- 3: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:27:10.75 ID:K/C/ggaIO
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1時間に一度通るバスに乗り、3時間。
それから大門をくぐり、10分間坂道を徒歩で登る。
そんなへんぴな所に、岸・柳原病院はある。
二人の院長。ちょうど今の国会みたく、ねじれ、権力が分散されて派閥が入り乱れているらしい。
( ^ω^)「……そんな事、どうでも良くないかお?」
('A`)「俺らには、全く関係ないよな……」
ガードレールを越えれば、一瞬きりの銀河鉄道がある、山肌を削って作った道路。
そこを走るバスの中、案内を見てぼやく二人の男。
にこやかな男と、まさに病院に行きたそうな男。
ぱっと見て、気が合いそうな二人ではない。
単なる相席で、片方が病院に行く途中で、重い病気を抱えているかなりにしか見えない。
しかし、二人はさっきからずいぶんいろいろ話していて、病気を抱えている風でもない。
- 6: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:30:06.14 ID:K/C/ggaIO
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二人は一体どういう関係なのだろうか。片方の男のことはよく知っているが。
正直、見知らぬ男の存在で、少し決心が鈍った。
( ^ω^)「あ、そろそろ着くお」
男が言ったのにつられて、前を見た。フロントガラスからは、長い道路に、小高い丘が見えていた。
('A`)「ほんとだ、準備するか」
二人は立ち上がり、荷物の入っているらしいバッグを荷棚から下ろした。
(さて……)
こっちもそろそろやるべきか、と彼らの真似をした。
バスがゆっくり、スピードを落としていった。
- 8: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:33:36.00 ID:K/C/ggaIO
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( ^ω^)は死神のようです
- 9: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:36:07.19 ID:K/C/ggaIO
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( ^ω^)「……?」
('A`)「どうした、ブーン?」
( ^ω^)「いや……」
ブーンは、前のほうの席から視線を感じて、席から身を乗り出してみた。
しかし、こっちを見ている人はいない。
( ^ω^)「何でもないお」
('A`)「変な奴」
( ^ω^)「お前が言うな」
バスが完全に止まって、ブーンとドクオはいの一番に昇降口にいった。
半ば走るように、目的地である病院を目指す。
(;'A`)「こらまて、お前早いぞ!」
( ^ω^)「うっせ、全力で走ればいいじゃないかお!」
駆け足、駆け足。くねくね緩やかな坂道を上る。
しかし、病院に着く頃には、二人はとっくにてくてく歩き始めていた。
- 11: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:39:23.44 ID:K/C/ggaIO
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自動ドアに迎えられ、ブーンたちは神妙な面持ちで病院のロビーにやって来、そして、
素通りして廊下へとぺたぺた進んでいった。
彼らはエレベーターに乗り込んで、そこから3フロア上がる。
('A`)「4階、か」
( ^ω^)「まさに凶兆って感じだお……」
まるで、これから何が起こるかを知っているような口ぶり。
しかしブーンは、エレベーターが開くと同時、臆せず進んでいった。
いたって普通な、病院の廊下だ。人通りが極端に少ないこと以外は。
( ^ω^)「……ドクオ?」
それと、エレベーターに乗っていたはずのドクオがいないこと。
