしない?」

(´<_` )「ケツて……」

( ´_ゝ`)「……くそみそ機関が中央に存在する柔らかい双丘の皮膚がだな」

(´<_` )「氏ね」

( ´_ゝ`)「いや…、……しない? 尻たぶがさ、ゾワンって、尻がね、臀部がな」

(´<_` )「兄者、尻はもう良い」

( ´_ゝ`)「いやだって尻がね! ケツがね!?」

(´<_` )「OK、殴るぞ」



( ´_ゝ`)二人は散歩をするようです(´<_` )



5: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:40:00.57 ID:CD7HR0nvO

闇の帳が降りた、蒸し暑くなり始めている公園を歩く姿が二つ。

長身の二人は同じ顔で、半袖に半ズボンと言うすこしばかり時期外れの服装をしていた。


双子の兄が「散歩をしたい」と言い出し、弟はそれに付き合って部屋着のままつっかけを履いて近所の公園へと繰り出した。

弟は短い髪をわしわしと掻きながら、少々面倒くさそうな顔をしている。

よく突拍子もない事を言い出し奇行に走る兄、その背中を追いながら尻拭いをするのはいつもの事だ。
そしてこの突然の散歩もまた、よくある奇行のひとつ。


正しくは、母親に散歩に行けと命令されただけなのだが。



6: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:42:01.75 ID:CD7HR0nvO

生暖かい風が木々を揺らして音を立てる。
自分が散歩に行きたがった?兄はおっかなびっくりで、そんな兄の姿に、弟は何度めかも分からない溜め息を吐く。


(´<_` )「兄者、なんだって突然散歩なんか…」

( ´_ゝ`)「夜が俺を呼んでいた」

(´<_` )「で?」

( ´_ゝ`)「まぁホラー小説を読んでたら突然母者が「散歩でも行け」つって俺を放り出したんだけどね」

(´<_` )「捨てられたんじゃね?」

( ´_ゝ`)「うっさい千切るぞ」



7: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:43:59.79 ID:CD7HR0nvO

半ズボンのポケットに両手を突っ込んで、兄はうっすら汗ばむ手のひらを隠し。
弟が何か突っ込みを入れようと口を開いた時、視界の端に光るものをとらえる。

兄への抗議を取り止め、光の方向へ顔を向ける。
そこにはかすれた光を灯した公衆トイレがあるだけ。
暗い公園には電球が切れかけの街灯が所々にあるだけなので、そのトイレは妙に明るく見える。

そのトイレが何と無く気になった弟は、突っ込み待ちの兄を放置してふらふらと歩き出した。



8: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:45:22.04 ID:CD7HR0nvO

(;´_ゝ`)「お、おい! 阿部さんが居るかも知れんぞ!?」

(´<_` )「居るか」

(;´_ゝ`)「だってほら夜のトイレとか定番じゃん! お化け居るって、阿部さんかお化けが絶対居るって!」

(´<_` )「落ち着け、何でその二択なんだ」

(;´_ゝ`)「俺の勘はあたるのおおおお!!」


ビビり倒しながら必死に弟を止めていた兄も、トイレの目の前に辿り着くと押し黙って弟の背に隠れてしまった。

隠れながらも三つ並んでいる個室トイレを覗き込み、扉や壁に書かれた落書きをちらちらと見ている。



9: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:47:00.01 ID:CD7HR0nvO

弟が左端のドアノブに手をかけ、そっと捻る。
きぃぃいと不愉快な音をさせて回ったノブ、鍵はかかっていない。

弟は若干緊張した面持ちで、ドアを開いた。



(;´_ゝ`)「……」

(´<_`;)「…何も居ないじゃないか、全く」

(;´_ゝ`)「……」

(´<_` )「兄者?」

(;´_ゝ`)「…あ、……まだ二つあるだろう」

(´<_` )「……そう、だな」



10: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:49:59.17 ID:CD7HR0nvO

兄の言葉に頷き、一つ目のドアを閉めてから二つ目のドアの前に立つ。
そして同じように手を伸ばそうとした所で、後ろからぬうっと生っ白い手が伸びて、ドアノブを掴んだ。

そして不意に弟の視界が、闇に染まる。


(´<_` )「え、」


誰かが躊躇いなくノブを捻り、力任せにドアを開く。
ばぁん!と音をさせて開ききった、個室の中には。



やらないか?
   _____
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  /       丶
 f ィ=゙ ゙̄丶i ̄""||
 i |   リ  ||
 レ-iィニ==ァ r==>i
 |ヘリ f旬゙  /f旬‖
 |((゙  ̄′ i` ̄‖
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  i |   ^ r′ /
  ||丶 `-==ァ /
_/‖ \ ー- /
/ ハヽ \__/|\



13: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:51:59.44 ID:CD7HR0nvO (;´_ゝ`)「ほら居たああああああああッッ!!!!」

