13: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:25:42.37 ID:0ijxcIX80

ポーン。



(`・ω・´)「…。うう」

あー。あぁ、ああチャイムか。

一旦僕の思考はそれで打ち切られた。何故なら今の俺はシエスタの真最中。
少し経ちどんどんどんっ、と三連星の大きなノック音が部屋中に鳴り響き、やっと俺の脳は覚醒した。

かくて体を起こすよう脳から命令を下されるのであった。
俺の住むマンションのチャイムは、ボタンから指を離さない限りしょっぱい電子音が鳴り続けるあのタイプなのである。
 
まあ何だ、うん。このご時勢にピンポーンてミとドの音階繰り返すチャイムじゃないのかよ、と。
なんとなしにイラっと来るというはなし。誰だ、俺のシエスタを電子音で邪魔する輩は。



14: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:27:47.61 ID:0ijxcIX80
(´・ω・`)
 
覗き穴の間から見えるしょぼくれた顔は、まず知り合いではなかった。

が、どこかで見た事があるような。そんな錯覚を覚える。
俺は鍵を外すと、チェーンを付けたままでドアを開き彼に声を掛けた。 


(`・ω・´)「ええと、どちら様ですか」
 
(´・ω・`)「もらいにきた」
 
(`・ω・´)「…はぁ?」

(´・ω・`)「ここ開けろ」
 
がちゃがちゃ。がちゃ。
徐にチェーンを掴み、外そうとでも考えているのか、押し引きを繰り返す。
 
(;`・ω・´)「ちょちょっと、何してんだ!あんた誰!」



15: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:30:36.70 ID:0ijxcIX80
(´・ω・`)「これで最後」
 
しょぼくれた表情。
それを全く変えず、しかし俺の話を全く聞かない所を見るうちに、何となくこいつは話が通じる相手じゃないと直感した。
ぴくりとも変わらないその顔が何だか不気味に思えて来る。男の手はがっちりとチェーンを握り締めて離す気配は無い。
 
(;`・ω・´)「チェーン離せ、俺の話を聞け!あんたは誰だって聞いてんだよ!」

(´・ω・`)「見て判らないのか」

(;`・ω・´)「はぁ?俺はあんたの顔に覚えは無いぞ」

(´・ω・`)「へえ」

急に男は俺と真っ直ぐ目を合わせる。その目線に妙なものを感じ、はたと俺は口を止めた。



17: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:34:25.85 ID:0ijxcIX80
男は少し間を置いて、

(´・ω・`)「ここ開けろ」

(;`・ω・´)「だから聞けっつってんだろ!!」

やはり通じなかった。俺は男の手を無理やりにチェーンから引き剥がし、ばたんとドアを閉めた。
二、三回手を滑らせて鍵を閉め、玄関から数歩離れる。
 
(´・ω・`)「…くれ。…ろ…いにきた。…ここ…」
 
どんどんどん。どんどんどん。

(´・ω・`)「開け…、…もらい…開けろ。これで…」

どんどんどん。どんどんどん。

(;`・ω・´)(まだ何か言ってやがる…)

ついに気味の悪さが俺の中の一線を越え、携帯電話を手に取る。
リダイヤルから適当な友人の番号を選ぶと、ノックの音の後ろに俺は台所へ向かう。



19: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:39:01.64 ID:0ijxcIX80
川 ゚ -゚)「もしもし」

(`・ω・´)「ああ、クー!今管理室か!?」


彼女はこのマンションの管理人の一人娘だ。いつもなら管理室の隣を通る度、応接用の小窓にその細い体躯を映していた。
おとなしく通報すれば良いものを、俺はなぜか友人に電話を掛けた。安堵感が欲しかったのだろうか。

川 ゚ -゚)「いや、今は玄関を掃いていた所だが…何かあったのか、そんな大声で」

(`・ω・´)「それが、俺の部屋の前で変な奴がずっと―――」

ギイ、ガチャ。

(;`・ω・´)「!? おいおい、まさか…」

川 ゚ -゚)「もしもし?もしもし、おいショボン?どうし…」

(;`・ω・´)「はぁ?ショボン?誰だそれ、つうかあいつもしかして入って…」

ひた。ひた。ひた。

(;`・ω・´)「…!!」



20: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:43:50.53 ID:0ijxcIX80
川 ゚ -゚)「大丈夫か?…なあ今日のお前は変だぞ、俺なんてキツい一人称使っ」