まだ扉は開いたままだし、彼が怖じ気付いて逃げ帰った、ということもないだろう。
- 13: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:42:08.86 ID:K/C/ggaIO
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(;^ω^)「……」
いきなり襲った異変。
ブーンも、何かあることは考えていたが、早速とは思っていなかった。
( ^ω^)「……仕方ないかお」
白いライトに、白い廊下は照らされていた。
ブーンは、トイレと逆の左側の突き当たりを睨んで、つま先を立てて足音なしに歩き出した。
( ^ω^)「……誰かいないのかお?」
一人でいると、どうも不安が募る。
仲間がいれば、多少の恐怖くらいは笑い飛ばせる。
せめて、なにか頼れるもの。御守や護身具があればいいのだが、それもない。
しかし、ここで戻るわけにもいかない。虎穴に入らんずば虎児を得ず、ブーンはさらに歩く。
(;^ω^)「あっ……」
壁づたいに歩いていくと、指先に何かが触れた。
そして、その瞬間、サイレンサーをつけた銃撃のような音がして、廊下の電気がすべて消えてしまった。
- 14: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:45:19.84 ID:K/C/ggaIO
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(;^ω^)「まずいお……」
真っ暗になった廊下だが、壁に触れていたのを幸いに、二、三歩戻って
両掌でなでさする、壁に背中をくっつけて彷徨く。
しかし、さっき触れた突起の感触さえない。
( ^ω^)「そもそも、こういう所の電気って、スイッチで制御なんかしてるのかお?」
冷静に浮かんだ疑問符。
ブーンはもう諦めて、常備灯を探すことにした。
徐々に開いていく瞳孔による、うすらぼんやり広がる視界と、
微妙に流れる風を感じて、道を探しながら歩く。
( ^ω^)「……お!」
角を曲がると、その奥に青緑色の小さな光が見えた。
すこし急ぎ足に、光のもとに向かう。
着いたところでは、浮かび上がった常備灯の文字。
光を掴んでみると、鉄の冷えた、一昔前のバイブのような握り心地。
- 15: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:48:08.74 ID:K/C/ggaIO
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(;^ω^)「ほっ……」
手を引っ張ると、まぶしい光が広がった。
安心して息をついて、懐中電灯を前に向ける。
と。
( ゚ω゚)「……っ!」
目と鼻の先を、金色の光が駆け抜けた。
異常な危機感に襲われ、思わず身を引く。
鼻先を掠めるだけで済んだのは、奇跡の産物か。
しかし、奇跡を無に帰すように、勢い余って、ブーンは尻餅をついてしまった。
(;゚ω゚)「うわああぁぁっ!!」
思わず、絶叫がのどの奥から吐き出される。
取り落とした懐中電灯が、返り血に染まった手術着の足元を照らす。
- 18: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:51:11.96 ID:K/C/ggaIO
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そいつは一歩一歩をゆっくりと、こちらに向かってくる。
( ゚ω゚)(なにか、反撃できるものは無いのかお……)
懐をまさぐるが、あったのは三色ボールペンのみ。到底武器にはならない。
自分はこのまま、暗闇に感化された狂気の医師に殺されるのだろうか。
(;゚ω゚)「……そんなの、そんなのごめんだお!」
訳も分からず、そばにあった物体をつかみ、全力をこめてそいつの頭のあたりに投げ飛ばす。
パトランプが高速で回転し、烈しい光を放つように。それは輝きながら、
ゴッ、と鈍い音を立てて、ちらちら見えていた何かに直撃した。
- 20: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:54:36.12 ID:K/C/ggaIO