(´<_`;)「失礼しましたああああああああッッ!!!!」


ばったん。


(;´_ゝ`)「ほら言ったじゃん! 居たじゃん! 阿部さんじゃん!」

(´<_`;)「何で居るんだよ! こんなベタベタな展開どうなんだよ! ベタ過ぎるだろう!」

(;´_ゝ`)「定番じゃん! アホか! アホか!」

(´<_` )「OK、黙れ」


個室に居たお客様はそっと見なかった事にして、兄弟は三つ目の扉の前で真面目な顔をして居た。



14: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:53:19.16 ID:CD7HR0nvO

( ´_ゝ`)「この調子で行けば…」

(´<_` )「……兄者、このまま開けずに帰るのも手だと思うんだが」

( ´_ゝ`)「いや人としてそれは無いわ、さあ開けますぞ」


弟の提案をばっさりと切り捨てた兄は、ヒキオタらしい細く生っ白い手を伸ばしてドアノブを掴んだ。

後ろでは弟が「待て」だの「何故だ」だの「このチンカス」だのと怒鳴っているが、兄は気にせずノブを捻って────ドアを開いた。



15: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:55:03.17 ID:CD7HR0nvO

赤い個室にはバラバラになった人間の部品が積み上げられており、便器には腹部を立てに裂かれた女の身体。
その腹の中には、身体の主であろう頭が詰め込まれて笑っていた。

個室から溢れ出した生臭い体液が二人のつっかけを濡らし、部品となってしまった何人分もの肉体パーツが、ピクンピクンと痙攣している。
そして、女の生首が二人を見上げ、笑った。



( ;_ゝ;)「あぴゃあああああああああああああああああああッッ!!!!」

(;<_; )「うびゃあああああああああああああああああああッッ!!!!」



16: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:57:01.87 ID:CD7HR0nvO

妙な悲鳴をあげて、二人は赤い足跡をつけて泣きながらトイレから逃げ出した。
今なら空も飛べるのではないか、などと下らない事を、二人は同時に考えて。


( ;_ゝ;)「何よあれぇええええええッ!!」

(;<_; )「知るかバカぁあああああッ!!」


トイレからずいぶん離れたベンチの前で、息を荒くしながら二人は泣き叫ぶ。
しきりに周囲を気にしながら何とか呼吸を整えようと深呼吸をする。
そして早鐘を打つ胸を押さえ、目尻に浮かんだ涙を拭い、顔を見合わせる二人。



19: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 02:59:10.72 ID:CD7HR0nvO

( ´_ゝ`)「夢だ」

(´<_` )「ああ」


さくっと現実に戻る選択肢を選んだ双子は、うへらっと笑って互いの肩をバンバン叩いて笑う。
無理にでも笑わなければ心臓が破裂しそうなので、ひたすら笑った。

( ´_ゝ`)「はっはっはっはっ! お化けなんてないよなぁ弟者!」

(´<_` )「はっはっはっはっ! 無い無い! 無いな!」

( ´_ゝ`)「じゃあちょっと座って落ち着いたら帰ろうか!」

(´<_` )「そうだな!」


並んでベンチにどっかと座

べちゃ


( ´_ゝ`)「……」
(´<_` )「……」



21: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 03:01:16.14 ID:CD7HR0nvO


恐る恐る、尻元を覗き込む、と



( ;_ゝ;)「ケツ(尻)がああああああああ!!!!」

(;<_; )「ケツ(血)があああああああああ!!!!」


赤い液体が二人のズボンを濡らす。
尻まで感じるぐっちゃりとした生暖かい液体の感触、むわっとした鉄の生臭さ。
紛れもない血液だと二人は瞬時に理解し、再び泣きながら走り出した。



( ;_ゝ;)「もおおおおおおおおおッッ!!!!」

(;<_; )「いやああああああああッッ!!!!」



22: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 03:03:30.04 ID:CD7HR0nvO


いつの間にか手を繋いで走っていた二人は公園の中を駆けずり回り、行く先々で襲い来る恐怖体験に泣いて叫んで走り回る。

もう公園を出ようと頷き合った二人が公園の出口へとたどり着いたその時、草むらから飛び出した何かに足を引っ掻けて転んでしまった。
身体を地面に強か打ち付けた二人は、身体を起こして足を引っ掻けた何かに目をやると


そこには、二人の頭が転がっていた。



23: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 03:05:31.92 ID:CD7HR0nvO



者……兄者…


(´<_` )「兄者ぁあああああッ!!!」

(;´_ゝ`)「ホァタアッ!?」

(´<_` )「起きたか兄者、昨夜は災難だったな」

( ´_ゝ`)「あ? ……ああ…母者率いる町内会の肝試しと称した嫌がらせね……」


昨夜の恐怖体験は、全て彼らの母親が率いる町内会が今度の日曜に催す肝試しのセットだった。
関係者は感覚が麻痺してしまったのか、どれだけ怖いのかが分からない。

なので町内会長の二人息子でどれだけの恐怖を与えられるかテストしてみたらしい。


結果は───公園出口で失禁しながら失神していた二人の姿を見れば、一目瞭然だった。



24: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 03:07:10.86 ID:CD7HR0nvO

(´<_` )「ああ、全く母者も悪戯が過ぎる……」

( ´_ゝ`)「……思い出しただけでケツがゾワッてなる…」

(´<_` )「しかし兄者も兄者だ、突然目隠しなんかして」

( ´_ゝ`)「は?」

(´<_` )「阿部さんトイレの時、後ろから目隠ししただろうが」

( ´_ゝ`)「してないぞ、俺は弟者の後ろでガタガタ震えてた」

(´<_` )「………じゃあ、ドア開けたのか?」

( ´_ゝ`)「開けたのは三つめだけだ」



(´<_` )「……」

( ´_ゝ`)「……」



26: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/05(月) 03:09:09.46 ID:CD7HR0nvO

(´<_` )「夢だな、うん」

( ´_ゝ`)「夢だ夢、ははは」

(´<_` )「さーて朝の散歩でも行くかー」

( ´_ゝ`)「そうだなー………ん? なんだこれ」

(´<_` )「携帯がどうしたんだ兄者、何か────え?」


送り主の分からないメールに、添付されていた写真

二つ目の扉を開けようとする二人の姿が写っている、その奥で

首の無い女が、指を指して立っていた。




メールの本文には─────



END



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