俺はそこで携帯の電源ボタンを押した。
あいつが入って来る。いやもう入って来たのか、過去形か。とりあえず逃げなければ。

俺は自室へ向かい走り出す。学生の一人暮らし、俺以外の人間は現在この家にはいない。
今自分がいる台所は玄関から一番近い部屋にあたる、立ち往生していればあいつと顔を合わせてしまう。

(´・ω・`)

台所のやたら大きなテーブルを回り、俺の部屋へ繋がる廊下のドアへ差し掛かる。
その頃あいつが玄関側の廊下から、のっそりと、台所へ入って来たのが見えた。

(;`・ω・´)(とりあえず鍵閉めて…窓から出よう、ここ二階だし飛び降りる位大丈夫だろ)
 
俺は部屋の鍵を閉めると、大事なものを大体詰めてあったはずのカバンを持ち、小走りにカーテンの閉まった窓へと向かう。
肩さえ抜け出せれば全身が通ると聞くが、今の俺は尻から抜け出すしかない。俺はカーテンごと窓を開き、身を乗り出した。



21: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:47:44.02 ID:0ijxcIX80
(;`・ω・´)「くっ、…ふんっ!」

外から見れば滑稽な姿であろう、俺は思い切り体の下の方から外へと身を出していった。
そうこうする内、遅いような早いような、ドアを叩く音が耳に入る。

(´・ω・`)「きた…、…れで最後…いに、…ここ開けろ…」

(;`・ω・´)「くそぉ!」

肝心の上半身でやはり肩がつっかえてしまった。
俺は腕を目の前で交差させ、なんとか肩幅を縮めて完全に体を外へ出し切る。
カバンを提げたままの右手で窓枠を掴み、俺は視界と空いた左手で何か縋って下へ降りられるものが無いか探した。

ガチャリ。

(;`・ω・´)(おいおいおいおい!!)

また鍵が開けられる。もしかしてピッキングか何かの技術者なのか。
少し冷静にそんな考えを巡らせそうになりつつ、俺の左手は脇にあった電柱を捕らえた。



22: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:52:26.87 ID:0ijxcIX80
(;`・ω・´)(よし、これで…)

電柱から突き出た小さな棒状の部分に手を掛けると、俺は一気にマンションの壁を蹴る。
上手く飛び移れたようで、俺は電柱をするすると降りて地に降り立った。

(´・ω・`)

ふと見上げるとやはり、窓からあいつが俺をじっと見下ろしていた。



25: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:55:03.41 ID:0ijxcIX80
( ^ω^)「おっおっ、そんなに急いでどうかしたのかお?」

間の抜けた声にすらびくりと過剰に反応し、足を止めてしまう。
振り返れば内藤ホライゾン、通称ブーンを初めとしたクラスメイトが、人の少ないバス停に座り込んでいた。
 
(;`・ω・´)「! お、脅かすなよ…お前らか。はあぁぁ」

ξ゚听)ξ 「何、走ってたの?溜め息なんか吐いて。…あとお前らって何よ」

('A`)「おい、服破けてるぞ。何かあったのか」

俺は気に掛けて貰える、心配して貰えるという事にいたく安堵した。
少しでも危機感を感じるような状況下にあると、身近な他人の存在がとてもありがたくなるものだ。
…少しツンの台詞が引っかかったが、それは放って置くことにした。



26: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 02:59:27.22 ID:0ijxcIX80
(;`・ω・´)「いやな、その」

