2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:51:38.32 ID:p7AXdTQr0
ξ゚听)ξと( ^ω^)はいつもいっしょなようです


 序文という名目の戯言↓

 私の世界――つまるところこの世は薄情なんだよね。
 まさに薄っぺらであるそれは、まるで頁のようなんだ。
 重ねあわされ製本されて、本となり、
 そこらの書店で売られたり、秘密裏に地下出版されるのだ。
 同人誌も、また然り。

 本の頁には、ほとんど同じ内容が書かれている。
 それが何冊も何冊も存在する。続編もある。
 勿論打ち切りもある。悲しいなあ。
 それは何枚も何枚も無限に重ねあわされた、
 世界の概要であり、
 刻一刻と変化を遂げる、
 文字の禍だ……あはあは、どちらも同じ事だなあ。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:52:09.91 ID:p7AXdTQr0

 ジャンルで言うならば、

 愛だ恋だとのラヴロマンス、
 血塗られたサスペンス、
 かっこよいSF、
 妄想爆発ファンタジー、
 難解なミステリー、
 おそろしいホラー、
 懐郷のノスタルジー、
 あとはみんな猥文で、とても卑猥な文字のるつぼだ。

 しかし、その本も世界構成の中核たる、
 物理法則からは逃れられないのでした。
 つまり汚れ、角が欠け、紙が破れる。
 印刷時の誤字なんかは、特に顕著に文章を破滅させる。
 間違いだらけのモノクロに彩られた頁は
 ――本は、
 ――荒唐無稽で、
 ――意味不明である。
 たった幾枚数冊のそれらは、
 専門ショップのいつもうずたかい平積みのなかに潜んでいるのだ!



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:52:25.07 ID:p7AXdTQr0

 因みにこの話は、一応SFだと言う事を通告しておく、

 が、

 しかしどうも意味不明なのはこの文章も変わらんかもしれないな……(笑)。

 本編開幕↓



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:55:10.92 ID:p7AXdTQr0

 謎の少女が一人――そう、そこにたったひとりぽっち。
 そして闇の中で、ただ必死に迫り来る孤独と戦っており!……っていうのは嘘だけど。
 でもただ一人そこにいるのは本当だったのです。
 闇の中で、っていうのも本当です。
 嘘なのは、そこに孤独を感じていない事。
 何故なら、ナニカに満たされた心を持っているから。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:55:29.40 ID:p7AXdTQr0

 因みに謎の少女というのは、『私』の事だ。
 だからこんなに詳しく述べられるのでした。
 職業は学生。それなりに篭りがちだけど。
 物語序盤だし、名前からだけでは分からんだろうで、
 一応言っておくが、性別は女。
 読者である貴方には、関係ないけど彼氏はいない。
 私には大いに関係あるけどねっ!!

 まあ、開始直後の脱線はこれまで――以下、本文開始↓



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:56:06.06 ID:p7AXdTQr0
 私は、これは夢であると自覚はしていた。
 なぜなら私は寝ている
 ――我が安らぎの四畳半にて栄光の惰眠を貪っているからだ。
 目が覚めたら、マクラのもとで労働基準本が何であろうか、
 と言うほど酷使され続けたノートパソコンが馬鹿になり、
 明鏡止水のブルーバックを輝かせてるのだ。
 そしてその青色スポットライトにて、
 病的にまでの歓喜に満たされて眠っている私を照らしている事は、想像に難くないのだ。
 夏休みの友と言う名目の宿命の期限が
 学生の横を怒号疾風に過ぎ去る日時は今より二日も先の話である。
 私は修羅場で散った若き戦士たちの屍の上を悠々と踏みつけることであろう。
 あははーざまぁ!



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:56:23.26 ID:p7AXdTQr0

 しかしそんなツワモノな私にもやはり今のこの状況には
 ξ゚听)ξ「此れは無いだろう常識的に考えて……」
 と思うばかりだったのだ。

 世界を覆い隠していた暗闇が晴れると、私の目の前は、石ばかりだった。
 硬い玄武岩で建造された巨大な橋の端に私はいたのだ。
 おそるおそるも棚干を覗くと、常識的に考えられないほどの高さだった。
 遥かなる地表には巨石建造物が乱立していた。
 屋上には黒い点がいくつも動いており、此処の住人かと思われた。
 さすがに良くは見えないが、ヒトではないは確かだ。
 クリーム色掛かったマイルドな天球には二つの脈動する太陽が浮んで
 ――いや、見えない糸で釣り下がっており、
 生物的な湿気を出しながらドクドク発光していた。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:57:45.25 ID:p7AXdTQr0

 棚干にそって歩いていくと、
 腕を広げたヒトデと蛸を掛け合わせたような形をした小像がぽつねんとあった。
 触らぬ神にたたりなし、なのだからそのまま通り過ぎ……
 ようとはするものの触ってはいけないと思うほどに
 触りたくなるというのが人の常というものだ。
 両手をワキワキさせて、
 ありもしない意を決して触れるとポキリと音が。
 そして、棚干より彼方へ墜ちて行った……。
 なんか悔しかった。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:58:10.62 ID:p7AXdTQr0