-
バタンと、そいつが倒れる音がした。
殺してしまったかも、という不安がよぎったが、その時はもう、かまっている暇はなかった。
ブーンはこの機に一目散に走り出し、壁にぶつかると、すぐに右に曲がってまた駆ける。
(;^ω^)「はぁ、はぁ……」
どれだけ走ったか、ブーンは同じところをぐるぐる回っているのに気がついた。
しかしそれでも、落ちている懐中電灯が壊れてしまっていたら、気づくことはなかっただろう。
( ^ω^)「……あれ?」
懐中電灯を拾い上げ、辺りを照らして見回したが、あの医師の姿は見当たらなかった。
あったのは、奴が使っていたらしい、血痕付きメス。
( ^ω^)「……何かには、使えそうだお」
それを、持っていくことにした。
- 21: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 00:57:09.95 ID:K/C/ggaIO
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( ^ω^)「……」
懐中電灯の灯りを頼りに、病室を探索することにした。
ここ全てを探れば、さすがに見つかるだろう。
( ^ω^)「……たのもー」
まずは、401号室から。虱潰しに当たっていく。
戸を引き、中に入ると。
(;^ω^)「う……」
オレンジ色の光が、壁に書かれた文字を照らし出した。
赤茶けた、古い血のような色で書かれた、その文は、こうある。
『きをつけろ おまえを みている あいつは いきている』
(;^ω^)「あいつが僕を見ている……どういうことだお?」
とりあえず、この部屋にはブツは無かったので、ブーンは逃げるようにそこを後にした。
- 22: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:00:04.35 ID:K/C/ggaIO
-
( ^ω^)「……んー?」
続いて隣の402号室。
そこのベッドの一つに、膨らみを発見した。
布団をめくってやるべきか否か、迷う。あんなものに出会ったばかりだ。
そうそう簡単に、そんな勇気なんか出ない。
このパンドラの布団を開けたら、二度と目が開かないなんてこともありそうだ。
( ^ω^)「……おーい」
声をかけてみるが、反応はない。
( ^ω^)「……よし」
懐中電灯を翳して、いつでも叩けるようにしてから、布団の裾に手をかける。
意を決して、ブーンは一気に布団を捲った。
( ゚ω゚)「きゃああああああぁぁっっ!!!」
- 24: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:03:22.84 ID:K/C/ggaIO
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布団の上からでは分からなかった、ベッドの色。
それは紅。噴き出す鮮血のような色だった。
シーツに触れれば、まだ、ぬちゃりと粘る生暖かさを感じる。
もちろん、そこにあったのは血だけではない。
胸を押さえたまま息絶えている、年若い少年の、右脚を除いた全身。
ズタズタに切り裂かれた腹部から、腸が溢れ、今もまだ血が流れ出ていた。
脚の付け根、断面から、赤と白をコントラストとする筋肉や骨がはっきり見える。
(;゚ω゚)「う……ぷ」
あまりにグロテスクなその様は、ブーンに吐き気を催させた。
- 25: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:06:14.55 ID:K/C/ggaIO
-
(;゚ω゚)「だあああっ!!」
これ以上見ないように、ブーンはさっさと病室を出て、バタンとドアを閉めた。
そこに寄りかかってしばらくして、ようやく息が整い、視線をあげる。
(;^ω^)「……お?」
まだ冷や汗が流れていた。
そこにまたあった、照らし出された文字。
『you did it!!:-)』
フォントは字体を創英角ポップ体、色を赤茶にくすんだ血の色。
楽しそうに顔文字までつけて、ずいぶん恨めしさが込められていた。
( ^ω^)「僕が……何をやったって?」
もちろん訳せるけども、意味が分からない。
誰が、あの人を殺したって、誰があんな残酷なことをしたって?