しかしこれを相談していていいものか、あいつが来る前に交番に向かった方が良いのでは。
そう考えた俺は、ぎりぎり口から出そうになったいきさつを押し戻した。

(`・ω・´)「…ちょっと色々な。後でメールするわ」

ξ゚听)ξ 「大丈夫なの?」

('A`)「追われてるのか?かくまってやる位なら出来るぞ」

(`・ω・´)「いや、気にしないでくれ。何かごめんな」

( ^ω^)「こっちの台詞だお。引き止めちゃってごめんお、」

('A`)「本当だ、何かあったら呼べよ。俺ら今日はここにいるつもりだからな、」

ξ゚听)ξ 「そうよ、私達友達じゃない、」


( ^ω^)ξ゚ヮ゚)ξ ('∀`)「ショボン」


(;`・ω・´)「は…?」



29: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:04:12.88 ID:0ijxcIX80
( ^ω^)「にしても何か変だお、ショボン今日は何だか顔が厳ついおね」

('∀`)「あ、俺もそれ思った。何か変だよな、口調もいつもと違うし」

ξ゚ヮ゚)ξ「イメチェンのつもり?さっきも”お前”なんて言ってたから変だと思ったのよね」


変なのは、お前らの方だろ、どう考えても。

違う俺のじゃない、その名前。
それにその名前今日、今日どっかで聞いた。
どこだ、どこで聞いたんだ。誰の名前なんだ。

川 ゚ -゚)『もしもし?もしもし、おいショボン?どうし…』

(;`・ω・´)「…クー…」

ξ゚ヮ゚)ξ「どうしたの?ショボン」

('∀`)「ここにいて大丈夫なのか?ショボン」
 
(;`・ω・´)「ハア…ハア、ハァッ…!」

友人の笑顔。屈託の無い笑顔。やさしさに溢れたそれ。
俺はそれを直視出来なかった。違う、お前らが見てるのは俺じゃない。
その名前は俺の名前じゃない。

気づけば俺はまた走り出していた。
交番へ向かおう。とにかく話を聞いてもらって、それであいつの正体を突き止めて貰おう。
あいつらが誰かの名前をずっと呼び続けていたが、俺はその声を聞かないようにした。



31: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:07:31.46 ID:0ijxcIX80
( ・∀・)「はーい、どうしました?豪い息切ってるけど」

交番にはぽつんと巡査さんが座っているだけだった。
住み慣れたこの町で、俺がよく顔を合わせる人だ。俺は巡査さんに駆け寄った。
 
(;`・ω・´)「巡査さん、ああ巡査さん!あの、俺の家に変な奴が来て、えっと…!」

( ・∀・)「おうおう、慌てて慌てて…。ちょっと落ち着こうか。ほら、一度字にして書いてみなよ」

(;`・ω・´)「…」

口調はともかく、少し真剣な面持ちになる巡査さん。
俺を落ち着かせようと背をぽふぽふと叩いてくれ、少しづつ荒くなった息が治まっていく。
用件やいきさつを書き込む書類を巡査さんに渡され、俺は頭の中を整理し始める。



33: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:11:35.07 ID:0ijxcIX80
(`・ω・´)(…そもそも、何から始まったんだっけ)

(`・ω・´)(昼寝の最中にチャイムが鳴って、あいつが訳の判らない事ばっか言ってて)

(`・ω・´)(気味悪くなってドア閉めて、台所でクーに電話掛けてたらあいつが入ってきて…)

思い出せる限りの流れをさらさらと、読める程度の走り書きで書類に書き込んでいく。
交番まで走って来たあたりまでを書き終えると、俺は巡査さんに書類を渡した。

( ・∀・)「…」

暫く目を書類を読んでいた巡査さんは、ふんふん、と頷くと書類を置いた。
小さなメモ帳の様な物を取り出すと、時計に目配せしてから何かを書き込んで、俺と視線を合わせなおす。

( ・∀・)「大体は判ったよ。びっくりしたね」

俺を労わるようなその口調に、安心感と小さなデジャブを感じる。



34: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:15:40.99 ID:0ijxcIX80
(`・ω・´)「俺、どうすれば良いんでしょう…その変な奴、ほんとに知り合いとかじゃないし」