 そして老人が言う。
 だが何をいっているのか分からない。
 テープを早回しにしたような、甲高い音が途切れ途切れに聞こえた。
 どうやら、老人は異国の――異星の?――言葉で語りかけてきているようだった。
 わけもわからないのに、老人がきぃきぃ捲くし立てるので、はあ、ええ、などと適当に相槌を打っていた。
 高速言語が何往復かしたころ、老人は満足したようで、此方に手をぱたぱた振った。
 私も手をぱたぱた振った。
 そして逆回しをしたように、老人はもやもやに還って行った……。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:59:17.91 ID:p7AXdTQr0

 老人が居なくなる
――私のほかに誰も居ない。

 いないいない……、

 一瞬沈黙……、

 聴覚のブラックアウト……、

 濃霧は消え去って……、
 猛烈な闇だけが再び私を蓋い尽して……、
 
 アレは窮極の……???エラーエラーエラー!!!。



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 18:59:43.40 ID:p7AXdTQr0

 足元の岩の橋、
 その下の世界、
 空の心臓、
 何もなくなり私は闇黒に立っていた。

 これで覚醒であろうかそれとも、まだ続きがあるだろうか。
 そんな事を考えているとやはり、まぶしい朝日が見えるのだ。だからこれは夢なのであったのだ。
 それから私は覚醒し、うんと言って背伸びをするのでしたまる 

 目が覚めてからする事は↓



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:01:16.44 ID:p7AXdTQr0

 やけに眩しいなあと思っていたら、
 カーテンを閉めていなかったからであった。
 私の二日ぶりの安眠を、揺るがすほどのその光量は、
 量子力学的に言えば思い込みなのだそうだ。
 だが思い込みだなんだろうが眩しいものは眩しいのである。

 充血した目を腫れぼったい瞼で閉じ、私は盲目のままカーテンを閉めた。
 天井裏では、私がおきた事を知った大きなねずみが、
 大きな腹をつっかえながら這いまわっている。
 垢じみたシーツにくるまれた万年床に
 再び身をくるませたところで時計が目に入った。
 いまさら気づいたところでもう遅いのだった。
ξ゚听)ξ 「朝かと思ったが、起きてみたら、真昼でした」

 これはやられた。太陽神は、時の神様までを狂わすのかもしれないなあ、
 ……これも意味不明の表現だなあ。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:01:54.06 ID:p7AXdTQr0

ξ゚听)ξ「そうだ。今日はバイトだ。早く行かなくては怒られるかも知れんというか、クビである」
 しかし携帯電話を見ると、メールがきていた。
 案の定の内容だった。笑った。

 「ギャッ!」と漫画のように叫んだ私は、
 急いで着替えて謝りに行かなくてはと、狭い四畳半を駆け巡り、
 布団の足元にはコインランドリーで洗濯してそのまま持ってきてうずたかく積まれて、
 使ったり使われらなったりしたシャツやらナンヤラから着替えを探し出し
 ξ゚听)ξ「おおあったあった」
 なんて喜んでいたのも束の間、私の足元――布団は一面、血に染まっていた。
 サスペンスの音が聞こえた。カヨービ(劇)



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:02:10.15 ID:p7AXdTQr0

 足元と言ってもこの四畳半――正確には六畳で一畳半は玄関と押入れで構成されている――は、
 いまや血塗られた布団を中央に、勉強机代わりの小さな丸いテーブル、
 湯を沸かすしか能の無いポット、粉珈琲の空き瓶、あき缶、しょぼいノートパソコン、
 そしてそれらを取り囲むように本棚がどかどか立っている。
 嗚呼ァ――、律儀に乱立しせり環状本棚とそのお供よ、
 汝らは不浄都市レムリアと呼ぶにふさわしいだろう……なぜなら臭いからね。

 締め切ったカーテンからの木洩れ日に照らされ、
 空中を優雅に舞うチリが律儀にきらきらと反射していた。
 その天井に呆然と取り付けられた場違いな文明的クーラーが
 哀愁を誘う、ダメ人間の部屋だった……。



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:02:28.95 ID:p7AXdTQr0
 話を戻そう……。
 ビックリした私は倒れ、尻もちをついた。
 痛む尻を摩りながら、階下の住人に謝った。
 そしておそるおそるパンツを触ると、
 ぱきぱきと粘度の高いものが乾いて固まった音がして、
 赤い粉が指に付着した。
 私はまたやってしまったと、ため息をつき、パンツを脱ぐ。
 蛆虫色のおりものが糸を引いていた。
ξ;゚听)ξ「やばいなあ。今日は生理の日であったことをわすれていたよ」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:04:22.38 ID:p7AXdTQr0

 私は特に、生理に痛みを伴わないたちであった。
 レバーになる事も、あまり無い。
 だからたまに忘れてしまう。そしてこう言う事態になってしまう。
 こう言う事態というのは、一面
 ――といっても布団が真ん中に永久に居座る上――に殺人事件でも起きたのか、
 と思わせるような惨状が繰り広げられている即ち、今のような事態の事である。
 実際に、友人がこの惨状を目撃した時卒倒+倒れて手すりを乗り出し落ちそうになる怒涛のコンボで
 何事かと駆けつけてきた階下の住人Aは何か勘違いしたらしく
 おもむろに携帯電話を取り出し一一〇番。
 そうして危うく犯罪者にされてしまうところを
 ξ;゚听)ξ「ちがうんですちがうんです」
 と弁解したことはもう恥ずかしくて思い出したくも無い。
 あ、思い出してしまった。
 ……モウ、ハズカシイ!