- 27: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:10:20.16 ID:K/C/ggaIO
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(#゚ω゚)「……はっははは……はぁーっはっはっはっはっ!! 冗談きついお!!」
(#゚ω゚)「誰が人殺しだ! 僕はずっとお天道様に恥じないように生きてきたお!! 大外れだお、探偵さん!!」
思いっきり壁を蹴ってやったが、そのくらいで、強固な壁は崩れたりヒビ入ったりはしない。
もちろん、彼の心が晴れたりもしない。
( ゚ω゚)「……とっとと行くお、こんなのに構ってられるかお……」
ブーンは肩を怒らせ、403のドアを思い切り蹴飛ばした。
ドア自体古かったのか、メリッと音を立てると、ドアはゆっくり傾きだした。
そして、ガラスを砕け散らせながら、ドアの倒れ込んだ病室から、小さな悲鳴が漏れてきた。
- 29: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:12:18.65 ID:K/C/ggaIO
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(;^ω^)「誰かいるのかおっ!?」
ブーンはその声を聞き逃さなかったが、恐怖からか、声がまるっきり裏返っていた。
咳払いをしてから、もう一度言う。
( ^ω^)「……誰かいるのかお?」
「ブーンか?」
聞き覚えのある声だ。震えてはいるが、こんな情けない声なら違いない。
( ^ω^)「ドクオ?」
(;'A`)「やっぱりブーンか! あぁ、よかった……」
よほどひどい目にあったらしい、涙の痕がしっかりついていた。
抱きつこうとするドクオを躱して、ブーンは腕を組んで訊いた。
( ^ω^)「それよりドクオ、例のものは見つかったかお?」
- 32: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:15:34.34 ID:K/C/ggaIO
-
いや、とドクオは肩をすくめた。
('A`)「すまん」
( ^ω^)「謝ることなんてないお、あんなの見つかる方がおかしいんだお」
('A`)「そうか……でも、すまん」
( ^ω^)「……あとの部屋を探すお。なかったら、すぐ帰るお」
ブーンは尻餅をついているドクオに手を貸して、辺りを照らしながら見回した。
( ^ω^)「この部屋には何もなかったかお?」
('A`)「あぁ、ここには……次、行こうぜ」
ドクオももう一度見回してから、すっとブーンの前に立って、部屋から押し出した。
- 33: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:18:05.59 ID:K/C/ggaIO
-
( ^ω^)「……あれ?」
('A`)「どうした……あれ?」
404号室を開くと、そこには壁があった。
そこと、少し横ををコツコツ叩いてみても、音の違いはないから、おそらく隠し部屋の類ではない。
('A`)「……404といえば」
ぽつりとドクオが言った。
( ^ω^)「404……そういうことなのかお……?」
ブーンも、思い当たるところがあるらしい。
( ^ω^)「存在しない……若しくは接続がヘンになって、壁が出来ているのかお」
( ^ω^)「リトライしても、仕方ないだろお。部屋があるとしたら、接続を戻すしかないお……」
('A`)「へぇ、どうやるんだ?」
( ^ω^)「お前も考えろよ」
- 35: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:21:15.15 ID:K/C/ggaIO
-
( ^ω^)「探索を続けるお」
ドアを閉めて、懐中電灯をくるくるとジャグリングした。
ブーンのほうに、僅かながらも余裕が出てきた証拠であった。
( ^ω^)「404が存在しない可能性、404が開ける可能性が、次の部屋にあるお」
('A`)「あぁ……行ってみようぜ!」
ブーン達は少し元気を取り戻したようで、次の部屋に向かって歩き出した。
一人分増えた足音が、やたらと頼もしく思えた。
しかし、そのせいで、微かな物音には気付けなくなった。
例えば、二人をひたひた追いかける、怪しげな生物の存在など。
暗闇の中で、そのぎょろりと大きな眼が、彼らの懐中電灯の光を映し、豆電球のような光を放っていた。
- 37: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:24:04.80 ID:K/C/ggaIO
-
( ^ω^)「……ドクオ」
('A`)「あぁ」
ブーンが苦々しげに言うと、ドクオは頷いた。
この部屋はおかしい、いかに腑抜けたブーンでも、そのくらいは分かる。