( ・∀・)「これから色々話すよ。まあ、君もよっぽど焦ってたんだろうねぇ」

くつくつと喉を鳴らして巡査さんがシニカルに笑った。
何だろう、と俺が眉を顰めると巡査さんは書類の上の方を指してこう言った。

( ・∀・)「ほらー、ここ」

(`・ω・´)「…?何かおかしいんですか。名前と略した住所だけですよ」

( ・∀・)「とぼけちゃってぇ」

机の上に書類を置き戻してこつこつ、と名前の部分をつつき。

( ・∀・)「シャキンって誰さ、ショボン君」

(;`・ω・´)「…」



36: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:19:10.64 ID:0ijxcIX80
ぐんにゃりと視界が歪曲した。
いやいや。誰なのはそのショボン君とやらですよ巡査さん。
何なんだよさっきから、ショボン君ショボン君。俺の名前はシャキンだ。
安心させてくれよ。もしかして隠れ従兄弟か誰かなのか。

(;`・ω・´)「俺の名前は…シャキンです」

( ・∀・)「あはは!やだな、エイプリルフールは先月に過ぎたよ」

(;`・ω・´)「俺の名前は、シャキン、です」

( ・∀・)「…ごめん、ショボン君?何かのギャグ?それ。俺が知らないだけなのかな」

(;`・ω・´)「俺はショボンなんて名前じゃない!俺の名前はシャキンだ!」

( ・∀・)「…あ、は。は」

笑っていない笑顔で俺を見つめる巡査さん。
ぐにゃぐにゃと視界はうねり続けている。巡査さんの顔がとろけたように捻じ曲がる。
その時だった、背後からまたあの声が聞こえたのは。


(´・ω・`)「これで最後」



37: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:23:00.91 ID:0ijxcIX80
(`・ω・´)「…」

歪む視界の中で、交番に入り込んできたあいつだけがきれいに形を保っていた。
お前の仕業か。お前の仕業なのか。お前が来てからだ、色んな事が変になったのは。

(´・ω・`)「シャキンをもらいにきた」

(`・ω・´)「何の冗談だ」

(´・ω・`)「ぼくは二重に歩く。二重になるには一つが必要」

(`・ω・´)「…二重?」

(´・ω・`)「今度の一つはお前。ゆっくりと似せて侵して来たけれど、最後の仕上げがまだ」

(`・ω・´)「…」

ひた。ひた。

裸足で俺の方へと近寄って来るあいつから、俺は逃げない。
あいつが俺の首へ、やはりどこかで見たような掌を伸ばした。



38: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:25:38.10 ID:0ijxcIX80
(´・ω・`)「一つの世界に二つは要らない」

掌にきゅう、と力が込められる。

(`・ω・´)「げぇ…。うぐ…」

(´・ω・`)「なら重なればいい。一つを侵せば、世界に在るべくして在れる」

(`・ω・´)「んっ。ふ、…ア」

(´・ω・`)「これで最後。お前をもらう」

手足ががくがくと俺の意思と関係無く暴れ出し、涎が垂れた。
ふと巡査さんを見ると、虚ろな目でそいつを見つめていた。


交番の入り口の隣に、指名手配のチラシに紛れて小さな鏡がある。
意識が飛ぶ間際、巡査さんからその鏡に俺は視線を動かした。

やはりだ、こんな気はしていたが。だから見覚えがあった訳だ。なるほどこういう事だったのか。



39: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:27:34.96 ID:0ijxcIX80
鏡に映ったあいつは俺と瓜二つの顔をしていた、という事だ。
鏡に映ったぼくはお前と瓜二つの顔をしていた、という事さ。



40: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:31:46.15 ID:0ijxcIX80






快晴。

朝早くから目が冴えていた。二度寝をした後とは思えない清清しさ。
部屋を出ると、太陽に暖められた朝の空気が肺を一杯にする。

少し自転車を飛ばしてあのバス停へ向かおう。
皆もう待ってるかな。皆の顔が見たい。とにかく早く会いたい。

楽しみで仕方が無い。
マンションの玄関へ向かう足が浮つく程度に。



41: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:35:52.81 ID:0ijxcIX80
おはよう、クー。