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:04:35.42 ID:p7AXdTQr0

 また話がそれてしまった……。
 さて、私は起きてから二度目のため息をつき、
 汚れたシーツを布団から剥いでビニール袋に入れた。
 パンツも勿論入れた。
 タオルで身体を清めから、先ほど掘り出した服を着て、
 たたみを雑巾で拭き、やっとこ一段落ついた。

 私はもう、落ち着きを取り戻していた。
 エコノミックブラッド(経血のことです)の事ではない。バイトの事だ。
ξ゚听)ξ「もう、クビは確定である。
     謝ったって、ダメであろう。
     あのバイトは繋ぎだ。
     次なる目標のための糧となったのだ!」
 だが涙目なのは、尻が痛いだけではないのです。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:08:52.10 ID:p7AXdTQr0

 額に流るるひとしずくの汗を袖ぐちで拭い、
 コインランドリーに行く事に決めた。
 こんなにして、此処に置いておく訳にもいかない。
 洗濯物も溜まっとるのだ。
 私は先ほどのビニール袋に、その他の洗うものも入れる。
 もちろん多い日も安心なものを着けるのも忘れない。
 急いだので突っかけが上手く履けず、階段から半分ほど転げ落ちた。
 また漫画のように、
 ξ゚听)ξ「ギャ!」と叫んだ。
 尻餅につくづく縁がある日である。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:13:02.06 ID:p7AXdTQr0

 いたいいたいと尻をさすっていたら、
 何事かと階下の住人が駆けつけてきた。
 私の手に持ったソレを見るや否や彼は警察に電話しようとしたので
 口を塞いで電源を切ってやった。
 そしてまた、
 ξ゚听)ξ「ちがうのですちがうのです」と弁解し、
 今度は自室にから、友人に貰ったカステラを一本持ってきて
 階下の住人の口へ押し込んだ。
 彼はニコニコと恵方まきのように、それを貪り始める。
 これで5日はもつだろう。
 一人身の分際でカステラをまるまる一本齧ると言う屈辱を存分に味わうがいい。



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:13:17.08 ID:p7AXdTQr0

 さてと……見上げる空には風に流された飛行機雲が消えかかり、
 少しばかり西に傾いた太陽が
 「おれはまだやるぜ」
 と言わんばかりに燦然と輝いていたので、私は眩しすぎて逃げた。
 そして裏道のほうからからいくことに決めた。

 歌を口ずさみながら、私はイチョウ並木を進んだ。
 黄色くなり始めの葉っぱが風に吹かれて、いまだ青い実を揺らしていた。
 無論、まだ臭くない。
もう少し寒くなり朝早く此処にくれば、
 近所の老夫婦が、せっせと一心不乱に銀杏を拾っているだろう。
 そして今のように真昼を過ぎた頃は、
 彼等は家でご飯を食べているか、ゲートボールに精を出しているのであろう。
 将来は自分もこうなりたいと思う私だった……。
 嗚呼ァ――惨めみじめ……。



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:14:13.98 ID:p7AXdTQr0
ξ゚听)ξ「 穢れのないーぃ その瞳に 映るは遥かぁー中華の地ぃ! 」
 私の口からは、何度も同じフレーズが繰り返される。
 多少古い歌だが、私は気に入っている。
ξ゚听)ξ「ん、これは何であろうか」
 私が見つけたのは、なんだか懐かしい気持ちになる
 デザインの缶ジュースであり、名を、『過去コーラ』とあった。

 よくみてみると、自販機自体もなんだか古風というか古臭く、
 売られているのが過去に流行ったことがあったような、
 いまだ見ぬ未来に流行りそうな気がする、
 見るからに雑多であり、
 およそ統一性が無い。
 古臭い上に胡散臭かった。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/05/03(土) 19:14:48.62 ID:p7AXdTQr0

 そういえば、ココを何度も通ったが、
 こんな自動販売機を見たのは今日が始めてだ。
 最近置かれたのならもっと新しいデザインなはずで、実に奇妙だ。
 だが私はそんな事お構い無しなのだ。
 しかも私は寝起きですぐに動いて、咽喉が乾いていたものだから、
ξ゚听)ξ「まあいいわ。ジュースはジュースだよ。
     多少古くたって、大丈夫。
     あたしのおなかはじょうぶだもの」
 しかしながら咽喉が渇いてなくてもかったわな……。



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