というのも、この怪しさというのが、シックスセンスからは発せられていないからだ。
異臭のする、青緑色の液体が、どろどろとドアの隙間から僅かに溢れてきていた。
(;^ω^)「……開けるかお?」
(;'A`)「……あぁ。行くしかないだろ?」
(;^ω^)「……うん。じゃあ」
引き手に手をかけ、
( ^ω^)「そうだ、ちょっと待つお」
その手をとっさに離した。
- 39: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:27:08.87 ID:K/C/ggaIO
-
('A`)「どうしたんだよ?」
( ^ω^)「ドクオは思わないかお? この液体がもし、ハイパーな強酸だったら……って」
(;'A`)「いや、ドアが無事ってことは液体もなんでもないだろ」
( ^ω^)「そこで!」
理屈になってないドクオの言葉を遮り叫び、ポケットから一本のメスを取り出した。
さっきの変な奴から拝借した、血塗られたメスだ。
(;'A`)「お、お前……それ何だよ」
(;^ω^)「僕のじゃないし……拾ったんだお」
ドクオはおののいて、ブーンを睨みつつも、「そうか」と答えた。
('A`)「で、それをどうするんだ?」
まさかこれを振るって、ぴしぴしと液体を払っていくつもりでは無かろう。
( ^ω^)「まぁ、見てるお」
- 41: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:30:28.97 ID:K/C/ggaIO
-
ブーンはしゃがみこんで、メスの尻をドアからはみ出た液体にくっつけた。
( ゚ω゚)「……」
それは、一瞬で気体になった。
( ゚ω゚)「ドクオ」
('A`)「あぁ」
多分この状況では、ドアとて無事ではないのだろう。
もしかしたらゆっくり腐食を始めて、壊れかけのレディオかも知れない。
(;'A`)「ドアだけが、唯一平気だったんだ……もしこの部屋を開けて、踏み込んでいたら」
(;^ω^)「その瞬間に、とろとろになってたお……」
ブーンはひどく寒そうに身震いし、405病室の前を後にした。
生き物は、二人に焦点を合わせながら、鋭くとがった歯をむき出しにした。
- 43: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:33:35.04 ID:K/C/ggaIO
( ^ω^)「……?」
('A`)「どうした、ブーン?」
ブーンは突然立ち止まり、目を閉じた。
( ‐ω‐)「何かの気配を感じるんだお……」
('A`)「何だと……?」
ドクオも歩みを止めて、耳を澄ます。
ひた、ひた。
ひた、ひた。
ゆっくりと、気配は近付いてきている。
戦慄が、ドクオの背中をびしびしと駆け抜ける。
(;'A`)「……どうするんだ、これ……」
(;^ω^)「逃げる……かお?」
(;'A`)「当たり前だろ……」
二人は顔を見合わせると、一目散に走り出した。
しかし、その生物は、彼らよりもずっと速かった。
彼らが走り出したことに、生物は最初気付かずに大きく出遅れたが、それさえすぐ埋められるほどに。
- 48: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:36:09.44 ID:K/C/ggaIO
-
(;^ω^)「ドクオ、急ぐお!」
('A`;)「けど……!」
しきりに後ろを気にしているドクオを、ブーンは大声で諫めた。
ドクオは小さく反論する。
('A`;)「あいつ、追っかけてきてんだよ! しかもめちゃくちゃ速い!」
(;^ω^)「な、マジかお!? ……どっかに隠れるお!」
(;'A`)「んな事言ったって、どこに!」
(;^ω^)「お前も考えろよおおぉっ!!」
そんな言い争いをしている間に、生物はどんどん近付いてきていた。
そして、むちゃくちゃに振り回されるドクオの足をひらりとすり抜け、さらに駆け抜けていった。
('A`)「」
( ^ω^)「あっ」
- 49: ◆wZk4NVoY.w :2008/05/03(土) 01:39:11.13 ID:K/C/ggaIO
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その瞬間、電撃が走ったように飛び上がり、ばたりと倒れたドクオ。
それをよそに、ブーンは微笑んだ。
( ^ω^)「なぁんだ」
生き物は、くるりとしっぽを巻き、明かりに目を背けて、必死に床を叩いていた。
(,,゚Д゚)「はにゃ?」
( ^ω^)「猫かお。……ははーん、この光を追いかけてたのかお」
ブーンは懐中電灯を手首でくるくる動かす。
すると猫は、縦横無尽に動き回る光を追いかけ、壁を駆け上ったりし始めた。
( ^ω^)「ほら、ドクオ! 寝てないで見てm……」
( ^ω^)「死んでる」
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