川 ゚ -゚)「ああ、お早う。もう出るのか、早いな」

あいつらと待ち合わせしてるからさ。

川 ゚ -゚)「…やはり中退なんてするものじゃあないな」

朝からしんみりしないでよ、クーはクーで自立していけばいいって。
今だってそうして、ちゃんと管理人の仕事継ぐ為に勉強してる訳だしさ。

川 ゚ -゚)「はは…、お前の一言一言にはいつも救われるな」

こっちも同じ事だよ。
それじゃ行ってくる。管理お疲れ、お互い頑張ろうな。

川 ゚ -゚)「ああ。あまり急ぐなよ、事故を起こしたりしないようにな」

心配症だなぁ、大丈夫だって。
…じゃあ、また後で。

川 ゚ -゚)「行ってらっしゃい」



43: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:41:40.74 ID:0ijxcIX80
( ・∀・)「や、お早う!」

おはよう巡査さん。今日もパトロールですか?

( ・∀・)「そそ、まあこの辺は大丈夫だろうけどねぇ。
     しかしもう学校始まるのかい?学生は忙しいねっと」

交番だって同じようなもんじゃないんですか?
巡査さんが居ない日なんてあんまり見ないように思うし

( ・∀・)「上手い事言うなぁ。お前らの平和を守るべくえんやこらってね」

格好付けちゃって。
誰も来ない内に言っときますけど、ネクタイにコーヒー零してますよ。

( ・∀・)「え…、うわ、やっだ恥ずっ。取り替えて来るわ、ありがと!」

ふふふ、どうせ目立たない色ですけどね。
行って来ます。

( ・∀・)「一言余計なんだよー。これ位が丁度良いのさ、行ってらっしゃい!」



44: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:46:25.43 ID:0ijxcIX80
おはよう、ブーン。

( ^ω^)「おっ、おはおー!今日は早いお!」

('A`)「おー来た来た。本当に今日は早いな、いつもなら最後なのに」

ドクオもおはよう、ツンはまだ来てないんだ。

ξ゚听)ξ 「ハァッ、ハア、…あー。先を越されたか…」

( ^ω^)「…」

('∀`)「…」

ξ゚听)ξ 「に、ニヤニヤしてんじゃないわよ!ううぅ…」

ふふ、おはようツン。
今日はこっちの方が早かったみたいだね。

ξ゚听)ξ 「何よ、たまたまよたまたま!…え、えと、おはよう」



46: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:49:52.54 ID:0ijxcIX80
('A`)「んじゃ全員揃った所で、そろそろ行くか」

( ^ω^)「ふう、それにしても暑い位のかんかんでりだお…」

汗っかきなだけじゃないの?

ξ゚听)ξ 「言えてる」

('A`)「真理だな」

( ^ω^)「ひ…酷いお!これでもゴールデンウィーク中にちょっと痩せたんだお!」

ごめんごめん、何となしにそうだろうとは思ってたって。

( ^ω^)「ほんと?ほんとに?」

うん。ほら、早く自転車乗って。

ξ゚听)ξ「早く行くわよ、ノロマ」

('A`)「置いてっちまうぞー」

( ^ω^)「うあーん、皆待っておー!」



47: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/06(火) 03:55:19.41 ID:0ijxcIX80
そう、楽しみで仕方が無いんだ。


皆ぼくの事が大好き。愛してくれる。友人として。隣人として。
それが凄く幸せで暖かで。ずっとその輪の中に留まりたいなんて考えてしまう。

生きてるって、人生の中にあるって楽しいよね。とても楽しい。
だけど限りがある楽しみって、時々思い出したようにその終わりに怯えて、何だか空しくなるよね。
そうでしょ、虚しいよね。人生は一度きりなんて誰が決めたんだろうね?

だけど、その人生に少しのイレギュラーが、不規則が出てしまえば?
そう、ほんの昼寝の間の夢みたいに、終わりが訪れる前にだって幕を閉じてしまうかもしれないんだね。
儚くて脆いのさ。…そんな考えが一番むなしいって?

(´・ω・`)「認めるのが怖いだけじゃあないの?」

今のぼくに終わりが訪れるまでは、この人生を謳歌する。
イレギュラーは”あり得ない”んだ。何故ならぼくがイレギュラーだからさ。
臆病?それでもいい、こんな楽しみ方もあるんだよ。ね、だから許してね。
次の人生に重ねるのが君だったとしても。








(´・ω・`)は重なったようです



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